図1は、画像処理システム4の全体的な構成の例を示す図である。図2は、画像処理装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、画像処理装置1の機能的構成の例を示す図である。
画像処理システム4は、図1に示すように、画像処理装置1、サーバ2A、端末装置2B、および通信回線3などによって構成される。画像処理システム4は、画像に関する種々の処理を実行する。
画像処理装置1、サーバ2A、および端末装置2Bは、通信回線3を介して通信することができる。通信回線3として、インターネット、LAN(Local Area Network)、公衆回線、または専用線などが用いられる。
画像処理装置1は、コピー、ネットワークプリント、ファックス、スキャン、およびボックスなどの機能を集約した装置である。一般に、「画像形成装置」、「複合機」、または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることがある。
ネットワークプリント機能は、端末装置2Bから受信した画像データに基づいて画像を用紙に印刷するサービスである。「ネットワークプリンティング」または「PCプリント」などと呼ばれることもある。
ボックス機能は、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザが自分の記憶領域によって画像ファイルなどを保存し管理するためのサービスである。ボックスは、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。
画像処理装置1は、これらの機能によって、次に例示するような様々な種類のジョブを実行する。
コピージョブは、画像を用紙からスキャンして他の用紙に複写するジョブである。PCプリントジョブは、端末装置2Bから画像データを受信し、この画像データに基づいて画像を用紙に印刷するジョブである。
スキャンtoE−Mailジョブは、画像を用紙から読み取って画像データを生成し、ユーザが指定した電子メールアドレスへ電子メールに添付して送信するジョブである。ボックスプリントジョブは、ユーザが指定した画像の画像データをボックスから読み出して、その画像を用紙に印刷するジョブである。
ジョブの条件は、ユーザが任意に設定することができる。しかし、ジョブを実行させるごとに種々の項目について条件を設定するのは、煩わしい。そこで、画像処理装置1には、いわゆるプログラム機能が備わっている。すなわち、画像処理装置1は、項目ごとの条件(設定値)の組合せをプログラムとして記憶しておく。そして、ユーザが指定したプログラムに基づいてジョブを実行する。
以下、プログラム機能におけるプログラムを、他のプログラムと区別するために、「ジョブ設定プログラム」と記載する。
画像処理装置1は、複数のユーザによって共用される。各ユーザには、ユニークなユーザコードが与えられている。そして、ユーザごとに、画像処理装置1の使用が制限されている。以下、ある会社において画像処理装置1が使用される場合を例に説明する。
例えば、あるユーザは、カラー印刷およびモノクロ印刷の両方が許可されているが、あるユーザは、カラー印刷が禁止されている。または、あるユーザは、すべての電子メールアドレスへの電子メールの送信が許可されているが、あるユーザは、予め登録された電子メールアドレス以外への電子メールの送信が禁止されている。
画像処理装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、タッチパネルディスプレイ10e、操作キーパネル10f、NIC(Network Interface Card)10g、モデム10h、スキャンユニット10i、プリントユニット10j、およびフィニッシャ10kなどによって構成される。
タッチパネルディスプレイ10eは、ユーザに対するメッセージを示す画面、ユーザがコマンドまたは情報を入力するための画面、およびCPU10aが実行した処理の結果を示す画面などを表示する。また、タッチパネルディスプレイ10eは、タッチされた位置を示す信号をCPU10aへ送る。
操作キーパネル10fは、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
NIC10gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルによって端末装置2Bなどと通信を行う。
モデム10hは、ファクシミリ端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
スキャンユニット10iは、プラテンガラスなどにセットされたシートに記されている画像を読み取って画像ファイルを生成する。
プリントユニット10jは、スキャンユニット10iによって読み取られた画像のほか、NIC10gまたはモデム10hによって端末装置2Bまたはファクシミリ端末などから受信した画像データに示される画像を用紙に印刷する。
フィニッシャ10kは、プリントユニット10jによって画像が印刷された用紙すなわち印刷物に対して仕上げの処理を行う。仕上げの処理は、印刷物をステープルで綴じる処理、印刷物にパンチ穴を開ける処理、または印刷物を折り曲げる処理などである。
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、上述の種々の種類のジョブを実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。
さらに、補助記憶装置10dには、コンピュータプログラムの1つとして、ユーザが指令したジョブが実行されるように各部を制御するジョブ制御プログラム10P(図3参照)が記憶されている。
これらのコンピュータプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。補助記憶装置10dとして、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
ジョブ制御プログラム10Pによると、あるユーザがあるジョブ設定プログラムを用いてジョブを実行させようとした場合において、そのユーザに禁止されている条件がそのジョブ設定プログラムに含まれていても、一定の要件を満たせばそのジョブを実行させることができる。以下、この仕組みについて、説明する。
ジョブ制御プログラム10Pによると、図3に示す設定値受付処理部101、プログラムデータ生成部102、テンプレートデータ取得部103、印影データ取得部104、プログラムデータ記憶部121、制限データ記憶部122、プログラム指定受付部131、権限要否判別部132、時間要件有無判別部133、書類判別部134、承認有無判別部135、原稿画像データ取得部136、出力用画像データ生成部137、画像出力処理部138、および解除通知部139などの機能が画像処理装置1に実現される。
サーバ2Aは、画像処理装置1の一部の機能を代行するために用いられる。端末装置2Bは、画像処理装置1の上述の機能を遠隔的に使用するためのクライアントである。端末装置2Bとして、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはスマートフォンなどが用いられる。
〔ジョブ設定プログラムの登録〕
図4は、登録処理の流れの例を説明するフローチャートである。図5は、設定値入力画面5Aの例を示す図である。図6は、プログラムデータ6Aの例を示す図である。図7は、テンプレート受付画面5Bの例を示す図である。図8は、テンプレート7Bの例を示す図である。図9は、印影受付画面5Cの例を示す図である。図10は、印影7Cの例を示す図である。図11は、制限データ6Dの例を示す図である。
設定値受付処理部101ないし第二の解除要件データ生成部106は、主に、新たなジョブ設定プログラムの登録のための処理を実行する。この処理は、図4に示す手順で実行される。
設定値受付処理部101は、このジョブ設定プログラムの設定値を受け付けるための処理を次のように実行する。
画像処理装置1の管理者がジョブの種類を指定し所定のコマンド(登録コマンド)を入力すると、設定値受付処理部101は、指定された種類に応じた設定値入力画面5Aをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる(図4の#801)。例えば、コピージョブが指定された場合は、設定値入力画面5Aとして、図5のような設定値入力画面5A1を表示させる。
ここで、管理者は、このジョブ設定プログラムの、各項目の設定値を指定する。コピージョブの場合は、プルダウンメニュー5A11〜5A14に次のように指定する。
管理者は、原稿面(原稿の用紙の表(おもて)面だけを読み取るのか両面とも読み取るのか)をプルダウンメニュー5A11に指定する。印字色(カラーで印刷するのか、グレースケールで印刷するのか、白黒で印刷するのか)をプルダウンメニュー5A12に指定する。集約印刷する場合は、原稿の何ページ分を印刷先の用紙の1つの面に集約するのかを、プルダウンメニュー5A13に指定する。集約印刷しない場合は、「しない」をプルダウンメニュー5A13に指定する。なお、集約印刷は、一般に、「N−up印刷」または「Nin1印刷」などと呼ばれることもある。出力面(片面印刷または両面印刷)をプルダウンメニュー5A14に指定する。
さらに、管理者は、このジョブ設定プログラムの名称をテキストボックス5A15に指定する。プルダウンメニュー5A11〜5A14に指定した設定値での実行が認められていないユーザがこのジョブ設定プログラムを使用することを、例外なく禁止する場合は、チェックボックス5A16をオンにする。これにより、「禁止」が指定される。一定の要件を満たせば例外的に認める場合は、オフにする。これにより、「許可」が指定される。そして、登録ボタン5A17を押す。以下、このようなユーザへのジョブ設定プログラムの使用を禁止するか許可するかの条件を「例外許否条件」と記載する。
なお、本実施形態では、コピーする対象の書類が特定の書類である場合に、このジョブ設定プログラムの使用が例外的に認められる。さらに、この要件に加えて特定のユーザがハンコを押したことを要件とすることも、ある。
登録ボタン5A17が押されると、画像処理装置1は、プルダウンメニュー5A11〜5A14、テキストボックス5A15、およびチェックボックス5A16にそれぞれ指定された内容を受け付ける(#802)。
管理者は、そのほか、このジョブ設定プログラムが使用されるプロジェクトの名称およびそのプロジェクトの特定の役職(例えば、プロジェクトリーダ)の電子メールアドレスを画像処理装置1に対して入力する。
プログラムデータ生成部102は、プログラムデータ6Aを生成し、ユニークな識別子(以下、「プログラム識別子」と記載する。)を対応付けてプログラムデータ記憶部121に記憶させる(#803)。プログラムデータ6Aには、図6のように、設定値受付処理部101によって受け付けられた内容のほか、これが適用されるジョブの種類が示される。これらの内容が設定値入力画面5A1によって指定された場合は、「コピージョブ」がジョブの種類として示される。
テンプレートデータ取得部103は、設定値受付処理部101によって受け付けられた例外許否条件の値が「許可」である場合に(#804でYes)、このジョブ設定プログラムの使用を許可してもよい特定の書類のテンプレートの画像データを次のように取得する。
テンプレートデータ取得部103は、図7のようなテンプレート受付画面5Bをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる(#805)。
ここで、管理者は、特定の書類のテンプレートが記された用紙をスキャンユニット10iにセットする。特定の書類は、例えば、ユーザ(つまり、その会社の従業員)が特定の業務の為に作成する書類である。この場合は、管理者は、図8(A)〜(D)に示すような、テンプレート7B(7B1〜7B4)が記された用紙を用意し、スキャンユニット10iにセットする。
さらに、このジョブ設定プログラムの使用を許可してもよい時間帯(以下、「許可時間帯」と記載する。)を限定したい場合は、管理者は、許可時間帯をテキストボックス5B1に指定する。
そして、管理者は、用紙のセットが終わり、必要に応じて許可時間帯を指定したら、登録ボタン5B2を押す。
すると、テンプレートデータ取得部103は、その用紙から画像(テンプレート7B)を読み取って画像データを生成するように、スキャンユニット10iを制御する(#806)。これにより、画像データが取得される。
そして、テンプレートデータ取得部103は、取得した画像データをテンプレートデータ6Bとして、プログラムデータ6Aおよびそのプログラム識別子と対応付けてプログラムデータ記憶部121に記憶させる(#807)。なお、許可時間帯が指定された場合は、指定された許可時間帯をプログラムデータ6Aに追記しておく。
印影データ取得部104は、特定のユーザのハンコの印影の画像データを必要に応じて次のように取得する。
テンプレートデータ6Bがプログラムデータ記憶部121に記憶されると、印影データ取得部104は、図9のような印影受付画面5Cをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる(#808)。
ここで、管理者は、図10のような、特定のユーザのハンコが押された(つまり、印影が記された)用紙をスキャンユニット10iにセットする。そして、登録ボタン5C1を押す。
登録ボタン5C1が押された場合は(#809でYes)、印影データ取得部104は、その用紙から画像を読み取って画像データを生成するように、スキャンユニット10iを制御する(#810)。生成された画像データに基づいて、読み取られた画像から印影(以下、「印影7C」と記載する。)を切り抜く(#811)。これにより、印影7Cの画像データが得られる。
そして、印影データ取得部104は、得られた画像データを印影画像データ6Cとして、プログラムデータ6Aおよびそのプログラム識別子ならびにテンプレートデータ6Bと対応付けてプログラムデータ記憶部121に記憶させる(#812)。
印影受付画面5Cにおいてスキップボタン5C2が押された場合は(#809でNo)、ステップ#810〜#812の処理、つまり、印影7Cの登録の処理は、スキップされる。
設定値受付処理部101によって受け付けられた例外許否条件の値が「禁止」である場合は(#804でNo)、ステップ#805〜#812の処理、つまり、テンプレート7Bの登録の処理および印影7Cの登録の処理は、スキップされる。
このようにして、管理者は、ジョブ設定プログラムを用意することができる。複数のジョブ設定プログラムを用意することもできる。上述の例では、コピージョブのジョブ設定プログラムを用意したが、他の種類のジョブ設定プログラムも用意することができる。
また、ジョブ設定プログラムが用意されるごとに、プログラムデータ記憶部121には、プログラムデータ6Aが記憶され、さらに必要に応じてテンプレートデータ6Bおよび印影画像データ6Cが記憶される。
制限データ記憶部122には、図11に示すように、ユーザごとの制限データ6Dが記憶されている。各制限データ6Dには、各ユーザが指定することのできない設定値が示されている。
例えば、制限データ6D1には、「A001」のユーザコードを有するユーザが印字色の設定値として「カラー印刷」を指定することが禁止され、集約印刷の設定値として「しない」を指定することが禁止され、かつ、出力面の設定値として「片面」を指定することが禁止されていることが、示されている。つまり、制限データ6D1には、このユーザには、カラー印刷が認められておらず、印刷を伴うジョブを実行させる際は集約印刷しか認められておらず、かつ、片面印刷が認められていないことが、示されている。なお、設定値が「−」である項目には、制限がない。つまり、禁止されている設定値がない。
各ユーザが指定することのできない(禁止されている)設定値は、予め、この会社のポリシーおよび各ユーザの事情などに基づいて画像処理装置1の管理者が決定する。そして、管理者は、決定した設定値が示されるように、制限データ6Dを作成し、制限データ記憶部122に記憶させる。
〔ジョブ設定プログラムの使用〕
図12は、編集前の原稿画像7Eの例を示す図である。図13は、ジョブ処理の流れの例を説明するフローチャートである。図14は、プログラム指定画面5Dの例を示す図である。図15は、例外処理の流れの例を説明するフローチャートである。図16は、編集後の原稿画像7Eの例を示す図である。
ユーザは、テンプレート7Bを使用して特定の書類を作成する。例えば、テンプレート7B3(図8(C)参照)が印刷された用紙を用意し、図12のように種々の情報をこの用紙に書き込む。ユーザは、作成した書類を、会議の資料として同僚へ配付するためにコピーするつもりである。ただし、所定の形態でコピーしなければならない。また、その形態でコピーするために特定のユーザ(例えば、上司)の承認が必要である場合は、特定のユーザにハンコをこの用紙に押してもらわなければならない。つまり、特定のユーザの印影7Cが必要である。
その後、ユーザは、自分のユーザコードを用いて画像処理装置1へログインする。以下、画像処理装置1へログインしたユーザを「ログインユーザ」と記載する。そして、ログインユーザは、この用紙をスキャンユニット10iにセットし、所定のコマンド(プログラム呼出コマンド)を画像処理装置1へ入力する。
すると、プログラム指定受付部131ないし画像出力処理部138は、ジョブ設定プログラムに基づいてジョブを、図13に示す手順で実行する。
プログラム指定受付部131は、ジョブ設定プログラムの指定を受け付けるための処理を次のように実行する。
プログラム指定受付部131は、図14のようなプログラム指定画面5Dをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる(図13の#821)。
ここで、ログインユーザは、その形態で出力するためのジョブ設定プログラムを、それに対応するボタンを押すことによって指定する。例えば、「営業課月次報告書」という名称のジョブ設定プログラムを使用する場合は、選択ボタン5D1を押すことによって、そのジョブ設定プログラムを指定する。そして、呼出ボタン5D7を押す。
すると、プログラム指定受付部131は、このジョブ設定プログラムの指定を受け付ける(#822)。以下、ログインユーザが指定したジョブ設定プログラムを「指定プログラム」と記載する。
権限要否判別部132は、指定プログラムに示される設定値に基づくジョブを実行させる権限をログインユーザが有するか否かを、次のように判別する。
権限要否判別部132は、ログインユーザの制限データ6D(図11参照)を制限データ記憶部122から呼び出すとともに(#823)、指定プログラムのプログラムデータ6A(図6参照)をプログラムデータ記憶部121から呼び出す(#824)。
そして、権限要否判別部132は、プログラムデータ6Aに示される設定値が1つも制限データ6Dに示されていなければ、ログインユーザが権限を有すると判別し、設定値が1つでも示されていれば、権限を有しないと判別する(#825)。つまり、1つの項目でもログインユーザに対して課せられている制限に掛かれば、権限を有しないと判別し、そうでなければ、権限を有すると判別する。
原稿画像データ取得部136、出力用画像データ生成部137、および画像出力処理部138は、セットされた用紙に記される画像(以下、「原稿画像7E」と記載する。)をコピーする処理を、権限要否判別部132による判別の結果に応じて実行する。
ログインユーザが権限を有すると権限要否判別部132によって判別された場合、つまり、指定プログラムの制限に抵触しない場合は(#826でNo)、原稿画像データ取得部136は、セットされた用紙から原稿画像7Eを読み取って画像データを生成するようにスキャンユニット10iを制御する(#827)。これにより、画像データが取得される。以下、この画像データを「原稿画像データ6E」と記載する。
出力用画像データ生成部137は、プログラムデータ6Aに示される設定値に応じて、かつ、原稿画像データ6Eに基づいて、原稿画像7Eを編集する(#828)。例えば、プログラムデータ6Aに、印字色の設定値として「モノクロ」が示され、かつ、出力面の設定値として「2in1」が示される場合は、原稿画像7Eをモノクロに変換し、2つのページの画像が1つの印刷面に収まるように、編集する。以下、編集後の原稿画像7Eの画像データを「出力用画像データ6F」と記載する。
そして、画像出力処理部138は、出力用画像データ6Fを用いて、画像を出力する処理を実行する(#829)。本例では、ジョブの種類がコピージョブなので、出力用画像データ6Fに示される画像(編集された原稿画像7E)を用紙に印刷する処理を、プリントユニット10jに実行させる。
一方、ログインユーザが権限を有しないと権限要否判別部132によって判別された場合、つまり、指定プログラムの制限に抵触する場合は(#826でYes)、そのプログラムデータ6Aの「例外許否条件」が「許可」であれば(#830でYes)、ジョブを例外的に実行させてもよいか否かを判別する処理が行われ、実行させてもよいと判別された場合に、画像を出力する処理が実行される(#831)。これらの処理は、図15に示す手順で実行される。
時間要件有無判別部133は、指定プログラムの実行のための時間的な要件を満たしているか否かを次のように判別する(図15の#841)。
現在の時刻が、ステップ#824で呼び出されたプログラムデータ6Aに示される許可時間帯に属する場合は、時間要件有無判別部133は、時間的な要件を満たしていると判別する。そのプログラムデータ6Aに許可時間帯が示されていない場合も、時間的な要件を満たしていると判別する。そのプログラムデータ6Aに許可時間帯が示されているが、現在の時刻がこれに属さない場合は、時間的な要件を満たしていないと判別する。
時間的な要件を満たしていると時間要件有無判別部133によって判別された場合は(#842でYes)、原稿画像データ取得部136は、スキャンユニット10iを上述の通りに制御することによって原稿画像データ6Eを取得する(#843)。
書類判別部134は、原稿画像7Eが例外適用書類に係るものであるか否かを次のように判別する。「例外適用書類」は、例外的にログインユーザに対する制限を解除してジョブを実行させてよい書類である。
書類判別部134は、そのプログラムデータ6Aに対応付けられているテンプレートデータ6Bをプログラムデータ記憶部121から呼び出す(#844)。そのテンプレートデータ6Bに示される画像(テンプレート7B)と、取得された原稿画像データ6Eに示される画像(原稿画像7E)とを比較することによって、テンプレート7Bが原稿画像7Eに含まれているか否かを判別する(#845)。
そして、書類判別部134は、テンプレート7Bが含まれていれば原稿画像7Eが例外適用書類のものであると判別し、含まれていなければ例外適用書類のものでないと判別する。
なお、テンプレート7Bと原稿画像7Eとの比較は、公知の方法によって行えばよい。例えば、SAD(Sum of Absolute Differences)法を用いればよい。
原稿画像7Eが例外適用書類のものであると書類判別部134によって判別され(#846でYes)、かつ、そのプログラムデータ6Aに対応付けられて印影画像データ6Cがプログラムデータ記憶部121に記憶されている場合は(#847でYes)、承認有無判別部135は、ログインユーザに対する制限を解除することを特定のユーザが承認したか否かを次のように判別する。
承認有無判別部135は、プログラムデータ記憶部121から、そのプログラムデータ6Aに対応付けられている印影画像データ6Cを呼び出す(#848)。その印影画像データ6Cに示される画像(印影7C)と、ステップ#843で取得された原稿画像データ6Eに示される画像(原稿画像7E)とを比較することによって、印影7Cが原稿画像7Eに含まれているか否かを判別する(#849)。なお、一般に印影の色は、赤色であることが多い。そこで、印影7Cおよび原稿画像7Eそれぞれから特定の色(例えば、赤色)の成分を抽出し、比較してもよい。
そして、承認有無判別部135は、印影が含まれていれば、ログインユーザに対する制限を解除することを特定のユーザが承認したと判別する。含まれていなければ、承認していないと判別する。
出力用画像データ生成部137は、特定のユーザが承認したと承認有無判別部135によって判別された場合に(#850でYes)、図13のステップ#828と同様に、プログラムデータ6Aに示される設定値に応じて、かつ、その原稿画像データ6Eに基づいて、原稿画像7Eを編集する(#851)。
ただし、ステップ#851において、出力用画像データ生成部137は、図16のように、ログインユーザに対する制限を例外的に解除したことを示すマーカ7Jを原稿画像7Eに付加し、印影7Cを原稿画像7Eから削除する。以下、ステップ#851における編集後の原稿画像7Eの画像データを「出力用画像データ6G」と記載する。
そして、画像出力処理部138は、出力用画像データ6Gを用いて、画像を出力する処理を実行する(#852)。本例では、ジョブの種類がコピージョブなので、出力用画像データ6Gに示される画像を用紙に印刷する処理を、プリントユニット10jに実行させる。
原稿画像7Eが例外適用書類のものであると書類判別部134によって判別されたが(#846でYes)、そのプログラムデータ6Aに対応する印影画像データ6Cがプログラムデータ記憶部121に記憶されていない場合は(#847でNo)、特定のユーザによる認証の要否の判別は、行われない。出力用画像データ生成部137は、ステップ#851と同様に、プログラムデータ6Aに示される設定値に応じて、かつ、その原稿画像データ6Eに基づいて、原稿画像7Eを編集する(#853)。
ただし、ステップ#853において、出力用画像データ生成部137は、ログインユーザに対する制限を例外的に解除したことを示すマーカ7Jを原稿画像7Eに付加する。以下、ステップ#853における編集後の原稿画像7Eの画像データを「出力用画像データ6H」と記載する。
そして、画像出力処理部138は、出力用画像データ6Hを用いて、画像を出力する処理を実行する(#854)。本例では、ジョブの種類がコピージョブなので、出力用画像データ6Hに示される画像を用紙に印刷する処理を、プリントユニット10jに実行させる。
解除通知部139は、ステップ#852または#854において画像出力処理部138によって出力の処理が実行された場合に、ログインユーザへの制限を解除して出力の処理を実行したことを知らせるためのメッセージ6Kを、指定プログラムに対応付けられている電子メールアドレスへ宛てて電子メールによって送信する(#855)。この電子メールアドレスは、上述の通り、指定プログラムに係るプロジェクトの特定の役職を有するユーザのものである。
メッセージ6Kには、指定プログラムの名称およびプログラム識別子、指定プログラムが使用された日時、ログインユーザのユーザ名およびユーザコード、ならびに指定プログラムに係るプロジェクトの名称などが示される。電子メールのタイトルを「制限解除」などとするのが好ましい。さらに、出力用画像データ6Gまたは出力用画像データ6Hを添付ファイルとして添付して送信してもよい。
所定のユーザは、指定プログラムに係るプロジェクトの管理者であってもよいし、指定プログラムのプログラムデータ6Aなどをプログラムデータ記憶部121へ登録する作業を行った者であってもよい。
時間的な要件を満たしていないと時間要件有無判別部133によって判別された場合(#842でNo)、原稿画像7Eが例外適用書類のものでないと書類判別部134によって判別された場合(#846でNo)、および特定のユーザが承認していないと承認有無判別部135によって判別された場合は(#850でNo)、ジョブの実行がキャンセルされる(#856)。
図13に戻って、そのプログラムデータ6Aの「例外許否条件」が「禁止」であれば(#830でNo)、ジョブの実行がキャンセルされる(#832)。
図17は、画像処理装置1における全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
次に、ジョブ設定プログラムが関わる処理の全体的な流れを、フローチャートを参照しながら説明する。
画像処理装置1は、ジョブ制御プログラム10Pに基づいて、図17に示す手順で処理を実行する。
画像処理装置1は、登録コマンドが入力されると(#11でYes)、プログラムデータ6Aおよび必要なテンプレートデータ6Bおよび印影画像データ6Cを登録するための処理を実行する(#12)。この処理の流れは、前に図4で説明した通りである。
または、プログラム呼出コマンドが入力されると(#13でYes)、画像処理装置1は、ログインユーザが指定したジョブ設定プログラムを用いてジョブを実行する(#14)。ジョブを実行する手順は、前に図13で説明した通りである。
画像処理装置1は、電源がオンである間、ステップ#12の処理およびステップ#14の処理を適宜、実行する。
本実施形態によると、制限が課せられているユーザによるジョブ設定プログラムの使用を従来よりも容易に行うことができる。
特に、プロジェクトまたは部署ごとにジョブ設定プログラムを用意して使用する場合において、フォーマットが定まっている書類の作成(例えば、定例の会議の書類、月報、申請書など)のために本実施形態は好適に用いられる。
本実施形態では、画像処理装置1は、ログインユーザの制限を解除して原稿画像7Eを出力する際にマーカ7Jを付加したが、マーカ7Jの代わりに、または、マーカ7Jとともに、他の情報を表わす画像を付加してもよい。例えば、使用されるジョブ設定プログラム(つまり、指定プログラム)に係るプロジェクトの名称(プロジェクト名)、ログインユーザのユーザ名もしくはユーザコード、またはジョブを実行する日時などを表わす文字列を、ヘッダまたはフッタに付加してもよい。マーカ7Jをウォータマークまたは地紋として用紙に印刷してもよい。
本実施形態では、画像処理装置1は、印影7Cを削除して原稿画像7Eを用紙に印刷したが、削除せずに印刷してもよい。
本実施形態では、特定のユーザは、ログインユーザの制限を例外的に解除することを、自分のハンコを原稿画像7Eの用紙に押すことによって承認したが、自分のサインを筆記することによって承認してもよい。
この場合は、印影画像データ6Cの代わりにサインの画像データをプログラムデータ記憶部121に記憶させておけばよい。そして、承認有無判別部135は、特定のユーザのサインが含まれるか否かをチェックすることによって、ログインユーザに対する制限を解除することを特定のユーザが承認したか否かを判別すればよい。
本実施形態では、プログラムデータ6Aを、コピージョブのために使用する場合を例に説明したが、他の種類のジョブを実行する場合にも、本発明を適用することができる。
例えば、プログラムデータ6Aを、PCプリントジョブのために使用する場合は、画像処理装置1は、次のように処理を実行すればよい。
ユーザは、端末装置2Bを使用して、次の作業を行う。ワープロソフトまたは描画ソフトなどを用いてテンプレート7Bのファイルを開き、テンプレート7Bに種々の情報を書き込む。さらに、テンプレート7Bに、必要に応じて特定のユーザ(例えば、ユーザの上司)に印影7Cをマージしてもらう。これにより、図12に示した原稿画像7Eと同等の原稿画像が用意される。さらに、ユーザは、使用するジョブ設定プログラムを指定する。そして、所定のコマンド(プリントコマンド)を入力する。
すると、端末装置2Bは、原稿画像7Kを印刷するための印刷データを生成し、画像処理装置1へ送信する。この際に、指定されたジョブ設定プログラムおよびユーザのユーザコードを画像処理装置1へ通知する。
画像処理装置1は、端末装置2Bから印刷データを受信し、ジョブ設定プログラムを通知されると、この印刷データを原稿画像データ6Eの代わりに使用して、図15の#844〜#854に示した処理を適宜、実行する。この際に、通知されたジョブ設定プログラムのプログラムデータ6A、テンプレートデータ6B、および印影画像データ6Cと、通知されたユーザコードの制限データ6Dとを、使用する。
図18は、原稿画像7Lの例を示す図である。図19は、例外処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。図20は、再開処理の流れの例を説明するフローチャートである。
本実施形態では、ログインユーザは、指定プログラムを使用するのに特定のユーザの承認が必要な場合は、テンプレート7Bが印刷された用紙へ書込みを行った後、特定のユーザに押印してもらった。しかし、特定のユーザが不在などにより、直ちに押印してもらえない場合がある。
この場合は、ログインユーザは、印刷物が早く得られるように、図18(A)のような、押印のない用紙を用いて、コピーの準備を途中まで進めることができる。そして、図18(B)のようにその用紙に押印してもらったら、その用紙を用いてジョブを完了させることができる。
以下、この場合における画像処理装置1の各部(図3参照)の処理およびログインユーザの操作を、図13、図19、図20、および図21を参照しながら説明する。
ログインユーザは、図18(A)に示す用紙をスキャンユニット10iにセットし、プログラム呼出コマンドを画像処理装置1へ入力する。
すると、画像処理装置1の各部(図3参照)は、図13に示した手順で処理を実行する。ただし、ステップ#831の処理を、図19に示す手順で実行する。
時間要件有無判別部133は、指定プログラムの実行のための時間的な要件を満たしているか否かを次のように判別する(図19の#861)。判別の方法は、図15のステップ#841における判別の方法と同様であって、前に説明した通りである。
原稿画像データ取得部136は、時間的な要件を満たしている場合に(#862でYes)、図15のステップ#843の場合と同様に、用紙をスキャンユニット10iにスキャンさせることによって、用紙に記されている画像(以下、「原稿画像7L」と記載する。)の画像データを取得する(#863)。
承認有無判別部135は、原稿画像7Lが例外適用書類に係るものであるか否かを判別する(#864〜#865)。判別の方法は、図15のステップ#844〜#845で説明した通りである。
原稿画像7Eが例外適用書類のものであると書類判別部134によって判別されたが(#866でYes)、指定プログラムのプログラムデータ6Aに対応付けられて印影画像データ6Cがプログラムデータ記憶部121に記憶されていない場合は(#867でNo)、出力用画像データ生成部137は、原稿画像7Lを編集し(#871)、画像出力処理部138は、編集された原稿画像7Lを出力する(#872)。これらの処理の方法は、図15のステップ#853、#854の場合と同様である。
そして、解除通知部139は、図15のステップ#855の場合と同様に、メッセージ6Kを管理者へ送信する(#873)。
一方、印影画像データ6Cが記憶されている場合は(#867でYes)、出力用画像データ生成部137は、原稿画像7Lを編集する(#868)。以下、編集された原稿画像7Lの画像データを「原稿画像データ6L」と記載する。
図15の例では、承認有無判別部135がログインユーザに対する制限を解除することを特定のユーザが承認したか否かを判別したが、印影7Cが未だ画像処理装置1へ入力されていない。
そこで、出力用画像データ生成部137は、原稿画像データ6Lを、指定プログラムのプログラムデータ6Aのプログラム識別子およびログインユーザのユーザコードと対応付けて一時的に所定の記憶領域(以下、「データ一時保存部」と記載する。)に保存する(#869)。そして、ジョブの実行を一時的に停止する(#870)。
図15の場合と同様に、時間的な要件を満たしていない場合(#862でNo)および原稿画像7Lが例外適用書類のものでないと判別された場合は(#866でNo)、ジョブの実行がキャンセルされる(#874)。
その後、ログインユーザは、図18(B)のように特定のユーザに用紙へ押印してもらうと、その用紙をスキャンユニット10iにセットする。そして、所定のコマンド(再開コマンド)を画像処理装置1へ入力する。なお、画像処理装置1からログアウトしてしまった場合は、入力の前に、再度、画像処理装置1へログインしておく。
すると、画像処理装置1の各部は、図20に示す手順で処理を実行する。原稿画像データ取得部136は、セットされた用紙をスキャンユニット10iにスキャンさせることによって、その用紙に記されている画像を読み取る(図20の#881)。この画像には、原稿画像7Lおよび印影7Cが含まれている。
承認有無判別部135は、ログインユーザに対する制限を解除することを特定のユーザが承認したか否かを次のように判別する。
承認有無判別部135は、ログインユーザのユーザコードと対応付けられてデータ一時保存部に保存されている原稿画像データ6Lを呼び出す(#882)。ステップ#881で読み取られた画像と、呼び出した原稿画像データ6Lに示される画像との差分を求める(#883)。これにより、印影7Cが抽出される。
承認有無判別部135は、この原稿画像データ6Lがデータ一時保存部123において対応付けられていたプログラム識別子に係る印影画像データ6Cをプログラムデータ記憶部121から呼び出す(#884)。そして、抽出した印影7Cと、印影画像データ6Cに示される印影7Cとを比較し、両者が一致すればログインユーザに対する制限を解除することを特定のユーザが承認したと判別し、一致しなければ、承認していないと判別する(#885)。この際に、図15のステップ#849の場合と同様に、特定の色(例えば、赤色)の成分を抽出し、比較してもよい。
出力用画像データ生成部137は、特定のユーザが承認したと承認有無判別部135によって判別された場合に(#886でYes)、そのプログラム識別子に係るプログラムデータ6Aに示される設定値に応じて、かつ、その原稿画像データ6Lに基づいて、原稿画像7Lを編集する(#887)。この際に、マーカ7J(図16参照)を付加する。
そして、画像出力処理部138は、編集された原稿画像7Lを出力する処理を実行する(#887)。本例では、ジョブの種類がコピージョブなので、原稿画像7Lを用紙に印刷する処理をプリントユニット10jに実行させる。
なお、ステップ#881で読み取った画像にマーカ7Jを付加し、用紙に印刷してもよい。
解除通知部139は、出力の処理が完了したら、図15のステップ#855と同様に、管理者へメッセージ6Kを送信する(#888)。
なお、原稿画像データ6Lがデータ一時保存部に保存された後、所定の時間(例えば、24時間)が経過しても図20に示した処理が実行されない場合は、原稿画像データ6Lをデータ一時保存部から消去するのが好ましい。または、所定の期日(例えば、金曜日の17時)になっても図20に示した処理が実行されない場合に、原稿画像データ6Lをデータ一時保存部から消去してもよい。所定の時間および所定の期日は、プロジェクトごとに定めておいてもよい。
図21は、画像処理装置1における全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
次に、本変形例における、ジョブ設定プログラムが関わる処理の全体的な流れを、図21のフローチャートを参照しながら説明する。
画像処理装置1は、登録コマンドが入力されると(図21の#21でYes)、プログラムデータ6Aおよび必要なテンプレートデータ6Bおよび印影画像データ6Cを登録するための処理を実行する(#22)。この処理の流れは、前に図4で説明した通りである。
または、プログラム呼出コマンドが入力されると(#23でYes)、画像処理装置1は、ログインユーザが指定したジョブ設定プログラムを用いてジョブを実行する(#24)。ジョブを実行する手順は、前に図13で説明した通りである。ただし、図13のステップ#831の処理を、図19に示した方法によって実行する。
または、再開コマンドが入力されると(#25でYes)、画像処理装置1は、特定のユーザの承認を待っていたジョブを再開する(#26)。再開後の処理の手順は、図20に示した通りである。
画像処理装置1は、電源がオンである間、ステップ#22の処理、ステップ#24の処理、およびステップ#26の処理を適宜、実行する。
図22は、制限選択画面5Mの例を示す図である。図23は、複数の印影7Cが記された登録用の用紙の例を示す図である。図24は、複数の印影7Cおよびコピーの対象の画像が記された用紙の例を示す図である。図25は、承認処理の流れの例を説明するフローチャートである。
本実施形態では、ログインユーザは、必要な権限を有しない場合であっても、特定の1人のユーザに押印してもらえば、制限が解除され、ジョブ設定プログラムを使用することができた。制限が解除される項目(機能)は、問わなかった。
しかし、制限を解除してもよいか否かを、項目ごとに決めてもよい。この際に、解除を承認することができる特定のユーザを、項目ごとに異なるようにしてもよい。以下、この仕組みについて、説明する。
あるジョブ設定プログラムのプログラムデータ6Aおよびテンプレートデータ6Bがプログラムデータ記憶部121に記憶された後、印影データ取得部104は、印影受付画面5C(図9参照)の登録ボタン5C1が押されると、図22のような制限選択画面5Mをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。
ここで、管理者は、このジョブ設定プログラムの使用に際して制限を解除してもよい項目を、それに対応するチェックボックスにチェックを入れることによって選択する。例えば、出力面の制限を解除してもよい場合は、チェックボックス5M4にチェックを入れる。そして、登録ボタン5M5を押す。
また、管理者は、解除してもよい項目ごとに解除を承認する特定のユーザごとの印影7Cが記された用紙を、予め用意しておく。例えば、原稿面、集約印刷、印字色、および出力面の4つの項目を解除してもよい項目として登録する場合は、図23のような、所定の順番に特定のユーザの印影7Cが記された用紙を用意しておく。そして、登録ボタン5M5を押す前に、この用紙をスキャンユニット10iにセットしておく。
印影データ取得部104は、スキャンユニット10iに、その用紙から画像を読み取らせ、その画像から印影7Cを抽出する。これにより、印影7Cの印影画像データ6Cが得られる。図23の例の場合は、4つの印影7Cが抽出され、4つの印影画像データ6Cが得られる。
そして、印影データ取得部104は、これらの印影画像データ6Cをそれぞれの項目と対応付けてプログラムデータ記憶部121に記憶させる。
ログインユーザは、このジョブ設定プログラムを使用する際に、用紙に、自分に制限が課せられている項目について解除を承認できる特定のユーザのハンコを押してもらう。例えば、集約印刷および印字色について制限が課せられている場合は、図24のように、2つの項目それぞれの制限の解除を承認できる特定のユーザのハンコを押してもらう。
そして、ログインユーザは、この用紙をスキャンユニット10iにセットし、プログラム呼出コマンドを画像処理装置1へ入力する。
すると、画像処理装置1の各部は、図13および図15で説明した手順で処理を実行する。ただし、承認有無判別部135は、図15のステップ#848〜#850の処理の代わりに、図25に示す処理を実行する。
承認有無判別部135は、このジョブ設定プログラムで設定値が設定されている1つ目の項目に注目する(図25の#891)。以下、注目した項目を「注目項目」と記載する。
承認有無判別部135は、ログインユーザが注目項目について制限を課せられているか否かを、ログインユーザの制限データ6D(図11参照)に基づいてチェックする(#892)。
制限が課されている場合は(#893でYes)、承認有無判別部135は、注目項目の印影画像データ6Cを呼び出し(#894)、その印影画像データ6Cに示される印影7Cと、その用紙から原稿画像データ取得部136が読み取った画像とを比較することによって、特定のユーザが承認したか否かを判別する(#895)。
制限が課されていない場合は(#893でNo)、ステップ#894〜#896の処理は、スキップされる。
承認していない場合は(#896でNo)、このジョブは、キャンセルされる(図15の#856)。
承認した場合は(#896でYes)、注目していない項目が残っていれば(#897でYes)、承認有無判別部135は、次の項目に注目し(#898)、新たな注目項目について、ステップ#892〜#896の処理を行う。
そして、注目していない項目が残っていなければ(#897でNo)、図15のステップ#851へ進む。
本実施形態では、図3に示したすべての機能を画像処理装置1によって実現したが、一部の機能を他の装置によって実現してもよい。例えば、プログラムデータ記憶部121および制限データ記憶部122を端末装置2Bによって実現してもよい。この場合は、画像処理装置1は、各データを適宜、端末装置2Bからダウンロードして使用すればよい。
本実施形態では、プログラムデータ6Aには、ジョブ設定プログラムで使用される各項目の設定値が主に示されたが、処理の手順が示される場合もある。この場合は、ステップごとに、適宜、実行を制限してもよい。
その他、画像処理システム4、画像処理装置1の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、データの構成、画面の構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。