JP2017165284A - スタビライザブッシュの取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】スタビライザバーの大径化に対してスタビライザブッシュ全体の大きさを大きくすることなく、耐久性の向上を図りつつ、所望の防振特性を安定して発揮することのできる、新規なスタビライザブッシュの取付構造を提供する。【解決手段】スタビライザブッシュの取付構造10であって、スタビライザバー14が、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ部52を両側に有する小径部48を備えていると共に、スタビライザブッシュ12の内孔22の長さ方向両側部分には、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ状内周面24が設けられており、スタビライザバー14への外挿状態でテーパ部52とテーパ状内周面24との間には隙間が存在せしめられるようになっていると共に、隙間が消失されてスタビライザブッシュ12の内孔22の内周面25とスタビライザバー14の外周面53とが接着されている。【選択図】図3

Description

本発明は、スタビライザバーを車体へ防振支持させるスタビライザブッシュの取付構造に係り、特に、スタビライザバーに対して接着されて取り付けられる接着タイプのスタビライザブッシュの取付構造に関するものである。
従来から、自動車などの車両では、旋回時などにおける車体の傾きを抑えて走行安定性を向上させるためのスタビライザバーが用いられている。スタビライザバーは、アンチロールバーとも言われており、一般に左右のサスペンション部材の間に跨がって配設されていると共に、長さ方向の中間部分がスタビライザブッシュを介して車両ボデーに対して防振支持されている。
かかるスタビライザブッシュは、一般に、スタビライザバーに対して外挿状態で装着される筒状のゴム弾性体から構成されており、車両ボデー側に取り付けられるブラケットがゴム弾性体の外周面上に装着されるようになっている。また、特開平11−108096号公報(特許文献1)には、ゴム弾性体をスタビライザバーに対して外挿状態で接着した接着タイプのスタビライザブッシュも提案されている。上記特許文献1に記載の接着タイプのスタビライザブッシュでは、スタビライザブッシュを構成するゴム弾性体とスタビライザバーとを接着することによりスタビライザバーとゴム弾性体との間に隙間が発生することが防止されて、泥水等の浸入や異音の発生が回避される。
ところで、スタビライザブッシュの要求特性は車両ごとに異なっており、要求されるばね特性や耐久性の実現が必要となる。例えば要求される防振性能を実現したり、十分な耐久性を確保するには、ある程度のゴムボリュームを設定することが必要となり、そのためには、スタビライザブッシュの大径化が避け難い。
ところが、スタビライザブッシュの装着スペースとなるスタビライザバーと車両ボデー側との間のスペースの大きさは、車両の基本設計段階で決定されることが多く、かかるスペースの大きさによってスタビライザブッシュに設定可能な外径寸法が制限を受けることとなる。特に、車両の大型化やドライバビリティの向上などに伴ってスタビライザバーが大径化する傾向があり、スタビライザバーの大径化によってスタビライザブッシュの装着スペースが一層制限されてしまう。
そのために、従来構造のスタビライザブッシュでは、ゴム弾性体のゴムボリュームを確保することが難しい場合や、要求特性を十分に達成し難い場合もあり、特性のチューニング自由度が制限されやすいという問題があった。
特開平11−108096号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景としてなされたものであって、その解決課題とするところは、接着タイプのスタビライザブッシュにおいて、設計自由度の向上を図り、耐久性の向上や要求特性の実現も容易となる、新規なスタビライザブッシュの取付構造を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第一の態様は、スタビライザバーに外挿状態で接着される一方、外周面にブラケットが装着されて車体側に固定されるスタビライザブッシュの取付構造であって、前記スタビライザバーにおいて前記スタビライザブッシュが外挿される取付部位が、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ部を両側に有する小径部とされていると共に、該スタビライザバーが挿通される該スタビライザブッシュの内孔の長さ方向両側部分には、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ状内周面が設けられており、該スタビライザバーへの外挿状態で該スタビライザブッシュの長さ方向中間部分と該小径部とが相互に当接する一方、該テーパ部と該テーパ状内周面との間には隙間が存在せしめられるようになっていると共に、該隙間が消失されて該スタビライザブッシュの該内孔の内周面と該スタビライザバーの外周面とが接着されているものである。
本態様に従うスタビライザブッシュの取付構造によれば、スタビライザバーにおけるスタビライザブッシュの取付部位に小径部を設けたことで、スタビライザブッシュの大径化を回避しつつスタビライザブッシュの肉厚寸法を大きく設定することが可能になる。その結果、スタビライザブッシュの肉厚寸法や形状についての設計自由度が確保されて、例えば耐久性の向上や要求特性の実現も容易とされ得る。
また、本態様においては、スタビライザバーへの外挿状態でスタビライザブッシュの長さ方向両側部分とスタビライザバーとの間に存在する隙間が消失されて、スタビライザブッシュがスタビライザバーへ接着されている。それ故、スタビライザブッシュをスタビライザバーへ接着する際にスタビライザバーとスタビライザブッシュとの間に介在するエアが、長さ方向両側の隙間から効率的に外部へ排出されることとなり、接着面におけるエアの噛み込みが防止されて、接着強度の安定化も達成され得る。
さらに、スタビライザバーのテーパ部に対するスタビライザブッシュの重ね合わせ部分では、スタビライザバーに対するスタビライザブッシュの長さ方向の変位を抑える位置作用も発揮される。かかる位置決め作用により、スタビライザバーとスタビライザブッシュとの接着力に対する補強効果も発揮されて、耐久性や耐荷重性能の向上効果を享受することが可能になる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るスタビライザブッシュの取付構造において、前記隙間が長さ方向外方に向かって次第に大きくなっているものである。
本態様に従うスタビライザブッシュの取付構造によれば、長さ方向の中央側から外側に向かって隙間が消失しやすくなる。それに伴い、スタビライザバーとスタビライザブッシュとの隙間に残存するエアの外部への排出効率の向上や、スタビライザバーとスタビライザブッシュとの接着面におけるエア残留の防止効果の向上などが図られ得る。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るスタビライザブッシュの取付構造において、前記スタビライザブッシュには中間板が埋設されているものである。
本態様に従うスタビライザブッシュの取付構造によれば、スタビライザブッシュの特性チューニングの自由度が中間板によって一層大きくなるだけでなく、スタビライザブッシュとスタビライザバーとの接着面における重ね合わせ方向の当接力を、中間板によって向上することも可能となる。
本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係るスタビライザブッシュの取付構造において、前記中間板の長さ方向中間部分には中間ストレート部が設けられていると共に、該中間板の長さ方向両端部分には端部ストレート部が設けられている一方、これら中間ストレート部と端部ストレート部とが長さ方向外方に向かって次第に拡径する拡径部により相互に接続されているものである。
本態様に従うスタビライザブッシュの取付構造によれば、中間板の両端に端部ストレート部を設けたことで、スタビライザブッシュの成形型の軸方向両側への型開きが可能になり、スタビライザブッシュの型抜構造の簡略化が図られ得る。また、かかる成形型における中間板の位置決めも、端部ストレート部を利用することで容易となり、製造の簡易化も図られ得る。
本発明の第五の態様は、前記第一〜第五の何れか一つの態様に係るスタビライザブッシュの取付構造において、前記スタビライザバーにおける前記テーパ部のテーパ角度が20度以下の範囲内に設定されているものである。
本態様に従うスタビライザブッシュの取付構造によれば、スタビライザブッシュへの締付力作用による隙間の消失がより効率的に実現可能になって、スタビライザバーとスタビライザブッシュとの接着面からのエア排出の更なる効率化が図られ得る。
本発明に従うスタビライザブッシュの取付構造によれば、スタビライザブッシュの大径化を回避しつつスタビライザブッシュの肉厚寸法などの設計自由度が確保されて、例えば耐久性の向上や要求特性の実現も容易に実現可能となる。また、スタビライザバーとスタビライザブッシュとの接着面におけるエアの噛み込みが防止されて、接着強度の安定化も図られ得る。
本発明の第一の実施形態としてのスタビライザブッシュの取付構造を示す斜視図であって、車両への装着状態を示す図。 図1に示されたスタビライザブッシュの取付構造を示す正面図。 図2におけるIII−III断面図。 図3における要部拡大図。 図1に示されたスタビライザブッシュの取付構造を構成するスタビライザブッシュの正面図。 図5におけるVI−VI断面図。 図5に示されたスタビライザブッシュにスタビライザバーを挿通した状態を示す縦断面図。 図7における要部拡大図。 本発明の第二の実施形態としてのスタビライザブッシュの取付構造を示す斜視図であって、車両への装着状態を示す図。 図9に示されたスタビライザブッシュの取付構造を示す縦断面図であって、図3に対応する図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜4には、本発明の第一の実施形態としてのスタビライザブッシュの取付構造10が車両への装着状態で示されている。この取付構造10は、スタビライザブッシュ12がスタビライザバー14に外挿状態で接着される一方、スタビライザブッシュ12の外周面16にブラケット18が装着されて、当該ブラケット18がサブフレームなどの車両ボデー20に取り付けられることで、スタビライザブッシュ12がサブフレーム20などに固定される構造とされている。かかる取付構造10によりスタビライザバー14がスタビライザブッシュ12により車両ボデー20に対して防振支持されるようになっている。なお、以下の説明において、長さ方向とは、スタビライザバー14が延びる図3中の左右方向を言う。また、上下方向とは図2中の上下方向を言うが、車両の上下方向と一致する必要はない。
より詳細には、スタビライザブッシュ12は、ゴムやエラストマーなどで形成された弾性体とされており、スタビライザバー14が挿通される前の単品状態が図5,6に示されている。すなわち、スタビライザブッシュ12は、全体として、略小鉤形の断面形状で軸方向に延びている。また、かかる断面の略中央には、スタビライザバー14が挿通される内孔としての挿通孔22が形成されている。
この挿通孔22は、円形断面で長さ方向の全長に亘って略ストレートに延びており、スタビライザブッシュ12を貫通している。また、挿通孔22の内周面において、長さ方向中間部分には、略一定の内径寸法をもって延びる直線状内周面23が設けられている。一方、長さ方向両端部分には、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ状内周面24,24が設けられている。したがって、挿通孔22の内周面25が、直線状内周面23とその両側に位置するテーパ状内周面24,24により構成されている。
なお、挿通孔22における内径寸法は、スタビライザバー14の外径寸法に応じて設定されている。すなわち、断面が一定とされる直線状内周面23の内径寸法は、スタビライザバー14における後述の小径部48の外径寸法と略同じか僅かに小さくされている。また、テーパ状内周面24,24における長さ方向の傾斜角度であるテーパ角度α(図8参照)は、少なくとも開口端部分において、スタビライザバー14における後述のテーパ部52のテーパ角度β(図8参照)よりも僅かに大きくされている。
さらに、スタビライザブッシュ12における挿通孔22周りの周壁部は、挿通孔22の周囲で略半周に亘って延びる半円弧状断面の上壁部26と、上壁部26の周方向両端からそれぞれ接線方向で下方に延びる側壁部28,28と、両側壁部28,28の下方端を相互に接続する下壁部30とから構成されている。そして、これら上壁部26と側壁部28,28と下壁部30との各外周面によって、スタビライザブッシュ12の外周面16が協働して構成されている。
また、スタビライザブッシュ12における挿通孔22回りの周壁部には、周上の一箇所(本実施形態では図2中の左方)において略長さ方向に延びるスリット状の切割り32が設けられている。そして、この切割り32を開くようにスタビライザブッシュ12を弾性変形させることで、スタビライザバー14の側方からスタビライザブッシュ12を外挿状態に組み付けることができるようになっている。
一方、スタビライザブッシュ12の長さ方向中間部分には、下壁部30を除く外周面16を周方向に延びる凹溝34が設けられている。また、スタビライザブッシュ12の長さ方向両側部分には、外周に向かって湾曲凸状に突出する山形断面で周方向に延びる山部36,36が設けられている。これらの山部36,36は、凹溝34の溝幅方向両側の壁部を構成しており、凹溝34の全長に亘って、下壁部30を除く外周面16を周方向に延びるように形成されている。
なお、スタビライザブッシュ12の材質は特に限定されるものでないが、例えば天然ゴム(NR)や、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)などの合成ゴム材料を用いて形成されることが望ましい。
また、スタビライザブッシュ12の径方向中間部分には中間板38が埋設されている。本実施形態の中間板38は、略一定の厚さ寸法で長さ方向に延びる筒状体の半割形状とされており、略対称形状の一対の分割体40,40が、切割り32を挟んで上下方向で対向して配置されている。なお、中間板38(分割体40,40)の長さ方向寸法は、スタビライザブッシュ12の長さ方向寸法より大きくされており、中間板38(分割体40,40)の長さ方向両端部分がスタビライザブッシュ12の長さ方向両端から突出している。
このように、中間板38の長さ方向両端部分をスタビライザブッシュ12から突出させることにより、スタビライザブッシュ12の成形時に、中間板38を金型に支持させることが容易となり、中間板38が埋設されたスタビライザブッシュ12の成形が容易に実現され得る。すなわち、本実施形態のスタビライザブッシュ12は、中間板38を備えた一体加硫成形品として形成されている。
特に、本実施形態の分割体40のそれぞれの長さ方向中間部分には、略一定の横断面で長さ方向に略ストレートに延びる中間ストレート部42が設けられている一方、長さ方向両端部分には、略一定の横断面で長さ方向に略ストレートに延びる端部ストレート部44,44が設けられている。
ここにおいて、中間ストレート部42における内径寸法は端部ストレート部44における内径寸法より小さくされており、中間ストレート部42とその長さ方向両側に位置する端部ストレート部44,44とは、長さ方向外方に向かって次第に拡径する拡径部46,46により接続されている。
また、本実施形態では、分割体40の長さ方向両端部分である端部ストレート部44,44が、スタビライザブッシュ12の長さ方向両端から突出している。これにより、スタビライザブッシュ12の成形用金型による端部ストレート部44,44の支持が容易となることから、中間板38が埋設されたスタビライザブッシュ12の成形も容易となる。
一方、スタビライザバー14は、全体として略一定の環状断面をもって長さ方向に延びるパイプ状の部材から構成されており、装着される車両に応じて長さ方向で所定箇所が湾曲等されることで適宜の形状が与えられている。なお、スタビライザバー14は、中実の棒状の部材から構成されてもよい。
また、スタビライザバー14の長さ方向の中間部分には、長さ方向の少なくとも一箇所において、スタビライザブッシュ12の取付部位が設定されている。かかる取付部位は、他の部分よりも外径寸法が所定長さに亘って小さくされている。すなわち、スタビライザバー14の長さ方向中間部分には、他の部分より小径とされて略ストレートに延びる小径部48が設けられている。
更にまた、小径部48の長さはスタビライザブッシュ12の全長より小さくされており、小径部48の長さ方向両側には大径部50,50が形成されている。この大径部50は、小径部48より外径寸法が大きくされており、小径部48と同軸上で略ストレートに延びている。また、これら小径部48と大径部50,50との間には、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ部52,52が形成されており、テーパ部52によって小径部48と大径部50が、段差のない滑らかな表面形状で接続されている。なお、大径部50は、テーパ部52よりも小さい多少のテーパ角度が付されていても良い。
ここにおいて、スタビライザバー14におけるテーパ部52のテーパ角度β(図8参照)は、好適には0度より大きく、且つ20度以下の範囲内に設定されることとなり、より好適には5度〜15度の範囲内に設定される。蓋し、テーパ角度βが小さすぎると、例えばテーパ部の長さを一定とした場合に小径部分と大径部分との径寸法差が小さくなり、スタビライザブッシュ12の径方向の肉厚寸法を効率的に確保しがたくなるおそれがあるからである。一方、テーパ角度βが大きすぎると、スタビライザブッシュ12の径方向の肉厚寸法を効率的に確保できるが、例えば対向面間の隙間寸法を一定とした場合に、テーパ角度βが大きくなるとスタビライザブッシュ12の縮径方向となる径方向の離間寸法が相対的に大きくなることから、スタビライザブッシュ12の内周面との間に形成される後述の隙間54を外周面からの締付力で消失しがたくなるおそれがあるからである。
なお、スタビライザバー14における小径部48の長さ方向寸法は、スタビライザブッシュ12における直線状内周面23の長さ方向寸法と略同じか僅かに長くされており、且つ、スタビライザブッシュ12の全長よりも短くされている。また、スタビライザブッシュ12をスタビライザバー14に装着した際には、スタビライザブッシュ12の長さ方向両側部分が、少なくとも外方への開口端部分において、スタビライザバー14におけるテーパ部52,52と径方向で対向するようになっている。
このことから、本実施形態では、スタビライザブッシュ12の取付部位となるスタビライザバー14の外周面53が、小径部48とその両側に位置するテーパ部52,52の外周面により構成されている。
このようなスタビライザブッシュ12は、切割り32を開いて、スタビライザバー14における小径部48に外挿することにより、スタビライザバー14の長さ方向中間部分に設定された取付部位に対して直接に装着可能とされている。
なお、スタビライザブッシュ12を単体でスタビライザバー14へ外挿状態で装着せしめただけの状態では、スタビライザブッシュ12は、その挿通孔22における直線状内周面23がスタビライザバー14の小径部48の外周面に対して当接されている。なお、直線状内周面23は、スタビライザバー14の外周面に対して部分的に当接していても良いが、好適には略全面に亘って当接されて密着状態とされる。
一方、スタビライザブッシュ12のテーパ状内周面24,24は、図7〜8に示されているように、スタビライザバー14のテーパ部52,52に対して径方向で僅かに離隔しており、隙間を隔てて対向せしめられている。かかる隙間は、長さ方向で少なくとも外側端部分に設けられており、長さ方向外方に向かって開口されている。また、隙間は、周方向で部分的であっても良いが、本実施形態では、テーパ状内周面24,24とテーパ部52,52との間で周方向の全周に亘って略一定の大きさで連続して広がる環状の隙間54,54とされている。
特に、本実施形態では、スタビライザバー14のテーパ部52,52におけるテーパ角度βよりもスタビライザブッシュ12のテーパ状内周面24,24におけるテーパ角度αの方が大きくされている。そして、テーパ状内周面24,24とテーパ部52,52との隙間54,54が、長さ方向外方に向かって次第に大きくなっており、開口端部で最も大きくされている。
また、スタビライザバー14に対して装着されたスタビライザブッシュ12は、スタビライザバー14の取付部位に対して接着されている。かかる接着は、例えばスタビライザブッシュ12の内周面とスタビライザバー14の外周面との接着面に対して適宜の前処理を施して、少なくとも一方の面に接着剤を塗布した後、スタビライザブッシュ12の内周面をスタビライザバー14の外周面に対して密着保持することで実現される。
さらに、スタビライザブッシュ12の外周面には、適切な冶具を用いて縮径方向の圧縮力が及ぼされた状態で、スタビライザバー14への接着処理が行われる。これにより、スタビライザブッシュ12の内周面25は、直線状内周面23が全面に亘ってスタビライザバー14の小径部48の外周面に密着されると共に、テーパ状内周面24,24も全面に亘ってスタビライザバー14のテーパ部52,52の外周面に対して密着状態に保持されて接着されている。
ここにおいて、スタビライザブッシュ12に縮径方向の圧縮力を及ぼすに際して、初期では直線状内周面23が密着状態とされており、スタビライザブッシュ12の軸方向両側部分には隙間54,54が存在していることで、密着領域の長さがスタビライザブッシュ12の全長より短くされている。それ故、たとえ直線状内周面23のスタビライザバー14への密着領域にエアが噛み込んでいても、縮径方向の圧縮力を増大させるに従ってエアが長さ方向両側の隙間54,54を通じて外部空間へ逃げやすくされる。
さらに、スタビライザブッシュ12への縮径方向の圧縮力が増大されると、スタビライザバー14のテーパ部52,52とスタビライザブッシュ12のテーパ状内周面24,24との対向面間に存在していた隙間54,54が次第に減少し、最終的に消失される。これにより、直線状内周面23からテーパ状内周面24,24へ逃がされたエアが、テーパ状内周面24,24から更に外部空間へ効率的に排出される。その結果、エア噛み込みが防止されて安定した密着状態とされた接着面をもって、スタビライザブッシュ12の挿通孔22における内周面25の略全面がスタビライザバー14の外周面53に対して固着されることとなる。
しかも、本実施形態では、スタビライザブッシュ12のテーパ状内周面24,24とスタビライザバー14との間に設けられた隙間54,54の大きさが、長さ方向の外側に向かって次第に大きくされていることから、スタビライザブッシュ12へ縮径方向の圧縮力を及ぼすことで、かかる隙間54,54は、長さ方向の中央側から外側に向かって次第に小さくなるようにして消失されることとなる。これにより、隙間54,54に残存していたエアは、長さ方向端部の開口側に向かって押し出されるようにして、より効率的に排出される。
なお、隙間54,54の大きさを長さ方向の外側に向かって次第に大きくした本実施形態の構成に併せて、或いは代えて、例えばスタビライザブッシュ12への縮径方向の圧縮力を、長さ方向中央部分から及ぼすこと等により、長さ方向で調節して中央部分から両側に向けて次第に大きな圧縮力を作用させることも可能である。これにより、スタビライザブッシュ12とスタビライザバー14との隙間54,54を、中央部分から長さ方向端部の開口側に向かって次第に小さくなるように消失させることができることから、かかる隙間54,54に残存していたエアのより効率的な排出が実現され得る。
このようにしてスタビライザブッシュ12が取り付けられたスタビライザバー14は、長さ方向両端部分が自動車の左右のサスペンション部材に対して取り付けられて装着される。その際、スタビライザブッシュ12は、図1〜3に示されているように、車両ボデー20に対して略平坦な下面が重ね合わされると共に、下面を除く外周面16にブラケット18が装着されて、当該ブラケット18が車体側の部材であるサブフレーム20などに固定されることとなる。
ここで、ブラケット18の構造は、何等限定されるものではないが、例えば所定幅をもって略U字状(図1などでは略逆U字状)に延びる部材とされて、スタビライザブッシュ12の外周面16に対応する形状とされる。なお、かかるブラケット18を、上述のスタビライザブッシュ12のスタビライザバー14への接着用の冶具として利用することも可能である。
すなわち、本実施形態のブラケット18の幅方向(図3中の左右方向)中間部分には、スタビライザブッシュ12の凹溝34に対応して、ストレートに延びる中間部56が設けられる一方、当該中間部56の幅方向両側には、スタビライザブッシュ12の山部36,36に対応して、内周側に開口する溝状部58,58が設けられている。さらに、ブラケット18の幅方向両端部60,60は、溝状部58,58から幅方向外方に平板形状をもって延び出している。
そして、略U字状とされたブラケット18の開口側両端部分は外方に屈曲して取付部62,62が構成されており、当該取付部62,62には板厚方向に貫通してボルト孔64,64が形成されている。さらに、これらボルト孔64,64にボルト66,66が挿通されることにより、ブラケット18がサブフレーム等の車両ボデー20に固定される。
ここにおいて、ブラケット18と車両ボデー20とで囲まれる領域の横断面形状は、スタビライザバー14に装着されたスタビライザブッシュ12の外周面よりも一回り小さくされている。それ故、ブラケット18を装着することで、スタビライザブッシュ12には、スタビライザバー14との間で径方向(周壁部の厚さ方向)の圧縮力が及ぼされるようになっている。
このようにスタビライザブッシュ12の装着状態で所定の予圧縮力が及ぼされていることにより、スタビライザブッシュ12の特性が調節されていると共に、耐久性の向上が図られている。特にスタビライザブッシュ12は、スタビライザバー14への接着に際してスタビライザブッシュ12を縮径変形させて隙間54,54を消失させていることにより、引張応力が残留している場合がある。それ故、車両への装着に際してブラケット18で予圧縮を及ぼすことで残留する引張応力を解消させることが望ましい。
上述の如き構造とされたスタビライザブッシュの取付構造10では、スタビライザバー14におけるスタビライザブッシュ12の取付部位に小径部48が設けられていることから、仮にスタビライザブッシュ12の外径寸法が制限された状況下でも、スタビライザブッシュ12の肉厚を内周側で確保することが可能になる。それ故、スタビライザブッシュ12の設計自由度が大きく確保されて、要求される防振特性や耐久性の実現も容易となる。
また、スタビライザバー14とスタビライザブッシュ12の接着面では、接着に際して効率的にエア抜きされてエアの噛み込みが防止されることから、目的とする接着性能が安定して実現され得る。
更にまた、本実施形態では、スタビライザブッシュ12に中間板38(分割体40,40)が埋設されており、かかる中間板38の形状や埋設位置などを適宜に設定することも可能である。これにより、例えば防振特性のチューニング自由度の更なる向上が図られ得ると共に、接着処理や装着時においてスタビライザブッシュ12とスタビライザバー14との間に及ぼされる当接力を調節することもできる。また、中間板38を採用したことで、スタビライザブッシュ12とスタビライザバー14との接着面における局所的な力の集中を回避して均一化を図ることで、接着信頼性の向上なども図られ得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されるものでない。たとえば、スタビライザブッシュ、ブラケット、中間板などの形状は何等限定されるものではなく、要求される防振特性や耐久性などに応じて、適宜設計、変更され得る。
具体的に例示すると、前記実施形態では、スタビライザブッシュ12の外周面が、その挿通孔22の形状に略対応した外周面形状とされており、外径寸法が長さ方向の中央部分で最も小さく且つ両側部分で大きくなるように設定されていたが、全体に略一定の外径寸法とされた外周面形状を採用することも可能である。また、中間板38も、同様に、長さ方向で略一定の半径寸法で延びる形状などを採用することができる。尤も、中間板38は、本発明において必須ではない。
例えば図9,10において本発明の第二の実施形態として示すスタビライザブッシュの取付構造68のように、中間板を備えないゴム弾性体の単体構造からなるスタビライザブッシュ70を採用することも可能である。なお、図9,10では、前記第一の実施形態と同一の部材および部位に対して、前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施形態におけるスタビライザブッシュ70も、第一の実施形態と同様、スタビライザバー14への外挿状態では、テーパ状内周面24,24とスタビライザバー14のテーパ部52,52との間に外方に開口する隙間(54,54)が形成されるようになっている。そして、スタビライザブッシュ70のスタビライザバー14への接着に際して、かかる隙間(54,54)が消失されて密着状態とされている。また、ブラケット18によるサブフレーム20への取付状態では、スタビライザブッシュ70に径方向の圧縮力が及ぼされるようになっている。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10,68:スタビライザブッシュの取付構造、12,70:スタビライザブッシュ、14:スタビライザバー、16:スタビライザブッシュの外周面、18:ブラケット、20サブフレーム(車両ボデー)、22:挿通孔(内孔)、24:テーパ状内周面、25:内孔の内周面、38:中間板、42:中間ストレート部、44:端部ストレート部、46:拡径部、48:小径部、52:テーパ部、53:スタビライザバーの外周面、54:隙間

Claims (5)

  1. スタビライザバーに外挿状態で接着される一方、外周面にブラケットが装着されて車体側に固定されるスタビライザブッシュの取付構造であって、
    前記スタビライザバーにおいて前記スタビライザブッシュが外挿される取付部位が、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ部を両側に有する小径部とされていると共に、
    該スタビライザバーが挿通される該スタビライザブッシュの内孔の長さ方向両側部分には、長さ方向外方に向かって次第に大径となるテーパ状内周面が設けられており、
    該スタビライザバーへの外挿状態で該スタビライザブッシュの長さ方向中間部分と該小径部とが相互に当接する一方、該テーパ部と該テーパ状内周面との間には隙間が存在せしめられるようになっていると共に、該隙間が消失されて該スタビライザブッシュの該内孔の内周面と該スタビライザバーの外周面とが接着されていることを特徴とするスタビライザブッシュの取付構造。
  2. 前記隙間が長さ方向外方に向かって次第に大きくなっている請求項1に記載のスタビライザブッシュの取付構造。
  3. 前記スタビライザブッシュには中間板が埋設されている請求項1又は2に記載のスタビライザブッシュの取付構造。
  4. 前記中間板の長さ方向中間部分には中間ストレート部が設けられていると共に、該中間板の長さ方向両端部分には端部ストレート部が設けられている一方、これら中間ストレート部と端部ストレート部とが長さ方向外方に向かって次第に拡径する拡径部により相互に接続されている請求項3に記載のスタビライザブッシュの取付構造。
  5. 前記スタビライザバーにおける前記テーパ部のテーパ角度が20度以下の範囲内に設定されている請求項1〜4の何れか1項に記載のスタビライザブッシュの取付構造。
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