JP2017170452A - 焼入れ鋼管部材及び焼入れ鋼管部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】3DQ等の高周波誘導加熱により焼入れして製造される焼入れ鋼管部材に焼入れ後でも加工が容易な部分を設ける技術を提供する。【解決手段】鋼管部材20は、焼入れされた管状の本体22と、本体22に対し内側に窪んだ状態とされ、底部24Aの硬度が本体22の他の部分の硬度よりも低い窪み部24と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、焼入れ鋼管部材及び焼入れ鋼管部材の製造方法に関する。
金型を用いずに複雑な形状の鋼管部材を製造できる3次元熱間曲げ焼入れ(3DQ: 3Dimensional Hot Bending and Quench)技術が知られている。3DQは、例えば、自動車の構造材の製造に用いられる。3DQ加工により製造される構造材は軽量かつ高強度という特長がある。
3DQは、次のような方法である。すなわち、素材となる鋼管を送りながら、誘導加熱装置でAc3変態点以上まで局部的に鋼管を加熱し、誘導加熱装置よりも鋼管の送り方向下流側の冷却装置で鋼管を速やかに冷却(焼入れ)する。このとき、鋼管における誘導加熱装置と冷却装置との間には局部的な高温部が生じる。この高温部に任意の方向の曲げモーメントを与えることで鋼管を熱間変形させ、冷却装置による冷却により焼入れと形状の固定を行う。
高温部に曲げモーメントを与えるための曲げモーメント付与手段としては、特許文献1のように冷却手段の鋼管送り方向下流側に配置された可動ローラーダイス、特許文献2のように鋼管送り方向下流側の鋼管端部に取り付けられたチャックとマニピュレーター、特許文献3のように鋼管送り方向上流側の鋼管端部に取り付けられたチャックとマニピュレーターが例示される。
3DQでは曲げ加工のほか、ねじり加工も可能である。特許文献1と特許文献3には3DQでねじり加工が可能であることが開示されている。特許文献4には3DQによるねじり部材が開示されている。
国際公開第2006/093006号 国際公開第2010/050460号 国際公開第2011/007810号 国際公開第2010/084898号
ところで、3DQ等の高周波誘導加熱により焼入れした鋼管部材は、高強度であるが、他の部材との接合にねじやボルト等を用いる場合、硬くて穴あけ等の加工がしにくい、という問題がある。一方、焼入れ前の鋼管部材に穴をあけた場合、焼入れ時に穴の縁部が誘導加熱によって過加熱される、また、穴から鋼管部材の内部に冷却水が侵入して冷却が不均一になる、という問題がある。焼入れ前の鋼管部材に穴をあけた場合に生じる問題を解決することは困難である。
以上の事情を鑑み、本発明の主な目的は、3DQ等の高周波誘導加熱により焼入れして製造される焼入れ鋼管部材に焼入れ後でも加工が容易な部分を設ける技術を提供することにある。
本発明の第1の態様の焼入れ鋼管部材は、焼入れされた管状の本体と、前記本体に対し内側に窪んだ状態とされ、底部の硬度が前記本体の他の部分の硬度よりも低い窪み部と、を有している。
本発明の第2の態様の焼入れ鋼管部材は、第1の態様の焼入れ鋼管部材において、前記窪み部の底部は、未焼入れ状態とされている。
本発明の第3の態様の焼入れ鋼管部材は、第1の態様又は第2の態様の焼入れ鋼管部材において、前記窪み部の底部と前記本体の他の部分との硬度差が150〜250HVの範囲内とされている。
本発明の第4の態様の焼入れ鋼管部材は、第1〜第3の態様のいずれか一態様の焼入れ鋼管部材において、前記窪み部が前記本体の長手方向の端部に形成されている。
本発明の第5の態様の焼入れ鋼管部材の製造方法は、長手方向の一部において外周に窪み部が形成された焼入れ前の管体を、前記管体に対応する形状の誘導加熱コイルに通して加熱した後、急冷して焼入れする。
本発明の第6の態様の焼入れ鋼管部材の製造方法は、第5の態様の焼入れ鋼管部材の製造方法において、焼入れ前の前記管体にプレス加工で前記窪み部を形成する。
本発明は、3DQ等の高周波誘導加熱により焼入れして製造される鋼管部材に、焼入れ後でも加工が容易な部分を設ける技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る焼入れ鋼管部材の斜視図である。 本発明の一実施形態で用いるプレス装置で焼入れ前の管体をプレスした状態を示す該管体の断面図である。 本発明の一実施形態で用いる3DQ装置の全体構成を示す斜視図である。 3DQ装置の誘導加熱コイルを管体送り方向下流から上流に向かってみた様子を、挿通される管体の断面と共に示す図である。 本発明の他の実施形態に係る焼入れ鋼管部材の斜視図である。 実施例の焼入れ鋼管部材を焼入れする際の直線Y上及び直線Z上の加熱温度を示すグラフである。 実施例の焼入れ鋼管部材の直線Y上及び直線Z上の硬度を示すグラフである。
3DQ等の高周波誘導加熱により焼入れした鋼管部材(以下、適宜「焼入れ鋼管部材」と記載する。)は、高強度のため、他の部材との接合にねじやボルト等を用いる場合、硬くて穴あけ等の加工がしにくいという問題がある。一方、焼入れ鋼管部材と他の部材との接合に溶接を用いる場合、焼入れ鋼管部材の溶接の熱を受けた部分がHAZ軟化により低強度となるという問題がある。
ここで、鋼材を焼入れするということは、鋼材をオーステナイト変態させた後、急冷してマルテンサイト変態させることである。鋼材は、鋼材の組織に占めるマルテンサイト組織の割合が高いほど高強度になるため、鋼材で形成される焼入れ鋼管部材に上記の問題が生じる。本発明者は、焼入れ鋼管部材の加工されたり、溶接されたりする部位のマルテンサイト組織の割合を低くする、あるいは、マルテンサイト組織を無くすことができれば、上記の問題を解消できると考えた。
一般的に、鋼材のマルテンサイト組織はオーステナイト相を急冷することで発生する。このオーステナイト相の割合は加熱温度によって調整可能である。つまり、マルテンサイト組織の割合は、鋼材の加熱温度によって調整可能である。鋼材をAc3変態点以上に加熱すれば組織を全てオーステナイト相にすることが可能であり、そこから急冷すると鋼材の組織を全てマルテンサイト組織にすることが可能である。一方、鋼材の加熱温度がAc1変態点未満であるとオーステナイト相が発生しないため、そこから急冷してもマルテンサイト組織は発生しない。また、鋼材をAc1変態点からAc3変態点の間の温度に加熱すると温度が高いほどオーステナイト相の割合が増加し、急冷した後のマルテンサイト組織の割合が増加する。つまり、鋼管部材に加熱温度がAc3変態点未満の低い箇所を選択的に設けることができれば、マルテンサイト組織の割合が低い箇所を選択的に生じさせることができると本発明者は考えた。
高周波誘導加熱による加熱で鋼管部材に部分的に加熱温度が低い箇所を生じさせるには、鋼管部材の表面に発生する誘導電流を低くすることが考えられる。また、鋼管部材の長手方向で部分的に加熱温度を低くするには、加熱温度を低くする部位が誘導加熱コイルを通過する際に、誘導加熱コイルに流す電力を下げることが考えられる。さらに、鋼管部材の断面内で部分的に加熱温度を低くするには、加熱温度を低くする部位と誘導加熱コイルとの間のクリアランスを部分的に広くすることが考えられる。しかし、これらの方法では鋼管部材の断面内、長手方向のどちらも部分的、すなわち島状に加熱温度を低くすることができない。
そのため、本発明者は、一部を窪ませた焼入れ前の鋼管部材を誘導加熱した場合、窪ませた部分において誘導加熱コイルとのクリアランスが広くなるため、加熱温度が他の箇所と比べ低くなると考えた。この技術を用いることで、3DQ等の高周波誘導加熱により焼入れして製造される鋼管部材に、焼入れ後でも加工が容易でかつ溶接等の熱で低強度化し難い部分を設けることができる、と考えられる。
以下で説明する本発明の実施の形態は、上記知見に基づくものである。
本発明の一実施形態に係る焼入れ鋼管部材20(以下、適宜「鋼管部材20」と記載する。)及び焼入れ鋼管部材20の製造方法について説明する。
まず、鋼管部材20について説明する。
図1に示されるように、鋼管部材20は、後述する3DQ装置40(図3参照)の高周波誘導加熱で焼入れされた管状の本体22と、この本体22に対して内側に窪んだ状態とされ、底部24Aの硬度が本体22の他の部分の硬度よりも低い窪み部24と、を有している。なお、図1では、鋼管部材20の長手方向を矢印X方向で示し、図4では、鋼管部材20を長手方向と直交する方向の断面で見て、縦方向を矢印A方向で示し、横方向を矢印B方向で示している。
図1に示されるように、本体22は、角形管状とされており、4つの平板部分22Aと、平板部分22A同士をつなぐ4つの角部22Bと、を含んで構成されている。また、隣り合う平板部分22Aの成す角度は90度とされている。本体22として、例えば、電縫管(電気抵抗溶接管)が用いられる。なお、本発明は上記構成に限定されず、本体22としてシームレス管を用いてもよい。
また、本体22は、3DQ装置40によって長手方向の中間部23(図3参照)が曲げられている。
窪み部24は、本体22の長手方向の両端部22Cにそれぞれ形成されている。この窪み部24は、本体22の平板部分22Aを内側に向けて押し出して成形されており、底部24Aが平坦状とされている。
また、窪み部24は、少なくとも底部24Aが未焼入れ状態とされている。このため、底部24Aの硬度は、焼入れされた本体22の他の部分(窪み部以外の部分)の硬度よりも低くされている。なお、ここでいう「硬度」とは、ビッカース硬さを指している。また、ここでいう「未焼入れ状態」とは、マルテンサイト組織が30%以下の状態を指している。
窪み部24の底部24Aの硬度(ビッカース硬さ)と本体22の他の部分の硬度(ビッカース硬さ)の硬度差は、150〜250HVの範囲内に設定されている。
また、窪み部24の底部24Aの硬度は、200〜300HVの範囲内に設定されている。なお、窪み部24の底部24Aの硬度は、少なくとも引っ張り強さ660〜720MPaが確保できる210〜230HVの範囲内に設定することがより好ましい。
一方、本体22のその他の部分の硬度は、350〜450HVの範囲内に設定されている。なお、本体22のその他の部分の硬度は、少なくとも引っ張り強さ1200MPa以上が確保できる380HV以上に設定することがより好ましい。
次に、鋼管部材20の製造に用いるプレス装置30及び3次元熱間曲げ焼入れ装置40(以下、適宜「3DQ装置40」と記載する。)について説明する。
図2に示されるように、プレス装置30は、焼入れ後に鋼管部材20の本体22となる角形管状の管体80にプレス加工をするための装置である。このプレス装置30は、管体80の長手方向の両端部80Cにそれぞれ窪み部24をプレス加工するための固定型32と可動型34を備えている。このプレス装置30では、管体80の端部80Cに挿入した固定型32で管体80の平板部分80Aを内側から支持し、可動型34で固定型32に形成された凹部32Aに向けて管体80の平板部分80Aを押し出して、管体80に窪み部24を加工するようになっている。
図3に示されるように、3DQ装置40は、送り装置42と、誘導加熱コイル44と、冷却装置46と、曲げモーメント付与装置48としての可動ローラーダイス50及び支持ローラー52と、を備えている。
送り装置42は、管体80の後端(管体80の送り方向(以下、適宜「管体送り方向」と記載する。)の上流側の端部)を把持するチャック43を備えており、このチャック43が押し出されることで管体80が長手方向に送られる。このチャック43は、管体80を把持可能な構造とされている。
図4に示されるように、誘導加熱コイル44は、送り装置42によって送られる管体80が挿通するように設けられている。この誘導加熱コイル44は、管体80に対応する形状、具体的には、管体80の断面に略相似する矩形形状とされている。また、管体80が誘導加熱コイル44に挿通されると、管体80における誘導加熱コイル44に挿通された部分が誘導加熱コイル44によって急速に加熱される。ここで、管体80の窪み部24と誘導加熱コイル44との間のクリアランスC1は、管体80の他の部分と誘導加熱コイル44との間のクリアランスC2よりも広くなっている。
冷却装置46は、誘導加熱コイル44の管体送り方向下流に誘導加熱コイル44と近接して設けられている。この冷却装置46は、誘導加熱コイル44で急速加熱された管体80を急速に冷却する。これにより、管体80が焼入れされて強度が向上する。
曲げモーメント付与装置48(以下、適宜「曲げ装置」48と記載する。)は、可動ローラーダイス50と支持ローラー52とで構成されている。支持ローラー52は、誘導加熱コイル44の管体送り方向上流に誘導加熱コイル44に近接して設けられており、管体80を管体送り方向に移動可能に支持する。他方、可動ローラーダイス50は、冷却装置46の管体送り方向下流に設けられており、管体80を保持しつつ、自らが移動可能に構成されている。可動ローラーダイス50が移動することで管体80に曲げモーメントが付与され、支持ローラー52が管体80から曲げに対する反力を受けることで、管体80に生じている軟化した高温部が変形する。
次に、プレス装置30及び3DQ装置40を用いた鋼管部材20の製造方法について説明する。
まず、3DQ装置40での焼入れ後に鋼管部材20の本体22となる管体80を用意する。
次に、プレス装置30を用いて管体80の両端部80Cに窪み部24を形成する。その後、管体80を3DQ装置40にセットする。具体的には、送り装置42に管体80をセットし、チャック43で管体80を把持させる。
次に、3DQ装置40を用いて管体80を誘導加熱する。このとき、図4に示されるように、管体80の窪み部24と誘導加熱コイル44との間のクリアランスC1が管体80の他の部分と誘導加熱コイル44との間のクリアランスC2よりも広くなるため、管体80の窪み部24の加熱温度が管体80の他の部分の加熱温度よりも低くなる。なお、本実施形態では、管体80の他の部分の加熱温度がAc3変態点以上、窪み部24の加熱温度がAc3変態点未満となるように設定されている。また、管体80の窪み部24の加熱温度は、窪み部24の深さ(すなわち、クリアランスC1の大きさ)、管径、厚み、材質(熱伝導率)、誘導加熱コイル44を流れる電流の大きさ、周波数等を変更することで調整することができる。
なお、鋼管部材20の窪み部24の穴あけ加工等を容易にする観点からは、管体80の窪み部24の加熱温度はAc3変態点未満とすることが好ましい。管体80の窪み部24は、加熱温度が低いほど焼入れ後の硬度を低くできるため、加工性が向上する。しかし、管体80の窪み部24の加熱温度が低いほど焼入れ後の管体80(すなわち、鋼管部材20)の強度が低下するため、管体80の窪み部24の加熱温度はAc1変態点以上Ac3変態点未満とすることが好ましい。
一方で、鋼管部材20の窪み部24の溶接による低強度化を抑制する観点からは、管体80の窪み部24の加熱温度はAc1変態点以下とすることが好ましい。ただし、少しのマルテンサイト組織の存在は許容されるため、Ac1変態点以上の加熱温度も許容される。
誘導加熱された管体80は、冷却装置46で急冷される。このようにして管体80が焼入れされて鋼管部材20が製造される。
次に、本実施形態の鋼管部材20の作用効果について説明する。
鋼管部材20では、窪み部24の底部24Aの硬度を本体22の他の部分の硬度よりも低くしているため、他の部材との接合にねじやボルト等を用いる場合でも、底部24Aに穴あけ等の加工(後加工)を容易に行うことができる。
また、鋼管部材20では、窪み部24を未焼入れ状態としていることから、他の部材との接合に溶接を用いる場合でも、溶接の熱を受けた部分がHAZ軟化(焼き戻し)により低強度となることが抑制される。
さらに、鋼管部材20では、窪み部24の底部24Aを平坦状としていることから、他の部材と焼入れ鋼管部材20との接触を面接触にできるため、他の部材からの荷重を面で受け止めることができる。
また、鋼管部材20では、窪み部24の底部24Aのビッカース硬さと本体22の他の部分のビッカース硬さの硬度差を150〜250HVの範囲内としている。このため、窪み部24の底部24Aの強度と、後加工を容易にするための硬度を両立することができる。
鋼管部材20では、窪み部24が本体22の長手方向の端部22Cに形成しているため、例えば、中間部23のように曲げられる部位に形成するものと比べて、窪み部24を形成したことによる強度低下を抑制できる。
〔上記実施形態の補足説明〕
上記実施形態の鋼管部材20の製造方法では、角形管状の管体80にプレス装置30を用いて窪み部24を成形しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、プレス加工で窪み部24を成形した鋼板を矩形閉断面となるように折り曲げて角形管状の管体80を成形してもよい。上記構成とすることで、閉断面の部材(管体80)にプレス加工で窪み部24を成形するよりもプレス装置の構成を簡単にすることができる。
また、上記実施形態の鋼管部材20では、本体22の両端部22Cに窪み部24を設けているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図5に示される変形例の鋼管部材60のように、本体62の両端部62C以外にも窪み部64を設けてもよい。上記構成とすることで、鋼管部材60に対して後加工を行う部位の選択肢が増える。また、鋼管部材60では、本体62の両端部62C以外に窪み部64を設けるため、上記のように、プレス加工で窪み部64を成形した鋼板を矩形閉断面となるように折り曲げて角形管状の管体を成形する方法を用いることが好ましい。なお、図5の符号62Aは、鋼管部材60の平板部分を示し、符号62Bは、鋼管部材60の角部を示している。
また、上記実施形態で使用する送り装置42は、チャック43により管体80の後端を押し出し、位置が固定された誘導加熱コイル44に管体80を挿通させるものであったが、本発明における送り装置はこれに限定されない。送り装置は、誘導加熱コイル44に対して管体80を長手方向に移動(相対移動)させる装置であればよく、例えば、管体80の後端を把持するチャック43が移動せずに誘導加熱コイル44が移動することにより、誘導加熱コイル44に対して管体80長手方向に送るものであってもよい。
また、上記実施形態で使用する曲げモーメント付与装置48は、管体80に曲げモーメントを付与できれば特に限定されない。曲げモーメント付与装置は、管体80の送り方向下流側の端部80Cに取り付けられたチャックとマニピュレーターであってもよいし、管体80の送り方向上流側の端部80Cに取り付けられたチャックとマニピュレーターであってもよい。
また、本発明の一実施形態の鋼管部材20は、様々な自動車用構造部材として用いることができる。例えば、車両前端部および後端部に車幅方向に沿って設けられるバンパー補強部材や、フロントピラー、ドア内に配置されるドアビーム、シート補強材として用いることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
<実験例>
本発明における効果を検証するため、実施形態の焼入れ鋼管部材20と同じ構成の実施例の焼入れ鋼管部材を準備し、以下の実験を行った。なお、実施例の鋼管部材では、クリアランスC1を7mmとし、クリアランスC2を3mmとしている。すなわち、クリアランスC1はクリアランスC2の2倍以上の値に設定されている。
(実験1)
実験1では、焼入れ時における実施例の鋼管部材の他の部分の加熱温度と窪み部の加熱温度を測定した。具体的には、図1に示される鋼管部材20の窪み部を通る直線Y及び直線Zに沿った加熱温度を測定した。測定温度についてはグラフ化して図6に示した。
(実験2)
実験2では、焼入れ後の実施例の鋼管部材の他の部分の硬度と窪み部の硬度を測定した。具体的には、図1に示される鋼管部材20の窪み部を通る直線Y及び直線Zに沿った硬度を測定した。測定硬度についてはグラフ化して図7に示した。
図6に示されるように、実施例の鋼管部材の直線Y上では、窪み部に対応する領域において加熱温度が低下していることが分かる。これは、窪み部において誘導加熱コイルとの間のクリアランスが広がるため、誘導電流が低下し、加熱温度が低下したためと推測される。
図7に示されるように、実施例の鋼管部材の直線Z上では、窪み部に対応する領域において硬度が低下していることが分かる。これは、図6に示されるように、焼入れ時に窪み部の加熱温度が他の部分よりも低く、窪み部が未焼き状態、すなわち、他の部分と比べて、マルテンサイト組織が少ない、あるいは、マルテンサイト組織がない状態となったためと推測される。
以上のことから、本発明に開示の技術を用いることで、3DQ等の高周波誘導加熱により焼入れして製造される焼入れ鋼管部材に、焼入れ後でも加工が容易な部分を設けることが可能なことは明らかである。
20、60 鋼管部材(焼入れ鋼管部材)
22、62 本体
22C、62C 端部
24、64 窪み部
24A 底部
44 誘導加熱コイル
80 管体
80C 端部
C1 クリアランス
C2 クリアランス

Claims (6)

  1. 焼入れされた管状の本体と、
    前記本体に対し内側に窪んだ状態とされ、底部の硬度が前記本体の他の部分の硬度よりも低い窪み部と、
    を有する焼入れ鋼管部材。
  2. 前記窪み部の底部は、未焼入れ状態とされている、請求項1に記載の焼入れ鋼管部材。
  3. 前記窪み部の底部と前記本体の他の部分との硬度差が150〜250HVの範囲内とされている、請求項1又は請求項2に記載の焼入れ鋼管部材。
  4. 前記窪み部が前記本体の長手方向の端部に形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼入れ鋼管部材。
  5. 長手方向の一部において外周に窪み部が形成された焼入れ前の管体を、前記管体に対応する形状の誘導加熱コイルに通して加熱した後、急冷して焼入れする、焼入れ鋼管部材の製造方法。
  6. 焼入れ前の前記管体にプレス加工で前記窪み部を形成する、請求項5に記載の焼入れ鋼管部材の製造方法。
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