JP2017156762A - マスクブランク用基板の製造方法、多層膜付き基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、及びマスクブランク用基板製造装置 - Google Patents

マスクブランク用基板の製造方法、多層膜付き基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、及びマスクブランク用基板製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低欠陥で高平滑な基板を製造することのできる基板の製造方法、多層膜付き基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、及び基板製造装置を提供する。【解決手段】少なくとも主表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板に対して、触媒物質の加工基準面を前記主表面に接触又は接近させ、前記主表面と前記加工基準面とを相対運動させることにより前記主表面を触媒基準エッチングする。この時、前記処理液は前記基板主表面で加水分解を起こす液体であり、且つ、前記触媒基準エッチング中の前記処理液の温度は、常温を超える温度である。【選択図】図1

Description

本発明は、基板の製造方法、多層膜付き反射基板の製造方法、マスクブランク用基板または多層反射膜付き基板を用いたマスクブランクの製造方法、マスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法、及び基板製造装置に係わり、特に、平坦度が高く、且つ欠陥密度の低い基板の製造方法、多層膜付き反射基板の製造方法、マスクブランク用基板または多層反射膜付き基板を用いたマスクブランクの製造方法、マスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法、及びそれらの製造を行うための基板製造装置に関するものである。
近年、半導体デバイスでは、高集積回路の高密度化、高精度化が一段と進められている。その結果、回路パターン転写に用いるマスクブランク用基板や転写用マスクに対し、一段の平坦化、平滑化、及び、より微細なサイズでの低欠陥化が求められている。
例えば、半導体デザインルール1xnm世代(ハーフピッチ(hp)14nm、10nm等)で使用されるマスクブランクとして、EUV露光用の反射型マスクブランク、ArFエキシマレーザー露光用のバイナリーマスクブランク及び位相シフトマスクブランク、並びにナノインプリント用マスクブランクなどがあるが、これらの世代で使用されるマスクブランクでは、30nm級の欠陥(SEVD(Sphere Equivalent Volume Diameter)が23nm以上34nm以下の欠陥)が問題となる。このため、マスクブランクに使用される基板の主表面(すなわち、転写パターンを形成する側の表面)においては、30nm級の欠陥数が極力少ないことが好ましい。また、30nm級の欠陥の欠陥検査を行う高感度の欠陥検査装置において、表面粗さはバックグランドノイズに影響する。すなわち、平滑性が不十分であると、表面粗さ起因の疑似欠陥が多数検出され、欠陥検査を行うことができない。このため、半導体デザインルール1xnm世代で使用されるマスクブランクに用いられる基板の主表面は、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.08nm以下の平滑性が求められている。
また、近年、ハードディスクドライブ(HDD)においては、磁気記録媒体の記録容量が高密度化してきていることに伴い、磁気記録媒体に対する記録読取り用ヘッドの浮上量(フライングハイト)をより減少させたものとなっている。そのようなヘッドとして、DFH(Dynamic Flying Height)機構を搭載したヘッドも普及している。DFH機構は、磁気ヘッドに設けられた発熱素子の発熱によって磁気ヘッドが熱膨張し、磁気ヘッドが浮上面方向にわずかに突出するように動作させるものであり、これによりフライングハイトを一定に保つことができる。このようなDFH機構を搭載したヘッドは、フライングハイトが数nm程度であるため、磁気記録媒体を使用したときにヘッドクラッシュなどの不良が生じやすい。このような不良を減少するために、磁気記録媒体用基板の表面としては、平滑性が高く、実質的に突起のない低欠陥な表面が要求されている。
磁気記録媒体用基板としては、アルミなどの金属基板があるが、金属基板に比べて塑性変形しにくく、基板主表面を鏡面研磨したときに、高い表面平滑性が得られるケイ素を含んだガラス基板が好適に用いられている。
これまで、マスクブランク用基板や磁気記録媒体用基板の主表面を、高平滑性で、低欠陥で、実質的に突起のない状態にするために、さまざまな加工方法が提案されているが、所望の特性を満たす主表面を有する基板を実現することは困難であった。
近年、主表面について実質的に突起のない低欠陥で高平滑な状態が求められる基板の加工方法として、触媒基準エッチング(Catalyst Referred Etching:以下CAREとも言う)による加工方法が提案されている。触媒基準エッチング(CARE)加工では、触媒物質から形成される加工基準面に吸着している処理液中の分子から水酸基が活性種として生成し、この活性種によって加工基準面と接近又は接触する基板表面上の微細な凸部が加水分解反応し、当該微細な凸部が選択的に除去されると考えられる。特許文献1には、金属触媒を用いた触媒基準エッチングによる加工方法が記載されている。
特許文献1では、水の存在下で、触媒物質の加工基準面を、ガラスなどの固体酸化物からなる被加工物表面に接触又は接近させ、加工基準面と被加工物表面とを相対運動させて、加水分解による分解生成物を被加工物表面から除去し、被加工物表面を加工する固体酸化物の加工方法が記載されている(以降、当該固体酸化物の加工方法もCARE加工方法と称する)。触媒物質としては、金属元素を含み、当該金属元素の電子のd軌道がフェルミレベル近傍のものが用いられ、具体的な金属元素としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)が挙げられている。触媒物質としては、バルクである必要はなく、安価で形状安定性のよい母材の表面に、金属、あるいは遷移金属をスパッタリング等によって形成した薄膜であってもよい旨記載されている。また、触媒物質を表面に成膜する母材としては、硬質の弾性材でも良く、例えば、フッ素系ゴムを用いることができる旨記載されている。
国際公開第2013/084934号
背景のところで述べているように、先端品のマスクブランク用基板などでは、30nm級の欠陥の低欠陥化と、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.08nm以下という高い平滑性の両方が求められている。
ArFエキシマレーザー露光用のマスクブランク基板材料である合成石英ガラスや、EUV(Extreme Ultra Violet)露光用のマスクブランク基板材料であるSiO−TiOガラス基板などの基板では、表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板が主流となっている。表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板をCARE加工すると、例えば特許文献1に記載があるように、オルトケイ酸(HSiO)、メタケイ酸(HSiO)、メタ二ケイ酸(HSiO)等のケイ酸が生成されることが知られている。これらのケイ酸は、基板の材料とその組成が類似しているため、基板に残留したケイ酸を、その周りの基板表面に影響を及ぼさずに除去することが、非常に困難となる。このため、表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板の従来法によるCARE加工には、オルトケイ酸等のケイ酸起因による異物欠陥の発生という問題があり、これが低欠陥化のための大きな課題になるということに、本発明者は着目した。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ケイ酸起因の異物発生を、特にオルトケイ酸異物発生を抑えて、低欠陥で且つ高平滑の主表面を有する、表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板の製造方法、多層膜付き基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、及びその製造を行うための基板製造装置を提供することを目的とする。
本発明者は、処理液の温度を調整することにより、必要な表面粗さに低減しつつ、ケイ酸起因の欠陥を低減可能なことを見出した。本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
少なくとも主表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板を準備する基板準備工程と、
触媒物質の加工基準面を前記主表面に接触又は接近させ、前記加工基準面と前記主表面との間に処理液を介在させた状態で前記主表面と前記加工基準面とを相対運動させることにより前記主表面を触媒基準エッチングする工程と、
を有する基板の製造方法において、
前記処理液は前記基板主表面で加水分解を起こす液体であり、前記触媒基準エッチング中の前記処理液の温度は、常温を超える温度であることを特徴とする基板の製造方法。
(構成2)
前記基板の少なくとも主表面は、前記触媒基準エッチング工程中、常温を超える温度に加温されていることを特徴とする構成1記載の基板の製造方法。
(構成3)
前記処理液は、前記主表面に吹き付けて供給されることを特徴とする構成1又は2に記載の基板の製造方法。
(構成4)
前記触媒基準エッチング工程終了後、前記処理液を洗浄液に連続的に置換した後、前記基板主表面を前記洗浄液にて洗浄することを特徴とする構成1及至3のいずれか一に記載の基板の製造方法。
(構成5)
前記洗浄工程において、前記洗浄液の温度を、開始時における常温を超える温度から、少なくとも終了時には常温にするように経過時間に応じて温度調整することを特徴とする構成1及至4のいずれか一に記載の基板の製造方法。
(構成6)
前記処理液と前記洗浄液は同一の物質であることを特徴とする構成1及至5のいずれか一に記載の基板の製造方法。
(構成7)
前記処理液は純水であることを特徴とする構成1及至6のいずれか一に記載の基板の製造方法。
(構成8)
前記処理液の温度は、40℃から80℃の範囲であることを特徴とする構成7に記載の基板の製造方法。
(構成9)
前記基板は、マスクブランク用基板であることを特徴とする、構成1乃至8のいずれか一に記載の基板の製造方法。
(構成10)
構成9に記載の基板の製造方法によって製造された基板の主表面上に、多層反射膜を形成することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
(構成11)
構成9に記載の基板の製造方法によって得られた基板の主表面上、又は、構成10記載の多層反射膜付き基板の製造方法によって得られた多層反射膜付き基板の多層反射膜上に、転写パターン用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成12)
構成11に記載のマスクブランクの製造方法によって得られたマスクブランクの転写パターン用薄膜をパターニングして、転写パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成13)
基板の主表面を触媒基準エッチングにより加工して基板を製造する基板製造装置であって、
基板を支持する基板支持手段と、
該基板支持手段により支持された前記基板の主表面に対向して配置される触媒物質の加工基準面を有する基板表面創製手段と、
前記加工基準面と前記主表面とを接触又は接近させた状態で相対運動させる相対運動手段と、
前記加工基準面と前記主表面との間に、処理液を供給する処理液供給手段と、
前記処理液の温度を常温より高くする温度調整手段とを備えていることを特徴とする基板製造装置。
(構成14)
洗浄液を供給する手段と、前記洗浄液の温度を前記処理液の温度から常温まで調整する温度調整手段とを備えていることを特徴とする構成13に記載の基板製造装置。
この発明によれば、CARE加工の処理液の温度を常温より高くすることにより、CARE加工で生成されたオルトケイ酸等のケイ酸起因成分(以下、適宜「オルトケイ酸等」という)は処理液に容易に溶解して異物として残留しにくくなり、低欠陥化を図ることが可能になる。また、詳細な検討の結果、基板表面の表面粗さ、すなわち平滑度に関しても、要求値を十分に満たすことがわかった。このため、低欠陥で高平滑な主表面を有する表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板の製造方法を提供することが可能となる。
また、本発明に係る多層反射膜付き基板の製造方法によれば、上述した基板の製造方法により得られた基板を用いて多層反射膜付き基板を製造するので、所望の特性をもった多層反射膜付き基板を製造することができる。
また、本発明に係るマスクブランクの製造方法によれば、上述した基板の製造方法により得られた基板または上述した多層反射膜付き基板の製造方法によって得られた多層反射膜付き基板を用いてマスクブランクを製造するので、所望の特性をもったマスクブランクを製造することができる。
また、本発明に係る転写用マスクの製造方法によれば、上述したマスクブランクの製造方法により得られたマスクブランクを用いて転写用マスクを製造するので、所望の特性をもった転写用マスクを製造することができる。
マスクブランク用基板に対して触媒基準エッチングによる局所加工を施す局所的触媒基準エッチング加工装置の構成を示す部分断面図である。 マスクブランク用基板に対して触媒基準エッチングによる局所加工を施す局所的触媒基準エッチング加工装置の構成を示す平面図である。 触媒基準エッチングによる欠陥発生数と表面粗さの処理液温度依存性を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態に係る基板の製造方法、この基板を用いた多層反射膜付き基板の製造方法、この基板または多層反射膜付き基板を用いたマスクブランクの製造方法、及びこのマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法を、適時図を参照しながら、詳細に説明する。尚、図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略することがある。
実施の形態1.
実施の形態1では、基板の製造方法及び基板加工装置について説明する。
この実施の形態1では、主表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板を準備する基板準備工程と、触媒物質の加工基準面を基板の主表面に接触又は接近させ、加工基準面と主表面との間に処理液を介在させた状態で、基板の主表面を触媒基準エッチングにより加工する基板加工工程とにより、基板を製造する。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.基板準備工程
基板の製造方法では、先ず、主表面がケイ素酸化物を含む材料よりなる基板を準備する。
準備する基板は、例えば、基板全体がケイ素酸化物を含む材料からなる基板や、主表面として用いる上面にケイ素酸化物を含む材料からなる薄膜が形成された基板や、主表面として用いる上面及び下面の両方にケイ素酸化物を含む材料からなる薄膜が形成された基板である。
薄膜が形成された基板は、ケイ素酸化物を含む材料からなる基板本体の主表面として用いる上面や下面に、ケイ素酸化物を含む材料からなる薄膜が形成された基板であってもよいし、ケイ素酸化物を含む材料以外からなる基板本体(基体)の主表面として用いる上面や下面に、ケイ素酸化物を含む材料からなる薄膜が形成された基板であってもよい。
ケイ素酸化物を含む材料からなる基板や基板本体の材料として、例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、SiO−TiO系ガラス等のガラスや、ガラスセラミックスが挙げられる。また、ケイ素酸化物を含む材料以外からなる基板本体(基体)の材料として、シリコン、カーボン、金属が挙げられる。
薄膜を形成するケイ素酸化物として、具体的には、シリコン酸化物(SiO、(x>0))や、金属とシリコンを含む金属シリサイド酸化物(MeSi、(Me:金属、x>0、y>0、及びz>0))が挙げられる。このようなケイ素酸化物を含む材料からなる薄膜は、例えば、蒸着、スパッタリング、電気めっきによって形成することができる。
また、上述したケイ素酸化物には、本発明の効果を逸脱しない範囲で、窒素、炭素、水素、フッ素等の元素が含まれていてもよい。
準備する基板は、好ましくは、塑性変形しにくく、高平滑性の主表面が得られやすいガラス基板や、ガラス基板本体の主表面である上面や下面に、シリコン酸化物(SiO(x>0))からなる薄膜が形成された基板である。
準備する基板は、マスクブランク用基板であっても、磁気記録媒体用基板であってもよい。マスクブランク用基板は、反射型マスクブランク、バイナリーマスクブランク、位相シフトマスクブランク、ナノインプリント用マスクブランクのいずれの製造に使用するものであってもよい。バイナリーマスクブランクは、遮光膜の材料が、MoSi系、Ta系、Cr系のいずれであってもよい。位相シフトマスクブランクは、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク、レベンソン型位相シフトマスクブランク、クロムレス型位相シフトマスクブランクのいずれであってもよい。反射型マスクブランクに使用する基板材料は、低熱膨張性を有する材料である必要がある。このため、EUV露光用の反射型マスクブランクに使用する基板材料は、例えば、SiO−TiO系ガラスが好ましい。また、透過型マスクブランクに使用する基板材料は、使用する露光波長に対して透光性を有する材料である必要がある。このため、ArFエキシマレーザー露光用のバイナリーマスクブランク及び位相シフトマスクブランクに使用する基板材料は、例えば、合成石英ガラスが好ましい。また、磁気記録媒体用基板に使用する基板材料は、耐衝撃性や強度・剛性を高めるために、研磨工程後に化学強化を行う必要がある。このため、磁気ディスク用基板に使用する基板材料は、例えば、ボロシリケートガラスやアルミノシリケートガラスなどの多成分系ガラスが好ましい。
準備する基板は、固定砥粒や遊離砥粒などを用いて主表面が研磨された基板であることが好ましい。例えば、所定の平滑性、平坦性を有するように、以下のような加工方法を用いて主表面として用いる上面や下面を研磨しておく。尚、下面を主表面として用いない場合であっても、必要に応じて、所定の平滑性、平坦性を有するように、以下のような加工方法を用いて下面も研磨しておく。ただし、以下の加工方法はすべて行う必要はなく、所定の平滑性、平坦性を有するように、適宜選択して行う。
表面粗さを低減するための加工方法として、例えば、酸化セリウムやコロイダルシリカなどの研磨砥粒を用いたポリッシングやラッピングがある。
平坦度を改善するための加工方法として、例えば、磁気粘弾性流体研磨(Magnet Rheological Finishing:MRF)、局所化学機械研磨(Local Chemical Mechanical Polishing:LCMP)、ガスクラスターイオンビームエッチング(Gas Cluster Ion Beam etching:GCIB)、局所プラズマエッチングを用いたドライケミカル平坦化法(Dry Chemical Planarization:DCP)がある。
MRFは、磁性流体に研磨スラリーを混合させた磁性研磨スラリーを、被加工物に高速で接触させるとともに、接触部分の滞留時間をコントロールすることにより、局所的に研磨を行う局所加工方法である。
LCMPは、小径研磨パッド及びコロイダルシリカなどの研磨砥粒を含有する研磨スラリーを用い、小径研磨パッドと被加工物との接触部分の滞留時間をコントロールすることにより、主に被加工物表面の凸部分を研磨加工する局所加工方法である。
GCIBは、常温常圧で気体の反応性物質(ソースガス)を、真空装置内に断熱膨張させつつ噴出させてガスクラスタを生成し、これに電子線を照射してイオン化させることにより生成したガスクラスタイオンを、高電界で加速してガスクラスターイオンビームとし、これを被加工物に照射してエッチング加工する局所加工方法である。
DCPは、局所的にプラズマエッチングし、凸度に応じてプラズマエッチング量をコントロールすることにより、局所的にドライエッチングを行う局所加工方法である。
上述した平坦度を改善するための加工方法によって損なわれた表面粗さを改善するために、平坦度を極力維持しつつ、表面粗さを改善する加工方法として、例えば、フロートポリッシング、EEM(Elastic Emission Machining)、ハイドロプレーンポリッシングがある。
触媒基準エッチングによる加工時間を短くするため、準備する基板の主表面は、0.3nm以下、より好ましくは0.15nm以下の二乗平均平方根粗さ(Rms)を有することが好ましい。
2.基板加工工程
次に、触媒物質の加工基準面を基板の主表面に接触又は接近させ、加工基準面と主表面との間に処理液を介在させた状態で、主表面を触媒基準エッチング(CARE)により加工する。
基板の上面及び下面の両面を主表面として用いる場合には、上面のCARE加工後に下面のCARE加工を行ってもよいし、下面のCARE加工後に上面のCARE加工を行ってもよいし、上面及び下面の両面のCARE加工を同時に行ってもよい。尚、下面を主表面として用いない場合であっても、必要に応じて、下面も触媒基準エッチングにより加工する。主表面として用いない下面にもCARE加工を行う場合には、主表面として用いる上面には欠陥品質の点で高い品質が要求されるため、下面の加工を行った後に、主表面として用いる上面の加工を行う方が好ましい。
この場合、先ず、触媒物質からなる加工基準面を、基板の主表面に対向するように配置する。そして、加工基準面と主表面との間に処理液を供給し、加工基準面と主表面との間に処理液を介在させた状態で、加工基準面を、主表面に接触又は接近させ、基板に所定の荷重(加工圧力)を加えながら、加工基準面と主表面とを相対運動させる。加工基準面と主表面との間に処理液を介在させた状態で、加工基準面と主表面とを相対運動させると、加工基準面上に吸着している処理液中の分子から生成した活性種と主表面が反応して、主表面が加工される。ここで、この反応は、基板表面がケイ素酸化物あるいはケイ素酸化物を含む場合、加水分解反応である。活性種は加工基準面上にのみ生成し、加工基準面付近から離れると失活することから、加工基準面が接触又は接近する主表面以外ではほとんど活性種との反応が起こらない。このようにして、主表面に対して触媒基準エッチングによる加工を施す。触媒基準エッチングによる加工では、研磨剤を用いないため、マスクブランク用基板に対するダメージが極めて少なく、新たな欠陥の生成を防止することができる。
加工基準面と主表面との相対運動は、加工基準面と主表面とが相対的に移動する運動であれば、特に制限されない。基板を固定し加工基準面を移動する場合、加工基準面を固定し基板を移動する場合、加工基準面と基板の両方を移動する場合のいずれであってもよい。加工基準面が移動する場合、その運動は、基板の主表面に垂直な方向の軸を中心として回転する場合や、基板の主表面と平行な方向に往復運動する場合などである。同様に、基板が移動する場合、その運動は、基板の主表面に垂直な方向の軸を中心として回転する場合や、基板の主表面と平行な方向に往復運動する場合などである。
基板に加える荷重(加工圧力)は、例えば、5〜350hPaである。
触媒基準エッチングによる加工における加工取り代は、例えば、5nm〜100nmである。基板の主表面に当該主表面から突出する突起が存在する場合、加工取り代は、突起の高さより大きい値にすることが好ましい。加工取り代を突起の高さより大きい値にすることにより、CARE加工により突起を除去することができる。
加工基準面を形成する触媒物質としては、処理液に対して基板表面を加水分解する活性種を生む材料であればよく、金属元素、好ましくは遷移金属元素を含む材料が好ましい。例えば、周期率表の4族、6族、8族、9族、10族、11族に属する元素のうちの少なくとも一つの金属やそれらを含む合金が、好ましくは、用いられる。具体的には、白金(Pt)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及びオスミウム(Os)のうちの少なくとも一つの金属やそれらを含む合金、並びにこの合金に酸素(O)、窒素(N)、及び炭素(C)のうちの少なくとも一つの成分が含まれた合金化合物が挙げられる。上述した合金化合物として、例えば、上述した合金の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、及び酸化窒化炭化物が挙げられる。このような合金や合金化合物を用いると、加工基準面の機械的耐久性や化学的安定性を向上させることができる。そして、これらの触媒物質は、フッ素系ゴムなどからなるパッドの上に形成される。
加工基準面の面積は、基板の主表面の面積よりも小さく、例えば、100mm〜10000mmである。加工基準面を小型化することにより、基板加工装置を小型化できる他、高精度の加工を確実に行うことができる。
また、加工基準面の面積は、基板の主表面の面積より大きくても構わない。基板全面を加工できるので加工時間が短縮でき、また、加工基準面のエッジによる傷等の欠陥の発生を抑えることができる。
処理液は、表面がケイ素酸化物を含む材料からなる基板に対して常態では溶解性を示さないもので、加水分解を誘起するものであれば、特に制限されない。このような処理液を使用することにより、基板が処理液によって溶解せず、不必要な基板の変形を防止することができる。例えば、純水、オゾン水、炭酸水、水素水、KOH水溶液などの低濃度のアルカリ性水溶液、HNO水溶液などの低濃度の酸性水溶液を使用することができる。また、基板表面が、常態ではハロゲンを含む分子が溶けた溶液によって溶解しない場合には、ハロゲンを含む分子が溶けた溶液を使用することもできる。ここで、特に純水は、コスト、加工特性、及び洗浄時の扱い易さなどの観点から処理液として好適である。
CARE加工中の処理液の温度は、欠陥を低減するために、常温より高い温度に設定しておく。ここが本発明の特徴である。常温より温度を高くすると、オルトケイ酸等の処理液への溶解度が高くなるため、この処理液温度設定により、析出などによって生じるオルトケイ酸等によるケイ酸起因の欠陥が減少する。ここで、常温とは、CARE加工処理を行う時の外部環境の温度のことで、クリーンルームやクリーンブース内にCARE加工装置が置かれている時は、そのクリーンルームやクリーンブース内の温度のことである。半導体関連では、多くのクリーンルームやクリーンブースは23℃で運用されていることが多く、半導体製造装置を中心に環境温度を23℃として、処理条件や品質管理を行っていることが多い。レジストや現像液などの薬液も23℃をデフォルトとして、その特性の最適化や品質管理を行っていることが多い。よって、常温を23℃とする場合が多いが、その温度に限定されるものではない。
CARE加工の処理液として純水を用いた場合は、大気圧での処理の場合、40℃から80℃が好適であり、60℃から80℃だとさらに望ましく、75℃から80℃ではさらに一層望ましい。ケイ酸起因の欠陥は、常温処理の時に比べ、処理液の温度を40℃に上げるとおよそ半減し、60℃に上げると約1/3に減り、75℃に上げるとほぼ0個になる。一方で、80℃を超えて温度を上げると、脱水縮合反応が起こり、CARE加工が阻害されるようになる。また、処理液中に気泡が発生しやすくなって加工不均一性が発生しやすくなる。また、大気圧より減圧下でCARE加工処理を行うと、最適温度範囲は全体的に下がり、高圧下でCARE加工処理を行うと、最適温度範囲は全体的に上がる。CARE加工製造装置の構造の簡易化、メンテナンスの容易性を考慮すると、大気圧処理が望ましい。
CARE加工の処理液は、基板の乾燥工程を挟まずに、洗浄液に連続的に置換されることが好ましい。これにより、基板表面上の処理液中に溶解していたオルトケイ酸等のケイ酸が、連続的に置換された洗浄液によって希釈されて除去されるため、処理液の中に溶解していたオルトケイ酸等のケイ酸をより確実に基板表面から除去することができ、更なる低欠陥化を図ることができる。尚、処理液を洗浄液に連続して置換することから、処理液は洗浄液と同じ物質としておくことが望ましい。この意味からも、処理液を純水としておくことは好適である。
次に、CARE加工用の基板製造装置(基板加工装置)について述べる。図1及び図2は基板の主表面に対して触媒基準エッチングによる加工を施す基板加工装置の一例を示す。図1は基板加工装置の部分断面図であり、図2は基板加工装置の平面図である。尚、これ以降、図1及び図2に示す基板加工装置を用いて、基板Mの主表面として用いる上面M1をCARE加工する場合について説明するが、基板Mの下面M2も主表面として用いる場合には、上面M1と下面M2を入れ替えて、下面M2もCARE加工する。尚、下面M2を主表面として用いない場合であっても、必要に応じて、下面M2もCARE加工する。その場合には、下面M2のCARE加工後に上面M1のCARE加工を行う。
基板加工装置1は、酸化物を含む材料からなる主表面を有する基板Mを支持する基板支持手段2と、触媒物質の加工基準面33を有する基板表面創製手段3と、基板温度調整液及び洗浄液を供給する洗浄液供給手段4と、加工基準面33と主表面との間に処理液を供給する処理液供給手段9と、加工基準面33と主表面との間に処理液が介在する状態で、加工基準面33を主表面に接触又は接近させる駆動手段5とを備えている。
基板支持手段2は、円筒形のチャンバー6内に配置される。チャンバー6は、後述する相対運動手段7の軸部71をチャンバー6内に配置するために、チャンバー6の底部63の中央に形成された開口部61と、基板温度調整液兼洗浄液供給手段4から供給された基板温度調整液と洗浄液、及び処理液供給手段9から供給された処理液を排出するために、チャンバー6の底部63の、開口部61より外周寄りに形成された排出口62とを備えている。図1では、排出口62から基板温度調整液、洗浄液及び処理液が排出される様子が矢印で示されている。
基板支持手段2は、基板Mを支える支持部21と、支持部21を固定する平面部22とを備えている。支持部21は、基板加工装置1を上から見たとき、矩形状であり、基板Mの下面M2周縁の四辺を支える収容部21aを備えている。平面部22は、基板加工装置1を上から見たとき、円形状である。
基板表面創製手段3は、触媒定盤31を備えている。触媒定盤31は、後述する相対運動手段7の触媒定盤取付部72に取り付けられている。触媒定盤31は、定盤本体32と、定盤本体を覆うように定盤本体の表面全面に形成される基材とその表面に触媒が被着された加工基準面33とを備えている。したがって、加工基準面33上の触媒物質は、基板Mと対向する。
触媒定盤の全体形状は、特に制限されない。例えば、円盤、球、円柱、円錐、角錐の外形のものを使用することができる。加工基準面が形成される触媒定盤の部分の表面形状も、特に制限されない。例えば、平面、半球、丸みを帯びた形状のものを使用することができる。
処理液供給手段9は、触媒定盤31の中央に形成された処理液供給孔と、触媒定盤取付部72内に配置され、処理液供給孔に処理液を供給する処理液供給ノズル91と、アーム部51内に配置され、処理液供給ノズル91に処理液を供給する配管(図示せず)とを備えている。処理液は、アーム部51内の配管を通って触媒定盤取付部72内の処理液供給ノズル91に供給され、触媒定盤31の中央に形成された処理液供給孔から基板Mの主表面M1上に供給される。ここで、処理液は温度調整器(図示せず)を通って供給されるが、処理液温度の昇降速度を速めるため、アーム部51内にも温度調整機構(図示せず)を備えておくことが望ましい。
温度調整液兼洗浄液供給手段4は、チャンバー6の外側から支持部21に載置される基板Mの主表面に向かって延在する供給管41と、この供給管41の下端部先端に設けられ、支持部21に載置される基板Mの主表面に向けて温度調整液と洗浄液を噴射する噴射ノズル42とを備えている。供給管41は、例えば、チャンバー6の外側に設けられた処理液貯留タンク(図示せず)、温度調整器(図示せず)、及び加圧ポンプ(図示せず)に接続されている。温度調整液及び洗浄液は、供給管41を通って噴射ノズル42に供給され、噴射ノズル42から支持部21に載置される基板Mの主表面上に供給される。尚、ここでは、温度調整液と洗浄液を同一の物質とした時の例を示していて、供給管41と噴射ノズル42を各々1つとした場合を示したが、両者で別の物質を用いる場合には、温度調整液用と洗浄液用の2つを設ける。尚、基板Mの主表面の温度調整を液体によらず、ヒーターやランプなどの別の手段を使って行う場合は、手段4、供給管41、及び噴射ノズル42は洗浄液供給専用の手段とする。
駆動手段5は、後述する相対運動手段7の触媒定盤取付部72の上端に接続され、チャンバー6の周囲まで、支持部21に載置される基板Mの主表面と平行な方向に延びるアーム部51と、アーム部51のチャンバー6の周囲まで延びた端部を支え、支持部21に載置される基板Mの主表面と垂直な方向に延びる軸部52と、軸部52の下端を支持する土台部53と、チャンバー6の周囲に配置され、土台部53の移動経路を定めるガイド54とを備えている。アーム部51は、その長手方向に移動することができる(図1,2中の両矢印Cを参照)。軸部52は、その長手方向に移動することにより、アーム部51を上下動させることができる(図1中の両矢印Dを参照)。土台部53は、支持部21に載置された基板Mの主表面と垂直な方向の軸を回転中心として所定の角度だけ回転することにより、アーム部51を旋回させることができる(図1,2中の両矢印Eを参照)。ガイド54は、支持部21に載置される基板Mの隣り合う二辺と平行な方向(第1の方向と第2の方向)に配置され、土台部53のL字形の移動経路を形成する。土台部53は、第1の方向のガイド54に沿って移動することにより、アーム部51を第1の方向に移動させ(図2中の両矢印Fを参照)、第2の方向のガイド54に沿って移動することにより、アーム部51を第2の方向に移動させることができる(図2中の両矢印Gを参照)。このようなアーム部51の移動により、支持部21に載置された基板Mの主表面の所定の位置に触媒定盤31を配置することができる。
基板加工装置1は、加工基準面33と主表面とを相対運動させる相対運動手段7を備えている。相対運動手段7は、平面部22を支え、開口部61を通ってチャンバー6の外部まで延在する軸部71と、軸部71を回転させる回転駆動手段(図示せず)とを備えている。軸部71は、支持部21に載置される基板Mの主表面と垂直な方向に延在し、回転駆動手段(図示せず)により、支持部21に載置される基板Mの主表面と垂直な方向の軸を回転中心として回転することができる(図1中の矢印Aを参照)。軸部71の回転中心の延長方向に、平面部22の中心と支持部21に載置される基板Mの中心とが位置する。軸部71が回転することにより、軸部71に支えられている平面部22がその中心を回転中心として回転し、さらに、平面部22に固定されている支持部21に載置される基板Mがその中心を回転中心として回転する。また、相対運動手段7は、触媒定盤31が取り付けられる触媒定盤取付部72と、駆動手段5のアーム部51に設けられた回転駆動手段(図示せず)とを備えている。触媒定盤取付部72は、回転駆動手段(図示せず)により、支持部21に載置される基板Mの主表面と垂直な方向の軸を回転中心として回転することができる(図1,2中の矢印Bを参照)。
基板加工装置1は、基板Mに加える荷重(加工圧力)を制御する荷重制御手段8を備えている。荷重制御手段8は、触媒定盤取付部72内に設けられ、触媒定盤31に荷重を加えるエアシリンダ81と、エアシリンダ81により触媒定盤31に加えられる荷重を測定し、所定の荷重を超えないようにエアバルブをオン・オフして、エアシリンダ81によって触媒定盤31に加えられる荷重を制御するロードセル82とを備えている。触媒基準エッチングによる加工を行うとき、荷重制御手段8により、基板Mに加える荷重(加工圧力)を制御する。
加工取り代を設定どおりに確保するための制御方法としては、例えば、予め別に用意した基板Mに対して、種々の局所加工条件(加工圧力、回転数(触媒定盤、基板)、処理液の流量)、加工時間と加工取り代との関係を求めておき、所望の加工取り代となる加工条件と加工時間を決定し、当該加工時間を管理することで、加工取り代を制御することができる。これに限定されるものではなく、加工取り代を設定どおりに確保できる方法であれば、種々の方法を選択してもよい。
図1及び図2に示す基板加工装置を用いて、触媒基準エッチングによる加工を行う場合、先ず、基板Mを、主表面として用いる上面M1を上側に向けて支持部21に載置して固定する。
その後、アーム部51の長手方向移動(両矢印C)、アーム部51の旋回移動(両矢印E)、アーム部51の第1方向移動(両矢印F)、アーム部51の第2方向移動(両矢印G)により、基板表面創製手段3の加工基準面33を、基板Mの上面M1に対向するように配置する。
その後、軸部71及び触媒定盤取付部72を所定の回転速度で回転させることによって、加工基準面33及び上面M1を所定の回転速度で回転させながら、温度調整液を噴射ノズル42から上面M1上に供給して基板Mの上面M1の温度を所望の温度になるように制御するとともに、処理液供給ノズル91から上面M1上に処理液を供給し、上面M1と加工基準面33との間に処理液を介在させる。処理液と温度調整液は両者混じり合うことになるので同じ物質であることが望ましい。温度調整液を処理液とは別の手段で供給することにより、均一性高く、所望の温度でCARE加工を行うことができる。その状態で、加工基準面33を、アーム部51の上下移動(両矢印D)により、基板Mの上面M1に接触又は接近させる。その際、荷重制御手段8により、基板Mに加えられる荷重が所定の値に制御される。
その後、所定の加工取り代になった時点で、処理液の供給並びに触媒定盤取付部72の回転を止める。一方で、温度調整液を兼ねた洗浄液の供給は続ける。そして、アーム部51の上下移動(両矢印D)により、加工基準面33を、上面M1から所定の距離だけ離す。一定時間、洗浄液を供給し続けながら軸部71回転を行って洗浄を行った後、洗浄液の供給を止めて軸部71回転によるスピン乾燥を行う。その後、基板Mを取り出す。
このような基板準備工程と基板加工工程とにより、基板Mが製造される。
洗浄液の温度に関しては、最初は常温より高い温度として、その後温度を変化させていって最終的に常温とするのが好ましい。これは、最終的に基板Mの温度を常温にすると、基板処理の運用が容易になるからである。尚、この温度変化は段階的に変化させても良いし、連続的に変化させても良い。また、洗浄開始当初は、CARE加工中の処理液の温度より洗浄液の温度を高くしておくと、洗浄液へのオルトケイ酸等のケイ酸の溶解度が高まるため、欠陥低減に効果的である。
この実施の形態では、噴射ノズル42から供給される温度調整液によって基板Mの上面M1の温度を均一に制御する方法を示したが、これに限らずヒーターやランプなどを用いてもよい。すなわち、熱輻射や気流及び環境温度の調整によって温度調整を行っても良い。上記温度調整液を用いる方法は、温度調整液が洗浄液も兼ねているので装置の機構を簡素化出来るという特長がある。一方で、熱輻射や気流を用いる方法は、一般に、高速な昇降温特性を有するという特長がある。
尚、この実施の形態では、基板Mの主表面上に、基板表面創製手段3の加工基準面33を押し当てるタイプの基板加工装置について本発明を適用したが、基板表面創製手段の加工基準面上に、基板の主表面を押し当てるタイプの基板加工装置にも本発明を適用できる。
また、この実施の形態では、基板の片面を加工するタイプの基板加工装置について本発明を適用したが、基板の両面を同時に加工するタイプの基板加工装置にも本発明を適用できる。この場合、基板支持手段として、基板の側面を保持する部材であるキャリアを使用する。
また、この実施の形態では、基板表面創製手段に処理液供給手段を設け、処理液供給手段から処理液を供給するタイプの基板加工装置について本発明を適用したが、チャンバーの外側から基板Mの主表面に向かって処理液を供給する場合や、基板支持手段に処理液供給手段を設け、基板支持手段から処理液を供給する場合にも本発明を適用できる。また、チャンバーに処理液を貯め、処理液中に基板表面創製手段と基板支持手段とを入れた状態で触媒基準エッチングによる加工を行う場合にも本発明を適用できる。
また、この実施の形態では、加工基準面33と主表面の両方を回転させることにより加工基準面33と主表面とを相対運動させるタイプの基板加工装置について本発明を適用したが、それ以外の方法により、加工基準面33と主表面とを相対運動させるタイプの基板加工装置にも本発明を適用できる。
また、この実施の形態では、基板を一枚ごとに加工する枚様式の基板加工装置について本発明を適用したが、複数枚の基板を同時に加工するバッチ式の基板加工装置にも本発明を適用できる。また、ここでは基板の主表面全面に亘って加工する場合を示したが、必要に応じて、予め定めた局部のみを加工する局部加工のみを行っても良く、これらの加工を併用してもよい。
実施の形態2.
実施の形態2では、多層反射膜付き基板の製造方法を説明する。
この実施の形態2では、実施の形態1の基板の製造方法で説明した方法により製造した基板Mの主表面上に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層反射膜を形成し、多層反射膜付き基板を製造するか、さらに、この多層反射膜上に保護膜を形成して、多層反射膜付き基板を製造する。
この実施の形態2による多層反射膜付き基板の製造方法によれば、実施の形態1の基板の製造方法により得られた基板Mを用いて多層反射膜付き基板を製造するので、基板要因による特性の悪化を防止することができ、所望の特性をもった多層反射膜付き基板を製造することができる。すなわち、多層膜面の欠陥が少なく、且つその表面平滑度の高い多層反射膜付き基板を製造することができる。
EUVリソグラフィ用多層膜付き基板の場合は、基板表面のピットやバンプによる凹凸及び多層膜中の欠陥による位相欠陥に留意する必要がある。この位相欠陥の検査感度は、基板段階より多層膜成膜後の段階で検査した方が検査感度は高い。この際、基板表面に表面荒れがあって表面平滑度が低いと、多層膜成膜後の検査であっても、位相欠陥検査の時のバックグラウンドノイズとなって検査感度が低下してしまう。本発明の実施形態によれば、基板表面に加え、多層膜表面を含めて必要にして十分な表面平滑度が得られるため、十分な位相欠陥検査感度となり、位相欠陥管理品質の高い多層反射膜付き基板を製造することが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態3では、マスクブランクの製造方法を説明する。
この実施の形態3では、実施の形態1の基板の製造方法で説明した方法により製造した基板Mの主表面上に、転写パターン用薄膜としての遮光膜を形成してバイナリーマスクブランクを製造し、又は転写パターン用薄膜としての光半透過膜を形成してハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造し、又は転写パターン用薄膜として光半透過膜、遮光膜を順次形成してハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造する。
また、この実施の形態3では、実施の形態2の多層反射膜付き基板の製造方法で説明した方法により製造した多層反射膜付き基板の保護膜上に転写パターン用薄膜としての吸収体膜を形成し、又は多層反射膜付き基板の多層反射膜上に保護膜及び転写パターン用薄膜としての吸収体膜を形成し、さらに多層反射膜を形成していない裏面に裏面導電膜を形成して、反射型マスクブランクを製造する。
この実施の形態3によれば、実施の形態1の基板の製造方法により得られた基板M又は実施の形態2の多層反射膜付き基板の製造方法によって得られた多層反射膜付き基板を用いてマスクブランクを製造するので、基板要因による特性の悪化を防止することができ、所望の特性をもったマスクブランクを製造することができる。
実施の形態4.
実施の形態4では、転写用マスクの製造方法を説明する。
この実施の形態4では、実施の形態3のマスクブランクの製造方法で説明した方法により製造したバイナリーマスクブランク、位相シフトマスクブランク、又は反射型マスクブランクの転写パターン用薄膜上に、露光・現像処理を行ってレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクにして転写パターン用薄膜をエッチング処理して、転写パターンを形成して転写用マスクを製造する。
この実施の形態4によれば、実施の形態3のマスクブランクの製造方法により得られたマスクブランクを用いて転写用マスクを製造するので、基板要因による特性の悪化を防止することができ、所望の特性をもったマスクブランクを製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
実施例1.
A.ガラス基板の製造
1.基板準備工程
主表面及び裏面が研磨された6025サイズ(152mm×152mm×6.35mm)のSiO−TiOガラス基板である低熱膨張ガラス基板を準備した。材料組成から明らかなように、このガラス基板の表面はケイ素を含む酸化物からなる。尚、SiO−TiOガラス基板は、以下の粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、超精密研磨加工工程、局所加工工程、及びタッチ研磨工程を経て得られたものである。
(1)粗研磨加工工程
端面面取加工及び研削加工を終えたガラス基板を両面研磨装置に10枚セットし、以下の研磨条件で粗研磨を行った。10枚セットを2回行い合計20枚のガラス基板の粗研磨を行った。尚、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨スラリー:酸化セリウム(平均粒径2〜3μm)を含有する水溶液
研磨パッド:硬質ポリシャ(ウレタンパッド)
粗研磨後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板を洗浄槽に浸漬し、超音波を印加して洗浄を行った。
(2)精密研磨加工工程
粗研磨を終えたガラス基板を両面研磨装置に10枚セットし、以下の研磨条件で精密研磨を行った。10枚セットを2回行い合計20枚のガラス基板の精密研磨を行った。尚、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨スラリー:酸化セリウム(平均粒径1μm)を含有する水溶液
研磨パッド:軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
精密研磨後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板を洗浄槽に浸漬し、超音波を印加して洗浄を行った。
(3)超精密研磨加工工程
精密研磨を終えたガラス基板を再び両面研磨装置に10枚セットし、以下の研磨条件で超精密研磨を行った。10枚セットを2回行い合計20枚のガラス基板の超精密研磨を行った。尚、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨スラリー:コロイダルシリカを含有するアルカリ性水溶液(pH10.2)
(コロイダルシリカ含有量50wt%)
研磨パッド:超軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
超精密研磨後、ガラス基板を水酸化ナトリウムのアルカリ洗浄液が入った洗浄槽に浸漬し、超音波を印加して洗浄を行った。
(4)局所加工工程
粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、超精密研磨加工工程後のガラス基板の主表面及び裏面の平坦度を、平坦度測定装置(トロペル社製 UltraFlat200)を用いて測定した。平坦度測定は、ガラス基板の周縁領域を除外した148mm×148mmの領域に対して、1024×1024の地点で行った。ガラス基板の主表面及び裏面の平坦度の測定結果を、測定点ごとに仮想絶対平面に対する高さの情報(凹凸形状情報)としてコンピュータに保存した。仮想絶対平面は、仮想絶対平面から基板表面までの距離を、平坦度測定領域全体に対して二乗平均したときに最小の値となる面である。
その後、取得された凹凸形状情報とガラス基板に要求される主表面及び裏面の平坦度の基準値とを比較し、その差分を、ガラス基板の主表面及び裏面の所定領域ごとにコンピュータで算出した。この差分が、局所的な表面加工における各所定領域の必要除去量(加工取り代)となる。
その後、ガラス基板の主表面及び裏面の所定領域ごとに、必要除去量に応じた局所的な表面加工の加工条件を設定した。設定方法は以下の通りである。事前にダミー基板を用いて、実際の加工と同じようにダミー基板を、一定時間基板移動させずにある地点(スポット)で加工し、その形状を平坦度測定装置(トロペル社製 UltraFlat200)にて測定し、単位時間当たりにおけるスポットでの加工体積を算出した。そして、単位時間当たりにおけるスポットでの加工体積と上述したように算出した各所定領域の必要除去量に従い、ガラス基板をラスタ走査する際の走査スピードを決定した。
その後、ガラス基板の主表面及び裏面を、基板仕上げ装置を用いて、磁気粘弾性流体研磨(Magnet Rheological Finishing:MRF)により、所定領域ごとに設定した加工条件に従い、局所的に表面加工した。尚、このとき、酸化セリウムの研磨粒子を含有する磁性研磨スラリーを使用した。
その後、ガラス基板を、濃度約10%の塩酸水溶液(温度約25℃)が入った洗浄槽に約10分間浸漬させ、続いて、純水によるリンス、イソプロピルアルコール(IPA)による乾燥を行った。
(5)タッチ研磨工程
局所加工工程によって荒れたガラス基板の主表面及び裏面の平滑性を高めるために、研磨スラリーを用いて行う低荷重の機械的研磨により微小量だけガラス基板の主表面及び裏面を研磨した。この研磨は、基板の大きさよりも大きい研磨パッドが張り付けられた上下の研磨定盤の間にキャリアで保持されたガラス基板をセットし、コロイダルシリカ砥粒(平均粒子径50nm)を含有する研磨スラリーを供給しながら、ガラス基板を、上下の研磨定盤内で自転しながら公転することによって行った。
その後、ガラス基板を、水酸化ナトリウムのアルカリ洗浄液に浸漬し、超音波を印加して洗浄を行った。
2.基板加工工程
次に、図1及び図2に示す基板加工装置を用いて、タッチ研磨工程後のガラス基板の主表面に対して、触媒基準エッチングによる加工を施した。この基板加工装置はクリーンルームに設置されており、クリーンルーム内の室温は23℃とした。したがってこの場合の常温は23℃である。
この実施例では、ステンレス鋼(SUS)製の円盤形状の定盤本体32と、定盤本体32を覆うように定盤本体32の表面全面に形成されたフッ素系ゴムパッドと、ガラス基板と対向する側のフッ素系ゴムパッドの表面全面にアルゴン(Ar)ガス中で白金(Pt)ターゲットを用いてスパッタリング法によって形成された白金薄膜からなる加工基準面33とを備えた触媒定盤31を使用した。ここで、触媒定盤の直径は100mmであり、フッ素系ゴムパッド上に形成されたPt薄膜の膜厚は100nmである。
加工、洗浄条件は以下の通りである。
処理液:純水
基板温度調整兼洗浄液:純水
クリーンルームの室温:23℃
処理液及び基板温度調整液の温度:40℃
洗浄液の温度:23℃
軸部71の回転数(ガラス基板の回転数):10.3回転/分
触媒定盤取付部72の回転数(触媒定盤31の回転数):10回転/分
加工圧力:100hPa
加工取り代:10nm
まず、ガラス基板を、主表面を上側に向けて支持部21に載置して固定した。
その後、アーム部51の長手方向移動(両矢印C)、アーム部51のスイング移動(両矢印E)、アーム部51の第1方向移動(両矢印F)、アーム部51の第2方向移動(両矢印G)により、触媒定盤31の加工基準面33がガラス基板の主表面に対向して配置された状態で、触媒定盤31を配置した。触媒定盤31の配置位置は、ガラス基板及び触媒定盤31を回転させたときに、触媒定盤31の加工基準面33が、ガラス基板の主表面全体に接触又は接近することが可能な位置である。
その後、ガラス基板を10.3回転/分の回転速度及び触媒定盤31を10回転/分の回転速度で回転させる。ここで、ガラス基板の回転方向と触媒定盤31の回転方向とが、互いに逆になるようにガラス基板及び触媒定盤31を回転させる。これにより、両者間に周速差をとり、触媒基準エッチングによる加工の効率を高めることができる。また、両者の回転数は、僅かに異なるように設定される。これにより、触媒定盤31の加工基準面33がガラス基板の主表面上に対して異なる軌跡を描くように相対運動させることができ、触媒基準エッチングによる加工の効率を高めることができる。
ガラス基板及び触媒定盤31を回転させながら、噴射ノズル42から基板温度を調整するための温度調整液を基板に吹き付け、また、処理液供給ノズル91から処理液を基板表面に供給した。温度調整液も処理液も40℃の純水である。常温、すなわち、この時の環境温度であるクリーンルームの室温は23℃であって、温度調整液も処理液も常温より高い温度の設定になっている。このようにしてガラス基板Mの主表面M1上に40℃の純水を供給し、ガラス基板の主表面の温度を均一に高めるとともに、加工基準面33との間に40℃の純水を介在させた。その状態で、触媒定盤31の加工基準面33を、アーム部51の上下移動(両矢印D)により、ガラス基板の表面に接触又は接近させた。その際、ガラス基板に加えられる荷重(加工圧力)が100hPaに制御された。
その後、加工取り代が10nmとなった時点で、40℃の処理液の供給を止め、アーム部51の上下移動(両矢印D)により、触媒定盤31を、ガラス基板の主表面から所定の距離だけ離した。温度調整液は23℃の純水である洗浄液に連続的に切り替えて洗浄水を噴射ノズル42から供給し続けた。この間、ガラス基板及び触媒定盤31の回転は続けて、常温の純水によるスピン洗浄を行った。その後、洗浄水の供給を止めて、スピン乾燥を行った。しかる後、支持部21から常温のガラス基板Mを取り外して、ガラス基板を作製した。
3.評価
触媒基準エッチングによる加工前後のガラス基板の主表面の表面粗さを、基板の中心の1μm×1μmの領域に対して、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した。
加工前の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmであった。
加工後の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.049nmと、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものであった。
触媒基準エッチングによる加工後のガラス基板の主表面の欠陥検査を、基板の周辺領域を除外した132mm×132mmの領域に対して、欠陥検査装置(KLA−Tencor社製 マスク/ブランク欠陥検査装置 Teron610)を用いて行った。欠陥検査は、SEVD(Sphere Equivalent Volume Diameter)換算で21.5nmサイズの欠陥が検出可能な感度で行った。SEVDは、欠陥を半球状のものと仮定したときの直径の長さである。
加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は72個であった。この検出された凸欠陥をエネルギー分散型X線分光法(EDX)により調べたところ、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)は13個であった。ちなみに、後述の比較例のところで述べるように、処理液の温度を常温(23℃)とし、基板加熱のための温度調整液も用いない従来法では、加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は80個で、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数は24個であった。40℃でCARE加工を行った本実施例により、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数をほぼ半減することができた。
また、実施例1の方法により、ガラス基板を20枚作製したところ、全数、表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.051nm以下と良好であり、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)個数も15個以下と少なかった。
実施例1の方法により、低欠陥、且つ高い平滑性の主表面を有するガラス基板が安定して得られた。
B.多層反射膜付き基板の製造
次に、このようにして作製されたガラス基板の主表面上に、イオンビームスパッタ法により、シリコン膜(Si)からなる高屈折率層(膜厚4.2nm)とモリブデン膜(Mo)からなる低屈折率層(2.8nm)とを交互に、高屈折率層と低屈折率層とを1ペアとし、40ペア積層して、多層反射膜(膜厚280nm)を形成した。
その後、この多層反射膜上に、イオンビームスパッタ法により、ルテニウム(Ru)からなる保護膜(膜厚2.5nm)を形成した。尚、イオンビームスパッタリングにおけるガラス基板主表面の法線に対するMo、Si、Ruのスパッタ粒子の入射角度は、それぞれ、Moが50度、Siが45度、Ruが40度とした。
このようにして、多層反射膜付き基板を作製した。
得られた多層反射膜付き基板についてEUV光(波長13.5nm)の反射率をEUV反射率測定装置により測定した。
ガラス基板主表面の高い平滑性により、保護膜表面も平滑性を保っており(Rmsで0.17nm)、反射率は64%と高反射率であった。
得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面の欠陥検査を、ガラス基板の欠陥検査と同様に行った。
保護膜表面の欠陥検出個数は、SEVD換算で21.5nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で17,504個(致命欠陥、疑似欠陥含む)となったが、21.5nmサイズの欠陥検査では疑似欠陥が大半を占める。SEVD換算で25nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で欠陥検査を行ったところ、50個(疑似欠陥は含まず)と少なかった。位相欠陥検査も合わせて行ったが、高い平滑性を持つため、検査時のバックグラウンドノイズが少なく、高感度な位相欠陥検査を行うことができた。
実施例1の方法により、低欠陥、且つ高い平滑性の保護膜表面を有する多層反射膜付き基板が得られた。
C.反射型マスクブランクの製造
次に、このようにして作製された多層反射膜付き基板の保護膜上に、ホウ化タンタル(TaB)ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)ガスと窒素(N)ガスとの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、タンタルホウ素窒化物(TaBN)からなる下層吸収体層(膜厚50nm)を形成し、さらに、下層吸収体膜上に、ホウ化タンタル(TaB)ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)ガスとの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、タンタルホウ素酸化物(TaBO)からなる上層吸収体層(膜厚20nm)を形成することにより、下層吸収体層と上層吸収体層とからなる層吸収体膜(膜厚70nm)を形成した。
その後、多層反射膜付き基板の多層反射膜を形成していない裏面上に、クロム(Cr)ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)ガスと窒素(N)ガスとの混合ガス雰囲気中での反応性スパッタリングにより、クロム窒化物(CrN)からなる裏面導電膜(膜厚20nm)を形成した。
このようにして、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したEUV露光用の反射型マスクブランクを作製した。
D.反射型マスクの製造
次に、このようにして作製された反射型マスクブランクの吸収体膜上に、電子線描画(露光)用化学増幅型レジストをスピンコート法により塗布し、加熱及び冷却工程を経て、膜厚が150nmのレジスト膜を形成した。
その後、形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
その後、このレジストパターンをマスクにして、吸収体膜のドライエッチングを行って、保護膜上に吸収体膜パターンを形成した。ドライエッチングガスとしては、塩素(Cl)ガスを用いた。
その後、残存するレジストパターンを剥離し、洗浄を行なった。
このようにして、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したEUV露光用の反射型マスクを作製した。
実施例2.
この実施例では、実施例1におけるCARE加工において、純水からなる処理液及び基板温度調整液の温度のみ40℃から60℃へ変更し、それ以外は、基板材料及びその前処理から反射型マスクの製造に至るまで実施例1と同様の方法で、ガラス基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、及び反射型マスクを作製した。したがって、加工、洗浄条件は下記の通りである。
処理液:純水
基板温度調整兼洗浄液:純水
クリーンルームの室温:23℃
処理液及び基板温度調整液の温度:60℃
洗浄液の温度:23℃
軸部71の回転数(ガラス基板の回転数):10.3回転/分
触媒定盤取付部72の回転数(触媒定盤31の回転数):10回転/分
加工圧力:100hPa
加工取り代:10nm
実施例1と同様に、CARE加工による加工前後のガラス基板の主表面として用いる上面の表面粗さを測定した。
加工前の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmであった。
加工後の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.053nmと、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものであった。上面の表面粗さは、処理液である純水の温度を60℃としたCARE加工により、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmから0.053nmに向上した。
また、実施例1と同様に、CARE加工による加工後のガラス基板の上面の欠陥検査を行った。
加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は55個であり、このうちケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)は8個であった。後述の比較例のところで述べるように、処理液の温度を常温(23℃)とし、基板加熱のための温度調整液も用いない従来法では、加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は80個で、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)は24個であった。60℃でCARE加工を行った本実施例により、ケイ酸起因の欠陥数を1/3に減らすことができた。
また、実施例2の方法により、ガラス基板を20枚作製したところ、全数、表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.056nm以下と良好であり、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)個数も10個以下と少なかった。
実施例2の方法により、高平滑性で且つ低欠陥のケイ素酸化物からなる主表面を有するガラス基板が安定して得られた。
実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板についてEUV光(波長13.5nm)の反射率を測定した。
ガラス基板上面の高い平滑性により、保護膜表面も平滑性を保っており(Rmsが0.17nm)、反射率は64%と高反射率であった。
また、実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面の欠陥検査を行った。
保護膜表面の欠陥検出個数は、SEVD換算で21.5mnサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で16,211(個致命欠陥、疑似欠陥含む)となったが、21.5nmサイズの欠陥検査では疑似欠陥が大半を占める。SEVD換算で25nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度欠陥検査を行ったところ、47個(疑似欠陥は含まず)と少なかった。
実施例2の方法により、高平滑性で低欠陥の多層反射膜付き基板が得られた。
また、実施例2の方法により、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したEUV露光用の反射型マスクブランク及び反射型マスクが得られた。
実施例3.
この実施例では、実施例1におけるCARE加工において、純水からなる処理液及び基板温度調整液の温度のみ40℃から75℃へ変更し、それ以外は、基板材料及びその前処理から反射型マスクの製造に至るまで実施例1と同様の方法で、ガラス基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、及び反射型マスクを作製した。したがって、加工、洗浄条件は下記の通りである。
処理液:純水
基板温度調整兼洗浄液:純水
クリーンルームの室温:23℃
処理液及び基板温度調整液の温度:75℃
洗浄液の温度:23℃
軸部71の回転数(ガラス基板の回転数):10.3回転/分
触媒定盤取付部72の回転数(触媒定盤31の回転数):10回転/分
加工圧力:100hPa
加工取り代:10nm
実施例1と同様に、CARE加工による加工前後のガラス基板の主表面として用いる上面の表面粗さを測定した。
加工前の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmであった。
加工後の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.059nmと、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものであった。上面の表面粗さは、処理液である純水の温度を75℃としたCARE加工により、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmから0.059nmに向上した。
また、実施例1と同様に、CARE加工による加工後のガラス基板の上面の欠陥検査を行った。
加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は47個であり、このうちケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数は0個であった。後述の比較例のところで述べるように、処理液の温度を常温(23℃)とし、基板加熱のための温度調整液も用いない従来法では、加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は80個で、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)は24個であった。75℃でCARE加工を行った本実施例により、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数を0個とすることができた。
また、実施例3の方法により、ガラス基板を20枚作製したところ、全数、表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.061nm以下と良好であり、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)個数も1個以下と少なかった。
実施例3の方法により、高平滑性で且つ低欠陥のケイ素酸化物からなる主表面を有するガラス基板が安定して得られた。
実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板についてEUV光(波長13.5nm)の反射率を測定した。
ガラス基板上面の高い平滑性により、保護膜表面も平滑性を保っており(Rmsが0.17nm)、反射率は64%と高反射率であった。
また、実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面の欠陥検査を行った。
保護膜表面の欠陥検出個数は、SEVD換算で21.5nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で16,549個(致命欠陥、疑似欠陥含む)となったが、21.5nmサイズの欠陥検査では疑似欠陥が大半を占める。SEVD換算で25nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で欠陥検査を行ったところ、39個(疑似欠陥は含まず)と少なかった。
実施例3の方法により、高平滑性で低欠陥の多層反射膜付き基板が得られた。
また、実施例3の方法により、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したEUV露光用の反射型マスクブランク及び反射型マスクが得られた。
実施例4.
この実施例では、実施例1におけるCARE加工において、純水からなる処理液及び基板温度調整液の温度のみ40℃から80℃へ変更し、それ以外は、基板材料及びその前処理から反射型マスクの製造に至るまで実施例1と同様の方法で、ガラス基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、及び反射型マスクを作製した。したがって、加工、洗浄条件は下記の通りである。
処理液:純水
基板温度調整兼洗浄液:純水
クリーンルームの室温:23℃
処理液及び基板温度調整液の温度:80℃
洗浄液の温度:23℃
軸部71の回転数(ガラス基板の回転数):10.3回転/分
触媒定盤取付部72の回転数(触媒定盤31の回転数):10回転/分
加工圧力:100hPa
加工取り代:10nm
実施例1と同様に、CARE加工による加工前後のガラス基板の主表面として用いる上面の表面粗さを測定した。
加工前の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmであった。
加工後の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.06nmと、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものであった。上面の表面粗さは、処理液である純水の温度を80℃としたCARE加工により、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmから0.06nmに向上した。
また、実施例1と同様に、CARE加工による加工後のガラス基板の上面の欠陥検査を行った。
加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は46個であり、このうちケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)は0個であった。後述の比較例のところで述べるように、処理液の温度を常温(23℃)とし、基板加熱のための温度調整液も用いない従来法では、加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は80個で、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数は24個であった。80℃でCARE加工を行った本実施例により、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数を0個とすることができた。
また、実施例4の方法により、ガラス基板を20枚作製したところ、全数、表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.063nm以下と良好であり、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)個数も1個以下と少なかった。
実施例4の方法により、高平滑性で且つ低欠陥のケイ素酸化物からなる主表面を有するガラス基板が安定して得られた。
CARE加工における、ガラス基板表面の欠陥数と表面粗さの、処理液及び基板温度調整液の温度依存性を図3に示す。ここで、処理液と基板温度調整液は同じ温度の純水としている。同図中のAは凸欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)、Bはケイ酸起因の欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)、そしてCは表面粗さ(Rms)を表す。常温の23℃に比べ、処理液及び基板温度調整液の温度を上げると凸欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)が減少し、その減少量はほぼケイ酸起因欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)の減少量に一致している。ケイ酸起因の欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は、常温処理(23℃)の従来法の場合に比べ、処理液及び基板温度調整液の温度を40℃とするとほぼ半減、60℃とすると1/3になり、75℃以上で0個となる。一方で、表面粗さは温度の上昇とともに単調に増加するが、80℃の場合でも0.06nmであり、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものである。尚、より一層小さな表面粗さが要求される場合は、使用する触媒定盤の触媒材料、パッド硬度、及び加工圧力などを最適化することによって改善可能である。
実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板についてEUV光(波長13.5nm)の反射率を測定した。
ガラス基板上面の高い平滑性により、保護膜表面も平滑性を保っており(Rmsが0.17nm)、反射率は64%と高反射率であった。
また、実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面の欠陥検査を行った。
保護膜表面の欠陥検出個数は、SEVD換算で21.5nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で20,310個(致命欠陥、疑似欠陥含む)となったが、21.5nmサイズの欠陥検査では疑似欠陥が大半を占める。SEVD換算で25nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で欠陥検査を行ったところ、32個(疑似欠陥は含まず)と少なかった。
実施例4の方法により、高平滑性で低欠陥の多層反射膜付き基板が得られた。
また、実施例4の方法により、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したEUV露光用の反射型マスクブランク及び反射型マスクが得られた。
実施例5.
この実施例では、実施例2におけるCARE加工において、純水からなる洗浄水の温度のみ23℃固定から、80℃から40℃を経て23℃に3段階に変化するように変更し、それ以外は、基板材料及びその前処理から反射型マスクの製造に至るまで実施例2と同様の方法で、ガラス基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、及び反射型マスクを作製した。したがって、加工、洗浄条件は下記の通りである。
処理液:純水
基板温度調整兼洗浄液:純水
クリーンルームの室温:23℃
処理液及び基板温度調整液の温度:60℃
洗浄液の温度:第1段階80℃、第2段階40℃、第3段階23℃
軸部71の回転数(ガラス基板の回転数):10.3回転/分
触媒定盤取付部72の回転数(触媒定盤31の回転数):10回転/分
加工圧力:100hPa
加工取り代:10nm
実施例2と同様に、CARE加工による加工前後のガラス基板の主表面として用いる上面の表面粗さを測定した。
加工前の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmであった。
加工後の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.052nmであり、実施例2の0.053nmとほぼ同じで、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものであった。上面の表面粗さは、本CARE加工により、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmから0.052nmに向上した。
また、実施例2と同様に、CARE加工による加工後のガラス基板の上面の欠陥検査を行った。
加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は48個であり、このうちケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数は3個であった。後述の比較例のところで述べるように、処理液の温度を常温(23℃)とし、基板加熱のための温度調整液も用いない従来法では、加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は80個で、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)は24個であった。本実施例により、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)数を従来法に比べ1/8に減らすことができた。また、洗浄液の温度を23℃と一定にした実施例2の場合のケイ酸起因の欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は8個である。洗浄液の温度を当初80℃とし、段階的に常温の23℃に下げることにより、23℃に固定した場合に対して、ケイ酸起因の欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)をほぼ1/3に減らすことができた。高温の洗浄液により、オルトケイ酸等の洗浄液への溶解度が高まり、洗浄液に溶出したオルトケイ酸等のケイ酸が十分に希釈排除された段階で、常温洗浄へ移行したため、上記効果が得られたものと考えられる。
また、実施例5の方法により、ガラス基板を20枚作製したところ、全数、表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.053nm以下と良好であり、ケイ酸起因の欠陥(致命欠陥、疑似欠陥含む)個数も13個以下と少なかった。
実施例5の方法により、高平滑性で且つ低欠陥のケイ素酸化物からなる主表面を有するガラス基板が安定して得られた。
実施例2と同様に、得られた多層反射膜付き基板についてEUV光(波長13.5nm)の反射率を測定した。
ガラス基板上面の高い平滑性により、保護膜表面も平滑性を保っており(Rmsが0.17nm)、反射率は64%と高反射率であった。
また、実施例2と同様に、得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面の欠陥検査を行った。
保護膜表面の欠陥検出個数は、SEVD換算で21.5nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で18,436個(致命欠陥、疑似欠陥含む)となったが、21.5nmサイズの欠陥検査では疑似欠陥が大半を占める。SEVD換算で25nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で欠陥検査を行ったところ、42個(疑似欠陥は含まず)と少なかった。
実施例5の方法により、高平滑性で低欠陥の多層反射膜付き基板が得られた。
また、実施例5の方法により、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したEUV露光用の反射型マスクブランク及び反射型マスクが得られた。
実施例6.
A.ガラス基板の製造
この実施例では、上面及び下面が研磨された6025サイズ(152mm×152mm×6.35mm)の合成石英ガラス基板を準備した。材料組成から明らかなように、合成石英ガラス基板の表面はケイ素酸化物である。尚、合成石英ガラス基板は、上述の粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、超精密研磨加工工程を経て得られたものである。
それ以外は、実施例2と同様の方法により、ガラス基板を作製した。すなわち、処理液及び基板温度調整液である純水の温度を60℃としたCARE加工により、表面がケイ素酸化物からなるガラス基板の製造を行った。したがって、加工、洗浄条件は下記の通りである。
処理液:純水
基板温度調整兼洗浄液:純水
クリーンルームの室温:23℃
処理液及び基板温度調整液の温度:60℃
洗浄液の温度:23℃
軸部71の回転数(ガラス基板の回転数):10.3回転/分
触媒定盤取付部72の回転数(触媒定盤31の回転数):10回転/分
加工圧力:100hPa
加工取り代:10nm
実施例2と同様に、CARE加工による加工前後のガラス基板の主表面として用いる上面の表面粗さを測定した。
加工前の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.127nmであった。
加工後の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.052nmと、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものであった。上面の表面粗さは、処理液である純水の温度を60℃とした触媒基準エッチングにより、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.127nmから0.052nmに向上した。
また、実施例2と同様に、CARE加工による加工後のガラス基板の上面の欠陥検査を行った。
加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は42個であり、このうちケイ酸起因の欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は7個であった。
また、実施例6の方法により、ガラス基板を20枚作製したところ、全数、表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.054nm以下と良好であり、ケイ酸起因の欠陥個数も11個以下と少なかった。
実施例6の方法により、高平滑性で且つ低欠陥のケイ素酸化物からなる主表面を有するガラス基板が安定して得られた。
B.ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造
次に、このようにして作製されたガラス基板の上面上に、モリブデンシリサイド(MoSi)ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)と窒素(N)と酸素(O)との混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)からなる光半透過膜(膜厚88nm)を形成した。ラザフォード後方散乱分析法で分析した光半透過膜の膜組成は、Mo:5原子%、Si:30原子%、O:39原子%、N:26原子%であった。光半透過膜の露光光に対する透過率は6%であり、露光光が光半透過膜を透過することにより生じる位相差は180度であった。
その後、光半透過膜上に、クロム(Cr)ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、クロム酸化炭化窒化物(CrOCN)層(膜厚30nm)を形成し、さらに、その上に、クロム(Cr)ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)と窒素(N)との混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、クロム窒化物(CrN)層(膜厚4nm)を形成し、クロム酸化炭化窒化物(CrOCN)層とクロム窒化物(CrN)層との積層からなる遮光層を形成した。さらに、この遮光層上に、クロム(Cr)ターゲットを使用し、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、クロム酸化炭化窒化物(CrOCN)からなる表面反射防止層(膜厚14nm)を形成した。このようにして、遮光層と表面反射防止層とからなる遮光膜を形成した。
このようにして、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したArFエキシマレーザー露光用のハーフトーン型位相シフトマスクブランクを作製した。
C.ハーフトーン型位相シフトマスクの製造
次に、このようにして作製されたハーフトーン型位相シフトマスクブランクの遮光膜上に、電子線描画(露光)用化学増幅型レジストをスピンコート法により塗布し、加熱及び冷却工程を経て、膜厚が150nmのレジスト膜を形成した。
その後、形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
その後、このレジストパターンをマスクにして、遮光膜のドライエッチングを行って、光半透過膜上に遮光膜パターンを形成した。ドライエッチングガスとしては、塩素(Cl)と酸素(O)との混合ガスを用いた。
その後、レジストパターン及び遮光膜パターンをマスクにして、光半透過膜のドライエッチングを行って、光半透過膜パターンを形成した。ドライエッチングガスとしては、六フッ化硫黄(SF)とヘリウム(He)との混合ガスを用いた。
その後、残存するレジストパターンを剥離し、再度レジスト膜を塗布し、転写領域内の不要な遮光膜パターンを除去するためのパターン露光を行った後、このレジスト膜を現像してレジストパターンを形成した。
その後、ウェットエッチングを行って、不要な遮光膜パターンを除去した。
その後、残存するレジストパターンを剥離し、洗浄を行った。
このようにして、低欠陥、且つ高い平滑性の表面状態を維持したArFエキシマレーザー露光用のハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。
尚、この実施例では、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)からなるからなる光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクや位相シフトマスクブランクについて本発明を適用したが、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)からなる光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクや位相シフトマスクブランクについても、本発明を適用できる。また、単層の光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクや位相シフトマスクブランクに限らず、多層構造の光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクや位相シフトマスクブランクについても、本発明を適用できる。また、多層構造の遮光膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクや位相シフトマスクブランクに限らず、単層の遮光膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクや位相シフトマスクブランクについても、本発明を適用できる。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクブランクに限らず、レベンソン型位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクブランク、クロムレス型位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクブランクについても、本発明を適用できる。
また、この実施例では、粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、超精密研磨加工工程を経て得られたガラス基板の主表面に対して、触媒基準エッチングによる加工を施す場合について本発明を適用したが、実施例1で行った局所加工工程およびタッチ研磨工程を経て得られたガラス基板の主表面に対して触媒基準エッチングによる加工を施す場合についても、本発明を適用することができる。
比較例.
この比較例では、実施例1におけるCARE加工において、純水からなる処理液の温度を40℃から常温の23℃へ変更し、それ以外は、基板材料及びその前処理から反射型マスクの製造に至るまで実施例1と同様の方法で、ガラス基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、及び反射型マスクを作製した。尚、基板温度調整液は用いていない。したがって、加工、洗浄条件は下記の通りである。
処理液:純水
洗浄液:純水
クリーンルームの室温:23℃
処理液の温度:23℃
洗浄液の温度:23℃
軸部71の回転数(ガラス基板の回転数):10.3回転/分
触媒定盤取付部72の回転数(触媒定盤31の回転数):10回転/分
加工圧力:100hPa
加工取り代:10nm
実施例1と同様に、CARE加工による加工前後のガラス基板の主表面として用いる上面の表面粗さを測定した。
加工前の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmであった。
加工後の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.04nmと、要求値の0.08nmを大幅に下回る良好なものであった。上面の表面粗さは、処理液である純水の温度を23℃としたCARE加工により、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.157nmから0.04nmに向上した。
また、実施例1と同様に、CARE加工による加工後のガラス基板の上面の欠陥検査を行った。
加工後の主表面の凸欠陥の検出個数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は80個であり、このうちケイ酸起因の欠陥数(致命欠陥、疑似欠陥含む)は24個であった。
また、この方法により、ガラス基板を20枚作製したところ、全数、表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.046nm以下と良好であったが、ケイ酸起因の欠陥個数は24〜45個と多かった。
比較例の方法では、高い平滑性は得られたものの、主表面に欠陥が多いガラス基板が製造された。
実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板についてEUV光(波長13.5nm)の反射率を測定した。
ガラス基板上面の高い平滑性により、保護膜表面も平滑性を保っており(Rmsで0.17nm)、反射率は64%と高反射率であった。
また、実施例1と同様に、得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面の欠陥検査を行った。
保護膜表面の欠陥検出個数は、SEVD換算で21.5nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で17,872個(致命欠陥、疑似欠陥含む)となったが、21.5nmサイズの欠陥検査では疑似欠陥が大半を占める。SEVD換算で25nmサイズの欠陥(凸欠陥)が検出可能な感度で欠陥検査を行ったところ、103個(疑似欠陥は含まず)と多かった。
比較例の方法では、高い平滑性は得られたものの、欠陥の多い多層反射膜付き基板が製造された。
また、比較例の方法では、高い平滑性は得られたものの、欠陥の多い表面状態のEUV露光用の反射型マスクブランク及び反射型マスクが製造された。
尚、上述した実施例では、反射型マスクブランク用基板や位相シフトマスクブランク用基板の主表面に対して、触媒基準エッチングによる加工を施す場合について本発明を適用したが、バイナリーマスクブランクやナノインプリント用マスクブランクの主表面に対して、触媒基準エッチングによる加工を施す場合についても、本発明を適用できる。
また、上述した実施例では、マスクブランク用基板の主表面に対して、触媒基準エッチングによる加工を施す場合について本発明を適用したが、磁気記録媒体用基板の主表面に対して、触媒基準エッチングによる加工を施す場合にも、本発明を適用できる。
1…基板加工装置、2…基板支持手段、3…基板表面創製手段、4…温度調整液、洗浄液供給手段、5…駆動手段、6…チャンバー、7…相対運動手段、8…荷重制御手段、9…処理液供給手段、21…支持部、22…平面部、22a…収容部、31…触媒定盤、32…定盤本体、33…加工基準面、41…供給管、42…噴射ノズル、51…アーム部、52…軸部、53…土台部、54…ガイド、61…開口部、62…排出口、63…底部、71…軸部71、72…触媒定盤取付部、81…エアシリンダ、82…ロードセル、91…処理液供給ノズル、M…基板、M1…上面、M2…下面。

Claims (11)

  1. マスクブランク用基板の製造方法であって、
    少なくとも主表面がケイ素酸化物を含む材料よりなるマスクブランク用基板を準備する基板準備工程と、
    触媒物質の加工基準面を前記基板の主表面に接触又は接近させ、前記加工基準面又は前記基板のいずれか一方、もしくは両方を、前記基板の主表面に垂直な方向の軸を中心として回転させながら前記主表面に向かって処理液が供給されることにより、前記加工基準面と前記主表面との間に処理液を介在させた状態で前記主表面と前記加工基準面とを相対運動させて前記主表面を触媒基準エッチングする工程と、を有し、
    前記触媒基準エッチングする工程は、クリーンルーム又はクリーンブース内で行われ、
    前記処理液は、純水、オゾン水、炭酸水、水素水、アルカリ性水溶液及び酸性水溶液の中から選択される液体であり、前記触媒基準エッチング中の前記処理液の温度は、前記クリーンルーム又はクリーンブース内の室温を超える温度であることを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
  2. 前記基板の少なくとも主表面は、前記触媒基準エッチング工程中、前記室温を超える温度に加温されていることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  3. 前記触媒基準エッチング工程終了後、前記処理液を洗浄液に連続的に置換した後、前記基板の主表面を前記洗浄液にて洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  4. 前記洗浄工程において、前記洗浄液の温度を、開始時における前記室温を超える温度から、少なくとも終了時には前記室温にするように経過時間に応じて温度調整することを特徴とする請求項3に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  5. 前記処理液と前記洗浄液は同一の物質であることを特徴とする請求項3又は4に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  6. 前記処理液の温度は、40℃から80℃の範囲であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一に記載のマスクブランク用基板の製造方法によって製造されたマスクブランク用基板の主表面上に、多層反射膜を形成することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一に記載のマスクブランク用基板の製造方法によって得られたマスクブランク用基板の主表面上、又は、請求項7記載の多層反射膜付き基板の製造方法によって得られた多層反射膜付き基板の多層反射膜上に、転写パターン用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  9. 請求項8に記載のマスクブランクの製造方法によって得られたマスクブランクの転写パターン用薄膜をパターニングして、転写パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  10. マスクブランク用基板の主表面を触媒基準エッチングにより加工してマスクブランク用基板を製造するマスクブランク用基板製造装置であって、
    前記基板を支持する基板支持手段と、
    該基板支持手段により支持された前記基板の主表面に対向して配置される触媒物質の加工基準面を有する基板表面創製手段と、
    前記加工基準面と前記主表面とを接触又は接近させた状態で、前記加工基準面又は前記基板のいずれか一方、もしくは両方を、前記基板の主表面に垂直な方向の軸を中心として回転させながら相対運動させる相対運動手段と、
    前記主表面に向かって処理液を供給することによって前記加工基準面と前記主表面との間に、処理液を介在させる処理液供給手段と、
    前記処理液の温度を、前記触媒基準エッチングが行われるクリーンルーム又はクリーンブース内の室温より高くする温度調整手段とを備え、
    前記処理液は、純水、オゾン水、炭酸水、水素水、アルカリ性水溶液及び酸性水溶液の中から選択される液体であることを特徴とするマスクブランク用基板製造装置。
  11. 洗浄液を供給する手段と、前記洗浄液の温度を前記処理液の温度から前記室温まで調整する温度調整手段とを備えていることを特徴とする請求項10に記載のマスクブランク用基板製造装置。
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