JP2017165208A - 車両のカバー部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】カバー同士を共締めで連結する際の作業効率を高めることができる車両のカバー部材を提供する。【解決手段】少なくともミドルカウル200とアンダカウル400とをボルト650により共締めする構成において、ミドルカウル200に、締結部材650が締結されるクリップナット601が設けられた受け部218を設ける。アンダカウル400が、ボルト650が通る貫通孔411が形成された締結板402と、受け部218に当接して該受け部218の位置を規制する位置規制部403とを具備する。位置規制部403と締結板402とが互いに所定の鋭角θの略V字をなし、受け部218が位置規制部403と締結板402との間に挟まれるように配置される。【選択図】図11

Description

本発明は、車両のカバー部材に係り、特に、複数のカバー部材を組み合わせて車両の所定箇所を覆う車両のカバー部材に関する。
従来から、走行時の整流や防風、エンジンやフレームの保護、外観デザインの向上等を目的として、樹脂等で形成されたカバー部材を取り付けた車両が知られている。
特許文献1には、車体の広範囲を連続的に覆うスクータ型自動二輪車のカバー部材において、複数のカバーの端部が互いに重なるようにし、この重なり部分にネジを通して共締めする構成が開示されている。
特開2006−96167号公報
特許文献1に開示された締結構造は、手前側カバーの重なり部分に貫通孔を設けると共に、奥側カバーの重なり部分に雌ネジを有する受け部を設けるように構成されている。このような構成では、奥側カバーの受け部の支持剛性が低い場合に、カバー同士の位置合わせがずれたままネジを締め込もうとすると、ネジの先端で押された受け部が逃げてしまってスムースな螺合がしにくくなる可能性があった。また、これに対処して受け部の剛性を高めようとすると、カバー部材の形状が複雑になったり重量が増加しやすくなる。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、カバー同士を共締めで連結する際の作業効率を高めることができる車両のカバー部材を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、少なくとも第1カバー(200)と第2カバー(400)とを締結部材(650)により共締めする車両のカバー部材において、前記第1カバー(200)に、前記締結部材(650)が締結される係合部材(601)が設けられた受け部(218)が設けられ、前記第2カバー(400)が、前記締結部材(650)が通る貫通孔(411)が形成された締結板(402)と、前記受け部(218)に当接して該受け部(218)の位置を規制する位置規制部(403)とを具備する点に第1の特徴がある。
また、前記位置規制部(403)と前記締結板(402)とが互いに所定の鋭角(θ)の略V字をなしており、前記受け部(218)が、前記位置規制部(403)と前記締結板(402)との間に挟まれるように配置される点に第2の特徴がある。
また、前記受け部(218)は、前記第1カバー(200)から略90度異なる方向に延出する延出部(250)の先端に設けられており、前記受け部(218)と前記締結板(402)とが略平行に配設されることで、前記第1カバー(200)および前記第2カバー(400)の表面が連続した面を形成するように構成されている点に第3の特徴がある。
また、前記締結部材(650)であるボルトが、前記第2カバー(400)側から挿入されて前記受け部(218)に螺合されるように構成されており、前記受け部(218)は、前記締結部材(650)が螺合されるクリップナット(601)を挟む板状部(604)と、該板状部(604)の両端部のうち少なくとも前記位置規制部(403)に対向する側に設けられる板厚部(603)とを有し、前記位置規制部(603)は、前記板厚部(603)に当接することで、前記受け部(218)の位置を規制する点に第4の特徴がある。
また、前記第1カバー(200)は、車両(1)の側部を覆うサイドカウルであり、前記第2カバー(400)は、前記車両(1)の下部を覆うアンダカウルであり、前記締結板(402)は、前記第2カバー(400)の車体前方側端部に設けられている点に第5の特徴がある。
さらに、前記第2カバー(400)から前方上方に連続した面を形成して前記車両(1)の下部前方を覆う第3カバー(300)を有し、前記第3カバー(300)に形成されるボス(350)が、前記締結板(402)の車体前方側に接して前記締結部材(302)で共締めされる点に第6の特徴がある。
第1の特徴によれば、前記第1カバー(200)に、前記締結部材(650)が締結される係合部材(601)が設けられた受け部(218)が設けられ、前記第2カバー(400)が、前記締結部材(650)が通る貫通孔(411)が形成された締結板(402)と、前記受け部(218)に当接して該受け部(218)の位置を規制する位置規制部(403)とを具備するので、受け部に外方から力が加わった場合でも受け部が変形しにくくなる。これにより、第1カバーと第2カバーとを共締めしようとする際に、ボルト等の締結部材の先端が受け部を押してしまう場合でも、受け部が逃げにくくなって第1カバーと第2カバーとの連結作業を容易に行うことが可能となる。また、受け部の剛性を高める必要がないので、カバー部材の軽量化を図ることができる。
第2の特徴によれば、前記位置規制部(403)と前記締結板(402)とが互いに所定の鋭角(θ)の略V字をなしており、前記受け部(218)が、前記位置規制部(403)と前記締結板(402)との間に挟まれるように配置されるので、第1カバーと第2カバーとを結合する際に、位置規制部と締結板とがなすV字の開放側から受け部を入れ、V字の谷に向けて移動することで受け部を位置規制部に当接させることができるので、結合作業がより一層容易となる。
第3の特徴によれば、前記受け部(218)は、前記第1カバー(200)から略90度異なる方向に延出する延出部(250)の先端に設けられており、前記受け部(218)と前記締結板(402)とが略平行に配設されることで、前記第1カバー(200)および前記第2カバー(400)の表面が連続した面を形成するように構成されているので、第1カバーおよび第2カバーの表面を連続した面とするために延出部が長くなった場合でも、位置規制部によって受け部の変形が抑えられるために結合作業が容易となる。
第4の特徴によれば、前記締結部材(650)であるボルトが、前記第2カバー(400)側から挿入されて前記受け部(218)に螺合されるように構成されており、前記受け部(218)は、前記締結部材(650)が螺合されるクリップナット(601)を挟む板状部(604)と、該板状部(604)の両端部のうち少なくとも前記位置規制部(403)に対向する側に設けられる板厚部(603)とを有し、前記位置規制部(603)は、前記板厚部(603)に当接することで、前記受け部(218)の位置を規制するので、板厚部によりクリップナットの脱落を防止することができる。また、板厚部が位置規制部に当接することで、位置規制部の大きさを最小限に抑えつつ、ボルトとの干渉を避けることができる。
第5の特徴によれば、前記第1カバー(200)は、車両(1)の側部を覆うサイドカウルであり、前記第2カバー(400)は、前記車両(1)の下部を覆うアンダカウルであり、前記締結板(402)は、前記第2カバー(400)の車体前方側端部に設けられているので、自動二輪車のアンダカウルの車体前方側、すなわち、前輪の後方に締結部材が位置することとなり、締結部材を目立ちにくくすることができる。また、自動二輪車の操向ハンドルを切れば締結部材に容易にアクセスでき、車体後方に向かって締結部材を螺合することとなって着脱作業が容易となる。
第6の特徴によれば、前記第2カバー(400)から前方上方に連続した面を形成して前記車両(1)の下部前方を覆う第3カバー(300)を有し、前記第3カバー(300)に形成されるボス(350)が、前記締結板(402)の車体前方側に接して前記締結部材(302)で共締めされるので、車両のフレームに固定されたステー等を用いることなく、第1カバー、第2カバーおよび第3カバーを共締めすることが可能となる。これにより、車両の軽量化を図ることができると共に、車両の側方、下方、前方を隙間なく連続したカバー部材で覆うことでカバー部材の内側に泥等が侵入しにくくなる。
自動二輪車の右側面図である。 図1の一部拡大図である。 自動二輪車の正面図である。 図1のIV−IV線断面図である。 右側のサイドカウルの右側面図である。 右側のサイドカウルの正面図(車体正面視)である。 アンダカウルの右側面図である。 アンダカウルの平面図(車体平面視)である。 フロントロアカウルの右側面図である。 サイドカウルとアンダカウルとフロントロアカウルとを連結する様子を示した構造説明図である。 図4のXI−XI線断面図である。 フロントロアカウルに形成される下側ボスの拡大断面図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の右側面図である。自動二輪車1は、動力源としてのエンジン30の駆動力を後輪WRに伝達して走行するオフロードタイプの鞍乗型車両である。
車体フレーム17の車体前方端部には、不図示のステアリングステムを揺動自在に軸支するヘッドパイプ15が設けられている。前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク4は、ヘッドパイプ15の上下でステアリングステムに固定されたトップブリッジ12およびボトムブリッジ9によって支持されている。前輪WFの車幅方向左側には、ブレーキディスク3およびブレーキキャリパ2が配設されている。トップブリッジ12に固定される操向ハンドル14には、左右一対のバックミラー13が取り付けられている。
エンジン30は車体フレーム17の下部に配設されており、車体フレーム17の後端下部には、後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム26の前端部を揺動自在に軸支するピボット27が配設されている。スイングアーム26の前方側は、リヤクッション29によって車体フレーム17に吊り下げられている。ピボット27の下方には左右一対の足乗せステップ28が取り付けられている。後輪WRの車幅方向右側には、ブレーキディスク700およびブレーキキャリパ24が配設される。
操向ハンドル14の前方には、ヘッドパイプ15側に固定されたヘッドライト8、左右一対のウインカ装置7、速度計や距離計等の情報を表示するメータ装置11、ヘッドライト8の周囲までを覆う大型のスクリーン10が配設されている。ウインカ装置7の下方には、フロントフォーク4に固定されたフロントフェンダ5が配設されている。フロントフェンダ5の車幅方向左右には、左右一対のサイドリフレクタ6が取り付けられている。
操向ハンドル14とシート19の間には、車体フレーム17に固定される燃料タンク16が配設されている。シート19の下方にはサイドカウル18が配設されており、シート19の後方にはシートカウル20が配設されている。シートカウル20の後部には、尾灯装置21、左右一対の後側ウインカ装置70が配設されている。尾灯装置21の下方には、リヤフェンダおよび後側のサイドリフレクタ22を含む後部装置500が配設されている。エンジン30の燃焼ガスは、車幅方向右側のマフラ23から排出される。
フロントフォーク4の車幅方向外側には、ラジエータシュラウドを構成する左右一対のシュラウド部材100が配設されている。シュラウド部材100の後部には、第1カバー部材としての左右一対のサイドカウル200が連結されている。サイドカウル200の下端部は、車幅方向中央に位置する第2カバー部材としてのアンダカウル400を介して連結されている。アンダカウル400の前端には、車幅方向中央に位置する第3カバー部材としてのフロントロアカウル300が連結されている。フロントロアカウル300の車幅方向外側の両端部は、それぞれサイドカウル200に連結されている。シュラウド部材100、サイドカウル200、アンダカウル400およびフロントロアカウル300は、それぞれ硬質樹脂等で形成することができる。
図2は、図1の一部拡大図である。シュラウド部材101の前方側は、前方支持部101によって車体側に支持されている。シュラウド部材101の下方側は、下方支持部603によって車体側に支持されている。シュラウド部材101の後方側には、縦長の貫通孔としてのスリット102、第2スリット601,602が形成されている。第2スリット601,602はラジエータ35の側方に位置している。
第2スリット601,602が形成されている部分は、第2スリット601,602と同一形状の貫通孔が形成されたシュラウド部材100の車幅方向外側に重ねられた化粧部材600で構成されている。化粧部材600の後端縁は、サイドカウル200の前端縁と離間しており、これにより、ラジエータ35を通過した熱風を外側に排出する側方開口90が形成される。側方開口90の上側には開口カバー32が設けられている。
サイドカウル200の上部は、スリット102の後方でシュラウド部材101に連結されている。サイドカウル200の後部は、サイドカウル支持部201,202によって車体側に支持されている。
フロントロアカウル300には、上側共締め部301および下側共締め部302がそれぞれ左右一対で設けられている。上側共締め部301は、サイドカウル200と共締めされ、一方、下側共締め部302は、サイドカウル200およびアンダカウル400と共締めされている。
フロントロアカウル300は、エンジン30のクランクケース30aの前面を覆っている。アンダカウル400は、クランクケース30aの下面を覆うと共に排気管40を保護する機能を有する。
図3は、自動二輪車1の正面図である。また、図4は図1のIV−IV線断面図である。防風スクリーン10は、左右非対称形状のヘッドライト8を覆うフロントカウルとしても機能する。ヘッドライト8の下部には、複数の電装品を収納する電装品ボックス50が配設されている。燃料噴射や点火制御等を行う制御装置50が配設されている。操向ハンドル14のグリップ部分には、ナックルガード34が設けられており、右側の操向ハンドル14には、ETC車載器33が取り付けられている。
左右一対のシュラウド部材100およびサイドカウル200は、取り付け部分等の形状が補機類の形状に対応しているのみで、表面側は左右対称形状とされる。ラジエータ35は、左側シュラウド部材100Lの内側に配設されている。ラジエータ35の前面側には、フロントフォーク4の外側から導入される走行風をラジエータ35の正面に導くルーバ36が配設されている。右側シュラウド部材100Rの内側には、車幅方向外側から、給水用のキャップ51を有する冷却水タンク53、レギュレータ52、ABSモジュレータ55の順で配設されている。これらの車体前方側は、インナーカウル54で覆われている。インナーカウル54の前面には、ホーン39が配設されている。フロントロアカウル300の略中央には、泥等の侵入を防ぎつつ走行風を取り入れるパンチホール部315が形成されている。
前記したように、フロントロアカウル300は、左右一対の上側共締め部301によってサイドカウル200と共締めされると共に、左右一対の下側共締め部302によってサイドカウル200およびアンダカウル400と共締めされている。
図5は、右側のサイドカウル200の右側面図であり、図6は同正面図(車体正面視)である。サイドカウル200の上部分207は、燃料タンク16の下部から車体フレーム17にかけての範囲を覆い、車体前方側へのえぐり部212によって車体フレーム17をより多く見せるデザインが与えられている。上部分207の後端部には、サイドカウル18の前端に係合する位置決め板209,211と、サイドカウル支持部202を構成するボス210とが設けられている。
上部分207の前端部には、シュラウド部材100の内側に隠れる重ねしろ部204が設けられている。重ねしろ部204の天井壁206には、締結部材が貫通する貫通孔215が設けられている。また、重ねしろ部204の前端部には、車体前方からの走行風をスリット102から効果的に排出するために走行風の向きを変えるガード壁203が設けられている。
サイドカウル200のえぐり部212の下方で後方に張り出す中部分214は、円形のクランクケースカバーを除いてクランクケース30aからシリンダヘッドまでを覆うように形成されている。中部分214には、サイドカウル支持部202を構成するボス213が設けられている。
中部分214から前方下方に延出する下部分219には、シュラウド部材100の下端部と結合される取付ステー220が設けられている。また、下部分219の下端部には、アンダカウル400と係合する係合爪216,217が設けられている。そして、取り付けステー220と係合爪216,217との間で、車体前方下方の縁部には、上側共締め部301を構成する上側受け部223が設けられている。上側受け部223は、下部分219の前端部から車体中央側に屈曲した形状とされ、その中央に雌ネジが形成された係合部材としてのクリップナット610が取り付けられている。
そして、上側受け部223の下方には、下側共締め部301を構成する受け部としての下側受け部218が設けられている。クリップナット610が係合される下側受け部218は、延出部250の先端に設けられている。延出部250は、下部分219の前端部から車体中央側に大きく延出する形状とされている。
図7は、アンダカウル400の右側面図である。また、図8はアンダカウルの平面図(車体平面視)である。アンダカウル400は、略方形の底板410と、底板410の車幅方向左右から上方に湾曲する側板408と、底板410の後部に延出して上方に湾曲する後板409とを有する。
底板410には、泥等を排出する複数の排出孔413が形成されており、後板409には、エンジン30のオイルドレンボルト(不図示)にアクセスするドレン孔404が形成されている。底板410には、底板410が変形してエンジン30のクランクケース30a側に近接することを防ぐ立設部材403,406が設けられている。また、側板408の上端部には、サイドカウル200の下端部に係合する位置決め板405,407が形成されている。底板410の前端部の車幅方向中央には、フロントロアカウル300の下端部に係合する位置決め板401が設けられている。
そして、底板410の前端部には、車体前方上方に延出する締結板402と、締結板の後方で三角形状の構造体をなす位置規制部403とが左右一対で設けられている。締結板402には、下側共締め部302に用いられる締結部材650(図11参照)が通る貫通孔411が形成されている。
図9は、フロントロアカウル300の右側面図である。フロントロアカウル300の本体部304には、上側共締め部301を構成する上側ボス351と、下側共締め部302を構成する下側ボス350とが形成されている。また、本体部304の上端部および下方寄りの位置には、サイドカウル200に係合する左右一対の位置決め板303,305がそれぞれ設けられている。本体部304の下端部には、車幅方向で下側ボス350の両脇に位置するようにして、アンダカウル400に係合する位置決め板306,307が設けられている。
図10は、サイドカウル200とアンダカウル400とフロントロアカウル300とを連結する様子を示した構造説明図である。これら3つのカウル(カバー部材)を組み合わせたとき、フロントロアカウル300の上側ボス351は、サイドカウル200の上側受け部223に当接する。一方、サイドカウル200の下側受け部218には、アンダカウル400の締結板402が当接し、この締結板402の車体前方側にフロントロアカウル300の下側ボス351が当接することとなる。
図11は、図4のXI−XI線断面図である。また、図12は、フロントロアカウル300に形成される下側ボス350の拡大断面図である。本実施形態では、下側共締め部302において、締結部材としてのボルト650を螺合することで、サイドカウル200の下側受け部218とアンダカウル400の締結板403とフロントロアカウル300のボス350とが共締めされるように構成されている。
これにより、自動二輪車1の車体フレーム17に固定されたステー等を用いることなく、3つのカウルを共締めすることが可能となり、車両の軽量化を図ることができると共に、車両の側方、下方、前方を隙間なく連続したカバーで覆って泥等の侵入を防ぐことができることとなる。
このとき、下側受け部218が位置規制部403の当接面611に当接する(図示カコミA)ことで、下側受け部218が変形しにくいように構成されている点に特徴がある。詳しくは、共締めのためにボルト650を螺合する際に、位置合わせが十分でなくボルト650の先端が下側受け部218を押してしまう場合でも、下側受け部218が変形して逃げてしまうことを防ぎ、共締め作業を容易に行うことが可能となる。また、下側受け部218の剛性を高める必要がないので、サイドカウル200の軽量化を図ることができる。
また、本実施形態では、位置規制部403と締結板402とが互いに所定の鋭角θの略V字をなし、下側受け部218が位置規制部403と締結板402との間に挟まれるように配置されるように構成されている。これにより、共締めを行う際に、位置規制部403と締結板402とがなすV字の開放側から下側受け部218を入れ、V字の谷に向けて移動することで下側受け部218を位置規制部403に当接させることができるので、結合作業がより一層容易となる。
一方、図6に示したように、下側受け部218は、サイドカウル200の平面部から略90度の角度で車幅方向内側に延出する延出部250の先端に設けられている。また、下側受け部218と締結板402とが略平行に配設されることで、サイドカウル200およびアンダカウル400の表面が連続した面を形成するように構成されている。これにより、サイドカウル200とアンダカウル400の表面を連続した面とするために延出部250が長くなった場合でも、位置規制部403によって下側受け部218の変形が抑えられるために結合作業が容易となる。
また、ボルト650が、アンダカウル400側から挿入されて下側受け部218に螺合されるように構成されている。下側受け部218は、ボルト650が螺合されるクリップナット601を挟む板状部604と、該板状部604の両端部のうち少なくとも位置規制部403に対向する側に設けられる板厚部603とを有している。そして、位置規制部403は、板厚部603に当接することで下側受け部218の位置を規制するので、板厚部603によりクリップナット601の脱落を防止できる。また、板厚部603が位置規制部403に当接することで、位置規制部403の大きさを最小限に抑えつつ、ボルト650との干渉を避けることができる。
ここで、締結板402が、アンダカウル400の車体前方側端部に設けられているので、自動二輪車1の前輪WFの後方にボルト650が位置することとなり、ボルト650を目立ちにくくすることができる。また、自動二輪車1の操向ハンドル14を切ればボルト650にアクセスでき、また、車体後方に向かってボルト650を螺合することとなって着脱作業が容易となる。
図12に示したように、下側ボス350の貫通孔309の縁部には、締結板402の貫通孔411に係合する係合フランジ308が形成されており、位置決め精度や締結強度が高められている。また、貫通孔309の後方側の内周面が車体後方側に傾斜して形成されると共に、ボス350が鋭角部311および曲面部を有して構成されている。
これにより、ボルト650を完全に取り外さなくても、アンダカウル400の前端部とフロントロアカウル300の下端部との間の位置決め爪が係合した状態でフロントロアカウル300を前方側に傾けることができ、着脱作業の容易さと整備性の向上を両立することを可能としている。
なお、自動二輪車の形態、シェラウド部材、サイドカウル、アンダカウルおよびフロントロアカウルの形状、締結部材の構造や数、位置規制部や延出部の形状、ボルトや係合部材の形態、ボスの形状等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では3枚のカバー部材を共締めする場合を示したが、同様の受け部と位置規制部を有する構造を2枚のカバー部材を共締めする場合に適用することもできる。また、締結部材はボルトのほかスナップフィット等としてもよい。本発明に係る車両のカバー部材は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
1…自動二輪車(車両)、200…サイドカウル(第1カバー)、218…下側受け部(受け部)、250…延出部、300…フロントロアカウル(第3カバー)、302…下側共締め部(共締め部)、350…下側ボス(ボス)、400…アンダカウル(第2カバー)、402…締結板、411…貫通孔、601…クリップナット(係合部材)、603…板厚部、604…板状部、650…ボルト(締結部材)θ…締結板と位置規制部との角度

Claims (6)

  1. 少なくとも第1カバー(200)と第2カバー(400)とを締結部材(650)により共締めする車両のカバー部材において、
    前記第1カバー(200)に、前記締結部材(650)が締結される係合部材(601)が設けられた受け部(218)が設けられ、
    前記第2カバー(400)が、
    前記締結部材(650)が通る貫通孔(411)が形成された締結板(402)と、
    前記受け部(218)に当接して該受け部(218)の位置を規制する位置規制部(403)とを具備することを特徴とする車両のカバー部材。
  2. 前記位置規制部(403)と前記締結板(402)とが互いに所定の鋭角(θ)の略V字をなしており、
    前記受け部(218)が、前記位置規制部(403)と前記締結板(402)との間に挟まれるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両のカバー部材。
  3. 前記受け部(218)は、前記第1カバー(200)から略90度異なる方向に延出する延出部(250)の先端に設けられており、
    前記受け部(218)と前記締結板(402)とが略平行に配設されることで、前記第1カバー(200)および前記第2カバー(400)の表面が連続した面を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両のカバー部材。
  4. 前記締結部材(650)であるボルトが、前記第2カバー(400)側から挿入されて前記受け部(218)に螺合されるように構成されており、
    前記受け部(218)は、前記締結部材(650)が螺合されるクリップナット(601)を挟む板状部(604)と、該板状部(604)の両端部のうち少なくとも前記位置規制部(403)に対向する側に設けられる板厚部(603)とを有し、
    前記位置規制部(603)は、前記板厚部(603)に当接することで、前記受け部(218)の位置を規制することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両のカバー部材。
  5. 前記第1カバー(200)は、車両(1)の側部を覆うサイドカウルであり、
    前記第2カバー(400)は、前記車両(1)の下部を覆うアンダカウルであり、
    前記締結板(402)は、前記第2カバー(400)の車体前方側端部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両のカバー部材。
  6. 前記第2カバー(400)から前方上方に連続した面を形成して前記車両(1)の下部前方を覆う第3カバー(300)を有し、
    前記第3カバー(300)に形成されるボス(350)が、前記締結板(402)の車体前方側に接して前記締結部材(302)で共締めされることを特徴とする請求項5に記載の車両のカバー部材。
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