JP2017171839A - レゾルシン縮合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム組成物の加硫時間および加硫ゴム組成物の硬さの良好なバランス、並びに加硫ゴム組成物のスチールコードに対する良好な接着性を達成すること。
【解決手段】レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を含有する縮合物組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、レゾルシン縮合物に関する。
レゾルシンは、ゴム組成物の補強剤として有用である。しかし、レゾルシンを含むゴム組成物は、その加工中にレゾルシンが蒸散し、作業環境が悪化するという問題がある。この問題を解決するために、レゾルシンの代わりに、レゾルシン樹脂(縮合物)、変性レゾルシン樹脂(縮合物)、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂、および変性フェノール樹脂等の樹脂等を使用することが知られている。レゾルシン樹脂としては、例えば、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物(レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂)が挙げられる。具体的には、インドスペック ケミカル コーポレイション製の Penacolite(登録商標) Resin B-16-S、およびPenacolite(登録商標) Resin B-18-S等が挙げられる。変性レゾルシン樹脂としては、例えば、レゾルシン樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。具体的には、例えば、インドスペック ケミカル コーポレイション製の Penacolite(登録商標) Resin B-20-S、田岡化学工業社製のスミカノール620、ユニロイヤル社製のR−6、スケネクタディー化学社製のSRF1501、アッシュランド社製のArofene7209等が挙げられる。また、特許文献1および2には、レゾルシンとアセトンとの縮合物(レゾルシン−アセトン樹脂)を使用することが記載されている。
特開2013−151604号公報 特開2013−151605号公報
ゴム組成物の加硫時間が長いと、加硫ゴム組成物の生産性が低下する。また、加硫ゴム組成物は、充分な硬さを有することが求められる。また、タイヤ用ベルトを製造する場合には、加硫ゴム組成物は、スチールコードに対する良好な接着性を有することが求められる。本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、ゴム組成物の短い加硫時間および加硫ゴム組成物の充分な硬さを両立すること(即ち、ゴム組成物の加硫時間および加硫ゴムの組成物の硬さの良好なバランスを達成すること)、並びに加硫ゴム組成物のスチールコードに対する良好な接着性を達成することにある。
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を併用することによって、ゴム組成物の加硫時間および加硫ゴム組成物の硬さの良好なバランス、並びに加硫ゴム組成物のスチールコードに対する良好な接着性を達成し得ることを見出した。この知見に基づく本発明は、以下の通りである。
[1] レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を含有する縮合物組成物。
[2] レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の合計含有量が、組成物全体を基準に70〜100重量%である前記[1]に記載の縮合物組成物。
[3] レゾルシンとアセトンとの縮合物の含有量が、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物100重量部に対して、11〜900重量部である前記[1]または[2]に記載の縮合物組成物。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の縮合物組成物およびゴム成分を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
[5] レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、レゾルシンとアセトンとの縮合物およびゴム成分を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
[6] さらにメチレン供与体を混練することを含む前記[4]または[5]に記載の方法。
[7] メチレン供与体が、メトキシ化メチロールメラミン樹脂である前記[6]に記載の方法。
[8] さらに硫黄成分を混練することを含む前記[4]〜[7]のいずれか一つに記載のゴム組成物の製造方法。
[9] 前記[8]に記載の方法によって得られたゴム組成物を加硫することを含む加硫ゴム組成物の製造方法。
[10] 前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の縮合物組成物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物。
[11] レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、レゾルシンとアセトンとの縮合物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物。
[12] さらにメチレン供与体を混練して得られる前記[10]または[11]に記載のゴム組成物。
[13] メチレン供与体が、メトキシ化メチロールメラミン樹脂である前記[12]に記載のゴム組成物。
[14] さらに硫黄成分を混練して得られる前記[10]〜[13]のいずれか一つに記載のゴム組成物。
[15] 前記[14]に記載のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物。
レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を併用する本発明によれば、ゴム組成物の加硫時間および加硫ゴム組成物の硬さの良好なバランス、並びに加硫ゴム組成物のスチールコードに対する良好な接着性を達成することができる。
本発明の縮合物組成物は、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を含有する。本発明の縮合物組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の物質(例えば未反応原料、溶媒、添加剤等)を含有していてもよい。レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の合計含有量は、本発明の縮合物組成物全体を基準に、好ましくは70〜100重量%であり、より好ましくは80〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%である。本発明の縮合物組成物は、実質的にレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物のみからなることが特に好ましい。
本発明の縮合物組成物中のレゾルシンとアセトンとの縮合物の含有量は、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物100重量部に対して、好ましくは11〜900重量部、より好ましくは11〜500重量部、さらに好ましくは11〜400重量部である。
レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の重量平均分子量は、好ましくは600〜1100、より好ましくは700〜1000、さらに好ましくは800〜900である。レゾルシンとアセトンとの縮合物の重量平均分子量は、好ましくは300〜800、より好ましくは400〜700、さらに好ましくは500〜600である。これら重量平均分子量は、実施例に記載の条件のGPCによって測定できる。
レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物は、公知の方法(例えば、米国特許第4,889,891号明細書の実施例5に記載の方法)に従い、酸の存在下で、レゾルシンとホルムアルデヒドとを縮合することによって製造することができる。また、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物としては、市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、インドスペック ケミカル コーポレイション製の Penacolite(登録商標) Resin B-16-S 等が挙げられる。
レゾルシンとアセトンとの縮合物は、特許文献1および2に記載されているように、酸触媒の存在下で、レゾルシンとアセトンとを縮合させることによって製造することができる。縮合反応でのアセトンの使用量は、レゾルシン1molに対し、1〜6molが好ましく、1.5〜4molがより好ましい。
酸触媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。酸触媒としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、シュウ酸、リン酸、ポリリン酸、三フッ化ホウ素酸、塩酸、硫酸等が挙げられる。これらの中で、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、塩酸および硫酸が好ましい。これらの酸触媒の使用量は、レゾルシン100molに対して、0.1〜10molが好ましく、0.5〜5molがより好ましい。
酸触媒としては、固体の酸触媒を使用してもよい。固体の酸触媒としては、例えば、カーボン、ポリスチレン、アルミナ等を、硫酸、リン酸、カルボン酸等で修飾して得られる酸触媒、ゼオライト、酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられる。上述の塩酸等を酸触媒として使用する場合、縮合反応停止後に中和および水洗等が必要となるが、固体の酸触媒を使用する場合、ろ過等の簡便な手段によって、これを除去することができる。固体の酸触媒を除去するためのろ過の温度は、15〜75℃が好ましい
固体の酸触媒の中で、酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、スルホ基(−SOH)を有する強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。
酸性イオン交換樹脂としては、特に限定されるものではなく、市販品を用いることができる。その具体例としては、オルガノ(株)製アンバリストシリーズ(例えばSC200、SC300等)、三菱化学(株)製ダイヤイオンシリーズ(PK212、PK228)、ダウ・ケミカル(株)製DOWEXシリーズ(例えば50W×2等)、ローム・アンド・ハース(株)製デュオライトシリーズ(例えばC26CH)、ランクセス(株)レバチットシリーズ(例えばS2328、K2629等)などが挙げられるが、これらに限定されない。
レゾルシンとアセトンとの縮合反応は、通常、溶液中で行われる。例えば原料のアセトンを多量に使用する場合、アセトンが出発原料および溶媒として作用するため、他の溶媒を使用する必要はない。なお、アセトンが溶媒として作用する場合であっても、アセトン以外の溶媒を使用してもよい。
アセトン以外の溶媒は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この溶媒としては、有機溶媒が好ましい。アセトン以外の有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン置換芳香族炭化水素等が挙げられる。脂肪族炭化水素の具体例としては、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン等が挙げられる。芳香族炭化水素の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。ハロゲン置換芳香族炭化水素の具体例としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素が好ましく、トルエンまたはキシレンがより好ましい。アセトン以外の有機溶媒を使用する場合、その量は、レゾルシン1重量部に対し、0.5〜3重量部が好ましい。
縮合の反応温度は、出発原料および必要に応じて使用する溶媒等によって異なるが、一般に、30〜150℃である。縮合反応の進行は、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフフィー(GPC)等の通常の分析手段により確認することができ、反応の進行を確認しながら、反応終点を決めることができる。
レゾルシンとアセトンとの縮合反応は、回分式反応器で行うことができる。回分式反応器への出発原料(レゾルシンおよびアセトン)と、酸触媒との混合順序は特に限定されない。例えば、酸触媒を仕込んだ反応器に出発原料を添加してもよく、逆に出発原料を含んだ反応器に酸触媒を添加してもよい。また、縮合反応の進行に伴い、アセトンを連続的または断続的に追加してもよい。
縮合反応停止後の反応溶液から、アセトン等の揮発性の出発原料および必要に応じて使用した溶媒を除去することによって、固体であるレゾルシンとアセトンとの縮合物を得ることができる。
次に、本発明の縮合物組成物の製造方法を以下に記載するが、本発明は、これらに限定されることはない。本発明の縮合物組成物の製造方法としては、例えば、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を混合することを含む方法(第1の方法)が挙げられる。第1の方法における混合には、公知の装置を使用して実施することができる。
第1の方法では、例えば各々の粉体をヘンシェルミキサーなどで十分に混合した後に、例えば乾式の圧縮造粒法や押出造粒法などによって縮合物組成物を造粒してもよい。但し、第1の方法は、これに限定されない。
当然、本発明の範囲には、第1の方法で得られる縮合物組成物が包含される。第1の方法で得られる縮合物組成物における、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の重量平均分子量、これらの合計含有量、レゾルシンとアセトンとの縮合物100重量部に対するレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の含有量は、上述した通りである。
また、本発明の縮合物組成物の製造方法としては、例えば、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を溶融させて混合する方法(第2の方法)が挙げられる。第2の方法における溶融混合は、公知の装置を使用して実施することができる。
第2の方法では、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物に、レゾルシンとアセトンとの縮合物を添加してもよく、逆に、レゾルシンとアセトンとの縮合物に、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物を添加してもよい。この方法において、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物として、該縮合物の製造プロセスにおける縮合反応後の途中段階で得られた該縮合物の溶融物を用いてもよい。
第2の方法で得られた縮合物組成物は、例えば溶融造粒法によって造粒することもできる。但し、本発明は、このように造粒された縮合物組成物に限定されない。
溶融造粒機としては、例えば、サンドビック社製ロートフォーマー、カイザー社製ロータリー式ドロップフォーマー、三菱化成エンジニアリング社製ドラムクーラー、日本ベルディング社製スチールベルトクーラー、ハイブリッドフォーマー等が挙げられる。
当然、本発明の範囲には、第2の方法で得られる縮合物組成物が包含される。第2の方法で得られる縮合物組成物における、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の重量平均分子量、これらの合計含有量、レゾルシンとアセトンとの縮合物100重量部に対するレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の含有量は、上述した通りである。
また、本発明の縮合組成物の製造方法としては、例えば、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を溶媒に溶解して溶液を調製し、次いで溶液から溶媒等の揮発成分を留去することを含む方法(第3の方法)が挙げられる。
第3の方法において、溶媒は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、例えば、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン置換芳香族炭化水素等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサン、イソホロン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。脂肪族炭化水素の具体例としては、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン等が挙げられる。芳香族炭化水素の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。ハロゲン置換芳香族炭化水素の具体例としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。中でも、ケトンが好ましく、アセトンがより好ましい。
第3の方法で使用する揮発成分を留去するための装置としては、例えば、回分式の蒸留装置、遠心式分子蒸留装置、薄膜蒸留装置等の蒸留装置、脱揮可能な押出機等が挙げられる。揮発成分を留去する際の温度は、好ましくは0〜250℃であり、より好ましくは120〜250℃である。揮発成分の留去は常圧で行ってもよく、減圧で行ってもよい。減圧留去を行う場合、その圧力は、好ましくは100kPa以下、より好ましくは70kPa以下である。
第3の方法におけるレゾルシンとアセトンとの縮合物およびレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物を含む溶液の調製方法としては、レゾルシンとアセトンとの縮合物の溶液に、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物を添加(必要に応じて溶媒も添加)してもよく、レゾルシンとアセトンとの縮合物の溶液に、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の溶液を添加(必要に応じて溶媒も添加)してもよく、レゾルシンとアセトンとの縮合物に、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の溶液を添加(必要に応じて溶媒も添加)してもよく、レゾルシンとアセトンとの縮合物に、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物および溶媒を添加してもよく、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の溶液に、レゾルシンとアセトンとの縮合物を添加(必要に応じて溶媒も添加)してもよく、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の溶液に、レゾルシンとアセトンとの縮合物の溶液を添加(必要に応じて溶媒も添加)してもよく、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物に、レゾルシンとアセトンとの縮合物の溶液を添加(必要に応じて溶媒も添加)してもよく、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物に、レゾルシンとアセトンとの縮合物および溶媒を添加してもよい。これら溶液の調製方法において、レゾルシンとアセトンとの縮合物の溶液として、該縮合物の製造プロセスの途中段階で得られた該縮合物および溶媒(例えばアセトン)を含む溶液を用いてもよい。また、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物として、該縮合物の製造プロセスの途中段階で得られた該縮合物および少量の水を含む混合物を用いてもよい。
第3の方法としては、レゾルシンとアセトンとの縮合物の製造プロセスの途中段階で得られた該縮合物およびアセトンを含む溶液、並びにレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物を混合して溶液を調製し、次いで得られた溶液から溶媒等の揮発成分を留去する方法が好ましい。
当然、本発明の範囲には、第3の方法で得られる縮合物組成物が包含される。第3の方法で得られる縮合物組成物における、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の重量平均分子量、これらの合計含有量、レゾルシンとアセトンとの縮合物100重量部に対するレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の含有量は、上述した通りである。
本発明は、上述した縮合物組成物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物を提供する。また、本発明は、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、レゾルシンとアセトンとの縮合物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物も提供する。本発明のゴム組成物の製造では、さらにメチレン供与体を混練してもよい。また、本発明のゴム組成物の製造では、さらに硫黄成分を混練してもよい。また、本発明は、硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物を提供する。
レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の一方または両方は、混練中にゴム成分等と反応し、これらとは別の化合物を形成する可能性がある。また、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の一方または両方は、混練中に分解し、この分解物がゴム成分等と反応し、別の化合物を形成する可能性がある。しかし、ゴム組成物中で形成される可能性がある前記化合物を、その構造または特性によって直接特定することは、固体のゴム組成物を分析する現在の技術では実際上不可能である。そのため、本明細書および特許請求の範囲では、本発明のゴム組成物を「縮合物組成物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物」および「レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、レゾルシンとアセトンとの縮合物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物」と特定する。加硫ゴム組成物についても同様である。
ゴム成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム、200重量ppm以下のリンを含有する改質天然ゴム(HPNR)およびその他の変性天然ゴム;並びにポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム;が挙げられる。
天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等の高不飽和性ゴムを用いることが好ましく、天然ゴムを用いることがより好ましい。また、所望の用途に応じて、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムとの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムとの併用等、数種のゴム成分を組み合わせることも有効である。
NRの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、例えばクンプーラン ガスリー社製のENR25やENR50などのエポキシ化度10〜60モル%のものが好ましい。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。変性天然ゴムとしては、天然ゴムに4−ビニルピリジン、N,N,−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させて得られる、極性基を含有する変性天然ゴムが好ましい。NR、IR等のイソプレンゴムは、これらから良好な破断時伸びおよび耐久性を有する加硫ゴム組成物を製造できるため、好ましい。
SBRの例としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRを挙げることができる。とりわけトレッド用ゴム組成物としては溶液重合SBRが好ましい。
溶液重合SBRとしては、1種または2種以上の変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズおよびケイ素の少なくとも一つの元素を有する、変性溶液重合SBRが挙げられる。変性剤としては、例えば、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。変性溶液重合SBRとしては、例えば、日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、および旭化成社製「E10」および「E15」等のシラン変性溶液重合SBR等が挙げられる。
また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油添SBRも好ましい。
BRとしては、低ビニル含量の溶液重合BRおよび高ビニル含量の溶液重合BRのいずれでもよいが、高ビニル含量の溶液重合BRが好ましい。1種または2種以上の変性剤で変性して得られる、分子末端に窒素、スズ、ケイ素の少なくとも一つの元素を有する変性溶液重合BRが特に好ましい。変性剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えば、トリアルコキシシラン化合物)、アミノシラン化合物、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物との併用変性剤等が挙げられる。変性溶液重合BRとしては、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等のスズ変性BRが挙げられる。
BRを含む本発明のゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物やサイドウォール用ゴム組成物として好ましく用いることができる。また、本発明のゴム組成物において、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B等の高ビニル含量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR等のタイヤ工業において一般的なBRを使用できる。SPBを含むBRとしては、単にBR中にSPBを分散させたものではなく、SPBがBRと化学結合したうえで、無配向で分散しているものが、クラックの発生および伝播を抑制する傾向を有するため好ましい。また、スズ化合物により変性されたスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)も使用できる。BRは、通常、SBRおよび/または天然ゴムとブレンドして使用される。
上述の縮合物組成物およびゴム成分を混練してゴム組成物を製造する場合、縮合物組成物の量は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、レゾルシンとアセトンとの縮合物およびゴム成分を混練してゴム組成物を製造する場合、これら縮合物の合計量は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。また、この場合、レゾルシンとアセトンとの縮合物の量は、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物100重量部に対して、好ましくは11〜900重量部、より好ましくは11〜500重量部、さらに好ましくは11〜400重量部である。
メチレン供与体は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。メチレン供与体としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシ化メチロールメラミン樹脂等のゴム工業において通常使用されているものを挙げることができる。メチレン供与体は、好ましくはメトキシ化メチロールメラミン樹脂である。メトキシ化メチロールメラミン樹脂としては、例えば、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ペンタキス(メトキシメチル)メチロールメラミン、テトラキス(メトキシメチル)ジメチロールメラミンおよびこれらの混合物等が挙げられる。メチレン供与体を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
硫黄成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。硫黄成分としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、および高分散性硫黄等が挙げられる。粉末硫黄および不溶性硫黄が好ましい。硫黄成分の量は、ゴム成分100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、2〜6重量部がより好ましい。
ゴム組成物は、上述のもの以外の成分、例えば、充填剤、加硫促進剤、有機コバルト化合物および酸化亜鉛等を含有してもよい。
充填剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。充填剤としては、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ等が例示される。カーボンブラックとしては、FEF(Fast Extruding Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)等のカーボンブラックが好ましい。また、カーボンブラックとシリカの併用等、数種の充填剤を組み合わせることも有効である。充填剤を使用する場合、その量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、30〜70重量部がより好ましい。
シリカとしては、例えばCTAB比表面積50〜180m/gのシリカおよび/または窒素吸着比表面積50〜300m/gのシリカを使用することが好ましい。これらの例としては、例えば東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」、「Nipsil(登録商標)AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)VN3−G」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」等の市販品が挙げられる。pHが6〜8であるシリカ、ナトリウムを0.2〜1.5重量%含むシリカ、真円度が1〜1.3の真球状シリカ、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイル、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、エタノールやポリエチレングリコール等のアルコールで表面処理したシリカ、または二種類以上の異なった窒素吸着比表面面積を有するシリカの混合物を使用することも好ましい。
加硫促進剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。加硫促進剤としては、例えば、ゴム工業便覧<第四版>の第412〜413頁に記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。加硫促進剤を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部に対して、0.5〜5.0重量部が好ましく、0.6〜3.0重量部がより好ましい。
有機コバルト化合物は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。有機コバルト化合物としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト等の有機酸コバルト塩や、脂肪酸コバルト・ホウ素錯体化合物(例えば、マンケム社製の「マノボンドC」、Jhepherd社製の「CoMend A」および「CoMend B」)等が挙げられる。有機コバルト化合物の使用量は、そのコバルト含量を基準に定められる。このコバルト含量は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜0.4重量部が好ましく、0.1〜0.3重量部がより好ましい。
酸化亜鉛を使用する場合、その量は、ゴム成分100重量部に対して、1〜15重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。
ゴム組成物は、ゴム工業で通常使用されている各種のゴム薬品、例えば、酸化防止剤やオゾン劣化防止剤のような老化防止剤、しゃく解剤、加工助剤、ワックス、オイル、ステアリン酸、粘着付与剤等の1種または2種以上を、必要に応じて含有してもよい。これら薬品の量は、ゴム組成物の意図された用途により異なるが、それぞれを、ゴム工業において通常使用されている範囲の量で用いることができる。
ゴム組成物は、上述した縮合物組成物(またはレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物)、ゴム成分、および必要に応じて他の成分(例えば、充填剤)を混練することによって製造することができる。
前記成分に加えて、さらに硫黄成分を混練して得られるゴム組成物(以下「硫黄成分を含有するゴム組成物」と記載することがある。)は、まず、ゴム成分と充填剤等とを混練する工程(以下「工程1」と略称することがある。)、次いで工程1で得られたゴム組成物と硫黄成分とを混練する工程(以下「工程2」と略称することがある。)を経て製造することが好ましい。さらに、工程1(即ち、ゴム成分と充填剤等との混練)の前に、ゴム成分を加工しやすくするため、ゴム成分を素練りする予備混練工程を設けてもよい。
硫黄成分を含有するゴム組成物の製造では、本発明の縮合物組成物(またはレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物)の全量を、予備混練工程、工程1または工程2のいずれかでゴム成分等と混練してもよく、本発明の縮合物組成物(またはレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物)を分割して、予備混練工程〜工程2の少なくとも二つの工程でゴム成分等と混練してもよい。
酸化亜鉛を配合するときは、工程1でゴム成分等と混練することが好ましい。加硫促進剤を配合するときは、工程2でゴム成分等と混練することが好ましい。しゃく解剤を配合するときは、工程1でゴム成分等と混練することが好ましい。予備混練工程を設ける時は、予備混練工程でしゃく解剤の全量をゴム成分と混練するか、またはしゃく解剤を分けて、予備混練工程および工程1の両方でゴム成分と混練することが好ましい。
工程1における混練には、例えば、バンバリーミキサーを含むインターナルミキサー、オープン型ニーダー、加圧式ニーダー、押出機、および射出成型機等を使用することができる。工程1における混練後のゴム組成物の排出温度は、200℃以下が好ましく、120〜180℃がより好ましい。
工程2における混練には、例えば、オープンロール、カレンダー等を使用することができる。工程2における混練温度(混練しているゴム組成物の温度)は、60〜120℃が好ましい。
上述の硫黄成分を含有するゴム組成物を加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造することができる。上述の硫黄成分を含有するゴム組成物を特定の形状に加工してから加硫することによって、加硫ゴム組成物を製造してもよい。
加硫温度は、120〜180℃が好ましい。当業者であれば、ゴム組成物の組成に応じて、加硫時間を適宜設定することができる。加硫は、通常、常圧または加圧下で行われる。
ゴム組成物および加硫ゴム組成物は、様々な製品を製造するために有用である。ゴム組成物および加硫ゴム組成物から得られる製品としては、例えば、キャップトレッド、ベーストレッド、アンダートレッド、ベルト、カーカス、ビード、サイドウォール、ゴムチェーファー等のタイヤの各種部材が挙げられる。また、前記製品としては、例えば、エンジンマウント、ストラットマウント、ブッシュ、エグゾーストハンガー等の自動車用防振ゴム、ホース類、ゴムベルト等が挙げられる。
例えば、ゴム組成物でスチールコードを被覆することにより、タイヤ用ベルトを製造することができる。スチールコードは、通常、平行に引き揃えた状態で用いられる。
スチールコードは、ゴムとの接着性の観点から、黄銅、亜鉛、あるいはこれにニッケルやコバルトを含有する合金でメッキ処理されていることが好ましく、特に黄銅メッキ処理が施されているものが好適である。さらには、黄銅メッキ中のCu含有率が75重量%以下、とりわけ55〜70重量%である黄銅メッキ処理が施されたスチールコードが好適である。スチールコードの撚り構造は制限されない。
スチールコードがゴム組成物で被覆されたベルトは、複数枚積層して用いてもよい。このベルトは、主にカーカスの補強材料として使用される。
また、例えば、ゴム組成物を、タイヤのカーカス形状に合わせて押し出し加工し、カーカス繊維コードの上下に貼り付けることにより、カーカスを製造することもできる。カーカス繊維コードは、通常、平行に引き揃えた状態で使用される。カーカス繊維コードとしては、弾性率および耐疲労性が良好で、耐クリープ性も優秀で、安価なポリエステルおよびナイロンが好ましい。これらは、1枚または複数枚積層することで、タイヤ補強材料として使用される。
ゴム組成物を用いて、通常の製造方法によってタイヤを製造することができる。例えば、ゴム組成物を押し出し加工し、タイヤ用部材を得、タイヤ成形機上で通常の方法により、他のタイヤ部材に貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<GPC>
以下の製造例における縮合反応停止後の溶液の分析は、下記条件のGPCで行った。
カラム:TOSOH TSKgel Super HZ2000(4.6mmφ×150cm)とTOSOH TSKgel Super HZ1000(4.6mmφ×150cm)2本とを接続
温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
検出:示差屈折率(Refractive Index、RI)
標準:TSKgel 標準ポリスチレン
<製造例1:レゾルシンとアセトンとの縮合物の製造>
温度計、攪拌機およびコンデンサーを備えた2000Lの反応釜の内部を窒素置換した後、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオンPK212LH」、50重量%含水、架橋度:約6%、平均粒径:0.59mm)を反応釜に仕込み、レゾルシン150.5kg(1367mol)、およびアセトン236.7kg(4075mol、水分量:0.001重量%)を仕込み、64℃に昇温した。この温度で17時間撹拌して、縮合反応を行った(レゾルシン1molに対するアセトン使用量:3mol、レゾルシン1重量部に対する強酸性陽イオン交換樹脂の使用量:0.76重量部)。17時間の縮合反応後に、強酸性陽イオン交換樹脂をろ過で取り除くことによって縮合反応を停止させた。縮合反応停止後の溶液から、ろ過によって強酸性陽イオン交換樹脂を除いた。レゾルシンとアセトンとの縮合物のアセトン溶液594kgを取得した。得られた溶液を、薄膜蒸留(蒸発缶のジャケット温度:270℃、圧力:70kPa以下)を用いて溶媒の除去を実施し、固体の縮合物RA1(重量平均分子量:535)を得た。
<製造例2:レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の製造>
温度計、攪拌機およびコンデンサーを備えた1000mlセパラブルフラスコに、レゾルシン110.1g(1.0モル)を仕込み、フラスコ内部を窒素置換した後、37重量%のホルムアルデヒド水溶液48.7g(0.6モル)を仕込み、125℃に昇温し、5時間撹拌した。得られた混合物を135℃まで昇温し、減圧蒸留をすることで、反応混合物内の水分を除去し、縮合物RF1を36.2g得た。この縮合物RF1はレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物(重量平均分子量:854)を82重量%含んでいた。
<実施例1〜4:ゴム組成物および加硫ゴム組成物の製造>
バンバリーミキサーとして東洋精機製作所製の600mlラボプラストミルを用い、初期の系内温度を150℃として、天然ゴム(RSS#1)100重量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「旭#70」)55重量部、含水シリカ(東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」)10重量部、ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛(亜鉛華)8重量部、および老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、略号:6PPD)2重量部、並びに下記表1に示す割合の縮合物RA1(レゾルシンとアセトンとの縮合物)および縮合物RF1(レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物を82重量%含む)を投入し、50rpmで15分間混練した後、排出した(ゴム組成物の排出温度:約160℃)。
得られたゴム組成物に、硫黄成分(不溶性硫黄)5重量部、加硫促進剤(N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、略号:DCBS)1重量部、ナフテン酸コバルト(コバルト含量:11重量%)1重量部(コバルト含量では0.11重量)、およびメチレン供与体(メトキシ化メチロールメラミン樹脂、住友化学社製「スミカノール507AP」)3重量部を添加し、オープンミルにて混練した(混練温度:50〜70℃)。得られた硫黄成分を含有するゴム組成物を150℃で30分間加硫することによって、加硫ゴム組成物を得た。
上述のようにして得られた硫黄成分を含有するゴム組成物の90%加硫時間(tc(90)、単位:分)を、JIS K 6300−2に従い測定した。また、上述のようにして得られた加硫ゴム組成物の硬さを、JIS K 6253に従いタイプA デュロメータを用いて測定した。これらの結果を表1に示す。
また、上述のようにして製造した硫黄成分を含有する各ゴム組成物から、二つの直方体(約0.5cm×約1cm×約6cm)を切り出した。得られた一つの直方体の上にスチールコード3本を等間隔となるように並べて、その上からもう一つの直方体を重ねて、二つの直方体で3本のスチールコードを挟んだ。これらを金型に入れ、160℃で、各ゴム組成物の100%加硫時間(tc(100))×0.9の時間で加硫して、3本のスチールコードを中央部分に含む加硫ゴム組成物の直方体(約1cm×約1cm×約6cm)を製造した。この加硫ゴム組成物を90℃の温水中で35日間保存して、老化させた。老化させた加硫ゴム組成物からのスチールコードの引き抜き試験をASTM D−2229に従い行い、スチールコードの全表面積と、ゴムが付着しているスチールコードの面積とから、下記式:
スチールコードのゴム被覆率(%)=100×ゴムが付着しているスチールコードの面積/スチールコードの全表面積
に基づきスチールコードのゴム被覆率を算出した。この被覆率が高いほど、加硫ゴム組成物のスチールコードに対する接着性が高い。この結果も表1に示す。
<比較例1:ゴム組成物および加硫ゴム組成物の製造>
実施例1〜4で使用した縮合物RA1および縮合物RF1(合計3重量部)に代えて、縮合物RF1(3重量部)を使用したこと以外は上記と同様にして、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造し、ゴム組成物のtc(90)、加硫ゴム組成物の硬さ、およびスチールコードのゴム被覆率を測定した。これらの結果を下記表1に記載する。
<比較例2:ゴム組成物および加硫ゴム組成物の製造>
実施例1〜4で使用した縮合物RA1および縮合物RF1(合計3重量部)に代えて、縮合物RA1(3重量部)を使用したこと以外は、上記と同様にして、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造し、ゴム組成物のtc(90)、加硫ゴム組成物の硬さ、およびスチールコードのゴム被覆率を測定した。これらの結果を下記表1に記載する。
<製造例3:縮合物組成物の製造>
製造例1で得られた固体の縮合物RA1の100.1gと、製造例2で得られた縮合物RF1の400.0gとを、アセトン500gに溶かした。薄膜蒸留(蒸発缶のジャケット温度:220℃、圧力:70kPa以下)により、得られたアセトン溶液から溶媒を除去し、固体の縮合物組成物を得た。
<製造例4:縮合物組成物の製造>
製造例1で得られた固体の縮合物RA1の200.3gと、製造例2で得られた縮合物RF1の300.3gとを、アセトン500gに溶かした。薄膜蒸留(蒸発缶のジャケット温度:220℃、圧力:70kPa以下)により、得られたアセトン溶液から溶媒を除去し、固体の縮合物組成物を得た。
<実施例5および6:ゴム組成物および加硫ゴム組成物の製造>
実施例1〜4で使用した縮合物RA1および縮合物RF1(合計3重量部)に代えて、製造例3または4で得られた縮合物組成物(3重量部)を使用したこと以外は上記と同様にして、ゴム組成物および加硫ゴム組成物を製造し、ゴム組成物の90%加硫時間(tc(90))および加硫ゴム組成物の硬さを測定した。これらの結果を下記表2に示す。
<製造例5:縮合物組成物の製造>
製造例1で得られた固体の縮合物RA1の30gと、製造例2で得られた縮合物RF1の70gとを、160℃に温めた容器に入れ、これらを1時間撹拌して溶融した後、容器から組成物を取り出し放冷して、固体の縮合物組成物を得た。
<製造例6:縮合物組成物の製造>
製造例1で得られた固体の縮合物RA1の25gと、製造例2で得られた縮合物RF1の75gとを、160℃に温めた容器に入れ、これらを1時間撹拌して溶融した後、容器から組成物を取り出し放冷して、固体の縮合物組成物を得た。
<製造例7:縮合物組成物の製造>
製造例1で得られた固体の縮合物RA1の20gと、製造例2で得られた縮合物RF1の80gとを、160℃に温めた容器に入れ、これらを1時間撹拌して溶融した後、容器から組成物を取り出し放冷して、固体の縮合物組成物を得た。
本発明の縮合物組成物は、ゴム製品を製造するために有用である。

Claims (15)

  1. レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物を含有する縮合物組成物。
  2. レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物およびレゾルシンとアセトンとの縮合物の合計含有量が、組成物全体を基準に70〜100重量%である請求項1に記載の縮合物組成物。
  3. レゾルシンとアセトンとの縮合物の含有量が、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物100重量部に対して、11〜900重量部である請求項1または2に記載の縮合物組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の縮合物組成物およびゴム成分を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
  5. レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、レゾルシンとアセトンとの縮合物およびゴム成分を混練することを含むゴム組成物の製造方法。
  6. さらにメチレン供与体を混練することを含む請求項4または5に記載の方法。
  7. メチレン供与体が、メトキシ化メチロールメラミン樹脂である請求項6に記載の方法。
  8. さらに硫黄成分を混練することを含む請求項4〜7のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
  9. 請求項8に記載の方法によって得られたゴム組成物を加硫することを含む加硫ゴム組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の縮合物組成物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物。
  11. レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、レゾルシンとアセトンとの縮合物およびゴム成分を混練して得られるゴム組成物。
  12. さらにメチレン供与体を混練して得られる請求項10または11に記載のゴム組成物。
  13. メチレン供与体が、メトキシ化メチロールメラミン樹脂である請求項12に記載のゴム組成物。
  14. さらに硫黄成分を混練して得られる請求項10〜13のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  15. 請求項14に記載のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物。
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