JP2017173076A - 状態監視システム及びそれを備える風力発電装置 - Google Patents

状態監視システム及びそれを備える風力発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】風力発電装置の状態を監視する状態監視システムにおいて、ノイズが十分に低減された振動測定データを得る。【解決手段】第1振動センサ110は、軸受60の振動を測定する。第2振動センサ120は、第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを測定するためのものであり、軸受60の振動を受けないように設置される。データ収集装置80は、第1振動センサ110の測定信号である第1の信号及び第2振動センサ120の測定信号である第2の信号を受け、第1の信号から第2の信号を差引くことによって得られる第3の信号を軸受60の振動を示すデータとして出力する。【選択図】図2

Description

この発明は、風力発電装置の状態を監視する状態監視システム、及びそれを備える風力発電装置に関する。
風力発電装置において、主軸の軸受や増速機等の機械体の振動を振動センサによって測定し、当該機械体の状態を監視する状態監視システム(CMS:Condition Monitoring System)が知られている。
たとえば、特開2011−154020号公報(特許文献1)には、そのような状態監視システムについて、風力発電装置に設けられる軸受の異常を診断する異常診断装置が記載されている。この異常診断装置では、振動センサを用いて軸受の振動波形が測定される。そして、測定された振動波形の実効値が算出されるとともに、測定された振動波形にエンベロープ処理を行なうことによって振動波形のエンベロープ波形が生成され、振動波形の実効値と、エンベロープ波形の交流成分の実効値とに基づいて軸受の異常が診断される。この異常診断装置によれば、正確な異常診断を実現することができる(特許文献1参照)。
特開2011−154020号公報
風力発電装置には、発電機によって発電された電力を変換するためのインバータや、電力の通電及び遮断を切替える電磁接触器、各種油圧ポンプ等が設けられており、これらの機器から生じるノイズ(主に電磁ノイズ)が振動センサの出力信号に重畳する。また、風力発電装置は、一般的に屋外の高所に設置されるので、時々刻々と変動する種々の電波等もノイズとして受ける。ノイズを含む振動データでは、監視対象の機械体の状態や損傷等を正確に推定したり予知したりすることは難しい。
従来より、振動センサの出力信号に対して各種フィルタ(ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ等)をハード的又はソフト的に設けることによって、ノイズ成分を含む特定の周波数帯域の信号を減衰させることが行なわれている。しかしながら、屋外の高所に設置される風力発電装置においては、受け得るノイズも様々であり、特定の周波数帯域の信号を減衰させるフィルタだけでは、ノイズを十分に除去することは難しい。
この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、風力発電装置の状態を監視する状態監視システムにおいて、ノイズが十分に低減された振動測定データを得ることである。
この発明によれば、状態監視システムは、風力発電装置の状態を監視する状態監視システムであって、第1及び第2の振動センサと、制御装置とを備える。第1の振動センサは、風力発電装置において振動源となる機械体に設置され、機械体の振動を測定する。第2の振動センサは、第1の振動センサが受けるノイズ(バックグラウンドノイズ)を測定するためのものであり、風力発電装置において機械体の振動を受けないように設置される。制御装置は、第1の振動センサの測定信号である第1の信号及び第2の振動センサの測定信号である第2の信号を受け、第1の信号から第2の信号を差引くことによって得られる第3の信号を機械体の振動を示すデータとして出力する第1の処理を含む。
好ましくは、制御装置は、第2の信号の大きさが、ノイズが過大であることを示す第1の所定値以上である場合に、第1の処理を非実行とし、第2の信号の大きさが第1の所定値よりも小さい場合に、第1の処理を実行する。
好ましくは、制御装置は、第2の信号の大きさが、ノイズが微小であることを示す第2の所定値よりも小さい場合に、第1の信号を機械体の振動を示すデータとして出力する第2の処理をさらに含む。そして、制御装置は、第2の信号の大きさが第2の所定値以上の場合には、第1の処理を実行する。
さらに好ましくは、制御装置は、第2の信号の大きさが、ノイズが過大であることを示す第3の所定値以上である場合に、第1及び第2の処理を非実行とする。
また、この発明によれば、風力発電装置は、上述したいずれかの状態監視システムを備える。
この発明においては、機械体の振動を測定する第1の振動センサが受けるノイズ(バックグラウンドノイズ)を測定するための第2の振動センサが設けられる。そして、第1の振動センサの測定信号である第1の信号から、第2の振動センサの測定信号である第2の信号を差引くことによって得られる第3の信号が、機械体の振動を示すデータとして出力される。これにより、第1の振動センサが受けるノイズ(バックグラウンドノイズ)を含まない振動測定データを得ることができる。したがって、この発明によれば、風力発電装置の状態を監視する状態監視システムにおいて、ノイズが十分に低減された振動測定データを得ることができる。
この発明の実施の形態1に従う状態監視システムが適用される風力発電装置の構成を概略的に示した図である。 振動検出部の構成を示した図である。 データ処理装置の構成を機能的に示す機能ブロック図である。 データ処理装置により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。 実施の形態2におけるデータ処理装置により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。 実施の形態3におけるデータ処理装置により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。 実施の形態4におけるデータ処理装置により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。 変形例における振動検出部の構成を示した図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付して、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に従う状態監視システムが適用される風力発電装置の構成を概略的に示した図である。図1を参照して、風力発電装置10は、主軸20と、ブレード30と、増速機40と、発電機50と、制御盤52と、送電線54とを備える。また、風力発電装置10は、主軸用軸受(以下、単に「軸受」と称する。)60と、振動検出部70と、データ処理装置80とをさらに備える。増速機40、発電機50、制御盤52、軸受60、振動検出部70及びデータ処理装置80は、ナセル90に格納され、ナセル90は、タワー100によって支持される。
主軸20は、ナセル90内に進入して増速機40の入力軸に接続され、軸受60によって回転自在に支持される。そして、主軸20は、風力を受けたブレード30により発生する回転トルクを増速機40の入力軸へ伝達する。ブレード30は、主軸20の先端に設けられ、風力を回転トルクに変換して主軸20に伝達する。
軸受60は、ナセル90内において固設され、主軸20を回転自在に支持する。軸受60は、転がり軸受によって構成され、たとえば、自動調芯ころ軸受や円すいころ軸受、円筒ころ軸受、玉軸受等によって構成される。なお、これらの軸受は、単列のものでも複列のものでもよい。
振動検出部70は、軸受60に設置される。振動検出部70は、軸受60に固設される振動センサによって軸受60の振動を検出するとともに、その振動センサが受けるバックグラウンドノイズを検出し、軸受60の振動及びバックグラウンドノイズの各検出値をデータ処理装置80へ出力する。振動検出部70の具体的な構成については、後ほど詳しく説明する。
増速機40は、主軸20と発電機50との間に設けられ、主軸20の回転速度を増速して発電機50へ出力する。一例として、増速機40は、遊星ギヤや中間軸、高速軸等を含む歯車増速機構によって構成される。発電機50は、増速機40の出力軸に接続され、増速機40から受ける回転トルクによって発電する。発電機50は、たとえば、誘導発電機によって構成される。
制御盤52は、インバータ及び電磁接触器を含んで構成される(いずれも図示せず)。インバータは、発電機50による発電電力を系統の電圧及び周波数に変換し、系統に接続される送電線54へ出力する。電磁接触器は、インバータと送電線54との間に接続され、インバータから出力される電力の通電及び遮断を切替える。インバータは、スイッチング操作に伴ないノイズ(電磁ノイズ)を発生し、電磁接触器は、電力の通電/遮断の切替時にノイズ(電磁ノイズ)を発生する。すなわち、このインバータ及び電磁接触器は、振動検出部70に設けられる振動センサに対してノイズ源となるものである。
データ処理装置80は、CPU(Central Processing Unit)、処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含む(いずれも図示せず)。データ処理装置80は、軸受60の振動及びバックグラウンドノイズの各検出値を振動検出部70から受け、ROMに記憶されたプログラムに従って、後述の方法によるデータ処理を実行する。なお、データ処理装置80により実行される処理については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
この風力発電装置10においては、振動検出部70において軸受60の振動が検出され、データ処理装置80においてノイズを除去するための処理が実行される。そして、ノイズが除去された振動測定データが外部のサーバ(図示せず)へ送信され、サーバにおいて振動解析が行なわれる。
ここで、制御盤52に含まれるインバータ及び電磁接触器や、図示しない種々の油圧ポンプ(たとえば、主軸20のブレーキ用の油圧ポンプや、ブレード30のピッチ角変更用の油圧ポンプ等)等は、振動検出部70に対してノイズ源(電磁ノイズ源)となり、これらの機器から生じるノイズが振動検出部70の出力信号に重畳する。また、風力発電装置10は、屋外の高所に設置されるので、時々刻々と変動する種々の電波等もノイズとして受ける。振動測定データがこのようなノイズを含む場合、監視対象の軸受60の状態や損傷等を正確に推定したり予知したりすることは難しい。
従来より、振動センサの出力信号に対して各種フィルタ(ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ)をハード的又はソフト的に設けることによって、ノイズ成分を含む特定の周波数帯域の信号を減衰させることが行なわれている。しかしながら、屋外の高所に設置される風力発電装置10においては、受け得るノイズも様々であり、特定の周波数帯域の信号を減衰させるフィルタだけでは、ノイズを十分に除去することは難しい。
そこで、この実施の形態1に従う状態監視システムでは、振動検出部70において、軸受60の振動を測定する振動センサ(第1振動センサ)とともに、第1振動センサが受けるバックグラウンドノイズを測定するための振動センサ(第2振動センサ)が設けられる。そして、第1振動センサの測定信号である第1の信号から、第2振動センサの測定信号である第2の信号を差引くことによって得られる第3の信号が、軸受60の振動を示すデータ(振動測定データ)として出力される。これにより、第1振動センサが受けるバックグラウンドノイズを含まない振動測定データを得ることができる。
図2は、振動検出部70の構成を示した図である。図2を参照して、振動検出部70は、第1振動センサ110と、第2振動センサ120と、金属ベース114と、固定部材130,132とを含む。
第1振動センサ110は、金属ベース114を介して軸受60に設置される。そして、第1振動センサ110は、金属ベース114を介して軸受60の振動を検出し、その検出値を信号線112を通じてデータ処理装置80へ出力する。第1振動センサ110は、たとえば、圧電素子を用いた加速度センサによって構成される。なお、金属ベース114は、第1振動センサ110の設置面を確保するためのものであり、第1振動センサ110を軸受60の表面にしっかりと密着させて設置できるときは、金属ベース114は省略可能である。
第2振動センサ120は、第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを測定するためのセンサである。第2振動センサ120は、軸受60の振動を受けないように軸受60から離隔して設けられる。第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを第2振動センサ120によってできるだけ精度よく検出するために、第2振動センサ120は、第1振動センサ110と同じものを採用し、かつ、第1振動センサ110の近傍に配置するのが好ましい。この実施の形態1では、第2振動センサ120は、インシュロック等の固定部材130,132を用いて第1振動センサ110に固定される。そして、第2振動センサ120は、信号線122を通じて検出信号をデータ処理装置80へ出力する。
図3は、データ処理装置80の構成を機能的に示す機能ブロック図である。図3を参照して、データ処理装置80は、フィルタ部210,220と、データ処理部230と、送信部240とを含む。
フィルタ部210は、第1振動センサ110の検出信号を受け、その受けた検出信号について、予め定められた特定の周波数帯域の成分を通過させ、その他の周波数帯域の成分を減衰させる。フィルタ部220は、第2振動センサ120の検出信号を受け、その受けた検出信号について、予め定められた特定の周波数帯域の成分を通過させ、その他の周波数帯域の成分を減衰させる。一例として、フィルタ部210,220は、予め定められた周波数よりも高い信号成分を通過させ、低周波成分を遮断するハイパスフィルタを含んで構成される。なお、ノイズ低減効果を有するフィルタ部210,220を設けることは好ましいが、フィルタ部210,220は、この発明においては必須の要素ではない。
データ処理部230は、フィルタ部210の出力信号(以下「測定信号A」と称する。)及びフィルタ部220の出力信号(以下「測定信号B」と称する。)を受ける。すなわち、測定信号Aは、軸受60の振動を検出する第1振動センサ110の測定信号であり、測定信号Bは、バックグラウンドノイズを測定する第2振動センサ120の測定信号である。そして、データ処理部230は、測定信号Aから測定信号Bを差引くことによって、軸受60の振動解析を行なうための振動測定データCを算出し、算出された振動測定データCを送信部240へ出力する。
送信部240は、データ処理部230から受ける振動測定データCを、地上に設けられる状態解析用のサーバ(図示せず)へ無線により送信する。これにより、サーバにおいて、振動測定データCに基づいて軸受60の振動解析を行なうことができる。なお、特に図示しないが、振動測定データCに基づく軸受60の振動解析は、このデータ処理装置80において行なってもよい。
図4は、データ処理装置80により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図4を参照して、データ処理装置80は、第1振動センサ110の測定信号A、及び第2振動センサ120の測定信号Bを取得する(ステップS10)。次いで、データ処理装置80は、第1振動センサ110の測定信号Aから第2振動センサ120の測定信号Bを差引くことによって振動測定データCを算出する(ステップS20)。これにより、軸受60の振動を測定する第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを含まない振動測定データCが得られる。そして、データ処理装置80は、算出された振動測定データCを外部のサーバ(振動解析用サーバ)へ送信する(ステップS30)。
以上のように、この実施の形態1においては、軸受60の振動を測定する第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを測定するための第2振動センサ120が設けられる。そして、第1振動センサ110の測定信号Aから、第2振動センサ120の測定信号Bを差引くことによって得られる信号が、軸受60の振動を示す振動測定データCとして出力される。これにより、第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを含まない振動測定データを得ることができる。したがって、この実施の形態1によれば、ノイズが十分に低減された振動測定データを得ることができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、理論的には、第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを含まない振動測定データを得ることができるが、実際には、第1振動センサ110と第2振動センサ120との性能誤差や設置状況等により完全にノイズを除去することは難しい。この実施の形態2では、第2振動センサ120によって検出されるバックグラウンドノイズが過大である場合には、振動測定データCの算出及びサーバへの送信が非実施とされる。
この実施の形態2における風力発電装置10の全体構成は、図1に示した実施の形態1と同じである。
図5は、実施の形態2におけるデータ処理装置80により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図5を参照して、データ処理装置80は、第1振動センサ110の測定信号A、及び第2振動センサ120の測定信号Bを取得する(ステップS110)。次いで、データ処理装置80は、測定信号Bが所定のしきい値Sth1以上であるか否かを判定する(ステップS120)。このしきい値Sth1は、バックグラウンドノイズが過大であるか否かを判定するための値であり、実機でデータを事前に収集し評価する等して適宜設定される。
ステップS120において測定信号Bがしきい値Sth1よりも小さいと判定されると(ステップS120においてNO)、データ処理装置80は、ステップS130へ処理を移行する。なお、ステップS130,S140は、図4に示したフローチャートのステップS20,S30と同じであるので、説明を繰り返さない。
一方、ステップS120において測定信号Bがしきい値Sth1以上であると判定されると(ステップS120においてYES)、データ処理装置80は、ステップS130,S140の処理を実行することなく、リターンへと処理を移行する。すなわち、この場合は、バックグラウンドノイズが過大であると判断され、振動測定データCの算出及びサーバへの送信は実施されない。
以上のように、この実施の形態2によれば、第2振動センサ120によって検出されるバックグラウンドノイズが過大である場合は、振動測定データCの算出及びサーバへの送信を実施しないので、ノイズの影響が小さいデータを用いて高精度の振動解析を行なうことができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、第2振動センサ120によって検出されるバックグラウンドノイズが微小である場合には、第1振動センサ110による測定信号Aが、軸受60の振動を示す振動測定データCとしてそのまま用いられる。
この実施の形態3における風力発電装置10の全体構成も、図1に示した実施の形態1と同じである。
図6は、実施の形態3におけるデータ処理装置80により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図6を参照して、データ処理装置80は、第1振動センサ110の測定信号A、及び第2振動センサ120の測定信号Bを取得する(ステップS210)。次いで、データ処理装置80は、測定信号Bが所定のしきい値Sth2(Sth2<Sth1)以上であるか否かを判定する(ステップS220)。このしきい値Sth2は、バックグラウンドノイズが無視できる程度に小さいか否かを判定するための値であり、実機でデータを事前に収集し評価する等して適宜設定される。
測定信号Bがしきい値Sth2以上である場合は(ステップS220においてYES)、データ処理装置80は、ステップS230へ処理を移行する。なお、ステップS230及びその後のステップS250は、図4に示したフローチャートのステップS20,S30とそれぞれ同じであるので、説明を繰り返さない。
一方、ステップS220において測定信号Bがしきい値Sth2よりも小さいと判定されると(ステップS220においてNO)、データ処理装置80は、第1振動センサ110の測定信号Aを振動測定データCとする(ステップS240)。すなわち、第2振動センサ120によって検出されるバックグラウンドノイズが微小である場合には、第1振動センサ110による測定信号Aが振動測定データCとしてそのまま用いられる。
以上のように、この実施の形態3によれば、バックグラウンドノイズが微小である場合には、第1振動センサ110の測定信号Aから第2振動センサ120の測定信号Bを差引く処理は実行されないので、不必要に上記の処理が実行されるのを防止することができる。
[実施の形態4]
この実施の形態4は、上記の実施の形態2,3を組合わせたものに相当する。すなわち、この実施の形態4では、第2振動センサ120によって検出されるバックグラウンドノイズが過大である場合には、振動測定データCの算出及びサーバへの送信が非実施とされる。そして、バックグラウンドノイズが微小である場合には、第1振動センサ110による測定信号Aが振動測定データCとしてそのまま用いられ、バックグラウンドノイズが微小でも過大でもない場合に、測定信号Aから測定信号Bを差引くことによって得られる信号が振動測定データCとして算出される。
この実施の形態4における風力発電装置10の全体構成も、図1に示した実施の形態1と同じである。
図7は、実施の形態4におけるデータ処理装置80により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図7を参照して、ステップS310,S330〜S360は、それぞれ図6に示したステップS210〜S250と同じ処理である。そして、このフローチャートでは、ステップS310において、第1振動センサ110の測定信号A、及び第2振動センサ120の測定信号Bが取得されると、データ処理装置80は、測定信号Bが所定のしきい値Sth1以上であるか否かを判定する(ステップS320)。
ステップS320において測定信号Bがしきい値Sth1以上であると判定されると(ステップS320においてYES)、データ処理装置80は、以降の一連の処理を実行することなく、リターンへと処理を移行する。すなわち、この場合は、バックグラウンドノイズが過大であると判断され、振動測定データCの算出及びサーバへの送信は実施されない。
一方、ステップS320において測定信号Bはしきい値Sth1よりも小さいと判定されると(ステップS320においてNO)、データ処理装置80は、ステップS330へ処理を移行する。上述のように、ステップS330以降は、図6に示したステップS220以降と同じであるので、説明を繰り返さない。
以上のように、この実施の形態4によれば、実施の形態2及び実施の形態3と同様の効果が得られる。
[変形例]
上記の各実施の形態においては、第2振動センサ120は、軸受60の振動を軸受60から受けないように、軸受60から離隔して設けられ、インシュロック等の固定部材130,132を用いて第1振動センサ110に固定されるものとした(図2)。しかしながら、第2振動センサ120の設置方法は、このようなものに限定されるものではない。たとえば、軸受60の振動を吸収する部材を介して測定対象の軸受60に第2振動センサ120を設置してもよい。
図8は、この変形例における振動検出部70#の構成を示した図である。図8を参照して、振動検出部70#では、第1振動センサ110が受けるバックグラウンドノイズを測定するための第2振動センサ120は、振動吸収材140を介して軸受60に設置される。振動吸収材140は、軸受60の振動を吸収するための部材であり、たとえば、ゴムやエラストマー等の部材によって構成される。
なお、上記の各実施の形態及び変形例では、振動検出部70において軸受60の振動を測定するものとしたが、振動の測定対象の機械体は、軸受60に限定されるものではなく、増速機40や発電機50であってもよいし、軸受60とは別の軸受であってもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 風力発電装置、20 主軸、30 ブレード、40 増速機、50 発電機、52 制御盤、54 送電線、60 軸受、70,70# 振動検出部、80 データ処理装置、90 ナセル、100 タワー、110 第1振動センサ、112,122 信号線、120 第2振動センサ、114 金属ベース、130,132 固定部材、140 振動吸収材、210,220 フィルタ部、230 データ処理部、240 送信部。

Claims (5)

  1. 風力発電装置の状態を監視する状態監視システムであって、
    前記風力発電装置において振動源となる機械体に設置され、前記機械体の振動を測定するための第1の振動センサと、
    前記風力発電装置において前記機械体の振動を受けないように設置され、前記第1の振動センサが受けるノイズを測定するための第2の振動センサと、
    前記第1の振動センサの測定信号である第1の信号及び前記第2の振動センサの測定信号である第2の信号を受け、前記第1の信号から前記第2の信号を差引くことによって得られる第3の信号を前記機械体の振動を示すデータとして出力する第1の処理を含む制御装置とを備える状態監視システム。
  2. 前記制御装置は、
    前記第2の信号の大きさが、前記ノイズが過大であることを示す第1の所定値以上である場合に、前記第1の処理を非実行とし、
    前記第2の信号の大きさが前記第1の所定値よりも小さい場合に、前記第1の処理を実行する、請求項1に記載の状態監視システム。
  3. 前記制御装置は、前記第2の信号の大きさが、前記ノイズが微小であることを示す第2の所定値よりも小さい場合に、前記第1の信号を前記データとして出力する第2の処理をさらに含み、
    前記制御装置は、前記第2の信号の大きさが前記第2の所定値以上の場合に、前記第1の処理を実行する、請求項1に記載の状態監視システム。
  4. 前記制御装置は、前記第2の信号の大きさが、前記ノイズが過大であることを示す第3の所定値以上である場合に、前記第1及び第2の処理を非実行とする、請求項3に記載の状態監視システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の状態監視システムを備える風力発電装置。
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