JP2017160066A - 炭化ケイ素系複合体及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体、及び簡便な処理で優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体が得られる炭化ケイ素系複合体の製造方法を提供する。【解決手段】炭化ケイ素系複合体は、炭化ケイ素繊維からなる骨格と、骨格を被覆する界面層及びマトリックス層とを備える。炭化ケイ素繊維は、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する。界面層が、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む。マトリックス層が、炭化ケイ素を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、炭化ケイ素系複合体及びその製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体(SiC/SiC)、及び簡便な処理で優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体が得られる炭化ケイ素系複合体の製造方法に関する。
従来、炭化ケイ素系複合体は、以下のような製造方法によって製造されていた(特許文献1参照。)。まず、炭化ケイ素繊維(SiC繊維)に対して、窒化ホウ素−化学気相成長(BN−CVD:Boron nitride−Chemical Vaper Deposition)によって、窒化ホウ素からなる界面層を形成する。次いで、得られた繊維を製織して、所望形状を有する炭化ケイ素繊維製のプリフォームを作成する。しかる後、得られたプリフォームに、ポリマー含浸焼成(PIP:Polymer Infiltration Pyrolysis)によって、炭化ケイ素を生成させて、炭化ケイ素系複合体を得る。
特開平11−49570号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法においては、BN−CVDを利用するため、製造コストが高く、また、BN−CVDを織物へ適用することが困難であった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明は、優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体、及び簡便な処理で優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体が得られる炭化ケイ素系複合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。その結果、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層を形成することなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭化ケイ素系複合体は、炭化ケイ素繊維からなる骨格と、前記骨格を被覆する界面層及びマトリックス層とを備える炭化ケイ素系複合体であって、前記炭化ケイ素繊維は、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、前記芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有し、前記界面層が、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含み、前記マトリックス層が、炭化ケイ素を含むことを特徴とする。
そして、本発明の炭化ケイ素系複合体の製造方法は、炭化ケイ素繊維からなる骨格と、前記骨格を被覆する界面層及びマトリックス層とを備える炭化ケイ素系複合体を製造する方法であって、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、前記芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む化合物を含浸、乾燥及び焼成する界面層形成処理を施してプレ複合体を得、次いで、前記プレ複合体に、炭素及びケイ素を含む化合物を含浸させて加熱するマトリックス層形成処理を施す、ことを特徴とする。
また、本発明の炭化ケイ素系複合体の製造方法の好適形態は、前記ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む化合物が、ポリボロオルガノシラザンであることを特徴とする。
さらに、本発明の炭化ケイ素系複合体の製造方法の他の好適形態は、前記炭素及びケイ素を含む化合物が、ポリカルボシランであることを特徴とする。
本発明によれば、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層を形成した。そのため、優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体、及び簡便な処理で優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体が得られる炭化ケイ素系複合体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る炭化ケイ素系複合体及びその製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る炭化ケイ素系複合体について詳細に説明する。本実施形態の炭化ケイ素系複合体は、炭化ケイ素繊維からなる骨格と、骨格を被覆する界面層及びマトリックス層とを備える。そして、炭化ケイ素繊維は、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する。また、界面層は、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む。さらに、マトリックス層は、炭化ケイ素を含む。
酸素元素の含有量が5〜15質量%、好ましくは5〜13質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層を形成した後、炭化ケイ素を含むマトリックス層を形成することにより、優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体となる。
なお、芯部における酸素元素の含有量が5質量%未満や15質量%超の場合には、優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体とならない。これは、特に限定されるものではないが、炭素を含む被覆部と炭化ケイ素を含む芯部との接合強度が十分なものとならないためと考えられる。また、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層を有しない場合にも、優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体とならない。さらに、炭素を含む被覆部を有さず、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層を形成した後、炭化ケイ素を含むマトリックス層を形成して得られる炭化ケイ素系複合体は、炭素を含む被覆部を有さず、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層を形成せずに、炭化ケイ素を含むマトリックス層を形成して得られる炭化ケイ素系複合体と比較して、曲げ強度が低い傾向を有する。これは、特に限定されるものではないが、酸素と窒素とが反応するためと考えられる。また、特に限定されるものではないが、炭素を含む被覆層とケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層とを有するため、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む界面層を有しない場合より、被覆層と界面層との界面でより滑り易くなり、曲げ強度が向上したとも考えられる。さらに、特に限定されるものではないが、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む4元系の界面層であるため、窒素及びホウ素を含む2元系の界面層と比較して、マトリックス層の組成に近く、マトリックス層と一体化し易い。これにより、被覆層と界面層との界面でより滑り易くなり、曲げ強度が向上したとも考えられる。
また、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームを用いることとしたため、優れた曲げ強度を有するだけでなく、BN−CVDを利用する必要がないため、製造コストを低減することができるという副次的な利点がある。
さらに、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームを用いることとしたため、優れた曲げ強度を有するだけでなく、製造コストが高くなる要因の1つである酸素元素の含有量が5質量%未満、特に1質量%未満の炭化ケイ素繊維を利用する必要がないため、製造コストを低減することができるという副次的な利点がある。
次に、本発明の一実施形態に係る炭化ケイ素系複合体の製造方法について詳細に説明する。本実施形態の炭化ケイ素系複合体の製造方法は、炭化ケイ素繊維からなる骨格と、骨格を被覆する界面層及びマトリックス層とを備える炭化ケイ素系複合体を製造する方法であって、上述した本発明の一実施形態に係る炭化ケイ素系複合体を製造する方法の一実施形態である。なお、本発明の炭化ケイ素系複合体は、このような製造方法により得られたものに限定されるものではない。
本実施形態の炭化ケイ素系複合体の製造方法は、以下の工程(1)及び工程(2)を含む。
工程(1)は、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む化合物を含浸、乾燥及び焼成する界面層形成処理を施してプレ複合体を得る工程、すなわち、目的とする炭化ケイ素系複合体における界面層を形成する工程である。
工程(2)は、工程(1)の後に実行され、プレ複合体に、炭素及びケイ素を含む化合物を含浸させて加熱するマトリックス層形成処理を施す工程、すなわち、目的とする炭化ケイ素系複合体におけるマトリックス層を形成して、目的とする炭化ケイ素系複合体を得る工程である。
このような工程(1)及び工程(2)を経ることにより、BN−CVDを利用する必要がないため、製造コストを低減することができる。また、製造コストが高くなる要因の1つである酸素元素の含有量が5質量%未満、特に1質量%未満の炭化ケイ素繊維を利用する必要がないため、製造コストを低減することができる。さらに、織物に対してBN−CVDを適用する必要がなく、優れた曲げ強度を有する炭化ケイ素系複合体を得ることができる。
ここで、(1)工程におけるプリフォームとしては、特に限定されるものではなく、例えば、所定の炭化ケイ素繊維を用い、ブレード織法、フィラメントワインディング法、2D積層法など従来公知の方法によって得られたものを適用することができる。また、所定の炭化ケイ素繊維は、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む炭化ケイ素繊維に、化学気相成長によって炭素を被覆したものを適用することができる。さらに、(1)工程におけるケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリボロオルガノシラザンを挙げることができる。この化合物は、上述した炭素ケイ素繊維からなる骨格に界面層を形成し、この点からは、ポリボロオルガノシラザンは界面層前駆体と言ってもよい。
界面層前駆体の被覆は、BN−CVDより簡便なディッピングなど従来公知の湿式法によって行うことができる。例えば、乾燥は150〜200℃、焼成は800〜1000℃で行うことができる。また、これらの含浸、乾燥及び焼成は、いわゆるPIPによって行ってもよい。また、湿式法であれば、BN−CVDでは困難であった織物に対して直接処理することができる。
上記ポリボロオルガノシラザンは、以下の反応式で合成されるものである。SiNBC系ポリマーと表記することがあり、Si/B=1/2の混合比のものを「SiNBC−1/2」と略記することがある。
Figure 2017160066
また、(2)工程における炭素及びケイ素を含む化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカルボシラン(PCS)を適用することができる。なお、上記の化合物は、マトリックス層前駆体として機能するが、トルエンやキシレンなどの希釈溶媒で希釈して使用することができる。また、キシレンで希釈することが好ましい。さらに、希釈する際には、ポリカルボシランの濃度が20〜40質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。
ポリカルボシランは、例えば、日本カーボン製PCS−UHを用いても良い。
プレ複合体に化合物を含浸させて加熱するマトリックス層の形成は、繰り返すことにより複数回行うことができ、例えば、6〜12回程度行うことが好ましい。これらの含浸、加熱は、いわゆるPIPによって行ってもよい。また、例えば、加熱は、通常、乾燥と焼成で行うことができ、乾燥は80〜120℃程度、焼成は窒素ガス(N)雰囲気下800〜1000℃程度で行うことができる。なお、乾燥及び焼成は窒素ガス(N)雰囲気下に室温から昇温し1000℃程度に加熱することによって行ってもよい。
また、本実施形態の製造方法においては、所要に応じて、(2)工程の後にさらに所定の熱処理を行うことができる。所定の熱処理は、(2)工程で得られた炭化ケイ素系複合体を不活性ガス中1000〜1500℃で加熱処理するものであるが、これにより、炭化ケイ素系複合体を結晶化させて品質の均一化を図ることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
炭化ケイ素繊維織物として、炭素被覆された炭化ケイ素繊維織物(NGSアドバンストファイバー株式会社製、グレード:タイプCG(Cコート有り)、NL501−5HS、5枚朱子織を用いた。具体的な仕様は、寸法:1000mm×2000mm、打ち込み本数:経糸;22本/inch、緯糸;22本/inch、厚さ:0.29mm、目付388g/m、サイジング剤種類:P、布強度:経糸方向;2087N/25mm、緯糸方向;2274N/25mmである。また、仕様糸特性(代表値)は、糸の製品名:NL−501、平均繊維径:14μm、密度:2.55g/cm、引張強度:3GPa、引張弾性率:220GPaである。
また、界面層前駆体として、ポリボロオルガノシラザン(原子数比Si/B=1/2の「SiNBC−1/2」)の40質量%トルエン溶液(株式会社アート科学製)を用いた。
さらに、マトリックス層前駆体として、ポリカルボシラン(PCS)(NGSアドバンストファイバー株式会社製、グレードUH)の40質量%キシレン溶液を用いた。
まず、炭素被覆された炭化ケイ素繊維織物を50mm×70mmの大きさに切断し、12枚積層した。次いで、グローブボックス中で、得られた織物積層体に、SiNBC−1/2の40質量%トルエン溶液を真空含浸させた。さらに、得られた含浸済み織物積層体を金型にセットし、加圧成形を行った。しかる後、得られた織物成形体を100℃で乾燥して余剰のトルエンを蒸発させ、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱して焼成し、プレ複合体を得た。
次に、グローブボックス中で、得られたプレ成形体に、PCS−UHの40質量%キシレン溶液を真空含浸させた。次いで、得られた含浸済みプレ複合体を金型にセットし、含浸済みプレ複合体を100℃で乾燥して余剰のキシレンを蒸発させ、さらに、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱して焼成した。
上記PCS含浸と焼成を12回繰り返し、本例の炭化ケイ素系複合体を得た。
(比較例1)
まず、炭素被覆された炭化ケイ素繊維織物を50mm×70mmの大きさに切断し、12枚積層した。次いで、得られた織物積層体を金型にセットし、加圧成形を行った。さらに、得られた織物成形体を100℃で乾燥し、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱し、プレ複合体を得た。
さらに、グローブボックス中で、得られたプレ成形体に、PCS−UHの40質量%キシレン溶液を真空含浸させた。さらに、得られた含浸済みプレ複合体を金型にセットし、含浸済みプレ複合体を100℃で乾燥して余剰のキシレンを蒸発させ、さらに、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱して焼成した。
上記PCS含浸と焼成を12回繰り返し、本例の炭化ケイ素系複合体を得た。
(比較例2)
まず、炭素被覆された炭化ケイ素繊維織物を50mm×70mmの大きさに切断し、12枚積層した。次いで、得られた織物積層体を金型にセットし、加圧成形を行った。さらに、得られた織物成形体を100℃で乾燥し、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱し、プレ複合体を得た。
さらに、グローブボックス中で、得られたプレ成形体に、PCS−UHの40質量%キシレン溶液を真空含浸させた。さらに、得られた含浸済みプレ複合体を金型にセットし、含浸済みプレ複合体を100℃で乾燥して余剰のキシレンを蒸発させ、さらに、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱して焼成した。
上記PCS含浸と焼成を6回繰り返し、本例の炭化ケイ素系複合体を得た。
(比較例3)
炭化ケイ素繊維織物として、炭素被覆されていない炭化ケイ素繊維織物(NGSアドバンストファイバー株式会社製、グレード:タイプCG(Cコート無し)、NL201−8HS)、8枚朱子織を用いた。具体的な仕様は、寸法:1000mm×2000mm、打ち込み本数:経糸;22本/inch、緯糸;22本/inch、厚さ:0.29mm、目付388g/m、サイジング剤種類:P、布強度:経糸方向;2087N/25mm、緯糸方向;2274N/25mmである。また、仕様糸特性(代表値)は、糸の製品名:NL−201、平均繊維径:14μm、密度:2.56g/cm、引張強度:2.95GPa、引張弾性率:194GPa、サイジング付着量:1.2質量%である。
まず、炭素被覆されていない炭化ケイ素繊維織物を50mm×70mmの大きさに切断し、12枚積層した。次いで、グローブボックス中で、得られた織物積層体に、SiNBC−1/2の40質量%トルエン溶液を真空含浸させた。さらに、得られた含浸済み織物積層体を金型にセットし、加圧成形を行った。しかる後、得られた織物成形体を100℃で乾燥して余剰のトルエンを蒸発させ、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱して焼成し、プレ複合体を得た。
次に、グローブボックス中で、得られたプレ成形体に、PCS−UHの40質量%キシレン溶液を真空含浸させた。次いで、得られた含浸済みプレ複合体を金型にセットし、含浸済みプレ複合体を100℃で乾燥して余剰のキシレンを蒸発させ、さらに、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱して焼成した。
上記PCS含浸と焼成を6回繰り返し、本例の炭化ケイ素系複合体を得た。
(比較例4)
まず、炭素被覆されていない炭化ケイ素繊維織物を50mm×70mmの大きさに切断し、12枚積層した。次いで、得られた織物積層体を金型にセットし、加圧成形を行った。さらに、得られた織物成形体を100℃で乾燥し、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱し、プレ複合体を得た。
さらに、グローブボックス中で、得られたプレ成形体に、PCS−UHの40質量%キシレン溶液を真空含浸させた。さらに、得られた含浸済みプレ複合体を金型にセットし、含浸済みプレ複合体を100℃で乾燥して余剰のキシレンを蒸発させ、さらに、窒素ガス雰囲気下200℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱して焼成した。
上記PCS含浸と焼成を6回繰り返し、本例の炭化ケイ素系複合体を得た。
[性能評価]
各例の炭化ケイ素系複合体から5×50×2(厚み)mmの試験片を切り出し、この試験片を室温(25℃)で3点曲げ試験に供した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2017160066
表1より、本発明の範囲に属する実施例1の炭化ケイ素系複合体は、本発明の範囲外の比較例1の炭化ケイ素系複合体よりも優れた曲げ強度を有することが分かる。また、炭素被覆されていない炭化ケイ素繊維織物に対して、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む化合物を含浸、乾燥及び焼成する界面層形成処理を施してプレ複合体を得、次いで、プレ複合体に、炭素及びケイ素を含む化合物を含浸させて加熱するマトリックス層形成処理を施しても、複合体の強度発現が認められなかった。さらに、PIPによる処理回数を増やすことにより、複合体の強度発現効果が顕著となることが分かった。
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
本発明の炭化ケイ素系複合体は、例えば、ガス発電機用や原子力発電機用のタービン翼などに応用することができ、緻密・高密度な製品を製造効率良く得ることができる。

Claims (4)

  1. 炭化ケイ素繊維からなる骨格と、前記骨格を被覆する界面層及びマトリックス層とを備える炭化ケイ素系複合体であって、
    前記炭化ケイ素繊維は、酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、該芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有し、
    前記界面層が、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含み、
    前記マトリックス層が、炭化ケイ素を含む
    ことを特徴とする炭化ケイ素系複合体。
  2. 炭化ケイ素繊維からなる骨格と、前記骨格を被覆する界面層及びマトリックス層とを備える炭化ケイ素系複合体の製造方法であって、
    酸素元素の含有量が5〜15質量%であり、炭化ケイ素を含む芯部と、前記芯部の表面に形成され、炭素を含む被覆部とからなる構造を有する炭化ケイ素繊維からなるプリフォームに、ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む化合物を含浸、乾燥及び焼成する界面層形成処理を施してプレ複合体を得、
    次いで、前記プレ複合体に、炭素及びケイ素を含む化合物を含浸させて加熱するマトリックス層形成処理を施す
    ことを特徴とする炭化ケイ素系複合体の製造方法。
  3. 前記ケイ素、窒素、ホウ素及び炭素を含む化合物が、ポリボロオルガノシラザンであることを特徴とする請求項2に記載の炭化ケイ素系複合体の製造方法。
  4. 前記炭素及びケイ素を含む化合物が、ポリカルボシランであることを特徴とする請求項2又は3に記載の炭化ケイ素系複合体の製造方法。
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