JP2017166862A - 尿中プロスタグランジンe主要代謝物の測定方法及びキット - Google Patents

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Abstract

【課題】尿中プロスタグランジンE主要代謝物(PGE−MUM)の免疫測定において、尿検体のアルカリ処理後の混和液について、中和反応及び希釈後分注を行うことなく、直接抗原抗体反応系に供することができる、PGE−MUMの測定方法を提供すること。
【解決手段】PGE−MUMを測定する方法は、a)尿検体をアルカリ水溶液と混和する工程と、b)a)の混和液を、ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相を用いた免疫測定に供して前記尿検体中のPGE−MUMを測定する工程を含み、免疫測定を、弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤と、陽イオン性界面活性剤との存在下で行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、本発明は、尿中プロスタグランジンE主要代謝物を測定する方法、及び尿中プロスタグランジンE主要代謝物を測定するためのキットに関する。
潰瘍性大腸炎は難治性炎症疾患として知られ、患者数は166,060人(平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計)であり、近年急激に増加している。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患であり、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛を特徴的な症状とする。病変は、直腸から連続的に、そして上行性に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がる。この疾患の原因は、腸内細菌の関与や免疫機能が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられているが、未だ明らかにはなっていない。潰瘍性大腸炎の診断は、臨床症状として持続性又は反復性の粘血、血便、あるいはその既往により行い、更に結腸またはS状結腸内の内視鏡検査と併用し、必要に応じて高度でしかも多大な費用を要する注腸X線検査や全大腸内視鏡検査を行っている。まず、臨床症状から得られたデータを解析し、手術の要否、治療薬の選択、治療薬投与の中止決定など最適な治療方法の選択が行われる。更に病態を確認するために内視鏡検査が行われるが、前記潰瘍性大腸炎の活動期には穿孔や腸管粘膜の損傷による出血の危険も伴い、度重なる検査は、医療経済上における多大な負担に加え、検査患者への負担と苦痛を伴う方法であった。
一方、難治性炎症疾患の一つとして間質性肺炎が知られている。この間質性肺炎は間質の炎症に伴い肺胞の線維化を最終的に引き起こす症例の総称であり、特発性肺線維症、非特異的間質性肺炎、特発性基質化肺炎等の症例が知られている。この間質性肺炎はその発生のメカニズムが十分に解明されておらず、その診断には高度な経験が要求され、個々の症例について患者の症例、各種採取データの検査結果等を総合的に判断しなければならないという困難が伴う。この問題を解決するために、血漿中のオステオポンチン量を測定した値と間質性肺炎の症状とを関連付けようとする検討もなされている(特許文献1)。また、間質性肺炎の症状を判断するマーカーとして、サーファクタントプロテインD(SP−D)、サーファクタントプロテインA(SP−A)、シアル化糖鎖抗原KL−6等が知られている。
しかし、これらのマーカーは間質性肺炎の症状が進行してしまった後にその結果として検出されることから、間質性肺炎の病期の段階を判定する手段として、これらのマーカーに依存する方法は必ずしも適切なものではないことが判明している。
プロスタグランジン類(以下PGsという)やその誘導体は、生体内でさまざまな炎症を伴う病態との関連性が報告され、簡便な操作で微量のPGsを定量する方法が知られている。この測定方法としては、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS/MS)、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)などである。プロスタグランジンE2(PGE)は、生体内の炎症反応に関与する重要なケミカルメディエーターとして知られ、その尿中の主要代謝物(PGE Main Urinary Metabolite、以下「PGE−MUM」という。)を競合法によって酵素免疫法で測定する方法が報告されている(特許文献2)。
このPGE−MUMについて、潰瘍性大腸炎患者から得た尿検体のPGE−MUM測定値と同患者の複数の臨床症状(臨床疾患活性)を数値化したスコアの合計スコア(改訂タルスタッドスコア)とを関係づけようとする試みがなされた(非特許文献1)。潰瘍性大腸炎患者の尿中のPGE−MUMを測定することにより、潰瘍性大腸炎の寛解直前期と寛解期との病期判定が可能となることが見いだされ、投薬治療の中止時期のより適切な判断が可能になった(特許文献3)。また、間質性肺炎について、間質性肺炎患者の尿中に含まれるPGE−MUMを測定することにより、間質性肺炎の活動期と非活動期との病期判定が可能となることが見いだされた(特許文献3)。
上記した通り、PGE−MUMの測定方法には、質量分析法、免疫測定法が挙げられるが、操作の簡便性や再現性から、特に免疫測定法がより適しているといえる。PGE−MUMは、主にtetranorPGE−M(下記式(I))とtetranorPGA−M(下記式(II))で構成されるが、いずれも、水溶液中で不安定な物質である。特許文献1、3に示されるように、通常、PGE−MUMを免疫測定法で測定する際には、尿検体をアルカリ処理して、PGE−MUMを安定的な構造を有するビシクロ体に変換した後に行う。下記式に示す通り、tetranorPGE−M及びtetranorPGA−Mは、アルカリ処理を行うことにより、安定的な構造を有するビシクロ体(下記式(III))に変換することができ、結果的にtetranorPGE−M及びtetranorPGA−Mを合わせたPGE−MUM濃度を測定することが可能である。
特許文献1等の従来の方法によると、尿を強アルカリ溶液(例えば1N水酸化ナトリウム)と混和処理するため、混和液を酸(例えば1N塩酸)で中和し、後の抗原抗体反応に適したpHとする必要がある。さらに、中和により生じる塩(例えば塩化ナトリウム)の濃度上昇により、後の抗原抗体反応が阻害されるおそれがあることから、さらに緩衝液等で例えば10〜20倍に希釈する必要がある。これらの方法は、検体測定前に中和・希釈を必要とするために操作が煩雑である、希釈を要するために測定感度が低下する、という課題が残されていた。
特開2005−030852号公報 特開昭61−11664号公報 特許第4914347号
Digestion 2000; 61: 201−206
本発明の目的は、尿中プロスタグランジンE主要代謝物(PGE−MUM)の免疫測定において、尿検体のアルカリ処理後の混和液について、中和反応及び希釈後分注を行うことなく、直接抗原抗体反応系に供することができる、PGE−MUMの測定方法を提供することにある。また、本発明の目的は、PGE−MUMの免疫測定において、尿検体のアルカリ処理後の混和液について、中和反応及び希釈後分注を行うことなく、直接抗原抗体反応系に供することができる、PGE−MUMを測定するためのキットを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究した結果、免疫測定を弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤の存在下で行うことにより、尿検体のアルカリ処理後の混和液を中和、希釈工程なしで測定可能であることを見出した。また、中和・希釈工程を省略することで生じる尿夾雑物の影響についても、さらに陽イオン性界面活性剤を測定系に加えることにより、これを回避してPGE−MUMを測定することが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、尿中プロスタグランジンE主要代謝物(PGE−MUM)を測定する方法であって、
a)尿検体をアルカリ水溶液と混和する工程と、
b)a)の混和液を、ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相を用いた免疫測定に供して前記尿検体中のPGE−MUMを測定する工程を含み、
前記免疫測定を、弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤と、陽イオン性界面活性剤との存在下で行う、方法、を提供する。
また、本発明は、ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相と、弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤と、陽イオン性界面活性剤とを含む、尿中PGE−MUMの測定キットを提供する。
本発明の方法及びキットは、PGE−MUMの免疫測定において、尿検体のアルカリ処理後の混和液について、中和反応及び希釈後分注を行うことなく、直接抗原抗体反応系に供することを可能とする。アルカリ処理後の尿混和液の中和、希釈工程が省略可能となることにより、検体処理工程を簡便化し、例えば汎用自動分析装置に適用することが可能となる。また、測定時間を短縮させ、かつ、分注回数が多いことによる精度低下を低減することが可能となる。さらに、希釈工程を含まないため、PGE−MUMの高感度での検査を可能とする。
本発明の方法の第1の実施形態の抗原抗体反応系を示す模式図である。 本発明の方法の第2の実施形態の抗原抗体反応系を示す模式図である。 本発明の方法の第3の実施形態の抗原抗体反応系を示す模式図である。 本発明の方法の第4の実施形態の抗原抗体反応系を示す模式図である。 本発明の方法の第5の実施形態の抗原抗体反応系を示す模式図である。 従来法(RIA法)とCLEIA各法でのPGE−MUM測定値の相関を示す図である。図6Aは、従来のRIA法(参考例1)と中和・希釈工程を含むCLEIA法(比較例1)でのPGE−MUM測定値の相関図である。図6Bは、RIA法と中和・希釈工程を省略したCLEIA法(比較例2)でのPGE−MUM測定値の相関図である。図6Cは、RIA法と実施例1でのPGE−MUM測定値の相関図である。
上記の通り、本発明の尿中PGE−MUMの測定方法は、a)尿検体をアルカリ水溶液と混和する工程と、b)a)の混和液を、ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相を用いた免疫測定に供して前記尿検体中のPGE−MUMを測定する工程を含む。
上記アルカリ処理工程a)自体は特許文献1に記載されているように公知である。アルカリ処理は、尿検体とアルカリ水溶液を混和することによって行う。ここで使用するアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化カルシウム、または水酸化バリウムを用いることができるが、強アルカリの水溶液であれば、これらに限定されるものではない。アルカリ水溶液の規定度は、0.05〜5規定(N)、好ましくは0.1〜4N、より好ましくは0.2〜2Nとすることができる。アルカリ処理時の尿検体と強アルカリ溶液の混和比率は、1:0.1〜1:10、好ましくは1:0.5〜1:5、より好ましくは1:1〜1:4とすることができる。
アルカリ処理は、強アルカリ溶液と尿検体を混和し、5〜40℃、好ましくは25〜40℃で3〜60分、好ましくは5〜10分静置することによって行うことができる。
続くb)工程では、a)の混和液を、ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相を用いた免疫測定に供して前記尿検体中のPGE−MUMを測定する。ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相を用いた免疫測定自体は公知であり、後述の各種実施形態の説明において説明する。なお、固相としては粒子(ビーズ)や、マイクロプレートのウェル等の免疫測定において常用されている周知の固相を用いることができる。粒子の場合には、収集を容易にするために磁性ビーズが好ましい。
本願発明の方法における重要な特徴は、前記免疫測定を、弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤と、陽イオン性界面活性剤との存在下で行うことである。
ベース緩衝液は、弱酸性であり、好ましくはそのpHが4.5〜6.5、さらに好ましくは5.0〜6.0のものを用いる。ベース緩衝液としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸等、pH4.0〜7.5周辺で緩衝能を有するものを好適に使用できる。ベース緩衝液を酸性緩衝液とすることにより、a)工程で生じる強アルカリ検体処理物を少なくとも部分的に中和することが可能になる。
免疫測定を行う上記ベース緩衝液には、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤が含まれる。第2のpH緩衝剤としては、pKa(解離定数)が6〜10、好ましくは6.5〜9.5、より好ましくは8.0〜9.0のものを使用できる。具体的には、トリシン、ビシン、トリス、イミダゾール、トリエチルアミン、グリシルグリシン等が挙げられる。pKaが上記範囲内の緩衝剤を使用することで、強アルカリ水溶液と混和した尿検体と直接混和しても、抗原抗体反応を阻害しないpH範囲内に維持することができる。第2の緩衝剤の濃度は、特に限定されず、緩衝剤の種類に応じて適宜設定されるが、免疫測定の反応液中の終濃度として、通常、10〜200mM程度、特には20〜100mMである。
陽イオン性界面活性剤としては、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム(塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルピリジニウム等が挙げられるが、臭化アルキルトリメチルアンモニウムまたは塩化アルキルトリメチルアンモニウム、特に臭化アルキルトリメチルアンモニウムを好適に使用できる。また、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムの「アルキル」は、炭素数12〜20、特に炭素数14〜18の直鎖とすることが好ましい。
陽イオン界面活性剤の濃度は、0.5〜10mM、特に2〜6mMとすると、水に十分に溶解し、かつ、尿夾雑物による測定値のバックグラウンドの上昇抑制という効果を十分に得ることができる。
上記のとおり、固相としては、粒子を用いることができ、粒子は、前記ベース緩衝液中に浮遊する粒子液の形態にあることができる。この場合、粒子液が前記陽イオン性界面活性剤及び上記第2のpH緩衝剤を含み、該粒子液と前記a)の混和液とを混和する。粒子としては、上記のとおり、磁性粒子を用いることが好ましい。
前記陽イオン性界面活性剤を含む粒子液を用いる場合、粒子液はさらに両性界面活性剤を含むことが好ましい。陽イオン性界面活性剤のうち、特に炭素数の大きな物質は、水溶性が低く、長期間の保管により析出しやすい傾向にあり、保存安定性に影響を与えることが危惧されるが、両性界面活性剤を磁性粒子液に添加することにより、陽イオン性界面活性剤の析出を抑制することができる。両性界面活性剤としては、CHAPS、CHAPSO、Nアルキルスルフォベタイン、アルキルアミノスルフォベタイン等が挙げられる。両性界面活性剤は、偽高値の要因となり得るアニオン基を有し、また、過剰に加えると陽イオン性界面活性剤の効果を相殺するため、陽イオン性界面活性剤の等モル量未満の濃度を有することが好ましい。両性界面活性剤のモル濃度は、陽イオン性界面活性剤のモル濃度を100として、10〜90、特に20〜80、さらに25〜50とすることが好ましい。
本発明の方法では、前記a)の混和液を中和及び/又は希釈するさらなる工程(ベース緩衝液による前記a)の混和液の中和は、ここでいう「中和及び/又は希釈するさらなる工程」には含めない)が不要であり、このような工程を行わないことが作業の効率化及び自動化の観点から有利である。
以下、本発明の方法の各種実施形態を図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態は、ビシクロ体PGE−MUM抗原を固相化した磁性粒子を含む磁性粒子液と、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を使用する、ワンステップの競合法である。図1は、第1の実施形態の抗原抗体反応系の模式図である。ビシクロ体PGE−MUM抗原11を介して固相化した磁性粒子12と、検体中に含まれるビシクロ体PGE−MUM抗原13と、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体14とを共存させ、反応させた後に洗浄し、磁性粒子12と抗原11を介して結合した抗体14を検出する。検体中の抗原13の濃度が高いほど、磁性粒子12に固相化された抗原11と反応する標識抗体14が少なくなるため、得られるシグナルは低くなる。
(1)工程a)アルカリ処理
アルカリ処理は、上記の通りである。
(2)工程b)磁性粒子液との混和
磁性粒子液は、第2のpH緩衝剤、ビシクロ体PGE−MUM抗原を固相化した磁性粒子、陽イオン性界面活性剤を少なくとも含む。工程b)においては、反応液のpHを適正な範囲に維持し、かつ、十分な測定感度を得るため、尿混和液と磁性粒子液とを1:0.1〜1:10、特に1:0.2〜1:5、さらに1:0.5〜1:2の比率で混和することが好ましい。混和後の磁性粒子液は、5〜40℃で静置してもよい。
(2−1)磁性粒子
磁性粒子は、その表面にビシクロ体PGE−MUMを固相化したものを使用する。抗原は、直接磁性粒子に結合させてもよく、また、KLG(マウスモノクローナルIgG)、血清アルブミン、KLH等の結合タンパクを介して結合させてもよい。磁性粒子としては、例えばカルボキシル化磁性粒子、ゼラチン粒子等を使用することができる。
(2−2)粒子懸濁液、第2のpH緩衝剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤
粒子懸濁液、第2のpH緩衝剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤は上記の通りである。
(3)工程c)標識液との反応
標識液は、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を少なくとも含む。標識抗体は、尿混和液と磁性粒子液が混和後、混和直後に添加されてもよく、尿混和液と磁性粒子液を混和後、静置した後に添加されてもよい。磁性粒子液(尿混和液分を含まず)と標識液の比率は、体積比で1:0.1〜1:10、特に1:0.2〜1:5、さらに1:0.5〜1:2とすることが好ましい。検体、磁性粒子及び標識抗体との反応は、5〜40℃、好ましくは25〜40℃で3〜60分、好ましくは5〜10分静置することによって行う。
(3−1)標識抗体希釈液
標識液を構成する標識抗体希釈液は、緩衝液をベースとすることが好ましい。標識抗体希釈液の組成、pH等の条件は、標識抗体を安定的に保持できる条件であれば特に限定されず、免疫測定に汎用される緩衝液をいずれも使用可能である。標識液のpHは、生体内に近い条件である、6〜8、特に6.5〜7.5程度とすることが好ましい。
(3−2)標識抗体
標識抗体として使用する抗体は、ビシクロ体PGE−MUMと特異的に結合できるものであれば特に限定されるものではなく、抗血清、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれも使用できるが、同性能の抗体を安定的に製造可能なモノクローナル抗体を用いることがより好ましい。
抗体の標識方法は、免疫測定に使用可能な標識方法であれば特に限定されるものではなく、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、蛍光標識、同位体標識など公知の方法をいずれも使用できるが、特殊な設備等を要しない酵素標識を好適に使用できる。
(4)洗浄工程
磁性粒子を集磁し、洗浄することで、粒子に未結合の成分を除去する。洗浄液としては、免疫測定に汎用される洗浄液を使用でき、例えば、ルミパルス(登録商標)(富士レビオ株式会社製)を使用することができる。
(5)検出工程
磁性粒子に結合した標識抗体を、使用する標識に適した方法、例えば酵素標識を用いた場合は酵素の基質を添加することによって、検出する。例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)を標識抗体として用いた場合は、3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・2ナトリウム塩(AMPPD)を酵素基質として用いた化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)の系とすることができる。
本実施形態において、抗原13は、ビシクロ体PGE−MUMとこれに特異的に結合する分子(例えば抗ビシクロ体PGE−MUM抗体)とを予め反応させ、生成された複合体としてもよい。この場合、標識抗体14は、PGE−MUM単体ではなく前記複合体に特異的に結合するものとすることが好ましい。
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固相化した磁性粒子と、標識ビシクロ体PGE−MUM抗原とを用いるワンステップの競合法である。第2の実施形態の抗原抗体反応系を図2に示す。抗ビシクロ体PGE−MUM抗体21を固相化した磁性粒子22と、検体中に含まれるビシクロ体PGE−MUM抗原23と、標識ビシクロ体PGE−MUM抗原24とを共存させ、反応させた後に洗浄し、磁性粒子22と抗体21を介して結合した標識抗原24を検出する。検体中の抗原23の濃度が高いほど、磁性粒子22と抗体21を介して結合する標識抗原24が少なくなるため、得られるシグナルは低くなる。
本実施形態の詳細な条件は、磁性粒子に抗原ではなく抗体を固相化したこと、抗体ではなく抗原を標識したこと以外は、第1の実施形態と同様である。
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固相化した磁性粒子と、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体とを用いる2ステップのサンドイッチ法である。第3の実施形態の抗原抗体反応系を図3示す。抗ビシクロ体PGE−MUM抗体31を固相化した磁性粒子32と、検体中に含まれるビシクロ体PGE−MUM抗原33とを反応させ、洗浄した後、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体34を反応させ、反応させた後に洗浄し、磁性粒子32と抗体31及び抗原33を介して結合した標識抗体34を検出する。検体中の抗原33の濃度が高いほど、磁性粒子32と結合する標識抗体34が多くなるため、得られるシグナルは高くなる。
本実施形態の詳細な条件は、磁性粒子に抗原ではなく抗体を固相化したこと、標識抗体と反応させる前に磁性粒子を洗浄すること以外は、第1の実施形態と同様である。
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、ビシクロ体PGE−MUM抗原を固相化したマイクロウェルプレートと、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体とを用いるワンステップの競合ELISA法である。第4の実施形態の抗原抗体反応系を図4に示す。ビシクロ体PGE−MUM抗原41を固相化したマイクロウェルプレート42にpH緩衝剤及び陽イオン性界面活性剤を含む検体処理液45を満たし(図4A)、次いで尿混和液(検体)を添加する(図4B)。さらに、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体44を含む標識液を添加する(図4C)。標識抗体44を、固相化抗原41と検体中に含まれる抗原43に反応させ、洗浄した後、固相化抗原41に結合した標識抗体44を検出する(図4D)。検体に含まれる抗原43の濃度が高いほど、固相化抗原41と結合する標識抗体44は少なくなるため、得られるシグナルは低くなる。
本実施形態の詳細な条件は、磁性粒子ではなくマイクロウェルプレートに抗原を固相化し、磁性粒子液ではなく磁性粒子を含まない検体処理液を用いたこと以外は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態で使用するマイクロウェルプレートについては、通常、酵素免疫測定(ELISA等)で使用される公知のものを、形状、素材、寸法に関わらず、いずれも使用可能である。
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固相化したマイクロウェルプレートと、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体とを用いる2ステップのサンドイッチELISA法である。第5の実施形態の抗原抗体反応系を図5に示す。抗ビシクロ体PGE−MUM抗体51を固相化したマイクロウェルプレート52にpH緩衝剤及び陽イオン性界面活性剤を含む検体処理液55を満たし(図5A)、次いで尿混和液(検体)を添加し、検体中のビシクロ体PGE抗原53と抗体51とを反応させる(図5B)。マイクロウェルプレート52を洗浄後、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体54を含む標識液を添加して反応させる(図5C)。マイクロウェルプレートを洗浄し、抗体51と抗原53を介して結合した標識抗体54を検出する(図5D)。検体に含まれる抗原53の濃度が高いほど、抗体51と結合する標識抗体54は多くなるため、得られるシグナルは高くなる。
本実施形態の詳細な条件は、マイクロウェルプレートに抗原ではなく抗体を固相化したこと、競合法ではなくサンドイッチ法を適用したこと以外は、第4の実施形態と同様である。
<その他の実施形態>
本発明は、前記第1〜第5の実施形態に限られず、抗原または抗体を結合させる固相の材質・形状、固相化抗原/抗体と標識抗体/抗原の組み合わせ、1ステップ/2ステップ、競合法/サンドイッチ法の条件設定を適宜変更して実施することが可能である。
なお、使用する抗体の性質によっては、磁性粒子液(または検体処理液)中の陽イオン性界面活性剤により安定性が低下する場合があることから、抗体よりも抗原を固相化する系がより好ましいといえる。
尿中プロスタグランジンE主要代謝物(PGE−MUM)の測定キット
本発明のキットは、ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相と、弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤と、陽イオン性界面活性剤とを含む。これらに加えて、上記した標識抗体液、アルカリ処理用のアルカリ水溶液、検量線作成用の標準液が備えられていてもよい。固相としては、上記した粒子、好ましくは磁性粒子やマイクロプレートを挙げることができる。
標準液としては、既知量のビシクロ体PGE−MUMを、Tris、リン酸緩衝液等の既知の緩衝液に溶解して調製することができる。標準液は、0〜300ng/mLの範囲で、2〜10種類の濃度で調製することができるが、これらの条件に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<参考例1>
従来法(ラジオイムノアッセイ(RIA))での測定
ボランティア尿検体8例について、従来法でのPGE−MUMの測定を行った。
尿試料50μLと1N NaOH 100μLとを混和し、室温にて30分静置した。前記混和液に1N塩酸 100μLを添加して中和し、これにさらにアッセイバッファー(組成:50mM リン酸緩衝液(pH7.2)、0.1%ゼラチン、0.1%アジ化ナトリウム)1000μLを添加して希釈した。希釈後の混和液1250μLから100μLを分取し、125Iで標識した既知濃度のビシクロ体PGE−MUMを含むトレーサー溶液(組成:125I標識ビシクロ体PGE−MUM、アッセイバッファー)100μLと混和した。さらに、抗ビシクロ体PGE−MUMウサギ血清溶液(組成:抗血清、アッセイバッファー)100μLを添加し、室温にて2時間静置した。その後、ここに抗ウサギIgG抗体を結合した磁性粒子を含む分離液(組成:0.02%(w/v)抗体結合磁性粒子、アッセイバッファー)を添加し、室温にて15分間静置した。磁性粒子を集磁・洗浄して、磁性粒子に未結合の成分を除去し、残存した(磁性粒子に結合した)125Iをカウントした。検量線を用いて、前記カウントから尿試料中のPGE−MUM値を算出した。検量線は、希釈前の量に換算したとき0、2.05,6.25、18.5、55.5、166.5、500ng/mLのPGE−MUM量に相当するビシクロ体PGE−MUMをそれぞれ含む標準液を、検体と同様に測定し、各標準液について得られたカウントに基づいて作成した。
<比較例1>中和・希釈処理を備えた化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)での測定(陽イオン性界面活性剤なし)
参考例1と同じボランティア尿検体8例について、下記の方法にてPGE−MUMの測定を行った。尿試料50μLと1N NaOH 100μLとを混和し、室温にて30分静置した。前記混和液に1N塩酸 100μLを添加、混合して中和し、これにさらにRIAアッセイバッファー(組成:9.5mM リン酸水素ナトリウム二水和物、40.5mM リン酸水素二ナトリウム12水和物、ゼラチン、pH7.4)1000μLを添加して希釈した。希釈後の混和液1250μLから10μLを分取し、アルカリホスファターゼ(ALP)標識抗ビシクロ体PGE−MUMマウスモノクローナル抗体を含む標識抗体溶液(組成:ALP標識抗体、50mM Tris、1mM 塩化マグネシウム、0.1mM 塩化亜鉛、スクロース、ゼラチン、pH7.4)50μLと混和し、37℃で8分間反応させた。ここに、ビシクロ体PGE−MUM抗原を結合した磁性粒子を含む磁性粒子液(組成:0.02%(w/v)抗原結合磁性粒子、9.5mM リン酸水素ナトリウム二水和物、40.5mM リン酸水素二ナトリウム12水和物、ゼラチン、pH7.4)50μLを添加し、37℃で8分間反応させた。磁性粒子を集磁・洗浄して、磁性粒子に未結合の成分を除去し、AMPPDを含む基質液(ルミパルス(登録商標)基質液、富士レビオ社製)200μLを添加した。酵素反応による波長417nmの発光量をカウントし、検量線を用いて、前記カウントから尿試料中のPGE−MUM値を算出した。検量線は、0、3、10、50、200ng/mLのPGE−MUM量に相当するビシクロ体PGE−MUMをそれぞれ含む標準液を、検体と同様に測定し、各標準液について得られた発光量に基づいて作成した。本比較例の中和処理より後の工程は、自動分析機器ルミパルスプレストII(登録商標、富士レビオ社製)を用いて行った。
<比較例2>中和・希釈処理を省略したCLEIAでの測定(陽イオン性界面活性剤なし)
参考例1と同じボランティア尿検体8例について、下記の方法にてPGE−MUMの測定を行った。尿試料10μLと0.3N NaOH 30μLとを混和し、37℃で6.5分間反応させた。ここに、ビシクロ体PGE−MUMを結合した磁性粒子を含む磁性粒子液(組成:0.02%(w/v)抗原結合磁性粒子、219.25mM リン酸水素ナトリウム二水和物、30.75mM リン酸水素二ナトリウム12水和物、50mMトリシン、300mM塩化ナトリウム、ゼラチン、pH5.5)50μLを添加し、さらにALP標識抗ビシクロ体PGE−MUMマウスモノクローナル抗体を含む標識抗体液(組成:ALP標識抗体、50mM Tris、1mM 塩化マグネシウム、0.1mM 塩化亜鉛、スクロース、ゼラチン、pH7.4)50μLを添加し、37℃で16分間反応させた。磁性粒子を集磁・洗浄して、磁性粒子に未結合の成分を除去し、AMPPDを含む基質液(ルミパルス(登録商標)基質液、富士レビオ社製)200μLを添加した。酵素反応による発光量をカウントし、検量線を用いて、前記カウントから尿試料中のPGE−MUM値を算出した。検量線は、0、3、10、50、200ng/mLのPGE−MUM量に相当するビシクロ体PGE−MUMをそれぞれ含む標準液を、検体と同様に測定し、各標準液について得られた発光量に基づいて作成した。本比較例のアルカリ処理以降の工程は、すべて自動分析機器ルミパルスプレストII(登録商標、富士レビオ社製)を用いて行った。
<実施例1>
参考例1にて用いたボランティア尿8例と同じ検体について、下記の方法でPGE−MUMを測定した。尿試料10μLと0.3N NaOH 30μLとを混和し、37℃で6.5分間反応させた。ここに、ビシクロ体PGE−MUMを結合した磁性粒子を含む磁性粒子液(組成:0.02%(w/v)抗原結合磁性粒子、219.25mM リン酸水素ナトリウム二水和物、30.75mM リン酸水素二ナトリウム12水和物、50mMトリシン、300mM塩化ナトリウム、5mM 臭化C16アルキルトリメチルアンモニウム(C16TAB)、2mM CHAPS、ゼラチン、pH5.5)50μLを添加し、さらにALP標識抗ビシクロ体PGE−MUMマウスモノクローナル抗体を含む標識抗体液(組成:ALP標識抗体、50mM Tris、1mM 塩化マグネシウム、0.1mM 塩化亜鉛、スクロース、ゼラチン、pH7.4)50μLを添加し、37℃で16分間反応させた。磁性粒子を集磁・洗浄して、磁性粒子に未結合の成分を除去し、AMPPDを含む基質液(ルミパルス(登録商標)基質液、富士レビオ社製)200μLを添加した。酵素反応による発光量をカウントし、検量線を用いて、前記カウントから尿試料中のPGE−MUM値を算出した。
参考例1、比較例1、比較例2及び実施例1の測定結果を表1及び図6に示す。図6Aは、参考例1と比較例1の測定結果の相関性、図6Bは、参考例1と比較例2の測定結果の相関性、図6Cは参考例1と実施例1の測定結果の相関性を示す。
CLEIA法を用いた場合、中和・希釈処理を行う(比較例2)ことで、従来法(参考例1)と比較的近い測定結果が得られる。これに対し、中和・希釈処理を省略すると(比較例1)、緩衝剤の効果により強アルカリによる免疫反応の低下・阻害は見られなかったが、むしろ測定値が従来法よりも有意に高くなる傾向が見られた。これは、希釈処理を省略したことにより、尿中に存在する夾雑物の影響が高くなったためと推測された。アニオン基を有する炭素数7〜16の界面活性剤を人工尿に添加して測定した際に、これと同様の高値化が生じたことから(データ示さず)、これらに近い物性を有する尿夾雑物が測定値に影響を与えることが推測された。一方、実施例1の方法を用いることにより、PGE−MUM測定値について、従来法とほぼ同等の結果が得られることが確認された。これは、尿夾雑物(アニオン基を有すると推測される)の影響が陽イオン性界面活性剤の添加により低減されたためと考えられる。これにより、アルカリ処理後の検体について、中和・希釈処理なしで、尿夾雑物の影響を受けることなく、PGE−MUMを測定することが可能となった。
<実施例2>各種カチオン性物質の効果試験
磁性粒子液に、臭化アルキルトリメチルアンモニウム(C12TAB、C14TABまたはC16TAB)、または塩化アルキルトリメチルアンモニウム(C14TAC、C16TACまたはC18TAC)をそれぞれ1mM添加した以外は、比較例2と同様の条件にて、4例の尿検体についてPGE−MUMの測定を行った。各カチオン性物質を添加した磁性粒子液を用いたPGE−MUM測定結果を、表4に示す。いずれもカチオン性物質を添加しない比較例2と比して測定値が低くなる傾向が見られたが、特に、C16TAB、C14TAB、C18TACを用いた場合に、測定値が従来法に近くなる傾向が見られた。
なお、上記カチオン性物質の他に、金属イオン等の無機カチオン性物質や、低分子のカチオン性物質を同程度の濃度で添加して検討を行ったが、C16TABのようにPGE−MUM測定値を低減させる効果は見られなかった(データ示さず)。
尿中夾雑物の影響を回避するためには、有機性のカチオン性物質、特に一定以上の炭素数を有するカチオン性界面活性剤の添加が有効であることが示唆された。
<実施例3>陽イオン性界面活性剤の濃度検討
表2の結果において、最も尿中夾雑物の影響回避の効果の大きかったC16TABを用いて、その至適濃度の検討を行った。
表1の尿検体8例について、磁性粒子液にC16TABを1.0、2.0、3.0mMそれぞれ添加した以外は、比較例2と同様にしてPGE−MUMの測定を行った。各測定値を表3に示す。磁性粒子液に添加するC16TABの濃度を高くするほど、測定値が低くなり、従来法に近い値が得られる傾向があることが判明した。一方で、C16TAB濃度を3.0mM超とすることで、溶解しづらく、また、磁性粒子液調製後の時間経過とともにC16TABが析出し、測定系における発光量が低下しやすい、という傾向がみられた(データ示さず)。
<実施例4>磁性粒子液に両性界面活性剤を添加
磁性粒子液中の陽イオン性界面活性剤(C16TAB)の析出を抑え、より安定的に測定値上昇抑制効果を奏するようにするため、磁性粒子液に他の界面活性剤をさらに添加する検討を行った。
比較例2の磁性粒子液に、C16TAB 2mM、両性界面活性剤(CHAPS)0.1mM、1.0mM、または非イオン性界面活性剤(Brij35)0.1mM、1.0mMを添加したものをそれぞれ調製した。一部を4℃で、一部を37℃で4日間静置した。併せて、ブランクとして、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を含まない磁性粒子液も調製した。これらの磁性粒子液を用いた以外は、比較例2と同様の条件にて尿検体4例の測定を行った。
測定結果を表4−1〜表4−3に示す。非イオン性界面活性剤Brij35を添加した磁性粒子液では、1.0mMの添加によりC16TABの析出が抑制され、安定性の向上が見られたが、C16TABによるバックグラウンド抑制効果が阻害された。一方、両性界面活性剤CHAPSを添加した磁性粒子液では、1.0mMの添加によりC16TABの析出が抑制され、安定性の向上が見られ、かつ、C16TABによるバックグラウンド抑制効果も維持された。
本発明の方法及びキットは、ヒトの尿中プロスタグランジンE主要代謝物を測定に使用され、潰瘍性大腸炎の寛解期の病期判定、間質性肺炎の病期判定等に有用であり、医療分野において広く利用可能である。

Claims (15)

  1. 尿中プロスタグランジンE主要代謝物(PGE−MUM)を測定する方法であって、
    a)尿検体をアルカリ水溶液と混和する工程と、
    b)a)の混和液を、ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相を用いた免疫測定に供して前記尿検体中のPGE−MUMを測定する工程を含み、
    前記免疫測定を、弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤と、陽イオン性界面活性剤との存在下で行う、方法。
  2. 前記ベース緩衝液のpHが4.5〜6.5である請求項1記載の方法。
  3. 前記第2のpH緩衝剤のpKaが7.0〜10.0である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記陽イオン性界面活性剤が、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル基の炭素数が12〜20である請求項4記載の方法。
  6. 前記固相が粒子であり、該粒子は、前記ベース緩衝液中に浮遊する粒子液の形態にあり、該粒子液が上記陽イオン性界面活性剤及び上記第2のpH緩衝剤を含み、該粒子液と前記a)の混和液とを混和する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記粒子が磁性粒子である請求項6記載の方法。
  8. 前記粒子液が両性界面活性剤をさらに含む請求項6又は7記載の方法。
  9. 前記両性界面活性剤のモル濃度が、前記陽イオン界面活性剤のモル濃度を100として10〜90である請求項8記載の方法。
  10. 前記固相には、ビシクロ体PGE−MUMが固定化され、前記b)工程は、該固相と前記a)の混和液を反応させた後、得られた反応液と、標識抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を含む標識液を反応させ、固相を洗浄後、固相に固定化された標識を定量することを含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記a)の混和液を中和及び/又は希釈するさらなる工程を含まない請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. ビシクロ体PGE−MUM又は抗ビシクロ体PGE−MUM抗体を固定化した固相と、弱酸性のベース緩衝液中、塩基性領域で緩衝能を発揮する、前記ベース緩衝液を構成するpH緩衝剤とは異なる第2のpH緩衝剤と、陽イオン性界面活性剤とを含む、尿中PGE−MUMの測定キット。
  13. 前記固相が粒子であり、該粒子は、前記ベース緩衝液中に浮遊する粒子液の形態にあり、該粒子液が上記陽イオン性界面活性剤及び上記第2のpH緩衝剤を含む請求項12記載のキット。
  14. 前記粒子が磁性粒子である請求項13記載のキット。
  15. 前記粒子液が両性界面活性剤をさらに含む請求項13又は14記載のキット。
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