JP2017167312A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL表示装置に適用したときに、波長430nm以下の光による発光部(特に青色の発光素子)の劣化を十分に低減することができる光学フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】光学フィルムの製造方法は、吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤を少なくとも1層に含有させることにより、フィルム全体として、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上である光学フィルムを製造する工程を有する。上記工程では、複数の紫外線吸収剤のうち、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層を、125℃以下の温度で製造する。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば有機EL(electro-luminescence)表示装置に用いられる光学フィルムの製造方法に関するものである。
画像表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置が一般的に知られている。液晶表示装置は、液晶セルの両側に偏光板を配置し、バックライト光源からの光を画素ごとに遮蔽/透過させることで表示を行う。液晶セルに対して視認側の偏光板は、偏光子を2枚の保護フィルムで挟持することで構成される。上記偏光子に対して視認側の保護フィルムには、紫外線による偏光子劣化の抑制のために、紫外線吸収剤が含有されているのが一般的である。
一方、有機EL表示装置は、各画素に対応する発光部を発光させることで表示を行う。有機EL表示装置は、該装置を構成する各層を大幅に薄膜化できることから、様々な用途への適用が検討されている。しかし、有機EL表示装置は、液晶表示装置のように、紫外線吸収機能を有する偏光板を用いずに表示を行うことから、紫外線による発光部への影響が問題となる。
例えば、特許文献1では、有機EL表示装置において、青色を発光する発光素子の紫外線による劣化は、赤色や緑色を発光する発光素子に比べて大きいため、経時で色相バランスが崩れ易いことが記載されている。そこで、特許文献1では、特定の紫外線吸収剤を含有するフィルムを有機EL表示装置に適用することにより、上記の問題を解決するよう試みている。上記特定の紫外線吸収剤としては、実施例ではチヌビン928(BASFジャパン社製)が用いられている。
また、例えば特許文献2では、2種類の光吸収剤を含有する光吸収層を表示装置に適用した構成が開示されている。一方の光吸収剤の吸収ピークの波長は、280nm以上360nm未満の範囲にあり、他方の光吸収剤の吸収ピークの波長は、360nm以上400nm以下の範囲にある。また、上記光吸収層において、波長430nm以上650nm以下の範囲での光透過率は、80%以上となっている。
国際公開公報第2013/038684号(請求項1、段落〔0005〕、〔0016〕、〔0238〕等参照) 特開2014−115524号公報(請求項1、3、7等参照)
ところで、有機EL表示装置では、波長が400nm以上430nm以下の光(例えば紫の波長範囲の光)によっても、青色の発光素子が劣化しやすいことから、光吸収層にて上記波長範囲の光を吸収することが望ましい。
この点、特許文献1で開示されている紫外線吸収剤(チヌビン928)の吸収ピークの波長は、360nm付近にあることから、上記紫外線吸収剤を含むフィルムにおける波長430nm付近の光透過率は、80%を超えることが推測される。また、特許文献2では、上述のように、波長430nmの光透過率は80%以上となっている。このため、特許文献1および2のいずれも、波長430nm以下の光による青色の発光素子の劣化を低減するには不十分と考えられる。
また、波長430nm以下の光を吸収する紫外線吸収剤は、熱に弱いことがわかっている。このため、上記紫外線吸収剤を用いてフィルムを製造する際に、製造工程(例えば延伸工程や、延伸後の乾燥工程)での温度が高いと、上記紫外線吸収剤の光吸収機能が損なわれる。その結果、波長400nm以上430nm以下の光透過率が高くなり、上記波長範囲の光による青色の発光素子の劣化を低減することができなくなる。
なお、波長400nm以上430nm以下の光を吸収する光吸収層を設けると、外光に含まれる上記波長範囲の光だけでなく、青色の発光素子から出射される光に含まれる上記波長範囲の光も上記光吸収層にて吸収されることになる。後者の場合、上記波長範囲の光を吸収しない構成に比べて、表示色が若干変わる。このため、従来は、上記波長範囲の光を吸収しようとする発想自体が起こりにくかった。現に、特許文献2では、波長430nm以上の光透過率として、80%以上が確保されている。
しかし、今後、有機EL表示装置の市場拡大にあたって、有機EL表示装置の製品としての長寿命化(表示性能の長期間の維持)が益々重要となってきており、表示色が若干変わってでも、波長430nm以下の光による青色の発光素子の劣化を抑えることのほうが重要となってきている。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、紫外線吸収剤を含むフィルムの製造時の温度条件を適切に規定することにより、波長430nm以下の光を吸収する機能を確実に発揮させることができ、これによって、有機EL表示装置に適用された場合でも、上記光による青色の発光素子の劣化を十分に低減することができる光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の製造方法により達成される。
1.吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤を少なくとも1層に含有させることにより、フィルム全体として、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上である光学フィルムを製造する工程を有し、
前記工程では、前記複数の紫外線吸収剤のうち、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層を、125℃以下の温度で製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記光学フィルムは、1層のフィルム基材のみからなり、
前記工程では、前記複数の紫外線吸収剤を前記フィルム基材に含有させて、前記フィルム基材を125℃以下の温度で製造することを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記工程では、前記フィルム基材を溶液流延製膜法によって製造することを特徴とする前記2に記載の光学フィルムの製造方法。
4.前記光学フィルムは、フィルム基材と、前記フィルム基材上に形成される塗布層との2層を含んでおり、
前記工程では、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を前記塗布層に含有させ、前記フィルム基材上で前記塗布層を125℃以下の温度で形成することにより、前記光学フィルムを製造することを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
5.前記工程では、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層を、100℃以上の温度で製造することを特徴とする前記1から4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
上記の製造方法によれば、複数の紫外線吸収剤のうち、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層を、125℃以下の温度で製造することにより、フィルム全体として、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上である光学フィルムが製造される。このように、熱に弱い紫外線吸収剤、つまり、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層の製造時の温度条件を適切に規定することにより、波長430nm以下の光を吸収する機能を上記層にて確実に発揮させることができる。その結果、製造された光学フィルムを有機EL表示装置に適用した場合でも、波長430nm以下の光による青色の発光素子の劣化を十分に低減することができる。
本発明の実施の形態に係る光学フィルムの概略の構成を示す断面図である。 上記光学フィルムの他の構成を示す断面図である。 光学フィルムの製造装置の概略の構成を示す説明図である。 上記光学フィルムが適用される有機EL表示装置の一構成例を示す断面図である。 上記有機EL表示装置の他の構成例を示す断面図である。 上記有機EL表示装置のさらに他の構成例を示す断面図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
〔光学フィルム〕
図1は、本実施形態の光学フィルム1の概略の構成を示す断面図である。光学フィルム1は、1層のフィルム基材2のみで構成されている。光学フィルム1(フィルム基材2)は、フィルム全体として、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上となる紫外線吸収特性を有している。この特性は、吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤を、フィルム基材2に含有させて、フィルム基材2を125℃以下の温度で製造することによって実現することができる。複数の紫外線吸収剤としては、例えば吸収ピークの波長が380nm未満のものと、380nm以上のものとの2種類を用いることができる。フィルム基材2は、例えば溶液流延製膜法によって製造される。
図2は、本実施形態の光学フィルム1の他の構成を示す断面図である。光学フィルム1は、フィルム基材2と、フィルム基材2上に形成される塗布層3との2層を含んで構成されてもよい。この場合、塗布層3には、吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤のうち、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤(例えば吸収ピークの波長が380nm以上のもの)を含有させ、フィルム基材2には、残りの紫外線吸収剤(例えば吸収ピークの波長が380nm未満のもの)を含有させ、フィルム基材2を例えば溶液流延製膜法で製造する一方、塗布層3を、フィルム基材2上で125℃以下の温度で形成することにより、図1と同様の紫外線吸収特性を持つ光学フィルム1を実現することができる。なお、塗布層3は、単層構造であってもよく、2層以上の積層構造であってもよい。また、図2の光学フィルム1の製造においては、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有する層(塗布層3)を125℃以下の温度で形成すればよく、残りの紫外線吸収剤を含有する層(フィルム基材2)の形成温度は、125℃を超えていても構わない。
このように、本実施形態の光学フィルム1の製造方法は、吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤を光学フィルム1の少なくとも1層に含有させることにより、フィルム全体として、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上である光学フィルムを製造する工程を有している。そして、前記工程では、複数の紫外線吸収剤のうち、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層(図1の構成ではフィルム基材2に相当し、図2の構成では塗布層3に相当する)を、125℃以下の温度で製造する。
波長430nm以下の光を吸収する紫外線吸収剤が熱に弱いことは、前述の通りであり、上記紫外線吸収剤には、吸収ピークの波長が380nm以上のものも含まれる。本実施形態では、熱に弱い紫外線吸収剤(吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤)を含有させる層の製造時の温度を、125℃以下に抑えているため、上記紫外線吸収剤の機能が熱によって損なわれるのを回避することができ、波長430nm以下の光を吸収する機能を上記層にて確実に発揮させることができる。その結果、製造された光学フィルム1を後述する有機EL表示装置100(図4等参照)に適用した場合でも、波長430nm以下の光による青色の発光素子の劣化を十分に低減することができ、目視した際の色味変化への影響の大きい440nm以上の吸収を極力低くすることができる。
また、前記工程では、複数の紫外線吸収剤をフィルム基材2に含有させて、フィルム基材2を125℃以下の温度で製造することにより、図1のように、フィルム基材2の1層のみからなり、かつ、上述の紫外線吸収特性を有する光学フィルム1を製造することができる。このとき、溶液流延製膜法では、ドープの支持体上への流延から、フィルムの延伸、乾燥までの各工程の全てを125℃以下の温度条件で行うことができる。したがって、フィルム基材2を溶液流延製膜法によって製造することにより、上述した紫外線吸収特性を有する光学フィルム1を確実に製造することができる。
また、前記工程では、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を塗布層3に含有させ、フィルム基材2上で塗布層3を125℃以下の温度で形成してもよい。例えば、塗布層形成組成物のフィルム基材2上への塗布から、乾燥、硬化までの各工程の全てを125℃以下の温度条件で行うことにより、図2のように、フィルム基材2と塗布層3との2層を含み、かつ、上述の紫外線吸収特性を有する光学フィルム1を製造することができる。
ところで、上述した光学フィルム1の製造において、製造過程での温度があまり低すぎると、例えば溶媒の乾燥に時間を要することとなり、フィルムの生産性が低下することが懸念される。したがって、フィルムの生産性を向上させるためには、前記工程において、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層を、100℃以上の温度で製造することが望ましい。
以下、本実施形態の光学フィルムの詳細について説明する。なお、以下では、特に断らない限り、光学フィルムはフィルム基材を指すものとする。
〔光学フィルムの材料〕
光学フィルムは、熱可塑性樹脂から構成されているフィルムであれば何でも良いが、光学用途に使用する場合には、所望の波長に対して透明な性質を有する樹脂からなるフィルムであることが好ましい。このようなフィルムを構成する樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂(脂環式オレフィンポリマー系樹脂)、セルロースエステル系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性や機械強度などの観点から、ポリカーボネート系樹脂、脂環式オレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂が好ましい。その中でも、光学フィルムとした場合の位相差を調整することが容易であるセルロースエステル系樹脂が更に好ましい。
(セルロースエステル系樹脂)
好ましいセルロースエステル系樹脂としては、下記式(1)および(2)を満たすセルロースアシレートが挙げられる。
式(1) 2.0≦X<3.0
式(2) 0≦Y<3.0
(式(1)および(2)において、Xはセルロースアシレートの総アシル基置換度を表し、Yはセルロースアシレートのプロピオニル基置換度およびブチリル基置換度の総和を表す。)
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、例えば綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。また、それらから得られたセルロースエステルを各々任意の割合で混合して使用することができる。
セルロースアシレートは、総アシル基置換度が2.0〜2.7の範囲内のセルロースアシレートであることが、耐水性を向上する観点から好ましく、また、製膜の際の流延性及び延伸性を向上させ、膜厚の均一性が一層向上する観点からは、セルロースアシレートの総アシル基置換度は、2.1〜2.5であることが好ましい。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM(American Society for Testing and Materials;米国試験材料協会)が策定・発行する規格の一つであるASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースアシレートとしては、特にセルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましいが、これらの中でより好ましいセルロースアシレートは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートである。
セルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることが更に好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が75000以上であれば、セルロースエステル系樹脂を含む層自身の自己成膜性や密着の改善効果が発揮され、好ましい。
セルロースエステル系樹脂の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の測定条件で測定することができる。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000の範囲内の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
(脂環式オレフィンポリマー系樹脂〕
本実施形態の光学フィルムは、脂環式オレフィンポリマー系樹脂(以下、シクロオレフィン樹脂とも称する)フィルムで構成することもできる。シクロオレフィン樹脂としては、下記一般式(S)に示す構造を有する単量体の重合体又は共重合体が挙げられる。
Figure 2017167312
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は極性基(すなわち、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、若しくはシリル基)で置換された炭化水素基である。
ただし、R〜Rは、二つ以上が互いに結合して、不飽和結合、単環又は多環を形成していてもよく、この単環又は多環は、二重結合を有していても、芳香環を形成してもよい。RとRとで、又はRとRとで、アルキリデン基を形成していてもよい。p及びmは0以上の整数である。
上記一般式(S)中、R及びRが表す炭化水素基は、炭素数1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基である。
及びRが水素原子又は1価の有機基であって、R及びRの少なくとも一つは水素原子及び炭化水素基以外の極性を有する極性基を示すことが好ましく、mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0である。
m=1、p=0である特定単量体は、得られるシクロオレフィン樹脂のガラス転移温度が高く、かつ、機械強度も優れたものとなる点で好ましい。なお、ここでいうガラス転移温度とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121−2012に準拠した方法により求められる値である。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。
また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。
これらの中では、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基が好ましい。
さらに、R及びRの少なくとも一つが式−(CHCOORで表される極性基である単量体は、得られるシクロオレフィン樹脂が、高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。
上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィン樹脂を挙げることができる。
シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。
本実施形態において、シクロオレフィン樹脂は、1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
シクロオレフィン樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5cm/g、さらに好ましくは0.3〜3cm/g、特に好ましくは0.4〜1.5cm/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは40000〜200000である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることにより、シクロオレフィン樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本実施形態の光学フィルムの成形加工性とが良好となる。
シクロオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜220℃である。Tgが110℃以上の場合が、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工により変形が起こりにくいため、好ましい。
一方、Tgが350℃以下とすることで、成形加工が困難になる場合を回避し、成形加工時の熱によって樹脂が劣化する可能性を低くすることができる。
シクロオレフィン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、又は公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合してもよく、特定の波長分散剤、糖エステル化合物、酸化防止剤、剥離促進剤、ゴム粒子、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含んでもよい。
また、シクロオレフィン樹脂としては、市販品を好ましく用いることができる。市販品の例としては、JSR(株)からアートン(ARTON:登録商標)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されている。また、日本ゼオン(株)からゼオノア(ZEONOR:登録商標)ZF14、ZF16、ゼオネックス(ZEONEX:登録商標)250又はゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
(紫外線吸収剤)
本実施形態の光学フィルムは、有機EL表示装置における発光層(特に青色の光を発光する発光素子)の紫外線による劣化を低減するために、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加量は、高分子組成物に対して0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5.0質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本実施形態の光学フィルムに有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)928」、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」(以上、商品名、BASFジャパン社製)を好ましく使用できる。
本実施形態では、吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤を光学フィルムに含有させている。例えば、吸収ピークの波長が380nm未満の紫外線吸収剤(第1の紫外線吸収剤)と、吸収ピークの波長が380nm以上の紫外線吸収剤(第2の紫外線吸収剤)とを光学フィルムに含有させる場合、第1の紫外線吸収剤としては、例えば上述したチヌビン(TINUVIN)928を用いることができ、第2の紫外線吸収剤としては、例えば、Eusurb UV−1990、Eusurb UV−1995、Eusurb UV−390(いずれもEUTEC社製)を用いることができる。ちなみに、チヌビン(TINUVIN)928の吸収ピークの波長は360nm付近にある。一方、Eusurb UV−1990の吸収ピークの波長は384nm付近にあり、Eusurb UV−1995の吸収ピークの波長は424nm付近にあり、Eusurb UV−390の吸収ピークの波長は387nm付近にある。
(マット剤)
本実施形態の光学フィルムには、製膜時にフィルム表面に凹凸を付与し、すべり性を確保し、安定な巻取り形状を達成するためにマット剤を含有させることが望ましい。マット剤を含有することにより、作製された光学フィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化するのを抑制することもできる。
マット剤としては、無機化合物の微粒子や樹脂の微粒子が挙げられる。無機化合物の微粒子の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜400nmの範囲内が好ましく、さらに好ましいのは10〜300nmの範囲内である。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの範囲内の二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径80〜400nmの範囲内の粒子であれば、凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
光学フィルム中のこれらの微粒子の含有量は、0.01〜3.0質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.01〜2.0質量%の範囲内であることが好ましい。光学フィルムが、共流延法による多層構成の場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の微粒子の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、これらを使用することができる。
これらの中でも、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR812が、光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため、特に好ましく用いられる。
本実施形態の光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0の範囲内であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本実施形態の光学フィルムは、添加剤として、上述の紫外線吸収剤およびマット剤のほかに、位相差調整剤(位相差上昇剤、位相差低減剤)、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、剥離剤、増粘剤などを含んでもよい。以下に主要な添加剤の詳細を記す。
〈可塑剤〉
光学フィルムに添加する可塑剤として、ポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、2種以上を併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0cm/gの範囲内が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5cm/gの範囲内である。固有粘度が0.7cm/g以上であると、ポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が、成形物として必要な機械的性質を有するとともに、透明性が良好となる。固有粘度が2.0cm/g以下の場合、成形性が良好となる。他の可塑剤としては、特開2013−97279号公報の段落〔0056〕〜〔0080〕の一般式(PEI)及び一般式(PEII)に記載の化合物を用いてよい。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は、例えば、光学フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により、光学フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、光学フィルム中に含有させることが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
(硬化層)
本実施形態の光学フィルムは、フィルム基材と、塗布層とで構成されてもよい。上記塗布層としては、硬化層、反射防止層、帯電防止層など、フィルム基材上に形成されて種々の機能を発揮する機能層で構成することができる。ここでは、塗布層を硬化層で形成する場合を例として説明する。光学フィルムが2層構成の場合、光学フィルムがフィルム基材の1層構成のときに添加される複数の紫外線吸収剤のうち、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤は硬化層に添加され、他の紫外線吸収剤は、フィルム基材に添加される。
硬化層は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。そして、硬化層は、アクリル系材料を含んでいてもよい。アクリル系材料としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルのような単官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。また、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
なお、本実施形態において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」の両方を示し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示し、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」と「メタクリロイル」の両方を示している。例えば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタクリレート」の両方を示している。
特に、紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられ、中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
硬化層の形成に用いる硬化層形成用組成物に含まれる溶剤としては、フィルム基材を溶解または膨潤させる溶剤が好ましい。溶剤がフィルム基材を溶解または膨潤させることにより、硬化層形成用組成物がフィルム基材の表面から内部に浸透し易くなり、フィルム基材と硬化層との密着性を向上させることができる。
また、フィルム基材の表層近傍で、フィルム基材の樹脂成分と硬化層の樹脂成分とが混在した層が形成され、この層の作用により、フィルム基材と硬化層との屈折率を傾斜させることができ、干渉ムラの発生を防ぐことができる。
硬化層は、上述した紫外線吸収剤以外に、光重合開始剤、光増感剤、レベリング剤を含んでいてもよい。
硬化層形成用組成物の塗工方法としては、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等を採用することができる。中でも特に、均一な薄膜層を形成する場合には、マイクログラビアコーティング法が好ましく、また、厚膜層を形成する必要がある場合にはダイコーティング法が好ましい。
また、硬化層を積層構造で構成する場合、上述した硬化層を第1硬化層とすると、第1硬化層上に以下の第2硬化層を形成してもよい。第2硬化層は、脂環構造を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を含む層であってもよい。脂環構造としては、具体的には、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロドデカニル、ペンタシクロペンタデカニル、アダマンチル、ジアマンタニル等が挙げられる。
脂環構造を有する活性エネルギー線硬化性樹脂は、脂環構造の炭化水素基とエチレン性不飽和二重結合を有する基とが連結基を介して結合することで構成されているものが好ましい。連結基としては、単結合、アルキレン基、アミド基、カルバモイル基、エステル基、オキシカルボニル基、エーテル基等またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。具体的には、脂環構造を有するジオール、トリオール等のポリオールと、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を有するカルボン酸、カルボン酸誘導体、エポキシ誘導体、イソシアナート誘導体化合物等との一段あるいは二段階の反応により、容易に合成できる。
〔光学フィルムの製造方法〕
次に、本実施形態の光学フィルムの製造方法について説明する。ここでは、例として、光学フィルムがフィルム基材のみで構成される場合の光学フィルムの製造方法について説明する。なお、フィルム基材と塗布層とを備える光学フィルムの製法については、以下の製法によって製造されたフィルム基材上に、塗布層形成組成物を塗布した後、これを硬化、乾燥させることで塗布層を形成し、これによって光学フィルムを製造することができる。
図3は、本実施形態の光学フィルムの製造に用いられる製造装置20の概略の構成を示す説明図である。本実施形態の光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法によって光学フィルムを製膜する方法である。この溶液流延製膜法では、樹脂と溶媒とを含むドープを、走行する支持体上に流延ダイから流延して支持体上で乾燥させ、流延膜(ウェブ)を支持体から剥離した後、ウェブを延伸、乾燥させてフィルムを製膜する。以下、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造ついて、より詳細に説明する。
(ドープ調製工程)
図示しない調製部にて、支持体22上に流延するドープを調製する。
(流延、乾燥、剥離工程)
次に、調製部にて調製されたドープを、流延ダイ21から支持体22上に流延する。そして、支持体22で搬送しながら乾燥させて形成した流延膜としてのウェブ25を、支持体22から剥離する。より具体的には、以下の通りである。
調製部にて調製されたドープを、加圧型定量ギヤポンプ等を通して、導管によって流延ダイ21に送液し、無限に移送する回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体22上の流延位置に、流延ダイ21からドープを流延し、これにより支持体22上に流延膜としてのウェブ25を形成する。
支持体22は、一対のドラム23−A・23−Bおよびこれらの間に位置する複数のロール(不図示)によって保持されている。ドラム23−A・23−Bの一方または両方には、支持体22に張力を付与する駆動装置(不図示)が設けられており、これによって支持体22は張力が掛けられて張った状態で使用される。
支持体22上に流延されたドープにより形成されたウェブ25を、支持体22上で加熱し、支持体22から剥離ロール24によってウェブ25が剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法や、支持体22の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があり、適宜、単独であるいは組み合わせて用いればよい。支持体22上でウェブ25が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化あるいは冷却凝固させた後、ウェブ25を、自己支持性を持たせたまま剥離ロール24によって剥離する。
なお、剥離時点での支持体22上でのウェブ25の残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、支持体22の長さ等により、50〜120質量%の範囲であることが望ましい。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブ25が柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるシワや縦スジが発生しやすいため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。なお、残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/
(ウェブの加熱処理後質量)×100
ここで、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
(延伸工程)
この工程では、支持体22から剥離されたウェブ25を、テンター26によって延伸する。このときの延伸方向としては、フィルム搬送方向(MD方向;Machine Direction)、フィルム面内で上記搬送方向に垂直な幅手方向(TD方向;Transverse Direction)、これらの両方向、のいずれかである。延伸工程では、ウェブ25の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。なお、テンター26内では、延伸に加えて乾燥を行ってもよい。延伸工程において、ウェブ25をMD方向およびTD方向の両方向に延伸することにより、ウェブ25をMD方向およびTD方向に対して斜めに交差する方向に延伸(斜め延伸)することもできる。
(乾燥工程)
テンター26にて延伸されたウェブ25は、乾燥装置27にて乾燥される。乾燥装置27内では、側面から見て千鳥状に配置された複数の搬送ロールによってウェブ25が搬送され、その間にウェブ25が乾燥される。乾燥装置27での乾燥方法は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いてウェブ25を乾燥させる。簡便さの点から、熱風でウェブ25を乾燥させる方法が好ましい。
ウェブ25は、乾燥装置27にて乾燥後、光学フィルムFとして巻取装置40に向かって搬送される。
(切断、エンボス加工工程)
乾燥装置27と巻取装置40との間には、切断部28およびエンボス加工部29がこの順で配置されている。切断部28では、製膜された光学フィルムFを搬送しながら、その幅手方向の両端部を、スリッターによって切断する切断工程が行われる。光学フィルムFにおいて、両端部の切断後に残った部分は、フィルム製品となる製品部を構成する。一方、光学フィルムFから切断された部分は、シュータにて回収され、再び原材料の一部としてフィルムの製膜に再利用される。
切断工程の後、光学フィルムFの幅手方向の両端部には、エンボス加工部29により、エンボス加工(ナーリング加工)が施される。エンボス加工は、加熱されたエンボスローラーを光学フィルムFの両端部に押し当てることにより行われる。エンボスローラーの表面には細かな凹凸が形成されており、エンボスローラーを光学フィルムFの両端部に押し当てることで、上記両端部に凹凸が形成される。このようなエンボス加工により、次の巻取工程での巻きズレやブロッキング(フィルム同士の貼り付き)を極力抑えることができる。
(巻取工程)
最後に、エンボス加工が終了した光学フィルムFを、巻取装置40によって巻き取り、光学フィルムFの元巻(フィルムロール)を得る。すなわち、巻取工程では、光学フィルムFを搬送しながら巻芯に巻き取ることにより、フィルムロールが製造される。光学フィルムFの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。光学フィルムFの巻長は、1000〜7200mであることが好ましい。また、その際の幅は1000〜3000mm幅であることが望ましく、膜厚は10〜60μmであることが望ましい。
〔有機EL表示装置〕
次に、本実施形態の光学フィルムが適用される有機EL表示装置の構成について説明する。
図4は、本実施形態の有機EL表示装置100の一構成例を示す断面図である。有機EL表示装置100は、OLED(Organic light-Emitting Diode)とも呼ばれ、有機EL素子101を有している。有機EL素子101は、基板102上に、順に、金属電極103、発光層104、透明電極105、封止層106を有して構成されている。有機EL素子101自体の厚さは、1μm程度である。
基板102は、例えばガラスや、ポリイミド等の樹脂からなる。金属電極103は、例えばアルミニウムなどの金属からなる反射電極で構成されている。金属電極103は、上記反射電極と透明電極(例えば酸化インジウムスズ(ITO))とで構成されていてもよい。発光層104は、青色、緑色、赤色の各光を発光する発光素子を各画素に対応して有している。発光層104は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、これらの正孔注入層、発光層、電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。透明電極105は、ITO等で構成されている。封止層106は、図1で示した光学フィルム1(フィルム基材2)で構成することができる。
上記の構成において、金属電極103と透明電極105とに電圧を印加すると、発光層104に対して、金属電極103および透明電極105のうちで陰極となる電極から電子が注入され、陽極となる電極から正孔が注入され、両者が発光層104で再結合することにより、発光層104の発光特性に対応した可視光線の発光が生じる。発光層104で生じた光は、直接または金属電極103で反射した後、透明電極105および封止層106を介して外部に取り出されることになる。
図5は、有機EL表示装置100の他の構成例を示す断面図である。有機EL表示装置100は、有機EL素子101上に、接着層201を介して円偏光板301を配置した構成であってもよい。円偏光板301は、有機EL素子101側から順に、塗布層302、λ/4フィルム303、接着層304、偏光子305、接着層306、保護フィルム307、硬化層308を積層してなり、偏光子305がλ/4フィルム303と保護フィルム307とによって挟持されている。偏光子305の透過軸とλ/4フィルム303の遅相軸とのなす角度が約45°(または135°)となるように両者を貼り合わせることで、円偏光板301が構成されている。塗布層302およびλ/4フィルム303は、図2で示した光学フィルム1で構成することができる。すなわち、この場合、塗布層302は、光学フィルム1の塗布層3で構成され、λ/4フィルム303は、フィルム基材2で構成される。
なお、λ/4フィルム303は、例えば上述した溶液流延製膜法における延伸工程で斜め延伸を行うことによって製造可能であるが、上記延伸工程で斜め延伸せずに、製膜されたフィルムを一度巻取装置40にて巻き取り、巻き取ったフィルムを斜め延伸機に繰り出して斜め延伸を行うことにより、λ/4フィルム303を製造してもよい。
保護フィルム307には、上記のように硬化層308が積層されていることが好ましい。硬化層308は、有機EL表示装置100の表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板301による反りを防止する効果を有する。更に、硬化層308上には、反射防止層が形成されてもよい。上記のように有機EL素子101の視認側に円偏光板301を設けることにより、有機EL素子101の非発光時における外光の反射を低減することができる。より詳しくは、以下の通りである。
有機EL素子101において、発光層104は、厚さが例えば10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、発光層104も透明電極105と同様に、光をほぼ完全に透過する。したがって、円偏光板301を配置しない構成では、有機EL素子101の非発光時において、室内照明等による光(外光)が、封止層106側から入射し、透明電極105と発光層104とを透過して金属電極103で反射して、再び封止層106側に出射される。その結果、外部からは、有機EL表示装置100の表示面が鏡面のように見える。
これに対して、円偏光板301を配置した構成では、有機EL素子101の非発光時に、外光は、円偏光板301の偏光子305によって半分は吸収され、残りの半分は直線偏光として透過し、λ/4フィルム303に入射する。偏光子305の透過軸とλ/4フィルム303の遅相軸とが45°(または135°)で交差するように配置されているため、λ/4フィルム303に入射した光は、λ/4フィルム303を透過することにより円偏光に変換される。
λ/4フィルム303から出射された円偏光は、有機EL素子101の金属電極103で鏡面反射する際に、位相が180度反転し、逆回りの円偏光として反射される。この反射光は、λ/4フィルム303に入射することにより、偏光子305の透過軸に垂直(吸収軸に平行)な直線偏光に変換されるため、偏光子305で全て吸収され、外部に出射されないことになる。つまり、円偏光板301により、有機EL素子101での外光反射を低減することができる。
図6は、有機EL表示装置100のさらに他の構成例を示す断面図である。図6の有機EL表示装置100は、円偏光板301の塗布層302を省略するとともに、塗布層302の機能を硬化層308に持たせた以外は、図5の構成と同様である。保護フィルム307および硬化層308は、図2で示した光学フィルム1で構成することができる。すなわち、この場合、保護フィルム307は、光学フィルム1のフィルム基材2で構成され、硬化層308は、光学フィルム1の塗布層3で構成される。なお、図6の構成において、保護フィルム307および硬化層308の代わりに、図1で示した1層構成の光学フィルム1(フィルム基材2)を設けるようにしてもよい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。なお、以下では、「部」あるいは「%」の表記を用いるが、特に断らない限り、これらは「質量部」あるいは「質量%」を表すものとする。
<光学フィルムの作製>
(ドープA−1の調製)
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルローストリアセテート(TAC;アセチル置換度2.9、数平均分子量Mw:25万) 100質量部
可塑剤(アジピン酸:フタル酸=70:30)と1,2−エタンジオールとをエステル化反応させて得られるエステル化合物(末端基アセチル基) 10質量部
微粒子添加液 10質量部
以上を、十分な撹拌を行いながら密閉容器に投入し、撹拌しながら80℃まで昇温し1時間保持した後30℃まで冷却して、孔径5μmのフィルターでろ過を行い、ドープA−1を得た。
〈微粒子添加液〉
上記の微粒子添加液は、以下のようにして調製した。
微粒子(アエロジルR812:日本アエロジル社製、一次平均粒子径:7nm、見掛け比重50g/L) 4質量部
ジクロロメタン 48質量部
エタノール 48質量部
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
(ドープA−2の調製)
ドープA−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープA−1の調製と同様にしてドープA−2を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(ドープA−3の調製)
ドープA−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープA−1の調製と同様にしてドープA−3を得た。
チヌビン928(BASFジャパン社製) 2.5質量部
(ドープA−4の調製)
ドープA−3の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープA−1の調製と同様にしてドープA−4を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(ドープB−1の調製)
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(CAP;アセチル置換度1.50、プロピオニル置換度1.00、トータル置換度2.50、数平均分子量Mw:20万)
100質量部
可塑剤(アジピン酸:フタル酸=70:30)と1,2−エタンジオールとをエステル化反応させて得られるエステル化合物(末端基アセチル基) 10質量部
微粒子添加液 10質量部
以上の材料を用い、ドープA−1の調製と同様にしてドープB−1を得た。
(ドープB−2の調製)
ドープB−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープB−1の調製と同様にしてドープB−2を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(ドープB−3の調製)
ドープB−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープB−1の調製と同様にしてドープB−3を得た。
チヌビン928(BASFジャパン社製) 2.5質量部
(ドープB−4の調製)
ドープB−3の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープB−1の調製と同様にしてドープB−4を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(ドープC−1の調製)
ジクロロメタン 300質量部
メタノール 60質量部
セルロースアセテートブチレート(CAB;アセチル置換度1.70、ブチリル置換度1.00、トータル置換度2.70、数平均分子量Mw:20万) 100質量部
可塑剤(アジピン酸:フタル酸=70:30)と1,2−エタンジオールとをエステル化反応させて得られるエステル化合物(末端基アセチル基) 10質量部
微粒子添加液 2質量部
以上の材料を用い、ドープA−1の調製と同様にしてドープC−1を得た。
(ドープC−2の調製)
ドープC−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープC−1の調製と同様にしてドープC−2を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(ドープC−3の調製)
ドープC−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープC−1の調製と同様にしてドープC−3を得た。
チヌビン928(BASFジャパン社製) 2.5質量部
(ドープC−4の調製)
ドープC−3の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープC−1の調製と同様にしてドープC−4を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(ドープD−1の調製)
〈環状ポリオレフィン重合体(COP)の合成〉
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル100質量部を反応釜に投入した。次いで、トルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー質量)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー質量)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー質量)を反応釜に投入した。室温で撹拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた重合体(P−1)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。
〈主ドープの組成〉
シクロオレフィン樹脂(P−1、数平均分子量Mw:14万) 100質量部
ジクロロメタン 302質量部
エタノール 18質量部
微粒子添加液 10質量部
以上の材料を用い、ドープA−1の調製と同様にしてドープD−1を得た。
(ドープD−2の調製)
ドープD−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープD−1の調製と同様にしてドープD−2を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(ドープD−3の調製)
ドープD−1の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープD−1の調製と同様にしてドープD−3を得た。
チヌビン928(BASFジャパン社製) 2質量部
(ドープD−4の調製)
ドープD−3の処方に以下の添加剤(紫外線吸収剤)を加えた以外は、ドープD−1の調製と同様にしてドープD−4を得た。
Eusurb UV−1990(EUTEC社製) 1.6質量部
(光学フィルム1〜16の作製)
ドープA−1〜D−4を用い、溶液流延製膜法によって単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム1〜16を製膜した。より詳しくは、ドープA−1〜D−4を用いたそれぞれの製膜において、無端の30m/minの速度で駆動する金属支持体上に、流延ダイからドープを流延し、支持体上で40℃の乾燥風を当てることにより乾燥させて自己支持性を持たせた後、10℃まで冷却し、支持体から剥離した。その後、剥離した流延膜(ウェブ)をTD方向に120℃で10%延伸したのちに110℃で30分間乾燥した後巻き取り、幅1m、長さ1000mの光学フィルムを得た。なお、支持体上での乾燥温度は40℃であり、延伸時の温度は120℃であり、延伸後の乾燥温度は110℃であることから、製造工程における温度の最大値は、120℃である。光学フィルムの出来上がり膜厚は、40μmであった。
上記で作製した光学フィルム1〜16を、後述の作製方法で作製した有機EL素子の視認側の表面に貼り付け、耐久性(具体的には耐光性試験前後での正面輝度変化)について評価した。なお、耐久性の評価方法についても後述する。表1は、各光学フィルム1〜16についての評価の結果を示している。
Figure 2017167312
(光学フィルム17〜32の作製)
次に、以下のようにして、光学フィルム17〜32を作製した。
ドープA−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸温度を120℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム17〜18を製膜した。また、ドープA−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸後の乾燥温度を110℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム19〜20を製膜した。
ドープB−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸温度を120℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム21〜22を製膜した。また、ドープB−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸後の乾燥温度を110℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム23〜24を製膜した。
ドープC−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸温度を120℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム25〜26を製膜した。また、ドープC−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸後の乾燥温度を110℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム27〜28を製膜した。
ドープD−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸温度を120℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム29〜30を製膜した。また、ドープD−4を用いた製膜において、基材成膜時の延伸後の乾燥温度を110℃から125℃および130℃に変更した以外は、上記と同様にして、単層のフィルム基材のみからなる光学フィルム31〜32を製膜した。
上記で作製した光学フィルム17〜32を、後述の作製方法で作製した有機EL素子の視認側の表面に貼り付け、耐久性について評価した。表2は、各光学フィルム17〜32についての評価の結果を示している。
Figure 2017167312
(光学フィルム33〜48の作製)
次に、紫外線吸収剤(Eusurb UV−1990)を含まないフィルム基材上に、紫外線吸収剤(Eusurb UV−1995)を含む塗布層を形成して、光学フィルム33〜48を作製した。より詳しくは、以下の通りである。
なお、ここでは、塗布層を2層の硬化層(フィルム基材側から第1硬化層、第2硬化層とする)で形成し、第2硬化層形成用組成物に、紫外線吸収剤(Eusurb UV−1995)を添加した例について説明するが、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上とするための必要量が、基材、塗布層などの合計で満たされていればよく、塗布層における第2硬化層だけでなく、異なる層(第1硬化層や他の機能層)に異なる紫外線吸収剤を添加しても構わない。たとえば、第2硬化層に必要量の半分を、第1硬化層に残りの半分を入れてもよいし、基材に添加しても構わない。
〈ポリマーシランカップリング剤被覆微粒子の調製〉
容器に、メタクリル酸メチル(共栄社化学(株)製:ライトエステルM)30ml、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−803)1mlと、溶媒としてテトラヒドロフラン100ml、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(関東化学(株)製:AIBN)50mgを添加し、Nガスで置換した後、80℃で3時間加熱してポリマーシランカップリング剤を調製した。得られたポリマーシランカップリング剤の分子量は16,000であった。なお、分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置で測定した。
次に、シリカゾル(日揮触媒化成工業(株)製:Si−45P、SiO濃度30重量%、平均粒子径45nm、分散媒:水)をイオン交換樹脂にてイオン交換し、限外濾過膜法で水をエタノールに溶媒置換してシリカ微粒子のエタノール分散液100g(SiO濃度30重量%)を調製した。
このシリカ微粒子エタノール分散液100gとポリマーシランカップリング剤1.5gとをアセトン20g(25ml)に分散し、これに濃度29.8重量%のアンモニア水20mgを添加し、室温で30時間攪拌してポリマーシランカップリング剤をシリカ微粒子に吸着させた。
その後、平均粒子径5μmのシリカ粒子を添加し、2時間攪拌して溶液中の未吸着のポリマーシランカップリング剤をシリカ粒子に吸着させ、ついで、遠心分離により未吸着であったポリマーシランカップリング剤を吸着した平均粒子径5μmのシリカ粒子を除去した。ポリマーシランカップリング剤を吸着したシリカ微粒子分散液にエタノール1000g加え、シリカ微粒子を沈降させ、これを分離、減圧乾燥し、ついで、25℃で8時間乾燥してポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)を得た。得られたポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)の平均粒子径は57nmであった。平均粒子径はレーザー粒子径測定装置により測定した。
〈第1硬化層形成用組成物の調製〉
上記で作製したポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)と、下記の化合物とを攪拌混合して、第1硬化層形成用組成物を調整した。
(微粒子)
ポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1) 10質量部
(活性線硬化樹脂)
ウレタンアクリレート(U−4H、新中村化学工業(株)製) 35質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤)
KF−642(ポリエーテル変性シリコーンオイル、信越化学工業株式会社製)
2質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 80質量部
酢酸メチル 20質量部
〈第2硬化層形成用組成物Pの調製〉
上記で作製したポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)と、下記の化合物とを攪拌混合して、第2硬化層形成用組成物Pを調整した。
(微粒子)
ポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1) 50質量部
(活性線硬化樹脂)
NKエステルA−DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、新中村化学工業社製) 35質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤)
KF−642(ポリエーテル変性シリコーンオイル、信越化学工業株式会社製)
2質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 80質量部
酢酸メチル 20質量部
〈第2硬化層形成用組成物Qの調製〉
上記した第2硬化層形成用組成物Pに下記の化合物を攪拌混合して、第2硬化層形成用組成物Qを調整した。
(紫外線吸収剤)
Eusurb UV−1995(EUTEC社製) 10質量部
〈光学フィルム33〜34の作製〉
ドープA−1(チヌビン928およびUV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム1のA面(流延ベルトに接していない面)上に、上記第1硬化層形成用組成物を、押し出しコーターを用いて塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度50℃で乾燥の後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.25J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚0.5μmの第1硬化層を形成した。
なお、一般に、乾燥プロセスは、乾燥が始まると、乾燥速度が一定の状態から徐々に減少する状態へと変化していくことが知られており、乾燥速度が一定の区間を恒率乾燥区間、乾燥速度が減少していく区間を減率乾燥区間と呼ぶ。恒率乾燥区間においては流入する熱量はすべて塗膜表面の溶媒蒸発に費やされており、塗膜表面の溶媒が少なくなると蒸発面が表面から内部に移動して減率乾燥区間に入る。これ以降は塗膜表面の温度が上昇し熱風温度に近づいていくため、硬化層形成用組成物の温度が上昇し、樹脂粘度が低下して流動性が増すと考えられる。
続いて、第1硬化層上に、上記で作製した第2硬化層形成用組成物PまたはQを、マイクログラビアコーターを用いて塗布し、恒率乾燥区間温度100℃、減率乾燥区間温度50℃で乾燥の後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚2μmの第2硬化層を形成した。このとき、紫外線照射部のフィルム温度が、120℃となるよう窒素のパージ量を調整した。このようにして、フィルム基材(光学フィルム1)上に塗布層を有する、光学フィルム33(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム34(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。
次に、塗布層の下地層として、光学フィルム1の代わりに、ドープA−3(チヌビン928を含み、UV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム3を用いた以外は、上記と同様にして、光学フィルム35(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム36(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。
上記と同様にして、ドープB−1(チヌビン928およびUV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム5上に、第1硬化層および第2硬化層を形成して、光学フィルム37(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム38(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。また、ドープB−3(チヌビン928を含み、UV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム7上に、第1硬化層および第2硬化層を形成して、光学フィルム39(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム40(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。
さらに、上記と同様にして、ドープC−1(チヌビン928およびUV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム9上に、第1硬化層および第2硬化層を形成して、光学フィルム41(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム42(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。また、ドープC−3(チヌビン928を含み、UV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム11上に、第1硬化層および第2硬化層を形成して、光学フィルム43(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム44(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。
さらに、上記と同様にして、ドープD−1(チヌビン928およびUV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム13上に、第1硬化層および第2硬化層を形成して、光学フィルム45(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム46(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。また、ドープD−3(チヌビン928を含み、UV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム15上に、第1硬化層および第2硬化層を形成して、光学フィルム47(第2硬化層にUV−1995なし)および光学フィルム48(第2硬化層にUV−1995あり)を作製した。
上記で作製した光学フィルム33〜48を、後述の作製方法で作製した有機EL素子の視認側の表面に貼り付け、耐久性について評価した。表3は、各光学フィルム33〜48についての評価の結果を示している。
Figure 2017167312
(光学フィルム49〜54の作製)
ドープA−3(チヌビン928を含み、UV−1990を含んでいない)を用いて作製された光学フィルム3上に、第1硬化層および第2硬化層(UV−1995あり)を作製する際に、紫外線照射時の窒素パージ量を変更し、照射時のフィルム温度を120℃から110℃、125℃、130℃に変更した以外は、上記と同様にして、光学フィルム49〜51を製膜した。また、塗布後の減率乾燥区間温度を50℃から125℃、130℃、120℃に変更した以外は、上記と同様にして、光学フィルム52〜54を製膜した。
上記で作製した光学フィルム49〜54を、後述の作製方法で作製した有機EL素子の視認側の表面に貼り付け、耐久性について評価した。表4および表5は、各光学フィルム49〜54についての評価の結果および特性を示している。
Figure 2017167312
Figure 2017167312
<有機EL素子の作製>
ガラス基板の一方の面上に、ITOセラミックターゲット(In:SnO=90質量%:10質量%)を用い、DCスバッタリング法により、厚さ120nmのITO透明膜からなる陽極を形成した。その後、超音波洗浄を行った後、紫外線オゾン方式で洗浄した。
次に、ITO透明膜を有するガラス基板を抵抗加熱式真空蒸着装置内に固定し、真空蒸着装置内のモリブデン製ボートにN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(以下、TPDと略記する。)を装着し、別のモリブデン製ボートに、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alqと略記する)を装着した。真空チャンバー内を1×10−4Paの減圧状態として、モリブデン製ボートに通電してTPDを220℃に加熱し、ITO透明膜上に、厚さ60nmのTPD膜からなる正孔輸送層を形成した後、Alqを装着したモリブデン製ボートに通電してAlqを275℃に加熱し、正孔輸送層上に厚さ60nmのAlq膜(発光層)を形成した。
次いで、発光層上にモリブデン製ボートに装着したマグネシウムと、別のモリブデン製ボートに装着した銀をそれぞれ加熱し、真空チャンバー内を2×10−4Paの減圧状態として2元同時蒸着方式により、Mg・Ag合金(Mg/Ag=9/1)からなる厚さ100nmの陰極を形成して、緑色(主波長513nm)に発光する有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子に6Vの直流電圧を印加した際の正面輝度は、1200cd/mであった。正面輝度の測定は、コニカミノルタオプティクス社製分光放射輝度計CS−1000を用いて、2°視野角正面輝度を、発光面からの法線に分光放射輝度計の光軸が一致するようにして、可視光波長430〜500nmの範囲を測定し、積分強度をとった。上記で測定した正面輝度の値を、耐光性試験前の値とした。
次に、アクリル系粘着剤を、作製した光学フィルムの一方の面(フィルム基材上または塗布層上)に塗工した後、作製した有機EL素子の視認側に貼合することにより、有機EL表示装置を作製した。
<透過率の測定>
上記で作製された光学フィルム1〜54の透過率について、分光光度計「U−3900H」(日立ハイテクノロジーズ社製)によって波長200〜800nmの吸光度を測定することによって求めた。
<耐光性評価>
(耐光性試験)
上記で作製した有機EL表示装置を、視認側に光が当たるようにして、(株)スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75に設置し、60℃、相対湿度50%の環境下において500時間照射した。なお、スーパーキセノンの照射光は、屋外における日光に近似したスペクトルを太陽光の3倍で照射可能であり、屋外での使用を模擬した促進耐光性試験を実施することができる。
照射後の有機EL表示装置の正面輝度を、上記と同様にして測定し、スーパーキセノン照射前後での正面輝度の変化量を求め、以下の基準により評価した。
《評価基準》
○:正面輝度の低下量が、耐光性試験前の値の10%未満である。
△:正面輝度の低下量が、耐光性試験前の値の10%以上20%未満である。
×:正面輝度の低下量が、耐光性試験前の値の20%以上である。
<生産性評価>
塗布層を含む光学フィルム49〜54については、塗布層を形成する第2硬化層形成用組成物PまたはQを塗布した後の乾燥に要する時間から、以下の基準に基づいて、フィルム生産性について評価した。なお、光学フィルム49〜54では、恒率乾燥区間の乾燥時間が全て同じであるため、ここでは、減率乾燥区間の乾燥時間に基づいて評価を行った。
《評価基準》
○:減率乾燥区間の乾燥時間が、15分以下である。
△:減率乾燥区間の乾燥時間が、15分よりも長く60分以下である。
×:減率乾燥区間の乾燥時間が、60分よりも長い。
表1〜表5より、吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤を少なくとも1層(例えばフィルム基材の1層のみ(表1および表2参照)、またはフィルム基材と塗布層との2層(表3〜表5参照))に含有させることにより、フィルム全体として、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上である光学フィルムが製造されていることがわかる。また、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤(UV−1990またはUV−1995)を含有させる層(フィルム基材にUV−1990を含有させる場合は、フィルム基材を指し、塗布層にUV−1995を含有させる場合は、塗布層を指す)を、125℃以下の温度で製造することにより、有機EL表示装置における正面輝度の低下量が、耐光性試験前の値の10%未満と良好であり、発光部(特に青色の発光素子)の紫外線による劣化が十分に低減されていることがわかる。特に、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を、120℃以下の温度で製造した場合は、有機EL表示装置の発光部の耐久性について最も良好な結果が得られていることから、このような温度条件で光学フィルムを製造することが、発光部の紫外線による劣化を確実に低減する点で望ましいと言える。
また、表4より、50℃で乾燥させる温度区間が存在すると、乾燥温度が低すぎるために溶媒の乾燥時間が長くなり、結果としてフィルムの生産性が低下することが懸念される(光学フィルム49〜51参照)。このため、フィルムの生産性を向上させるためには、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層(例えば塗布層)を、100℃以上(望ましくは110℃以上)の温度で製造することが望ましいと言える(光学フィルム52〜54参照)。
なお、フィルム基材の1層のみからなる光学フィルム(例えば光学フィルム4)の製造において、延伸時の温度または延伸後の乾燥温度を100℃未満にした以外は上記と同様の条件で光学フィルムを製造したところ、紫外線による劣化を低減する効果は110℃と同じにもかかわらず、低温の為、延伸で所望の品質が得られなかったり、乾燥温度が低いために乾燥時間が長くなり、いずれにしても、フィルム生産性に影響を及ぼすことがわかった。したがって、1層構成の光学フィルムを製造する場合でも、フィルムの生産性を向上させるためには、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層(フィルム基材)を、100℃以上の温度で製造することが望ましいと言える。
本発明は、例えば有機EL表示装置に適用される光学フィルムの製造に利用可能である。
1 光学フィルム
2 フィルム基材
3 塗布層

Claims (5)

  1. 吸収ピークの波長が異なる複数の紫外線吸収剤を少なくとも1層に含有させることにより、フィルム全体として、波長400nmの光透過率が1%以下であり、波長430nmの光透過率が75%以下であり、波長440nmの光透過率が75%以上である光学フィルムを製造する工程を有し、
    前記工程では、前記複数の紫外線吸収剤のうち、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層を、125℃以下の温度で製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記光学フィルムは、1層のフィルム基材のみからなり、
    前記工程では、前記複数の紫外線吸収剤を前記フィルム基材に含有させて、前記フィルム基材を125℃以下の温度で製造することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記工程では、前記フィルム基材を溶液流延製膜法によって製造することを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記光学フィルムは、フィルム基材と、前記フィルム基材上に形成される塗布層との2層を含んでおり、
    前記工程では、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を前記塗布層に含有させ、前記フィルム基材上で前記塗布層を125℃以下の温度で形成することにより、前記光学フィルムを製造することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記工程では、吸収ピークの波長が最も長い紫外線吸収剤を含有させる層を、100℃以上の温度で製造することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
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