JP2017171986A - スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、非特許文献1に記載されているように、従来、ZnO1−xSx膜の成膜方法としては、ZnOターゲットとZnSターゲットとを使用したコスパッタ法が利用されている。しかしながら、コスパッタ法によって成膜された膜は、組成が不安定になり易いうえ、コスパッタ法では、薄膜太陽電池において特に要求される、広い面積に均一な組織で成膜を行うことが困難であるという不都合があった。
なお、0<x<0.53としたのは、非特許文献1において、薄膜太陽電池のバッファ層として用いるのに好ましいとされているバンドギャップ及びJ−V特性を有するZnO1−xSx膜の成膜を可能とするためである。
抗折強度を80MPa以上とすることによって、スパッタ法による成膜時に、スパッタリングターゲットに割れが生じにくくなり、安定した膜組成のZnO1−xSx膜をより確実に広い面積で成膜することが可能となる。
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法においては、混合粉末を700〜1200℃の温度で加圧焼結するので、混合粉末の焼結が十分に進み、高密度の焼結体を得ることができる。
すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲットによれば、一般式:ZnO1−xSx、ここで0<x<0.53(単位:原子比)で表される組成を有する焼結体からなるので、コスパッタ法を用いる必要が無く、一つのスパッタリングターゲットによりZnO1−xSx膜を安定した膜組織で広い面積に成膜可能である。また、したがって、本発明に係るスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法によりバッファ層を形成することによって、低コストで変換効率の良好な薄膜太陽電池を作製することが可能となる。
また、本発明に係るスパッタリングターゲットの製造方法では、硫酸根の含有量が1200質量ppm以下であるZnS粉末を用いるので、焼結を阻害する硫酸根が少ないため、各要素粉であるZnS粉末とZnO粉末との密着性が向上し、非常に割れ難く、抗折強度が高いスパッタリングターゲットを得ることができる。
なお、S(硫黄)の組成比xを0.53未満としたのは、組成比xが0.53以上のスパッタリングターゲットを用いて、Cu(In,Ga)Se2(CIGS)薄膜太陽電池のバッファ層をスパッタ法により成膜した場合、該薄膜太陽電池の変換効率が大幅に低下するためである。なお、良好な変換効率を得るためには、上述した非特許文献1に記載があるように、組成比xを0.18以上0.34以下とすることが好ましい。
以上の理由から、本実施形態のスパッタリングターゲットの製造方法では、ZnS粉末の硫酸根の含有量を1200質量ppm以下に設定している。加圧焼結における硫酸根を起因としたガスの発生をより確実に抑制するために、ZnS粉末の硫酸根の含有量は900質量ppm以下であることが好ましい。
ZnSO4(硫酸亜鉛)+H2S(硫化水素)→ZnS(硫化亜鉛)+H2SO4(硫酸)
なお、原料粉末とする上記ZnS粉末は、平均粒径が0.5〜5μmの粉末を使用し、上記ZnO粉末は平均粒子径が0.1〜10μmの粉末を使用する。ZnO粉末の平均粒径を0.1〜10μmとした理由は、ZnS粉末と混合し易くするためである。
なお、上記平均粒径は、日機装株式会社製のレーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300」を用いて測定した値である。測定は湿式にて行い、溶媒にはヘキサメタリン酸溶液を用いた。
ここで、円筒型のスパッタリングターゲットは、一般に混合粉末を、高さが高い円筒状の型に充填して加圧焼結することによって製造する。このため、加圧焼結時にガスが発生すると、ガスが抜けにくく、気孔が残り易いため、高密度の焼結体を得ることが難しくなる。従って、本実施形態のスパッタリングターゲットの製造方法は、円筒型のスパッタリングターゲットの製造に有利に利用できる。
したがって、本実施形態のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法により、バッファ層を形成することによって、低コストで変換効率の高い薄膜太陽電池を作製可能となる。
硫酸根含有量が1200質量ppm以下のZnS粉末(純度:2N、平均粒子径1.5μm)と、ZnO粉末(純度:3N、平均粒径:5μm)とを用意した。
なお、硫酸根の含有量は、所定量のZnS粉末を塩酸に溶解し、濾過して試験溶液を調製し、この試験溶液に塩化バリウム溶液を加えて、SO4イオンを硫酸バリウムとして沈殿させた後、濾過により硫酸バリウムを回収し、回収した硫酸バリウムを乾燥して、重量を測定し、その硫酸バリウムの重量を、ZnS粉末中の硫酸根量に換算することによって求めた。
次に、上記混合粉末を乾燥して、篩にて造粒した。
なお、実施例1〜9では、円板状の型を用いて、直径210mm、厚さ10mmの円板状スパッタリングターゲットを20個ずつ作製した。実施例10〜14では、円筒状の型を用いて、外径162mm、内径130mm、高さ100mmの円筒状スパッタリングターゲットを20個ずつ作製した。
ZnS粉末として、純度:2N、平均粒径1.5μm、硫酸根の含有量が4555質量ppmのものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして円板状スパッタリングターゲットを作製した。
ZnS粉末として、純度:2N、平均粒径1.5μm、硫酸根の含有量が2011質量ppmのものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして円板状スパッタリングターゲットを作製した。
(1)割れ
作製した20個のスパッタリングターゲットのうち割れていたものの数を数えた。その結果を、表1の「割れ」の欄に示す。
作製したスパッタリングターゲットについて、ノギスで寸法を計測し、電子天秤で重量を計量して、密度(ρm、単位:g/cm3)を測定した。また、ZnOの密度をρ1(単位:g/cm3)、ZnSの密度をρ2、スパッタリングターゲットのZnOの含有量(重量%)をC1、ZnSの含有量をC2として、スパッタリングターゲットの理論密度(ρfn、単位:g/cm3)を下記の計算式を用いて算出した。
相対密度(%)=ρm/ρfn×100
抗折強度(破断点)については、スパッタリングターゲットから3×4×35mmの試験片を作成し、測定装置:島津製作所製オートグラフAG−Xを用いて、押し込み速度0.5mm/minで応力曲線を測定し、弾性領域の最大点応力を測定することで求めた。その結果を、表1の「抗折強度」の欄に示す。
スパッタリングターゲット中のZn、O、Sの組成比を、ICPにより分析した。その結果、実施例1〜14および比較例1、2のいずれのスパッタリングターゲットについても、Zn:O:S=5:4:1(原子比)であった。すなわち、スパッタリングターゲットの組成式は、ZnO0.8S0.2であった。なお、ICP分析では、ZnとSを定量分析し、残りをO量とした。
スパッタリングターゲットの表面の元素分布を、EPMAを用いて測定した。図3に、実施例1にて製造したスパッタリングターゲットのEPMAによる元素分布マッピング像を示す。この図から、スパッタリングターゲットの表面には、SとOがそれぞれ独立して存在していること、すなわち、ZnSとZnOとが混在していることが分かる。
実施例1〜14および比較例1、2のスパッタリングターゲットを用いて、ガラス基板上に厚さが1μmとなるように、RFスパッタ法によりスパッタ成膜した。そして、得られた膜の組成をICPにより測定したところ、いずれのスパッタリングターゲットで成膜した場合も、およそZn:80wt%、O:15wt%、S:5wt%であった。
スパッタリングターゲットの表面状態を黙して観察した。その結果、実施例1〜14のスパッタリングターゲットでは、表面に孔、溶融、割れ等の異常放電の痕跡が確認されなかった。一方、比較例1、2のスパッタリングターゲットでは、表面に、孔、溶融、割れ等の異常放電の痕跡が確認された。
また、実施例1〜14のスパッタリングターゲットは、いずれも相対密度が80%以上であり、抗折強度は90MPa以上と高い値を示した。
Claims (4)
- 一般式:ZnO1−xSx、ここで0<x<0.53(単位:原子比)で表される組成を有する焼結体からなり、相対密度が80%以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
- 抗折強度が80MPa以上である請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- 請求項1に記載のスパッタリングターゲットを製造する方法であって、
ZnO粉末と、硫酸根の含有量が1200質量ppm以下であるZnS粉末とを含む混合粉末を、真空又は不活性ガス雰囲気中にて加圧焼結する工程を含むことを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項3に記載のスパッタリングターゲットの製造方法において、
前記混合粉末を、700〜1200℃の温度で加圧焼結することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
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JP2016058915A JP2017171986A (ja) | 2016-03-23 | 2016-03-23 | スパッタリングターゲットおよびその製造方法 |
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CN114890785A (zh) * | 2022-05-31 | 2022-08-12 | 先导薄膜材料(广东)有限公司 | 一种硫氧锌靶材及其制备方法 |
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