JP2017170487A - 高炭素溶鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

高炭素溶鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】C濃度0.50%以上の高炭素鋼の連続鋳造するに際し、希土類元素とCaを添加してMnSの生成を抑えるとともに、大型のCaS系介在物と低融点介在物をともに低減し、浸漬ノズル詰まり発生を防止する。
【解決手段】転炉から出鋼したC濃度が0.5質量%以上のアルミニウムを用いて脱酸した高炭素溶鋼を、複数の脱硫剤を用いて脱硫処理したのちに連続鋳造するに当たり、金属Caを、希土類元素添加後、かつS濃度が0.0030質量%以下の時点、で添加して脱硫し、当該脱硫処理を施した溶鋼を連続鋳造する。高炭素鋼であるにもかかわらず溶鋼中のCaS析出を抑制するとともに低融点酸化物の生成を抑制することによって鋼の清浄度を向上し、浸漬ノズル詰まりを防止することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素濃度が0.5質量%以上の高炭素溶鋼の連続鋳造方法に関するものである。
高炭素鋼は、一般に強度が高く、延性や靭性が低いため、複雑な加工がなく、過酷な環境下での使用ではない部品などに用いられる場合が多い。そのために、軸受鋼などの一部の鋼材を除いては清浄度についても厳格な要求が少なかった。一方、最近の環境問題により自動車の軽量化が進み、より強度の高い鋼板が使われるようになってきた。このようなニーズのもと、これまでは加工性や疲労特性、靭性などの要求レベルが厳格でなかった高炭素系薄鋼板においても、これらの特性を向上させるために、清浄度の要求レベルの厳格化が進んでいる。
加工性や疲労特性、靭性に影響を及ぼす因子としては、金属組織の影響以外に、欠陥の起点となる介在物が挙げられる。介在物としては、MnSのような延伸性の介在物や粗大な介在物が品質に悪影響を及ぼすことが知られている。MnSの生成防止には、S濃度を低下させることが最も効果的であり、そのための脱硫技術は広く知られている。また、中心偏析部の溶質S濃化部対策として、生成硫化物を形態制御するためのCa添加も一般的に知られた技術である。このように、清浄度を向上させるための技術として、脱硫技術やCa添加技術が一般的であるが、さらにCa添加時に生成する低融点のCaO−Al23系の低融点酸化物の生成防止の観点から、希土類元素とCaを添加してCaO−Al23系の低融点酸化物から希土類元素とCaの酸硫化物に制御する技術も開示されている。
特許文献1は、高靭性の構造用厚鋼板(C=0.08〜0.22質量%)を製造する技術であり、MnSの生成防止のためにCa添加や希土類元素添加の課題(Ca過剰添加によるノズル溶損防止と希土類元素添加によるノズル詰まり防止)を解決する技術として、希土類元素とCaを添加し、希土類元素とCaの複合の酸硫化物を生成させることにより課題を解決するものである。
特許文献2は、ラインパイプや厚鋼板の中でも耐水素誘起割れ性に優れた鋼材(C=0.03〜0.10質量%)に関するものであり、MnS生成防止とCaO−Al23低融点介在物による耐水素誘起割れ性悪化の回避を目的に希土類元素とCaを添加することで酸化物系介在物の組成制御を行うことで課題を解決するものである。
特許文献3は、油井管及びラインパイプに適した溶接部品質の優れた電縫鋼管(C=0.03〜0.15質量%)並びにその製造方法に関するものであり、耐SSC性と低温靭性を向上させるために、Ca添加時に生成するCaO−Al23系酸化物を希土類元素とCaを添加することにより硬質の介在物(希土類元素、Ca、Alを含む複合の酸硫化物)に制御することにより課題を解決するものである。
特許文献4は、伸びフランジ性、曲げ加工性に優れた高強度鋼板(C=0.03〜0.25質量%)に関するものであり、希土類元素とCaを添加することにより微細で硬質な介在物(希土類元素、Ca、Alを含む複合の酸硫化物)に制御することによりMnS生成防止と粗大なアルミナ系酸化物生成を防止することを特徴としている。
上記の従来技術における対象鋼種は、ラインパイプや自動車用高強度薄鋼板、高強度厚鋼板であり、強度と加工性や靭性を両立させるために、炭素濃度が0.25質量%以下の低炭素系鋼種が主である。これらの従来技術は、炭素濃度が0.5質量%以上の高炭素鋼種への適用を試みている事例はない。
特開2011−68949号公報 特開2012−36462号公報 特許5765497号公報 特開2014−109056号公報
第3版鉄鋼便覧II 製銑・製鋼 第690〜693頁
特許文献1〜4に記載されているような、希土類元素とCaを添加する方法をC濃度0.50%以上の高炭素鋼の連続鋳造に適用しようとすると、製造した鋳片中に大型のCaS系介在物が残存して鋼の清浄度を低下させるとともに、連続鋳造の浸漬ノズル詰まりが増大して連続鋳造操業性が悪化することがわかった。
また、鋼中に含まれるCaO−Al23系低融点介在物レベルを、従来の低炭素鋼での実現レベルよりもさらに低減することが求められている。
本発明は、C濃度0.50%以上の高炭素鋼の連続鋳造するに際し、希土類元素とCaを添加してMnSの生成を抑えるとともに、大型のCaS系介在物と低融点介在物をともに低減し、浸漬ノズル詰まり発生を防止することのできる、高炭素溶鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)転炉から出鋼したC濃度が0.5質量%以上の、アルミニウムを用いて脱酸した高炭素溶鋼を、複数の脱硫剤を用いて脱硫処理したのちに連続鋳造するに当たり、
金属Caを、希土類元素添加後、かつS濃度が0.0030質量%以下の時点、で添加して脱硫し、当該脱硫処理を施した溶鋼を連続鋳造することを特徴とする高炭素溶鋼の連続鋳造方法。
(2)上記(1)に記載の連続鋳造方法であって、鋼の成分としてT.Oが10ppm未満の溶鋼を連続鋳造することを特徴とする高炭素溶鋼の連続鋳造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載の連続鋳造方法であって、鋼の成分を下記(1)〜(3)式を満足する範囲で連続鋳造することを特徴とする高炭素溶鋼の連続鋳造方法。
0.0005≦[REM]≦0.0015・・・・(1)
0.0010≦[Ca]≦0.0020・・・・(2)
[S]−[Ca]×0.64≦0.0008・・・・(3)
但し、[S]、[Ca]、[REM]は、それぞれ各元素の鋼中濃度(REMは希土類元素の総濃度)(質量%)を意味する。
本発明は、C濃度0.50%以上の高炭素鋼に希土類元素とCaを添加した上で連続鋳造するに際し、希土類元素添加後に金属Caを添加するとともに、S濃度が0.0030質量%以下で金属Caを添加することにより、高炭素鋼であるにもかかわらず溶鋼中のCaS析出を抑制するとともに低融点酸化物の生成を抑制することによって鋼の清浄度を向上し、浸漬ノズル詰まりを防止することができる。
溶鋼中のCは、溶鋼中でOの反応性を低下させ、Sの反応性を高める元素である。そのため、低炭素領域と高炭素領域では、希土類元素やCaを添加した際の溶鋼中での酸化物と硫化物の生成割合が異なってくる。
従来、希土類元素とCaを添加して介在物形態制御を行うに際しては、炭素濃度が0.25質量%以下の低炭素系鋼種が対象であった。これら低炭素鋼では、溶鋼中のOの反応性が高くSの反応性が低いので、溶鋼中に添加したCaは溶鋼中ではCaOの形で存在し、凝固の過程において、溶鋼中のCaOとSとAlが反応し、CaSとAl23が生成していた。即ち、溶鋼段階ではCaSの生成が抑えられていた。
それに対して炭素濃度が0.50質量%以上の高炭素領域では、溶鋼中においてCaSを優先して生成してしまう。CaSの生成そのものは、MnS生成防止には有効であるものの、溶鋼段階で過剰なCaSが析出すると、CaSの凝集などで粗大なクラスタを生成してしまうため、粗大なCaSクラスタが鋳片中に取り込まれることによって清浄度を悪化させる原因となるとともに、CaSクラスタが浸漬ノズルに析出して浸漬ノズル詰まりの原因になることが判明した。
以下、炭素濃度が0.50質量%以上の高炭素鋼において、溶鋼中に希土類元素とCaを添加する連続鋳造においても、溶鋼段階でのCaS析出を抑え、同時に低融点のCaO−Al23系介在物の生成を抑えることのできる、本発明について詳述する。
[溶鋼中C濃度が0.5質量%以上]
溶鋼中のCは、“O”の反応性を低下させて、“S”の反応性を高める作用があるため、低炭素領域に比べて、溶鋼中C濃度が0.5質量%以上の高炭素領域ではCaSが非常に生成しやすい。そのため、従来技術で開示されている方法の適用ではCaSが過剰に生成することになり、本発明の適用が必要となることから、溶鋼中C濃度が0.5質量%以上である点を規定している。
[金属Caを、希土類元素添加後に添加]
転炉から出鋼した溶鋼をアルミニウムを用いて脱酸した後に、希土類元素とCaを添加する。本発明では、希土類元素とCaの添加順番が第1のポイントとなる。希土類元素とは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(周期表のランタンLaからルテチウムLuまでの15元素)の合計17元素の総称である。Al脱酸後にCaを先に添加すると、Ca添加前のT.Oのばらつきが大きいため、T.Oが高いときに低融点酸化物(CaO−Al23系酸化物)が生成しやすい。これでは必要とする鋼の加工性を確保することができない。従って、金属Ca添加前に希土類元素を溶鋼へ添加し、溶鋼中の溶存酸素量を低下させておくとよい。
なお上記したアルミニウムを用いた脱酸は常用される脱酸形態で良い。例えば、脱酸後の溶鋼中の溶存酸素量が10ppm以下、金属アルミニウム含有量が0.01〜0.1質量%程度である。
アルミニウムを用いた脱酸により溶鋼中の溶存酸素量を10ppm以下にすることにより、希土類元素を添加した後の酸化物がほぼ希土類元素酸化物となり、Ca添加時の低融点介在物(CaO−Al23系酸化物)の生成が抑制される。さらに、アルミニウムを用いた脱酸後に溶鋼中の溶存酸素量が5ppm以下になる条件では、少なくとも鋳造時の溶鋼成分のT.O量が10ppm未満であり、この条件であれば低融点介在物(CaO−Al23系酸化物)の生成を効果的に抑制できる。ここでアルミニウムの代替として脱酸効果が望める元素として、例えばZrを添加(例えば鋼成分として10ppm以上)することが考えられるが、その酸化物は比重が大きく浮上除去効果が望めず、溶鋼中に懸濁する傾向が強いため、T.O値を下げることが困難となるため、酸化物の比重が大きい元素を添加することを避けることが望ましい。
本発明において、希土類元素をCaより先に添加することにより、希土類元素による脱酸でT.Oのばらつきを吸収し、CaO−Al23系低融点酸化物の生成を抑え、高清浄度を実現することができることをはじめて明らかにした。また、少量のCa添加により効果が発現する。
即ち、金属Caを、希土類元素添加後に添加することにより、鋼中のC濃度が0.50%以上の高炭素鋼においてCa系介在物をCaO−REM酸化物あるいはCaSとすることで低融点のCa系酸化物生成を抑えられるため、従来に比較して低融点酸化物の残存レベルが改善された、清浄度の優れた鋼を製造することが可能となる。
[Caを添加する前のS濃度を0.0030質量%以下とする]
Caを添加するときのS濃度が高いと(0.0030質量%を超えると)、高炭素鋼での本発明では溶鋼段階におけるCaSの生成量が多くなり、溶鋼中でCaSの凝集粗大化を招きやすく、かえって清浄度を悪化させるとともに、生成したCaSが浸漬ノズルで析出して浸漬ノズル詰まりの要因となる。
本発明は、Caを添加する前のS濃度を0.0030質量%以下とすることにより、C≧0.50%の高炭素鋼であるにもかかわらず、溶鋼中でのCaS生成量を抑えることができ、粗大CaSによる鋼の清浄度悪化を防止し、浸漬ノズル詰まりを防止することができる。
Ca添加前の溶鋼中のS濃度を0.0030質量%以下とするためには、溶銑予備処理でS濃度をあらかじめ低下させておき、転炉での吹錬や転炉からの出鋼時の副原料からのS成分の混入を防止することが良い。さらに、転炉からの出鋼時にスラグ改質(スラグの酸化度を低下させる)と溶鋼の脱酸を目的として金属AlやCaOを添加することにより、Ca添加前のS濃度を低下させることができるとともに、溶鋼中の全酸素量を低減できるため、少量の添加量で安定的な効果が見込める。合金成分の調整後でCa添加前に、溶鋼中のS濃度が0.0030質量%以下にならない場合には、CaOを主成分とする脱硫剤を使用して、S濃度を0.0030質量%以下とする。
[その他の特徴]
本発明はまた、溶鋼を、複数の脱硫剤を用いて脱硫処理したのちに連続鋳造することを特徴とする。“複数の脱硫剤”とは、CaOを代表とする酸化物や硫化物が生成する合金成分(希土類元素やCa)を含むものを示している。前述のとおり高炭素鋼においては、溶鋼に金属Caを添加すると溶鋼段階でCaSが生成し、その一部は溶鋼表面に浮上分離するので、金属Caを脱硫剤とした脱硫が進行する。
本発明は、以上のように脱硫処理を施した溶鋼を連続鋳造することにより、本発明の効果を発揮することができる。
[本発明の好ましい要件]
連続鋳造時の希土類元素総濃度及びCa濃度の鋼成分を、下記(1)(2)式のように規定すると良い。なお、下記(1)〜(3)式において、[S]、[Ca]、[REM]は、それぞれ各元素の鋼中濃度(REMは希土類元素の総濃度)(質量%)を意味する。
0.0005≦[REM]≦0.0015・・・・(1)
0.0010≦[Ca]≦0.0020・・・・(2)
希土類元素の濃度は、0.0005質量%未満となると低融点のCaO−Al23系酸化物の高融点化が不十分となる場合があり、熱間圧延時の介在物延伸の抑制効果が不足する場合がある。一方、0.0015質量%を超えると、高融点のREM酸化物として残存する場合があり、清浄性には影響しないものの、連続鋳造時の浸漬ノズルの付着や詰まりにつながる場合がある。
Ca濃度は、0.0010質量%未満になるとCaS生成によるMnS防止効果が用途によっては不足する場合がある。一方、0.0020質量%を超えると、CaSの生成量がやや増加し、用途によっては清浄性が不足する場合がある。
連続鋳造時のCa濃度とS濃度の関係を、下記(3)式のように規定すると良い。
[S]−[Ca]×0.64≦0.0008・・・・(3)
C濃度が0.5質量%以上の高炭素鋼では、Ca添加後に溶鋼中に生成するCaSとCaOの割合を調査すると、80%以上がCaSとして存在していることがわかった。延伸性の介在物であるMnSの生成を防止するためには、Caにより固定されるSを増やし、連続鋳造後に生成するMnSとなるフリーのS濃度を低下させておく必要がある。MnSを生成しないためのフリーS濃度の目安として、CaによるS固定量(Caの80%がCaSとしてSを固定)を差し引いた値が、0.0008%以下(つまりフリーS濃度として8ppm)であれば、MnSが生成せず、極めて高い清浄性が実現できる。S/Ca原子量比が0.8であり、上記のようにCaSとなるCa比率が0.8(80%)であることから、両者を掛け合わせ、上記(3)式の[Ca]にかかる係数が0.64となっている。
Caの下限値=0.0010質量%では、MnSを生成しないための上記(3)式を満たすS濃度は0.00144質量%であり、Caの上限値=0.0020質量%では、MnSを生成しないための上記(3)式を満たすS濃度は0.00208質量%である。このため、連続鋳造時のS濃度は、0.0020質量%以下とすると、極めて高い清浄性が実現できる。さらに0.0015質量%以下とすることで更なる高清浄性が得られる。
[溶鋼処理]
REM及びCaの添加は、溶鋼段階において取鍋中の溶鋼に対して行われる。そのための溶鋼処理手段としては以下に示すような簡易取鍋精錬装置、あるいはRHなどの溶鋼真空脱ガス処理装置のいずれをも用いることができる。
簡易取鍋精錬装置としては、非特許文献1(特に第690頁の図13・65)に記載の方法から選択することができる。CAS法は、取鍋スラグを耐火物でできた密閉槽によって分離し、この密閉槽に向かって取鍋底部から不活性ガスを送りつつ、密閉槽内の溶鋼面に合金を添加するものである。SAB法(Sealed Argon Bubbling)、CAB法(Capped Argon Bubbling)(いずれも不活性ガスを底吹き)を用いても良い。取鍋溶鋼中に浸漬したインジェクションランス先端から合金成分を溶鋼中に吹き込むこととしても良い。不活性ガス底吹きを併用すると良い。
[鋼の含有成分]
C濃度0.50%以上の高炭素鋼であればいずれの成分の鋼であっても、連続鋳造するに際して本発明を適用し、希土類元素とCaを添加してMnSの生成を抑えるとともに、大型のCaS系介在物と低融点介在物をともに低減し、浸漬ノズル詰まり発生を防止することができる。また、溶鋼中の好ましいREM含有量、Ca含有量、S含有量についても上述のとおりである。
溶銑予備処理であらかじめ脱硫、脱りんした溶銑を転炉で脱炭吹錬した後に、転炉から取鍋へ溶鋼を出鋼する際にC及びAlを添加し、所定のC濃度とするとともにアルミニウム脱酸を行った。また、出鋼時にはCaOも添加することにより、スラグ改質も十分に実施する。これらの処理により、二次精錬でのT.O低位安定化及び脱硫促進に有効なスラグ中の酸化度(T.Fe+MnO<5質量%)を低下させる。二次精錬装置として、簡易取鍋精錬装置であるCAS法を用いた。CAS法で合金成分の調整を行った後に、S濃度が0.0030質量%以下になっていることを確認して希土類元素を1種以上含む合金を添加した後に、Caを添加した。二次精錬による溶鋼成分の調整後に、取鍋〜タンディッシュ〜連続鋳造機で鋳片を製造した。鋳片は、熱延、酸洗、焼鈍を実施した後に、冷延、焼鈍を行い製品板とした。
CAS法での処理では、取鍋底部からArバブリングを行いながら、Alを含めた合金を添加し成分調整を行った後、S濃度が0.0030質量%以下になっていることを確認して希土類元素を1種類以上含む合金を添加した。なおS濃度が0.0030質量%を超えている場合にはCAS円筒の内側にCaOを添加し十分攪拌した後にS濃度が0.0030質量%以下になっていることを確認した。その後、Ca含有量が30質量%のFe−Si合金として金属Caを添加した。各合金を添加した後の溶鋼をサンプリングし、SやT.Oなどの成分分析を実施した。なお、比較として、希土類元素とCaの添加順番を入れ替えた水準も実施した。Ca添加前のS濃度、合金添加後のS濃度、REM(希土類元素総濃度)、Ca濃度を表2に示す。
二次精錬を完了した取鍋から舟型タンディッシュに溶鋼を受けて1ストランドの湾曲型スラブ連続鋳造装置で連続鋳造を行った。タンディッシュから鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルは、アルミナグラファイトを主成分とし、鋳型サイズは幅:1100mm、厚み:250mmであり、スループットが2ton/minで1チャージ当たり約180分の鋳造時間である(取鍋内の溶鋼量は300ton)。
本発明に関わる品質指標としては、清浄度を選択した。また、安定操業性について連続鋳造時の浸漬ノズルの詰まりの指標を使用した。品質特性としては、清浄度の指標となるが、操業性も加味した場合の優劣を含めた総合評価を行う。
[清浄度に関する指標]
板厚2.4mmに圧延した製品板のL断面(圧延方向に平行な面)での顕微鏡による清浄度の測定結果を指標化し、以下の判断基準で評価した。◎、○、△が合格である。
◎:長径が20μm以上の介在物が皆無(測定視野1cm2
○:長径が50μm以上の介在物が皆無(測定視野1cm2
△:長径が50μm以上の介在物個数密度が1(個/cm2
×:長径が50μm以上の介在物個数密度が2(個/cm2)以上
[操業性に関わる指標]
連続鋳造時の浸漬ノズルの詰まりに起因する鋳造速度低下の有無で以下の評価基準で評価した。○、△いずれも鋳造を中断する必要が無く、合格である。
○:鋳造速度低下なし
△:鋳造速度低下あり
タンディッシュで採取した溶鋼の成分組成を表1に、製造条件と評価結果を表2に示す。表1、表2において、本発明範囲から外れる項目にアンダーラインを付している。なおタンディッシュの溶鋼組成は、製品板の成分と実質的に同じものである。本発明では溶鋼の成分や製品板の成分を総称して鋼の成分と記載した。
Figure 2017170487
Figure 2017170487
表2の本発明例1〜12が本発明例、比較例1〜2が比較例である。本発明例1は本発明のベース(C=0.7質量%)、本発明例11、12はC濃度が0.5質量%(下限)である。本発明例1、3、11については、すべての製造条件が本発明の好ましい条件を満足しており、いずれも清浄度は「◎」、操業性は「○」と良好な結果を得ることができた。
本発明例2はCa濃度が好適範囲の下限を外れ、(3)式左辺が上限を外れたため、微量のMnS生成により、清浄度の指標が「○」であった。本発明例3はCa濃度が好適範囲の上限を外れたため、清浄度の指標が「○」、浸漬ノズルの詰まり起因による湯面変動が発生し速度ダウンしたため、操業指標が「△」であった。CaS量がやや多かったためと考えられる。
本発明例4はS濃度が0.0016質量%と最も好適な範囲の0.0015質量%を超えているものの、(3)式左辺が良好なため清浄度良好であった。
本発明例5はREM濃度が好適範囲下限を外れ、(3)式左辺が上限を外れたため、清浄度の指標が「○」であった。微量のMnS生成によると考えられる。本発明例6はREM濃度が好適範囲上限を外れたため、浸漬ノズルの詰まり傾向が見られ速度ダウンしたため、操業指標が「△」であった。また、浸漬ノズルの詰まりのため、清浄度のばらつきがあり清浄度の指標が「○」であった。
本発明例7はS濃度が好適範囲上限の0.0020質量%を超え、(3)式左辺が上限を外れたため、清浄度の指標が「○」であった。微量のMnS生成によると考えられる。
本発明例8はCa濃度が好適範囲上限を外れ、CaS量が多く、清浄度の指標が「○」であるとともに、CaS起因による浸漬ノズルの詰まり起因の湯面変動が多く、操業指標が「△」であった。本発明例9はCa濃度が好適範囲下限を外れ、(3)式左辺が上限を外れたため、MnS生成により、清浄度の指標が「○」であった。
本発明例10はREM濃度が好適範囲上限を外れ、浸漬ノズルの詰まり傾向が見られ速度ダウンしたため、操業指標が「△」であった。また、浸漬ノズルの詰まりのため、清浄度のばらつきがあり清浄度の指標が「○」であった。
本発明例12は、Ca濃度が好適範囲下限を外れたため(3)式左辺が上限を外れ、T.O値もやや高めであったため、MnSやCaO−Al23系酸化物の生成により、清浄度の指標が「△」であった。
比較例1は、Ca添加後にREM添加したため、低融点の酸化物の生成により清浄度が悪化し評価が「×」であった。
比較例2はREM添加前のS濃度が0.0032質量%であったため、CaSの過剰生成により清浄度が悪化し評価が「×」であった。また、鋳造速度ダウンも生じたため、操業指標が「△」であった。

Claims (3)

  1. 転炉から出鋼したC濃度が0.5質量%以上の、アルミニウムを用いて脱酸した高炭素溶鋼を、複数の脱硫剤を用いて脱硫処理したのちに連続鋳造するに当たり、
    金属Caを、希土類元素添加後、かつS濃度が0.0030質量%以下の時点、で添加して脱硫し、当該脱硫処理を施した溶鋼を連続鋳造することを特徴とする高炭素溶鋼の連続鋳造方法。
  2. 請求項1記載の連続鋳造方法であって、鋼の成分としてT.Oが10ppm未満の溶鋼を連続鋳造することを特徴とする高炭素溶鋼の連続鋳造方法。
  3. 請求項1または2に記載の連続鋳造方法であって、鋼の成分を下記(1)〜(3)式を満足する範囲で連続鋳造することを特徴とする高炭素溶鋼の連続鋳造方法。
    0.0005≦[REM]≦0.0015・・・・(1)
    0.0010≦[Ca]≦0.0020・・・・(2)
    [S]−[Ca]×0.64≦0.0008・・・・(3)
    但し、[S]、[Ca]、[REM]は、それぞれ各元素の鋼中濃度(REMは希土類元素の総濃度)(質量%)を意味する。
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