JP6780796B1 - セメントクリンカ及びセメント組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
<1>ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・Fe2O3の合計の割合が15〜22質量%であり、MgO、TiO2、MnO及びZnOを含み、下記式(1)を満たす、セメントクリンカ。
CMg−C3A×CTi−C3A×CMn−C3A×CZn−C3A≦0.0010 ・・・(1)
式(1)中、
CMg−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMgOの含有率(質量%)を表し、
CTi−C3Aは、3CaO・Al2O3中のTiO2の含有率(質量%)を表し、
CMn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMnOの含有率(質量%)を表し、
CZn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のZnOの含有率(質量%)を表す。
<2>前記3CaO・Al2O3中のFe2O3の含有率が、6.32質量%未満である、<1>に記載のセメントクリンカ。
<3>前記TiO2の含有率が、0.24質量%未満である、<1>または<2>に記載のセメントクリンカ。
<4><1>〜<3>のいずれかに記載のセメントクリンカと、石膏とを含むセメント組成物。
<5>原料を配合する工程と、配合された前記原料を焼成する工程と、を含むセメントクリンカの製造方法であって、焼成後のセメントクリンカが、ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・Fe2O3の合計の割合が15〜22質量%であり、MgO、TiO2、MnO及びZnOを含み、下記式(1)を満たす、製造方法。
CMg−C3A×CTi−C3A×CMn−C3A×CZn−C3A≦0.0010 ・・・(1)
式(1)中、
CMg−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMgOの含有率(質量%)を表し、
CTi−C3Aは、3CaO・Al2O3中のTiO2の含有率(質量%)を表し、
CMn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMnOの含有率(質量%)を表し、
CZn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のZnOの含有率(質量%)を表す。
本発明のセメントクリンカは、ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・Fe2O3の合計の割合が15〜22質量%であり、MgO、TiO2、MnO及びZnOを含み、下記式(1)を満たす、セメントクリンカ。
CMg−C3A×CTi−C3A×CMn−C3A×CZn−C3A≦0.0010 ・・・(1)
式(1)中、
CMg−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMgOの含有率(質量%)を表し、
CTi−C3Aは、3CaO・Al2O3中のTiO2の含有率(質量%)を表し、
CMn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMnOの含有率(質量%)を表し、
CZn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のZnOの含有率(質量%)を表す。
本発明のセメントクリンカは、好適には普通ポルトランドセメントに使用される。
本発明のセメントクリンカは、3CaO・SiO2(略号:C3S)、2CaO・SiO2(略号:C2S)、3CaO・Al2O3(略号:C3A)、及び4CaO・Al2O3・FeO3(略号:C4AF)を含む。セメントクリンカは、エーライト(C3S)及びビーライト(C2S)の主要鉱物と、その主要鉱物の結晶間に存在するアルミネート相(C3A)及びフェライト相(C4AF)の間隙相などとから構成される。
本発明のセメントクリンカにおけるボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合は、50〜75質量%である。ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50質量%未満であると、セメントクリンカによって発現されるコンクリートやモルタルの強度が低下する場合がある。ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が75質量%よりも大きいと、セメント組成物の水和熱が高くなりすぎる場合がある。ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合は、50〜70質量%であることが好ましく、55〜70質量%であることがより好ましく、55〜67質量%であることが更に好ましい。
本発明のセメントクリンカにおけるボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合は、5〜25質量%である。ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5質量%未満であると、結果的に、3CaO・SiO2の割合が高くなり、セメント組成物の水和熱が高くなりすぎる場合がある。また、ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が25質量%よりも大きくなると、セメント組成物によって発現されるコンクリートやモルタルの短期強度が低くなりすぎる場合がある。ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合は、10〜25質量%であることが好ましく、11〜23質量%であることがより好ましく、12〜22質量%であることが更に好ましい。
本発明のセメントクリンカにおけるボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合は、15〜22質量%である。ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が15質量%未満であると、セメントクリンカの焼成時に生成する液相の量が少なくなるため、液相介在による固相−液相反応が速やかに進まなくなり、セメントクリンカの焼成が不十分になる場合がある。また、セメントキルン中にダストが飛散し、バーナーからの輻射熱が遮断されるため、セメントクリンカの焼成を効率よく実施できない場合がある。また、ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合が22質量%よりも大きいと、操業不良を引き起こしやすくなると同時に、強度に寄与するカルシウムシリケート鉱物の生成が少なくなるため、本発明のセメントクリンカを用いたセメント組成物の強度が低下する場合がある。また、セメント組成物の水和熱が高くなりすぎる場合がある。ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・FeO3の合計の割合は、17〜22質量%であることが好ましく、18〜22質量%であることがより好ましく、18〜20質量%であることが更に好ましい。
本発明のセメントクリンカにおけるボーグ式で算出された3CaO・Al2O3の割合は、好ましくは5.5〜12.5質量%であり、より好ましくは7〜12質量%であり、さらに好ましくは8〜11質量%である。ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3の割合が上記範囲であると、セメントクリンカの焼成中に生成する液相の粘性低下を抑制し、セメントクリンカの造粒を適切に進行させ、セメントクリンカの粒径が小さくなることによってクリンカークーラー中の層圧が一定しなくなることを抑制するとともに、水和熱を低くすることができる。なお、クリンカークーラー中の層圧が一定しなくなると、セメントクリンカの急冷に支障をきたす場合がある。
本発明のセメントクリンカにおけるボーグ式で算出された4CaO・Al2O3・FeO3の割合は、好ましくは8.5〜12.5質量%であり、より好ましくは9.0〜11.5質量%であり、さらに好ましくは9.5〜11.0質量%である。ボーグ式で算出された4CaO・Al2O3・FeO3の割合が上記範囲であると、セメント組成物が発現する強度をより高くすることができるとともに、水和熱をより低くすることができる。
本発明のセメントクリンカは、微量成分としてMgO、TiO2、MnO及びZnOを含む。MgO、TiO2、MnOの各含有量は、JIS R 5204:2019「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠して測定される。ZnOの含有量はJCAS I−53:2018「セメント中の微量成分の定量方法」に準拠して測定される。
MgOは、例えば、MgOを多く含むスラグをセメントクリンカの原料として用いることにより、セメントクリンカへ導入される。
TiO2は、例えば、チタン石膏やフライアッシュをセメントクリンカの原料として用いることにより、セメントクリンカへ導入される。
MnOは、例えば、高炉スラグ、転炉スラグをセメントクリンカの原料として用いることにより、セメントクリンカへ導入される。
ZnOは、例えば、都市ごみ焼却灰をセメントクリンカの原料として用いることにより、セメントクリンカへ導入される。
本発明において、セメントクリンカ中のMgOの含有量は、好ましくは0.50〜2.00質量%、より好ましくは0.80〜1.80質量%、更に好ましくは0.95〜1.60質量%である。MgOの含有量が上記範囲であることにより、セメントクリンカの焼成が良好となるとともに、コンクリートやモルタルの硬化の際の水和膨張を抑制することができる。
CMg−C3A×CTi−C3A×CMn−C3A×CZn−C3A≦0.0010 ・・・(1)
CMg−C3A:3CaO・Al2O3中のMgOの含有率(質量%)
CTi−C3A:3CaO・Al2O3中のTiO2の含有率(質量%)
CMn−C3A:3CaO・Al2O3中のMnOの含有率(質量%)
CZn−C3A:3CaO・Al2O3中のZnOの含有率(質量%)
式(1)中、CMg−C3A、CTi−C3A、CMn−C3A、CZn−C3Aは、実際のセメントクリンカにおいてC3Aに含まれる各成分の含有率を表している。式(1)は、重回帰分析により求めることができる。
(a)C3S:多角形粒子、明灰色、大きさ数十μm。
(b)C2S:楕円形粒子、暗灰色、大きさ数十μm。
(c)C3A:C3S及びC2Sと特定された粒子間に見られる不定形組織、暗灰色、大きさ数μm〜十数μm。
(d)C4AF:C3S及びC2Sと特定された粒子間に見られる不定形組織、白色、大きさ数μm〜十数μm。
上記指標で特定されたC3Aについて電子線マイクロアナライザ(EPMA)により特性X線分析を行い、C3A中のMgO、TiO2、MnO及びZnOの含有率(質量%)を求める。なお、本発明では、組成像でC3Aと特定された領域の複数点に対して特性X線分析を行い、1.35<(CaO含有率)/(Al2O3含有率+Fe2O3含有率)<2.2の範囲内となる点を分析点として採用する。そして、20点の分析点での各成分の測定値の平均を、それぞれCMg−C3A、CTi−C3A、CMn−C3A、CZn−C3Aとする。
式(1)は、C3A中のMgO、TiO2、MnO及びZnOの含有量が少ないことを表している。C3A中の微量成分が少ないことにより、C3Aの活性が下がり、この結果、水和熱が低減されると推測される。水和熱を低減させるとの観点から、式(1)の左辺は0.0008以下であることが好ましい。一方で、C3Aの活性をある程度確保して、モルタルやコンクリートの凝結時間の遅延を防止するとの観点から、式(1)の左辺は、0.0001以上であることが好ましい。
MnO及びZnOは、一般的なポルトランドセメントクリンカでは非常に微量な成分であるものの、C3Aの相対的な析出量の低減やC3A中の結晶構造に関連して水和熱に対する影響を無視できるものではないと考えられる。
実際のセメントクリンカ中の鉱物は、上記微量成分や製造条件などの影響により、各相の主成分に対して他の成分が固溶して形成されている。Fe2O3は、大部分がC4AFに含まれるが、一部はC3A、C3S及びC2Sにも固溶する。ここで、上記ボーグ式で表される鉱物組成の範囲では、実鉱物において間隙相であるC3A中に含まれるFe2O3の含有率が少なくなるほど、C3Aが析出しにくく、C4AFが析出やすい状況であると推測される。つまり、セメントクリンカ中のFe2O3及びAl2O3は、C4AFの析出に消費されやすく、相対的にセメントクリンカ中のC3Aの割合が低減することに繋がる。上記のように、C3A中のFe2O3の含有率が6.32質量%未満であることにより、水和熱上昇の原因となるC3Aの析出が抑制されて、水和熱の低減効果を得ることができる。C3A中のFe2O3の含有率は、6.00質量%以下であることがより好ましく、5.90質量%以下であることが更に好ましく、5.80質量%以下であることが特に好ましい。
CAl2O3×(33.06)+CFe2O3×(−8.12)+CMgO×(−48.08)+CTiO2×(−163.60)+CMnO×(−390.81)+CZnO×(104.60)<42.9・・・(2)
式(2)において、CAl2O3はAl2O3の含有率(質量%)、CFe2O3はFe2O3の含有率(質量%)、CMgOはMgOの含有率(質量%)、CTiO2はTiO2の含有率(質量%)、CMnOはMnOの含有率(質量%)、CZnOはZnOの含有率(質量%)である。CAl2O3、CFe2O3、CMgO、CTiO2、CMnOは、JIS R 5204:2019「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠して測定され、CZnOはJCAS I−53:2018「セメント中の微量成分の定量方法」に準拠して測定される。式(2)は、重回帰分析により求めることができる。
本発明のクリンカは、例えば、以下のようにして製造することができる。
クリンカ原料としては、Ca、Si、Al、Feの他、少なくともMg、Ti、Mn、Znを含むものを用いる。上記元素を含むのであれば、元素単体物、酸化物、炭酸化物などの形態を問わず用いることができ、また、それらの混合物を用いることができる。例えば、天然原料として、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料が挙げられ、工業的な原料の例として、上記元素を含む廃棄物原料、高炉スラグ、フライアッシュなどが挙げられる。クリンカ原料の混合割合に関しては、目的とするボーグ式値に対応した成分組成となり、かつ、焼成後のセメントクリンカにおいて式(1)ように、原料配合を定める。例えば、セメントクリンカの化学組成が式(2)を満たすように、原料を配合する。
本発明のセメント組成物は、上記セメントクリンカと、石膏とを含む。セメントクリンカ及び石膏の混合物のブレーン比表面積は、3000cm2/g以上3400cm2/g以下であることが好ましく、3100cm2/g以上3300cm2/g以下であることがより好ましい。
<石膏>
本発明のセメント組成物における石膏の割合は、SO3換算量で好ましくは0.5〜2.5質量%、より好ましくは1.0〜1.8質量%である。石膏の割合が上記範囲とすることにより、セメント組成物の乾燥収縮を適切にすることができるとともに、セメント組成物が発現する強度を高くすることができる。石膏中のSO3の割合は、JIS R 5202:2010「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。セメント組成物中の石膏のSO3に換算した質量の割合は、石膏の配合量と石膏に含まれるSO3の割合から求めることができる。
石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏のいずれも使用することができる。
本発明のセメント組成物には、流動性、水和速度または強度発現の調節用として、フライアッシュ、高炉スラグあるいはシリカフュームなどをさらに添加することができる。また、本発明のセメント組成物に、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤、特にポリカル系高性能AE減水剤を添加することができる。
本発明のセメント組成物を、水と混合することにより、セメントミルクを作製することができ、水及び砂と混合することにより、モルタルを作製することができ、砂及び砂利と混合することにより、コンクリートを製造することができる。また、上記セメント組成物からモルタルやコンクリートを作製する際、高炉スラグやフライアッシュなどを添加することもできる。
1.測定及び評価
1−1.クリンカ組成
実施例及び比較例のセメントクリンカ中の化学組成(各成分の含有率)を、JIS R 5204:2019「セメントの蛍光X線分析方法」及びJCAS I−53:2018「セメント中の微量成分の定量方法」に準拠して測定した。鉱物組成は、得られたCaO、SiO2、Al2O3及びFe2O3の質量割合から、下記のボーグ式を用いて算出した。結果を表1に示す。
C3S=(4.07×CaO)−(7.60×SiO2)−(6.72×Al2O3)−(1.43×Fe2O3)
C2S=(2.87×SiO2)−(0.754×C3S)
C3A=(2.65×Al2O3)−(1.69×Fe2O3)
C4AF=3.04×Fe2O3
更に、得られた各成分の含有率を用い、式(2)の左辺の値を算出した。結果を表2に示す。
実施例及び比較例のセメントクリンカを、粒径1〜2mm程度に粉砕し、粒度調整を行った。得られた粒子をエポキシ樹脂に包埋し、その後樹脂表面を鏡面研磨した。鏡面研磨後、樹脂表面に炭素蒸着を行い、EPMA測定用試料を作製した。
測定装置として日本電子社製、EPMA JXA−8200を用い、下記条件で上記試料の鏡面におけるセメントクリンカ粒子の組織像を観察した。組織像において、前記(a)〜(d)の特徴に基づき各鉱物を特定した。
<EPMA 組織像観察条件>
・加速電圧:15kV
・照射電流:3.0×10−8A
<EPMA 組織像観察条件>
・加速電圧:15kV
・照射電流:3.0×10−8A
・ビーム径:約1μm
・補正計算法:Oxide−ZAF法
試料中の複数のセメントクリンカ粒子について上記分析を行い、計20点の分析点での各成分の含有率(質量%)を取得し、その平均値をC3A中のCMg−C3A、CTi−C3A、CMn−C3A、CZn−C3A、及び、CFe−C3Aとした。更に、得られた各成分の含有率から、式(1)の左辺の値を算出した。結果を表2に示す。
実施例及び比較例のセメントクリンカに対して、粉末X線回析装置(パナリティカル社製、X’Part Powder)を用い、測定条件を、測定範囲:2θ=10〜70°、ステップサイズ:0.017°、スキャンスピード:0.1012°/s、電圧:45kV、電流:40mAとして、X線回折測定を行い、X線回折プロファイルを得た。
得られたX線回析プロファイルについて、上記粉末X線回析装置に備えられた結晶構造解析用ソフトウエア(パナリティカル社製、X’Part High Score Plus version 2.1b)を用い、セメントクリンカ鉱物の定量を行った。解析対象のセメントクリンカ鉱物は、C3S−M1(M1相)、C3S−M3(M3相)、C2S−α’H(α’H相)、C2S−β(β相)、C3A−cubic(立方晶)、C3A−ortho(斜方晶)、C4AFとした。
上記ソフトウエアに搭載されたリートベルト法による解析機能を用い、文献「セメント化学専門委員会報告 C−12 測定法の違いによるクリンカ鉱物量の差異の検討 第二部 第4章 粉末X線回折/Rietveld解析による定量に関する検討」の共同実験手順書2に準拠して、セメントクリンカの各鉱物の割合(質量%)を得た。また、各鉱物の割合の合計を100質量%とし、各実施例及び比較例のC3Aの含有率(CC3A、質量%)及びC4AFの含有率(CC4AF、質量%)を得た。結果を表2に示す。
実施例及び比較例のセメントについて、材齢7日及び材齢28日での水和熱を、JIS R 5203:2015「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に準拠して測定した。基準値として、材齢7日での水和熱を350J/g、材料28日での水和熱を400J/gに設定した。材齢7日及び材齢28日いずれも基準値以下の水和熱となったものを「A」評価、いずれかの材齢で基準値を超えるものを「C」評価とした。結果を表2に示す。
実施例及び比較例のモルタルから得たモルタル供試体について、材齢3日の圧縮強さを、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して測定した。結果を表2に示す。
2−1.クリンカ
セメントクリンカの原料として、炭酸カルシウム(キシダ化学(株)製、試薬1級、CaCO3)、二酸化珪素(関東化学(株)製、試薬1級、SiO2)、酸化アルミニウム(関東化学(株)製、試薬1級、Al2O3)、酸化鉄(III)(関東化学(株)製、試薬特級、Fe2O3)、塩基性炭酸マグネシウム(キシダ化学(株)製、試薬特級、4MgCO3・Mg(OH)2・5H2O)、炭酸ナトリウム(キシダ化学(株)製、特級、Na2CO3)、炭酸カリウム(関東化学(株)製、試薬1級、K2CO3)、硫酸カルシウム2水和物(キシダ化学(株)製、試薬1級、CaSO4・2H2O)、二酸化チタン(関東化学(株)製、試薬特急、TiO2)、リン酸三カルシウム(キシダ化学(株)製、試薬1級、Ca3(PO4)2)、酸化マンガン(関東化学(株)製、鹿1級、MnO2)、及び、酸化亜鉛(関東化学(株)製、試薬特級、ZnO)を用いた。
上記作製したセメントクリンカに、内割でSO3換算量1.5質量%の半水石膏(関東化学(株)製、半水石膏、型番:07108−01(焼石膏 鹿1級))を配合した。当該配合物を、ブレーン比表面積値が約3200±200cm2/gの範囲となるようにボールミルで粉砕して、実施例1〜9及び比較例1〜2のセメント組成物を作製した。
実施例及び比較例のセメント組成物から、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠してモルタルを調整した。得られたモルタルを、40mm×40mm×160mmの金属型枠3個に打設し、24時間後に脱型して供試体を3個ずつ作製した。その後、20℃水中で材齢3日まで養生して、各実施例及び比較例のモルタル供試体を得た。
Claims (5)
- ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、
ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、
ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・Fe2O3の合計の割合が15〜22質量%であり、
MgO、TiO2、MnO及びZnOを含み、
下記式(1)を満たす、セメントクリンカ。
CMg−C3A×CTi−C3A×CMn−C3A×CZn−C3A≦0.0010 ・・・(1)
式(1)中、
CMg−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMgOの含有率(質量%)を表し、
CTi−C3Aは、3CaO・Al2O3中のTiO2の含有率(質量%)を表し、
CMn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMnOの含有率(質量%)を表し、
CZn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のZnOの含有率(質量%)を表す。 - 前記3CaO・Al2O3中のFe2O3の含有率が、6.32質量%未満である、請求項1に記載のセメントクリンカ。
- 前記TiO2の含有率が、0.24質量%未満である、請求項1または請求項2に記載のセメントクリンカ。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセメントクリンカと、石膏とを含むセメント組成物。
- 原料を配合する工程と、配合された前記原料を焼成する工程と、を含むセメントクリンカの製造方法であって、
焼成後のセメントクリンカが、
ボーグ式で算出された3CaO・SiO2の割合が50〜75質量%であり、
ボーグ式で算出された2CaO・SiO2の割合が5〜25質量%であり、
ボーグ式で算出された3CaO・Al2O3及び4CaO・Al2O3・Fe2O3の合計の割合が15〜22質量%であり、
MgO、TiO2、MnO及びZnOを含み、
下記式(1)を満たす、製造方法。
CMg−C3A×CTi−C3A×CMn−C3A×CZn−C3A≦0.0010 ・・・(1)
式(1)中、
CMg−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMgOの含有率(質量%)を表し、
CTi−C3Aは、3CaO・Al2O3中のTiO2の含有率(質量%)を表し、
CMn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のMnOの含有率(質量%)を表し、
CZn−C3Aは、3CaO・Al2O3中のZnOの含有率(質量%)を表す。
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