JP2017161022A - ボンデッドピストンシール - Google Patents

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貴幸 高橋
賢太郎 小澤
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【課題】ピストンが傾斜した場合であっても、ハウジングの内周面に沿って移動するピストンの動きを安定させる。【解決手段】ハウジング2の内部に軸線x方向に沿って往復動可能に配置され、ハウジング2の内周面2aと密封摺動するシールリップ45を有し、ハウジング2の内周面2aとシールリップ45とによりピストン油圧室を形成する環状のボンデッドピストンシール3であって、シールリップ45は、ハウジング2の内周面2aと常時接触するリップ先端部45aと、ハウジング2の内周面2aから離間した状態でリップ先端部45と一体形成されたリップ基部45bとを備え、リップ基部45bは、リップ基部45bとハウジング2の内周面2aとの間隙S1よりも小さな隙間S2でハウジング2の内周面2aから離間するように当該リップ基部45bに固定されたバックアップリング10を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ボンデッドピストンシールに関し、特に、自動車等の車両用の自動変速機(AT(Automatic Transmission)やCVT(Continuously Variable Transmission)等)に用いられるクラッチピストン機構のボンデッドピストンシールに関する。
従来、自動車等の車両の自動変速機に用いられるクラッチピストン機構(以下、これを「ピストン機構」ともいう。)は、ボンデッドピストンシール、および、リターンスプリングを備えている。ボンデッドピストンシールは、シリンダ状のクラッチハウジング(以下、これを「ハウジング」ともいう。)の内部に設けられた多板クラッチの締結に使用されるゴムリップ加硫接着タイプのピストンシール(以下、これを「ピストン」ともいう。)である。
ピストンは、一般に自動変速機の多板クラッチを締結または解放させるため、ハウジングの内部に供給される作動油の供給油圧に応じて当該ハウジングの軸方向に作動(往復動)する金属環である。
ピストンが装着されるハウジングの内周面と、当該ピストンとの間にはピストン油圧室が形成されており、このピストン油圧室にハウジングのポートから作動油が供給される。ピストンは、この作動油の供給油圧にしたがい軸方向に移動して当該クラッチ板を締結させる往動作と、供給油圧が解放されたときリターンスプリングの付勢力によりクラッチ板から離間するように移動して元の基準位置まで戻る復動作とが繰り返し行われる。
ピストン機構において、クラッチ板の変速動作を滑らかに行う為には、ハウジングの内周面とピストンの外周面との平行状態を保持したまま、当該ピストンを軸方向に沿って往復動作させる必要がある。しかしながら、リターンスプリングの偏過重等の要因により、ピストンが傾斜した状態のまま軸方向に沿って移動すると、ピストンの外周面がハウジングの内周面に傾斜状態で摺接し、ピストンとクラッチ板とが偏当たりすることになるので、変速ショックを発生させてしまうおそれがあった。
ところで、金属環(ピストン)と多板クラッチとの組み付け性が悪い場合、油圧による押圧力や付勢手段による押圧力を、金属環を介して多板クラッチに正確に伝達できない。このような事態を回避するための密封装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
この特許文献1の密封装置では、金属環の側壁角部につぶしを形成し、このつぶしにより形成されたストレート面にウェーブワッシャ等の位置固定部材を強固に組み付けることによりがたつきを抑えている。これにより、油圧による押圧力を、金属環を介して多板クラッチに正確に伝達することができる。
特開2001−12605号公報
しかしながら、特許文献1の密封装置であっても、リターンスプリングの偏過重等の要因により、金属環(ピストン)が傾斜することを避けることはできず、金属環が傾斜した状態のままハウジングの内周面を軸方向に沿って移動してしまうことを完全に防止することはできなかった。
また、密封装置が低温環境下において用いられる場合には、ハウジングの内周面と摺接するシールリップが脆化するので、金属環(ピストン)が傾斜して移動することになると、当該リールリップのリップ先端部に過大な負荷がかかり破損してしまうおそれがあった。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ピストンが傾斜した場合であっても、ハウジングの内周面に沿って移動するピストンの動きを安定させ得るボンデッドピストンシールを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、ハウジングの内部に軸線方向に沿って往復動可能に配置され、当該ハウジングの内周面と密封摺動するシールリップを有し、前記ハウジングの内周面と前記シールリップとによりピストン油圧室を形成する環状のボンデッドピストンシールであって、前記シールリップは、前記ハウジングの内周面と常時接触するリップ先端部と、当該前記ハウジングの内周面から離間した状態で前記リップ先端部と一体形成されたリップ基部とを備え、前記リップ基部は、当該リップ基部と前記ハウジングの内周面との間隙よりも小さな隙間で前記ハウジングの前記内周面から離間するように当該リップ基部に固定されたリング状部材を有することを特徴とする。
本発明に係るボンデッドピストンシールにおいて、前記リップ基部は、前記ハウジングの内周面と対向する面に形成された凹部を有し、前記リング状部材は、前記凹部に嵌め込まれた状態で固定されているようにしてもよい。
本発明に係るボンデッドピストンシールにおいて、前記リング状部材は、樹脂であるようにしてもよい。
本発明に係るボンデッドピストンシールにおいて、前記リング状部材の内周面には、径方向または当該径方向とは直交する方向に沿って凹凸形状の溝部が形成されているようにしてもよい。
本発明によれば、ピストンが傾斜した場合であっても、ハウジングの内周面に沿って移動するピストンの動きを安定させ得るボンデッドピストンシールを実現することができる。
本発明の実施の形態に係るボンデッドピストンシールが変速機のハウジングに装着された状態を示す軸線に沿う断面における断面図である。 本発明の実施の形態に係るボンデッドピストンシールの内周側リップの構造を示す部分拡大図である。 本発明の実施の形態に係る内周側リップの内周面に形成された横溝部の構造を示す図である。 本発明の実施の形態に係る内周側リップの内周面に形成された縦溝部の構造を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。ここでは、説明の便宜上、図1乃至図4において、ピストン機構1におけるピストン3の径方向を矢印ab方向とし、外周側とは、ピストン3の外周側すなわち矢印a方向とする。内周側とは、ピストン3の内周側すなわち矢印b方向とする。また、筐体側とは、ピストン3の径方向(矢印ab方向)とは直交する矢印c方向とする。多板クラッチ側とは、ピストン3の径方向(矢印ab方向)とは直交する矢印d方向とする。なお、軸線xは、駆動軸(図示せず)やハウジング2の回転中心である。
図1および図2に示すように、ピストン機構1は、ハウジング2の内部に装着されている。ピストン機構1は、ピストン3、当該ピストン3と一体化された弾性体部4、リターンスプリング5、および、スプリングシート6を備えている。
ピストン3は、ハウジング2の軸線xを中心とする金属からなる環状部材であり、ハウジング2のポート2bを介して供給されるATF(Automatic Transmission Fluid)等の作動油の供給油圧に応じて、ハウジング2の内周面2aを軸線xに沿って当該ハウジング2と相対移動する移動部材である。
ピストン3は弾性体部4とともにハウジング2に装着され、当該ハウジング2の回転と共に連れ回される。ピストン3の金属材としては、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)等があり、主にSPFH(熱間圧延鋼)、SAPH(熱間圧延鋼)である。ピストン3は、例えば、プレス加工や鍛造により製造される。
ピストン3は、内周側円筒部31、筐体側フランジ部32、外周側円筒部33、および、外周側フランジ部34を具えている。内周側円筒部31は、軸線xに沿った矢印cd方向に延び、当該軸線xを中心とする筒状部分である。この内周側円筒部31は、多板クラッチ側(矢印d方向)の端部から内周側(矢印b方向)に向かって延び、軸線xを中心とした円環状の部分である内周側フランジ部31aを有している。
筐体側フランジ部32は、内周側円筒部31の筐体側(矢印c方向)の端部から外周側(矢印a方向)に向かって延びる軸線xを中心とする円環状の部分である。外周側円筒部33は、筐体側フランジ部32の外周側(矢印a方向)の端部から多板クラッチ側(矢印d方向)に向かって延びる軸線xを中心とする筒状部分である。
外周側フランジ部34は、外周側円筒部33の多板クラッチ側(矢印d方向)の端部から外周側(矢印a方向)に向かって延びる軸線xを中心とする円環状の部分であり、多板クラッチ8と対向するように配置されている。外周側フランジ部34は、ピストン3全体の軸線xに沿った矢印cd方向の動きに応じて、多層構造の多板クラッチ8を多板クラッチ側(矢印d方向)に向かって押圧する部分、または、多板クラッチ8から離れる部分であり、多板クラッチ8の締結または解放を行う。
リターンスプリング5は、ピストン3における筐体側フランジ部32の多板クラッチ側(矢印d方向)の面32aと、スプリングシート6の筐体側(矢印c方向)の面6aとの間に保持された圧縮コイルバネ等からなる弾性部材である。このリターンスプリング5は、ピストン3の外周側フランジ部34を多板クラッチ8から離間させるように当該ピストン3を筐体側(矢印c方向)へ向かって付勢している。
スプリングシート6は、ピストン3とともにリターンスプリング5を挟み付けた状態で保持する金属材であり、当該スプリングシート6の内周側(矢印b方向)の端部がスナップリング7に固定されている。スプリングシート6は、スナップリング7を介してハウジング2に固定された部材であるが、当該ハウジング2に固定された状態で当該ハウジング2の回転と共に連れ回る。スプリングシート6の金属材としては、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)等があり、主にSPFH(熱間圧延鋼)、SAPH(熱間圧延鋼)である。スプリングシート6は、例えば、プレス加工や鍛造により製造される。
スナップリング7は、スプリングシート6を支持して固定する固定部材であり、ハウジング2の内周面2aの凹部に嵌め込まれた状態で当該ハウジング2と一体に固定されている。
弾性体部4は、ピストン3を筐体側(矢印c方向)、外周側(矢印a方向)、および、内周側(矢印b方向)から覆うゴム状弾性部材であり、当該ピストン3と一体化されている。弾性体部4は、軸線xに沿ってハウジング2の内周面2aをピストン3と一体に筐体側(矢印c方向)または多板クラッチ側(矢印d方向)へ移動する。なお、ピストン3のゴム状弾性部材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴムが用いられる。
弾性体部4は、外周側カバー41、筐体側カバー42、シールリップとしての外周側シールリップ43、内周側カバー44、および、シールリップとしての内周側シールリップ45を具えている。外周側カバー41は、軸線xに沿って延び当該軸線xを中心とする筒状部分である。外周側カバー41は、ピストン3の外周側円筒部33を外周側(矢印a方向)から覆い、ハウジング2の内周面2aとピストン3の外周側円筒部33とが直接的に接触することを防止する。
筐体側カバー42は、外周側カバー41の筐体側(矢印c方向)の端部から内周側(矢印b方向)に向かって延びる円環状の部分であり、ピストン3の筐体側フランジ部32を筐体側(矢印c方向)から覆っている。
筐体側カバー42の径方向(矢印ab方向)のほぼ中央には、筐体側(矢印c方向)に向かって凸に等配された複数の突起部42aが形成されている。突起部42aは、ピストン3の筐体側フランジ部32を間に挟んでリターンスプリング5と対向した位置に設けられている。また、突起部42aは、ハウジング2の筐体側(矢印c方向)の内周面2aから多板クラッチ側(矢印d方向)へ突出した環状の凸部2bと対向するように設けられている。
したがって、ピストン3および弾性体部4が一体化された状態で筐体側(矢印c方向)へ移動したとき、当該弾性体部4の突起部42aは、ハウジング2の凸部2bに当接することになり、当該凸部2bをストッパとしてピストン3が筐体側(矢印c方向)の停止位置(上死点)で正確に停止する。同時に、弾性体部4の突起部42aがハウジング2の凸部2bに当接することにより、弾性体部4の筐体側カバー42の全面がハウジング2の内周面2aに密着してしまうことを抑制できるので、ピストン3の応答性が低下することについても防止している。
外周側シールリップ43は、外周側カバー41の筐体側(矢印c方向)の端部であり、かつ、筐体側カバー42の外周側(矢印a方向)の端部に設けられた部分であり、ハウジング2の内周面2aを軸線xに沿って摺動するように当接されるリップ先端部を有している。
内周側カバー44は、筐体側カバー42の内周側(矢印b方向)の端部から軸線xに沿って多板クラッチ側(矢印d方向)に延びた当該軸線xを中心とする筒状部分であり、内周側円筒部31を内周側(矢印b方向)から覆っている。
内周側シールリップ45は、内周側カバー44の多板クラッチ側(矢印d方向)の端部から内周側(矢印b方向)に向かって突出した状態で当該内周側カバー44と一体に形成され、ハウジング2の内周面2aに対して軸線xに沿って摺動するように当接される部分である。
図2に示すように、内周側シールリップ45は、ハウジング2の軸線x方向に沿った内周面2aと常時接触するリップ先端部45aと、当該リップ先端部45aよりも多板クラッチ側において当該リップ先端部45aと一体形成された環状のリップ基部45bとを備えている。
リップ先端部45aは、リップ基部45bから筐体側(矢印c方向)に延び、かつ、内周側(矢印d方向)に向かって傾斜した状態で延びるリップ部分である。リップ先端部45aは、軸線xに沿う断面形状が内周側(矢印d方向)に向かって凸の楔形状の環状のリップ先端45asを有している。
また、リップ先端部45aは、リップ先端45asの向背側となる背面45cを有しており、当該背面45cがハウジング2のポート2bから供給される作動油の供給油圧Pを受ける油圧受面となる。したがって、リップ先端部45の背面45c(油圧受面)において供給油圧Pを受けると、当該供給油圧Pに応じてリップ先端45asがハウジング2の内周面2aに押し付けられる。
リップ基部45bは、ピストン1がハウジング2に装着された状態において、当該ハウジング2の内周面2aと当該リップ基部45bの内周側の面(以下、これを「内周側面」ともいう。)45bsとの間に間隙S1が形成されるような内径D1を有している。
リップ基部45bの内周側面45bsには、径方向(矢印ab方向)において所定の深さdだけ内周側面45bsから凹んだ内径D2の環状の凹部45hが形成されている。凹部45hは、矢印cd方向においてリップ基部45bおよびリップ先端部45aの双方に跨がるような位置に形成されている。但し、これに限るものではなく、その位置よりも多板クラッチ側(矢印d方向)であれば、内周側面45bsの任意の位置に形成されていてもよい。
リップ基部45bの凹部45hには、リング状部材としてのバックアップリング10が嵌め込まれた状態で固定されている。この場合、凹部45hは、バックアップリング10がリップ基部45bの内周側面45bsに固定される際の矢印cd方向の位置決めに用いられる。このように、バックアップリング10がリップ基部45bの凹部45hに嵌め込まれることにより、内周側シールリップ45からバックアップリング10が脱落することを防止している。
バックアップリング10は、径方向(矢印ab方向)において所定の厚さthで、かつ、外径D3のリング状部材である。バックアップリング10は、平坦な内周面10aを有している。
バックアップリング10は、樹脂材からなる。特に、バックアップリング10は、低摩擦性の樹脂であるポリアミド(ナイロン)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であれば更に好ましい。
ここで、バックアップリング10の外径D3は、リップ基部45bの凹部45hの内径D2よりも僅かに大きく形成され、バックアップリング10がリップ基部45bの凹部45hに取り付けられる際には、所定の圧縮代を持つように形成されている。
この場合、リップ基部45bにバックアップリング10が取り付けられた状態において、当該バックアップリング10の内周面10aとハウジングの内周面2aとの間には隙間S2が形成されている。つまり、バックアップリング10の内周面10aが、軸線xに沿ってハウジング2の内周面2aと平行になるようにリップ基部45bに取り付けられたときの基準の取付状態では、バックアップリング10の内周面10aとハウジング2の内周面2aとが接触することはない。
したがって、ピストン3が傾斜しない限り、リップ基部45bの内周側面45bsとハウジング2の内周面2aとは非接触の状態にあり、かつ、バックアップリング10の内周面10aとハウジング2の内周面2aとにおいても非接触の状態にある。なお、隙間S2は、リップ基部45bの内周側面45bsとハウジングの内周面2aとの間隙S1よりも小さく、隙間S2<間隙S1の関係が常時維持されている。
以上の構成において、ピストン機構1のピストン3は、リターンスプリング5の偏過重や、ハウジング2が所定の回転数以上の高速回転時に供給される作動油が当該ハウジング2の回転とともに遠心力の影響を受けたこと等の様々な外的要因等により、ピストン3が図中反時計回り方向へ傾斜することを避けられない。
しかしながら、リップ基部45bの内周側面45bsとハウジングの内周面2aとの間隙S1よりも、バックアップリング10の内周面10aとハウジングの内周面2aとの間の隙間S2の方が小さいため、ピストン3が傾斜した際、必ずバックアップリング10の内周面10aがハウジングの内周面2aと先に当接する当接面となる。すなわち、リップ基部45bの内周側面45bsがハウジング2の内周面2aに接触することはなく、バックアップリング10の内周面10aがハウジング2の内周面2aと必ず先に接触するので、当該ピストン3の傾きを従来に比して大幅に抑制することができる。なお、バックアップリング10がリップ基部45bの凹部45hに嵌め込まれていることにより、バックアップリング10の内周面10aがハウジング2の内周面2aと接触したときの接触状態を安定させることができる。
ピストン3が傾斜したとき、リップ基部45bのバックアップリング10の内周面10aがハウジング2の内周面2aと接触するが、そのピストン3の傾斜角度は従来よりも小さくなる。このため、当該バックアップリング10の内周面10aとハウジング2の内周面2aとが接触したときの摺動抵抗が従来よりも小さくて済む。
また、ピストン3の傾斜角度が従来よりも小さくなるため、低温環境下において用いられて、ハウジング2の内周面2aと摺接するリップ先端部45が脆化した場合であっても、当該リップ先端部45にかかる負荷が従来よりも小さくなるので、破損するリスクを大幅に低減することができる。
特に、バックアップリング10は、低摩擦性の樹脂であるポリアミド(ナイロン)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、若しくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いているため、バックアップリング10の内周面10aとハウジング2の内周面2aとの摺動抵抗を更に小さくすることができる。かくして、ピストン10はハウジング2の内周面2aに沿って移動する際の動きが滑らかかつ安定する。
また、リップ基部45bにバックアップリング10を設けたことにより、リップ先端部45の背面45cに供給油圧Pを受けた場合でも、当該バックアップリング10の存在によりリップ先端部45がハウジング2の内周面2aにそれ以上押し付けられることがなく、当該リップ先端部45がハウジング2の内周面2aに対して全体的に接触する所謂ベタ当たりを抑制することができる。
以上の構成によれば、ピストン機構1では、ハウジング2の内周面2aに対してピストン3が傾斜した場合であっても、ハウジング2の内周面2aに沿って当該ピストン3が移動する際の動きを安定させことができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、平坦な内周面10aを持つバックアップリング10が用いられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図3に示すように、径方向(矢印ab方向)に沿った複数の凸部51aおよび凹部51bからなる溝部51が形成された内周面51を持つバックアップリング50が用いられるようにしてもよい。
同様に、図4に示すように、径方向(矢印ab方向)とは直交する矢印cd方向に沿った複数の凸部61aが底面61mに対して所定の間隔で形成された内周面61を持つバックアップリング60が用いられるようにしてもよい。この場合、バックアップリング60の底面61mおよび凸部61aにより溝部61が形成されている。
この場合、バックアップリング50およびバックアップリング60の何れにおいても、溝部51、61にグリース等の油を容易に保持することができるので、バックアップリング50、60のハウジング2の内周面2aに対する摺動抵抗を更に低減させることができる。かくして、ピストン3が傾斜した場合であっても、ハウジング2の内周面2aに沿って移動するピストン3の動きを安定させることができる。
また、上述した実施の形態においては、内周側シールリップ45のリップ基部45bの凹部45hにバックアップリング10を位置決めした状態で固定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、リップ基部45bの内周側面45bsに凹部45hを形成することなく、当該内周側面45bsに直接、バックアップリング10を締り嵌め状態に嵌着させて固定するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、リップ基部45bの内周側面45bsに形成した凹部45hに対してリング状部材としてのバックアップリング10を嵌め込んだ状態で固定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、外周側カバー41の外周側面に凹部を形成し、その凹部に対してリング状部材としてのバックアップリング10を嵌め込んだ状態で固定するようにしてもよい。また、リップ基部45bと外周側カバー41の外周側面の双方にバックアップリング10を固定するようにしてもよい。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係るピストン機構1に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
本願発明のボンデッドピストンシールは、自動車等の車両およびその補機、一般産業機械、建設機械等の汎用機械においてピストンの動きを安定させる種々の分野において利用することが可能である。
1 ピストン機構
2 ハウジング
2a 内周面
3 ピストン(ボンデッドピストンシール)
4 弾性体部
5 リターンスプリング
6 スプリングシート
7 スナップリング
8 多板クラッチ
10、50、60 バックアップリング(リング状部材)
31 内周側円筒部
31a 内周側フランジ部
32 筐体側フランジ部
33 外周側円筒部
34 外周側フランジ部
41 外周側カバー
42 筐体側カバー
43 外周側シールリップ(シールリップ)
44 内周側カバー
45 内周側シールリップ(シールリップ)
45a リップ先端部
45as リップ先端
45b リップ基部
45bs 内周側面
45c 背面
51、61 溝部
x 軸線

Claims (4)

  1. ハウジングの内部に軸線方向に沿って往復動可能に配置され、当該ハウジングの内周面と密封摺動するシールリップを有し、前記ハウジングの内周面と前記シールリップとによりピストン油圧室を形成する環状のボンデッドピストンシールであって、
    前記シールリップは、前記ハウジングの内周面と常時接触するリップ先端部と、当該前記ハウジングの内周面から離間した状態で前記リップ先端部と一体形成されたリップ基部とを備え、
    前記リップ基部は、当該リップ基部と前記ハウジングの内周面との間隙よりも小さな隙間で前記ハウジングの前記内周面から離間するように当該リップ基部に固定されたリング状部材を有する
    ことを特徴とするボンデッドピストンシール。
  2. 前記リップ基部は、前記ハウジングの内周面と対向する面に形成された凹部を有し、
    前記リング状部材は、前記凹部に嵌め込まれた状態で固定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のボンデッドピストンシール。
  3. 前記リング状部材は、樹脂である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のボンデッドピストンシール。
  4. 前記リング状部材の内周面には、径方向または当該径方向とは直交する方向に沿って凹凸形状の溝部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3に記載のボンデッドピストンシール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200029676A (ko) * 2018-09-10 2020-03-19 평화오일씰공업주식회사 자동변속기 클러치유니트용 클러치피스톤

Cited By (2)

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KR20200029676A (ko) * 2018-09-10 2020-03-19 평화오일씰공업주식회사 자동변속기 클러치유니트용 클러치피스톤
KR102200570B1 (ko) 2018-09-10 2021-01-11 평화오일씰공업 주식회사 자동변속기 클러치유니트용 클러치피스톤

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