(第1実施形態)
図1は、貯湯式の給湯装置1の全体を表した構成図である。給湯装置1は、貯湯タンク10と、ヒートポンプ装置50と、制御装置80と、を備えて構成される。
貯湯タンク10は、耐食性に優れた金属製、例えばステンレス製の容器で構成される。貯湯タンク10は中空円柱状で、その軸方向が鉛直方向に延びる縦長形状に形成されている。貯湯タンク10は、外表面を断熱材で覆う断熱構造または二重タンクによる真空断熱構造等を有しているため、高温の給湯水を長時間保温することができる。貯湯タンク10は、ヒートポンプ装置50(以下、HP装置50と表記する)によって加熱された給湯水を貯湯する。
貯湯タンク10には、タンク水温サーミスタ71が設けられている。タンク水温サーミスタ71は、貯湯タンク10の高さ方向に複数個分散されて設けられている。タンク水温サーミスタ71は、貯湯タンク10に貯められた給湯水の貯湯量および貯湯温度を検出するためのタンク温度検出器である。タンク水温サーミスタ71は貯湯タンク10内のそれぞれの高さレベルでの温度信号を制御装置80に出力する。
貯湯タンク10の下部には、下方開口部10aが設けられる。下方開口部10aは貯湯タンク10の下方側の給湯水を流出させる流出口である。また下方開口部10aは貯湯タンク10内へ水道水を流入させる流入口である。貯湯タンク10へ流入する水道水は、給水配管11によって供給される。
入口配管21aは、下方開口部10aから流出した貯湯タンク10下方側の給湯水または給水配管11によって供給される水道水をHP装置50へと導く。入口配管21aにはバイパス配管21cが接続されている。バイパス配管21cは、下方開口部10aから流出した貯湯タンク10の下方側の給湯水または給水配管11によって供給される水道水を、HP装置50を迂回して三方弁52へと導くことを可能とする。
HP装置50は、冷媒として臨界温度の低い二酸化炭素を使用する超臨界のヒートポンプサイクルと、ヒートポンプサイクルに水を圧送する沸上ポンプ51と、を有して構成されている。超臨界のヒートポンプサイクルによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温、例えば85℃〜90℃の湯を貯湯タンク10内に貯えることができる。HP装置50は、湯を沸き上げる沸き上げ装置である。
沸上ポンプ51は、入口配管21aに配置される電動式の水ポンプである。沸上ポンプ51は、貯湯タンク10の下方側の給湯水あるいは給水配管11によって供給される水道水を水冷媒熱交換器の水通路へ圧送する。沸上ポンプ51は、制御装置80によって制御される。
ヒートポンプサイクルは、複数の冷凍サイクル機能部品を備える。複数の冷凍サイクル機能部品とは、少なくとも電動式の圧縮機、水冷媒熱交換器、電気式の膨張弁、空気熱交換器、およびアキュムレータである。これら冷凍サイクル機能部品は、冷媒が流通する通路により接続されている。空気熱交換器の近傍には、空気熱交換器に対して空気を送風する送風機が設けられている。
膨張弁は、水冷媒熱交換器から流出する高圧の冷媒を減圧する減圧手段であり、制御装置80によってその弁開度が電気的に制御される。空気熱交換器は、膨張弁で減圧された冷媒を送風機によって送風される室外空気との熱交換によって蒸発気化させ、圧縮機にガス冷媒を供給する。送風機は、空気熱交換器の熱交換性能を確保するように制御装置80によってその回転数が制御される。アキュムレータは、空気熱交換器から流出する冷媒を気液分離して、気相冷媒のみ圧縮機に吸引させるとともに、サイクル中の余剰冷媒を貯える。
水冷媒熱交換器は、圧縮機の吐出口より吐出された高温高圧の冷媒によって、沸上ポンプ51により圧送された給湯水または水道水を加熱する加熱用熱交換器である。水冷媒熱交換器は、冷媒を流通させる冷媒通路と給湯水を流通させる水通路とを有している。水冷媒熱交換器は、例えば、冷媒通路の形成部材と水通路の形成部材とが熱交換可能に密着するように配置された二層構造となっている。水通路の入口側には、入口配管21aを介して下方開口部10aが接続されている。また、水通路の出口側には、出口配管21bを介して、第1継手22の流入出口の1つが接続されている。第1継手22は、3つの流入出口を有する三方継手である。
第1継手22の別の流入出口には、浴槽用熱交換器30のタンク側通路30aの入口側が接続されている。第1継手22のさらに別の流入出口には、三方弁52の1つの流入出口が接続されている。三方弁52の別の流入出口には、貯湯タンク10の上方側に設けられた第1上方開口部10bが接続されている。三方弁52のさらに別の流入出口には、バイパス配管21cの出口側が接続されている。
三方弁52は、給湯水の流路を切り替える切替弁である。三方弁52は、下方開口部10aと第1継手22とをバイパス配管21cを介して連通する流路と、下方開口部10aと第1上方開口部10bとを出口配管21bを介して連通する流路とを切り替える。三方弁52は、制御装置80によって制御される。
水冷媒熱交換器によって加熱された給湯水は、第1継手22および三方弁52を介して、貯湯タンク10の第1上方開口部10bから貯湯タンク10内へ流入する。したがって、貯湯タンク10内の給湯水は、上方側から下方側へ向かって温度が徐々に低下する温度分布が生じやすい。
第2上方開口部10cは、貯湯タンク10の上部に設けられ、貯湯タンク10内の給湯水のうち上方側の高温の給湯水を流出させる流出口である。第2上方開口部10cには、第1混合弁53の一方の流入口が接続されている。
貯湯タンク10の中間部には、第1中間開口部10dが設けられている。第1中間開口部10dは、貯湯タンク10内に貯湯された給湯水のうち上下方向中間部位の中間温度の給湯水を流出させる流出口である。第1中間開口部10dには第1混合弁53の他方の流入口が接続されている。なお、中間温度の給湯水は中温水と言い換えることができる。貯湯タンク10の中間部には、さらに第2中間開口部10eが設けられている。第2中間開口部10eは、浴槽用熱交換器30のタンク側通路30aを通過した湯水が流入する開口部である。
第1混合弁53は、第2上方開口部10cから流出した給湯水と第1中間開口部10dから流出した給湯水との混合比率を調整して、下流側に流出させる給湯水の温度を調整する温度調整弁である。第1混合弁53は、例えば第2上方開口部10cからの給湯水が流れる通路の断面積と、第1中間開口部10dからの給湯水が流れる通路の断面積とを同時に変化させる弁体およびこの弁体を変位させる電動アクチュエータを有する流量調整弁で構成される。第1混合弁53は、制御装置80によって制御される。
第1混合弁53の出口側には、第2混合弁54の一方の流入口が接続されている。第2混合弁54の他方の流入口には、給水配管11が接続されている。第2混合弁54は、第1混合弁53から流出する給湯水と給水配管11から供給される水道水との混合比率を調整して、下流側に流出させる給湯水の温度を調整する温度調整弁である。第2混合弁54は、制御装置80によって制御される。
第2混合弁54の出口側には、開閉弁55を介して、浴槽側循環回路44aに配置された第2継手43のひとつの流入出口が接続されている。第2継手43は、3つの流入出口を有する三方継手である。開閉弁55は、第2混合弁54の出口側と浴槽側循環回路44aとを接続する浴槽用配管44bを開閉するものであって、制御装置80から出力される制御信号によってその作動が制御される電磁弁である。第2混合弁54から流出した給湯水は、開閉弁55、第2継手43を介して浴槽60内へ供給される。
浴槽側循環回路44aは、浴槽60内と浴槽用熱交換器30の浴槽側通路30bとの間で、浴槽60から流出した浴槽60内の湯水を循環させる水循環回路である。なお、浴槽60から流出した浴槽60内の湯水は、浴槽用湯水と言い換えることができる。浴槽側循環回路44aには、浴槽用水ポンプ57と、水位センサ73とが配置されている。浴槽用水ポンプ57は、浴槽60の上下方向中間位置に設けられた浴槽用湯吸入口から浴槽用湯水を吸入して浴槽側通路30bへ圧送する電動式の水ポンプである。浴槽用水ポンプ57は、制御装置80によって制御される。水位センサ73は、浴槽用湯吸入口近傍に設けられ、検出された水圧の変化等によって浴槽60内の湯水の量を検出するセンサである。水位センサ73は、検出した水位情報を制御装置80へと出力する。
浴槽用水ポンプ57の吐出口側には、第2継手43の別の流入出口が接続されており、第2継手43のさらに別の流入出口には、浴槽側通路30bの入口側が接続されている。浴槽側通路30bの出口側には、浴槽60の下方側に配置された浴槽用湯吐出口が接続されている。
浴槽用熱交換器30は、第1継手22から流出した給湯水を流通させるタンク側通路30aと、浴槽側循環回路44aを循環する浴槽用湯水を流通させる浴槽側通路30bとを有する。浴槽用熱交換器30は、タンク側通路30aを流通する給湯水と浴槽側通路30bを流通する浴槽用湯水とを熱交換させる熱交換器である。これにより、浴槽用熱交換器30はHP装置50によって加熱された給湯水または貯湯タンク10内の給湯水と浴槽60内の湯水とを熱交換し追い焚き運転や風呂熱回収運転等を実現する。
タンク側通路30aの出口側には、タンク側通路30aから流出した給湯水を第2中間開口部10eへ圧送する給湯水ポンプ56が配置されている。給湯水ポンプ56は、制御装置80によってその作動が制御される電動式の水ポンプである。
操作装置90は、使用者による操作が可能なスイッチ部と、運転状態が表示される表示部とを備える。操作装置90は、例えば浴室の壁に設けられるリモコンである。操作装置90は、後述の前倒し沸上運転を実行する場合に、前倒し沸上運転を実行中であることを報知する。操作装置90は、例えば表示部に前倒し沸上運転を実行中であること表示し、前倒し沸上運転の実行を視覚情報として使用者に報知する。操作装置90は、例えばスピーカから、前倒し沸上運転を実行中であることを聴覚情報として使用者に報知してもよい。
制御装置80は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータを主なハードウェア要素として備える。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能な所定のプログラムを非一時的に記憶する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。
制御装置80は、HP装置50によって湯を加熱し貯湯タンク10内に貯湯する沸き上げ運転を実行する。制御装置80は、沸き上げ運転において、HP装置50を作動させ、三方弁52を第1継手22と第1上方開口部10bとを接続するように制御する。したがって、下方開口部10aから流出した給湯水あるいは給水配管11によって供給された水道水は、沸上ポンプ51によって水冷媒熱交換器の水通路へ圧送され、高温高圧冷媒と熱交換することで加熱される。水通路から流出した高温の給湯水は、第1継手22および三方弁52を介して、第1上方開口部10bから貯湯タンク10内に流入する。沸き上げ運転は、タンク水温サーミスタ71によって検出される貯湯タンク10上部の給湯水の温度が基準沸上温度、例えば90℃、を超えるまで実行される。
制御装置80は、所定期間Taの1日目に、1日目の熱量分を沸き上げる当日沸上運転と、所定期間Taの1日目に、1日目の熱量分に加えて2日目以降の熱量分を前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転のいずれかを実行する。制御装置80は、あらかじめ設定された所定期間Taを最大の前倒し期間とし、所定期間Taの範囲内で前倒し期間を決定する。なお、制御装置80は、時刻が1日の区切り時刻に到達した時点を1日の区切りとする。1日の区切り時刻は、1日のうち最も電気料金単価が低い時間帯、例えば深夜時間帯に到達する時刻である。
第1実施形態において、制御装置80は所定期間Taを2日間として沸き上げ制御を行う。以後、第1実施形態の説明において、所定期間Taを単に「2日間」とも表記し、所定期間Taの1日目を単に「1日目」、所定期間Taの2日目を単に「2日目」とも表記する。このとき制御装置80は、1日目に1日目の熱量分を沸き上げる当日沸き上げ運転と、1日目に1日目の熱量分に加えて2日目の熱量分を前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転のどちらかを実行する。
制御装置80は、沸き上げ運転に加えて、貯湯タンク10の高温水で浴槽60内の湯を加熱する追い焚き運転、貯湯タンク10の高温水を浴槽60へと供給する足し湯運転等の、浴槽温度を上昇可能な各運転モードを実施できる。制御装置80は、浴槽60内の湯水の熱を貯湯タンク10内の湯水へと回収する風呂熱回収運転、水道水を浴槽60へと供給する差し水運転等の、浴槽温度を低減可能な運転モードを実施できる。制御装置80は、浴槽温度を設定された目標温度に維持する自動保温運転を実施できる。
制御装置80は、上述の各制御対象機器と各種センサとが接続されるインターフェイス部81(以下、I/F部81と表記する)と、各種判定処理を行う処理部82と、プログラムや検出した各種データを記憶する記憶部83と、を備える。
I/F部81には、HP装置50を構成する機器、三方弁52、浴槽用水ポンプ57、給湯水ポンプ56、第1混合弁53、第2混合弁54、開閉弁55等が接続される。I/F部81は、これらの各制御対象機器に対して出力を行う。さらにI/F部81には、水位センサ73、タンク水温サーミスタ71、浴槽用湯温センサ72、操作装置90等が接続される。I/F部81は、各種信号を制御装置80へと入力する。
記憶部83は、給湯装置1の過去の使用実績のデータを記憶する。使用実績は、例えば直近の過去1週間にわたる1日単位の使用熱量(使用湯量および湯の温度)、沸き上げ運転を行った際の運転モードおよびその消費電力量等である。記憶部83は、カレンダー情報を記憶している。記憶部83は、電力供給元との電力供給契約に基づく電気料金設定情報を記憶している。したがって記憶部83は、電気料金単価の情報を、カレンダー情報と電気料金設定情報とによって記憶している。
処理部82は、I/F部81を通して各種センサから取得した情報と、記憶部83に格納したデータとを用いて所定のプログラムにしたがった判定処理や演算処理を行う。処理部82は、当日沸上運転と前倒し沸上運転のいずれを実行するかの沸き上げ判定処理を行う。処理部82は、1日目に1日目分の熱量を沸き上げる当日沸上運転と、1日目に2日目分までの熱量を沸き上げる前倒し沸上運転とを実施する。
図2に示すように、処理部82は機能ブロックとして、料金決定部82aと、熱量予測部82bと、放熱予測部82cと、必要熱量算出部82dと、コスト算出部82eと、判定部82fと、沸上処理部82gと、報知部82hとを有する。
料金決定部82aは、記憶部83から電気料金設定情報とカレンダー情報とを取得する。料金決定部82aは、取得した情報に基づいて所定期間Taにおける各日の電気料金単価Rを決定する。具体的には、料金決定部82aは、カレンダー情報によって1日目と2日目の日付を特定する。料金決定部82aは、1日目および2日目の日付と料金設定情報によって、1日目の電気料金単価R1および2日目の電気料金単価R2を決定する。
熱量予測部82bは、記憶部83から過去の熱量使用実績を取得する。なお、過去の熱量使用実績は、過去の使用実績に含まれる。熱量予測部82bは、過去の使用実績に基づいて、所定期間Taにおける各日の予測使用熱量Qpを予測する。具体的には、熱量予測部82bは、使用実績に基づいて、1日目の予測使用熱量Qp1と、2日目の予測使用熱量Qp2を算出する。例えば、熱量予測部82bは、過去1週間において最も使用熱量が大きい日の使用熱量を各日の予測使用熱量とする。または、過去1週間分の使用熱量の1日当たりの平均熱量に偏差を足し合わせた熱量を予測使用熱量Qpとしてもよい。または、過去1週間の各曜日の使用熱量を、所定期間Taの同じ曜日の日における予測使用熱量Qp1、Qp2としてもよい。
放熱予測部82cは、所定期間Taに貯湯タンク10から放熱されると予測される予測放熱量を算出する。放熱予測部82cは、例えば、過去の沸き上げ直後の貯湯タンク10に貯熱された貯湯熱量と、沸き上げから所定時間経過後の貯湯タンク10に残った貯湯熱量との実測値を取得し、その差分から予測放熱量を算出する。または、放熱予測部82cは、あらかじめ記憶部83に記憶された、貯湯タンク10の単位熱量および単位時間当たりの放熱量を取得し、取得した放熱量と、予測使用熱量Qpと、貯湯タンク10内に予測使用熱量Qpを貯めておく時間とに基づいて予測放熱量を算出してもよい。
必要熱量算出部82dは、予測使用熱量Qpおよび予測放熱量を取得する。必要熱量算出部82dは、予測使用熱量Qpおよび予測放熱量に基づいて、所定期間Taにおいて各日ごとに沸き上げを行う場合に各日ごとに必要な各日必要熱量Qeと、前倒し沸上運転を行う場合に必要な前倒し時必要熱量Qtを算出する。以降、各日必要熱量Qeを単に必要熱量Qe、前倒し時必要熱量Qtを単に必要熱量Qtとも表記する。必要熱量算出部82dは、具体的には、予測使用熱量Qp1、Qp2および予測放熱量に基づいて、1日目に必要な必要熱量Qe1と、2日目に必要な必要熱量Qe2とを算出する。さらに必要熱量算出部82dは、予測使用熱量Qp1、Qp2と予測放熱量に基づいて、前倒し沸上運転を行う場合の必要熱量Qtを算出する。
コスト算出部82eは、電気料金単価Rと、必要熱量Qe、Qtを取得する。コスト算出部82eは、各日ごとに沸き上げを行う場合のランニングコストである第1ランニングコストCeと、前倒し沸上運転を行う場合のランニングコストである第2ランニングコストCtとを算出する。したがってコスト算出部82eは、ランニングコスト算出部である。以降、第1ランニングコストCeを単にコストCe、第2ランニングコストCtを単にコストCtとも表記する。コスト算出部82eは、具体的には、1日目に必要熱量Qe1を沸き上げた際にかかるコストと2日目に必要熱量Qe2を沸き上げた際にかかるコストと足し合わせることでコストCeを算出する。コスト算出部82eは、1日目に必要熱量Qtを沸き上げた際にかかるコストCtを算出する。コスト算出部82eは、1日の中で電気料金単価が異なる時間帯がある場合、1日の中で最も電気料金単価が低い時間帯の電気料金単価を用いてコストを算出する。
判定部82fは、コストCe、Ctを取得する。判定部82fは、前倒し沸上運転を行った場合のコストが各日に沸き上げを行った場合のコストを下回るか否かを判定する。具体的には、判定部82fは、コストCe、Ctを取得し、コストCtがコストCeを下回るか否かを判定する。
沸上処理部82gは、判定部82fの判定結果を取得する。沸上処理部82gは、1日目に当日沸上運転と前倒し沸上運転のいずれかを実行する。沸上処理部82gは、判定部82fが各日ごとに沸上運転を行った方がコストが低いと判定した場合には当日沸上運転を実行し、判定部82fが前倒し沸上運転を行った方がコストが低いと判定した場合には前倒し沸上運転を実行する。具体的には、沸上処理部82gは、判定部82fが、コストCtがコストCeを下回ると判定した場合には必要熱量Qtの沸き上げを実行する。沸上処理部82gは、判定部82fが、コストCtがコストCeよりも低くないと判定した場合には、必要熱量Qe1の沸き上げを実行する。
報知部82hは、判定部82fの判定結果を取得する。報知部82hは、判定部82fが前倒し沸上運転を実行する際に、前倒し沸上運転実行中であることを使用者に報知する。報知部82hは、例えば操作装置90によって前倒し沸上運転実行中であることを使用者に報知させる。
次に、制御装置80が実行する制御の一例について説明する。制御装置80は、1日目に前倒し沸上運転を行うか否かを判定する。前倒し沸上運転を行う場合とは、1日ごとに沸上運転を行うと、コストが高くなる場合である。このような状況は、電気料金単価が日によって異なると発生しうる。例えば平日よりも土日祝日の方が電気料金単価が高い場合、1日ごとに沸上運転を行うと、平日よりも土日祝日の方が単位熱量当たりの沸き上げコストが高くなってしまう。図3に示す制御は、上述の状況を回避するために実行される。図3に示す制御は、例えば1日目の時刻が電気料金単価の最も安い時間帯に到達すると実行される。
ステップ110では、使用実績のデータを記憶部83から取得し、ステップ120へと進む。ステップ120では、取得した使用実績データに基づいて、予測使用熱量Qp1、Qp2を算出しステップ130へと進む。ステップ110およびステップ120は熱量予測部82bに相当する。
ステップ130では、取得した使用実績データに基づいて、貯湯タンク10から放熱されると予測される予測放熱量を算出し、ステップ140へと進む。ステップ110およびステップ130は放熱予測部82cに相当する。ステップ140では、予測使用熱量Qp1、Qp2と予測放熱量に基づいて、必要熱量Qe1、Qe2、Qtを算出し、ステップ150へと進む。ステップ140は必要熱量算出部82dに相当する。
ステップ150では、記憶部83から1日目の電気料金単価R1と、2日目の電気料金単価R2とを取得し、ステップ160へと進む。ステップ150は、料金決定部82aに相当する。ステップ160では、電気料金単価R1、R2および必要熱量Qe1、Qe2、Qtから、コストCe、Ctを算出し、ステップ170へと進む。ステップ160はコスト算出部82eに相当する。
ステップ170では、コストCtがコストCeを下回るか否かを判定する。ステップ170は判定部82fに相当する。ステップ170で否と判定された場合は、ステップ180へと進む。ステップ180では、必要熱量Qe1を沸き上げる制御を行う。換言すれば、ステップ180では、当日沸き上げ運転を実行する。ステップ180の処理を実行すると、図3に示したフローチャートを終了する。ステップ170、180の処理により、各日ごとに沸上運転を実行した方が前倒し沸上運転を実行するよりもコストが抑制できる場合、当日沸上運転を実行することができる。ステップ180の処理を行いフローチャートを終了した場合、翌日に新たな2日間について、図3に示す沸き上げ判定処理を再び実行する。
ステップ170で、コストCtがコストCeを下回ると判定されると、ステップ190へと進む。ステップ190では、必要熱量Qtを沸き上げる制御を実行する。換言すれば、ステップ190では、前倒し沸き上げ運転を実行する。ステップ170、190の処理により、前倒し沸上運転を実行した方が各日ごとに沸上運転を実行するよりもコストが抑制できる場合、1日目に前倒し沸上運転を実行することができる。ステップ180およびステップ190のそれぞれは、沸上処理部82gに相当する。ステップ190の処理を実行すると、ステップ195へと進む。ステップ195では、操作装置90に前倒し沸上運転の実行中であることを報知させる。ステップ195は報知部82hに相当する。ステップ195の処理を実行した後、図3に示したフローチャートを終了する。ステップ190の処理を行いフローチャートを終了した場合、2日目の翌日に新たな2日間について図3に示す沸き上げ判定処理を再び実行する。
次に、図4から図6に示す具体例を用いて、図3の処理について説明する。図4は、1日目より2日目の電気料金単価が高い例である。図5は、1日目と2日目の電気料金単価が同じ例である。図4に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は15円/kWhである。ステップ110で使用実績のデータを取得し、ステップ120で予測使用熱量Qpを算出すると、1日目の予測使用熱量Qp1が5kWhであり、2日目の予測使用熱量Qp2が5kWhである。ステップ130で予測放熱量を算出すると、1日で1kWhあたり0.1kWhである。ステップ140で、予測使用熱量Qp1、Qp2および予測放熱量から必要熱量Qe1、Qe2,Qtを算出すると、必要熱量Qe1は5.5kWhであり、必要熱量Qe2が5.5kWhであり、必要熱量Qetが11.5kWhである。ステップ150で電気料金単価R1、R2を取得し、ステップ160で、必要熱量Qe1、Qe2、Qtおよび電気料金単価R1、R2からコストCe、Ctを算出する。コストCeは、Ce=Qe1×R1+Qe2×R2から求められ、Ceは137.5円である。コストCtは、Ct=(Qe1+Qe2)×R1から求められ、Ctは115円である。ステップ170では、コストCtが115円であり、コストCeが137.5円であるため、コストCtがコストCeを下回ると判定する。したがって図4に示す例の場合、ステップ190へ進み、前倒し沸き上げ運転を実行して熱量11.5kWh分の湯を1日目に沸き上げることになる。
図5に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は10円/kWhである。ステップ110で使用実績のデータを取得し、ステップ120で予測使用熱量Qpを算出すると、1日目の予測使用熱量Qp1が5kWhであり、2日目の予測使用熱量Qp2が5kWhである。ステップ130で予測放熱量を算出すると、1日で1kWhあたり0.1kWhである。ステップ140で、予測使用熱量Qp1、Qp2および予測放熱量から必要熱量Qe1、Qe2,Qtを算出すると、必要熱量Qe1は5.5kWhであり、必要熱量Qe2が5.5kWhであり、必要熱量Qtが11.5kWhである。ステップ150で電気料金単価R1、R2を取得し、ステップ160で、必要熱量Qe1、Qe2、Qtおよび電気料金単価R1、R2からコストCe、Ctを算出する。コストCeは、Ce=Qe1×R1+Qe2×R2から求められ、110円である。コストCtは、Ct=(Qe1+Qe2)×R1から求められ、Ctは115円である。ステップ170では、コストCtが115円であり、コストCeが110円であるため、コストCtがコストCeよりも低くないと判定する。したがってステップ190へ進み、当日沸き上げ運転を実行して熱量5.5kWh分の湯の沸き上げを開始し、ステップ195へと進む。ステップ195で前倒し沸上運転の実行中であることを報知部82hにより報知し、沸き上げ判定処理を終了する。
図6は、2日目の電気料金単価が時間帯によって異なる例である。図6に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は0時から2時の間は8円kWhであり、2時から23時59分までの間は20円/kWhである。ステップ110で使用実績のデータを取得し、ステップ120で予測使用熱量Qpを算出すると、1日目の予測使用熱量Qp1が5kWhであり、2日目の予測使用熱量Qp2が10kWhである。ステップ130で予測放熱量を算出すると、1日で1kWhあたり0.1kWhである。ステップ140で、予測使用熱量Qp1、Qp2および予測放熱量から必要熱量Qe1、Qe2,Qtを算出すると、必要熱量Qe1が5.5kWhであり、必要熱量Qe2が11kWhであり、必要熱量Qtが17.5kWhである。ステップ150で電気料金単価R1、R2を取得し、ステップ160で、必要熱量Q1、Q2、Qtおよび電気料金単価R1、R2からコストCe、Ctを算出する。0時から2時の間の電気料金単価をR2a、2時から23時59分の間の電気料金単価をR2bと表記すると、R2aがR2bを下回る。このため、コストCeを算出する際は、2日目には電気料金単価の最も低い時間帯である0時から2時の間に必要熱量分の沸き上げを行い、0時から2時の間に沸き上げられなかった残りの熱量分を2時から23時59分の間に沸き上げるとして算出する。例えば、給湯装置1は1時間当たり1kWhの沸き上げが可能であるとすると、0時から2時の間には2kWhの沸き上げを行い、2時から23時59分の間には残りの9kWhの沸き上げを行う。0時から2時の間の沸上熱量をQe2a、2時から23時59分の間の沸上熱量をQe2bと表記すると、コストCeは、Ce=Qe1×R1+Qe2a×R2a+Qe2b×R2bから求められ、251円である。コストCtは、Ct=(Qe1+Qe2)×R1から求められ、175円である。ステップ170では、コストCtが175円であり、コストCeが251円であるため、コストCtがコストCeを下回ると判定する。したがってステップ190へ進み、前倒し沸き上げ運転を実行して熱量17.5kWh分の湯の沸き上げを開始し、ステップ195へと進む。ステップ195で前倒し沸上運転の実行中であることを報知部82hにより報知し、沸き上げ判定処理を終了する。
次に、第1実施形態の給湯装置1がもたらす作用効果について説明する。第1実施形態の給湯装置1は、湯を沸き上げるHP装置50と、湯を貯湯する貯湯タンク10と、HP装置50を制御する制御装置80と、を備える。制御装置80は、2日間の各日ごとに沸き上げを実行する際に必要な各日必要熱量Qeと、1日目に、2日目に必要な熱量を前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転を実行する際に必要な前倒し時必要熱量Qtと、を算出する必要熱量算出部82dとを有する。制御装置80は、2日間の各日に各日必要熱量Qeを沸き上げる際にかかる第1ランニングコストと1日目に前倒し時必要熱量Qtを沸き上げる際にかかる第2ランニングコストとを算出するコスト算出部82eを有する。制御装置80は、第1ランニングコストが第2ランニングコストを下回るか否かを判定する判定部82fを有する。制御装置80は、判定部82fが、第1ランニングコストが第2ランニングコストを下回ると判定した場合に、前倒し沸上運転を実行する沸上処理部82gを有する。
これによれば、第1実施形態の給湯装置1は、2日間の各日ごとに必要熱量Qeを沸き上げると、前倒し沸上運転を行う場合よりもランニングコストが高くなる場合に、前倒し沸上運転を実行することができる。したがって、1日目よりも電気料金単価が高い日に沸き上げを行うことを回避可能となるので、各日ごとに沸上運転を行う場合に比べて沸き上げコストを抑制することが可能となる。これにより、日によって電気料金単価が異なる場合に、沸き上げコストを抑制することが可能となる。
第1実施形態の給湯装置1が有する制御装置80は、過去の熱量使用実績に基づいて2日間の各日ごとに使用されると予測される予測使用熱量Qpを算出する熱量予測部82bを有する。制御装置80は、貯湯タンク10から放熱されると予測される予測放熱量を算出する放熱予測部82cを有する。必要熱量算出部82dは、予測使用熱量Qpおよび予測放熱量に基づいて、各日必要熱量Qeと前倒し時必要熱量Qtとを算出する。
これによれば、各日必要熱量Qeと前倒し時必要熱量Qtとを、給湯装置1の過去の使用実績から算出することができる。したがって、使用者の使用実態に適合した必要熱量Qe、Qtを算出することができ、熱量の無駄を抑制することができる。
第1実施形態の給湯装置1は、カレンダー情報および電気料金設定情報を記憶する記憶部83を有する。これによれば、給湯装置1にカレンダー情報および電気料金設定情報を記憶することができる。したがって、外部から情報を取得することなく沸き上げ判定処理を行うことができるため、外部との通信等の状況に依存することなくカレンダー情報および電気料金設定情報を取得することができる。
第1実施形態の給湯装置1のコスト算出部82eは、各日の電気料金単価が最も低い時間帯に必要熱量Qeを沸き上げる際にかかるコストCeと、1日目の電気料金単価が最も低い時間帯に必要熱量Qtを沸き上げる際にかかるコストCtと、を算出する。沸上処理部82gは、1日目の電気料金単価が最も低い時間帯に前倒し沸上運転を実行する。これによれば、沸上運転を1日の中で最も電気料金単価が低い時間帯に実行することができるため、沸き上げ時のコストを抑制することが可能となる。
第1実施形態の給湯装置1は、前倒し沸上運転を実行する際に、前倒し沸上運転の実行を報知する報知部82hを有する。これによれば、前倒し沸上運転を実行する際に、前倒し沸上運転の実行を使用者に報知することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、上述の実施形態の変形例について説明する。図7において上述の実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、上述の実施形態の説明を参照することができる。第2実施形態は、所定期間Taを3日間とする点が第1実施形態と相違する。
第2実施形態において、制御装置80は所定期間Taを3日間として沸き上げ制御を行う。以後、第2実施形態の説明において、所定期間Taを単に「3日間」とも表記し、所定期間Taの1日目を単に「1日目」、所定期間Taの2日目を単に「2日目」、所定期間Taの3日目を単に「3日目」とも表記する。制御装置80は、1日目に1日目の熱量分を沸き上げる当日沸き上げ運転を実行する。制御装置80は、1日目に1日目の熱量分に加えて2日目までの熱量分を前倒しして沸き上げる2日間分の前倒し沸上運転と、1日目に1日目の熱量分に加えて3日目までの熱量分を前倒しして沸き上げる3日間分の前倒し沸上運転とを実行する。制御装置80は、当日沸き上げ運転と、2日間分の前倒し沸上運転と、3日間分の前倒し沸上運転とのいずれかを選択して実行する。
料金決定部82aは、電気料金単価R1、R2に加えて、3日目の電気料金単価R3を決定する。熱量予測部82bは、予測使用熱量Qp1、Qp2に加えて、3日目に使用されると予測される予測使用熱量Qp3を算出する。必要熱量算出部82dは、予測使用熱量Qp1、Qp2、Qp3および予測放熱量に基づいて、必要熱量Qe1、Qe2に加えて、3日目の必要熱量Qe3を算出する。必要熱量算出部82dは、予測使用熱量Qp1、Qp2、Qp3と予測放熱量に基づいて、2日間分の前倒し沸上運転を行う際の前倒し時必要熱量Qt2と、3日間分の前倒し沸上運転を行う際の前倒し時必要熱量Qt3とを算出する。
コスト算出部82eは、各日ごとに沸き上げを行った場合のコストCeを算出する。コスト算出部82eは、1日目に必要熱量Qt2を沸き上げ、3日目に必要熱量Qe3を沸き上げた際にかかるコストCt2を算出する。換言すれば、コスト算出部82eは、1日目に2日間分の前倒し沸上運転を実行し、3日目に当日沸上運転を実行した際のコストCt2を算出する。コスト算出部82eは、1日目に必要熱量Qt3を沸き上げた際にかかるコストCt3を算出する。換言すれば、コスト算出部82eは、1日目に3日間分の前倒し沸上運転を実行した際のコストCt3を算出する。コスト算出部82eは、1日の中で電気料金単価が異なる時間帯がある場合、1日の中で最も電気料金単価が低い時間帯の電気料金単価を用いてコストを算出する。
判定部82fは、コストCeと、コストCt2と、コストCt3のうち、いずれが最も低いコストであるかを判定する。換言すれば、判定部82fは、各日ごとに沸き上げ運転を行った場合のコスト、2日間分の前倒し沸上運転を実行した後に3日目に当日沸上運転を行った場合のコスト、および3日間分の前倒し沸上運転を行った場合のコストのいずれが最も低いかを判定する。
沸上処理部82gは、1日目に当日沸上運転と2日間分の前倒し沸上運転と3日間分の前倒し沸上運転とのうちいずれかを実行する。沸上処理部82gは、判定部82fが、3日間分の前倒し沸上運転を実行した場合のコストが最も低いと判定した場合には3日間分の前倒し沸上運転を実行する。沸上処理部82gは、判定部82fが、2日間分の前倒し沸上運転を行った後に3日目に当日沸上運転を行った場合のコストが最も低いと判定した場合には、2日前倒し沸上運転を実行する。判定部82fが、各日ごとに沸き上げ運転を行った場合のコストが最も低いと判定した場合には、1日目に当日沸き上げ運転を実行する。
次に、図7において第2実施形態の処理部82が実行する制御の一例を説明する。ステップ120bでは、使用実績データに基づいて、予測使用熱量Qp1、Qp2、Qp3を算出し、ステップ130へと進む。ステップ130では、予測放熱量を算出し、ステップ140bへと進む。ステップ140bでは、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qt2、Qt3を算出し、ステップ150bへと進む。ステップ150bでは、電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ160bへと進む。ステップ160bでは、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qt2、Qt3と、電気料金単価R1、R2、R3に基づいて、コストCe、Ct2、Ct3を算出し、ステップ170bへと進む。
ステップ170bでは、コストCeと、コストCt2と、コストCt3とのうち、コストCeが最小であるか否かを判定する。ステップ171で最小であると判定された場合は、1日目に当日沸上運転を行う場合が最も低コストであるので、ステップ180bへと進む。ステップ180bでは、当日沸上運転を実行し必要熱量Qe1を沸き上げて図7のフローチャートを終了する。当日沸上運転を実行した場合は、翌日に新たな3日間について、再び図7に示す沸き上げ判定処理を行う。
ステップ170bで否と判定された場合は、ステップ171bへと進む。ステップ171bでは、コストCt2が最小であるか否かを判定する。ステップ171bで最小であると判定された場合は、2日間分の前倒し沸上運転を行う場合が最も低コストであるので、ステップ190bへと進む。ステップ190bでは、2日間分の前倒し沸上運転を開始しステップ195へと進む。ステップ195では、2日間分の前倒し沸上運転を実行中であることを報知部82hにより報知し、図7のフローチャートを終了する。2日間分の前倒し沸上運転を行った場合は、3日目、すなわち2日後に新たな3日間について再び図7に示す沸き上げ判定処理を行う。
ステップ171bで否と判定された場合には、コストCt3が最小のコストであるので、ステップ191bへと進む。ステップ191bでは、3日間分の前倒し沸上運転を開始し、ステップ195へと進む。ステップ195で、報知部82hにより3日間分の前倒し沸上運転を実行中であることを報知し、図7のフローチャートを終了する。3日間分の前倒し沸上運転を行った場合は、3日目の翌日、すなわち3日後に新たな3日間について再び図7に示す沸き上げ判定処理を行う。
次に、図8から図10に示す具体例を用いて図7の処理を説明する。図9は、2日目と3日目の電気料金単価が1日目を下回る例である。図8は、2日目と3日目の電気料金単価が1日目よりも高い例である。図10は、2日目の電気料金単価が1日目を上回り、3日目の電気料金単価が1日目を下回る例である。
図8に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は15円/kWhであり、3日目の電気料金単価R3は15円/kWhである。ステップ110で使用実績のデータを取得し、ステップ120bで予測使用熱量Qpを算出すると、1日目の予測使用熱量Qp1が5kWh、2日目の予測使用熱量Qp2が5kWh、3日目の予測使用熱量Qp3が5kWhである。ステップ130で予測放熱量を算出すると、1日で1kWhあたり0.1kWhである。ステップ140bで、予測使用熱量Qp1、Qp2、Qp3および予測放熱量から必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qt2、Qt3を算出すると、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3が5.5kWh、必要熱量Qt2が11.5kWh、必要熱量Qt3が18kWhである。ステップ150bで電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ160bで、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qet2、Qte3および電気料金単価R1、R2、R3からコストCe、Ct2、Ct3を算出する。コストCeは、Ce=Qe1×R1+Qe2×R2+Qe3×R3から求められ、220円である。コストCt2は、Ct2=(Qe1+Qe2)×R1+Qe3×R3から求められ、197.5円である。コストCt3は、Ct3=(Qe1+Qe2+Qe3)×R1から求められ、180円である。したがって、ステップ170bでは、コストCeが最小でないと判定するので、ステップ172へと進む。ステップ171bでは、コストCt2が最小ではないと判定するので、ステップ191bへと進む。ステップ191bで、3日間分の前倒し沸上運転を実行して熱量18kWh分の湯を沸き上げ、ステップ195へと進む。ステップ195で3日間分の前倒し沸上運転の実行中であることを報知部82hにより報知し、沸き上げ判定処理を終了する。
図9に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は8円/kWhであり、3日目の電気料金単価R3は8円/kWhである。ステップ110で使用実績のデータを取得し、ステップ120bで予測使用熱量Qpを算出すると、1日目の予測使用熱量Qp1が5kWh、2日目の予測使用熱量Qp2が5kWh、3日目の予測使用熱量Qp3が5kWhである。ステップ130で予測放熱量を算出すると、1日で1kWhあたり0.1kWhである。ステップ140bで、予測使用熱量Qp1、Qp2、Qp3および予測放熱量から必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qt2、Qt3を算出すると、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3が5.5kWh、必要熱量Qt2が11.5kWh、必要熱量Qt3が18kWhである。ステップ150bで電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ160bで、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qet2、Qte3および電気料金単価R1、R2、R3からコストCe、Ct2、Ct3を算出する。コストCeは、Ce=Qe1×R1+Qe2×R2+Qe3×R3から求められ、143円である。コストCt2は、Ct2=(Qe1+Qe2)×R1+Qe3×R3から求められ、159円である。コストCt3は、Ct3=(Qe1+Qe2+Qe3)×R1から求められ、180円である。したがって、ステップ170bでは、コストCeが最小であると判定するので、ステップ180bへと進む。ステップ180bでは、当日沸上運転を実行して熱量5.5kWh分の湯を1日目に沸き上げ、沸き上げ判定処理を終了する。
図10に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は15円/kWhであり、3日目の電気料金単価R3は7円/kWhである。ステップ110で使用実績のデータを取得し、ステップ120bで予測使用熱量Qpを算出すると、1日目の予測使用熱量Qp1が5kWh、2日目の予測使用熱量Qp2が5kWh、3日目の予測使用熱量Qp3が5kWhである。ステップ130で予測放熱量を算出すると、1日で1kWhあたり0.1kWhである。ステップ140bで、予測使用熱量Qp1、Qp2、Qp3および予測放熱量から必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qt2、Qt3を算出すると、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3が5.5kWh、必要熱量Qt2が11.5kWh、必要熱量Qt3が18kWhである。ステップ150bで電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ160bで、必要熱量Qe1、Qe2、Qe3、Qt2、Qt3および電気料金単価R1、R2、R3からコストCe、Ct2、Ct3を算出する。コストCeは、Ce=Qe1×R1+Qe2×R2+Qe3×R3から求められ、176円である。コストCt2は、Ct2=(Qe1+Qe2)×R1+Qe3×R3から求められ、153.5円である。コストCt3は、Ct3=(Qe1+Qe2+Qe3)×R1から求められ、180円である。したがって、ステップ170bでは、コストCeが最小でないと判定するので、ステップ172へと進む。ステップ171bでは、コストCt2が最小であると判定するので、ステップ190bへと進む。ステップ190bで、2日間分の前倒し沸上運転を実行して熱量11.5kWh分の湯を沸き上げ、ステップ195へと進む。ステップ195で2日間分の前倒し沸上運転の実行中であることを報知部82hにより報知し、沸き上げ判定処理を終了する。
次に、第2実施形態の給湯装置1がもたらす効果について説明する。第2実施形態の給湯装置1は、湯を沸き上げるHP装置50と、湯を貯湯する貯湯タンク10と、HP装置50を制御する制御装置80と、を備える。制御装置80は、3日間の各日ごとに沸き上げを実行する際に必要な各日必要熱量Qeと、1日目に、2日目以降に必要な熱量を前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転を実行する際に必要な前倒し時必要熱量Qtと、を算出する必要熱量算出部82dとを有する。制御装置80は、3日間の各日に各日必要熱量Qeを沸き上げる際にかかる第1ランニングコストと1日目に前倒し時必要熱量Qtを沸き上げる際にかかる第2ランニングコストとを算出するコスト算出部82eを有する。制御装置80は、第1ランニングコストが第2ランニングコストを下回るか否かを判定する判定部82fを有する。制御装置80は、判定部82fが、第1ランニングコストが第2ランニングコストを下回ると判定した場合に、前倒し沸上運転を実行する沸上処理部82gを有する。
これによれば、第2実施形態の給湯装置1は、3日間の各日ごとに必要熱量Qeを沸き上げると、前倒し沸上運転を行う場合よりもランニングコストが高くなる場合に、前倒し沸上運転を実行することができる。したがって、1日目よりも電気料金単価が高い日に沸き上げを行うことを回避可能となるので、各日ごとに沸上運転を行う場合に比べて沸き上げコストを抑制することが可能となる。これにより、日によって電気料金単価が異なる場合に、沸き上げコストを抑制することが可能となる。さらに第2実施形態の給湯装置1は、2日目までの熱量分を前倒しした場合と、3日目までの熱量分を前倒しした場合のどちらがより低コストかを判定し、より低コストである前倒し日数分だけ前倒し沸上運転を行うことができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、上述の実施形態の変形例について説明する。第3実施形態は、前倒し沸上運転を行うか否かを、1日目よりも電気料金単価の高い日があるか否かで判定する点が上述の実施形態と相違する。
第3実施形態において、制御装置80は所定期間Taを2日間として沸き上げ制御を行う。以後、第3実施形態の説明において、所定期間Taを単に「2日間」とも表記し、所定期間Taの1日目を単に「1日目」、所定期間Taの2日目を単に「2日目」とも表記する。このとき制御装置80は、1日目に1日目の熱量分を沸き上げる当日沸き上げ運転と、1日目に1日目の熱量分に加えて2日目の熱量分を前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転のどちらかを実行する。
図11に示すように、処理部382は機能ブロックとして、料金決定部382aと、判定部382fと、沸上処理部382gと、報知部382hとを有する。処理部382は、第1実施形態における処理部82に対応する。料金決定部382aは、第1実施形態における料金決定部82aに対応する。判定部382fは、電気料金単価Rのデータを取得する。判定部382fは、所定期間Taにおいて電気料金単価が沸き上げ判定処理日よりも高い日が含まれるか否かを判定する。具体的には、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回るか否かを判定する。判定部382fは、1日の中で電気料金単価が異なる時間帯がある場合、1日の中で最も電気料金単価が低い時間帯の電気料金単価を用いて判定を行う。沸上処理部382gは、判定部382fが、所定期間Taにおいて電気料金単価が1日目の電気料金単価よりも高い日が含まれると判定した場合には前倒し沸上運転を実行する。具体的には、判定部382fが、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回ると判定すると前倒し沸き上げ運転を実行する。沸上処理部382gは、判定部382fが、電気料金単価R1が電気料金単価R2よりも低くないと判定すると、当日沸き上げ運転を実行する。報知部382hは、第1実施形態における報知部82hに対応する。
次に、図12において第3実施形態の処理部382が実行する制御の一例について説明する。ステップ310では、電気料金単価R1、R2を取得し、ステップ320へと進む。ステップ320では、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回るか否かを判定する。ステップ320で否と判定されると、ステップ330へと進む。ステップ330では、1日目に当日沸き上げ運転を実行し、フローチャートを終了する。
ステップ320で電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回ると判定された場合は、ステップ340へと進む。ステップ340では、前倒し沸き上げ運転を実行し、本フローチャートを終了する。
次に、図13および図14の具体例を用いて、図12の処理を説明する。図13は、2日目の電気料金単価が1日目よりも高い例である。図14は、2日目の電気料金単価が1日目と同じ例である。図13に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は15円/kWhである。ステップ310で電気料金単価R1、R2を取得し、ステップ320へと進む。ステップ320では、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回るので、ステップ340へと進む。ステップ340で、前倒し沸き上げ運転を実行し、ステップ345へと進む。ステップ345で前倒し沸上運転の実行中であることを報知部382hにより報知し、沸き上げ判定処理を終了する。
図14に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は10円/kWhである。ステップ350で電気料金単価R1、R2を取得し、ステップ370へと進む。ステップ370では、電気料金単価R1が電気料金単価R2よりも低くないので、ステップ380へと進む。ステップ380で、当日沸き上げ運転を実行し、沸き上げ判定処理を終了する。
次に第3実施形態の給湯装置1がもたらす作用効果について説明する。第3実施形態の給湯装置1は、湯を沸き上げる沸き上げ装置50と、湯を貯湯する貯湯タンク10と、沸き上げ装置を制御する制御装置80と、を備える。制御装置80は、2日目に、1日目よりも電気料金単価の高い日があるか否かを判定する判定部382fを有する。制御装置80は、判定部382fが、2日目に1日目よりも電気料金単価の高い日があると判定した場合に、2日目に必要な熱量を、1日目に前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転を実行する沸上処理部382gを有する。
これによれば、第3実施形態の給湯装置1は、2日目に1日目よりも電気料金単価の高い日が含まれる場合に前倒し沸上運転を実行することができる。したがって、電気料金単価が高い日に沸き上げを行うことを回避可能となるので、各日ごとに沸上運転を実行する場合に比べて、沸き上げコストを抑制することが可能となる。したがって、日によって電気料金単価が異なる場合でも、沸き上げコストを抑制することが可能となる。第3実施形態の給湯装置1は、特に所定期間Taが2日間のときにコストを抑制することができる。第3実施形態の給湯装置1は、電気料金単価のみで沸き上げ判定処理を行うため、より簡易な制御を行うことが可能となる。
第3実施形態の給湯装置1が有する判定部382fは、各日において電気料金単価が最も低い時間帯の電気料金単価を採用し、2日目以降に、1日目よりも電気料金単価が高い日があるか否かを判定する。沸上処理部382gは、判定部382fが、2日目以降に、1日目よりも電気料金単価が高い日があると判定した場合には、電気料金単価が最も低い時間帯に前倒し沸上運転を実行する。これによれば、前倒し沸上運転を1日の中で最も電気料金単価が低い時間帯に実行することができるため、前倒し沸上運転時のコストを抑制することが可能となる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、上述の実施形態の変形例について説明する。図15において上述の実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、第3実施形態の説明を参照することができる。第4実施形態は、所定期間Taを3日間とする点が上述の実施形態と相違する。
第4実施形態において、制御装置80は所定期間Taを3日間として沸き上げ制御を行う。以後、第4実施形態の説明において、所定期間Taを単に「3日間」とも表記し、所定期間Taの1日目を単に「1日目」、所定期間Taの2日目を単に「2日目」、所定期間Taの3日目を単に「3日目」とも表記する。第4実施形態の制御装置80は、1日目に1日目の熱量分を沸き上げる当日沸き上げ運転を実行する。制御装置80は、1日目に1日目の熱量分に加えて2日目までの熱量分を前倒しして沸き上げる2日間分の前倒し沸上運転と、1日目に1日目の熱量分に加えて3日目までの熱量分を前倒しして沸き上げる3日間分の前倒し沸上運転とを実行する。制御装置80は、当日沸き上げ運転と、2日間分の前倒し沸上運転と、3日間分の前倒し沸上運転とのいずれかを実行する。
第4実施形態の処理部382は機能ブロックとして、料金決定部382aと、判定部382fと、沸上処理部382gと、報知部382hとを有する。処理部382は、第1実施形態における処理部82に対応する。判定部382fは、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回るか否かを判定する。さらに判定部382fは、電気料金単価R1が電気料金単価R3を下回るか否かを判定する。沸上処理部382gは、判定部382fが、所定期間Taにおいて電気料金単価が1日目よりも高い日が含まれると判定した場合には前倒し沸上運転を実行する。具体的には、判定部382fが、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回ると判定すると前倒し沸上運転を実行する。沸上処理部382gは、判定部382fが、電気料金単価R1が電気料金単価R2よりも低くないと判定すると、当日沸き上げ運転を実行する。
次に、図15において第4実施形態の処理部382が実行する制御の一例について説明する。ステップ310bでは、電気料金単価R1、R2を取得し、ステップ320へと進む。ステップ320で、電気料金単価R1が電気料金単価R2よりも低くないと判定されると、ステップ330の処理を行い、フローチャートを終了する。ステップ320で電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回ると判定された場合は、ステップ321へと進む。
ステップ321では、電気料金単価R1が電気料金単価R3を下回るか否かを判定する。ステップ321で否と判定されると、ステップ340aへと進む。ステップ340aでは、2日間分の前倒し沸き上げ運転を実行し、ステップ345aへと進む。ステップ345aでは、2日間分の前倒し沸上運転を実行中であることを報知部により報知し、図15に示したフローチャートを終了する。
ステップ321で電気料金単価R1が電気料金単価R3を下回ると判定されると、ステップ340bへと進む。ステップ340bでは、3日間分の前倒し沸き上げ運転を実行し、ステップ345bへと進む。ステップ345bでは、3日間分の前倒し沸上運転を実行中であることを報知部により報知し、フローチャートを終了する。
次に、図16から図19に示す具体例を用いて図15の処理について説明する。図16は、2日目と3日目の電気料金単価が1日目よりも高い例である。図17は、2日目の電気料金単価が1日目よりも高く、3日目の電気料金単価が1日目と同じ例である。図18は、2日目の電気料金単価が1日目よりも低く、3日目の電気料金単価が1日目よりも高い例である。図19は、2日目の電気料金単価が1日目よりも高く、3日目の電気料金単価が1日目を下回る例である。
図16に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は15円/kWhであり、3日目の電気料金単価R3は15円/kWhである。ステップ310bで電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ320へと進む。ステップ320では、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回ると判定されるので、ステップ321へと進む。ステップ321では、電気料金単価R1が電気料金単価R3を下回ると判定されるので、ステップ340bへと進む。ステップ340bでは、3日間分の前倒し沸き上げ運転を実行し、ステップ345bへと進む。ステップ345bで、3日間分の前倒し沸き上げ運転を実行中であることを報知部382hにより報知した後、沸き上げ判定処理を終了する。
図17に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は15円/kWhであり、3日目の電気料金単価R3は10円/kWhである。ステップ310bで電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ320へと進む。ステップ320では、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回ると判定されるので、ステップ321へと進む。ステップ321では、電気料金単価R1が電気料金単価R3よりも低くないと判定されるので、ステップ340aへと進む。ステップ340aでは、2日間分の前倒し沸き上げ運転を実行し、ステップ345aへと進む。ステップ345aで、2日間分の前倒し沸き上げ運転を実行中であることを報知部382hにより報知した後、沸き上げ判定処理を終了する。
図18に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は8円/kWhであり、3日目の電気料金単価R3は20円/kWhである。ステップ310bで電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ320へと進む。ステップ320では、電気料金単価R1が電気料金単価R2よりも低くないと判定されるので、ステップ330へと進む。ステップ330で、当日沸上運転を実行した後、沸き上げ判定処理を終了する。
図19に示す例では、1日目の電気料金単価R1は10円/kWhであり、2日目の電気料金単価R2は15円/kWhであり、3日目の電気料金単価R3は7円/kWhである。ステップ310bで電気料金単価R1、R2、R3を取得し、ステップ320へと進む。ステップ320では、電気料金単価R1が電気料金単価R2を下回ると判定されるので、ステップ321へと進む。ステップ321では、電気料金単価R1が電気料金単価R3よりも低くないと判定されるので、ステップ340aへと進む。ステップ340aでは、2日間分の前倒し沸き上げ運転を実行し、ステップ345aへと進む。ステップ345aで、2日間分の前倒し沸き上げ運転を実行中であることを報知部382hにより報知した後、沸き上げ判定処理を終了する。
次に第4実施形態の給湯装置1がもたらす効果について説明する。第4実施形態の給湯装置1は、湯を沸き上げる沸き上げ装置50と、湯を貯湯する貯湯タンク10と、沸き上げ装置を制御する制御装置80と、を備える。制御装置80は、2日目以降に、1日目よりも電気料金単価の高い日があるか否かを判定する判定部382fを有する。制御装置80は、判定部382fが、2日目以降に1日目よりも電気料金単価の高い日があると判定した場合に、2日目以降に必要な熱量を、1日目に前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転を実行する沸上処理部382gを有する。
これによれば、第4実施形態の給湯装置1は、2日目以降に1日目より電気料金単価の高い日が含まれる場合に前倒し沸上運転を実行することができる。したがって、電気料金単価の高い日に沸き上げを行うことを回避可能となるので、各日ごとに沸上運転を実行する場合に比べて、沸き上げコストを抑制することが可能となる。したがって、日によって電気料金単価が異なる場合に、沸き上げコストを抑制することが可能となる。さらに第4実施形態の給湯装置1は、1日目の電気料金単価が、2日目の電気料金単価を下回りかつ3日目の電気料金単価を下回らない場合には、2日目までの熱量分を前倒しし、1日目の電気料金単価が2日目および3日目の電気料金単価を下回る場合には、3日目までの熱量分を前倒しする。したがって、1日目より電気料金単価が高い日が連続した場合に、連続した日数分の前倒し沸上運転を行うことが可能となる。これにより、よりコストの低い前倒し期間の前倒し沸上運転を実行することができる。第4実施形態の給湯装置1は、電気料金単価のみで沸き上げ判定処理を行うため、より簡易な制御を行うことが可能となる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、上述の実施形態の変形例について説明する。第5実施形態は、所定期間Taをあらかじめ設定せず、貯湯タンク10に貯熱可能な熱量に応じて前倒し期間を決定する点が上述の実施形態と相違する。
図20に示すように、第5実施形態の処理部582は機能ブロックとして、期間決定部582bと、料金決定部582aと、コスト算出部582eと、判定部582fと、沸上処理部582gと、報知部582hとを有する。処理部582は、第1実施形態における処理部82に対応する。報知部582hは、第1実施形態における報知部82hに対応する。
期間決定部582bは、過去1週間の使用実績を取得する。期間決定部582bは、過去1週間の使用実績と貯湯タンク10の容量に基づいて、貯湯タンク10に貯めることのできる最大の熱量を沸き上げた際に前倒しすることが可能な前倒し期間Tcを算出する。以後、前倒し期間Tcを単に期間Tcとも表記する。例えば期間決定部582bは、過去1週間の使用実績から、前倒し沸上運転を実行する場合の必要熱量を、前倒し日数を1日ごとに増やしたそれぞれの場合について算出し、貯湯タンク10に貯めることのできる最大の必要熱量に対応する前倒し日数を期間Tcとする。なお、放熱や追い焚き等による湯切れを考慮して、期間Tcの上限があらかじめ設定されていてもよい。
料金決定部582aは、電気料金設定情報と、カレンダー情報、期間Tcの情報とを取得する。料金決定部582aは、カレンダー情報に基づいて期間Tcの各日の日付を特定し、電気料金設定情報に基づいて各日の電気料金単価を決定する。
コスト算出部582eは、各日の電気料金単価と必要熱量を取得する。コスト算出部582eは、期間Tcにおいて各日ごとに沸上運転を行った場合のコストCeと、期間Tcの1日目に期間Tc分の前倒し沸上運転を行った場合のコストCtとを算出する。コスト算出部582eは、1日の中で電気料金単価が異なる時間帯がある場合、1日の中で最も電気料金単価が低い時間帯の電気料金単価を用いてコストを算出する。
判定部582fは、コストCtがコストCeを下回るか否かを判定する。換言すれば、判定部582fは、前倒し沸上運転を行った場合と各日ごとに沸上運転を行った場合のどちらが低コストであるかを判定する。
沸上処理部582gは、期間Tcにおいて前倒し沸上運転と各日ごとの沸上運転のいずれかを実行する。沸上処理部582gは、判定部582fが、コストCtがコストCeを下回ると判定した場合には、前倒し沸上運転を実行する。沸上処理部582gは、判定部582fが、コストCtがコストCeよりも低くないと判定した場合には、各日ごとに沸上運転を実行する。換言すれば、沸上処理部582gは、前倒し沸上運転の方がコストが低い場合には前倒し沸上運転を実行し、各日ごとに沸上運転を行った方がコストが低い場合には、各日ごとに沸上運転を実行する。
次に、図21を参照して第5実施形態の処理部582が実行する制御の一例について説明する。ステップ510では、使用実績を取得し、ステップ515へと進む。ステップ515では、取得した使用実績に基づいて期間Tcを算出する。ステップ510およびステップ515は、期間決定部582bに相当する。ステップ515で期間Tcを算出すると、ステップ520へと進む。
ステップ520では、期間Tcが2日間を下回るか否かを判定する。換言すると、ステップ520では、前倒し沸き上げ運転が可能か否かを判定する。ステップ520で、期間Tcが2日間を下回ると判定された場合は、前倒し沸き上げ運転ができないので、ステップ530へと進む。ステップ530では、1日目分の必要熱量を沸き上げ、フローチャートを終了する。このとき、次回の沸き上げ判定処理は翌日に行われる。ステップ302、ステップ303の処理により、前倒し沸き上げ運転が不可能である場合に、1日目分の必要熱量を沸き上げることができる。
ステップ520で、前倒し沸き上げ運転が可能であると判定した場合には、ステップ540へと進む。ステップ540では、期間Tcにおける各日の電気料金単価を取得し、ステップ545へと進む。ステップ540は、料金決定部582aへと進む。ステップ545では、コストCtおよびコストCeを算出し、ステップ550へと進む。ステップ540は、コスト算出部582eに相当する。ステップ550では、コストCtがコストCeを下回るか否かを判定する。ステップ550で否と判定された場合は、ステップ560へと進む。ステップ560では、各日沸き上げ運転を実行し本フローチャートを終了する。このとき、次回の沸き上げ判定処理は、期間Tcの最終日の翌日に行われる。
ステップ550で、コストCtがコストCeを下回ると判定された場合は、ステップ570へと進む。ステップ570では、前倒し沸上運転を実行しステップ575へと進む。ステップ575では、前倒し沸上運転中であることを報知部により報知し、フローチャートを終了する。このとき、次回の沸き上げ判定処理は、沸上可能期間Tcの最終日の翌日に行われる。
次に、第5実施形態の給湯装置1がもたらす効果について説明する。第5実施形態の給湯装置1は、湯を沸き上げるHP装置50と、湯を貯湯する貯湯タンク10と、HP装置50を制御する制御装置80と、を備える。制御装置80は、過去の熱量使用実績と貯湯タンク10に貯熱可能な熱量とに基づいて、1日分の熱量に加えて1日分の熱量を使用する日の翌日以降に使用する熱量を前倒しして沸き上げる前倒し沸上運転を実行する場合に、前倒し可能な日数である前倒し期間Tcを決定する期間決定部582bを有する。制御装置80は、ランニングコスト算出部582eを有する。ランニングコスト算出部582eは、前倒し期間において各日ごとに必要な熱量を沸き上げた場合にかかる第1ランニングコストと、前倒し期間の1日目に、前倒し期間の2日目以降に必要な熱量を前倒しして沸き上げた場合にかかる第2ランニングコストとを算出する。制御装置80は、第2ランニングコストが、第1ランニングコストを下回るか否かを判定する判定部582fを有する。制御装置80は、判定部582fが、第2ランニングコストが第1ランニングコストを下回ると判定した場合には、前倒し沸上運転を実行する沸上処理部582gを有する。
これによれば、第5実施形態の給湯装置1は、前倒し期間Tcの各日ごとに必要熱量Qeを沸き上げると、前倒し沸上運転を行う場合よりもランニングコストが高くなる場合に、前倒し沸上運転を実行することができる。したがって、前倒し期間Tcの1日目よりも電気料金単価が高い日に沸き上げを行うことを回避可能となるので、各日ごとに沸上運転を行う場合に比べて沸き上げコストを抑制することが可能となる。これにより、日によって電気料金単価が異なる場合に、沸き上げコストを抑制することが可能となる。したがって、日によって電気料金単価が異なる場合に、沸き上げコストを抑制することが可能となる。第5実施形態の給湯装置1は、前倒し期間Tcを過去の使用実績と貯湯タンク10の容量から決定するので、使用者が使用する熱量に合わせた前倒し期間を設定することができる。例えば季節の変化によって使用者が使用する熱量が変化した場合にも、使用する熱量の変化に応じた前倒し期間Tcを設定することができる。
第5実施形態の給湯装置1が有するコスト算出部582eは、前倒し期間Tcにおいて各日ごとに必要な熱量を各日の電気料金単価が最も低い時間帯に沸き上げた場合にかかるコストCeを算出する。コスト算出部582eは、1日目の電気料金単価が最も低い時間帯に、2日目以降に必要な熱量を前倒しして沸き上げた場合にかかるコストCtを算出する。沸上処理部582gは、1日目の電気料金単価が最も低い時間帯に前倒し沸上運転を実行する。これによれば、前倒し沸上運転を1日の中で最も電気料金単価が低い時間帯に実行することができるため、前倒し沸上運転時のコストを抑制することが可能となる。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
制御装置80が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置80がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
上述の実施形態において、カレンダー情報および電気料金設定情報は記憶部83に記憶されているが、外部の記憶手段と通信することで取得される構成でもよい。例えば、HEMS等のエネルギー管理システムの記憶装置にカレンダー情報および電気料金設定情報が記憶され、制御装置80がエネルギー管理システムと通信することでカレンダー情報および電気料金設定情報を取得し、記憶部83に記憶する構成でもよい。
上述の実施形態において、記憶部83は、電気料金単価の情報を、カレンダー情報と電気料金設定情報とによって記憶しているが、記憶部83が記憶している具体的な情報は、これに限定されない。例えば、記憶部83は、各日の電気料金単価の情報を直接記憶していてもよい。
上述の実施形態において、処理部82、382、582は、料金決定部82a、382a、582aを有するとしたが、各日の電気料金単価を外部と通信することで取得する構成でもよい。
上述の実施形態において、必要熱量算出部82dは、必要熱量Qe、Qtを、過去の使用実績に基づいて算出するが、過去の使用実績に基づくことなく算出してもよい。例えば、使用者が1日ごとの目標温度を設定し、必要熱量算出部82dは、設定された目標温度から必要熱量Qe、Qtを算出する構成でもよい。
上述の実施形態において、所定期間Taは2日間あるいは3日間であるが、4日間以上を所定期間Taとして設定してもよい。例えば所定期間が4日間の場合は、各日沸き上げた場合のコストと、2日間分を前倒しして沸き上げ、残りの2日間を各日ごとに沸き上げた場合のコストと、3日間分を前倒しして沸き上げ、残りの1日間を沸き上げた場合のコストと、4日間分を前倒しして沸き上げた場合のコストとを算出し、いずれが最も低コストであるかを判定する。
上述の実施形態において、1日の中で電気料金単価が異なる時間帯がある場合、電気料金単価が最も低い時間帯に沸き上げを行う。このとき電気料金単価が最も低い時間帯に必要熱量分の湯を沸き上げることができない場合は、HP装置50の加熱能力を一時的に上昇させ、電気料金単価が最も低い時間帯に沸き上げる構成としてもよい。