〔第一の実施形態〕
図1は本発明に係る画像形成装置1が設けられたネットワークシステムの例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は操作パネル1hの例を示す図、図4は第一の実施形態における画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
本発明に係る画像形成装置1は、図1に示すように、通信回線3を介して端末装置2と接続されている。通信回線3として、LAN、インターネット、公衆回線、または専用線などが用いられる。
画像形成装置1は、コピー、ネットワークプリンティング、スキャナ、ファックス、およびドキュメントサーバなどの機能を集約した装置である。複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれることもある。
ドキュメントサーバの機能は、ユーザまたはグループごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザが自分自身の記憶領域(以下、「ボックス」と記載する。)または自分の所属するグループのボックスに画像データまたはドキュメントデータなどのファイルを保存し管理するための機能である。「ボックス機能」と呼ばれることもある。ボックスは、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。なお、本実施形態では、1つのファイルに含まれるコンテンツを1つのドキュメントとして取り扱うものとする。
また、応用的な機能(アプリケーション機能)を用いたジョブを実行する際に、その対象となるファイルをジョブに対応付けて一時的に保存しておくためのボックスがある。このような役割のボックスを特に「機能ボックス」と呼ぶことがある。例えば、機密プリント機能(ネットワークプリンティングを行う際に、画像形成装置1が端末装置2から印刷データを受信しても直ちに印刷処理を実行せずにこれを保留しておき、後でユーザが、予め設定しておいたパスワードを画像形成装置1の操作パネルを操作して正しく入力したら、印刷処理を開始する、という機能)を用いたジョブの対象となるファイルを一時的に保存しておくための機能ボックスや、所定の宛先に転送するファイルを一時的に格納しておくための機能ボックスなどがある。前者に格納されたファイルは、操作パネルに正しいパスワードが入力されたら、印刷処理のために使用される。後者に格納されたファイルは、所定のタイミングで転送用のプログラムを起動することによって、所定の宛先に転送にされる。
そのほか、画像形成装置1には、新たなハードウェアを増設しまたはソフトウェアをインストールすることによって、ブックレット仕上げ機能、同報送信機能、またはSMB(Server Message Block)プロトコルによるファイルの送信機能など、種々の機能を拡張(追加)することができる。
図2に示すように、画像形成装置1は、CPU1a、RAM1b、ROM1c、ハードディスクまたはEEPROMなどの大容量記録装置1d、スキャナ1e、印刷装置1f、ネットワークインタフェース1g、操作パネル1h、および制御用回路1jなどによって構成される。
スキャナ1eは、原稿の用紙(以下、単に「原稿」と記載することがある。)に描かれている写真、文字、絵、図表などの画像を光電的に読み取って画像データを生成する装置である。印刷装置1fは、スキャナ1eで読み取った画像または端末装置2などから送信されてきた画像データの画像を用紙に印刷する装置である。
操作パネル1hは、図3に示すように、ディスプレイ1h1および複数の操作ボタンからなる操作ボタンユニット1h2などによって構成される。
操作ボタンユニット1h2は、数字、文字、または記号などを入力するための複数のキー、押下されたキーを認識するセンサ、および認識したキーを示す信号をCPU1aに送信する送信用回路などによって構成される。
ディスプレイ1h1は、この画像形成装置1を操作するユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが設定内容および処理内容を入力するための画面、および画像形成装置1で形成された画像および処理の結果を示す画面などを表示する。本実施形態では、ディスプレイ1h1として、タッチパネルが用いられる。したがって、ディスプレイ1h1は、ユーザが指で触れたタッチパネル上の位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU1aに送信する機能を備えている。
このように、操作パネル1hは、画像形成装置1を直接操作するユーザのためのユーザインタフェースの役割を果たしている。なお、端末装置2には、画像形成装置1に対して指令を与えるためのアプリケーションプログラムおよびドライバがインストールされている。したがって、ユーザは、端末装置2を使用して画像形成装置1を遠隔的に操作することもできる。端末装置2として、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、またはPDA(Personal Digital Assistant)などが用いられる。
図2のネットワークインタフェース1gは、端末装置2と通信を行うための装置である。ネットワークインタフェース1gとして、NIC(Network Interface Card)、モデム、またはTA(Terminal Adapter)などが用いられる。
制御用回路1jは、大容量記録装置1d、スキャナ1e、印刷装置1f、ネットワークインタフェース1g、および操作パネル1hなどの装置を制御するための回路である。
大容量記録装置1dには、図4に示すようなジョブ制御部101、ユーザ認証部102、ボックス内変化検知部103、画面表示処理部104、ボックス管理部1BK、およびテーブル管理部1TKなどの機能を実現するためのプログラムおよびデータなどが格納されている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAM1bにロードされ、CPU1aによってプログラムが実行される。これらのプログラムまたはデータの一部または全部を、ROM1cに記憶させておいてもよい。または、図4に示す機能の一部または全部を、制御用回路1jによって実現するようにしてもよい。
図5は大容量記録装置1dにおけるボックスの割当ての例を示す図、図6はユーザ管理テーブルTB1の例を示す図、図7はボックス管理テーブルTB2の例を示す図、図8はファイル管理情報7F1の例を示す図、図9は追加機能テーブルTB3の例を示す図、図10はログイン画面HG1の例を示す図、図11はコピージョブ受付画面HG2の例を示す図、図12は通知対象判別処理の流れの例を説明するフローチャート、図13はアイコンKNを押下したときのコピージョブ受付画面HG2の例を示す図である。
以下、図4の各部の処理内容などについて詳細に説明する。
図4のボックス管理部1BKは、図5に示すように、大容量記録装置1dに設けられた各ユーザ、各グループ、および各アプリケーション機能のためのファイルを保存しておくためのボックスの管理を行う。例えば、ユーザからの指令に基づいて新たなボックスを設定し、既存のボックスを削除し、ボックス内のファイルを更新しまたは削除し、またはボックスに新たなファイルを追加するための処理を行う。ボックス管理部1BKによって管理される各ボックスには、1つずつユニークなボックスIDが対応付けられている。
テーブル管理部1TKは、ユーザ管理テーブルTB1、ボックス管理テーブルTB2、および追加機能テーブルTB3などのテーブルを記憶し管理している。ユーザ管理テーブルTB1には、図6に示すように、画像形成装置1を使用するユーザに関する情報が格納されている。1つのレコードが1人のユーザに対応している。「ユーザ名」は、ユーザが画像形成装置1にログインするためのユーザアカウント名である。つまり、ユーザ名はユーザを識別するための識別情報の役割を果たすので、ユニークでなければならない。「パスワード」は、ログインする際のユーザ認証のために用いられる符号である。
「最新ログイン日時」は、そのユーザが最後に画像形成装置1にログインした日時(日付および時刻)を示している。最新ログイン日時の値は、そのユーザが画像形成装置1にログインするたびに、所定のタイミングで、そのログインした日時に更新される。したがって、最新ログイン日時はユーザが前回ログインした日時を示している、と言える。「操作履歴」は、前回ログインした時からログアウトした時までの間にそのユーザが行った操作の内容の履歴を示している。「所有ボックスID」は、そのユーザが所有するボックス(他のユーザと共用するボックスも含む。以下、同様。)のボックスIDを示している。
ボックス管理テーブルTB2、図7に示すように、テーブル管理部1TKで管理される各ボックスに関する情報が格納されている。1つのレコードが1つのボックスに対応している。「ボックスID」は、そのボックスIDを識別するための識別情報である。「ボックス名」は、そのボックスの名称である。ボックス名はその所有者であるユーザが自由に付けることができるが、そのボックスの意義が明確でありかつ他のボックスとの識別が容易である名称を付けることが望ましい。「所有者」は、そのボックスの所有者であるユーザまたはグループを示している。
「ファイル管理情報」のフィールドには、ファイル管理情報7F(7F1、7F2、…)が格納されている。ファイル管理情報7Fには、そのボックスの中の各ファイルの識別情報や処理の履歴情報などが含まれている。以下、これらの情報を「ファイル別詳細情報DTJ」と記載する。例えば、ボックスIDが「B01」であるボックスのファイル管理情報7F1には、図8に示すように、4つのファイルのファイル別詳細情報DTJが含まれている。
ファイル別詳細情報DTJの「BOX Document ID」は、そのファイルに係るドキュメントを識別する識別情報である。つまり、ファイルを識別するための情報でもある。「Document Name」は、そのファイルに係るドキュメントの名称である。つまり、ファイル名でもある。
「〜 Time」は、そのファイルに関して何らかのイベントが起きた日時を示している。例えば、「Create Time」は、そのファイルがそのボックスの中に生成された日時を示している。「Edit Time」は、そのファイルの内容が更新された日時を示している。「Delete Time」は、そのファイルがそのボックスから削除された日時を示している。
なお、ボックスへのファイルの生成は、原稿の画像をスキャンするなどして新しく得られたデータをファイル化する場合だけでなく、他のボックスにあるデータをコピーしまたは移動させる場合にも行われる。また、ボックスからのファイルの削除は、ファイルをハードディスク上から完全に消去してしまう場合だけでなく、他のボックスに移動させる場合にも行われる。つまり、「Create Time」および「Delete Time」は、ファイルのコピーまたは移動を行った日時を示す場合もある。
「Check Flag」は、そのファイルにイベントが起きた後、その旨をそのボックスの所有者が確認したか否かを示すフラグである。「Check Flag」が「1」である場合は確認したことを意味し、「0」である場合は未だ確認していないことを意味する。なお、そのファイルが、グループのボックスのように複数人の所有者がいるボックスに保存されている場合は、所有者ごとに1つずつフラグが用意される。
追加機能テーブルTB3は、図9に示すように、画像形成装置1に拡張(追加)された機能およびその追加日時に関する情報が格納されている。
図4のジョブ制御部101は、ユーザからの指令に基づいてジョブが実行されるように、画像形成装置1の各部を制御する。例えば、原稿のコピー、スキャン、ファックス送信、または印刷などのジョブが実行されるようにスキャナ1e、印刷装置1f、大容量記録装置1d、またはネットワークインタフェース1gなどを制御する。
また、これらのジョブを実行することによって、ボックスに関する次のようなイベントが起こることがある。例えば、新しいファイルが生成され、これが所定のボックスに保存されることがある。または、他のボックスまたは端末装置2のファイルを所定のボックスに移動させることがある。そのほか、ボックスの中の既存のファイルが更新されまたは削除されることがある。このようなイベントが起きた場合は、その履歴をそのボックスのファイル管理情報7F(図7、図8参照)に書き込む。
例えば、ユーザの指令に従って原稿の画像をスキャンするジョブを実行した結果、その画像の画像ファイルが生成され、ボックスIDが「B01」であるボックスに保存されたとする。この場合は、その画像ファイルを同じボックス内の他のファイルと識別できるID(BOX Document ID)を発行するとともに、ファイル名(Document Name)を決める。そして、そのID、ファイル名、その画像データが生成された日時(Create Time)を、新たなファイル別詳細情報DTJとして、ファイル管理情報7F1に書き込む。なお、ファイル名は、ユーザが自由に決めてもよいし、画像形成装置1が現在の日付またはユーザ名を組み合わせるなどして自動的に決めるようにしてもよい。
このとき、これらの情報とともに、そのボックスの所有者が今回のイベント(つまり、その画像ファイルが生成され保存されたこと)が起きたことを確認したか否かを示すフラグ(Check Flag)も、ファイル別詳細情報DTJに含まれるようにする。ただし、このフラグの初期値は、次のように決められる。今回のジョブの指令を与えたユーザが、「B01」のボックスの所有者自身である場合は、当然、今回のイベントのことを知っている。したがって、フラグの初期値を、確認済を意味する「1」にする。所有者が複数人いる場合は、指令を与えたユーザのフラグの初期値だけ「1」にし、他の所有者のフラグの初期値は未確認を意味する「0」にしておく。一方、指令を与えたユーザが「B01」のボックスの所有者でない場合は、所有者は全員そのイベントのことを知らないので、すべてのフラグの初期値を「0」にする。
または、ユーザの指令に従って、「B01」のボックス内の既存のファイルが削除されたとする。この場合は、ファイル管理情報7F1に含まれるそのファイルのファイル別詳細情報DTJに、そのファイルが削除された日時(Delete Time)の情報を追加する。さらに、指令を与えたユーザに応じて、フラグ(Check Flag)の値を更新する。つまり、上に述べたファイルの生成の場合と同様の理由により、指令を与えたユーザがそのボックスの所有者自身である場合は、フラグを「1」に更新する。ただし、所有者が複数人いる場合は、指令を与えたユーザのフラグだけ「1」に更新し、他の所有者のフラグは「0」に更新する。指令を与えたユーザがそのボックスの所有者でない場合は、すべてのフラグを「0」に更新する。既存のファイルが更新された場合も同様に、そのファイルが更新された日時(Edit Time)の情報を追加し、フラグの値を更新する。
図4のユーザ認証部102は、これから画像形成装置1を使用しようとする者が正規のユーザであるか否かの認証を行う。係る認証は、次のような手順で行われる。誰も画像形成装置1を直接操作していないときは、ディスプレイ1h1には、図10に示すようなログイン画面HG1が表示されている。画像形成装置1を使用したいユーザは、操作ボタンユニット1h2を操作して、自分のユーザ名およびパスワードを入力する。すると、ジョブ制御部101はそのユーザ名およびパスワードを受け付け、ユーザ認証の処理を実行するようにユーザ認証部102に対して指令する。
ユーザ認証部102は、図6のユーザ管理テーブルTB1の中から、入力されたユーザ名と同じ値のユーザ名を持つレコードを抽出する。そして、入力されたパスワードとそのレコードのパスワードとを照合し、両者が一致すれば、そのユーザが正規のユーザであると認証する。一致しなかった場合は、不正なユーザであると判別する。ユーザ管理テーブルTB1の中に、入力されたユーザ名と同じ値のユーザ名を持つレコードがない場合も、不正なユーザであると判別する。不正なユーザであると判別された者は、画像形成装置1を使用することはできない。
正規のユーザである旨の認証を受けた場合は、画像形成装置1を使用することが認められる。つまり、画像形成装置1にログインした状態になる。すると、画面表示処理部104は、ディスプレイ1h1に、図11に示すようなコピージョブ受付画面HG2を表示させる。ここで、ユーザは、所定の操作を行って指令を与えることによって、自分の所望する処理を画像形成装置1に実行させることができる。すると、ジョブ制御部101は、ユーザの操作内容に従ってジョブを生成し、画像形成装置1の各部を制御する。
例えば、原稿をコピーしたい場合は、その原稿をスキャナ1eの所定の位置にセットする。そして、コピーしたい部数および倍率などを入力し、操作ボタンユニット1h2(図3参照)の中にある「スタート」ボタンを押下する。すると、ジョブ制御部101は、コピージョブを生成してキューに登録し、順番が来たらそのコピージョブが実行されるようにスキャナ1eおよび印刷装置1fなどを制御する。
ユーザは、原稿のスキャン、ファックスの送受信、またはボックス内のファイルの使用を行いたい場合は、それぞれ、「SCAN」ボタン、「FAX」ボタン、または「BOX」ボタンを押下して画面を切り替え、各画面を見ながら所定の操作を行えばよい。
コピージョブ受付画面HG2の右方のエリアには、そのユーザの前回のログイン時から今回のログイン時までの間にそのユーザが所有するボックスの中で起きたファイルの変化を示す変化ファイルリストHL2が表示される。ファイルの変化は、ボックス内変化検知部103によって、図12に示すような手順で検知される。
すなわち、ボックス内変化検知部103は、まず、図6のユーザ管理テーブルTB1から、ログインしたユーザの所有するボックスすなわち「所有ボックスID」に示されるボックスを検索するとともに(図12の#101)、前回ログインした日時すなわち「最新ログイン日時」に示される日時を検索する(#102)。
検索されたボックスのファイル管理情報7Fから、前回ログインした日時以降に何らかのイベントが起きたファイルであって、イベントが起きたことが未だそのユーザに確認されていないファイルを検索する(#103、#104)。つまり、「Create Time」、「Edit Time」、または「Delete Time」のうちの少なくともいずれか1つが前回ログインした日時以降の日付を示しており、かつ、「Check Flag」が「0」を示しているファイルを検索する。そのユーザが複数のボックスを所有する場合は、それぞれのボックスについて、ステップ#103、#104の処理を実行する(#105でYes)。このようにして、変化ファイルリストHL2に載せるファイルが検知される。
画面表示処理部104は、コピージョブ受付画面HG2の右方に、ボックス内変化検知部103によって検知されたファイルのファイル名を示す変化ファイルリストHL2を表示させる。ファイル名には、そのファイルのファイル別詳細情報DTJ(図8参照)の「Document Name」に示される名称が用いられる。また、ファイル名の左側には、アイコンKNが配置される。このアイコンKNは、そのファイル名のファイルを呼び出すためのショートカットキーとして用いられる。すなわち、ユーザは、アイコンKNを操作することによって、ファイルを呼び出して使用することができる。
例えば、「report_1.pdf」というファイル名のファイルを使用したい場合は、アイコンKN1を押下する。すると、図13(a)に示すように、そのファイルについてどのような処理を実行するのかを指令するためのショートカットメニューがアイコンKN1の近傍に表示される。ユーザは、ショートカットメニューの中から自分の所望する処理の名称を押下して選択する。すると、ジョブ制御部101は、そのファイルについてその処理を実行するためのジョブを生成し、キューに登録する。そして、順番が来たらそのジョブを実行する。
「印刷」が押下された場合は、そのファイルのドキュメントを印刷するジョブを生成し、キューに登録する。この際に、印刷条件(用紙サイズ、拡大縮小の倍率、応用コピーなど)を必要に応じて設定するようにユーザに対して要求する。そして、そのジョブに順番が回って来たら、そのファイルをRAM1b(図2参照)に呼び出し(オープンし)、ユーザが設定した印刷条件に基づいて印刷装置1fなどを制御して、印刷処理を実行する。
「FTP送信」が押下された場合は、そのファイルを端末装置2にFTP(File Transfer Protocol)で送信するジョブを生成し、キューに登録する。「FAX送信」が押下された場合は、そのファイルのドキュメントの画像をファックス端末に送信するジョブを生成し、キューに登録する。「転送」が押下された場合は、そのファイルを端末装置2に転送するジョブを生成し、キューに登録する。これらのメニューが押下された際には、その送信先または転送先を指定するようにユーザに対して要求する。これらのジョブも、「印刷」の場合と同様に、順番が来たら実行される。「削除」が押下された場合は、そのファイルをボックスから削除する。
ボックスから既に削除されているファイルのアイコンKNが押下された場合は、もはや、そのファイルを使用することはできない。そこで、図13(b)に示すように、そのファイルがそのボックスから削除されている旨を通知するメッセージをそのアイコンKNの近傍に表示する。
ボックス内変化検知部103によって検知されたファイルの個数が多いと、これらのファイル名およびアイコンKNを一度に表示することができない場合がある。このような場合は、ユーザは、スクロールボタンSB1、SB2を押下して変化ファイルリストHL2をスクロールさせることによって、すべてのファイルを確認することができる。
このように変化ファイルリストHL2によってファイル名が表示されたファイルのフラグは、確認済を意味する「1」に更新しておく。ただし、フラグが複数ある場合は、ログインしているユーザのフラグだけを更新する。
または、単にファイル名が表示されただけではフラグを更新せず、ユーザが所定の操作を行ったとき(例えば、そのファイルを使用したとき、所定の操作を行って画像形成装置1に確認した旨を入力したときなど)に更新するようにしてもよい。
なお、変化ファイルリストHL2において、ファイル名とともに、ファイルが保存されているボックスまたは保存されていたボックスの名称を表示してもよい。または、ファイルに係るドキュメントの識別情報(図8の「BOX Document ID」)またはボックスIDを表示してもよい。各ファイルのアイコンKNのデザインを、イベントの種類に応じて使い分けるようにしてもよい。例えば、ボックスに新たに生成(Create)されたファイルのアイコンKNは青色、更新(Edit)されたファイルのアイコンKNは黄色、削除(Delete)されたファイルのアイコンKNは赤色、というようにしてもよいし、アイコンKNの形状を変えてもよい。
図14は第一の実施形態における画像形成装置1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。次に、ユーザがログインしてから図11のようなコピージョブ受付画面HG2を表示するまでの画像形成装置1の処理の流れを、図14のフローチャートを参照して説明する。
ユーザは、ログイン画面HG1(図10参照)に自分のユーザ名およびパスワードを入力し、画像形成装置1へのログインを試みる。すると、画像形成装置1は、入力されたユーザ名およびパスワードとユーザ管理テーブルTB1(図6参照)に格納されているユーザ名およびパスワードとを照合することによって、そのユーザが正規のユーザであるか否かの認証を行う(図14の#11)。
正規のユーザであることが認証できたら(#12でYes)、直ちに、そのユーザの所有するボックスに保存されているファイルおよび保存されていたファイルの中の、そのユーザの前回ログイン時以降に他のユーザの操作によって変化が起きたファイルを検知する(#13)。この検知の処理の方法は、前に図12で説明した通りである。
今回のログインの日時を、図6のユーザ管理テーブルTB1の中の、そのユーザのレコードの「最新ログイン日時」に上書きして記録するとともに(#14)、ステップ#13で検知されたファイルの一覧すなわち変化ファイルリストHL2を生成する(#15)。そして、図11のように、その変化ファイルリストHL2を含むコピージョブ受付画面HG2を表示する(#16)。これにより、そのユーザが最後にファイルを確認した後で生じた、ファイルの変化が通知される。
通知されたファイルをユーザが確認したら、それらのファイルのフラグ(図8のCheck Flag)を「1」に更新する(#17)。また、ユーザは、コピージョブ受付画面HG2において、アイコンKNおよびジョブの種類を押下する操作だけで(図13(a)参照)、ドキュメントの印刷やファイル転送などのジョブを画像形成装置1に実行させることができる。
本実施形態によると、ユーザが画像形成装置1にログインしたときに直ちに、前回のログインの日時から今回のログインの日時までの間に起きた、そのユーザの所有するボックス内の、他のユーザの操作によって変化が生じたファイルの一覧を、ディスプレイ1h1に表示する。これにより、ユーザは、ボックス内のファイルの変化の状態を迅速にかつ的確に確認することができる。しかも、ファイル名の横のボタンを押下するだけで、簡単にそのファイルにアクセスすることができる。
図15はあるユーザPが画像形成装置1にログインしてからログアウトするまでに起きたイベントの例を示す図である。
本実施形態では、前回のログインの日時から今回のログインの日時までの間に変化があったファイルを、ユーザに通知する対象としたが、これ以外の期間に変化があったファイルも対象としてもよい。例えば、前回のログイン時以前に変化があったファイルについても対象とし、その中からフラグが「0」を示すファイル(つまり、前回ログインした際に変化があったことを確認しなかったファイル)を検知して変化ファイルリストHL2に含めるようにしてもよい。
または、フラグを用いる代わりに、前回ユーザが画像形成装置1にどのような画面を表示させまたはどのような処理を実行させたかなどを示す履歴を用いて、変化ファイルリストHL2を生成してもよい。この場合は、次の(a)〜(c)の規則に基づいて、変化ファイルリストHL2に含めるべきファイルを検知する。
(a) ボックスをオープンしてファイルの一覧画面を表示させた場合は、そのボックスに保存されているファイルおよび保存されていたファイルについては、表示させたその日時以降に変化があったものを検知する。
(b) オープンされなかったボックスに保存されているファイルおよび保存されていたファイルについては、前回のログイン日時以降に変化があったものを検知する。
(c) 規則(a)(b)に関わらず、ログインしたユーザ自身の操作によって変化が生じたファイル(新たにボックスに保存されたファイル、更新されたファイル、およびボックスから削除されたファイル)は、検知対象から除外する。
例えば、ユーザPが前回ログインしてからログアウトするまでの間、そのユーザの所有するボックスX1、X2について、図15に示すようなイベントが起きたとする。ファイルのイベントに関する情報(イベントの種類、イベントの処理の対象、そのイベントを実行するように指令したユーザ、および処理を実行した日時などに関する履歴情報)はファイル管理情報7F(図7、図8参照)として記録されており、画面の表示に関する情報(表示した画面、表示するように指令したユーザ、および表示した日付などに関する履歴情報)は、表示履歴情報としてテーブル管理部1TKなどに記録されている。ここで、図15の内容を簡単に説明しておく。
前回ログインした時刻T1においては、ボックスX1にはファイルY11、Y12が保存されており、ボックスX2にはファイルY21、Y22が保存されていたとする。なお、時刻T1の直後、ユーザPは、コピージョブ受付画面HG2の変化ファイルリストHL2(図11参照)を見て、ボックスX1、X2の中のファイルの、ログイン以前に生じた変化を確認しているものとする。
時刻T2に、ユーザP自身の操作によって新しいファイルY13がボックスX1に追加された。時刻T3に、他のユーザの操作によって新しいファイルY23がボックスX2に追加された。時刻T4に、ユーザPは、ボックスX2をオープンしてファイルの一覧画面を表示させ、ボックスX2にどのようなファイルが保存されているのかを確認した。このとき、ユーザPは、他のユーザが追加した新しいファイルY23の存在を確認することができる。
他のユーザの操作によって、時刻T5にボックスX1からファイルY12が削除され、時刻T6にボックスX2からファイルY22が削除された。時刻T7に、ユーザP自身の操作によってファイルY21が更新された。そして、時刻T8に、ユーザPは画像形成装置1からログアウトした。なお、図中の点線で示すファイルは、削除されたことを意味する。
このようなイベントが前回のログイン時(時刻T1)からログアウト時(時刻T8)までの間に起きた場合において、ユーザPが時刻T8以降に再度、画像形成装置1にログインすると、ボックス内変化検知部103は、変化ファイルリストHL2に含めるべきファイルを、上記の規則(a)〜(c)に従って次のように検知する。
ボックスX1については、ファイルの一覧画面が一度も表示されていないので、規則(b)および(c)に従って、ユーザP以外のユーザの操作によって変化が生じたファイルすなわちファイルY12を検知する。一方、ボックスX2については、ファイルの一覧画面が時刻T4に表示されているので、規則(a)および(c)に従って、時刻T4以降にユーザP以外のユーザの操作によって変化が生じたファイルすなわちファイルY22を検知する。
〔第二の実施形態〕
図16は第二の実施形態における画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図17は第二の実施形態における画像形成装置1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図18はコピージョブ受付画面HG3の例を示す図である。
第一の実施形態では、ユーザの所有するボックスに保存されているファイルおよび保存されていたファイルのうち、ユーザが最後にボックスの内容を確認した後、他のユーザの操作によって変化が起きたファイルを、ユーザに通知した。第二の実施形態では、ユーザが前回、画像形成装置1を使用した後、新たに画像形成装置1に追加された機能を検知して通知する。
第二の実施形態における画像形成装置1の構成は、基本的に第一の実施形態の画像形成装置1の構成と同じである。ただし、図16に示すように、ボックス内変化検知部103(図4)の代わりに、新機能検知部123が設けられている。以下、画像形成装置1の各部の処理内容を、図17のフローチャートを参照して説明する。特に、新機能検知部123の処理内容および第一の実施形態の場合との違いを中心に説明する。第一の実施形態と重複する処理内容については、説明を省略する。
画像形成装置1の使用を所望するユーザは、図10のログイン画面HG1を見ながら自分のユーザ名およびパスワードを入力する。すると、ユーザ認証部102によってユーザ認証の処理が行われ(図17の#21)、正規のユーザであることが認証されれば(#22でYes)、そのユーザが前回ログインしたときの日時を、図6のユーザ管理テーブルTB1から検索する(#23)。今回のログインの日時を前回のログインの日時(つまり、図6におけるそのユーザの「最新ログイン日時」)に上書きして記録する(#24)。
ステップ#23で検索された日時以降に画像形成装置1に追加された機能を、図9の追加機能テーブルTB3から検索する(#25)。
追加された機能が存在する場合は(#26でYes)、そのユーザが既にその機能を利用したことがあるか否かを、ユーザ管理テーブルTB1の中のそのユーザの「操作履歴」を参照してチェックする(#27)。利用したことがなければ(#28でYes)、その機能を、ユーザへの通知の対象であるものとして検知する(#29)。利用したことがあれば(#28でNo)、その機能は、ユーザへの通知の対象から除外する。追加された複数の機能がステップ#25において複数見つかった場合は、これらの機能すべてについてステップ#27〜#29の処理を実行する。
そして、見つかったすべての追加の機能についてチェックが完了したら(#30でYes)、ステップ#29において検知された機能の一覧である新機能リストHL3を生成し、図18に示すようなコピージョブ受付画面HG3を表示する(#31)。
ここで、ユーザは、追加された機能の左側にあるアイコンKNを押下することによって、その機能を用いたジョブを画像形成装置1に実行させることができる。例えば、「同報送信」の左側にあるアイコンKNを押下すると、送信対象のファイル、複数の送信先、および送信方法を選択ための画面が表示される。ユーザはその画面を見ながらこれらの事項を選択するだけで、同報送信のジョブの指令を画像形成装置1に与えることができる。
第二の実施形態によると、ユーザが画像形成装置1にログインした際に、前回のログインの日時から今回のログインの日時までの間に追加された新しい機能のうち、そのユーザが使ったことのないものだけをそのユーザに通知することができる。
第二の実施形態では、画像形成装置1に追加された機能に関する情報を追加機能テーブルTB3によって管理し、この追加機能テーブルTB3に基づいて機能の追加を検知したが、他の方法を用いてもよい。例えば、一般的に、アプリケーション機能を追加すると、それを実現するために必要な機能ボックスが新たに生成されることが多い。そこで、機能ボックスが生成された日時と、ユーザが前回ログインした日時とを比較することによって、新しい機能を検知してもよい。
第一および第二の実施形態では、ユーザが画像形成装置1の操作パネル1hを操作して画像形成装置1を使用する場合を例に説明したが、本発明は、端末装置2を用いて遠隔的に画像形成装置1を使用する場合にも適用可能である。この場合は、画像形成装置1は、図10のログイン画面HG1、図11のコピージョブ受付画面HG2、および図18のコピージョブ受付画面HG3に相当する画面を端末装置2に表示させるようにし、端末装置2から送信されてきた指令などに基づいて各部の処理を実行するようにすればよい。
ユーザがログインしたときに、変化ファイルリストHL2(図11参照)および新機能リストHL3(図18)の両方が配置された画面を表示するようにしてもよい。または、変化ファイルリストHL2と新機能リストHL3との表示を簡単な操作で(例えば、所定のボタンを押下することによって)簡単に切り換えられるようにしてもよい。
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、およびデータベースの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。