JP2017161074A - 吊下げ式防振具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 吊下げ式防振具において、防振具本体は、上辺部21dに切り欠き形成されて吊りボルトB1の軸部に水平方向から挿通可能な係合溝25dを有している。一方、係合溝25dの開口側の縁部に切欠部53と、該切欠部と隣接した位置にほぼ直角の下向きに切り起こしたナット受部となる係止部54が形成され、該係止部に吊りボルトB1の軸部に螺合した一対のナット37,38の下部ナットが係止した状態で、防振具本体の上辺部が下部ナットと上部ナットで上下から挟持されて締め付け固定されている。
【選択図】 図19
Description
(第1実施例)
図1において、1は吊下げ式防振具の一実施の形態として例示する防振ハンガーであり、この防振ハンガー1は、吊りボルトの途中、即ち、上吊りボルトB1と下吊りボルトB2との間に介装され、後述の防振材を介して図示しない空調機やその配管などを弾性支持することで、空調機等から発生する振動のうち、主にその上下振動成分を吸収してコンクリートスラブ(図示せず)への伝播を防止する機能を有している。なお、吊りボルトは、呼び径10の全ねじボルトが使用されることが一般的であるため、図示形態は、上吊りボルトB1と下吊りボルトB2とも呼び径10の全ねじボルトを例示している。勿論、3/8、1/2ボルトなどの他の規格のボルトでも適用可能であることはいうまでもない。
次に、図2と図1を用いて防振ハンガーの取り付け手順について説明する。
先ず、図2に示すように図示しない構造躯体であるコンクリートスラブから吊り下げられている上吊りボルトB1の下端部に上部六角ナット37と下部六角ナット38とを所定間隔をおいて取り付ける。この間隔は少なくともハンガーボックス2の上辺部21の厚みと係止片32,33の厚みの合計よりも大きくなるようにしてこれらを両ナット37,38で挟むことが可能なようにする。
以上説明したこの発明の実施の形態に係る吊下げ式防振具である防振ハンガー1によれば、ハンガーボックス2の上辺部21に設けた係合溝25が略U字状となって、ハンガーボックス2のボックス開口側をその切り欠き開口が向いて形成されているので、ハンガーボックス2の上吊りボルトB1の軸部への取り付けを水平方向から行うことが可能となり、取り付け作業を迅速、かつスムーズに行うことができる。また、作業中の施工者が重量物である振動機器を支える時間も短くて済み作業性もよい。そのため、施工時間の短縮、施工の簡素化及び簡易化を図ることができる。しかも、取り付けはハンガーボックス2の係合溝25を上吊りボルトB1の軸部に螺合した下部ナット38へ引っ掛けるだけで、機器等の脱落防止を果たすことが可能となるので、機器の脱落を確実に防止することができ、安全にも配慮したものとなる。また、取り付け場所は主に天井裏のため、点検口等の狭小スペースから機器の搬入、施工しなければならないが、このようなことが解消される。また、従来は1台の機器の取り付けに最低2名の施工者が必要であったが、水平方向からの挿入というスライド取り付けが可能になったことで1名での取り付けも可能となる。このように施工者の安全確保はもとより、コストの削減、施工者の削減も図ることができる。
図6〜9は、第2実施例を示す。この第2実施例では第1実施例の係止片32と同様な係止片40を有している。すなわち、係止片40は、略U字状の係合溝41の切り欠き開口側の両先端縁部に、ハンガーボックス2aの上辺部21の縁部と係止するL字形の係止部42が設けられている。また、ハンガーボックス2aの上辺部21aにおける係止片40の係止部42が係合する縁部に該係止部が嵌り合う凹部43が切り欠き形成されており、係止片40が取り付けられた状態で、係止部42がこの凹部43に嵌り合うことになる。その他の構成は第1実施例とほぼ同様である。また、取り付け手順や作用効果もほぼ同様である。この実施例によれば、係止片40の係止部42がハンガーボックス2aの上辺部21aの開口側縁部から突出することなく凹部43に納まるので、係止片40の係合時における係合状態が安定する。
図10〜13は、第3実施例を示す。この第3実施例では別種の係止片45を有している。すなわち、係止片45は、係合溝46の両側に沿って長溝47が切り欠き形成され、この長溝が前記ハンガーボックス2bの上辺部21bに設けたリベット(突起)等48にスライド自在に係合されている。そして、係止片45の係合溝46がハンガーボックス2の上辺部21に形成の係合溝25bに挿通した上吊りボルトB1の軸部に挿通可能になっている。その他の構成や取り付け手順や作用効果は第1実施例とほぼ同様である。そのため、この実施例によれば、係止片45が常にハンガーボックス2bの上辺部21bに付いた状態で保持することができる。
図14〜17は、第4実施例を示す。この第4実施例では係合溝25cの一側に該係合溝が挿通した上吊りボルトB1の軸部を外側から係合する係合溝48が切り欠き形成されたフック状の係止片49がリベット50等により回動(開閉)自在に枢支されている。係合溝48はこの例では円孤形状を呈している。また、係合溝25cの底に近いハンガーボックス2cの上辺部21cにはナット受けとなる突起51が切り起こしによりリベット50等と同程度の高さ位置で設けられている。図16において、52aはハンガーボックス2bの上辺部21bにおける係合溝25cの他側に設けられた係合孔であり、該孔には係止片49に設けた係合突部52b(図17)が嵌合して係合し、該係合が外れないようになっている。この係合孔52aと係合突部52bは、係止片49の係合が外れるのを防止する機構を構成している。取り付けに際し、係止片49の係合溝48が、係合溝25cが挿通した上吊りボルトB1の軸部を外側から係合すると、係合突部52bが係合孔52aに嵌合して両者の係合が外れないようになる。ここで図示した外れ防止機能を有する前記機構はあくまでも一例を示すものであり、他の同効の機構を用いてもよいことは言うまでもない。その他の構成や取り付け手順や作用効果は第1実施例とほぼ同様である。そのため、この実施例の場合も第3実施例の係止片45と同様、係止片49が常に防振具本体2cの上辺部21cに付いた状態で保持することができる。
図18〜20は、第5実施例を示す。この第5実施例では実施例1〜4で示したような係止片を用いない。すなわち、ハンガーボックス2dの上辺部21dに切り欠き形成した係合溝25dの切り欠き開口側の縁部に切欠部53と、該切欠部のある部分から下向きに切り起こしたナット受部となる係止部54とが形成されている。係止部54はハンガーボックス2dの上辺部21dに形成した係合溝25dの切欠部53と隣接した位置に、ほぼ直角の下向きに設けられている。また、この例では取り付け手順においては、ハンガーボックス2dの上辺部21dに形成した係合溝25dを、前記ボルトB1のナット37,38間の軸部に挿入し、軸上の下部ナット38を係止部54に当接するようにする。そして上部ナット37を螺合して締付固定する。その他の構成や取り付け手順や作用効果は第1実施例とほぼ同様である。そのため、ナット37,38を安定した状態で取り付けることが可能となり、この場合には前記各実施例で示したような係止片を必要としない。
図21〜23は、第6実施例を示す。この第6実施例ではハンガーボックス2eの上辺部21eに形成した係合溝56は、奥側がやや大径の円孔部57になっており、上吊りボルトB1の軸部に挿通するときに、予めナット37,38間の同軸部に挿通した図示したような段付き係止ワッシャ58を該円孔部に嵌合するようにして装着している。これにて上下からナット37,38により締め付け固定する。その他の構成や取り付け手順や作用効果は第1実施例とほぼ同様である。そのため、係止ワッシャ58によって上吊りボルトB1の軸部の抜け出しを防止して取り付けが可能となる。
図24は、第7実施例を示す。この第7実施例ではハンガーボックス2fの上辺部21fの裏面に係合溝25fを挟むように下部ナット38を抱き込みその回動を阻止する突部60が切り起こしにより形成されている。これにて上吊りボルトB1の軸部にハンガーボックス2fの係合溝25fを挿入すると、軸部上の下部ナット38がその六角形状の対向面を突部60と接して、該突部によって回転不能に押さえられるので、工具での押さえの必要が無くなる。したがって、その後の上部ナット37の螺合等による締め付け操作も支障なく行うことができ、作業性がよいものとなる。突部60は下部ナット38の大きさに応じてその間隔を任意に調整して設けられる。この場合も、前記各実施例で示した係止片のような部材を特に要しなくとも取り付けが可能となる。その他の構成や取り付け手順や作用効果は第1実施例とほぼ同様である。なお、この突部60は、実施例1〜6についても形成してもよく、それにより下部ナット38の工具による押さえが必要なくなるので、作業性が高まる。
図25〜27は、第8実施例を示す。この第8実施例ではハンガーボックス2gの両側辺部23g,24gの上部に、コ字状の係合枠体62が基端を枢支されて上辺部21gの上方と側方に矢印Aで示すように揺動自在に、かつ両側辺部23g,24gの上下方向にスライド自在に取り付けられている。係合枠体62は、両側部63と、該両側部を連結する連結部64からなり、両側部63の下端部にはリベット65等がハンガーボックス2gの両側辺部23g,24gに形成の長穴66に係合しており、取付時に長穴66の下端に係合して起立状態にし、その後長穴の上端に係合するようにして連結部64を上辺部21gの上面に当接させることが可能になっている。連結部64には係合溝25gと同様な略U字状の係合溝67が係合溝25gと対応した位置で切り欠き形成されている。そして、この係合枠体62の係合溝67とハンガーボックス2gの上辺部21gの係合溝25gが上吊りボルトB1の軸部に挿通された状態で、係合枠体62の連結部64と前記ハンガーボックス2gの上辺部21gが下部ナット38と上部ナット37で上下から挟持されて締め付け固定されている。図26において、68aはハンガーボックス2gの上辺部21gにおける係合溝25gの他側に設けられた係合孔であり、該孔には係合枠体62の連結部64に設けた係合突部68b(図27)が嵌合して係合し、該係合が外れないようになっている。この係合孔68aと係合突部68bは、係合枠体62の係合が外れるのを防止する機構を構成している。取り付けに際し、係合枠体62の係合溝67が上吊りボルトB1の軸部に外側から係合すると、係合突部68bが係合孔68aに嵌合して両者の係合が外れないようになる。ここで図示した外れ防止機能を有する前記機構も前記と同様、あくまでも一例を示すものであり、他の同効の機構を用いてもよいことは言うまでもない。その他の構成や取り付け手順や作用効果は第1実施例とほぼ同様である。したがって、この実施例の場合には、係合枠体62の揺動と摺動という簡単な操作を行うことにより取り付けを行うことができる。
(第1実施例)
この第2の実施の形態はハンガーボックスに相当する部材の形状が正面視において第1の実施の形態のようなボックス状、つまりロ字型ではなく、上辺部81及び下辺部82と左右いずれかの側辺部83を有するコ字型形状に折り曲げて加工された枠体(ハンガー枠)72からなる点で基本的な構成が相違する。そして、図28〜29は、その第1実施例を示す。この第1実施例ではハンガー枠72の上辺部81には、上吊りボルトB1の軸部に水平方向から挿通可能な所定幅(図示形態ではW=25mm)の略U字状の係合溝85が切り欠き形成されている。係合溝85は、第1の実施の形態の係合溝25等とは異なり、その切り欠き開口がボックス開口側ではなく、側辺部の無い側(辺縁部と対向する側)を向いて切り欠き形成されている。係合溝85の開口側となる前記ハンガー枠72の上辺部81の縁部には下向きに折り曲げられた係止部86が設けられている。また、ハンガー枠72の下辺部82には、第1の実施の形態の各実施例と同様に下吊りボルトB2を遊嵌可能な所定径(図示形態では直径φ=15.5mm)の丸穴83が穿設されている。
図30,31は、第2実施例を示す。この第2実施例ではハンガー枠72aの側辺部83aの長手方向に沿って複数個のリブ88が設けられている。リブ88はこの実施例では図示しているように側辺部83aの幅方向の両側に設けているが、必ずしもこのような構成でなくともよい。複数個であれば個数は任意であるし、1個でもよい。リブ88を設けることにより、ハンガー枠72aの側辺部83aの強度を強く保持することが可能となる。ハンガー枠72aの上辺部81aに形成した係合溝85aの開口側となる縁部に下向きに折り曲げられた係止部86aが設けられている等、その他の構成、取り付け手順は第1実施例と同様である。この実施の形態の第1,2実施例においても図24に第7実施例として示す構成を設けてもよい。すなわち、ハンガー枠72,72aの上辺部81,81aの裏面に係合溝85,85aを挟むように下部ナット38の回動を阻止する突部を切り起こしにより形成する。これにより、同様な作用効果が期待できるようになる。
2 ハンガーボックス(防振具本体)
3 弾性ゴム部材(防振材)
21 上辺部
22 下辺部
23,24 側辺部
25 係合溝(第1係合溝)
26 丸穴
30,31 係合溝(第2係合溝)
32,33 係止片
34,35 係止部
37 上部六角ナット
38 下部六角ナット
72 ハンガー枠(係合枠体)
81 上辺部
82 下辺部
83 側辺部
85 係合溝
86 係止部
88 リブ
B1 上吊りボルト(吊りボルト)
B2 下吊りボルト(吊りボルト)
Claims (2)
- 上辺部及び下辺部と左右一対の側辺部を有する中空矩形状の枠体からなり、振動が発生する振動機器を吊り下げるために天井スラブなどの構造躯体から吊り下げられている吊りボルトの途中に介装されて前記振動機器の荷重を支える防振具本体を具えた吊下げ式防振具において、
前記防振具本体は、上辺部に切り欠き形成されて前記吊りボルトの軸部に水平方向から挿通可能な係合溝を有し、この係合溝の開口側の縁部に切欠部と、該切欠部と隣接した位置にほぼ直角の下向きに切り起こしたナット受部となる係止部が形成され、該係止部に前記吊りボルトの軸部に螺合した一対のナットの下部ナットが係止した状態で、前記防振具本体の上辺部が下部ナットと上部ナットで上下から挟持されて締め付け固定されていることを特徴とする吊下げ式防振具。 - 上辺部及び下辺部と左右いずれかの側辺部を有するコ字型形状の枠体からなり、振動が発生する振動機器を吊り下げるために天井スラブなどの構造躯体から吊り下げられている吊りボルトの途中に介装されて前記振動機器の荷重を支える防振具本体を具えた吊下げ式防振具において、
前記防振具本体は、上辺部に切り欠き形成されて前記吊りボルトの軸部に水平方向から挿通可能な係合溝を有し、この係合溝が吊りボルトの軸部に挿し込まれた状態で、前記防振具本体の上辺部が上下から前記吊りボルトの軸部に螺合した一対のナットで挟持されて締め付け固定されていることを特徴とする吊下げ式防振具。
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