以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
<関連技術の説明>
図1(a)は、関連技術における容量素子CAP(R)の模式的な構成を示す図である。図1(a)に示すように、関連技術における容量素子CAP(R)は、櫛形電極CSE1と櫛形電極CSE2から構成されている。櫛形電極CSE1は、y方向に延在する電極ELAと電極ELCをx方向に一体的に連結した構造を有しており、櫛形電極CSE2も、y方向に延在する電極ELBと電極ELDをx方向に一体的に連結した構造を有している。そして、櫛形電極CSE1と櫛形電極CSE2は、電極ELA〜ELDが交互に並行するように配置されている。
ここで、例えば、容量素子CAP(R)の小型化に対応して、電極ELA〜ELDの間隔を狭くする微細化が進むと、単一のマスクで電極ELA〜ELDを形成する微細加工技術では対応できなくなることが想定される。そこで、現状の微細加工技術でも、さらなる微細化に対応するため、例えば、いわゆるダブルパターニング法という技術がある。
このダブルパターニング法とは、互いに隣り合うパターンを別々のマスクで形成することにより、個々のマスクで形成されるパターンの微細化レベルを緩和する方法である。したがって、このダブルパターニング法を使用することにより、現状の微細加工技術においても、性能限界を超える微細化に対応することができる。
具体的に、ダブパターニング法とは、例えば、図1(a)において、櫛形電極CSE1を構成する電極ELAと電極ELCを、第1マスクを使用した第1パターニングで形成し、櫛形電極CSE2を構成する電極ELBと電極ELDを、第2マスクを使用した第2パターニングで形成するものである。図1(a)では、第1パターニングで形成される櫛形電極CSE1が白抜き領域として示され、第2パターニングで形成される櫛形電極CSE2がドット領域として示されている。
ここで、図1(a)は、ダブルパターニング法において、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じない状態で、電極ELA〜ELDが形成された場合が示されている。この場合、電極ELAと電極ELBの間、電極ELBと電極ELCの間、および、電極ELCと電極ELDの間の間隔は、共に等しく、例えば、「L」となっている。したがって、電極ELAと電極ELBの間の容量、電極ELBと電極ELCの間の容量、および、電極ELCと電極ELDの間の容量は、共に等しく、例えば、それぞれの容量値を「C」とする。このとき、関連技術における容量素子CAP(R)の容量値は、上述した3つの電極間容量が並列接続されていることになることから、「3C」(設計値)となる。
<関連技術に存在する改善の余地>
ところが、ダブルパターニング法では、隣り合うパターンを別々のマスクで形成することから、マスクの位置ずれによって、例えば、隣り合う電極間の距離が設計値の「L」からずれることが考えられる。具体的に、図1(b)は、第1パターニングで使用される第1マスクに対して、第2パターニングで使用される第2マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした状態で、電極ELA〜ELDが形成された場合を示す図である。図1(b)において、第1マスクに対して第2マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした結果、電極ELAと電極ELBの間の距離は、「L+a」となり、電極ELBと電極ELCの間の距離は、「L−a」となり、電極ELCと電極ELDの間の距離は、「L+a」となる。
これにより、マスク間に位置ずれが存在する状態での容量素子CAP(R)の容量は、以下に示す(式1)のようになる。
1・C・L/(L−a)+2・C・L/(L+a)
={C・L・(L+a)+2・C・L・(L−a)}/{(L+a)(L−a)}
=(3・C・L・L−C・L・a)/{(L+a)(L−a)} ・・・(式1)
したがって、マスク間に位置ずれがない場合との差分は、(式2)のようになる。
差分=3・C−(3・C・L・L−C・L・a)/{(L+a)(L−a)}
=(C・L・a−3・C・a・a)/{(L+a)(L−a)} ・・・(式2)
以上のことから、ダブルパターニング法において、マスク間の位置ずれが存在する場合、関連技術おける容量素子CAP(R)の容量値は、「3C」(設計値)から(式2)で示す差分だけ変動することになる。このような容量値のずれは、半導体装置の特性変動の一因ともなるため、半導体装置の特性変動を充分に抑制する観点から、できるだけ容量値のずれを小さくする必要がある。
このように、ダブルパターニング法は、単一のマスクを使用した微細加工技術の性能限界を超える微細化に対応できる一方、マスク間の位置ずれに起因する半導体装置の特性変動が生じやすいという点において改善の余地が存在する。
そこで、本実施の形態1では、ダブルパターニング法を使用することにより顕在化する半導体装置の特性変動を抑制する工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態1における技術的思想について説明する。
<実施の形態1における基本思想>
図2(a)および図2(b)は、本実施の形態1における基本思想を説明するための図である。図2(a)において、導体パターンCPAと導体パターンCPBは、互いに並行しながらy方向に延在している。つまり、導体パターンCPAと導体パターンCPBは、導体パターンCPAと導体パターンCPBとの間の距離を「L」に保ちながら、y方向に延在している。このとき、導体パターンCPAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を有し、かつ、導体パターンCPBは、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を有している。そして、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)は、互いに相対する位置に配置されており、この結果、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)により容量が形成されることになる。一方、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)は、互いに相対する位置に配置されており、この結果、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)により容量が形成されることになる。
ここで、互いに並行する導体パターンCPAと導体パターンCPBは、例えば、フォトリソグラフィ技術を使用したパターニングで形成される。特に、本実施の形態1においては、第1マスクを使用した第1パターニングにより、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)が形成され、第2マスクを使用した第2パターニングにより、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)が形成される。例えば、図2(a)においては、第1パターニングで形成される導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)が白抜き領域として示され、第2パターニングで形成される導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)がドット領域として示されている。そして、図2(a)においては、ダブルパターニング法において、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じない状態で、導体パターンCPAおよび導体パターンCPBが形成される場合が示されている。この場合、導体パターンCPAと導体パターンCPBの間の距離は、例えば、「L」となっている。
ところが、ダブルパターニング法では、隣り合うパターンを別々のマスクで形成することから、マスクの位置ずれによって、例えば、隣り合う電極間の距離が設計値の「L」からずれることが考えられる。具体的に、図2(b)は、第1パターニングで使用される第1マスクに対して、第2パターニングで使用される第2マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした状態で、導体パターンCPAと導体パターンCPBが形成された場合を示す図である。図2(b)に示すように、第1マスクに対して第2マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした結果、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)の間の距離は、「L+a」となり、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)の間の距離は、「L−a」となる。この点に本実施の形態1の基本思想がある。
つまり、本実施の形態1における基本思想は、以下に示す点に特徴点がある。例えば、図2(a)に示すように、互いに並行するように配置された導体パターンCPAと導体パターンCPBにおいて、導体パターンCPAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)に分割され、かつ、導体パターンCPBも、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)に分割される。そして、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)を同じ第1マスクによる第1パターニングで形成する一方、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)を同じ第2マスクによる第2パターニングで形成する。すなわち、図2(a)に示すように、互いに相対する導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)は、互いに異なるマスクによるパターニングで形成され、かつ、互いに相対する導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成されることになる。
このとき、図2(a)に示すように、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)に着目すると、第1マスクを使用した第1パターニングで形成される導体パターンCPAの第1部分P1(A)が相対的に左側に配置され、第2マスクを使用した第2パターニングで形成される導体パターンCPBの第1部分P1(B)が相対的に右側に配置される。これに対し、図2(a)に示すように、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)に着目すると、第1マスクを使用した第1パターニングで形成される導体パターンCPBの第2部分P2(B)が相対的に右側に配置され、第2マスクを使用した第2パターニングで形成される導体パターンCPAの第2部分P2(A)が相対的に左側に配置される。
したがって、図2(a)に示すように、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)における第1パターニングと第2パターニングの位置関係と、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)における第1パターニングと第2パターニングの位置関係とは逆配置になる。
このような本実施の形態1における基本思想によれば、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じた場合でも、導体パターンCPAと導体パターンCPBの間に形成される容量値の変動を抑制することができる。以下に、この点について具体的に説明する。例えば、図2(b)に示すように、第2パターニングで使用される第2マスクの位置が、第1パターニングで使用される第1マスクの位置に対して、「a」だけx方向(右側)にずれたとする。
この場合、図2(b)に示すように、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)との関係では、右側に配置されている導体パターンCPBの第1部分P1(B)がさらに右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)との間の距離は、「L+a」に広がることになる。この結果、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、小さくなる方向の変化となる。
一方、図2(b)に示すように、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)との関係では、左側に配置されている導体パターンCPAの第2部分P2(A)が右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)との間の距離は、「L−a」に狭まることになる。この結果、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、大きくなる方向の変化となる。
したがって、導体パターンCPAと導体パターンCPBの全体の容量を考えた場合、マスク間の位置ずれに起因する全体容量の変化は、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)の間の容量の減少と、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)の間の容量の増加によって、相殺されて低減される。この結果、本実施の形態1における基本思想によれば、マスク間の位置ずれに起因する導体パターンCPAと導体パターンCPBとの間の容量変動を小さくすることができ、これによって、半導体装置の特性変動を抑制することができる。
このように本実施の形態1における基本思想は、第1マスクを使用した第1パターニングと第2マスクを使用した第2パターニングとの組み合わせによって、導体パターンCPAと導体パターンCPBを形成することを前提とする。そして、この基本思想は、マスク間に位置ずれが生じた場合、マスク間に位置ずれがない場合よりも距離が小さくなる部分と、マスク間に位置ずれがない場合よりも距離が大きくなる部分が存在するように、導体パターンCPAと導体パターンCPBのそれぞれが、第1パターニングで形成される部分と、第2パターニングで形成される部分に分割されるという思想である。
言い換えれば、この基本思想は、マスク間に位置ずれが生じた場合、マスク間に位置ずれがない場合よりも容量が小さくなる部分と、マスク間に位置ずれがない場合よりも容量が大きくなる部分が存在するように、導体パターンCPAと導体パターンCPBのそれぞれが、第1パターニングで形成される部分と、第2パターニングで形成される部分に分割される思想ということもできる。
例えば、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)によって形成される容量を第1導体間容量と定義し、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)によって形成される容量を第2導体間容量と定義する。この場合、本実施の形態1における基本思想は、マスク間に位置ずれが生じた場合、第1導体間容量が、マスク間に位置ずれがないときよりも大きくなる一方、第2導体間容量が、マスク間に位置ずれがないときよりも小さくなる具現化態様を取ることができる。あるいは、本実施の形態1における基本思想は、マスク間に位置ずれが生じた場合、第1導体間容量が、マスク間に位置ずれがないときよりも小さくなる一方、第2導体間容量が、マスク間に位置ずれがないときよりも大きくなる他の具現化態様を取ることもできる。
ここで、マスク間に位置ずれが生じた場合の導体パターンCPAと導体パターンCPBの全体容量の変化は、上述した第1導体間容量の増加と第2導体間容量の減少の加算、あるいは、上述した第1導体間容量の減少と第2導体間容量の増加の加算で表される。このため、全体容量の変化を小さくする観点からは、第1導体間容量の容量変化と、第2導体間容量の容量変化とが、なるべく等しいことが望ましい。なぜなら、第1導体間容量の容量変化と、第2導体間容量の容量変化が等しければ、完全に容量変化が相殺されるため、全体容量の変動を限りなく小さい値に低減することができるからである。この観点から、例えば、導体パターンCPAの第1部分P1(A)の面積と導体パターンCPAの第2部分P2(A)の面積は等しく、かつ、導体パターンCPBの第1部分P1(B)の面積と導体パターンCPBの第2部分P2(B)の面積は等しいことが望ましい。
以上が本実施の形態1における基本思想であるが、本実施の形態1では、この基本思想を具現化するにあたって、さらなる工夫を施している。以下に、この点について説明する。
例えば、図2(b)において、導体パターンCPAの第2部分P2(A)が導体パターンCPAの第1部分P1(A)からずれて形成されると、この第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する部分が狭くなり、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)の接続信頼性が低下するおそれがある。極端な場合には、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)が断線する可能性もある。
つまり、上述した基本思想では、例えば、導体パターンCPAを第1部分P1(A)と第2部分P2(A)に分割し、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を異なるマスクによるパターニングで形成する点に特徴点がある。ただし、実際に、この基本思想を具現化することを考えた場合、マスク間の位置ずれに起因する第1部分P1(A)と第2部分P2(A)の接続信頼性の低下を考慮する必要があるのである。
そこで、本実施の形態1では、基本思想を具現化するにあたって、マスク間の位置ずれが生じる場合であっても、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPAの第2部分P2(A)の接続信頼性の低下を抑制する工夫を施している。
図3(a)および図3(b)は、この工夫点を説明するための図である。図3(a)において、導体パターンCPAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を有し、さらに、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する連結部分CNP(A)を有している。このとき、導体パターンCPAの第1部分P1(A)は、y方向に延在するように配置され、かつ、導体パターンCPAの第2部分P2(A)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(A)からずれて配置されている。そして、連結部分CNP(A)は、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
同様に、図3(a)において、導体パターンCPBは、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を有し、さらに、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する連結部分CNP(B)を有している。このとき、導体パターンCPBの第1部分P1(B)は、y方向に延在するように配置され、かつ、導体パターンCPBの第2部分P2(B)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(B)からずれて配置されている。そして、連結部分CNP(B)は、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
ここで、図3(a)に示すように、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)は一直線(仮想直線)上に配置され、導体パターンCPAと導体パターンCPBは、この仮想直線上のy方向の中心点に対して概ね点対称になるように配置されている。そして、導体パターンCPAと導体パターンCPBは、互いに並行するように配置されている。
このとき、本明細書で「互いに並行する導体パターンCPAと導体パターンCPB」とは、導体パターンCPAと導体パターンCPBの形状は問わず、導体パターンCPAと導体パターンCPBとの間の距離を一定距離(L)に維持しながら、導体パターンCPAと導体パターンCPBが延在していることを意味している。
例えば、「互いに平行」とは、図2(a)に示すように、通常、互いに直線形状をした導体パターンCPAと導体パターンCPBが一定距離(L)を維持しながら、y方向に延在する場合などを意味していると考えられる。これに対し、「互いに並行」とは、図3(a)に示すように、例えば、直線形状ではない導体パターンCPAと、直線形状ではない導体パターンCPBが、一定距離(L)を維持しながら延在している状態も含む概念を意図して使用している。すなわち、本明細書で使用する「互いに並行する導体パターンCAPと導体パターンCPB」とは、導体パターンCPAの形状や導体パターンCPBの形状が直線形状でない形状も含む点で、「互いに平行する導体パターンCPAと導体パターンCPB」よりも広い概念となっている。
このように連結部分CNP(A)や連結部分CNP(B)を含むように構成されている導体パターンCPAと導体パターンCPBにおいて、マスク間の位置ずれが生じた場合を考える。図3(b)は、例えば、第1パターニングで使用される第1マスクが、第2パターニングで使用される第2マスクに対して、x方向に「a」だけ位置ずれを起こした状態で、導体パターンCPAと導体パターンCPBが形成された場合を示す図である。
まず、導体パターンCPAに着目すると、図3(a)に示すように、マスク間に位置ずれが生じていない場合には、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPAの第2部分P2(A)は、連結部分CNP(A)によって確実に接続されている。また、本実施の形態1では、図3(b)に示すように、マスク間に位置ずれが生じている場合においても、連結部分CNP(A)が存在することによって、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPAの第2部分P2(A)の接続信頼性は確実なものとなっていることがわかる。
次に、導体パターンCPBに着目すると、図3(a)に示すように、マスク間に位置ずれが生じていない場合には、導体パターンCPBの第1部分P1(B)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)は、連結部分CNP(B)によって確実に接続されている。また、本実施の形態1では、図3(b)に示すように、マスク間に位置ずれが生じている場合においても、連結部分CNP(B)が存在することによって、導体パターンCPBの第1部分P1(B)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)の接続信頼性は確実なものとなっていることがわかる。つまり、図3(b)に示すように、導体パターンCPBの場合、マスク間の位置ずれによって、導体パターンCPBの第2部分P2(B)が連結部分CNP(B)からはみ出すことになるが、はみ出した部分においても、導体パターンCPBの第2部分P2(B)は、連結部分CNP(B)の側面と接続されることになることから、導体パターンCPBの第2部分P2(B)と連結部分CNP(B)の接続信頼性は維持されるのである。
以上のことから、本実施の形態1によれば、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)が連結部分CNP(A)で接続されるように構成することにより、マスク間の位置ずれが発生した場合であっても、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)の接続信頼性を確保することができる。
同様に、本実施の形態1によれば、導体パターンCPBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)が連結部分CNP(B)で接続されるように構成することにより、マスク間の位置ずれが発生した場合であっても、導体パターンCPBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)の接続信頼性を確保することができる。
以上のことをまとめると、本実施の形態1における第1特徴点は、マスク間に位置ずれが生じた場合、マスク間に位置ずれがない場合よりも距離が小さくなる部分と距離が大きくなる部分が存在するように、導体パターンCPAと導体パターンCPBのそれぞれが、第1パターニングで形成される部分と、第2パターニングで形成される部分に分割される点にある。言い換えれば、本実施の形態1における第1特徴点は、例えば、図2(a)および図2(b)に示すように、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)を同じ第1マスクによる第1パターニングで形成する一方、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)を同じ第2マスクによる第2パターニングで形成する点にある。
これにより、本実施の形態1によれば、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じた場合でも、導体パターンCPAと導体パターンCPBの間に形成される容量値の変動を抑制することができる。
そして、本実施の形態1における第2特徴点は、上述した第1特徴点を具現化しやすくする観点から、例えば、図3(a)および図3(b)に示すように、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を連結部分CNP(A)で接続した構成から導体パターンCPAを形成し、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を連結部分CNP(B)で接続した構成から導体パターンCPBを形成する点にある。
これにより、本実施の形態1によれば、導体パターンCPAと導体パターンCPBとの間に形成される容量値の変動を抑制することができるという上述した第1特徴点の利点を保持しながら、上述した第2特徴点によって、マスク間の位置ずれに起因する導体パターンCPAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)の接続信頼性の低下を抑制することができる。
<実施の形態1における導体パターンの製造方法>
続いて、本実施の形態1における導体パターンの製造方法について説明する。図4は、本実施の形態1における導体パターンを製造する流れを示すフローチャートである。ここでいう導体パターンは、例えば、容量素子や配線を想定しており、これらの構成要素は、半導体基板の主面上に形成される。このとき、「半導体基板の主面上」とは、半導体基板上に直接形成する場合だけではなく、半導体基板に、例えば、電界効果トランジスタに代表される半導体素子を形成し、この半導体素子を覆う層間絶縁膜を形成した後、この層間絶縁膜上に形成する場合も含む概念で使用している。すなわち、本明細書でいう「半導体基板の主面上」とは、「半導体基板の直上(on)」だけでなく、「半導体基板の上方(over)」も含む意図で使用している。
まず、図4において、例えば、シリコン単結晶からなる半導体基板を用意し、半導体基板の主面上に導体膜を形成する(S101)。導体膜は、例えば、アルミニウム膜や銅膜(Cu膜)やポリシリコン膜から形成される。特に、導体膜がアルミニウム膜の場合は、スパッタリング法を使用することにより形成され、導体膜が銅膜の場合は、ダマシン技術を使用することにより形成され、導体膜がポリシリコン膜の場合は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用することにより形成される。
次に、形成した導体膜に対して、第1マスクを使用した第1パターニングを施して、第1導体パターンの第1部分と、第2導体パターンの第2部分を形成する(S102)。具体的には、例えば、図3(a)に示すように、導体パターンCPAの第1部分P1(A)と導体パターンCPBの第2部分P2(B)を形成する。
続いて、形成した導体膜に対して、第2マスクを使用した第2パターニングを施して、第1導体パターンの第2部分と第2導体パターンの第1部分を形成する(S103)。具体的には、例えば、図3(a)に示すように、導体パターンCPAの第2部分P2(A)と導体パターンCPBの第1部分P1(B)を形成する。
その後、形成した導体膜に対して、第1導体パターンの第1部分と第2部分を接続する第1連結部分のパターニングを実施し(S104)、続いて、第2導体パターンの第1部分と第2部分を接続する第2連結部分のパターニングを実施する(S105)。具体的には、例えば、図3(a)に示すように、第1連結部分としての連結部分CNP(A)を形成し、その後、第2連結部分としての連結部分CNP(B)を形成する。
以上のようにして、本実施の形態1における第1導体パターンと第2導体パターンを形成することができる。具体的には、例えば、図3(a)に示す互いに並行する導体パターンCPAと導体パターンCPBを製造することができる。
なお、図4では、第1マスクを使用した第1パターニングを実施した後、第2マスクを使用した第2パターニングを実施する例について説明したが、これに限らず、第2マスクを使用した第2パターニングを実施した後、第1マスクを使用した第1パターニングを実施してもよい。また、図4では、第1連結部分のパターニングを実施した後、第2連結部分のパターニングを実施する例について説明したが、第2連結部分のパターニングを実施した後、第1連結部分のパターニングを実施してもよい。さらに言えば、図4で示されているS102〜S105の工程は、必ずしもこの順番に実施する必要はなく、任意の順番に入れ替えるように構成してもよい。
<容量素子への実施の形態1における基本思想の適用例>
以下では、上述した本実施の形態1における基本思想を導体パターンから構成される容量素子に適用する例について説明する。
図5(a)は、本実施の形態1における容量素子CAP1の平面構成を示す図である。図5において、本実施の形態1における容量素子CAP1は、櫛形電極CSE1と櫛形電極CSE2から構成されている。櫛形電極CSE1は、y方向に延在する電極ELAと電極ELCをx方向に一体的に連結した構造を有しており、櫛形電極CSE2も、y方向に延在する電極ELBと電極ELDをx方向に一体的に連結した構造を有している。そして、櫛形電極CSE1と櫛形電極CSE2は、電極ELA〜ELDが交互に隣り合うように配置されている。このとき、電極ELAと電極ELBとの間の距離、電極ELBと電極ELCの間の距離、電極ELCと電極ELDの間の距離は、共に「L」となっている。
そして、櫛形電極CSE1の一部を構成する電極ELAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を有し、さらに、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する連結部分CNP(A)を有している。このとき、電極ELAの第1部分P1(A)は、y方向に延在するように配置され、かつ、電極ELAの第2部分P2(A)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(A)からずれて配置されている。そして、連結部分CNP(A)は、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
同様に、櫛形電極CSE1の一部を構成する電極ELCは、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を有し、さらに、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を接続する連結部分CNP(C)を有している。このとき、電極ELCの第1部分P1(C)は、y方向に延在するように配置され、かつ、電極ELCの第2部分P2(C)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(C)からずれて配置されている。そして、連結部分CNP(C)は、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
また、櫛形電極CSE2の一部を構成する電極ELBは、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を有し、さらに、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する連結部分CNP(B)を有している。このとき、電極ELBの第1部分P1(B)は、y方向に延在するように配置され、かつ、電極ELBの第2部分P2(B)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(B)からずれて配置されている。そして、連結部分CNP(B)は、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
同様に、櫛形電極CSE2の一部を構成する電極ELDは、第1部分P1(D)と第2部分P2(D)を有し、さらに、第1部分P1(D)と第2部分P2(D)を接続する連結部分CNP(D)を有している。このとき、電極ELDの第1部分P1(D)は、y方向に延在するように配置され、かつ、電極ELDの第2部分P2(D)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(D)からずれて配置されている。そして、連結部分CNP(D)は、第1部分P1(D)と第2部分P2(D)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
なお、図5(a)において、電極ELBの第2部分P2(B)と電極ELCの第1部分P1(C)は、y方向に延在する一直線(仮想直線)上に配置されており、この仮想直線のy方向の中心点に対して、電極ELBと電極ELCは点対称に配置され、かつ、電極ELAと電極ELDも点対称に配置されている。
本実施の形態1における容量素子CAP1において、互いに隣り合う電極ELAと電極ELBに着目すると、電極ELAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)に分割され、かつ、電極ELAと隣り合う電極ELBも、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)に分割される。そして、電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第2部分P2(B)を同じ第1マスクによる第1パターニングで形成する一方、電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第1部分P1(B)を同じ第2マスクによる第2パターニングで形成する。すなわち、図5(a)に示すように、互いに相対する電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第1部分P1(B)は、互いに異なるマスクによるパターニングで形成され、かつ、互いに相対する電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第2部分P2(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成されることになる。
同様に、互いに隣り合う電極ELCと電極ELDに着目すると、電極ELCは、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)に分割され、かつ、電極ELCと隣り合う電極ELDも、第1部分P1(D)と第2部分P2(D)に分割される。そして、電極ELCの第1部分P1(C)と電極ELDの第2部分P2(D)を同じ第1マスクによる第1パターニングで形成する一方、電極ELCの第2部分P2(C)と電極ELDの第1部分P1(D)を同じ第2マスクによる第2パターニングで形成する。すなわち、図5(a)に示すように、互いに相対する電極ELCの第1部分P1(C)と電極ELDの第1部分P1(D)は、互いに異なるマスクによるパターニングで形成され、かつ、互いに相対する電極ELCの第2部分P2(C)と電極ELDの第2部分P2(D)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成されることになる。
これにより、本実施の形態1における容量素子CAP1によれば、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じた場合でも、容量値の変動を抑制することができる。
例えば、図5(b)に示すように、第2パターニングで使用される第2マスクの位置が、第1パターニングで使用される第1マスクの位置に対して、「a」だけx方向(右側)にずれたとする。
この場合、互いに隣り合う電極ELAと電極ELBに着目すると、図5(b)に示すように、電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第1部分P1(B)との関係では、右側に配置されている電極ELBの第1部分P1(B)がさらに右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第1部分P1(B)との間の距離は、「L+a」に広がることになる。この結果、電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第1部分P1(B)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、小さくなる方向の変化となる。
一方、図5(b)に示すように、電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第2部分P2(B)との関係では、左側に配置されている電極ELAの第2部分P2(A)が右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第2部分P2(B)との間の距離は、「L−a」に狭まることになる。この結果、電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第2部分P2(B)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、大きくなる方向の変化となる。
したがって、電極ELAと電極ELBの全体の容量を考えた場合、マスク間の位置ずれに起因する全体容量の変化は、電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第1部分P1(B)の間の容量の減少と、電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第2部分P2(B)の間の容量の増加によって、相殺されて低減される。この結果、本実施の形態1における容量素子CAP1によれば、マスク間の位置ずれに起因する電極ELAと電極ELBとの間の容量変動を小さくすることができ、これによって、半導体装置の特性変動を抑制することができる。
同様に、互いに隣り合う電極ELBと電極ELCに着目すると、図5(b)に示すように、電極ELBの第1部分P1(B)と電極ELCの第1部分P1(C)との関係では、左側に配置されている電極ELBの第1部分P1(B)が右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する電極ELBの第1部分P1(B)と電極ELCの第1部分P1(C)との間の距離は、「L−a」に狭まることになる。この結果、電極ELBの第1部分P1(B)と電極ELCの第1部分P1(C)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、大きくなる方向の変化となる。
一方、図5(b)に示すように、電極ELBの第2部分P2(B)と電極ELCの第2部分P2(C)との関係では、右側に配置されている電極ELCの第2部分P2(C)がさらに右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する電極ELBの第2部分P2(B)と電極ELCの第2部分P2(C)との間の距離は、「L+a」に広がることになる。この結果、電極ELBの第2部分P2(B)と電極ELCの第2部分P2(C)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、小さくなる方向の変化となる。
したがって、電極ELBと電極ELCの全体の容量を考えた場合、マスク間の位置ずれに起因する全体容量の変化は、電極ELBの第1部分P1(B)と電極ELCの第1部分P1(C)の間の容量の増加と、電極ELBの第2部分P2(B)と電極ELCの第2部分P2(C)の間の容量の減少によって、相殺されて低減される。この結果、本実施の形態1における容量素子CAP1によれば、マスク間の位置ずれに起因する電極ELBと電極ELCとの間の容量変動を小さくすることができ、これによって、半導体装置の特性変動を抑制することができる。
さらに、互いに隣り合う電極ELCと電極ELDに着目すると、図5(b)に示すように、電極ELCの第1部分P1(C)と電極ELDの第1部分P1(D)との関係では、右側に配置されている電極ELDの第1部分P1(D)がさらに右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する電極ELCの第1部分P1(C)と電極ELDの第1部分P1(D)との間の距離は、「L+a」に広がることになる。この結果、電極ELCの第1部分P1(C)と電極ELDの第1部分P1(D)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、小さくなる方向の変化となる。
一方、図5(b)に示すように、電極ELCの第2部分P2(C)と電極ELDの第2部分P2(D)との関係では、左側に配置されている電極ELCの第2部分P2(C)が右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する電極ELCの第2部分P2(C)と電極ELDの第2部分P2(D)との間の距離は、「L−a」に狭まることになる。この結果、電極ELCの第2部分P2(C)と電極ELDの第2部分P2(D)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する容量の変化は、大きくなる方向の変化となる。
したがって、電極ELCと電極ELDの全体の容量を考えた場合、マスク間の位置ずれに起因する全体容量の変化は、電極ELCの第1部分P1(C)と電極ELDの第1部分P1(D)の間の容量の減少と、電極ELCの第2部分P2(C)と電極ELDの第2部分P2(D)の間の容量の増加によって、相殺されて低減される。この結果、本実施の形態1における容量素子CAP1によれば、マスク間の位置ずれに起因する電極ELCと電極ELDとの間の容量変動を小さくすることができ、これによって、半導体装置の特性変動を抑制することができる。
以上のように、電極ELAと電極ELBで形成される容量の変動、電極ELBと電極ELCで形成される容量の変動、電極ELCと電極ELDで形成される容量の変動を低減することができるので、本実施の形態1によれば、マスク間の位置ずれに起因する特性変動の影響を低減した高精度な容量素子CAP1を提供することができる。特に、容量値の変動を効果的に抑制する観点からは、第1パターニングの面積と第2パターニングの面積を概ね等しくすることが望ましい。
次に、図5(a)および図5(b)に示す本実施の形態1における容量素子CAP1によれば、図1(a)および図1(b)に示す関連技術における容量素子CAP(R)に比べて、マスク間の位置ずれに起因する容量変動を抑制できる点について定量的な観点から説明する。
まず、図5(a)は、ダブルパターニング法において、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じない状態で、電極ELA〜ELDが形成された場合が示されている。この場合、電極ELAと電極ELBの間、電極ELBと電極ELCの間、および、電極ELCと電極ELDの間の間隔は、共に等しく、例えば、「L」となっている。したがって、電極ELAと電極ELBの間の容量、電極ELBと電極ELCの間の容量、および、電極ELCと電極ELDの間の容量は、共に等しく、例えば、それぞれの容量値を「C」とする。このとき、本実施の形態1における容量素子CAP1の容量値は、上述した3つの電極間容量が並列接続されていることになることから、「3C」(設計値)となる。
続いて、図5(b)は、第1パターニングで使用される第1マスクに対して、第2パターニングで使用される第2マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした状態で、電極ELA〜ELDが形成された場合を示す図である。図5(b)において、第1マスクに対して第2マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした結果、マスク間に位置ずれが存在する状態での容量素子CAP1の容量は、以下に示す(式3)のようになる。
1・C・L/(L−a)+1・C・L/(L+a)
+1/2・C・L/(L−a)+1/2・C・L/(L+a)
={1.5・C・L・(L+a)+1.5・C・L・(L−a)}/{(L+a)(L−a)}
=3・C・L・L/{(L+a)(L−a)} ・・・(式3)
したがって、マスク間に位置ずれがない場合との差分は、(式4)のようになる。
差分=3・C−(3・C・L・L)/{(L+a)(L−a)}
=−3・C・a・a/{(L+a)(L−a)} ・・・(式4)
以上のことから、ダブルパターニング法において、マスク間の位置ずれが存在する場合、本実施の形態1おける容量素子CAP1の容量値は、「3C」(設計値)から(式4)で示す差分だけ変動することになる。
ここで、関連技術における容量素子CAP(R)の容量変動は、(式2)で示されており、本実施の形態1における容量素子CAP1の容量変動は、(式4)で示されている。したがって、関連技術における容量素子CAP(R)容量変動と本実施の形態1における容量素子CAP1の容量変動の大小関係を比較するために、(式2)と(式4)の差分を取ると(式5)のようになる。
(式2)−(式4)=C・L・a/{(L+a)(L−a)} ・・・(式5)
つまり、関連技術における容量素子CAP(R)の容量変動は、本実施の形態1における容量素子CAP1の容量変動よりも、(式5)に示す量だけ大きくなる。言い換えれば、本実施の形態1における容量素子CAP1によれば、関連技術における容量素子CAP(R)の容量変動よりも(式5)に示す量だけ低減することができることになる。
したがって、本実施の形態1における容量素子CAP1によれば、ダブルパターニング法を使用しても、マスク間の位置ずれに起因する容量変動を小さくすることができ、これによって、高精度な容量素子CAP1を提供することができる。すなわち、本実施の形態1によれば、単一マスクを使用した微細加工技術の性能限界を超える微細化に対応できるというダブルパターニングの利点を維持しながら、マスクずれに起因する容量素子CAP1の特性変動を抑制して、高精度な容量素子CAP1を提供できる。
さらに、本実施の形態1における容量素子CAP1においても、例えば、図5(a)および図5(b)に示すように、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を連結部分CNP(A)で接続した構成から電極ELAを形成し、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を連結部分CNP(B)で接続した構成から電極ELBを形成している。同様に、本実施の形態1における容量素子CAP1においては、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を連結部分CNP(C)で接続した構成から電極ELCを形成し、第1部分P1(D)と第2部分P2(D)を連結部分CNP(D)で接続した構成から電極ELDを形成している。これにより、本実施の形態1によれば、マスク間の位置ずれに起因する容量変動を抑制することができるという利点を保持しながら、上述した連結部分CNP(A)〜CNP(D)を有する電極構造を採用することによって、電極ELA〜ELDのそれぞれにおいて、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
<変形例1>
次に、本変形例1における容量素子CAP2について説明する。図6は、本変形例1における容量素子CAP2の平面構成を示す図である。図6に示す本変形例1における容量素子CAP2の構成は、図5(a)に示す実施の形態1における容量素子CAP1とほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
図6において、本変形例1における容量素子CAP2では、例えば、電極ELAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する連結部分が、第2部分P2(A)と一体的に形成されている。同様に、本変形例1における容量素子CAP2では、電極ELBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する連結部分が、第2部分P2(B)と一体的に形成され、電極ELCの第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を接続する連結部分が、第2部分P2(C)と一体的に形成されている。また、電極ELDの第1部分P1(D)と第2部分P2(D)を接続する連結部分が、第2部分P2(D)と一体的に形成されている。この場合、電極ELA〜ELDのそれぞれにおいて、第1部分、第2部分および連結部分は、同一の層で形成されることになる。
このような変形例1の構成によれば、第2部分のパターニングによって、同時に連結部分も形成することができるため、ダブルパターニング法を使用しながらも、容量素子CAP2の製造工程を簡略化することができる。
なお、本変形例1では、連結部分と第2部分とを一体的に形成する例について説明したが、これに限らず、例えば、連結部分と第1部分とを一体的に形成するように構成することもできる。
<変形例2>
次に、本変形例2における容量素子CAP3について説明する。図7は、本変形例2における容量素子CAP3の平面構成を示す図である。図7に示す本変形例2における容量素子CAP3の構成は、図5(a)に示す実施の形態1における容量素子CAP1とほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
図7において、本変形例2における容量素子CAP3では、例えば、電極ELAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する連結部分が、第1部分P1(A)および第2部分P2(A)と異なる層で形成されている。同様に、本変形例2における容量素子CAP3では、電極ELBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する連結部分が、第1部分P1(B)および第2部分P2(B)と異なる層で形成され、電極ELCの第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を接続する連結部分が、第1部分P1(C)および第2部分P2(C)と異なる層で形成されている。また、電極ELDの第1部分P1(D)と第2部分P2(D)を接続する連結部分が、第1部分P1(D)および第2部分P2(D)と異なる層で形成されている。
この場合、例えば、電極ELA〜ELDのそれぞれにおいて、第1部分と第2部分とを接続する連結部分は、第1部分と第2部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、連結部分と第1部分の接続、および、連結部分と第2部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。
<変形例3>
続いて、本変形例3における容量素子CAP4について説明する。図8は、本変形例3における容量素子CAP4の構成を示す模式図である。図8に示すように、例えば、本変形例3における容量素子CAP4は、複数層にわたって容量が形成された3次元構造をしている。このような3次元構造をした容量素子CAP4においても、各層に形成される容量に実施の形態1における技術的思想を適用することができる。
具体的に、図8では、積層された3層のそれぞれに、実施の形態1の第1特徴点および第2特徴点を備えた容量が形成されており、積層配置された容量のそれぞれの一方の電極が共通のノードXと接続され、積層配置された容量のそれぞれの他方の電極が共通のノードYと接続されている。このように本実施の形態1における技術的思想は、一平面に形成された容量素子に限らず、図8に示すような3次元構造を有する容量素子CAP4にも適用することができる。
<変形例4>
次に、本変形例4における容量素子CAP5について説明する。図9は、本変形例4における容量素子CAP5の平面構成を示す図である。図9に示す本変形例4における容量素子CAP5の構成は、図5(a)に示す実施の形態1における容量素子CAP1とほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
図9において、以下では、特に、櫛形電極CSE1の一部を構成する電極ELAと、櫛形電極CSE2の一部を構成する電極ELBに着目して、本変形例4の特徴点について説明する。図9に示すように、電極ELAと電極ELBとは、互いに隣り合う位置に配置されており、互いに一定距離を維持しながら並行に延在している。
ここで、本変形例4の特徴点は、図9に示すように、電極ELAが、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)と第3部分P3(A)に分割され、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)が第1連結部分CNP1(A)で接続され、第2部分P2(A)と第3部分P3(A)が第2連結部分CNP2(A)で接続されている点にある。つまり、図5(a)に示す実施の形態1では、電極ELAが2つの部分に分割されて、分割された部分を接続する1つの連結部分を有するように構成されていた。これに対し、図9に示す本変形例4における容量素子CAP5では、電極ELAが3つの部分に分割されて、分割された部分を接続する2つの連結部分を有するように構成されている点が相違点である。
同様に、本変形例4では、図9に示すように、電極ELBも、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)と第3部分P3(B)に分割され、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)が第1連結部分CNP1(B)で接続され、第2部分P2(B)と第3部分P3(B)が第2連結部分CNP2(B)で接続されている。
このように構成されている本変形例4における容量素子CAP5においても、実施の形態1における第1特徴点が反映されている。すなわち、互いに隣り合う電極ELAと電極ELBに着目すると、電極ELAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)と第3部分P3(A)に分割され、かつ、電極ELAと隣り合う電極ELBも、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)と第3部分P3(A)に分割される。
そして、電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第2部分P2(B)と電極ELAの第3部分P3(A)を同じ第1マスクによる第1パターニングで形成する一方、電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第1部分P1(B)と電極ELBの第3部分P3(B)を同じ第2マスクによる第2パターニングで形成する。つまり、本変形例4でも、図9に示すように、互いに相対する電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第1部分P1(B)は、互いに異なるマスクによるパターニングで形成され、かつ、互いに相対する電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第2部分P2(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成されることになる。さらに、互いに相対する電極ELAの第3部分P3(A)と電極ELBの第3部分P3(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成される。
この結果、本変形例4においても、実施の形態1と同様に第1特徴点を有することから、マスク間の位置ずれに起因する特性変動の影響を低減した高精度な容量素子CAP5を提供することができる。特に、容量値の変動を効果的に抑制する観点からは、第1パターニングの面積と第2パターニングの面積を概ね等しくすることが望ましいことは、実施の形態1と同様である。
また、本変形例4においても、実施の形態1と同様に第2特徴点を有している。すなわち、本変形例4でも、例えば、図9に示すように、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を第1連結部分CNP1(A)で接続し、かつ、第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を第2連結部分CNP2(A)で接続した構成から電極ELAを形成している。同様に、本変形例4では、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を第1連結部分CNP1(B)で接続し、かつ、第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を第2連結部分CNP2(B)で接続した構成から電極ELBを形成している。
これにより、本変形例4によれば、第1連結部分と第2連結部分を有する電極構造を採用することによって、電極ELAと電極ELBのそれぞれにおいて、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や第2部分と第3部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
<変形例5>
続いて、本変形例5における容量素子CAP6について説明する。本変形例5における容量素子CAP6は、上述した変形例4の構成と変形例1の構成を組み合わせた構成に対応する。図10は、本変形例5における容量素子CAP6の平面構成を示す図である。
図10に示すように、本変形例5における容量素子CAP6も第1特徴点および第2特徴点を有していることから、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例5においても、マスク間の位置ずれに起因する特性変動の影響を低減した高精度な容量素子CAP6を提供することができるとともに、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や第2部分と第3部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、本変形例5では、例えば、電極ELAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する第1連結部分が、第1部分P1(A)と一体的に形成されているとともに、電極ELAの第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続する第2連結部分が、第2部分P2(A)と一体的に形成されている。同様に、本変形例5では、電極ELBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する第1連結部分が、第1部分P1(B)と一体的に形成されているとともに、電極ELBの第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を接続する第2連結部分が、第2部分P2(B)と一体的に形成されている。
したがって、本変形例5の構成によれば、第1部分のパターニングによって、同時に第1連結部分も形成することができ、かつ、第2部分のパターニングによって、同時に第2連結部分も形成することができるため、ダブルパターニング法を使用しながらも、容量素子CAP6の製造工程を簡略化することができる。
<変形例6>
次に、本変形例6における容量素子CAP7について説明する。本変形例6における容量素子CAP7は、上述した変形例4の構成と変形例2の構成を組み合わせた構成に対応する。図11は、本変形例6における容量素子CAP7の平面構成を示す図である。
図11に示すように、本変形例6における容量素子CAP7も第1特徴点および第2特徴点を有していることから、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例6においても、マスク間の位置ずれに起因する特性変動の影響を低減した高精度な容量素子CAP7を提供することができるとともに、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や第2部分と第3部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、本変形例6では、例えば、電極ELAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する第1連結部分CNP1(A)が、第1部分P1(A)や第2部分P2(A)と異なる層で形成されているとともに、電極ELAの第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続する第2連結部分CNP2(A)も、第2部分P2(A)や第3部分P3(A)と異なる層で形成されている。同様に、本変形例6では、電極ELBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する第1連結部分CNP1(B)が、第1部分P1(B)や第2部分P2(A)と異なる層で形成されているとともに、電極ELBの第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を接続する第2連結部分CNP2(B)が、第2部分P2(B)や第3部分P3(A)と異なる層で形成されている。
この場合、例えば、電極ELAと電極ELBのそれぞれにおいて、第1部分と第2部分とを接続する第1連結部分は、第1部分と第2部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、第1連結部分と第1部分の接続、および、第1連結部分と第2部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。同様に、第2部分と第3部分とを接続する第2連結部分は、第2部分と第3部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、第2連結部分と第2部分の接続、および、第2連結部分と第3部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。
<変形例7>
続いて、本変形例7における容量素子CAP8について説明する。図12は、本変形例7における容量素子CAP8の平面構成を示す図である。図12に示す本変形例7における容量素子CAP8の構成は、図5(a)に示す実施の形態1における容量素子CAP1とほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
図12において、以下では、特に、櫛形電極CSE1の一部を構成する電極ELAと、櫛形電極CSE2の一部を構成する電極ELBに着目して、本変形例7の特徴点について説明する。図12に示すように、電極ELAと電極ELBとは、互いに隣り合う位置に配置されており、互いに一定距離を維持しながら並行に延在している。
ここで、本変形例7では、図12に示すように、電極ELAが、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)と第3部分P3(A)と第4部分P4(A)に分割されている。そして、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)が第1連結部分CNP1(A)で接続され、第2部分P2(A)と第3部分P3(A)が第2連結部分CNP2(A)で接続され、第3部分P3(A)と第4部分P4(A)が第3連結部分CNP3で接続されている。
つまり、図5(a)に示す実施の形態1では、電極ELAが2つの部分に分割されて、分割された部分を接続する1つの連結部分を有するように構成されていた。これに対し、図12に示す本変形例7における容量素子CAP8では、電極ELAが4つの部分に分割されて、分割された部分を接続する3つの連結部分を有するように構成されている点が相違点である。
同様に、本変形例7では、図12に示すように、電極ELBも、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)と第3部分P3(B)と第4部分P4(B)に分割されている。そして、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)が第1連結部分CNP1(B)で接続され、第2部分P2(B)と第3部分P3(B)が第2連結部分CNP2(B)で接続され、第3部分P3(B)と第4部分P4(B)が第3連結部分CNP3で接続されている。
このように構成されている本変形例7における容量素子CAP8においても、実施の形態1における第1特徴点が反映されている。すなわち、互いに隣り合う電極ELAと電極ELBに着目すると、電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELAの第3部分P3(A)と電極ELBの第2部分P2(B)と電極ELBの第4部分P4(B)を同じ第1マスクによる第1パターニングで形成する。一方、電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELAの第4部分P4(A)と電極ELBの第1部分P1(B)と電極ELBの第3部分P3(B)を同じ第2マスクによる第2パターニングで形成する。つまり、本変形例7でも、図12に示すように、互いに相対する電極ELAの第1部分P1(A)と電極ELBの第1部分P1(B)は、互いに異なるマスクによるパターニングで形成され、かつ、互いに相対する電極ELAの第2部分P2(A)と電極ELBの第2部分P2(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成されることになる。さらに、互いに相対する電極ELAの第3部分P3(A)と電極ELBの第3部分P3(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成され、互いに相対する電極ELAの第4部分P4(A)と電極ELBの第4部分P4(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成される。
この結果、本変形例7においても、実施の形態1と同様に第1特徴点を有することから、マスク間の位置ずれに起因する特性変動の影響を低減した高精度な容量素子CAP8を提供することができる。特に、容量値の変動を効果的に抑制する観点からは、第1パターニングの面積と第2パターニングの面積を概ね等しくすることが望ましいことは、実施の形態1と同様である。
また、本変形例7においても、実施の形態1と同様に第2特徴点を有している。すなわち、本変形例7でも、例えば、図12に示すように、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を第1連結部分CNP1(A)で接続し、かつ、第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を第2連結部分CNP2(A)で接続し、第3部分P3(A)と第4部分P4(A)を第3連結部分CNP3(A)で接続した構成から電極ELAを形成している。同様に、本変形例7では、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を第1連結部分CNP1(B)で接続し、かつ、第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を第2連結部分CNP2(B)で接続し、第3部分P3(B)と第4部分P4(B)を第3連結部分CNP3(B)で接続した構成から電極ELBを形成している。
これにより、本変形例7によれば、第1連結部分と第2連結部分と第3連結部分を有する電極構造を採用することによって、電極ELAと電極ELBのそれぞれにおいて、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や、第2部分と第3部分の接続信頼性の低下や、第3部分と第4部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
<変形例8>
次に、本変形例8における容量素子CAP9について説明する。本変形例8における容量素子CAP9は、上述した変形例7の構成と変形例1の構成を組み合わせた構成に対応する。図13は、本変形例8における容量素子CAP9の平面構成を示す図である。
図13に示すように、本変形例8における容量素子CAP9も第1特徴点および第2特徴点を有していることから、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例8においても、マスク間の位置ずれに起因する特性変動の影響を低減した高精度な容量素子CAP9を提供することができるとともに、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や、第2部分と第3部分の接続信頼性の低下や、第3部分と第4部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、本変形例8では、例えば、電極ELAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する第1連結部分が、第1部分P1(A)と一体的に形成されているとともに、電極ELAの第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続する第2連結部分が、第2部分P2(A)と一体的に形成されている。また、電極ELAの第3部分P3(A)と第4部分P4(A)を接続する第3連結部分が、第3部分P3(A)と一体的に形成されている。
同様に、本変形例8では、電極ELBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する第1連結部分が、第1部分P1(B)と一体的に形成されているとともに、電極ELBの第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を接続する第2連結部分が、第2部分P2(B)と一体的に形成されている。また、電極ELBの第3部分P3(B)と第4部分P4(B)を接続する第3連結部分が、第3部分P3(B)と一体的に形成されている。
したがって、本変形例8の構成によれば、第1部分のパターニングによって、同時に第1連結部分および第3連結部分も形成することができ、かつ、第2部分のパターニングによって、同時に第2連結部分も形成することができるため、ダブルパターニング法を使用しながらも、容量素子CAP9の製造工程を簡略化することができる。
<変形例9>
続いて、本変形例9における容量素子CAP10について説明する。本変形例9における容量素子CAP10は、上述した変形例7の構成と変形例2の構成を組み合わせた構成に対応する。図14は、本変形例9における容量素子CAP10の平面構成を示す図である。図14に示すように、本変形例9における容量素子CAP10も第1特徴点および第2特徴点を有していることから、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例9においても、マスク間の位置ずれに起因する特性変動の影響を低減した高精度な容量素子CAP10を提供することができるとともに、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や、第2部分と第3部分の接続信頼性の低下や、第3部分と第4部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、本変形例9では、例えば、電極ELAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する第1連結部分CNP1(A)が、第1部分P1(A)や第2部分P2(A)と異なる層で形成されているとともに、電極ELAの第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続する第2連結部分CNP2(A)も、第2部分P2(A)や第3部分P3(A)と異なる層で形成されている。また、電極ELAの第3部分P3(A)と第4部分P4(A)を接続する第3連結部分CNP3(A)が、第3部分P3(A)や第4部分P4(A)と異なる層で形成されている。
同様に、本変形例9では、電極ELBの第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する第1連結部分CNP1(B)が、第1部分P1(B)や第2部分P2(A)と異なる層で形成されているとともに、電極ELBの第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を接続する第2連結部分CNP2(B)が、第2部分P2(B)や第3部分P3(A)と異なる層で形成されている。また、電極ELBの第3部分P3(B)と第4部分P4(B)を接続する第3連結部分CNP3(B)が、第3部分P3(B)や第4部分P4(B)と異なる層で形成されている。
この場合、例えば、電極ELAと電極ELBのそれぞれにおいて、第1部分と第2部分とを接続する第1連結部分は、第1部分と第2部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、第1連結部分と第1部分の接続、および、第1連結部分と第2部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。同様に、第2部分と第3部分とを接続する第2連結部分は、第2部分と第3部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、第2連結部分と第2部分の接続、および、第2連結部分と第3部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。また、第3部分と第4部分とを接続する第3連結部分は、第3部分と第4部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、第3連結部分と第3部分の接続、および、第3連結部分と第4部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。
(実施の形態2)
<配線への基本思想の適用の有用性>
前記実施の形態1では、基本思想を導体パターンから構成される容量素子に適用する例について説明したが、本実施の形態2では、基本思想を導体パターンから構成される配線に適用する例について説明する。
例えば、ダブルパターニング法は、現状の微細加工技術の性能限界を超える微細化に対応できる利点があるため、単一マスクでの微細加工技術では加工が困難な微細な配線の形成にも対応することができる。その一方で、ダブルパターニング法では、マスク間の位置ずれが発生する可能性があるため、このマスク間の位置ずれによって、配線間の距離が設計値からずれることが考えられる。この場合、配線間の寄生容量が変動することになる。
このように配線間の寄生容量が変動すると、配線を伝達する信号の遅延時間が変動することを意味する。したがって、配線を伝達する信号の種類として、デジタル信号を考えると、デジタル信号では、信号間のタイミング制御が重要になってくる。このため、配線間の寄生容量が変動すると、デジタル信号の遅延時間も変動することになり、デジタル信号間のタイミングがずれることが想定される。この場合、デジタル回路が正常に動作しなくなる可能性も考えられる。したがって、半導体装置の動作信頼性を向上する観点から、マスク間の位置ずれに起因する配線間の寄生容量の変動をできるだけ低減する必要がある。
そこで、導体パターンから構成される配線の形成にも、前記実施の形態1で説明した基本思想を適用することが有用である。以下に、この点について説明する。
<配線への基本思想の適用例>
図15(a)は、本実施の形態2における配線群の平面構成を示す図である。図15(a)において、本実施の形態2における配線群は、配線LAと配線LBと配線LCを備えている。このとき、配線LAと配線LBと配線LCは、互いに並行するように配置されており、配線LAと配線LBとの間の距離、および、配線LBと配線LCの間の距離は、共に「L」となっている。
そして、配線LAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を有し、さらに、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する第1連結部分CNP1(A)と、第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続する第2連結部分CNP2(A)を有している。ここで、配線LAの第1部分P1(A)は、y方向に延在するように配置され、かつ、配線LAの第2部分P2(A)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(A)からずれて配置されている。さらに、配線LAの第3部分P3(A)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第2部分P2(A)からずれて配置されている。そして、第1連結部分CNP1(A)は、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続しながら、x方向に延在するように配置されており、第2連結部分CNP2(A)は、第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
同様に、配線LBは、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を有し、さらに、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続する第1連結部分CNP1(B)と、第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を接続する第2連結部分CNP2(B)を有している。ここで、配線LBの第1部分P1(B)は、y方向に延在するように配置され、かつ、配線LBの第2部分P2(B)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(B)からずれて配置されている。さらに、配線LBの第3部分P3(B)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第2部分P2(B)からずれて配置されている。そして、第1連結部分CNP1(B)は、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)を接続しながら、x方向に延在するように配置されており、第2連結部分CNP2(B)は、第2部分P2(B)と第3部分P3(B)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
また、配線LCは、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)と第3部分P3(C)を有し、さらに、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を接続する第1連結部分CNP1(C)と、第2部分P2(C)と第3部分P3(C)を接続する第2連結部分CNP2(C)を有している。ここで、配線LCの第1部分P1(C)は、y方向に延在するように配置され、かつ、配線LCの第2部分P2(C)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第1部分P1(C)からずれて配置されている。さらに、配線LCの第3部分P3(C)は、y方向に延在するとともに、y方向と直交するx方向に第2部分P2(C)からずれて配置されている。そして、第1連結部分CNP1(C)は、第1部分P1(C)と第2部分P2(C)を接続しながら、x方向に延在するように配置されており、第2連結部分CNP2(C)は、第2部分P2(C)と第3部分P3(C)を接続しながら、x方向に延在するように配置されている。
本実施の形態2における配線群において、互いに隣り合う配線LAと配線LBに着目すると、配線LAは、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)と第3部分P3(A)とに分割され、かつ、配線LAと隣り合う配線LBも、第1部分P1(B)と第2部分P2(B)と第3部分P3(B)とに分割される。そして、配線LAの第1部分P1(A)と配線LAの第3部分P3(A)と配線LBの第2部分P2(B)を同じ第1マスクによる第1パターニングで形成する。一方、配線LAの第2部分P2(A)と配線LBの第1部分P1(B)と配線LBの第3部分P3(B)を同じ第2マスクによる第2パターニングで形成する。すなわち、図15(a)に示すように、互いに相対する配線LAの第1部分P1(A)と配線LBの第1部分P1(B)は、互いに異なるマスクによるパターニングで形成され、かつ、互いに相対する配線LAの第2部分P2(A)と配線LBの第2部分P2(B)も、互いに異なるマスクによるパターニングで形成されることになる。同様に、互いに相対する配線LAの第3部分P3(A)と配線LBの第3部分P3(B)は、互いに異なるマスクによるパターニングで形成される。
これにより、本実施の形態2における配線群によれば、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じた場合でも、寄生容量値の変動を抑制することができる。
例えば、図15(b)に示すように、第1パターニングで使用される第1マスクの位置が、第2パターニングで使用される第2マスクの位置に対して、「a」だけx方向(右側)にずれたとする。
この場合、互いに隣り合う配線LAと配線LBに着目すると、図15(b)に示すように、配線LAの第1部分P1(A)と配線LBの第1部分P1(B)との関係では、左側に配置されている配線LAの第1部分P1(A)が右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する配線LAの第1部分P1(A)と配線LBの第1部分P1(B)との間の距離は、「L−a」に狭まることになる。この結果、配線LAの第1部分P1(A)と配線LBの第1部分P1(B)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量の変化は、大きくなる方向の変化となる。
一方、図15(b)に示すように、配線LAの第2部分P2(A)と配線LBの第2部分P2(B)との関係では、右側に配置されている配線LBの第2部分P2(B)が右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する配線LAの第2部分P2(A)と配線LBの第2部分P2(B)との間の距離は、「L+a」に広がることになる。この結果、配線LAの第2部分P2(A)と配線LBの第2部分P2(B)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量の変化は、小さくなる方向の変化となる。
また、図15(b)に示すように、配線LAの第3部分P3(A)と配線LBの第3部分P3(B)との関係では、左側に配置されている配線LAの第3部分P3(A)が右側にシフトすることになり、これによって、互いに相対する配線LAの第3部分P3(A)と配線LBの第3部分P3(B)との間の距離は、「L−a」に狭まることになる。この結果、配線LAの第3部分P3(A)と配線LBの第3部分P3(B)との間の関係では、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量の変化は、大きくなる方向の変化となる。
したがって、配線LAと配線LBの全体の寄生容量を考えた場合、マスク間の位置ずれに起因する全体容量の変化は、配線LAの第1部分P1(A)と配線LBの第1部分P1(B)の間の寄生容量の増加と、配線LAの第2部分P2(A)と配線LBの第2部分P2(B)の間の寄生容量の減少と、配線LAの第3部分P3(A)と配線LBの第3部分P3(B)の間の寄生容量の増加によって、相殺されて低減される。この結果、本実施の形態2における配線群によれば、マスク間の位置ずれに起因する配線LAと配線LBとの間の寄生容量変動を小さくすることができ、これによって、半導体装置の特性変動を抑制することができる。なお、ここでは、配線LAと配線LBに着目して説明したが、配線LBと配線LCとの関係においても同様に考えることができる。
以上のように、配線LAと配線LBで形成される寄生容量の変動、配線LBと配線LCで形成される寄生容量の変動を低減することができるので、本実施の形態2によれば、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量変動の影響を低減した配線群を形成することができる。特に、寄生容量値の変動を効果的に抑制する観点からは、第1パターニングの面積と第2パターニングの面積を概ね等しくすることが望ましい。
続いて、図15(a)および図15(b)に示す本実施の形態2における配線群によれば、関連技術における配線群に比べて、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量変動を抑制できる点について定量的な観点から説明する。
まず、図15(a)は、ダブルパターニング法において、第1パターニングで使用される第1マスクと、第2パターニングで使用される第2マスクの間に位置ずれが生じない状態で、配線LAと配線LBと配線LCが形成された場合が示されている。この場合、配線LAと配線LBの間、配線LBと配線LCの間の間隔は、共に等しく、例えば、「L」となっている。ここで、配線LBと配線LCに着目して、配線LBと配線LCとの間の寄生容量値を「C」とする。
次に、図15(b)は、第2パターニングで使用される第2マスクに対して、第1パターニングで使用される第1マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした状態で、配線LAと配線LBと配線LCが形成された場合を示す図である。図15(b)において、配線LBと配線LCに着目すると、第2マスクに対して第1マスクがx方向に「a」だけ位置ずれを起こした結果、マスク間に位置ずれが存在する状態での配線LBと配線LCとの間の寄生容量は、概ね以下に示す(式6)のようになる。
1/2・C・L/(L−a)+1/2・C・L/(L+a) ・・・(式6)
したがって、マスク間に位置ずれがない場合との差分は、(式7)のようになる。
差分=C−{1/2・C・L/(L−a)+1/2・C・L/(L+a)}
=−C・a・a/{(L+a)(L−a)} ・・・(式7)
以上のことから、ダブルパターニング法において、マスク間の位置ずれが存在する場合、本実施の形態2おける配線LBと配線LCとの間の寄生容量値は、「C」から(式7)で示す差分だけ変動することになる。
ここで、関連技術として、直線形状の配線LBの全体と直線形状の配線LCの全体を別マスクで形成する技術を考える。この場合、関連技術において、x方向に「a」だけ配線LBを形成するマスクが位置ずれを起こしたとすると、マスク間に位置ずれが存在する状態での配線LBと配線LCとの間の寄生容量は、以下に示す(式8)のようになる。
C・L/(L−a) ・・・(式8)
したがって、関連技術において、マスク間に位置ずれがない場合との差分は、(式9)のようになる。
差分=C−C・L/(L−a)
=(−C・a・a−C・L・a)/{(L+a)(L−a)} ・・・(式9)
したがって、(式7)と(式9)からわかるように、本実施の形態2では、(式7)の分子に「a」の一次項が含まれておらず、「a」の二次項だけが含まれている一方、関連技術では、(式9)の分子に「a」の二次項だけでなく、「a」の一次項も含まれている。ここで、「a」が微小量であることを考慮すれば、「a」の二次項は、「a」の一次項に比べて無視できる程度に小さくなる。このため、本実施の形態2の寄生容量は、関連技術の寄生容量よりも小さくすることができるのである。
つまり、本実施の形態2における配線群によれば、ダブルパターニング法を使用しても、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量変動を小さくすることができる。すなわち、本実施の形態2によれば、単一マスクを使用した微細加工技術の性能限界を超える微細化に対応できるというダブルパターニングの利点を維持しながら、マスクずれに起因する配線群の寄生容量変動を抑制して、半導体装置の動作信頼性を向上できるのである。
さらに、本実施の形態2における配線群においても、例えば、配線LAに着目すると、図15(a)および図15(b)に示すように、第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を第1連結部分CNP1(A)で接続し、かつ、第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を第2連結部分CNP2(A)で接続した構成から配線LAを形成している。
これにより、本実施の形態2によれば、マスク間の位置ずれに起因する容量変動を抑制することができるという利点を保持しながら、上述した第1連結部分CNP1(A)および第2連結部分CNP2(A)を有する配線構造を採用することによって、配線LA〜配線LCのそれぞれにおいて、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
<変形例1>
次に、実施の形態2の変形例1における配線群について説明する。本変形例1における配線群は、上述した実施の形態2の構成と前記実施の形態1の変形例1の構成を組み合わせた構成に対応する。
図16は、本変形例1における配線群の平面構成を示す図である。図16に示すように、本変形例1における配線群も、実施の形態2と同様の特徴点を有していることから、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例1においても、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量変動を抑制した配線群を提供することができるとともに、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や、第2部分と第3部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、本変形例1では、配線LAに着目すると、例えば、配線LAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する第1連結部分が、第1部分P1(A)と一体的に形成されているとともに、配線LAの第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続する第2連結部分が、第3部分P3(A)と一体的に形成されている。また、配線LBおよび配線LCについても配線LAと同様の構成をしている。
したがって、本変形例1の構成によれば、ダブルパターニング法を使用しながらも、配線群の製造工程を簡略化することができる。
<変形例2>
続いて、実施の形態2の変形例2における配線群について説明する。本変形例2における配線群は、上述した実施の形態2の構成と前記実施の形態1の変形例2の構成を組み合わせた構成に対応する。
図17は、本変形例2における配線群の平面構成を示す図である。図17に示すように、本変形例2における配線群も、実施の形態2と同様の特徴点を有していることから、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例2においても、マスク間の位置ずれに起因する寄生容量変動を抑制した配線群を提供することができるとともに、マスク間の位置ずれに起因する第1部分と第2部分の接続信頼性の低下や、第2部分と第3部分の接続信頼性の低下を抑制することができる。
さらに、本変形例2では、配線LAに着目すると、例えば、配線LAの第1部分P1(A)と第2部分P2(A)を接続する第1連結部分CNP1(A)が、第1部分P1(A)や第2部分P2(A)と異なる層で形成されているとともに、配線LAの第2部分P2(A)と第3部分P3(A)を接続する第2連結部分CNP2(A)も、第2部分P2(A)や第3部分P3(A)と異なる層で形成されている。また、配線LBおよび配線LCについても配線LAと同様の構成をしている。
この場合、例えば、配線LAにおいて、第1部分と第2部分とを接続する第1連結部分は、第1部分と第2部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、第1連結部分と第1部分の接続、および、第1連結部分と第2部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。同様に、第2部分と第3部分とを接続する第2連結部分は、第2部分と第3部分が形成されている層の上層の層や下層の層に形成され、第2連結部分と第2部分の接続、および、第2連結部分と第3部分の接続は、例えば、プラグを介して行われることになる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。