JP2017168237A - 扁平形電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生産性に優れた扁平形電池と、その製造方法とを提供する。【解決手段】 本発明の扁平形電池は、外装缶の開口をガスケットを介して封口缶で封口することで形成された空間内に、セパレータを介して積層された正極および負極、並びに電解液が封入されてなり、前記ガスケットは、底面が前記外装缶の内底面側に配置されるベース部と、前記ベース部から封口缶側へ向けて立ち上がる内壁および外壁とを有しており、前記内壁と前記外壁との間には隙間が設けられていて、前記封口缶の周壁が前記隙間に挿入されており、前記ガスケットの前記内壁の内面が粗面であり、前記セパレータの少なくとも一部が前記内壁の内面と接していることを特徴とするものである。【選択図】 図3
Description
本発明は、生産性が良好な扁平形電池と、その製造方法に関するものである。
外装缶と封口缶とをガスケットを介してかしめてなる電池容器内に、正極と負極とをセパレータを介して対向させた電極体および電解液を封入した扁平形電池としては、一次電池(非水電解液を用いた非水電解液一次電池、アルカリ電解液を用いたアルカリ一次電池など)や二次電池(非水電解液を用いた非水電解液二次電池や、アルカリ電解液を用いたアルカリ二次電池など)といった数多くの態様のものが知られている。
こうした扁平形電池では、その特性を高めるべく、正極や負極をはじめとする各種の構成要素において改良が試みられており、ガスケットの改良の検討例もある。
例えば、特許文献1には、封口パッキング(ガスケット)の表面に特定の深さの凹凸粗面部を設け、その凹凸粗面部上に粘着性シール材を塗布することで、アルカリ電池(扁平形アルカリ電池)の耐漏液性を高める技術が提案されている。
また、特許文献2には、負極缶(封口缶)と接するガスケットの内側面に凹凸部を設け、その凹凸部の形成箇所に封止剤を均一に塗布することで、電池(扁平形電池)の耐漏液性を高める技術が提案されている。
扁平形電池は、例えば、開口部にガスケットを装着した封口缶の内側に、負極、セパレータ、正極の順に挿入し、電解液を注入してから外装缶を被せてかしめることで製造されているが、この製造時において特にセパレータの位置ずれが生じやすい。扁平形電池の製造時にセパレータの位置ずれが生じると、特性が損なわれたり、セパレータが電池容器からはみ出して外観が損なわれたりするなど、流通に適しない不良品が生じてしまう虞がある。こうしたことから、製造時にセパレータの位置ずれを抑制して、扁平形電池の生産性を高める技術の開発が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性に優れた扁平形電池と、その製造方法とを提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の扁平形電池は、外装缶の開口をガスケットを介して封口缶で封口することで形成された空間内に、セパレータを介して積層された正極および負極、並びに電解液が封入されてなる扁平形電池であって、前記ガスケットは、底面が前記外装缶の内底面側に配置されるベース部と、前記ベース部から封口缶側へ向けて立ち上がる内壁および外壁とを有しており、前記内壁と前記外壁との間には隙間が設けられていて、前記封口缶の周壁が前記隙間に挿入されており、前記ガスケットの前記内壁の内面が粗面であり、前記セパレータの少なくとも一部が前記内壁の内面と接していることを特徴とするものである。
本発明の扁平形電池は、前記封口缶の周壁を前記ガスケットの前記隙間に挿入することで、前記ガスケットを前記封口缶に装着する工程(1)と、前記ガスケットを装着した前記封口缶の内側に、前記負極および前記セパレータを順次配置する工程(2)と、前記工程(2)を経た前記封口缶の内側に配置した前記セパレータに前記正極を重ねて前記電解液を注入する工程(3)と、前記工程(3)を経た前記封口缶に、前記外装缶を被せてかしめる工程(4)とを有することを特徴とする本発明の製造方法によって製造することができる。
本発明によれば、生産性に優れた扁平形電池と、その製造方法とを提供することができる。
図1および図2に、本発明の扁平形電池の一例を模式的に表す。図1は扁平形電池の側面図であり、図2は、その要部断面図である。
扁平形電池1は、図1および図2に示す通り、外装缶2の開口をガスケット4を介して封口缶3で封口することで形成された空間内に、セパレータ7を介して積層された正極5および負極6、並びに電解液(図示しない)が封入されてなるものである。
ガスケット4は、外装缶2の内底面側に配置されるベース部41と、ベース部41から封口缶3側へ向けて立ち上がる内壁42および外壁43とを有しており、内壁42と外壁43との間には隙間が設けられていて、その隙間に封口缶3の周壁が挿入されている。
そして、ガスケット4の内壁42の内面(図2における正極5およびセパレータ7側の面。図2では格子模様を付している。)が粗面であり、その粗面である内面とセパレータ7の少なくとも一部(セパレータの端部や周縁部など)とが接している。
通常、ガスケットは射出成形により形成されるが、射出成形に用いられる金型の表面は、一般にガスケットとの離形性の観点から平滑であるため、ガスケットの表面も平滑となる。このようなガスケットを用いた場合、セパレータとガスケットとの接触部分において滑りが生じやすく、これが製造時におけるセパレータの位置ずれの一因となっていると考えられる。
扁平形電池に使用されるセパレータは、一般に内部を電解液が通過できるような多孔質体であり、その表面がある程度の凹凸形状である。そのため、ガスケットの内壁の内面を粗面にしておくことで、粗面の凸部分が、セパレータの表面に食い込んだり、セパレータの空孔に挿入されたりするなどで生じるアンカー効果により、粗面である前記内面にセパレータが引っ掛かって位置ずれが生じ難くなる。よって、本発明の扁平形電池では、製造途中でのセパレータの位置ずれを抑えることができるため、生産性が向上する。
特に、繊維を織ったり編んだりせずにシート状とした不織布をセパレータとした場合には、表面が繊維で構成されていることから、ガスケットの内壁の内面を粗面とすることによる前記のアンカー効果をより確保しやすいため、セパレータの位置ずれがより良好に抑制できる。
図3には、本発明の扁平形電池の他の例を模式的に表す要部断面図を示している。図3に示す扁平形電池1においては、セパレータ7の周縁部が正極5の外面を覆うように折り曲げられており、いわゆるカップ状に成形されている。
図2に示す形態の電池の場合には、セパレータ7が、その厚み方向の端部のみで、ガスケット4の内壁42の内面と接しているのに対し、図3に示す形態の電池の場合、すなわちカップ状に成形されたセパレータ7を用いた場合には、セパレータ7と、ガスケット4の内壁42の内面との接する面積がより大きくなる。よって、カップ状に成形されたセパレータを使用することで、電池製造時のセパレータの位置ずれを、より良好に抑制できることから、扁平形電池の生産性が更に向上する。
ガスケットの内壁の内面の粗面の程度(粗面化の程度)については、特に制限はなく、その内面と接するセパレータの表面性状に応じて、セパレータの位置ずれが良好に抑制できる程度に調整すればよい。
なお、ガスケットの内壁の内面を粗面化する方法については特に制限はないが、例えば、側面を粗面化した打ち抜きポンチなどの治具を、その側面がガスケットの内壁と接触するようにガスケットの内壁の内側を通過させることで、その内面を粗面化する方法が挙げられる。この場合、ガスケットの内壁の内面の粗面化の程度は、打ち抜きポンチの側面の粗面化の程度を調節しておくことで制御することができる。
本発明の扁平形電池は、一次電池(アルカリ一次電池、非水電解液一次電池など)の態様を取ることができ、また、二次電池(アルカリ二次電池、非水電解液二次電池など)の態様を取ることもできる。
扁平形電池の正極には、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤をペレット状に成形した正極合剤成形体や、前記正極合剤で形成された正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
扁平形電池がアルカリ電池(一次電池または二次電池)の場合に使用可能な正極活物質としては、酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など);二酸化マンガン;オキシ水酸化ニッケル;銀とコバルト、ニッケルまたはビスマスとの複合酸化物;などが挙げられる。
正極活物質として酸化銀を使用する場合、その酸化銀は顆粒状であることが好ましい。通常、酸化銀は、粒径が0.1〜5μmの微粉末状で供されるが、この酸化銀を造粒して顆粒状にして用いると、微粉末の状態で用いた場合よりも抵抗が低くなるため、電池の負荷特性をより向上させることができる。
正極活物質として顆粒状酸化銀を使用する場合には、その粒径が、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であって、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下であり、また、そのかさ密度が、好ましくは1.5g/cm3以上、より好ましくは1.8g/cm3以上であって、好ましくは3.5g/cm3以下、より好ましくは2.6g/cm3以下である。このような形態の酸化銀であれば、粉末状のものに比較して流動性がよく、前記の通り、秤量性・成形性が向上し、抵抗が低下して反応性が向上するため、負荷特性がより優れたものとなり、また、製造される正極(延いては扁平形電池)個々の特性がより安定化する。なお、ここでいう顆粒状酸化銀の粒径は、Honeywell社製のマイクロトラック粒度分布計「9320−X100」を用いて、レーザー光の散乱により、粒子個数nおよび各粒子の直径dを測定し、算出した数平均粒子径である。また、ここでいう顆粒状酸化銀のかさ密度は、JIS R 1628に規定のかさ密度測定方法に準じて、所定量の顆粒状酸化銀を容器に入れ、かさ密度測定装置を用いて求めた値である。
また、扁平形電池が非水電解液電池(一次電池または二次電池)の場合に使用可能な正極活物質としては、二酸化マンガン;バナジウム酸化物、ニオブ酸化物、チタン酸化物、二硫化鉄などの硫化物;フッ化黒鉛;LixMn3O6(0<x<2)、LixMnO2(0<x<1)などのリチウム含有マンガン酸化物、LixTi5/3O4(4/3≦x<7/3)、LiMn2O4やその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造の複合酸化物、Li1+xM1O2(−0.1<x<0.1、M1:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物、LiM2PO4(M2:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などの各種リチウム含有複合酸化物;などが挙げられる。
前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoO2などのコバルト酸リチウムやLiNi1−aCoa−bAlbO2(0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)などの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3O2、LiMn5/12Ni5/12Co1/6O2、LiNi3/5Mn1/5Co1/5O2など)などを例示することができる。
正極合剤に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極は、正極合剤成形体の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダ、更には必要に応じて電解液(電解液)などを混合して調製した正極合剤を所定の形状に加圧成形することで製造することができる。
また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
ただし、正極は、前記の各方法で製造されたものに限定されず、他の方法で製造したものであってもよい。
正極に係る正極合剤中の組成としては、正極活物質の量が80〜98質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5〜10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.5〜10質量%であることが好ましい。
正極合剤成形体の場合、その厚みは、0.15〜4mmであることが好ましい。他方、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30〜300μmであることが好ましい。
正極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼;アルミニウムやアルミニウム合金;を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、0.05〜0.2mmであることが好ましい。このような集電体の表面には、カーボンペーストや銀ペーストなどのペースト状導電材を塗布しておくことも望ましい。
扁平形電池がアルカリ電池(一次電池または二次電池)の場合の負極には、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子(以下、両者を纏めて「亜鉛系粒子」という場合がある)を含有するものが使用される。このような負極では、前記粒子中の亜鉛が活物質として作用する。亜鉛合金粒子の合金成分としては、例えば、インジウム(例えば含有量が質量基準で50〜500ppm)、ビスマス(例えば含有量が質量基準で50〜500ppm)などが挙げられる(残部は亜鉛および不可避不純物である)。負極の有する亜鉛系粒子は、1種単独でもよく、2種以上であってもよい。
ただし、亜鉛系粒子には、合金成分として水銀を含有しないものを使用することが好ましい。このような亜鉛系粒子を使用している電池であれば、電池の廃棄による環境汚染を抑制できる。また、水銀の場合と同じ理由から、亜鉛系粒子には、合金成分として鉛を含有しないものを使用することが好ましい。
亜鉛系粒子としては、例えば、全粉末中、粒径が100〜200μmの粉末の割合が、50体積%以上、より好ましくは90体積%以上であるものが挙げられる。ここでいう亜鉛系粒子における粒径が100〜200μmの粉末の体積割合は、前記の「顆粒状酸化銀」の粒径測定法と同じ測定方法および測定装置で測定したものである。
扁平形電池がアルカリ電池である場合の負極には、例えば、前記の亜鉛系粒子の他に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)を含み、これにアルカリ電解液を加えることで構成される負極剤(ゲル状負極)が使用できる。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5〜1.5質量%とすることが好ましい。
また、扁平形電池がアルカリ電池の場合の負極は、前記のようなゲル化剤を実質的に含有しない非ゲル状の負極とすることもできる(なお、非ゲル状負極の場合、亜鉛系粒子近傍に存在する電解液が増粘しなければ構わないので、「ゲル化剤を実質的に含有しない」とは、電解液粘度への影響がない程度に含有していてもよい、という意味である)。ゲル状負極の場合には、亜鉛系粒子の近傍に、ゲル化剤と共に電解液が存在しているが、ゲル化剤の作用によってこの電解液が増粘しており、電解液の移動、ひいては電解液中のイオンの移動が抑制されている。このため、負極での反応速度が抑えられ、これが電池の負荷特性(特に重負荷特性)の向上を阻害しているものと考えられる。これに対し、負極を非ゲル状として、亜鉛系粒子近傍に存在する電解液の粘度を増大させずに電解液中のイオンの移動速度を高く保つことで、負極での反応速度を高めて、負荷特性(特に重負荷特性)をより高めることができる。
扁平形電池が非水電解液電池(一次電池または二次電池)の場合の負極には、負極活物質およびバインダなどを含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に形成した構造のものや、負極活物質となる金属箔などをそのまま用いたもの、更には、負極活物質となる金属箔と集電体とを積層した構造のものなどを使用することができる。
扁平形電池が非水電解液一次電池の場合の負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金(リチウム−アルミニウム合金)などが挙げられる。
また、扁平形電池が非水電解液二次電池の場合の負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金(リチウム−アルミニウム合金)などのほか、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料;Si、Snなどのリチウムとの合金化が可能な元素を含む合金;SiやSnの酸化物:などが挙げられる。
負極合剤層を有する負極の場合のバインダには、正極合剤に係るバインダとして先に例示した各種バインダと同じものを用いることができる。また、負極合剤層には導電助剤を含有させてもよく、その場合の導電助剤としては、正極合剤に係る導電助剤として先に例示した各種導電助剤と同じものを用いることができる。
負極合剤層と集電体とを有する形態の負極の場合、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤などを水またはNMPなどの有機溶媒に分散させて負極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
ただし、負極は、前記の各方法で製造されたものに限定されず、他の方法で製造したものであってもよい。
負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質の含有量が70〜99質量%であることが好ましく、バインダの含有量が1〜30質量%であることが好ましい。また、導電助剤を使用する場合には、負極合剤層における導電助剤の含有量は、1〜20質量%であることが好ましい。更に、負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、1〜100μmであることが好ましい。
負極の集電体には、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはそれらの合金などからなる箔、パンチドメタル、エキスパンドメタル、網などを用い得るが、通常、厚みが5〜30μmの銅箔が好適に用いられる。
扁平形電池において、正極と負極との間にはセパレータを介在させる。扁平形電池がアルカリ電池の場合のセパレータには、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。アルカリ電池の場合のセパレータの厚みは、20〜500μmであることが好ましい。
また、扁平形電池が非水電解液電池の場合のセパレータには、ポリオレフィン製の微多孔膜(微孔性ポリオレフィンフィルム)や不織布を好適に用いることができる。特に、二次電池の場合は、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、空孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)の微多孔膜が好ましく用いられる。
前記以外のセパレータとしては、ポリイミド、ポリアミド、アラミド、ポリフェニレンサルファイドなど耐熱性を有する樹脂の微多孔膜や不織布を例示することもできる。
セパレータが微多孔膜である場合の厚みは、10〜30μmであることが好ましく、不織布である場合の厚みは、20〜500μmであることが好ましい。
扁平形電池がアルカリ電池である場合の電解液(電池容器内に注入する電解液の他、正極合剤成形体に使用したり、負極剤に使用したりする電解液も含む)には、アルカリ電解液(アルカリ電解液)が使用される。前記のアルカリ電解液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物の水溶液からなるアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛を添加したものなどを用いることができる。アルカリ電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度としては、例えば水酸化カリウムの場合、28〜38質量%であることが好ましく、また、酸化亜鉛を使用する場合、その濃度は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。
また、扁平形電池が非水電解液電池である場合の電解液には、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた溶液(非水電解液)が使用される。この場合のリチウム塩としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6などの無機リチウム塩;LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩;などが挙げられる。
また、非水電解液に係る有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンといった環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルといったニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの非水電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
リチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
また、非水電解液は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
扁平形電池の外装缶や封口缶には、例えば、ステンレス鋼で構成されたものが使用できるが、負極活物質として亜鉛系粒子を用いるアルカリ電池の場合の封口缶には、負極と接する面は銅または黄銅などの銅合金で構成され、その本体部分はステンレス鋼で構成され、外面側、すなわち、負極と接する面と反対側の面はニッケルで構成されたものが好適である。
ガスケットの素材には、PP、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの、融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。
扁平形電池の平面視での形状は、円形でもよく、四角形(正方形・長方形)などの多角形であってもよい。また、多角形の場合には、その角を曲線状としていてもよい。なお、例えば、扁平形電池の平面視形状が円形の場合、ガスケットは環状であり、同形状が四角形の場合には、ガスケットも四角状となる。
本発明の扁平形電池は、封口缶の周壁をガスケットの内壁と外壁との隙間に挿入することで、ガスケットを封口缶に装着する工程(1)と、ガスケットを装着した封口缶の内側に、負極およびセパレータを順次配置する工程(2)と、工程(2)を経た封口缶の内側に配置したセパレータに正極を重ねて電解液を注入する工程(3)と、工程(3)を経た封口缶に、外装缶を被せてかしめる工程(4)とを有する本発明の製造方法によって製造することができる。なお、製造工程(2)以降の工程においては、封口缶の開口が上向きとして行うことが望ましい。この場合、工程(2)においては、開口を上に向けた封口缶の内側に負極、セパレータの順に配置し、工程(3)においては、そのセパレータの上に正極を配置することになる。また、扁平形電池の製造においては、工程(2)を経た封口缶の内側に電解液を注入する工程を更に設けてもよい。
なお、前記製造方法の前記工程(2)以降において、ガスケットの内壁の内面を粗面とした場合では、粗面としていない場合に比べてセパレータの位置ずれが生じ難いことを、本発明者らは確認している。これにより、扁平形電池の生産性を高めることが可能であるといえる。
本発明に係る扁平形電池は、従来から知られている各種扁平形電池と同じ用途に適用することができる。
1 扁平形電池
2 外装缶
3 封口缶
4 ガスケット
41 ガスケットのベース部
42 ガスケットの内壁
43 ガスケットの外壁
5 正極
6 負極
7 セパレータ
2 外装缶
3 封口缶
4 ガスケット
41 ガスケットのベース部
42 ガスケットの内壁
43 ガスケットの外壁
5 正極
6 負極
7 セパレータ
Claims (5)
- 外装缶の開口をガスケットを介して封口缶で封口することで形成された空間内に、セパレータを介して積層された正極および負極、並びに電解液が封入されてなる扁平形電池であって、
前記ガスケットは、底面が前記外装缶の内底面側に配置されるベース部と、前記ベース部から封口缶側へ向けて立ち上がる内壁および外壁とを有しており、前記内壁と前記外壁との間には隙間が設けられていて、前記封口缶の周壁が前記隙間に挿入されており、
前記ガスケットの前記内壁の内面が粗面であり、前記セパレータの少なくとも一部が前記内壁の内面と接していることを特徴とする扁平形電池。 - 前記セパレータがカップ状に成形されている請求項1に記載の扁平形電池。
- 前記セパレータは不織布により構成されている請求項1または2に記載の扁平形電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の扁平形電池を製造する方法であって、
前記封口缶の周壁を前記ガスケットの前記隙間に挿入することで、前記ガスケットを前記封口缶に装着する工程(1)と、
前記ガスケットを装着した前記封口缶の内側に、前記負極および前記セパレータを順次配置する工程(2)と、
前記工程(2)を経た前記封口缶の内側に配置した前記セパレータに前記正極を重ねて前記電解液を注入する工程(3)と、
前記工程(3)を経た前記封口缶に、前記外装缶を被せてかしめる工程(4)とを有することを特徴とする扁平形電池の製造方法。 - 前記ガスケットの前記内壁の内面の粗面が、側面を粗面化した治具を、その側面がガスケットの内壁と接触するようにガスケットの内壁の内側を通過させることで、前記内壁の内面を粗面化する粗面化工程により形成されている請求項4に記載の扁平形電池の製造方法。
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