以下に添付図面を参照して、この発明にかかる資産管理装置、資産管理方法および資産管理プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
(資産管理システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の資産管理システムのシステム構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の資産管理システムのシステム構成を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態の資産管理システム100は、資産管理装置110と、顧客の端末装置120と、遺産相続人の端末装置130と、を備えている。資産管理装置110、顧客の端末装置120および遺産相続人の端末装置130は、インターネットなどのネットワーク101に接続されている。
資産管理装置110は、顧客の端末装置120や遺産相続人の端末装置130との間で通信可能とされている。資産管理装置110は、たとえば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる(図2Aを参照)。また、資産管理装置110は、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などの、通信機能を備える端末装置によって実現してもよい(図2Cを参照)。
資産管理装置110は、たとえば、銀行などによって管理される。資産管理装置110は、資産リストデータベース(図3Aを参照)や遺言書データベース(図3Bを参照)などの各種のデータベースを備えている。資産リストデータベース、遺言書データベースについては説明を後述する。
顧客の端末装置120は、資産管理装置110との間で通信可能とされており、たとえば、ネットワーク101に接続されたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる(図2Bを参照)。あるいは、顧客の端末装置120は、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などの、通信機能を備える端末装置によって実現してもよい(図2Cを参照)。顧客は、顧客の端末装置120を用いて資産管理装置110との間で通信をおこなうことにより、資産リストデータベースや遺言書データベースを更新することができる。
遺産相続人の端末装置130は、顧客の端末装置120と同様に、たとえば、ネットワーク101に接続されたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置(図2Bを参照)や、スマートフォンやタブレット端末などの、通信機能を備える端末装置(図2Cを参照)によって実現することができる。遺産相続人の端末装置130は、後述する所定の条件が整った場合に限り、資産管理装置110との間で通信することができる。
(資産管理装置110のハードウエア構成の一例)
つぎに、資産管理装置110のハードウエア構成の一例について説明する。図2Aは、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図2Aにおいて、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)211と、メモリ212と、ネットワークI/F(Interface)213と、を備えている。コンピュータ装置が備える各部211〜213は、バス210によってそれぞれ接続されている。CPU211は、コンピュータ装置の全体の制御をつかさどる。
メモリ212は、ブートプログラムなどのプログラムや各種のデータベースを構成するデータなどを記憶している。具体的に、メモリ212は、たとえば、資産リストデータベースや遺言書データベースを構成するデータなどを記憶している。また、メモリ212は、CPU211のワークエリアとして使用される。メモリ212は、たとえば、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)およびHD(Hard Disc)などによって実現することができる。
ネットワークI/F213は、ネットワーク101に接続され、コンピュータ装置の内部と外部装置とのインターフェイスをつかさどり、コンピュータ装置の内部と、顧客の端末装置120や遺産相続人の端末装置130などの外部装置と、の間におけるデータの入出力を制御する。
(顧客の端末装置120のハードウエア構成の一例)
つぎに、顧客の端末装置120のハードウエア構成の一例について説明する。図2Bは、顧客の端末装置120を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図2Bにおいて、顧客の端末装置120を実現するコンピュータ装置は、CPU221と、メモリ222と、ネットワークI/F223と、ディスプレイ224と、入力装置225と、を備えている。顧客の端末装置120を実現するコンピュータ装置が備える各部221〜225は、バス220によってそれぞれ接続されている。顧客の端末装置120を実現するコンピュータ装置には、プリンタ(図示を省略する)が接続されていてもよい。
CPU221は、コンピュータ装置の全体の制御をつかさどる。CPU221は、メモリ222が記憶する各種のプログラムやデータを用いて、顧客の端末装置120を実現するコンピュータ装置の全体の制御をつかさどる。メモリ222は、上記のメモリ212と同様に、ROM、RAM、HDDおよびHDなどによって実現することができる。ネットワークI/F223は、顧客の端末装置120を実現するコンピュータ装置の内部と資産管理装置110とのインターフェイスをつかさどる。
ディスプレイ224は、たとえば、後述する資産情報入力画面を表示する。ディスプレイ224は、具体的には、たとえば、液晶パネルによって実現することができる。液晶パネルは、透明電極が組み込まれた一対のガラス基板によって液晶材料(液晶分子)を挟み、このガラス基板に偏光フィルタを設けることによって構成されている。液晶パネルは、電極に電圧を加えて液晶分子の向きを変化させることによって、ガラス基板を透過する光の状態を制御する。また、液晶パネルは、光源として、バックライトを備えている。これにより自らは発光しない液晶分子が表示する画像を照明することができる。
入力装置225は、文字、数値、各種指示などの入力のためのキーを備え、入力装置225に対する入力操作に応じた信号をCPU221に対して出力する。入力装置225は、たとえば、タッチパネルやキーボードなどによって実現することができる。入力装置225をタッチパネルによって実現する場合、当該タッチパネルは、ディスプレイ224の表示面側に積層される。
タッチパネルは、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式など公知の各種の方式によって、指やペンなどの筆記部材のタッチパネルにおける接触位置を検出し、検出した接触位置に応じた電気信号を、CPU221に対して出力する。電磁誘導方式を採用する場合、電子ペンなどと称される専用の筆記部材を用いる。
(顧客の端末装置120のハードウエア構成の一例)
つぎに、顧客の端末装置120のハードウエア構成の一例について説明する。図2Cは、顧客の端末装置120を実現するスマートフォンのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図2Cにおいて、スマートフォンは、CPU231と、メモリ232と、ネットワークI/F233と、ディスプレイ234と、操作部235と、マイク236と、スピーカー237と、カメラ238と、を備えている。スマートフォンが備える各構成部231〜238は、バス230によってそれぞれ接続されている。
CPU231は、スマートフォンの全体の制御をつかさどる。CPU231は、メモリ232が記憶する各種のプログラムやデータを用いて、スマートフォンの全体の制御をつかさどる。メモリ232は、ROM、RAMなどによって実現することができる。ネットワークI/F233は、ネットワーク101を介して、外部装置との間におけるデータの入出力を制御する。また、ネットワークI/F233は、電話回線網に接続されており、別のスマートフォン(あるいは、携帯型電話機、PHS)などの通信端末装置や、固定型電話機との間における音声による通話を実現する。
ディスプレイ234は、たとえば、スマートフォンにおいて設定中のモード(マナーモードやドライブモードなど)や電波の受信状態を示す各種のマーク、アイコンあるいはツールボックスなどを表示する。ディスプレイ234は、たとえば、主に液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどによって実現することができる。
操作部235は、文字、数値、各種指示などの入力のためのキーを備え、データ入力をおこなう。操作部235は、たとえば、タッチパネルやキーボードなどによって実現することができる。タッチパネルやキーボードなどによって実現される操作部235は、当該操作部235に対する入力操作に応じた信号をCPU231に対して出力する。操作部235をタッチパネルによって実現する場合、当該タッチパネルは、ディスプレイ234の表示面側に積層される。タッチパネルは、指やペンなどの筆記部材が接触したことを検出した場合に、タッチパネルに対する筆記部材の接触位置に応じた電気信号を出力する。
マイク236は、アナログデータとして入力された話者の声をアナログ/デジタル変換し、デジタル形式の音声データを生成する。スピーカー237は、通話相手側から送信されたデジタル形式の音声データをデジタル/アナログ変換し、アナログ形式の音声データに基づいてスピーカコーンにおけるコイルに通電するなどして音声を出力する。カメラ238は、操作部235の操作によって撮像対象を撮像し、画像データを生成する。生成された画像データは、メモリ232などに記憶される。
(遺産相続人の端末装置130のハードウエア構成)
遺産相続人の端末装置130のハードウエア構成は、顧客の端末装置120と同様に、上述した図2Bに示したパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置や、上述した図2Cに示したスマートフォンなどによって実現することができる。
(資産リストデータベースの一例)
つぎに、資産リストデータベースの一例について説明する。図3Aおよび図3Bは、資産リストデータベースの一例を示す説明図である。図3Aにおいて、資産リストデータベース310は、顧客の識別情報ごとに、資産リスト311を記憶する。顧客の識別情報は、顧客ごとに固有の情報であって、たとえば、任意の桁数の英数字の組み合わせによって構成される。顧客の識別情報は、資産管理システム100における会員番号として用いることもできる。
資産リスト311は、識別情報によって特定される顧客の資産に関する資産情報を記憶する。資産情報は、顧客の金融口座に関する情報を含んでいる。顧客の金融口座は、たとえば、銀行において開設した普通預金口座、貯蓄預金口座、定期預金口座、積立預金口座など、公知の各種の口座によって実現することができる。また、顧客の金融口座は、たとえば、ビットコインなどのインターネット上で流通する電子マネー(仮想通貨、デジタル通貨)を保管するビットコインウォレットなどのオンライン口座によって実現されるものであってもよい。
顧客の金融口座に関する情報は、当該金融口座を特定可能な情報であって、たとえば、顧客の金融口座が銀行口座である場合は、当該銀行口座に割り当てられた口座番号によって実現することができる。銀行口座の口座番号は、顧客の金融口座を特定可能な情報であって、たとえば、4桁の金融機関コードと、3桁の支店コードと、7桁の口座番号と、によって構成される14桁の数字の組み合わせによって実現することができる。資産管理システム100において、顧客の金融口座が、資産管理装置110を管理する銀行において開設した金融口座である場合、口座番号は、普通預金口座7桁の数字の組み合わせによって実現してもよい。
また、資産リスト311は、口座番号などによって特定される金融口座の残高に関する情報を含んでいる。この実施の形態において、資産管理装置110は、たとえば、銀行が管理するコンピュータ装置に設けられた、当該銀行に開設された顧客の銀行口座の口座番号ごとに預貯金額などの残高に関する情報を関連付けて記憶する銀行のデータベースにアクセスすることにより、口座番号によって特定される銀行口座の残高を取得することができる。
また、資産情報は、顧客の所有する不動産や有価証券に関する情報などを含んでいてもよい。不動産に関する情報は、当該不動産を特定可能な情報であって、たとえば、不動産の所在地、不動産の属性に関する情報などを含む。不動産の属性は、当該不動産が土地であるか、建物や立木などの定着物であるか、を示し、建物である場合はさらに建物の種類や建築内容、築年数などを示す。また、不動産に関する情報は、該当する不動産が、管理会社など顧客以外の者が管理している不動産である場合、当該管理会社の名称や連絡先(担当者名や電話番号)などを含んでいてもよい。
有価証券に関する情報は、当該有価証券によって示される財産権を特定可能な情報であって、たとえば、有価証券の種類や数量に関する情報を含む。有価証券の種類は、当該有価証券が、たとえば、株券、債券(ゴルフ会員権など)、商品券、小切手、手形などのいずれの有価証券であるかを示す。また、有価証券に関する情報は、証券番号などの有価証券を特定可能な情報を含んでいてもよい。
また、有価証券に関する情報は、顧客が加入している保険にかかる保険証券などのように、証券による権利の移転や行使をおこなわない証拠証券に関する情報を含んでいてもよい。保険証券は、保険金の受け取り、中途解約による解約返戻金の受け取り、契約内容の変更などに際して用いられ、生命保険であれば契約者(顧客)の死亡時に保険金の受け取りに用いられる。このため、この資産管理システム100においては、保険証券などの証拠証券を有価証券と同等に取り扱うことができる。
また、資産リストデータベース310は、図3Bに示すように、顧客の識別情報ごとに、資産リスト312を記憶していてもよい。資産リスト312は、口座番号ごとに、口座番号によって特定される金融口座に対して、定期的に引落がおこなわれている取引に関する情報を関連付けて記憶している。具体的には、資産リスト312は、たとえば、「株式会社○×新聞社 毎月5,000円 引落」、「△□同窓会 毎年10,000円 引落」、「◎◎友の会 毎年5,000円 引落」などのように、定期的におこなわれている取引の項目や金額、および、当該取引の種別が引落であることを示す情報を、口座番号ごとに関連付けて記憶している。
また、資産リスト312は、口座番号ごとに、口座番号によって特定される金融口座に対して、定期的に入金がおこなわれている取引に関する情報を関連付けて記憶していてもよい。具体的には、資産リスト312は、たとえば、「日本年金機構 毎月150,000円 入金」などのように、定期的に入金がおこなわれている取引に関する情報を関連付けて記憶している。
資産リスト311や資産リスト312は、顧客によって入力された資産情報と、当該資産情報に基づいて取得される資産価値に関する情報に基づいて作成される。資産情報は、たとえば、後述する資産情報入力画面(図4Aを参照)を介して入力することができる。顧客による資産情報の入力方法や、入力された顧客の資産情報に基づく資産価値に関する情報の取得方法については、説明を後述する。
(遺言書データベースの一例)
つぎに、遺言書データベースの一例について説明する。図3Cは、遺言書データベースの一例を示す説明図である。図3Cにおいて、遺言書データベース320は、顧客の識別情報ごとに、当該顧客の遺言書321を記憶する。遺言書321は、顧客ごとの遺言情報を記憶している。
遺言情報は、資産の遺贈先(遺産相続人)、および、当該遺贈先に関連付けられた遺贈資産内容に関する情報を含む。遺言情報において、遺贈資産内容に関する情報によって示される資産は、上述の資産リスト311や資産リスト312における資産情報によって示される資産に含まれる。すなわち、遺言情報においては、資産リスト311や資産リスト312に含まれていない資産について資産の遺贈先を定めることはできない。
また、遺言情報は、顧客によって入力された任意のテキストデータ、画像データ、音声データを含んでいてもよい。これにより、顧客は、たとえば、遺族へ言い残したいことや遺族への顧客の感謝の気持ちなどを文章によって示し、遺言として残すことができる。また、これにより、顧客は、思い出の画像(静止画、動画)や音声などを、遺言書に含めることができる。遺言情報は、たとえば、資産情報の入力方法と同様に、顧客の端末装置120に遺言情報入力画面(図示を省略する)を表示させ、当該遺言情報入力画面の内容にしたがって顧客に入力操作をおこなわせることによって入力される。
(資産情報入力画面の一例)
つぎに、資産情報入力画面の一例について説明する。図4Aは、資産情報入力画面の一例を示す説明図である。図4Aにおいて、資産情報入力画面410は、顧客の端末装置120を実現するパーソナルコンピュータやスマートフォンが備えるディスプレイ224、234に表示される。
資産情報入力画面410は、たとえば、WWW(World Wide Web)システムにおける情報送信機能を備えた所定のWebサーバを介して、HTTP(HyperText Transfer Protocol)にしたがって、顧客の端末装置120が備えるウェブブラウザに対して表示させた、HTML(HyperText Markup Language)や画像などの各種オブジェクトによって構成することができる。
資産情報入力画面410は、顧客が顧客の端末装置120を操作することによって、あらかじめ顧客に通知されたURLによって特定される所定のWEBページへの接続の意思を示した場合に、顧客の端末装置120が所定のWebサーバとの間で通信をおこなうことにより、顧客の端末装置120を実現するパーソナルコンピュータやスマートフォンが備えるディスプレイ224、234に表示される。資産情報入力画面410は、たとえば、あらかじめ定められた顧客番号(顧客の識別情報)や暗証番号などの入力によって当該資産情報入力画面410の表示が許可された顧客であることが認証された場合に表示することができる。
資産情報入力画面410においては、顧客の氏名や顧客の識別情報(会員番号)の入力を受け付ける入力欄が設けられている。また、資産情報入力画面410においては、顧客の金融口座における残高に関する情報を入力する入力欄が設けられている。具体的に、資産情報入力画面410においては、たとえば、金融口座に関する情報を表示する。より具体的には、資産情報入力画面410においては、たとえば、顧客の銀行口座の預貯金残高や、当該残高の預貯金がある銀行名や支店名、および口座番号などを表示する。
また、資産情報入力画面410においては、顧客の所有する不動産や有価証券に関する情報の入力を受け付ける入力欄が設けられている。具体的に、資産情報入力画面410においては、たとえば、顧客の所有する不動産の種別や所在地、その他当該不動産に関する情報(広さなど)の入力を受け付ける入力欄が設けられている。また、具体的に、資産情報入力画面410においては、たとえば、顧客の所有する有価証券の種類や数量の入力を受け付ける入力欄が設けられている。
さらに、資産情報入力画面410は、所定のサイトに保管されている動画や写真などのネットワーク101上の資産や、骨董品などの顧客の収集品や盆栽などの趣味の品などのように、取引価格や価値を客観的に示すことが困難な資産に関する情報の入力を受け付ける入力欄が設けられていてもよい。
このような資産情報入力画面410を介して資産情報の入力を受け付けることにより、顧客は、資産情報入力画面410の表示内容にしたがって最小限の入力をおこなうだけで、資産情報を入力することができる。顧客は、任意のタイミングで資産情報入力画面410を表示させ、任意のタイミングで資産情報を入力することができる。
顧客の端末装置120は、資産情報入力画面410において「確定」キーが操作されるなど、所定の入力がおこなわれた場合に、資産情報入力画面410において入力された情報に顧客の識別情報を関連付けた資産情報を生成し、当該資産情報を所定のWebサーバを介してあるいは資産管理装置110に直接に送信する。送信される資産情報においては、顧客によって入力された情報に、各情報が入力された欄すなわち資産の種類に関する情報が関連付けられている。
遺言情報入力画面は、資産情報入力画面410と同様に、顧客が顧客の端末装置120を操作することによって、あらかじめ顧客に通知されたURLによって特定される所定のWEBページへの接続の意思を示した場合に、顧客の端末装置120が所定のWebサーバとの間で通信をおこなうことにより、顧客の端末装置120を実現するパーソナルコンピュータやスマートフォンが備えるディスプレイ224、234に表示させることができる。遺言情報入力画面は、たとえば、資産情報入力画面410と同様に、あらかじめ定められた顧客番号(顧客の識別情報)や暗証番号などの入力によって当該遺言情報入力画面の表示が許可された顧客であることが認証された場合に表示することができる。
遺言情報入力画面においては、資産リスト311における資産情報ごとに、当該資産情報によって示される資産を顧客の死亡後に相続する遺産相続人に関する情報の入力を受け付ける入力欄を設ける。具体的に、遺言情報入力画面においては、たとえば、金融口座の預貯金の相続人を入力する欄、不動産の相続人を入力する欄、有価証券情報の相続人を入力する欄などのように、資産の種類ごとに、該当する資産の相続人を入力する欄が設けられている。相続人を入力する各欄においては、「相続人Aには50%、相続人Bには30%、相続人Cには20%」などのように、複数人の相続人を指定し、それぞれの相続人の相続割合を指定する情報を入力してもよい。
また、遺言情報入力画面においては、資産の相続に限らず、顧客による任意の遺言情報の入力を受け付ける入力欄を設けてもよい。具体的には、テキストデータの入力欄や、画像(静止画、動画)データや音声データなどの任意の形式のデータの入力を受け付ける入力欄を設けることができる。これにより、顧客は、遺族への顧客の感謝の気持ちを示す文章や、思い出の画像(静止画、動画)や、遺族に残したい音声にかかる音声データなどの、資産の相続に限らない任意の遺言情報を入力することができる。
また、遺言情報入力画面は、顧客の遺産相続人の端末装置に関する情報を入力する欄を表示する。具体的には、遺言情報入力画面は、顧客の遺産相続人の端末装置に割り当てられた電子メールアドレスを入力する欄を表示する。このように、資産リスト311の項目ごとに相続人を指定する遺言情報入力画面を介して遺言情報の入力を受け付けることにより、顧客は、遺言情報入力画面の表示内容にしたがって最小限の入力をおこなうだけで、遺言情報を入力することができる。顧客は、任意のタイミングで遺言情報入力画面を表示させ、任意のタイミングで遺言情報を入力することができる。
顧客の端末装置120は、遺言情報入力画面において「確定」キーが操作されるなど、所定の入力がおこなわれた場合に、遺言情報入力画面において入力された情報に顧客の識別情報を関連付けた遺言情報を生成し、当該遺言情報を所定のWebサーバを介してあるいは資産管理装置110に直接に送信する。送信される遺言情報においては、顧客によって入力された情報に、資産の項目に関する情報が関連付けられている。顧客は、任意のタイミングで遺言情報入力画面を表示させ、任意のタイミングで遺言情報を入力することができる。
遺言情報入力画面の表示に用いるURLや暗証番号は、資産情報入力画面410の表示に用いるURLや暗証番号と同じであってもよく、それぞれ別に設定されていてもよい。遺言情報入力画面の表示に用いるURLや暗証番号と資産情報入力画面410の表示に用いるURLや暗証番号とを同じに設定することにより、顧客が管理する情報を少なくし、管理にかかる負担軽減を図ることができる。一方、遺言情報入力画面の表示に用いるURLや暗証番号と資産情報入力画面410の表示に用いるURLや暗証番号とを異ならせることにより、遺言情報が不正に更新されることを抑制し、遺言の内容にかかる安全性を確保することができる。
(遺言書の表示例)
つぎに、遺言書の表示例について説明する。図4Bは、遺言書の表示例を示す説明図である。図4Bにおいて、遺産相続人の端末装置130は、所定のパスワードの入力をともなう入力操作を受け付けた場合に、資産管理装置110との間で通信をおこなうことにより、遺産相続人の端末装置130を実現するパーソナルコンピュータやスマートフォンが備えるディスプレイ224、234に遺言書画面420が表示される。
遺言書画面420は、上述した遺言書データベース320に登録された遺言書に基づいて作成され、遺言情報に基づく各種の遺言を表示する。遺言書画面420は、顧客の氏名や、遺言書が作成された日時に関する情報を表示する。遺言書画面420は、相続する資産の他、顧客によって入力されたテキストデータに基づくメッセージを含んでいてもよい。また、遺言書画面420は、「上記遺言内容は、○年○月×日に公証人による公証済である。」などのように、顧客による特記事項を含んでいてもよい。遺言書画面420の表示形式は、顧客によって指定することができるようにしてもよい。
(資産管理装置110の機能的構成)
つぎに、資産管理装置110の機能的構成について説明する。図5は、資産管理装置110の機能的構成を示すブロック図である。図5において、資産管理装置110の各機能は、資産リストデータベース310と、遺言書データベース320と、資産情報入力部501と、残高取得部502と、資産価値取得部503と、取引先取得部504と、資産リスト作成部505と、資産リスト登録部506と、資産リスト送信部507と、遺言情報入力部508と、遺言書作成部509と、遺言書登録部510と、死亡情報取得部511と、パスワード作成部512と、パスワード送信部513と、取引廃止処理部514と、によって実現することができる。
資産リストデータベース310および遺言書データベース320は、たとえば、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるメモリ212に設けられている。資産リストデータベース310や遺言書データベース320を記憶する記憶装置は、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置が一体的に備えるメモリ212に限るものではなく、資産管理装置110とは別体で設けられた記憶装置であってもよい。また、資産リストデータベース310および遺言書データベース320は、単一の記憶装置に設けられるものに限らず、たとえば、それぞれが別の記憶装置に設けられていてもよい。
資産情報入力部501は、顧客の金融口座に関する情報を含む当該顧客の資産に関する資産情報の入力を受け付ける。資産情報入力部501は、上述した資産情報入力画面410の表示中に入力された情報に基づいて顧客の端末装置120において生成された資産情報を、所定のWebサーバを介してあるいは顧客の端末装置120から直接受信することによって、当該資産情報の入力を受け付けることができる。資産情報入力部501の機能は、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるCPU211、メモリ212、ネットワークI/F213などによって実現することができる。
残高取得部502は、資産情報入力部501によって入力が受け付けられた金融口座に関する情報から当該金融口座を検索し、当該金融口座の残高を取得する。残高取得部502は、たとえば、資産情報入力部501によって資産情報の入力が受け付けられるごとに、該当する金融口座を検索し、当該金融口座の残高を取得する。
具体的には、残高取得部502は、たとえば、資産情報入力部501によって資産情報の入力が受け付けられると、当該資産情報から金融口座に関する情報を抽出する。つぎに、抽出された金融口座に関する情報に基づいて銀行を特定し、特定した銀行のサーバに対してアクセスする。そして、アクセスした銀行のサーバから、該当する金融口座の履歴を取得することによって当該金融口座の残高を取得することができる。この場合、残高取得部502の機能は、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるCPU211、メモリ212、ネットワークI/F213などによって実現することができる。
資産管理システム100においては、銀行のサーバと資産管理装置110とを専用回線で接続することにより、残高取得部502による金融口座の履歴の取得にかかる通信に際して情報が漏洩することを抑制し、残高取得部502による金融口座の履歴の取得にかかる安全性を確保することができる。
資産管理システム100においては、たとえば、顧客の預貯金を管理する銀行のサーバを実現するコンピュータ装置によって資産管理装置110を実現してもよい。この場合、残高取得部502の機能は、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるCPU211、メモリ212などによって実現することができる。このように、銀行のサーバおよび資産管理装置110を同一のコンピュータ装置によって実現することにより、残高取得部502による金融口座の履歴の取得にかかる通信を不要とし、残高取得部502による金融口座の履歴の取得にかかる安全性を確保することができる。
資産価値取得部503は、資産情報に含まれる不動産情報および有価証券情報の少なくともいずれかの資産価値に関する情報を取得する。資産価値取得部503は、たとえば、資産情報入力部501によって入力が受け付けられた資産情報に不動産情報が含まれる場合、当該不動産情報に基づいて、不動産を特定する。そして、ネットワーク101に接続された不動産会社のサーバなどと通信をおこなうことにより、特定された不動産の資産価値に関する情報を取得する。
具体的には、たとえば、特定された不動産が土地である場合、資産価値取得部503は、国土交通省が管理する土地総合情報システムとの間で通信をおこなって、該当する不動産の資産価値に関する不動産取引価格情報を取得し、取得した不動産取引価格情報と該当する土地の広さとに基づいて、不動産の取引相場価格を資産価値に関する情報として取得することができる。
また、具体的には、たとえば、特定された不動産が家屋などの建物である場合、資産価値取得部503は、ネットワーク101上に開設されている不動産会社のWEBサイト上で開示されている情報(該当地域の家屋の価格、間取り、建物面積、築年月など)に基づいて推定される取引相場価格を取得し、取得した取引相場価格を資産価値に関する情報として取得することができる。
資産価値取得部503は、たとえば、資産情報入力部501によって入力が受け付けられた資産情報に有価証券情報が含まれる場合も、不動産情報が含まれる場合と同様に、ネットワーク101を介して所定のデータベースにアクセスして該当する有価証券の取引相場価格を取得し、取得した取引相場価格を資産価値に関する情報として取得することができる。
取引先取得部504は、資産情報入力部501によって入力が受け付けられた金融口座に関する情報から当該金融口座を検索し、当該金融口座に対して入出金処理がおこなわれた取引先に関する情報を取得する。取引先取得部504は、たとえば、資産情報入力部501によって資産情報の入力が受け付けられるごとに、該当する金融口座を検索する。資産リスト311に登録された金融口座が複数存在する場合、取引先取得部504は、該当するすべての金融口座を検索する。
具体的には、取引先取得部504は、検索した金融口座の履歴を取得すると、取得した履歴の中から、定期的(1ヶ月ごと、3ヶ月ごと、1年ごとなど)に入出金処理がおこなわれている履歴を特定する。つぎに、特定した履歴に基づいて、必要なデータベースを検索し、取引先に関する情報を取得する。たとえば、履歴から特定される取引先が「カ)○×シンブンシャ」である場合、ネットワーク101上に開設されているWEBページや各種データベースを検索し、「カ)○×シンブンシャ」に該当する「株式会社○×新聞社」を取引先に関する情報として取得する。
資産管理システム100において、銀行のサーバと資産管理装置110とを同一の銀行が管理する場合は、履歴を特定した後、ネットワーク101上に開設されているWEBページや各種データベースを検索する前に、当該銀行のサーバが保有する当該銀行の取引先に関するデータベースを検索するようにしてもよい。これにより、取引先に関する情報を迅速に取得することができ、かつ、取得された取引先に関する情報の信頼性を確保することができる。
取引先取得部504は、取引先に関する情報に加えて、取引金額に関する情報を取得してもよい。この場合、取引先取得部504は、たとえば、毎回定額が取引されている場合は当該定額を取引金額と特定し、毎回異なる額が取引されている場合は所定回数分の取引額の平均額を取引金額に関する情報として取得する。
取引先取得部504は、ネットワーク101上に開設されているWEBページや各種データベースを検索しても、取引先に関する情報を取得できない場合、あらかじめ設定された「取引先不明」などのテキスト情報を、取引先に関する情報として取得してもよい。あるいは、取引先取得部504は、ネットワーク101上に開設されているWEBページや各種データベースを検索した結果取得された取引先に関する情報の信頼性が低い(同一名称の企業が複数存在する、など)と判断した場合、取得された取引先に関する(と推定される)情報と併せて、「取引先 要確認」などのテキスト情報を取引先に関する情報として取得してもよい。
また、取引先取得部504は、資産情報入力部501によって入力が受け付けられた金融口座に関する情報から当該金融口座を検索し、当該金融口座から定期的におこなわれた振込にかかる振込先に関する情報を取得してもよい。これにより、たとえば、親族に定期的に振込をしているなどの事情がある場合に、当該振込がおこなわれていること、当該振込先を特定することができる。
資産リスト作成部505は、資産情報入力部501によって入力が受け付けられた資産情報および残高取得部502によって取得された金融口座の残高に基づいて資産リスト311を作成する。資産リスト作成部505は、たとえば、金融口座に関する情報、不動産情報、有価証券情報など、顧客によって入力された資産情報を、資産の種類ごとに分類した資産リスト311を作成する。
資産リスト作成部505は、資産価値取得部503によって取得された資産価値に関する情報に基づいて資産リスト311や資産リスト312を作成する。具体的に、資産リスト作成部505は、たとえば、口座番号ごとに各金融口座の残高が関連付けられた資産リスト311を作成する。また、具体的に、資産リスト作成部505は、各不動産および各有価証券の取引相場価格を含む資産リスト311を作成する。
資産リスト作成部505は、前回作成した資産リスト311における差分を算出し、当該差分を当該資産リスト311に含めてもよい。差分は、資産価値の差分であってもよく、資産自体の差分であってもよい。資産価値の差分は、たとえば、前回作成した資産リスト311における或る金融口座の残高に対する、今回作成した最新の資産リスト311における同じ金融口座の残高の差分(増減)や、不動産や有価証券の取引相場価格の差分(増減)によって示すことができる。
また、資産自体の差分は、たとえば、資産の項目の増減によって示すことができる。具体的には、資産の項目の増減は、たとえば、前回作成した資産リスト311には含まれず今回作成した資産リスト311において追加された資産や、前回作成した資産リスト311には含まれており今回作成した資産リスト311から削除された資産などを特定することによって示すことができる。資産の項目は、たとえば、金融口座、不動産、有価証券などのように、資産の種類ごとに示すことができる。
具体的に、資産リスト作成部505は、資産リスト311を作成するごとに、作成した資産リスト311に関する情報を当該作成の日時に関する情報と関連付けて記憶部に記憶する。そして、資産リスト311を作成するごとに、記憶部に記憶された作成の日時に関する情報に基づいて、前回(直前回)に作成した資産リスト311に対する差分を算出し、算出した差分を含めた資産リスト311を作成する。
資産リスト作成部505は、取引先取得部504によって取得された取引先に関する情報に基づいて資産リスト311を作成してもよい。具体的には、資産リスト作成部505は、たとえば、金融口座に対して定期的に入出金がおこなわれている取引額あるいは過去数回分の取引における平均額を、資産(引落の場合はマイナスの資産)として含む資産リスト311を作成してもよい。
また、資産リスト作成部505は、取引先取得部504によって取得された取引先に関する情報に基づいて資産リスト312を作成してもよい。具体的には、資産リスト作成部505は、たとえば、取引先取得部504によって取得された取引先に関する情報や取引金額に関する情報に基づいて、当該金融口座から定期的におこなわれた入出金をともなう取引の項目や金額、および、当該取引の種別などの情報を取得し、取得した各情報に基づいて資産リスト312を作成することができる。これにより、顧客に対して、資産情報入力画面410において、金融口座に関する情報を入力させるだけで、資産リスト312を作成することができる。これにより、資産の管理にかかる顧客の負担軽減を図ることができる。
資産リスト登録部506は、資産リスト作成部505によって作成された資産リスト311を顧客ごとに登録する。資産リスト登録部506は、資産リスト作成部505によって作成された資産リスト311を、資産情報入力画面410の表示に際して入力された顧客の識別情報に関連付けて、記憶部における資産リストデータベース310に登録する。
資産リスト送信部507は、資産リスト登録部506に登録された資産リスト311を、顧客からの要求を受け付けた場合に、当該顧客の端末装置120へ送信する。資産管理システム100においては、顧客により、当該顧客の端末装置120に対して所定の入力操作がおこなわれた場合、資産管理装置110に対して、資産リスト311の送信要求を送信することができる。
資産リスト送信部507は、資産リスト311の送信要求を受け付けた場合に、当該送信要求の送信元となる顧客の端末装置120に対して、資産リスト登録部506に登録された資産リスト311を送信する。これにより、顧客は、資産リスト311の内容を任意のタイミングで確認することができる。
あるいは、資産リスト送信部507は、資産リスト登録部506に登録された資産リスト311を、所定のタイミングで、該当する該顧客の端末装置120へ送信してもよい。具体的には、資産リスト送信部507は、たとえば、顧客の端末装置120に対する入力操作に応じた資産情報の入力を受け付けたタイミングで、資産リスト登録部506に登録された資産リスト311を、該当する顧客の端末装置120へ送信する。
また、具体的には、資産リスト送信部507は、たとえば、月が変わったタイミング、あらかじめ指定された日付が到来したタイミング、前回資産リスト311を更新してから所定期間が経過したタイミングなどにおいて、資産リスト登録部506に登録された資産リスト311を、該当する顧客の端末装置120へ送信してもよい。これにより、顧客は、確認のタイミングを格別意識することなく、資産リスト311を受信したタイミングで適宜資産リスト311の内容を確認することができる。
遺言情報入力部508は、顧客の遺言情報の入力を受け付ける。顧客の遺言情報は、上記のように、資産リスト311に含まれる資産の分配内容を指定する情報であって、顧客が任意に入力可能とすることができる。顧客の遺言情報は、たとえば、資産リスト311に含まれる各資産の相続人(遺産相続人)や、当該相続人が複数存在する場合はそれぞれの相続人の相続割合を指定する情報によって実現することができる。
遺言情報入力部508は、遺言情報入力画面の表示中に入力された情報に基づいて顧客の端末装置120において生成された遺言情報を、所定のWebサーバを介してあるいは顧客の端末装置120から直接受信することによって、当該遺言情報の入力を受け付けることができる。また、遺言情報入力部508は、顧客の遺産相続人の端末装置130に関する情報(遺産相続人の端末装置130の電子メールアドレスなど)の入力を受け付ける。遺言情報入力部508の機能は、資産管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるCPU211、メモリ212、ネットワークI/F213などによって実現することができる。
また、遺言情報入力部508は、顧客の遺言情報の更新情報の入力を受け付けることができる。具体的に、資産管理システム100の運用上、顧客は、遺言の内容を更新したい場合は、最初に遺言情報入力画面を表示させたときと同様にして、顧客の端末装置120において遺言情報入力画面を表示させる。資産管理システム100においては、既に遺言情報の入力を受け付けた後、再度、遺言情報入力画面を表示する際は、既に入力された遺言情報を含む遺言情報入力画面を表示させる。そして、顧客は、遺言の内容を更新する場合は、最初に遺言情報入力画面を表示させたときと同様にして、顧客の遺言情報の更新情報を入力する。
入力された顧客の遺言情報の更新情報は、顧客の端末装置120において「確定」キーが操作されるなど、所定の入力がおこなわれた場合に、顧客の端末装置120からWebサーバを介して、あるいは、顧客の端末装置120から直接資産管理装置110に送信される。遺言情報入力部508は、更新後の遺言情報を、Webサーバを介してあるいは顧客の端末装置120から直接受信することによって入力を受け付けることができる。このように、遺言情報の更新を可能とすることにより、顧客は、任意のタイミングで、資産リスト311の項目ごとに、相続人や相続割合を更新することができる。
金融口座の残高や不動産や有価証券の価値は日々変化する。このため、或る時点において、顧客が各人に平等に相続されるように「資産リスト311に含まれる資産のうち、金融口座にある残高はすべて長男へ相続させ、不動産はすべて次男に相続させる」のように定めた場合であっても、金融口座の残高のみ、あるいは、不動産や有価証券の価値のみが大きく変動する場合には、公平性が崩れてしまうことが想定される。
あるいは、顧客の考えが変わり、相続内容の変更を希望することが想定される。この実施の形態の資産管理システム100においては、遺産情報入力画面において、資産の項目を当該資産の内容とともに案内し、遺産情報の入力をおこなわせることにより、顧客は、最新の資産の価値を確認しながら相続の分配をおこなうことができる。
遺言書作成部509は、遺言情報入力部508によって入力が受け付けられた遺言情報および顧客の資産リスト311に基づいて遺言書321を作成する。遺言情報の更新情報を受け付けた場合、遺言書作成部509は、遺言情報の更新情報に基づいて遺言書321を作成する。
遺言書作成部509は、具体的には、たとえば、資産リスト311に含まれる資産のうち、金融口座に関する情報に「長男」、不動産情報に「次男」を示す情報が関連付けられている場合、「資産リスト311に含まれる資産のうち、金融口座にある残高はすべて長男へ相続させ、不動産はすべて次男に相続させる」などの記述を含む遺言書321を作成する。
遺言書作成部509は、遺言情報入力部508によって入力が受け付けられた遺言情報および顧客の資産リスト311の内容に応じて、「資産リスト311に含まれる資産のうち、金融口座にある残高の50%を長男へ相続させ、残余の50%を次男に相続させる」などの記述を含む遺言書321を作成してもよい。
遺言書登録部510は、遺言書作成部509によって作成された遺言書321を、記憶部における遺言書データベース320に登録する。遺言書登録部510によって遺言書データベース320に登録された遺言書321に含まれる資産は、顧客の識別情報に基づいて特定される資産リスト311における資産の項目や資産の内容と関連づけられている。
遺言書登録部510は、遺言書作成部509によって作成された遺言書321を、当該遺言書321が作成された日時と関連づけて遺言書データベース320に登録する。遺言書作成部509によって作成された遺言書321が遺言情報の更新情報に基づいて作成されたものである場合、遺言書登録部510は、前回作成された遺言書を破棄して、遺言情報の更新情報に基づいて作成された遺言書321を、遺言書データベース320に登録する。遺言書登録部510は、前回作成された遺言書321を破棄せずに、更新されるごとに前回以前の遺言書321を累積して記憶してもよい。
死亡情報取得部511は、顧客の死亡に関する死亡情報を取得する。死亡情報取得部511は、たとえば、資産管理システム100の運用者や顧客の遺族によって入力された、当該顧客の死亡に関する死亡情報を取得する。また、資産管理システム100の運用に際して、役所や病院とあらかじめ提携しておくことにより、死亡情報取得部511は、たとえば、役所のデータベースや病院のデータベースにアクセスすることによって、顧客の死亡に関する死亡情報を取得するようにしてもよい。
パスワード作成部512は、死亡情報取得部511によって取得された死亡情報に基づいて、遺言書登録部510に登録されている当該顧客の遺言書を取得するためのパスワードを作成する。パスワード作成部512は、たとえば、遺産相続人の人数にかかわらず、死亡した顧客ごとにパスワードを生成する。あるいは、パスワード作成部512は、たとえば、遺産相続人の人数分のパスワードを作成してもよい。資産管理装置110は、パスワード作成部512によって作成されたパスワードを、遺言書(顧客の識別情報)と関連付けて記憶する。
パスワード送信部513は、パスワード作成部512によって作成されたパスワードを、あらかじめ登録されている顧客の遺産相続人の端末装置へ送信する。パスワード作成部512が死亡した顧客ごとにパスワードを生成する場合、遺産相続人の人数にかかわらず、すべての遺産相続人に同一のパスワードが送信される。パスワード作成部512が遺産相続人の人数分のパスワードを作成した場合、各遺産相続人にそれぞれ異なるパスワードが送信される。
取引廃止処理部514は、死亡情報取得部511によって取得された死亡情報に基づいて、取引先からの取引廃止要求に関する情報を当該取引先へ送信する。取引廃止処理部514は、たとえば、取引先に対して、顧客が死亡したために以降の取引をおこなわないことを示すメッセージを、取引先からの取引廃止要求に関する情報として、当該取引先に送信する。取引先は、上記のように、ネットワーク101上に開設されているWEBページや各種データベースを検索したり、銀行が備える、当該銀行の取引先に関するデータベースを検索したりすることによって特定することができる。
(資産管理装置110の処理手順)
つぎに、資産管理装置110の処理手順について説明する。図6A〜図6Dは、資産管理装置110の処理手順を示すフローチャートである。図6Aのフローチャートにおいては、まず、資産情報の入力を受け付けるまで待機する(ステップS601:No)。資産情報の入力を受け付けた場合(ステップS601:Yes)、受け付けた資産情報から金融口座に関する情報を抽出する(ステップS602)。
つぎに、抽出した金融口座に関する情報に基づいて特定される金融口座の残高を取得する(ステップS603)。ステップS603においては、金融口座に関する情報から当該金融口座が開設されている銀行を特定し、特定した銀行のサーバに対してアクセスして該当する金融口座の履歴を取得することで、当該履歴に基づいて金融口座の残高を取得することができる。
また、特定した銀行のサーバに対してアクセスすることによって取得した、該当する金融口座の履歴から、金融口座に対して入出金処理がおこなわれた取引先に関する情報を取得する(ステップS604)。
つぎに、ステップS601:Yesにおいて受け付けた資産情報に、不動産情報が含まれるか否かを判断する(ステップS605)。不動産情報が含まれる場合(ステップS605:Yes)、ステップS607へ移行する。不動産情報が含まれない場合(ステップS605:No)、ステップS601:Yesにおいて受け付けた資産情報に、有価証券情報が含まれるか否かを判断する(ステップS606)。有価証券情報が含まれる場合(ステップS606:Yes)、ステップS607へ移行する。有価証券情報が含まれない場合(ステップS606:No)、ステップS608へ移行する。
ステップS601:Yesにおいて受け付けた資産情報に、不動産情報または有価証券情報が含まれている場合、当該不動産情報や有価証券情報に基づいて、資産価値に関する情報を取得する(ステップS607)。不動産や有価証券の資産価値に関する情報は、上述したように、ネットワーク101を介して所定のデータベースにアクセスして取得される取引相場価格に基づいて取得することができる。
つぎに、資産リストデータベース310を参照して、該当する顧客に関し、前回の資産リスト311や資産リスト312があるか否かを判断する(ステップS608)。前回の資産リスト311がない場合(ステップS608:No)、ステップS610へ移行する。前回の資産リスト311や資産リスト312がある場合(ステップS608:Yes)、当該前回の資産リスト311や資産リスト312との差分を算出する(ステップS609)。ステップS609においては、たとえば、上述したように、前回作成した資産リスト311における金融口座の残高に対する、同じ金融口座の残高の差分(増減)を算出する。
つぎに、ステップS601:Yesにおいて入力を受け付けた資産情報、ステップS603において取得した金融口座の残高、ステップS607において取得した資産価値に関する情報、および、ステップS609において算出した差分などに基づいて、最新の資産リスト311や資産リスト312を作成する(ステップS610)。その後、作成した資産リスト311や資産リスト312を、資産リストデータベース310に登録して(ステップS611)、一連の処理を終了する。
図6Bのフローチャートにおいては、まず、資産リスト311や資産リスト312の送信タイミングが到来したか否かを判断する(ステップS612)。資産リスト311や資産リスト312の送信タイミングが到来していない場合(ステップS612:No)、顧客の端末装置120から資産リスト311や資産リスト312の送信要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS613)。顧客の端末装置120から資産リスト311や資産リスト312の送信要求を受け付けていない場合(ステップS613:No)、ステップS612へ戻る。
資産リスト311や資産リスト312の送信タイミングが到来した場合(ステップS612:Yes)、あるいは、資産リスト311や資産リスト312の送信要求を受け付けた場合(ステップS613:Yes)、該当する顧客の端末装置120に対して、当該顧客の資産リスト311や資産リスト312を送信して(ステップS614)、一連の処理を終了する。
図6Cのフローチャートにおいては、まず、遺言情報の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS621)。遺言情報の入力を受け付けた場合(ステップS621:Yes)、受け付けた遺言情報に基づいて遺言書を作成し(ステップS622)、遺言書データベース320に作成した遺言書を登録して(ステップS623)、一連の処理を終了する。
一方、ステップS621において、遺言情報の入力を受け付けていない場合(ステップS621:No)、遺言情報の更新情報の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS624)。遺言情報の更新情報の入力を受け付けていない場合(ステップS624:No)、ステップS621へ戻る。
ステップS624において、遺言情報の更新情報の入力を受け付けた場合(ステップS624:Yes)、当該遺言情報の更新情報に基づいて、遺言書データベース320から該当する遺言書を抽出し(ステップS625)、当該遺言情報の更新情報に基づいて遺言書を更新する(ステップS626)。その後、遺言書データベース320に更新した遺言書を登録して(ステップS623)、一連の処理を終了する。
図6Dのフローチャートにおいては、まず、死亡情報を取得するまで待機する(ステップS631:No)。死亡情報を取得した場合(ステップS631:Yes)、取得した死亡情報に基づいて該当する顧客の識別情報を特定する(ステップS632)。ステップS632においては、たとえば、死亡情報に含まれる死亡者の氏名に合致する顧客の識別情報を特定する。
つぎに、特定した顧客の識別情報に基づいて、当該顧客にかかる遺言書を特定する(ステップS633)。そして、特定した遺言書の閲覧に供するパスワードを作成する(ステップS634)。また、遺産相続人の端末装置を特定する(ステップS635)。
つぎに、ステップS634において生成したパスワードを、ステップS635において特定した遺産相続人に通知するためのパスワード通知メールを生成し(ステップS636)、特定した遺産相続人の端末装置に対して、生成したパスワード通知メールを送信して(ステップS637)、一連の処理を終了する。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、資産情報の入力を受け付けると、該当する金融口座の残高を取得し、取得された金融口座の残高に基づいて資産リスト311や資産リスト312を作成する。そして、作成された資産リスト311を資産リストデータベース310に登録し、当該資産リスト311や資産リスト312を顧客からの要求によりまたは所定のタイミングで、当該顧客の端末装置へ送信するようにしたことを特徴としている。
これにより、顧客は、金融口座に関する情報を含む資産情報を入力するだけで、当該金融口座の残高を含めた資産リスト311や資産リスト312を作成させ、作成された資産リスト311を確認することができるので、資産の管理にかかる顧客の負担軽減を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、資産情報に含まれる不動産情報および有価証券情報の少なくともいずれかの資産価値に関する情報を取得し、取得された資産価値に関する情報に基づいて資産リスト311や資産リスト312を作成するようにしたことを特徴としている。
これにより、資産情報に不動産情報および有価証券情報の少なくともいずれかが含まれる場合は、金融口座の残高に加えて、該当する不動産および有価証券の少なくともいずれかの資産価値を含む資産リスト311を作成させ、作成された資産リスト311や資産リスト312を確認することができるので、金融口座の残高、不動産および有価証券のように複数種類の資産を有する場合にも、資産の種類にかかわらず、資産の管理にかかる顧客の負担軽減を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、前回作成した資産リスト311や資産リスト312における差分を算出し、当該差分を当該資産リスト311や資産リスト312に含めるようにしたことを特徴としている。資産管理装置110は、リスト項目の差分と、各リストの金額(価値)の差分と、の両方の差分を含める。
これにより、顧客は、最新の資産情報を入力するだけで、前回作成された資産リスト311や資産リスト312との差分を把握することができるので、資産の管理にかかる顧客の負担軽減を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、顧客の遺言情報の入力を受け付けると、当該遺言情報および当該顧客の資産リスト311や資産リスト312に基づいて遺言書を作成し、作成された遺言書を登録するようにしたことを特徴としている。
これにより、資産リスト311や資産リスト312に基づいて作成された遺言書を残すことによって、顧客の死亡後の資産の処分にかかる遺族の負担軽減を図ることができる。すなわち、資産リスト311や資産リスト312に基づく資産情報の開示によって資産を容易に把握することができるので、遺族による資産の特定にかかる負担をなくすことができる。また、資産リスト311や資産リスト312に基づき、顧客の死亡後に資産を相続する遺産相続人をあらかじめ定めておくことにより、遺産相続を円滑におこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、顧客の遺言情報の更新情報の入力を受け付けると、遺言書データベース320から該当する遺言書を抽出し、当該遺言情報の更新情報および顧客の資産リスト311や資産リスト312に基づいて遺言書を更新し、更新された遺言書を遺言書データベース320に登録するようにしたことを特徴としている。
これにより、顧客は、遺言書を作成した後も、たとえば、資産の価値が変動した場合や遺産相続人に変動があった場合など、任意のタイミングで遺言書を更新することができる。このように、任意のタイミングでの遺言書の更新を可能とすることにより、顧客は落ち着いて遺言書を作成することができ、急遽不慮の事態が発生した場合に備えることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、顧客の死亡に関する死亡情報を取得し、取得された死亡情報に基づいて、遺言書データベース320に登録されている当該顧客の遺言書を取得するためのパスワードを作成し、作成されたパスワードを、あらかじめ登録されている顧客の遺産相続人の端末装置へ送信するようにしたことを特徴としている。
これにより、遺産相続人は、顧客が死亡した場合にはじめて遺言書の内容を確認することができるので、顧客が存命中に遺産相続の可能性のある者が遺言書の内容に異議を唱えるなどして混乱が生じることを防止できる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、入力が受け付けられた金融口座に関する情報から当該金融口座を検索し、当該金融口座に対して入出金処理がおこなわれた取引先に関する情報を取得し、取得された引落先に関する情報に基づいて資産リスト311や資産リスト312を作成するようにしたことを特徴としている。
これにより、顧客の金融口座に対して振込や引落がなされる金額を把握することができ、金融口座の残高の変動を予測することができ、このような金融口座の残高の変動を加味して資産を把握することができる。また、このような金融口座の残高の変動を加味して遺産相続人を定めることにより、顧客の死亡後の資産の処分にかかる遺族の負担軽減を図り、遺産相続を円滑におこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理装置110は、顧客の死亡に関する死亡情報を取得し、取得された死亡情報に基づいて、引落先からの引落廃止要求に関する情報を当該引落先へ送信するようにしたことを特徴としている。
これにより、顧客の死亡により取引を廃止する手続きを不要とすることができるので、顧客の死亡による遺族の手続きにかかる負担軽減を図ることができる。
上述したように、この発明にかかる実施の形態の資産管理システム100および資産管理装置110によれば、顧客は、突発的な心臓発作や突然の事故などの急遽不慮の事態が顧客に発生した場合に備え、元気な(心身ともに健康な)状態の間に資産を把握したり、当該資産の相続内容を定めたりすることができる。
そして、この発明にかかる実施の形態の資産管理システム100および資産管理装置110によれば、資産リスト311や資産リスト312の作成時における取引相場などに基づいて資産リスト311や資産リスト312における各資産の価値を案内することができる。資産価値は時間の社会情勢や環境などの変化にともなって変動するため、遺言書は資産価値が変動するごとに作成し直すことが好ましいが、一方で、変動が激しい資産の適正な資産価値を遺言書を作成するごとに把握することは煩雑であり、顧客に負担がかかる。
これに対し、この発明にかかる実施の形態の資産管理システム100および資産管理装置110によれば、顧客は、大きな負担をともなうことなく適宜資産リスト311や資産リスト312を動的に更新し、更新するごとに、当該更新時点における各資産の適正な価値を把握することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理システム100および資産管理装置110によれば、資産リスト311や資産リスト312の内容を加味した遺言書を作成することができる。そして、当該遺言書は、資産リスト311や資産リスト312の項目(資産)と関連しているため、顧客は大きな負担を強いられることなく、資産の価値に即した遺言書を作成ことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の資産管理システム100および資産管理装置110によれば、遺言書は容易に更新することができるため、顧客は、自身を取り巻く環境における変化などに応じて、納得のいく遺言書を何度でも作成することができる。
このように、この発明にかかる実施の形態の資産管理システム100および資産管理装置110によれば、顧客は、資産の管理に関し大きな負担をかけることなく、資産項目および適正な資産価値を把握することができ、かつ、適正な資産価値に基づいて作成された遺言書を作成することができ、これにより、顧客は、いわゆる「備えあれば憂いなし」の状態となり、安心して余生を過ごすことができる。
なお、この実施の形態で説明した資産管理方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリその他公知の各種の記録媒体であってコンピュータによる読み取りが可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。