JP2017171519A - セメントクリンカ組成物および高炉セメント組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のセメントクリンカ組成物は、ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が10〜25質量%であり、MgO、SO3およびFを含み、MgOの含有量が0.5〜3.0質量%であり、SO3の含有量が0.3〜1.5質量%であり、Fの含有量が100〜800質量ppmであり、MgOの含有量、SO3の含有量およびFの含有量が下記の式(1)の関係を満たす。
200≦(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))≦1000 (1)
本発明の高炉セメント組成物は、本発明のセメントクリンカ組成物と、高炉水砕スラグと、石膏とを含む。
【選択図】なし
Description
[1]ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が10〜25質量%であり、MgO、SO3およびFを含み、MgOの含有量が0.5〜3.0質量%であり、SO3の含有量が0.3〜1.5質量%であり、Fの含有量が100〜800質量ppmであり、MgOの含有量、SO3の含有量およびFの含有量が下記の式(1)の関係を満たすセメントクリンカ組成物。
200≦(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))≦1000 (1)
[2]上記[1]に記載のセメントクリンカ組成物と、高炉水砕スラグと、石膏とを含む高炉セメント組成物。
本発明のセメントクリンカ組成物は、ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が10〜25質量%であり、MgO、SO3およびFを含み、MgOの含有量が0.5〜3.0質量%であり、SO3の含有量が0.3〜1.5質量%であり、Fの含有量が100〜800質量ppmであり、MgOの含有量、SO3の含有量およびFの含有量が下記の式(1)の関係を満たす。
200≦(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))≦1000 (1)
また、本発明のセメントクリンカ組成物は、好ましくは高炉セメント用セメントクリンカ組成物として使用される。
本発明のセメントクリンカ組成物におけるボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合は、50〜75質量%であり、好ましくは55〜70質量%であり、より好ましくは60〜70質量であり、さらに好ましくは65〜70質量%である。ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50質量%よりも小さいと、セメントクリンカ組成物によって発現されるコンクリートやモルタルの強度が低下する場合がある。ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が75質量%よりも大きいと、セメントクリンカ組成物の水和熱が高くなりすぎる場合がある。
本発明のセメントクリンカ組成物におけるボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合は、5〜25質量%であり、好ましくは8〜20質量%であり、より好ましくは9〜17質量%であり、さらに好ましくは10〜13質量%である。ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5質量%未満であると、結果的に、3CaO・SiO2の割合が高くなり、セメントクリンカ組成物の水和熱が高くなりすぎる場合がある。また、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が25質量%よりも大きくなると、高炉セメント組成物を用いて作製されたコンクリートやモルタルにおける初期強度が低くなりすぎる場合がある。
本発明のセメントクリンカ組成物におけるボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合は、10〜25質量%であり、好ましくは15〜20質量%であり、より好ましくは16.5〜18.5質量%であり、さらに好ましくは17.5〜18.0質量%である。ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が10質量%未満であると、セメントクリンカ組成物の焼成時に生成する液相の量が少なくなるため、液相介在による固相−液相反応が速やかに進まなくなり、セメントクリンカ組成物の焼成が不十分になる場合がある。また、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が25質量%よりも大きいと、操業不良を引き起こしやすくなると同時に、強度に寄与するカルシウムシリケート鉱物の生成が少なくなるため、本発明のセメントクリンカ組成物を用いた高炉セメント組成物の強度が低下する場合がある。また、セメントクリンカ組成物の水和熱が高くなりすぎる場合がある。
本発明のセメントクリンカ組成物におけるボーグ式で算出された3CaO・Al2O3の割合は、好ましくは5.5〜12.5質量%であり、より好ましくは7〜12質量%であり、さらに好ましくは8〜10質量%である。ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3の割合が5.5〜12.5質量%であると、セメントクリンカ組成物の焼成中に生成する液相の粘性低下を抑制し、セメントクリンカ組成物の造粒を適切に進行させ、セメントクリンカ組成物の粒径が小さくなることによってクリンカークーラー中の層圧が一定しなくなることを抑制するとともに、水和熱を低くすることができる。なお、クリンカークーラー中の層圧が一定しなくなると、セメントクリンカ組成物の急冷に支障をきたす場合がある。
本発明のセメントクリンカ組成物におけるボーグ式で算出された4CaO・Al2O3・FeO3の割合は、好ましくは4.5〜12.5質量%であり、より好ましくは7〜11質量%であり、さらに好ましくは7.5〜9.5質量%である。ボーグ式で算出された4CaO・Al2O3・FeO3の割合が4.5〜12.5質量%であると、セメントクリンカ組成物が発現する強度をより高くすることができるとともに、水和熱をより低くすることができる。
本発明のセメントクリンカ組成物はMgOを含む。本発明のセメントクリンカ組成物におけるMgOの含有量は、0.5〜3.0質量%であり、好ましくは0.9〜2.4質量%であり、より好ましくは1.5〜2.4質量%であり、さらに好ましくは2.0〜2.4質量%である。MgOの含有量が0.5質量%未満であると、セメントクリンカ組成物の焼成時に生成する液相の量が少なくなり、液相介在による固相−液相反応が速やかに進まなくなり、セメントクリンカ組成物の焼成が不十分になる。MgOの含有量が3.0質量%よりも大きいと、コンクリートやモルタルの硬化の際に、水和膨張が起こる場合がある。なお、MgOの含有量は、JISR 5202:1999「セメントの化学分析方法」に準拠して測定される。また、MgOは、たとえば、MgOを多く含むスラグをセメントクリンカ組成物の原料として用いることにより、セメントクリンカ組成物へ導入される。
本発明のセメントクリンカ組成物はSO3を含む。本発明のセメントクリンカ組成物におけるSO3の含有量は、0.3〜1.5質量%であり、好ましくは0.5〜1.2質量%であり、より好ましくは0.5〜1.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜0.8質量%である。SO3の含有量が0.3質量%未満であると、高炉セメントを用いたコンクリートやモルタルの初期強度が低下する場合がある。SO3の含有量が1.5質量%よりも大きいと、高炉セメントを用いた硬化後のコンクリートやモルタルに膨張亀裂が発生する場合がある。なお、SO3の含有量は、JIS R 5202:1999「セメントの化学分析方法」に準拠して測定される。また、SO3は、たとえば、Sを多く含むオイルコークスなどをセメントクリンカ組成物の原燃料として用いることにより、セメントクリンカ組成物に導入される。
本発明のセメントクリンカ組成物はFを含む。本発明のセメントクリンカ組成物におけるFの含有量は、100〜800質量ppmであり、好ましくは200〜650質量ppmであり、より好ましくは300〜600質量ppmであり、さらに好ましくは400〜600質量ppmである。Fの含有量が100質量ppm未満であると、セメントクリンカ組成物の焼成時に生成する液相の量が少なくなるため、液相介在による固相−液相反応が速やかに進まなくなり、セメントクリンカ組成物の焼成が不十分になる場合がある。Fの含有量が800質量ppmよりも大きいと、コンクリートやモルタルの凝結が遅延する場合がある。なお、Fの含有量は、JCASI I−53:2013「セメント中の微量成分の定量方法」に準拠して測定される。また、Fは、たとえば、Fを多く含む都市ごみ焼却灰などをセメントクリンカ組成物の原料として用いることにより、セメントクリンカ組成物に導入される。
本発明のセメントクリンカ組成物において、MgOの含有量、SO3の含有量およびFの含有量は、下記の式(1)の関係を満たす。(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))の値(以下、式値と呼ぶ場合がある)が200未満であると、高炉セメント組成物を用いたコンクリートやモルタルの長期強度が低くなる。式値が1000よりも大きいと、高炉セメント組成物を用いたコンクリートやモルタルの初期強度が低くなる場合がある。
200≦(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))≦1000 (1)
なお、上記式値は、好ましくは1000未満であり、より好ましくは990以下であり、さらに好ましくは980以下である。
M1相は、3CaO・SiO2の7種の結晶多形の1つをなす相であり、単斜晶系の結晶構造を示す。一般に3CaO・SiO2については、三斜晶であるT1、T2およびT3、単斜晶であるM1、M2およびM3、菱面体晶であるRの7種の結晶多形が知られており、クリンカ原料の焼成中には、まずR相が生成し、冷却後には、M1相およびM3相が存在し、ごくまれにM1相およびM3相とを比較して極微量のT2相が生成される場合もある。C3S−M1格子体積の測定方法については、後述の実施例で説明する。
本発明のセメントクリンカ組成物は、たとえば、以下のようにして製造することができる。セメントクリンカ原料としては、Ca、Si、Al、Fe、Mg、S、Fなどを含むものであれば、元素単体物、酸化物、炭酸化物などの形態を問わず用いることができ、また、それらの混合物を用いることができる。天然原料の例として、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料が挙げられ、工業的な原料の例として、上記元素を含む廃棄物原料、高炉スラグ、フライアッシュなどが挙げられる。かかるセメントクリンカ原料の混合割合に関しては、上記式(1)の関係を満たすセメントクリンカ組成物が製造できれば、とくに限定されるものではなく、目的とする鉱物組成に対応した成分組成となるように原料配合を定めることができる。
本発明の高炉セメント組成物は、本発明のセメントクリンカ組成物と高炉水砕スラグと石膏とを含む。高炉セメント組成物は、スラグ量に応じてA、B、Cの3種類に分類される。A種のスラグ量は5〜30質量%であり、B種のスラグ量は30〜60質量%であり、C種のスラグ量は60〜70質量%である。なお、本発明の高炉セメント組成物における石膏の割合は、SO3換算量で好ましくは0.5〜2.5質量%であり、より好ましくは1.0〜1.8質量%である。
本発明の高炉セメント組成物を、水と混合することにより、セメントミルクを作製することができ、水および砂と混合することにより、モルタルを作製することができ、砂および砂利と混合することにより、コンクリートを製造することができる。また、上記高炉セメント組成物からモルタルやコンクリートを作製する際、高炉スラグやフライアッシュなどを添加することもできる。
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物を次の評価方法で評価した。
(3CaO・SiO2、2CaO・SiO2、3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の割合)
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物中の3CaO・SiO2、2CaO・SiO2、3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の割合は、セメントクリンカの原料の配合量からセメントクリンカ組成物におけるCaO、SiO2、Al2O3およびFe2O3の割合を算出し、その算出結果を用いてボーグ式で算出した。
上記で算出した3CaO・Al2O3の割合と、4CaO・Al2O3・FeO3の割合とを足し算して、3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合を算出した。
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物中のMgOの含有量は、クリンカ原料を配合するときの塩基性炭酸マグネシウムの配合量から算出した。
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物中のSO3の含有量は、クリンカ原料を配合するときの硫酸カルシウム2水和物の配合量から算出した。
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物中のFの含有量は、クリンカ原料を配合するときのフッ化カルシウムの配合量から算出した。
上記で算出したMgOの含有量、SO3の含有量およびFの含有量を下記式(2)に代入して式値Xを算出した。
X=(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%)) (2)
C3S−M1格子体積は、「セメント化学専門委員会報告 C−12 測定方法の違いによるクリンカ鉱物量の差異の検討、第二部 第4章 粉末X線回折/Rietveld解析による定量に関する検討」の233頁に準拠してセメントクリンカのリートベルト解析を実施し、C3S−M1格子体積を算出した
粉末X線回析装置(パナリティカル社製、X’Part Powder)を用い、測定条件を、測定範囲:2θ=10〜70°、ステップサイズ:0.17°、スキャンスピード:0.1012°/s、電圧:45kV、電流:40mAとして、X線回折測定を行い、X線回折プロファイルを得た。
次に、上記ソフトウエアに搭載されたリートベルト法による解析機能を用い、上記のセメントクリンカ鉱物相について、結晶構造パラメータの精密化を実施した。リートベルト解析に用いた基本結晶構造データの初期値は、文献「セメント化学専門委員会報告 C−12 測定法の違いによるクリンカ鉱物量の差異の検討 第二部 第4章 粉末X線回折/Rietveld解析による定量に関する検討」の表−4.2を参考とした。セメントクリンカ全体の結晶構造パラメータの精密化に必要なパラメータとして格子定数、スケールファクター等を選択し、精密化操作を実行した。これにより、理論プロファイルが実測したX線回折プロファイルとフィッティングするように上記精密化に必要なパラメータが可変されることによって精密化操作が繰り返された後、最終的に精密化された格子定数からC3S−M1相格子体積を算出した。
JIS R5201「セメントの物理試験方法:10.4供試体の作り方」に準拠して、実施例および比較例のセメントクリンカ組成物を用いて作製した、スラグのそれぞれの割合のセメント組成物から作製したモルタルをそれぞれ、40×40×160mmの金属型枠3個に打設し、24時間後に脱型してモルタル供試体を3個ずつ作製した。20℃水中で材齢7日まで養生し、JISR 5201「セメントの物理試験方法:10.5測定」に準拠して、圧縮強さを測定した。そして、スラグが添加されていないセメント組成物を用いて作製したモルタル供試体の7日材齢モルタル強度に対するスラグの割合が20質量%であるセメント組成物を用いて作製したモルタル供試体の7日材齢モルタル強度の強度比、スラグが添加されていないセメント組成物を用いて作製したモルタル供試体の7日材齢モルタル強度に対するスラグの割合が40質量%であるセメント組成物を用いて作製したモルタル供試体の7日材齢モルタル強度の強度比、およびスラグが添加されていないセメント組成物を用いて作製したモルタル供試体の7日材齢モルタル強度に対するスラグの割合が60質量%であるセメント組成物を用いて作製したモルタル供試体の7日材齢モルタル強度の強度比をそれぞれ算出した。
以下のようにして、実施例および比較例のセメント組成物を作製した。
(セメントクリンカ組成物の作製)
クリンカ原料として、炭酸カルシウム(キシダ化学(株)製、試薬1級、CaCO3)、二酸化珪素(キシダ化学(株)製、試薬1級、SiO2)、酸化アルミニウム(関東化学(株)製、試薬1級、Al2O3)、酸化鉄(III)(関東化学(株)製、試薬特級、Fe2O3)、塩基性炭酸マグネシウム(キシダ化学(株)製、試薬特級、4MgCO3・Mg(OH)2・5H2O)、炭酸ナトリウム(関東化学(株)製、試薬特級、Na2CO3)、炭酸カリウム(関東化学(株)製、試薬特級、K2CO3)、硫酸カルシウム2水和物(キシダ化学(株)製、試薬1級、CaSO4・2H2O)およびフッ化カルシウム(和光純薬工業(株)製、型番:No.031−08551)を用いた。実施例1〜13および比較例1〜5におけるセメントクリンカを作製するためのクリンカ原料の配合量を表1に示す。
上記作製したセメントクリンカ組成物に内割りでSO3換算量1.5質量%の半水石膏(関東化学株式会社製半水石膏、型番:07108−01(焼石膏、鹿1級)を配合した。そして、配合物を、ブレーン比表面積値が約3300〜約4000cm2/gの範囲となるようにボールミルで粉砕し、ブレーン比表面積値が約4000〜5000に調製した高炉スラグ微粉末を、セメント組成物中の割合が0質量%、20質量%、40質量%および60質量%になるようにそれぞれ配合して、各実施例および比較例のセメントクリンカ組成物を用いたセメント組成物を作製した。
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠してモルタルを調製した。
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物の組成を下記の表2に示し、セメント組成物中のスラグの割合を変えたときの7日材齢モルタル強度の結果を下記の表3に示し、評価結果を下記の表4に示す。
[1]ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の合計の割合が10〜25質量%であり、MgO、SO3およびFを含み、MgOの含有量が0.5〜3.0質量%であり、SO3の含有量が0.3〜1.5質量%であり、Fの含有量が100〜800質量ppmであり、MgOの含有量、SO3の含有量およびFの含有量が下記の式(1)の関係を満たし、C 3 S−M1格子体積が721.0〜724.3Å 3 であるセメントクリンカ組成物。
200≦(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))≦1000 (1)
[2]上記[1]に記載のセメントクリンカ組成物と、高炉水砕スラグと、石膏とを含む高炉セメント組成物。
本発明のセメントクリンカ組成物は、ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の合計の割合が10〜25質量%であり、MgO、SO3およびFを含み、MgOの含有量が0.5〜3.0質量%であり、SO3の含有量が0.3〜1.5質量%であり、Fの含有量が100〜800質量ppmであり、MgOの含有量、SO3の含有量およびFの含有量が下記の式(1)の関係を満たす。
200≦(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))≦1000 (1)
また、本発明のセメントクリンカ組成物は、好ましくは高炉セメント用セメントクリンカ組成物として使用される。
本発明のセメントクリンカ組成物におけるボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の合計の割合は、10〜25質量%であり、好ましくは15〜20質量%であり、より好ましくは16.5〜18.5質量%であり、さらに好ましくは17.5〜18.0質量%である。ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の合計の割合が10質量%未満であると、セメントクリンカ組成物の焼成時に生成する液相の量が少なくなるため、液相介在による固相−液相反応が速やかに進まなくなり、セメントクリンカ組成物の焼成が不十分になる場合がある。また、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の合計の割合が25質量%よりも大きいと、操業不良を引き起こしやすくなると同時に、強度に寄与するカルシウムシリケート鉱物の生成が少なくなるため、本発明のセメントクリンカ組成物を用いた高炉セメント組成物の強度が低下する場合がある。また、セメントクリンカ組成物の水和熱が高くなりすぎる場合がある。
本発明のセメントクリンカ組成物におけるボーグ式で算出された4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の割合は、好ましくは4.5〜12.5質量%であり、より好ましくは7〜11質量%であり、さらに好ましくは7.5〜9.5質量%である。ボーグ式で算出された4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の割合が4.5〜12.5質量%であると、セメントクリンカ組成物が発現する強度をより高くすることができるとともに、水和熱をより低くすることができる。
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物を次の評価方法で評価した。
(3CaO・SiO2、2CaO・SiO2、3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の割合)
実施例および比較例のセメントクリンカ組成物中の3CaO・SiO2、2CaO・SiO2、3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の割合は、セメントクリンカの原料の配合量からセメントクリンカ組成物におけるCaO、SiO2、Al2O3およびFe2O3の割合を算出し、その算出結果を用いてボーグ式で算出した。
上記で算出した3CaO・Al2O3の割合と、4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の割合とを足し算して、3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・Fe 2 O3の合計の割合を算出した。
Claims (2)
- ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、
ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、
ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3および4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が10〜25質量%であり、
MgO、SO3およびFを含み、
MgOの含有量が0.5〜3.0質量%であり、
SO3の含有量が0.3〜1.5質量%であり、
Fの含有量が100〜800質量ppmであり、
前記MgOの含有量、前記SO3の含有量および前記Fの含有量が下記の式(1)の関係を満たすセメントクリンカ組成物。
200≦(MgOの含有量(質量%))×(Fの含有量(質量ppm))÷(SO3の含有量(質量%))≦1000 (1) - 請求項1に記載のセメントクリンカ組成物と、高炉水砕スラグと、石膏とを含む高炉セメント組成物。
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