JP2007271955A - 光学フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

光学フィルム、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶表示装置(LCD)が長期間使用され続けた場合でも、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、LCDの視認性の劣化が生じないような偏光板用保護フィルムとして有用な光学フィルムを提供する。
【解決手段】 紫外線吸収剤と赤外線吸収剤を含有する樹脂フィルムよりなる光学フイルムで、フイルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられている。紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフイルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフイルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されているのが、好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、以下、PDPという)に用いられる反射防止フィルム等に使用される光学フィルム、及びその製造方法に関するものである。
近年、次世代デジタルマルチメディアディスプレイ装置として、PDP、TFT−LCD(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)、及びFED(Field Emission Display)などが開発されているが、特に、PDPは、簡単な構造であるため、製作が容易であり、高輝度、高効率、高メモリ機能、高非線形性、及び160゜以上の視野角を有するなど、他のディスプレイ装置に比べて優れている点が多いため、40インチ以上の大型画面のディスプレイ素子として最も期待されている。
PDPに用いられる反射防止フィルムにおいては、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を防止するために、赤外線吸収剤が混入されており、この赤外線吸収剤の分解を防止するために、紫外線吸収剤が混入されている。
このような赤外線吸収剤及び/又は紫外線吸収剤を含む光学フィルムに関わる先行特許文献には、つぎのようなものがある。
特開2005−70724号公報 特許文献1には、反射防止層、紫外線吸収層、近赤外線吸収能を有する色調調整層が視認側から、この順番で含む光学フィルタの技術が開示されている。 特開2005−181933号公報 特許文献2には、視認側から、反射防止層、色素層、メッシュ銅箔及び透明基体が積層されてなる光学フィルタの技術が開示されている。 特開2005−242227号公報 特許文献3には、少なくとも電磁波シールド機能、近赤外線カット機能、および反射防止機能を持つフィルムを持つ光学部材の技術が開示されている。 特願2004−226619号公報 特許文献4には、700nm以上に吸収極大をもつ高分子光学フィルムの技術が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術においては、紫外線吸収層、近赤外線吸収能をもつ層は別個に存在しており、紫外線吸収剤と近赤外線吸収剤とが共に存在していない。また特許文献2に開示の技術においては、紫外線吸収能をもつ層については言及しておらず、従って、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤とが共に存在する技術については、なんら記載されていない。さらに、特許文献3に開示の技術においては、紫外線吸収能をもつ層については言及しておらず、従って、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤とが共に存在する技術については、なんら記載されていない。最後に、特許文献4に開示の技術において、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤とが共に存在する技術については、なんら記載されていない。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、PDPに用いられる反射防止フィルム等の光学フィルムについて、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を防止するために混入される赤外線吸収剤、及びこの赤外線吸収剤の分解を防止するために混入される紫外線吸収剤の機能を、それぞれ長期間保持することができて、耐久性に優れている光学フィルム、及びその製造方法を提供しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤を含有する樹脂フィルムよりなる光学フィルムであって、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられていることを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学フィルムであって、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されていることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学フィルムであって、屈折率が1.35以上、1.55以下である塗工層液を、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域上に塗布して形成された少なくとも1つの塗工層を有することを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、幾何学模様の導電層が設けられていること特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、幾何学模様の導電層が、フィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域上に設けられていることを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項5に記載の光学フィルムであって、導電層が、銅を含むことを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、樹脂が、セルロースアシレートであることを特徴としている。
請求項8の発明は、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、波長900〜1100nmの領域における赤外線吸収率が、平均で50%以上であることを特徴としている。
請求項9の発明は、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造であって、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられている光学フィルムを製造することを特徴としている。 請求項10の発明は、請求項9に記載の光学フィルムの製造方法であって、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤をいずれも含まない第4ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されている光学フィルムを製造することを特徴としている。
請求項11の発明は、請求項9または10に記載の光学フィルムの製造方法であって、屈折率が1.35以上、1.55以下である塗工層液を、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域側の表面上に塗布して、少なくとも1つの塗工層を形成することを特徴としている。
請求項12の発明は、請求項9〜11のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法であって、フィルム表面に、幾何学模様の導電層を設けること特徴としている。
請求項13の発明は、請求項9〜12のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法であって、幾何学模様の導電層を、フィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域側の表面上に設けることを特徴としている。
請求項14の発明は、請求項12または13に記載の光学フィルムの製造方法であって、導電層が、銅を含むことを特徴としている。
請求項15の発明は、請求項9〜14のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法であって、樹脂が、セルロースアシレートであることを特徴としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤を含有する樹脂フィルムよりなる光学フィルムであって、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられているものであるから、本発明の光学フィルムを長期間使用した場合でも、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、例えばPDPに用いられる反射防止フィルムにおいて、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を防止する赤外線吸収剤の機能、およびこの赤外線吸収剤の分解を防止する紫外線吸収剤の機能が長期間保持され、光学フィルムは、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学フィルムであって、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されているもので、本発明によれば、フィルム層における紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の存在の範囲を規定することにより、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学フィルムであって、屈折率が1.35以上、1.55以下である塗工層液を、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域上に塗布して形成された少なくとも1つの塗工層を有するもので、本発明によれば、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域上に、低屈折率の塗工層が設けられているから、紫外線吸収能の経時劣化が少なく、反射ムラがなく、平面性が向上するという効果を奏する。
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、幾何学模様の導電層が設けられているもので、本発明によれば、光学フィルムは、さらに、電磁波シールド機能を有していて、経時劣化が少なく、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、電磁波シールド機能を有する幾何学模様の導電層が、フィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域上に設けられているから、本発明によれば、フィルムの赤外線吸収能の経時劣化が少なく、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項6の発明は、請求項5に記載の光学フィルムであって、導電層が、銅を含むもので、本発明によれば、電磁波シールド機能を有する幾何学模様の導電層が銅を含むものであるから、フィルムの赤外線吸収能の経時劣化を確実に防止することができて、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項7の発明は、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、樹脂が、セルロースアシレートであるもので、本発明によれば、フィルムを構成する樹脂として、セルロースアシレートを使用することにより、フィルムの透明性を保ちつつ、紫外線吸収能および赤外線吸収能が長期間保持され、光学フィルムは、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項8の発明は、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムであって、波長900〜1100nmの領域における赤外線吸収率が、平均で50%以上であるもので、本発明によれば、赤外線吸収剤は、波長900nmでの透過率に影響に寄与するものであり、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を経時で防止することができるという効果を奏する。
請求項9の発明は、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造であって、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられている光学フィルムを製造するもので、本発明によれば、長期間使用した場合でも、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、例えばPDPに用いられる反射防止フィルムにおいて、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を防止する赤外線吸収剤の機能、およびこの赤外線吸収剤の分解を防止する紫外線吸収剤の機能が長期間保持され、耐久性に優れた光学フィルムを製造することができるという効果を奏する。
請求項10の発明は、請求項9に記載の光学フィルムの製造方法であって、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤をいずれも含まない第4ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されている光学フィルムを製造するもので、本発明によれば、請求項1の場合と同様に、長期間使用した場合でも、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、例えばPDPに用いられる反射防止フィルムにおいて、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を防止する赤外線吸収剤の機能、およびこの赤外線吸収剤の分解を防止する紫外線吸収剤の機能が長期間保持され、耐久性に優れた光学フィルムを製造することができるという効果を奏する。
請求項11の発明は、請求項9または10に記載の光学フィルムの製造方法であって、屈折率が1.35以上、1.55以下である塗工層液を、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域側の表面上に塗布して、少なくとも1つの塗工層を形成するもので、本発明によれば、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域上に、低屈折率の塗工層が設けられているから、紫外線吸収能の経時劣化が少なく、反射ムラがなく、平面性が向上するという効果を奏する。
請求項12の発明は、請求項9〜11のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法であって、フィルム表面に、幾何学模様の導電層を設けるもので、本発明によれば、光学フィルムは、さらに、電磁波シールド機能を有していて、経時劣化が少なく、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項13の発明は、請求項9〜12のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法であって、幾何学模様の導電層を、フィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域側の表面上に設けるもので、本発明によれば、フィルムの赤外線吸収能の経時劣化が少なく、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項14の発明は、請求項12または13に記載の光学フィルムの製造方法であって、導電層が、銅を含むもので、本発明によれば、電磁波シールド機能を有する幾何学模様の導電層が銅を含むものであるから、フィルムの赤外線吸収能の経時劣化を確実に防止することができて、耐久性に優れているという効果を奏する。
請求項15の発明は、請求項9〜14のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法であって、樹脂が、セルロースアシレートであるもので、本発明によれば、フィルムを構成する樹脂として、セルロースアシレートを使用することにより、フィルムの透明性を保ちつつ、紫外線吸収能および赤外線吸収能が長期間保持され、光学フィルムは、耐久性に優れているという効果を奏する。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明による光学フィルムは、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤を含有する樹脂フィルムよりなる光学フィルムであって、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられているものである。
ここで、紫外線吸収剤は、波長380nmでの透過率に寄与し、赤外線吸収剤は、波長900nmでの透過率に影響に寄与するものであり、経時での赤外線吸収剤の分解を防止することができる。
以下、本発明について、詳述する。
本発明の光学フィルムに使用するフィルム基材(高分子化合物)は、セルロースエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、及びオレフィン系樹脂よりなる群の中から選ばれた樹脂であるのが、好ましい。
ここで、セルロースエステルフィルムの主原料であるセルロースエステルとしては、以下のセルロースアシレートであることが好ましい。
セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。セルローストリアセテートの場合は、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが好ましく、結合酢酸量が58〜62.5%のセルローストリアセテートは、ベース強度が強いので、より好ましい。セルローストリアセテートは、綿花リンターから合成されたセルローストリアセテート及び木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを、単独あるいは混合して用いることができる。
本発明の光学フィルムを構成する樹脂として、セルロースアシレートを使用することにより、フィルムの透明性を保ちつつ、優れた光学性能を具備することができるものである。
本発明の光学フィルムの製造を溶液流延製膜法による場合、駆動回転ステンレス鋼製エンドレスベルト(または駆動回転ステンレス鋼製ドラム)よりなる支持体上からの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートを多く使用した方が、生産性効率が高く好ましい。
セルロースエステルフィルムを製造する場合、綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートの比率が60重量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため、60重量%以上が好ましく、より好ましくは85重量%以上、さらには、単独で使用することが最も好ましい。
本発明におけるセルロースエステルの溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノールなどの低級アルコール類、シクロヘキサンジオキサン類、メチレンクロライドのような低級脂肪族炭化水素塩化物類などを用いることができる。
溶剤比率としては、例えばメチレンクロライド70〜95重量%、その他の溶剤は30〜5重量%が好ましい。またセルロースエステルの濃度は10〜50重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度において、溶剤が沸騰しないように定められる。
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。
本発明の光学フィルムには、種々の添加剤を配合することができる。
本発明では、湿熱下での寸法安定性向上のために、いわゆる可塑剤を配合することが好ましい。可塑剤に湿熱下での寸法安定性改良効果があることはこれまで知られていなかった。可塑剤としては、特に相溶性に優れたものが好ましく、例えばリン酸エステルやカルボン酸エステルが好ましい。リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることができる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることができ、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。分子量の大きい可塑剤は、押し出し成形の際の揮発が抑制でき好ましい。これらの例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどのグリコールと二塩基酸とからなる脂肪族ポリエステル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのオキシカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル類、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリバレロラクトンなどのラクトンからなる脂肪族ポリエステル類、ポリビニルピロリドンなどのビニルポリマー類などが挙げられる。上記可塑剤は、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
上述した可塑剤の含有量は、セルロースエステルに対して1〜30重量%含有させることが好ましい。可塑剤をこの範囲含有させることでセルロースエステルフィルムの湿熱下での寸法安定性を向上することができる。
本発明のセルロースエステルフィルムには、赤外線吸収剤を用いる。赤外線吸収剤としては、例えば下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるシアニン色素を用いる。
Figure 2007271955
〔式中、Z及びZは各々硫黄原子、セレン原子又は酸素原子を表し、X及びXは各々置換基を有していてもよいベンゾ縮合環又はナフト縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R及びRは各々置換基を表し、R及びRのどちらか一方はアニオン性解離性基を有する。R、R、R及びRは各々炭素原子数1〜3のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。Lは炭素原子数5〜13の共役結合の連鎖を表す。〕
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、波長700nm以上に吸収極大を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、磁性粉等を使用することができる。特に好ましい赤外線吸収剤は700〜850nmに吸収ピークを有する赤外吸収色素である。
上記赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノ系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。
また、上記赤外吸収色素として、特開昭63−139191号公報、同64−33547号公報、特開平1−160683号公報、同1−280750号公報、同1−293342号公報、同2−2074号公報、同3−26593号公報、同3−30991号公報、同3−34891号公報、同3−36093号公報、同3−36094号公報、同3−36095号公報、同3−42281号公報、同3−103476号公報等に記載の化合物が挙げられる。本発明において、赤外線吸収剤として、前記一般式(1)又は(2)で表されるシアニン染料が特に好ましい。
一般式(1)又は(2)で表されるシアニン色素は、前記一般式(1)又は(2)がカチオンを形成し、対アニオンを有するものを包含する。この場合、対アニオンとしては、Cl、Br、ClO 、BF 、t−ブチルトリフェニルホウ素等のアルキルホウ素等が挙げられる。
一般式(1)及び(2)において、Xで表される環及びXで表される環には任意の置換基を有することができる。該置換基としてハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、−SOM及び−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子)から選ばれる基が好ましい。
及びRは各々任意の置換基であるが、好ましくは、炭素原子数1〜5のアルキル基若しくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基;−(CH)n−O−)k−(CH)mOR (n及びmは各々1〜3の整数、kは0又は1、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。);R及びRの一方が−R−SOMで他方が−R−SO (Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す);又はR及びRの一方が−R−COOMで他方が−R−COO(Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す。)である。R及びRは、感度及び現像性の点から、R及びRの一方が−R−SO 又は−R−COO、他方が−R−SOM又は−R−COOMであることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる赤外線吸収剤の代表的具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007271955
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Figure 2007271955
Figure 2007271955
Figure 2007271955
なお、これらの色素は公知の方法によって合成することができるが、下記のような市販品を用いることもできる。
日本化薬:IR750(アントラキノン系);IR002,IR003(アルミニウム系);IR820(ポリメチン系);IRG022,IRG033(ジインモニウム系);CY−2,CY−4,CY−9,CY−20三井東圧:KIR103,SIR103(フタロシアニン系);KIR101,SIR114(アントラキノン系);PA1001,PA1005,PA1006,SIR128(金属錯体系)
大日本インキ化学:Fastogen blue8120みどり化学:MIR−101,1011,1021その他、日本感光色素、住友化学等の各社からも市販されている。
また、特開2001−5141号公報、及び特開2001−115050号公報記載の赤外線吸収剤も好ましく用いられる。
本発明において、赤外線吸収剤の添加量は、0.001〜10.0重量%、好ましくは0.01〜5.0重量%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%の範囲である。上述の赤外線吸収剤の化合物を使用し、フィルムに対する使用量を適宜変更することで、波長900nmでの分光透過率が40%以下に調整することができる。
光学フィルムの波長900nmでの分光透過率を40%以下にすることにより、本発明の効果、偏光板の安定化が図られ、フィルムの耐久性を改善することができる。波長900nmでの分光透過率が40%を超えると、フィルムへの赤外線の吸収が減少するため、透過した赤外線により偏光子の劣化が生じ、視認性の改善を図ることができない。
本発明では、フィルムの滑り性を付与するために、微粒子を添加してもよい。本発明で用いられる微粒子としては、溶融時の耐熱性があれば無機微粒子または有機微粒子どちらでもよい。
本発明では樹脂との屈折率差を小さくするため、有機微粒子が好ましく用いられる。有機微粒子としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル系樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン株式会社製)等の商品名を有する市販品が使用できる。また架橋PMMA粒子も好ましく用いられ、例えば、MX−150、同300、同500、同1000、同1500H(綜研化学株式会社製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
また、本発明では、樹脂との屈折率差を0.04以下の微粒子を用いることによりフィルムのヘイズが低く抑えられ透明性が高いフィルムが得られるため好ましい。そのような微粒子としては、屈折率1.49のエポスターMA、屈折率1.52のエポスターGP(以上、株式会社日本触媒社製)、屈折率が任意に調整可能な積水化成品工業製テクポリマーのMSXシリーズ等と樹脂との組み合わせにより達成できる。
一方、無機微粒子としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、さらに好ましくは、ケイ素を含む無機微粒子や酸化ジルコニウムである。中でも、セルロースエステル積層フィルムの濁度を低減できるので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル株式会社製)等の商品名を有する市販品が好ましく使用できる。
本発明に係る酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
本発明では、フィルム中での微粒子の粒径を円相当径で0.05〜5.0μmにすることでフィルム同士の滑り性を持たせることができる。本発明で用いる微粒子は単分散粒子を用いる場合は、粉体での微粒子の平均粒径がフィルム中での平均粒径となるため、添加する微粒子の平均粒径の選択をすることで上記範囲の粒径が達成できる。粒径が0.05μm未満の場合はフィルムからの突起高さが低いためフィルム同士がくっつき変形を生じるため好ましくない。5.0μmを越えると、樹脂と微粒子の屈折率差が小さくても、ヘイズの上昇を抑えられず、フィルムの透明性が損ねられるため液晶用部材として好ましくない。
フィルム中での微粒子の含有量は0.05〜0.5重量%がフィルム同士の滑り性を持たせるために好ましい。含有量が0.05重量%未満の場合はフィルムからの突起数が少ないためフィルム同士がくっつき変形を生じるため好ましくない。0.5重量%を越えると樹脂と微粒子との屈折率差が小さくてもヘイズの上昇を抑えられず、フィルムの透明性が損ねられるため液晶用部材として好ましくない。
ところで、本発明による光学フィルムは、液晶材料の保護などのために、波長380nm以下に吸収極大を有する化合物すなわち紫外線吸収剤を含有している。とくに、本発明においては、25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するのが、好ましい。液状の紫外線吸収剤は、いわゆる常温で液体の紫外線吸収剤である。ここで、「常温で液体」とは25℃において「化学大事典(1963)共立出版」等に定義される如く、一定の形を持たず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものを示す。従って、上記性質を有するものであれば融点は限定されないが、融点30℃以下、特に好ましくは15℃以下である化合物が好ましい。
液状の紫外線吸収剤は単一化合物であっても混合物であってもよく、混合物としては構造異性体群から構成されるものを好ましく用いることができる。
液状の紫外線吸収剤は上記の条件を満足すればいかなる構造をとることもできるが、紫外線吸収剤自体の光堅牢性の点から下記一般式(1)で表される2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
Figure 2007271955
上記式中、R、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、ニトロ基、又は水酸基を表わす。
ハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。
アルキル基、アルコキシ基としては、炭素数1〜30のものが好ましく、又アルケニル基としては、炭素数2〜30のものが好ましく、これらの基は直鎖でも分岐でもよい。これらアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基はさらに置換基を有していても良い。アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ブチル基、n−アミル基、sec−アミル基、t−アミル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、エイコシル基、α,α−ジメチルベンジル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、メトキシ基、エトキシ基、オクチルオキシ基、アリル基等が挙げられる。アリールオキシ基、アリール基としては、例えばフェニル基、フェニルオキシ基が特に好ましく、置換基を有していてもよい。具体的には、例えばフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基等が挙げられる。
及びRで表される基のうち、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基が好ましく、特に水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
で表される基のうち、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましいが、さらに水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
、R及びRで表される基のうち、常温で液体となるためには、少なくとも1つはアルキル基であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも2つはアルキル基である。
アルキル基は如何なるものをとることもできるが、少なくとも1つは第3級アルキル基、又は第2級アルキル基であることが好ましい。特にR、Rで表されるアルキル基の少なくとも一方が第3級アルキル基、又は第2級アルキル基であることが好ましい。
以下に、本発明に好ましく用いられる液状の紫外線吸収剤の代表的な具体例を示す。
Figure 2007271955
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の使用量は、紫外線の吸収効果、透明性の観点からセルロースエステルに対する含有量が0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。
セルロースエステルのアセチル基の置換度が低いと、耐熱性が低下する場合がある。この場合、酸化防止剤を配合することが有効である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
本発明の光学フィルムは、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられている。このため、本発明の光学フィルムを使用したPDPが長期間使用され続けた場合でも、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、耐久性に優れている。
ここで、本発明の光学フィルムにおいては、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されているのが、好ましい。
紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の0〜3%の厚みの範囲、すなわち表面近傍に存在すると、ダメージを受けやすくなり、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されておれば、紫外線吸収能の劣化が少なくてすむ。
また、赤外線吸収剤が、フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の0〜3%の厚みの範囲、すなわち表面近傍に存在すると、ダメージを受けやすくなり、
赤外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されておれば、赤外線吸収能の劣化する少なくてすむ。そして、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤とが、フィルムの表面側からフィルム全膜厚の30〜70%厚みの範囲に存在することで、紫外線吸収能および赤外線吸収能が長期間保持され、光学フィルムは、耐久性に優れている。
このように、フィルム層における紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の存在の範囲を規定することにより、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、例えばPDPに用いられる反射防止フィルムにおいて、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を防止する赤外線吸収剤の機能、およびこの赤外線吸収剤の分解を防止する紫外線吸収剤の機能が長期間保持され、光学フィルムは、耐久性に優れているものである。
また、本発明による光学フィルムは、屈折率が1.35以上、1.55以下である塗工層液を、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域上に塗布して形成された少なくとも1つの塗工層を有している。
ここで、塗工層液の屈折率が上記の範囲内であれば、光学フィルムは、充分な反射防止機能を保持することができる。
このように、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域上に、低屈折率の塗工層が設けられているから、紫外線吸収能の経時劣化が少なく、反射ムラがなく、平面性が向上する。
さらに、本発明の光学フィルムは、幾何学模様の導電層が設けられている。このような幾何学模様の導電層は、電磁波シールド機能を有しており、経時劣化が少なく、耐久性に優れている。そして、この電磁波シールド機能を有する幾何学模様の導電層が、フィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域上に設けられているのが好ましく、これによって、フィルムの赤外線吸収能の経時劣化が少なく、耐久性に優れている。
ここで、導電層は銅を含むものが、好ましい。このように、電磁波シールド機能を有する幾何学模様の導電層が銅を含むものであるから、フィルムの赤外線吸収能の経時劣化を確実に防止することができるものである。
本発明による光学フィルムは、波長900〜1100nmの領域における赤外線吸収率が、平均で50%以上である。赤外線吸収剤は、波長900nmでの透過率に影響に寄与するものであり、本発明の光学フィルムによれば、経時でのPDPの視認性の劣化を改良することができる。
本発明による光学フィルムは、まず、セルロースエステル等の樹脂をフィルムに成形し、該フィルムを延伸配向することにより製造される。
本発明による光学フィルムは、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により製造するものである。
ここで、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法について説明すると、樹脂フィルムの原料混合機において、セルロースエステル等の樹脂溶液(ドープ)を調製し、ドープを流延ダイから、鏡面処理された表面を有する駆動回転ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に流延して、ドープ膜すなわちウェブを得、ウェブがエンドレスベルトよりなる支持体の下面に至り、ほぼ一巡したところで、剥離ロールにより剥離する。
ここで、本発明の溶液流延製膜法による光学フィルムの製造は、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられている光学フィルムを製造するものである。
また、本発明のいま1つの光学フィルムの製造方法は、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤をいずれも含まない第4ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されている光学フィルムを製造するものである。
そして、支持体の剥離側端部から剥離ロールにより剥離されたウェブは、乾燥ゾーンのハウジング内を、全ての搬送ロールを経由して搬送され、その搬送中に、乾燥風吹き込み口から吹き込まれる乾燥風により乾燥させられてフィルムとされた後、調湿ゾーンに送られる。
調湿ゾーンは、ハウジング内に設けられた1つの巻取りロール及びこれの直前の移動式搬送ロールを含む複数の搬送ロールを備えている。巻取りロールは、搬送ロール群よりも下流側に配されている。そして、上記乾燥ゾーンから送られてきたフィルムは、ハウジング内を全ての搬送ロールを経由して搬送され、巻取りロールに巻き取られるとともに、フィルムの含水率が適度に調節される。なお、上記の乾燥ゾーン及び調湿ゾーン内の雰囲気温度は、例えば5〜200℃、好ましくは20〜150℃である。
つぎに、フィルムの巻取り工程は、円筒形巻きフィルムの外周面とこれの直前の移動式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながらフィルムを巻取りロールに巻き取るものである。かつ巻取りロールの手前には、フィルムの表面電位を除去または低減する除電ブロア等の手段が設けられている。
なお、光学フィルムの巻取り時の初期巻取り張力が90.2N/m以上、300.8N/m以下であるのが、好ましい。また、巻取りロールに巻き取られる光学フィルムの巻取り時の含水率を1.5〜5.0%とするのが、好ましい。
また、フィルム乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式、またはクリップテンター方式で、フィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするために、さらに好ましい。
また、上記流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。
本発明の光学フィルムの製造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
本発明の方法によって製造される光学フィルムの厚さは、20〜150μmの厚みで使用されるが、液晶表示装置の薄肉化、軽量化が要望から、30〜100μmであることが好ましい。光学フィルムの厚さが20μm未満に薄い場合は、フィルムの腰の強さが低下するため、偏光板作成工程上でシワ等の発生によるトラブルが発生しやすく、また、光学フィルムの厚さが150μmを超えて厚い場合は、液晶表示装置の薄膜化に対する寄与が少ない。
本発明による光学フィルムは、フィルム基材(高分子化合物)として、上記のセルロースエステル系樹脂の他に、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、及びオレフィン系樹脂を用いることができる。
ここで、ノルボルネン系樹脂フィルムの主原料であるノルボルネン系樹脂は、公知の樹脂であって、例えば特開平3−14882号公報、及び特開平3−122137号公報などに記載されている。
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを構成するモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、例えば、(A)ノルボルネン系モノマーの開環重合体若しくは開環共重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加の如き変性を行った後に、水素添加した樹脂、(B)ノルボルネン系モノマーを付加重合させた樹脂、(C)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加重合させた樹脂、(D)ノルボルネン系モノマーとシクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン系モノマーと付加重合させた樹脂、並びにこれらの樹脂の変性物等が挙げられ、これらの重合は、常法により行なうことができる。
なお、溶液流延製膜法により、本発明によるノルボルネン系樹脂フィルムを製造するには、まず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、トリエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の高沸点溶媒又はこれら高沸点溶媒とシクロヘキサン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、オクタン等の低沸点溶媒の混合溶媒に、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を好ましくは5〜60重量%溶解して、樹脂溶液(ドープ)を得る。
また、シクロオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合又は共重合した樹脂である。環状オレフィンとしては、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これら環状オレフィンには置換基として極性基を有していてもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好適である。
シクロオレフィン系樹脂は、環状オレフィン以外の単量体を付加共重合したものであってもよい。付加共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのエチレンまたはα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
環状オレフィンは、付加重合反応あるいはメタセシス開環重合反応によって得られる。重合は触媒の存在下で行われる。付加重合用触媒として、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。開環重合用触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる重合触媒;あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kgf/cmの重合圧力で重合させる。
本発明に用いるシクロオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合又は共重合させた後、水素添加反応させて、分子中の不飽和結合を飽和結合に変えたものであることが好ましい。水素添加反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行なう。水素化触媒としては、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウムのごとき遷移金属化合物/アルキル金属化合物の組合せからなる均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金などの不均一系金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/けい藻土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/けい藻土、パラジウム/アルミナのごとき金属触媒を担体に担持してなる不均一系固体担持触媒などが挙げられる。
本発明に用いるシクロオレフィン系樹脂は、その分子量やガラス転移温度等によって特に限定されないが、成形性の観点から、重量平均分子量が、好ましくは1,000〜600,000、特に好ましくは5,000〜400,000である。
その他、シクロオレフィン系樹脂としては、例えば特開平6−336526号公報、特開平7−2953号公報、特開平9−272188号公報、特開2002−226616号公報、及び特開2004−45893号公報に挙げられているシクロオレフィン系樹脂を用いることができる。
また、本発明に用いるオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン類の単独重合体及び異種オレフィン類との共重合体を示す。実質的に脂肪酸を含まないポリオレフィン系樹脂とは、通常の触媒を使用し製造した後、触媒失活剤を濾過し脂肪酸類含有量を、500ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下にしたポリオレフィン系樹脂、チーグラー型触媒を使用しないで製造されたポリオレフィン系樹脂及びメタロセン触媒を使用し製造されたポリオレフィン系樹脂を言う。
ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(MI)は、0.4〜6.0g/分が好ましく、より好ましくは1.0〜4.0g/分である。0.4g/分未満では膜として成形できなくなり、6.0g/分を越えた場合は厚さの制御がし難くなり好ましくない。MIの値はASTMD−1238のE条件又はJISK−7210の条件4で測定した値である。
ポリオレフィン系樹脂の密度は0.905〜0.932が好ましくより、好ましくは0.915〜0.925である。0.905未満では必要とする強度が得難く0.932を越えた場合は結晶化度が高くなることにより、脆くなりシーラント層が破れ易くなるため好ましくない。密度の値はJISK−6760又はASTMD−1505に従い測定した値である。
これらポリオレフィン系樹脂の単独重合樹脂としては、ポリエチレン樹脂が好ましくポリエチレン樹脂の中でも特に高圧法で製造された低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。
共重合樹脂としては、メタロセン触媒を使用して製造した高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び中低圧法の溶液重合、スラリー重合、気相重合で重合した後、触媒失活剤を濾過し製造された、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。その他の共重合体樹脂としては例えば、エチレンー酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレンープロピレン共重合体樹脂、エチレンー1−ブテン共重合体樹脂、エチレンーブタジエン共重合体樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂(エチレンと不飽和酸との共重合物を亜鉛などの金属で架橋した樹脂)、エチレン−プロピレン・ブテン・1三元共重合体樹脂、エチレンープロピレンエラストマー等が挙げられる。
触媒失活剤を濾過する方法としては一般的に知られている方法で行うことが可能である。触媒失活剤とはポリエチレンを触媒(例えばチーグラー触媒、フィリップス触媒)を使用し製造するときに、ポリエチレン中に残存する触媒残渣を無害化するために添加する炭素数8〜22の脂肪酸金属塩を言う。これら一般に使用される脂肪酸金属塩としては例えば、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Znの、ステアリン酸金属塩{以後ステアリン酸(Ca、Al、Mg、Zn)で表す}、ベヘン酸(Ca、Al、Mg、Zn)、オレイン酸(Ca、Al、Mg、Zn)、エルカ酸(Ca、Al、Mg、Zn)等である。
また、本発明による光学フィルムは、溶融流延製膜法によって形成される場合、同様に、波長380nm以下に吸収極大を有する化合物すなわち紫外線吸収剤、及び波長700nm以上に吸収極大を有する化合物すなわち赤外線吸収剤を含有するものである。そして、この場合、光学フィルムは、波長380nmでの透過率が10%以下、波長900nmでの分光透過率が40%以下である。
紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤は、有機溶剤に溶解した場合、樹脂とともに溶液にした場合には熱による不安定性が増すため、有機溶剤を使用しない溶融流延ではそのような不安定化の過程を経ることがなく、溶融流延により形成された高分子化合物からなる光学フィルムの場合に、本発明の効果はより大きいものである。
本発明による光学フィルムを溶融流延製膜法により成形する場合について、以下に説明する。
溶融流延製膜法としては、Tダイを用いた方法やインフレーション法などの溶融押し出し法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法などがある。中でも、厚さムラが小さく、50〜500μm程度の厚さに加工しやすく、かつ、リタデーションの絶対値およびそのバラツキを小さくできるTダイを用いた溶融押し出し法が好ましい。
溶融流延製膜法の条件は他の熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして成形できる。例えば、乾燥したセルロースエステル及びノルボルネン系樹脂を1軸や2軸タイプの押し出し機を用いて、押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去した後、Tダイからシート状に流延し、冷却ドラム上で固化させる。
本発明では、ここで用いるフィルターのメッシュを添加する微粒子の平均粒径の10倍から100倍にすることにより、フィルターの目詰まりなども無く除去すべき異物や微粒子の凝集物を除去できる。メッシュが微粒子平均粒径の10倍未満だとフィルターの目詰まりが頻発し生産性が劣る。100倍を越えると除去すべき異物や凝集物が除去できず光学フィルムにした際の異物故障が多発して液晶表示での画像欠陥となるため、好ましくない。
供給ホッパーから押し出し機へ導入する際は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。冷却ドラムの温度はセルロースエステルのガラス転移温度以下が好ましい。冷却ドラムへ樹脂を密着させるために静電印加により密着させる方法、風圧により密着させる方法、全幅あるいは端部をニップして密着させる方法、減圧で密着させる方法などを用いることが好ましい。また、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押し出し機からダイまでの配管には滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。ダイ周辺に樹脂から揮発成分が析出しダイラインの原因となる場合があるので、揮発成分を含んだ雰囲気は吸引することが好ましい。また、静電印加等の装置にも析出する場合があるので交流を印加したり、他の加熱手段で析出を防止することが好ましい。
微粒子、可塑剤などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押し出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
本発明による光学フィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりのフィルムとして、本発明において使用される膜厚範囲は20〜100μmで、最近の薄手傾向にとっては40〜100μmの範囲が好ましい。膜厚は、所望の厚さになるように、押し出し流量、ダイスの口金のスリット間隙、冷却ドラムの速度等をコントロールすることで調整できる。また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて、調節するのが好ましい。
本発明では、フィルムを巻き取る前に、製品となる幅にフィルムの端部をスリットして裁ち落とし、フィルム巻き中のクッツキや、すり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施す。ナール加工の方法は、凸凹のパターを側面に有する金属リングを加熱及び/または加圧により加工することができる。
本発明による光学フィルムにおいて、ナーリング高さa(μm)とフィルム膜厚d(μm)の関係は、ナーリング高さa(μm)のフィルム膜厚d(μm)に対する比率X(%)を
X(%)=(a/d)×100
としたとき、比率Xが、2〜25%の範囲にあることが好ましい。
ここで、ナーリング高さ(a)とフィルム膜厚(d)との比a/dが、2%未満の場合は、フィルム同士がくっつき、フィルムが変形したり、表面に傷がつくため、好ましく無い。また、比a/dが25%を越えると、長尺で巻いた際に幅手の中央部分の窪みが大きくなり、これも巻き変形を発生させ、フィルムの変形になるため、好ましくない。
本発明の光学フィルムを、偏光子(偏光フィルム)の少なくとも片面に貼り合わせることにより、楕円偏光板を作製することができる。
すなわち、本発明による偏光板は、偏光子、及びその両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムからなる偏光板であって、2枚の偏光板保護フィルムのうちの少なくともいずれか一方が、上記の位相差フィルムによって構成されているものである。
偏光子は、従来から使用されている、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如きの延伸配向可能なフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して縦延伸したものである。偏光子自身では、十分な強度、耐久性がないので、一般的にはその両面に保護フィルムとしての異方性のないセルローストリアセテートフィルムを接着して偏光板としている。
本発明の光学フィルムによれば、紫外線吸収能と赤外線吸収能の経時劣化が少なく、例えばPDPに用いられる反射防止フィルムにおいて、パネルから発光する近赤外線のリモコン誤動作を防止する赤外線吸収剤の機能、およびこの赤外線吸収剤の分解を防止する紫外線吸収剤の機能が長期間保持され、光学フィルムは、耐久性に優れているものである。
本発明の偏光板は、上記偏光子に本発明の光学フィルムを貼り合わせて作製してもよいし、また本発明の光学フィルムを保護フィルムも兼ねて、直接偏光子と貼り合わせて作製してもよい。貼り合わせる方法は、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行なうことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。さらに、前述したが、長手方向に延伸し、二色性染料処理した長尺の偏光子(偏光フィルム)と長尺の本発明の光学フィルムとを貼り合わせることによって長尺の偏光板を得ることができる。偏光板は、その片面または両面に感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易に貼着することができる)としてもよい。
このようにして得られた本発明の偏光板は、種々の表示装置に使用できる。特に電圧無印加時に液晶性分子が実質的に垂直配向しているVAモードや、電圧無印加時に液晶性分子が実質的に水平かつねじれ配向しているTNモードの液晶セルを用いた液晶表示装置が好ましい。
つぎに、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
実施例1〜3
溶液流延製膜法により目標ドライ膜厚40μmの本発明のセルローストリアセテートフィルムを製造するにあたり、まずドープを調製した。
すなわち、本発明によるセルローストリアセテートフィルムの製造方法では、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤をいずれも含まない第4ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、紫外線吸収剤、及び赤外線吸収剤が所定の厚みの範囲内に含有されているセルローストリアセテートフィルムを製造するものである。
まず、溶媒にトリアセチルセルロースを溶解した下記配合組成物を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解して第1ドープ〜第4ドープを調製し、調製後の各ドープを濾紙により濾過した。
(第1ドープ組成:紫外線吸収剤を含有)
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート 100重量部
(数平均分子量150000)
トリフェニルホスフェート 10重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
UV−23L(紫外線吸収剤) 0.75重量部
UV−28L(紫外線吸収剤) 0.75重量部
AEROSIL 200V 0.1重量部
メチレンクロライド 475重量部
エタノール 25重量部
(第2ドープ組成:赤外線吸収剤を含有)
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート 100重量部
(数平均分子量150000)
トリフェニルホスフェート 10重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
AEROSIL 200V 0.1重量部
メチレンクロライド 475重量部
エタノール 25重量部
赤外線吸収剤 IR−2 0.4重量部
(第3ドープ組成:紫外線吸収剤と赤外線吸収剤を含有)
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート 100重量部
(数平均分子量150000)
トリフェニルホスフェート 10重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
UV−23L(紫外線吸収剤) 0.75重量部
UV−28L(紫外線吸収剤) 0.75重量部
AEROSIL 200V 0.1重量部
メチレンクロライド 475重量部
エタノール 25重量部
赤外線吸収剤 IR−2 0.4重量部
(第4ドープ組成:紫外線吸収剤,赤外線吸収剤いずれも含有しない)
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート 100重量部
(数平均分子量150000)
トリフェニルホスフェート 10重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
AEROSIL 200V 0.1重量部
メチレンクロライド 475重量部
エタノール 25重量部
つぎに、上記4種類のドープを用い、溶液流延製膜装置により、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、紫外線吸収剤、及び赤外線吸収剤が所定の厚みの範囲内に含有されているセルローストリアセテートフィルムを、以下のようにして製造した。
上記4種類のドープを流延ダイから、鏡面処理された表面を有する駆動回転ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に共流延して、ドープ膜すなわちウェブを得、ウェブがエンドレスベルトよりなる支持体の下面に至り、ほぼ一巡したところで、剥離ロールにより剥離した。
つぎに、剥離ロールにより剥離されたウェブは、乾燥ゾーンを通過する間に乾燥風により乾燥させられてフィルムとされた後、調湿ゾーンに送られる。なお、乾燥ゾーン内の雰囲気温度を前段では70℃、及び後段では120℃とした。
調湿ゾーンは、ハウジング内に設けられた複数の搬送ロール及び1つの巻取りロールを備え、巻取りロールは搬送ロール群よりも下流側に配した。そして、乾燥ゾーンから送られてきたフィルムは、ハウジング内を全ての搬送ロールを経由して搬送された後、巻取りロールに巻き取られるとともに、フィルムの含水率が適度に調節される。ここで、セルローストリアセテートフィルムの目標ドライ膜厚40μmで、調湿ゾーンの雰囲気温度が25℃、及び雰囲気湿度が55RH%とした。また調湿時間は104秒とした。
なお、巻取りロールに巻き取られるセルローストリアセテートフィルムの幅手方向両端部にエンボス加工を施し、エンボス加工による凸部の高さを4〜12μmの範囲とするとともに、エンボス加工による凸部の高さの差を2μm以下とした。
巻取り時にセルローストリアセテートフィルムの表面電位を除去または低減する手段として除電ブロアを用いた。また、セルローストリアセテートフィルムの巻取り時の初期巻取り張力を90.2N/m以上、300.8N/m以下に設定した。
ここで、本発明による実施例1では、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の0%〜70%の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の0%〜70%の厚みの範囲内に含有されるようにした。従って、実施例1では、紫外線吸収剤を含有する第1領域と赤外線吸収剤を含有する第2領域との中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する全膜厚の40%の厚み範囲の第3領域が設けられていることになる。
また、実施例2では、紫外線吸収剤が、フィルムり一方の表面側からフィルム全膜厚の3%〜70%の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の0%〜70%の厚みの範囲内に含有されるようにした。さらに、実施例3では、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%〜70%の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%〜70%の厚みの範囲内に含有されるようにした。従って、これらの実施例2と3では、上記実施例1の場合と同様に、紫外線吸収剤を含有する第1領域と赤外線吸収剤を含有する第2領域との中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する全膜厚の40%の厚み範囲の第3領域が、それぞれ設けられていることになる。
つぎに、上記実施例1〜3で得られた光学フィルムとしての各セルローストリアセテートフィルムについて、赤外線透過率の変化量を測定し、耐久性を評価した。
<耐久性評価>
上記実施例1〜3で得られたの各セルローストリアセテートフィルムに、キセノン光照射を行ない、波長900〜1100nmの赤外線を照射して、赤外線透過率の変化量をそれぞれ測定し、得られた結果を下記の表2に示した。
比較例1〜6
比較のために、実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを製造するが、比較例1では、赤外線吸収剤を添加せずに、また比較例2〜6では、下記の表2に示す位置に紫外線吸収剤と赤外線吸収剤とを含有させるようにして、セルローストリアセテートフィルムを作製した。なお、比較例2、3と5では、紫外線吸収剤を含有する第1領域と赤外線吸収剤を含有する第2領域との中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域は存在せず、また、比較例4と6では、紫外線吸収剤を含有する第1領域と赤外線吸収剤を含有する第2領域との中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する全膜厚の20%の厚み範囲の第3領域が、それぞれ設けられていることになる。
つぎに、上記比較例1〜6で得られた光学フィルムとしての各セルローストリアセテートフィルムについて、上記実施例1〜3の場合と同様にして、赤外線透過率の変化量を測定し、耐久性を評価し、得られた結果を下記の表2にあわせて示した。
<ハードコート層の形成>
上記実施例1〜3および比較例1〜6で得られた光学フィルムとしての各セルローストリアセテートフィルムの表面に、ハードコート層を形成した。各フィルムのステンレス鋼製エンドレスベルトに接している面をb面とし、もう一方の面をa面とする。なお、ハードコート層の形成にはb面を用いた。
(ハードコート層液の組成)
下記のものを混合溶解してハードコート層液を作製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上のもの 20重量部
ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4重量部
シリコーン系界面活性剤 1重量部
酢酸メチル 75重量部
アセトン 75重量部
SNAP 100重量部
(導電性微粒子、SbO分散液、固形分15%、シーアイ化成製)
(光学フィルムの作製装置)
ハードコート層の塗布機、活性エネルギー線照射器、ドライヤー(乾燥機)を配置して光学フィルムを作製した。なお、塗布機には、スライドホッパー型のものを用いた。
ハードコート層は、上記のハードコート層液を、ウエット膜厚13μm、ドライ膜厚5μmで塗布を行なった。紫外線照射条件:160mJ/cmを照射した。ドライヤー乾燥条件:80℃、搬送速度30m/minにて行なった。
(表面処理)
上記のハードコート付き光学フィルムを、50℃に加熱した1.5mol/L−NaOH水溶液に5分間浸漬しアルカリ処理を行ない、水洗後、0.5重量%のHSO水溶液に室温で30秒間浸漬し中和させ、水洗、乾燥を行なった。
(反射防止層)
表面処理したハードコート層の上に下記の反射防止層(機能性薄膜層の一つ)を塗布した。
<低屈折率層の作製>
上記ハードコート層の上に、下記低屈折率層組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を130mJ/cm照射して硬化させ、更に120℃で5分間熱硬化させ、低屈折率層を有する反射防止層を作製した。
〈低屈折率層組成物〉
下記テトラエトキシシラン加水分解物A 103重量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 1重量部
(信越化学社製、KBM503)
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー 0.1重量部
(日本ユニカー社製、FZ−2207)
中空シリカ系微粒子 50重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 270重量部
イソプロピルアルコール 270重量部
(テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製)
テトラエトキシシラン25gとエタノール222gを混合し、これにクエン酸一水和物の1.5%水溶液54gを添加した後に、室温にて3時間撹拌して調製した。
なお、この反射防止層の低屈折率層の厚さは93nmで、屈折率は1.44であった。
<光学フィルムの評価>
作製した光学フィルムについて、バックコート層にツヤ消し黒色スプレー塗料を塗り、ハードコート層側より3波長蛍光灯で照らして反射ムラの有無を下記基準で目視観察した。得られた結果を下記の表2に示した。
◎:全く均一で反射ムラを含め、全くムラがない
○:反射ムラがなく、フィルムの平面性に問題がないレベル
×:一定以上の反射ムラが観察され、フィルムの平面性が問題となるレベル
Figure 2007271955
上記表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3で得られたセルローストリアセテートフィルムを用いた光学フィルムでは、赤外線透過率の変化量が非常に少なく、光学フィルムは耐久性に優れているものであった。また、塗工層としてのハードコート層付きの光学フィルムは、全く均一で反射ムラを含め、全くムラがないか、または反射ムラがなく、フィルムの平面性に問題がないレベルであった。
これに対し、比較例1〜6で得られたセルローストリアセテートフィルムを用いた光学フィルムでは、赤外線透過率の変化量が非常に多く、光学フィルムは耐久性に劣るものであった。また、塗工層としてのハードコート層付きの光学フィルムには、一定以上の反射ムラが観察され、フィルムの平面性が問題となるものであった。
<幾何学模様の導電層の形成>
上記実施例1〜3で得られた光学フィルムとしての各セルローストリアセテートフィルムの表面に、幾何学模様の導電層を、つぎのようにして形成した。
各セルローストリアセテートフィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域側の片面に、下記の接着剤層を室温でアプリケータを用いて塗布し、90℃、20分間加熱乾燥させた。
接着剤層の組成物
バイロンUR―1400 100重量部
(東洋紡績株式会社製商品名;飽和ポリエステル樹脂、Mn=4万)
IRG―002 1.2重量部
(赤外線吸収剤:日本化薬株式会社製商品名;アミニウム系化合物)
MEK 285重量部
シクロヘキサノン 5重量部
上記の接着剤層の組成物の溶媒乾燥後の屈折率は1.55、軟化点は83℃であった。
その接着剤層(厚さ5μm)に、凹版オフセット印刷機〔ガラス版;ソーダライムガラス、溝の平均深さ10μm、内部の平均表面粗さ1μm、シリコーンポリマー離型層の厚さ0.5μm−ブランケット;エポキシ変性シリコーンゴム製、JIS K 6253による硬度50度、平均表面粗さ(Rz)0.5μm〕を使用して、ニッケルペーストをライン幅10μm、ライン間隔100μm、厚さ1μmの格子パターンに、各セルローストリアセテートフィルム上に印刷し、その後、無電解銅メッキを施し、幾何学模様の導電層を形成した。このような幾何学模様の導電層は、電磁波シールド機能を有しているものである。
そして、この電磁波シールド機能を有する幾何学模様の導電層が、上記実施例1〜3で得られた光学フィルムとしての各セルローストリアセテートフィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域上に設けられているため、各セルローストリアセテートフィルムは、赤外線吸収能の経時劣化が少なく、耐久性に優れているものであった。

Claims (15)

  1. 紫外線吸収剤と赤外線吸収剤を含有する樹脂フィルムよりなる光学フィルムであって、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられていることを特徴とする、光学フィルム。
  2. 紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 屈折率が1.35以上、1.55以下である塗工層液を、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域側の表面上に塗布して形成された少なくとも1つの塗工層を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 幾何学模様の導電層が設けられていること特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 幾何学模様の導電層が、フィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域側の表面上に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 導電層が、銅を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の光学フィルム。
  7. 樹脂が、セルロースアシレートであることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  8. 波長900〜1100nmの領域における赤外線吸収率が、平均で50%以上であることを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  9. 溶液流延製膜法による光学フィルムの製造であって、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、フィルムの一方の表面側に、紫外線吸収剤を含有する第1領域が設けられ、同フィルムの他方の表面側に、赤外線吸収剤を含有する第2領域が設けられ、これら両領域の中間に、紫外線吸収剤と赤外線吸収剤の両方を含有する第3領域が設けられている光学フィルムを製造することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
  10. 溶液流延製膜法による光学フィルムの製造であって、紫外線吸収剤を含む第1ドープ(樹脂溶液)と、赤外線吸収剤を含む第2ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤の両方を含む第3ドープと、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤をいずれも含まない第4ドープとを用意し、これらのドープを共流延することにより、フィルムを構成する樹脂がフィルムの厚み方向に対して均一であり、紫外線吸収剤が、フィルムの一方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有され、赤外線吸収剤が、同フィルムの他方の表面側からフィルム全膜厚の3%以上、70%以下の厚みの範囲内に含有されている光学フィルムを製造することを特徴とする、請求項9に記載の光学フィルムの製造方法。
  11. 屈折率が1.35以上、1.55以下である塗工層液を、フィルムの紫外線吸収剤を含有する第1領域側の表面上に塗布して、少なくとも1つの塗工層を形成することを特徴とする、請求項9または10に記載の光学フィルムの製造方法。
  12. フィルム表面に、幾何学模様の導電層を設けること特徴とする、請求項9〜11のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  13. 幾何学模様の導電層を、フィルムの赤外線吸収剤を含有する第2領域側の表面上に設けることを特徴とする、請求項9〜12のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  14. 導電層が、銅を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の光学フィルムの製造方法。
  15. 樹脂が、セルロースアシレートであることを特徴とする、請求項9〜14のうちのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
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