JP6279476B2 - 多層反射膜付き基板の製造方法 - Google Patents

多層反射膜付き基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高感度の欠陥検査装置を用いた欠陥検査において、多層反射膜の表面粗さに起因する疑似欠陥の検出を抑制し、異物や傷などの致命欠陥の発見を容易にすることが可能な多層反射膜付き基板及びその製造方法、当該基板から反射型マスクブランク及びその製造方法、当該マスクブランクから得られる反射型マスク及びその製造方法並びに当該反射型マスクを用いた半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体産業において、半導体デバイスの高集積化に伴い、従来の紫外光を用いたフォトリソグラフィ法の転写限界を上回る微細パターンが必要とされてきている。このような微細パターン形成を可能とするため、極紫外(Extreme Ultra Violet:以下、「EUV」と呼ぶ。)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィーが有望視されている。ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。このEUVリソグラフィーにおいて用いられる転写用マスクとして反射型マスクが提案されている。このような反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、該多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成されたものである。
当該反射型マスクは、基板と、当該基板上に形成された多層反射膜と、当該多層反射膜上に形成された吸収体膜を有する反射型マスクブランクから、フォトリソグラフィ法等により吸収体膜パターンを形成することによって製造される。
以上のように、リソグラフィー工程での微細化に対する要求が高まることにより、そのリソグラフィー工程での課題が顕著になりつつある。その1つが、リソグラフィー工程で用いられる多層反射膜付き基板等の欠陥情報に関する問題である。
多層反射膜付き基板は、近年のパターンの微細化に伴う欠陥品質の向上や、転写用マスクに求められる光学的特性の観点から、より高い平滑性を有することが要求されている。多層反射膜は、マスクブランク用基板の表面上に高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層することで形成される。これら各層は、一般にそれらの層の形成材料からなるスパッタリングターゲットを使用したスパッタリングにより形成されている。
スパッタリングの手法としては、放電でプラズマを作る必要がないので、多層反射膜中に不純物が混ざりにくい点や、イオン源が独立していて、条件設定が比較的容易等の点からイオンビームスパッタリングが好ましく実施されており、形成される各層の平滑性や面均一性の観点から、マスクブランク用基板主表面の法線(前記主表面に直交する直線)に対して大きな角度で、すなわち基板主表面に対してななめ若しくは平行に近い角度でスパッタ粒子を到達させて、高屈折率層及び低屈折率層を成膜している。
このような方法で多層反射膜付き基板を製造する技術として、特許文献1には、基板上にEUVリソグラフィー用反射型マスクブランクの多層反射膜を成膜するに際し、基板をその中心軸を中心に回転させつつ、基板の法線と基板に入射するスパッタ粒子とがなす角度αの絶対値を35度≦α≦80度に保持してイオンビームスパッタリングを実施することが記載されている。
特表2009−510711号公報
ArFエキシマレーザー、EUV光を使用したリソグラフィーにおける急速なパターンの微細化に伴い、バイナリー型マスクや位相シフト型マスクのような透過型マスク(オプティカルマスクとも言う。)や、反射型マスクであるEUVマスクの欠陥サイズ(Defect Size)も年々微細になり、このような微細欠陥を発見するために、欠陥検査で使用する検査光源波長は露光光の光源波長に近づきつつある。
例えば、オプティカルマスクや、その原版であるマスクブランク及びサブストレートの欠陥検査装置としては、検査光源波長が193nmである高感度欠陥検査装置が普及しつつあり、EUVマスクや、その原版であるEUVマスクブランク及びサブストレートの欠陥検査装置としては、検査光源波長が266nm(レーザーテック社製のEUV露光用のマスク・サブストレート/ブランク欠陥検査装置「MAGICS 7360」)、193nm(KLA−Tencor社製のEUV・マスク/ブランク欠陥検査装置「Teron600シリーズ」)、13.5nmとする高感度欠陥検査装置が普及、又は提案されている。
ここで、従来の転写用マスクに用いられる多層反射膜付き基板の多層反射膜は、例えば[背景技術]で述べた方法で成膜されて、基板上に存在する凹欠陥を低減する試みがなされている。しかし、いくら基板の凹欠陥起因の欠陥を低減できたとしても、上述した高感度欠陥検査装置の検出感度が高いため、多層反射膜の欠陥検査を行うと欠陥検出数(検出欠陥数=致命欠陥+疑似欠陥)が多く検出されるという問題が生じている。
ここでいう疑似欠陥とは、パターン転写に影響しない多層反射膜上の許容される凹凸であって、高感度欠陥検査装置で検査した場合に、欠陥と誤判定されてしまうものをいう。欠陥検査において、このような疑似欠陥が多数検出されると、パターン転写に影響のある致命欠陥が多数の疑似欠陥に埋もれてしまい、致命欠陥を発見することができなくなる。例えば、現在普及しつつある検査光源波長が266nm、193nmあるいは13.5nmとする欠陥検査装置では、例えば132mm×132mmのサイズの多層反射膜付き基板において、欠陥検出数が100,000個を超えしまい、致命欠陥の有無を検査することができない。欠陥検査における致命欠陥の看過は、その後の半導体装置の量産過程において不良を引き起こし、無用な労力と経済的な損失をまねくことになる。
そこで本発明は、種々の波長の光を使用した高感度欠陥検査機においても疑似欠陥を含む欠陥検出数が少なく、特に多層反射膜付き基板に要求される平滑性が達成され、同時に疑似欠陥を含む欠陥検出数が少ないために致命欠陥を確実に検出することができる多層反射膜付き基板及びその製造方法、当該基板を使用して得られる反射型マスクブランク及びその製造方法、反射型マスク及びその製造方法、並びに前記反射型マスクを使用した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
従来、多層反射膜について反射率特性の観点からその表面粗さを低減する試みはなされていたが、高感度欠陥検査装置による疑似欠陥の検出との関連については、全く知られていなかった。
今般本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高感度欠陥検査装置の検査光源波長に対し、所定の空間周波数(または空間波長)成分の粗さが疑似欠陥として検出されやすいことを見出した。それゆえ、多層反射膜の粗さ(凹凸)成分のうち、高感度欠陥検査装置が疑似欠陥と誤判定してしまう粗さ成分の空間周波数を特定し、該空間周波数における振幅強度(パワースペクトル密度)を管理することで、欠陥検査における疑似欠陥検出の抑制と、致命欠陥の顕著化とを図ることができる。
そして本発明者らは、このような多層反射膜におけるパワースペクトル密度の管理が、多層反射膜の成膜条件によって可能であることを見出し、さらに、この成膜条件によると、検査光源波長が13.5nmの高感度欠陥検査装置を用いた欠陥検査におけるバックグラウンドレベル(BGL)を小さくすることができ、疑似欠陥の検出が抑制されることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)
本発明の構成1は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層反射膜を、マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面上に有する多層反射膜付き基板の製造方法であって、高屈折率材料と低屈折率材料のターゲットを用いたイオンビームスパッタリングにより、前記主表面上に前記多層反射膜を成膜する工程を有し、前記イオンビームスパッタリングにおいて、前記多層反射膜の膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下となるように、前記高屈折率材料と前記低屈折率材料のスパッタ粒子を前記基板主表面の法線に対して所定の入射角度で入射させることを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法である。
上記構成1によれば、マスクブランク用基板上への多層反射膜の形成をイオンビームスパッタリングにより行い、しかもそのイオンビームスパッタリングにおける層形成材料のスパッタ粒子の入射角を、前記多層反射膜の膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下となるように設定することによって、波長266nmのUVレーザー、193nmのArFエキシマレーザーや13.5nmのEUV光を用いる高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成2)
本発明の構成2は、前記入射角度が、前記主表面の法線に対して0度以上30度以下であることを特徴とする構成1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
上記構成2によれば、前記入射角を前記主表面の法線に対して0度以上30度以下とすることによって、前記パワースペクトル密度が好適な範囲になり、種々の高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成3)
本発明の構成3は、前記多層反射膜上に保護膜を形成する工程をさらに有し、該保護膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であることを特徴とする構成1又は2に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
上記構成3によれば、前記多層反射膜上に保護膜を形成することにより、転写用マスク(EUVマスク)を製造する際の多層反射膜表面へのダメージを抑制することができるので、EUV光に対する多層反射膜の反射率特性が更に良好となる。また、当該保護膜のパワースペクトル密度も一定範囲に管理することによって、例えば、検査光源波長として266nm、193nmあるいは13.5nmの光を用いる高感度欠陥検査装置を使用しての保護膜表面の欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することができ、さらに致命欠陥の顕著化を図ることができる。
(構成4)
本発明の構成4は、前記マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が、10nm以下であることを特徴とする構成1〜3のいずれかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
上記構成4によれば、マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面のパワースペクトル密度を一定範囲に制御することによって、多層反射膜の平滑性がより高まり、疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することができる。
(構成5)
本発明の構成5は、前記マスクブランク用基板が、EEM(Elastic Emission Machining)及び/又は触媒基準エッチング:CARE(CAtalyst-Referred Etching)により表面加工されていることを特徴とする構成4に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
上記構成5によれば、マスクブランク用基板をEEM及びCAREのいずれか又は双方の表面加工方法により表面加工することによって、上記のパワースペクトル密度範囲を好適に達成することができる。
(構成6)
本発明の構成6は、構成1〜5のいずれかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法により製造された多層反射膜付き基板の多層反射膜上又は保護膜上に、転写パターンとなる吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法である。
上記構成6によれば、反射型マスクブランクにおいて、検査光源波長として266nm、193nmあるいは13.5nmの光を用いる高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができ、さらに致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成7)
本発明の構成7は、構成6に記載の反射型マスクブランクの製造方法により製造された反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングして、前記多層反射膜上又は前記保護膜上に吸収体パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法である。
上記構成7によれば、反射型マスクにおいて、高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができ、さらに致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成8)
本発明の構成8は、マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面上に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層反射膜を有する多層反射膜付き基板であって、前記多層反射膜付き基板の膜表面は、1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であり、前記膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さが二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.13nm未満であることを特徴とする多層反射膜付き基板である。
上記構成8によれば、多層反射膜付き基板の膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度を20nm以下、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度を10nm以下とし、さらに前記膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さを二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.13nm未満とすることによって、EUV光に対する多層反射膜の反射率特性が高い状態で維持されつつ、波長266nmのUVレーザー、193nmのArFエキシマレーザーや13.5nmのEUV光を用いる高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成9)
本発明の構成9は、前記多層反射膜付き基板が、前記多層反射膜上に保護膜を有し、該保護膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であり、前記保護膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さが二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.13nm未満であることを特徴とする構成8に記載の多層反射膜付き基板である。
上記構成9によれば、前記多層反射膜上に保護膜を有することにより、転写用マスク(EUVマスク)を製造する際の多層反射膜表面へのダメージを抑制することができるので、EUV光に対する多層反射膜の反射率特性が更に良好となる。また、当該保護膜のパワースペクトル密度も一定範囲に管理することによって、例えば、検査光源波長として266nm、193nmあるいは13.5nmの光を用いる高感度欠陥検査装置を使用しての保護膜表面の欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することができ、さらに致命欠陥の顕著化を図ることができる。
(構成10)
本発明の構成10は、構成8又は9に記載の多層反射膜付き基板の多層反射膜上又は保護膜上に、転写パターンとなる吸収体膜を有することを特徴とする反射型マスクブランクである。
上記構成10によれば、反射型マスクブランクにおいて、検査光源波長として266nm、193nmあるいは13.5nmの光を用いる高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができ、さらに致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成11)
本発明の構成11は、構成10に記載の反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングして得られた吸収体パターンを、前記多層反射膜上又は前記保護膜上に有することを特徴とする反射型マスクである。
上記構成11によれば、反射型マスクにおいて、高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができ、さらに致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成12)
本発明の構成12は、構成11に記載の反射型マスクを用いて、露光装置を使用したリソグラフィープロセスを行い、被転写体上に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
上記構成12によれば、高感度の欠陥検査装置を用いた欠陥検査において、異物や傷などの致命欠陥を排除した反射型マスクを使用でき、また前記検査において疑似欠陥を含む欠陥検出数は大幅に抑制されて、余計なコストが削減されている。それゆえ、半導体基板等の被転写体上に形成されたレジスト膜に、前記マスクを使用して転写する回路パターン等の転写パターンに欠陥がなく、しかも微細でかつ高精度の転写パターンを有する半導体装置を経済的に有利に製造することができる。
本発明によれば、種々の波長の光を使用する高感度欠陥検査装置においても疑似欠陥の検出が少なく、特に多層反射膜付き基板に要求される高平坦度、高平滑度が達成され、同時に疑似欠陥を含む欠陥検出数が少ないために致命欠陥を確実に検出することができる多層反射膜付き基板及びその製造方法が提供される。さらに、当該基板を使用して得られる反射型マスクブランク及びその製造方法、反射型マスク及びその製造方法、並びに前記反射型マスクを使用した半導体装置の製造方法も提供される。
本発明の一実施形態に係る多層反射膜付き基板の構成の一例を示す断面模式図である。 図2(a)は、本発明の一実施形態に係る多層反射膜付き基板に使用されるマスクブランク用基板10を示す斜視図である。図2(b)は、本実施形態におけるマスクブランク用基板10を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る反射型マスクブランクの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る反射型マスクの一例を示す断面模式図である。 実施例における、種々のイオンビームスパッタリング条件で作製した多層反射膜付き基板の膜表面について検査光源波長が13.5nmの高感度欠陥検査機を使用して欠陥検査を行ったときのBGLの結果を示す図である。 実施例において作製した多層反射膜付き基板について、膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定し、それぞれパワースペクトル密度を求めた結果を示す図である。 実施例における、EEM加工したガラス基板及び未加工のガラス基板を拡大倍率50倍(視野0.14mm×0.105mm)にて、パワースペクトル密度測定した結果を示す図である。 実施例における、EEM加工したガラス基板及び未加工のガラス基板の、1μm×1μmの領域について原子間力顕微鏡によりパワースペクトル密度を測定した結果を示す図である。 代表的なCARE加工装置の模式図である。 実施例における、EEM及びCARE加工を経たマスクブランク用基板の、1μm×1μmの領域について原子間力顕微鏡によりパワースペクトル密度を測定した結果を示す図である。
[多層反射膜付き基板の製造方法]
まず、本発明の一実施形態に係る多層反射膜付き基板20の製造方法について以下に説明する。図1は、本実施形態の多層反射膜付き基板20を示す模式図である。
本実施形態の多層反射膜付き基板20は、マスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面上に多層反射膜21を形成することによって製造される。この多層反射膜21は、リソグラフィー用反射型マスクにおいて光を反射する機能を付与するものであり、屈折率の異なる元素が周期的に積層された多層膜の構成を取っている。本発明の多層反射膜付き基板20においては、上記の通り13.5nmといった非常に短い波長の光を使用する欠陥検査装置を使用しての検査においても、疑似欠陥を含む欠陥検出数が抑制されている。そのため、前記多層反射膜付き基板20は、13.5nmのEUV光を欠陥検査に使用することが必要な場合もあるEUVリソグラフィーに好適である。
多層反射膜21は光、特にEUV光を反射する限りその材質は特に限定されないが、その単独での反射率は通常65%以上であり、上限は通常73%である。このような多層反射膜21は、一般的には、高屈折率の材料からなる薄膜(高屈折率層)と、低屈折率の材料からなる薄膜(低屈折率層)とが、交互に40〜60周期程度積層された構成とすることができる。
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜21としては、Mo膜とSi膜とを交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましい。その他、EUV光の領域で使用される多層反射膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などが挙げられる。
多層反射膜の形成には、従来マグネトロンスパッタリングやイオンビームスパッタリングが使用されている。本発明においては、多層反射膜21の形成のためイオンビームスパッタリングを採用し、高屈折率材料と低屈折率材料のターゲットを使用し、これらのスパッタ粒子をマスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面法線に対して所定の入射角度で入射させることを特徴としている。
具体的には、前記多層反射膜21の膜表面の特定の空間周波数領域におけるパワースペクトル密度(Power Spectrum Density : PSD)が、特定の範囲になるような入射角度で入射させる。なお、多層反射膜21の膜表面とは、多層反射膜21の最上層(マスクブランク用基板10に接する層と反対側の端の層)の、マスクブランク用基板10及び多層反射膜21の接触面と平行な面を指す。
また、前記多層反射膜21の膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さは、EUV光に対する多層反射膜の反射率特性を高くする観点から、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.13nm未満とすることが好ましい。
以下、本発明の多層反射膜付き基板20における多層反射膜21の膜表面の表面形態を示すパラメーターであるパワースペクトル密度(Power Spectrum Density : PSD)及びRmsについて説明する。
<パワースペクトル密度>
多層反射膜21の膜表面を例えば原子間力顕微鏡により測定して得られた前記膜表面の凹凸をフーリエ変換することにより、前記凹凸を所定の空間周波数での振幅強度で表すことができる。これは、前記凹凸(つまり多層反射膜21の膜表面の微細形態)の測定データを、所定の空間周波数の波の和として表す、つまり多層反射膜21の表面形態を所定の空間周波数の波に分けていくものである。
このようなパワースペクトル解析は、前記多層反射膜21の微細な表面形態を数値化することができる。Z(x,y)を前記表面形態における特定のx、y座標における高さのデータ(数値)とすると、そのフーリエ変換は下式(2)で与えられる。
ここで、Nx,Nyは、x方向とy方向のデータの数である。u=0、1、2・・・Nx−1、v=0、1、2・・・Ny−1であり、このとき空間周波数fは、下式(3)で与えられる。
(式(3)において、dはx方向の最小分解能であり、dはy方向の最小分解能である)
このときのパワースペクトル密度PSDは下式(4)で与えられる。
このパワースペクトル解析は、多層反射膜21の表面状態の変化を単純な高さの変化としてだけでなく、その空間周波数での変化として把握することができる点で優れており、原子レベルでの微視的な反応などが多層反射膜表面に与える影響を解析する手法である。
そして、本発明の多層反射膜付き基板20は、上記目的を達成するために、その多層反射膜21の膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下の領域でのPSDを20nm以下とし、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるPSDを10nm以下、好ましくは8nm以下とする。空間周波数1μm−1以上100μm−1以下の領域を観測するには、原子間力顕微鏡で1μm×1μmの領域を観測するのがデータの信頼性が高い。
本明細書においては、前記1μm×1μmの領域は、多層反射膜21の膜表面の中心の領域とする。例えば、多層反射膜付き基板20の多層反射膜21の膜表面が長方形の形状をしていれば、前記中心とは前記長方形の対角線の交点である。すなわち、前記交点と前記領域における中心(領域の中心も前記膜表面の中心と同様である)とが一致する。後述するマスクブランク用基板、保護膜や吸収体膜についても同様である。
検査光源波長として266nm、193nm、13.5nmといった波長の光を使用する高感度欠陥検査装置は、上記の1μm−1以上10μm−1以下の空間周波数領域及び/又は10μm−1以上100μm−1以下の空間周波数領域の粗さを疑似欠陥として誤検出しやすいため、これらの領域における粗さ(振幅強度であるPSD)を一定値以下に抑えることにより、疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制しつつ、これにより検出し損なってはならない致命欠陥の検出を確実に行うことができる。
上記のように多層反射膜付き基板20の多層反射膜21の膜表面の特定の空間周波数領域におけるパワースペクトル密度を特定の範囲にすることにより、例えば、レーザーテック社製のEUV露光用のマスク・サブストレート/ブランク欠陥検査装置「MAGICS 7360」や、KLA−Tencor社製のレチクル、オプティカル・マスク/ブランク、UV・マスク/ブランク欠陥検査装置「Teron 600シリーズ」ならびに露光波長と同一の光(EUV光)による欠陥検査装置「Actinic」による欠陥検査において、疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することができる。これにより致命欠陥の顕著化が可能となり、致命欠陥が検出された場合にはそれを除去したり、あるいは致命欠陥上には後述する反射型マスク40において吸収体パターン27がくるようにマスク設計したりと、種々の手当てを施すことができる。
なお、上記検査光源波長は、266nm、193nm及び13.5nmに限定されない。検査光源波長として、532nm、488nm、364nm、257nmを使用しても構わない。
(イオンビームスパッタリング)
本発明においては、上述の空間周波数領域におけるPSDを達成するために、特定のイオンビームスパッタリングで上記多層反射膜21を形成する。例えば、多層反射膜21が上述したMo/Si周期多層膜の場合、イオンビームスパッタリングにより、まずSiターゲットを用いて厚さ数nm程度のSi膜をマスクブランク用基板10上に成膜し、その後、Moターゲットを用いて厚さ数nm程度のMo膜を成膜し、これを一周期として、40〜60周期積層して、多層反射膜21を形成する。
従来は、形成される多層反射膜の平滑性や面均一性の点から、マスクブランク用基板10の主表面の法線(前記主表面に直交する直線)に対して大きな角度で、すなわち基板10の主表面に対してななめ若しくは平行に近い角度でスパッタ粒子を到達させて、高屈折率層及び低屈折率層を成膜していた。
このような方法では、形成される多層反射膜について、上述の、高感度欠陥検査装置を使用しての欠陥検査において疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制できるほどの平滑性を達成することができなかった。
本発明者らは、上記の多層反射膜の平滑性や面均一性の点からの技術常識から離れて、マスクブランク用基板10の主表面の法線に対して様々な入射角度で実験を行った結果、前記法線に対して小さな角度、例えば0度以上30度以下、好ましくは0度以上20度以下の角度で高屈折率材料及び低屈折率材料のスパッタ粒子を入射させることによって、上記の特定の空間周波数領域における特定のPSDを達成し、これにより上記疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制し、あわせて致命欠陥を顕著化することができることを見出した。
また、多層反射膜21の膜表面を検査光源波長が13.5nmであるActinic検査機を使用して欠陥検査すると、一定のバックグラウンドレベル(BGL)があり、これがある閾値を超えると、欠陥のない部分が疑似欠陥として検出される。上記の入射角度でイオンビームスパッタリングを行うと、このBGLを小さくすることができる。この点も、本発明の方法により製造された多層反射膜付き基板20における疑似欠陥の検出抑制に寄与しているものと考えられる。
<空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さ(Rms)>
上記のEUV光における多層反射膜21の反射率を高い状態で維持し、かつ疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制するために、多層反射膜21における空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さ(Rms)を0.13nm未満、好ましくは0.12nm以下にする。ここで、Rms(Root means square)は、後述する[数4]における式(1)で定義されるパラメーターであって、原子間力顕微鏡DI Dimension3100(Veeco社製)により、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における粗さ成分を抽出して求める表面粗さ(Rms)である。
<保護膜>
上記で形成された多層反射膜21の上に、EUVリソグラフィー用反射型マスクの製造工程におけるドライエッチングやウェット洗浄からの多層反射膜21の保護のため、保護膜22(図3を参照)を形成することもできる。このように、マスクブランク用基板10上に、多層反射膜21と、保護膜22とを有する形態も本発明における多層反射膜付き基板とすることができる。
なお、上記保護膜22の材料としては、例えば、Ru、Ru−(Nb,Zr,Y,B,Ti,La,Mo),Si−(Ru,Rh,Cr,B),Si,Zr,Nb,La,B等の材料を使用することができるが、これらのうち、ルテニウム(Ru)を含む材料を適用すると、多層反射膜の反射率特性がより良好となる。具体的には、Ru、Ru−(Nb,Zr,Y,B,Ti,La,Mo)であることが好ましい。このような保護膜は、特に、後述する吸収体膜をTa系材料とし、Cl系ガスのドライエッチングで当該吸収体膜をパターニングする場合に有効である。
なお、上記の多層反射膜付き基板20において、前記保護膜22の膜表面は、1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であることが好ましい。
このような構成とすることにより、上記に挙げた検査光源波長として266nmのUVレーザー又は193nmのArFエキシマレーザー、あるいは13.5nmのEUV光を用いる高感度欠陥検査装置で多層反射膜付き基板20の欠陥検査を行う場合、疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することができる。
なお、前記保護膜22の表面とは、保護膜22の多層反射膜21と接する面と反対側の面であって、マスクブランク用基板10の主表面と平行な面である。
また、前記保護膜22の膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さは、EUV光に対する多層反射膜21の反射率特性を高くする観点から、二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.13nm未満とすることが好ましい。
保護膜22は、多層反射膜21の成膜後、連続して、マスクブランク用基板10の主表面の法線に対して斜めに保護膜22が堆積するように、イオンビームスパッタリング法や、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法を実施することにより形成することができる。
また、多層反射膜付き基板20において、マスクブランク用基板10の多層反射膜21と接する面と反対側の面には、静電チャックの目的のために裏面導電膜23(図3を参照)を形成することもできる。このように、マスクブランク用基板10上の転写パターンが形成される側に多層反射膜21と、保護膜22とを有し、多層反射膜21と接する面と反対側の面に裏面導電膜23を有する形態も本発明における多層反射膜付き基板に含まれる。なお、裏面導電膜23に求められる電気的特性(シート抵抗)は、通常100Ω/□以下である。裏面導電膜23の形成方法は公知であり、例えば、イオンビームスパッタリング法や、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法により、Cr、Ta等の金属や合金のターゲットを使用して形成することができる。
なお、以上の説明では、マスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面に、多層反射膜21及び保護膜22を成膜した後、上記主表面とは反対側の裏面に裏面導電膜23を形成することを説明したが、本発明はこのような順序に限られない。マスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面とは反対側の主表面に裏面導電膜23を形成した後、転写パターンが形成される側の主表面に、多層反射膜21や、さらに保護膜22を成膜して多層反射膜付き基板20を製造しても構わない。
また、本実施形態の多層反射膜付き基板20としては、マスクブランク用基板10と多層反射膜21との間に下地層を形成してもよい。下地層は、基板10の主表面の平滑性向上の目的、欠陥低減の目的、多層反射膜21の反射率増強効果の目的、並びに多層反射膜21の応力補正の目的で形成することができる。
<マスクブランク用基板>
次に、以上説明した本実施形態の多層反射膜付き基板20を構成するマスクブランク用基板10について説明する。
図2(a)は、本実施形態のマスクブランク用基板10を示す斜視図である。図2(b)は、本実施形態のマスクブランク用基板10を示す断面模式図である。
マスクブランク用基板10(または、単に基板10とも称す。)は、矩形状の板状体であり、2つの対向主表面2と、端面1とを有する。2つの対向主表面2は、この板状体の上面及び下面であり、互いに対向するように形成されている。また、2つの対向主表面2の少なくとも一方は、転写パターンが形成されるべき主表面である。
端面1は、この板状体の側面であり、対向主表面2の外縁に隣接する。端面1は、平面状の端面部分1d、及び曲面状の端面部分1fを有する。平面状の端面部分1dは、一方の対向主表面2の辺と、他方の対向主表面2の辺とを接続する面であり、側面部1a、及び面取斜面部1bを含む。側面部1aは、平面状の端面部分1dにおける、対向主表面2とほぼ垂直な部分(T面)である。面取斜面部1bは、側面部1aと対向主表面2との間における面取りされた部分(C面)であり、側面部1aと対向主表面2との間に形成される。
曲面状の端面部分1fは、基板10を平面視したときに、基板10の角部10a近傍に隣接する部分(R部)であり、側面部1c及び面取斜面部1eを含む。ここで、基板10を平面視するとは、例えば、対向主表面2に対して垂直な方向から、基板10を見ることである。また、基板10の角部10aとは、例えば、対向主表面2の外縁における、2辺の交点近傍である。2辺の交点とは、2辺のそれぞれの延長線の交点であってよい。本例において、曲面状の端面部分1fは、基板10の角部10aを丸めることにより、曲面状に形成されている。
例えば以上説明した構成のマスクブランク用基板10において、少なくとも転写パターンが形成される側の主表面、即ち、後述するように反射型マスクブランク30においては、多層反射膜21、保護膜22、吸収体膜24が形成される側の主表面は、以下のパワースペクトル密度並びに表面粗さ(Rmax、Rms)及び平坦度を有していることが好ましい。
(パワースペクトル密度)
本実施形態におけるマスクブランク用基板10においては、その転写パターンが形成される側の主表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる1μm−1以上10μm−1以下の領域でのPSDが10nm以下であることが好ましい。マスクブランク用基板10がこのようなPSD範囲を満たしていると、上記で説明したPSDを満たす多層反射膜21を形成することが容易になり、本実施形態の多層反射膜付き基板21において、検査光源波長として266nm、193nm、13.5nmといった波長の光を使用する高感度欠陥検査装置による検査を行っても、疑似欠陥を含む欠陥検出数が有効に抑制され、これにより致命欠陥の顕著化が図られる。さらに、マスクブランク用基板10自体について検査を行った場合にも、疑似欠陥が検出されにくい。
以上の通り、マスクブランク用基板10の主表面の特定の空間周波数領域におけるパワースペクトル密度を特定の範囲にすることにより、例えば、レーザーテック社製のEUV露光用のマスク・サブストレート/ブランク欠陥検査装置「MAGICS 7360」や、KLA−Tencor社製のレチクル、オプティカル・マスク/ブランク、UV・マスク/ブランク欠陥検査装置「Teron 600シリーズ」ならびにEUV光による欠陥検査装置「Actinic」による多層反射膜21の欠陥検査において、疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することが容易となり、マスクブランク用基板10自体の欠陥検査においても、疑似欠陥を含む欠陥検出数を抑制することができる。
(表面粗さ(Rmax、Rms))
マスクブランク用基板10における代表的な表面粗さの指標であるRms(Root means square))は、二乗平均平方根粗さであり、平均線から測定曲線までの偏差の二乗を平均した値の平方根である。すなわちRmsは下式(1)で表される。
(式(1)において、lは基準長さであり、Zは基準線からの高さである。)
同じく、代表的な表面粗さの指標であるRmaxは、表面粗さの最大高さであり、粗さ曲線の山の高さの最大値及び谷の深さの最大値の絶対値の和である。なお、Rmsは、前記マスクブランク用基板10の主表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得ることができる。また、Rmax及びRmsは日本工業規格JIS B0601(2001)で定義されている。
また、上述の二乗平均平方根粗さ(Rms)は、好ましくは、0.12nm以下、さらに好ましくは、0.10nm以下である。
また、最大高さ(Rmax)は、好ましくは1.2nm以下、さらに好ましくは、1.0nm以下である。
マスクブランク用基板10上に形成される多層反射膜21、保護膜22、吸収体膜24の反射率等の光学特性向上の観点からは、二乗平均平方根粗さ(Rms)と最大高さ(Rmax)の両方のパラメーターを管理することが好ましい。例えば、マスクブランク用基板10の表面の好ましい表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rms)が0.12nm以下でかつ、最大高さ(Rmax)が1.2nm以下であり、更に好ましくは、二乗平均平方根粗さ(Rms)が0.10nm以下でかつ、最大高さ(Rmax)が1.0nm以下である。
また、マスクブランク用基板10は、転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されていることが好ましい。EUVの反射型マスクブランク用基板の場合、基板10の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.05μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットする時の静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
(マスクブランク用基板の製造方法)
以上説明した本発明において好ましいマスクブランク用基板は、その転写パターンが形成される側の主表面を、所定の表面形態、すなわち主表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下となるように表面加工することによって製造することができる。なお、上述の表面粗さ(Rmax、Rms等)、平坦度を達成するための表面加工も併せて行うことが好ましい。その表面加工方法は公知であり、本発明において特に制限なく採用することができる。
当該公知の表面加工方法の例を示せば、磁気粘弾性流体研磨(Magneto Rheological Finishing : MRF)、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)、ガスクラスターイオンビームエッチング(Gas Cluster Ion Beam etching:GCIB)、局所プラズマエッチングを用いたドライケミカル平坦化法(Dry Chemical Planarization:DCP)などである。MRFは、磁性流体中に含有させた研磨砥粒を、被加工物(マスクブランク用基板)に高速で接触させるとともに、接触部分の滞留時間をコントロールすることにより、局所的に研磨を行う局所加工方法である。CMPは、小径研磨パッド及び研磨剤(コロイダルシリカなどの研磨砥粒を含有)を用い、小径研磨パッドと被加工物(マスクブランク用基板)との接触部分の滞留時間をコントロールすることにより、主に被加工物表面の凸部分を研磨加工する局所加工方法である。GCIBは、常温常圧で気体の反応性物質(ソースガス)を、真空装置内に断熱膨張させつつ噴出させてガスクラスタイオンを生成し、これに電子照射してイオン化させることにより生成させたガスクラスタイオンを、高電界で加速してガスクラスタイオンビームとし、これを被加工物に照射してエッチング加工する局所加工方法である。DCPは、局部的にプラズマエッチングし、凸度に応じてプラズマエッチング量をコントロールすることにより、局所的にドライエッチングを行う局所加工方法である。
マスクブランク用基板の材料としては、低熱膨張の特性を有するものであれば何でもよい。例えば、低熱膨張の特性を有するSiO−TiO系ガラス(2元系(SiO−TiO)及び3元系(SiO−TiO−SnO等))、例えばSiO−Al−LiO系の結晶化ガラスなどの所謂、多成分系ガラスを使用することができる。また、上記ガラス以外にシリコンや金属などの基板を用いることもできる。前記金属基板の例としては、インバー合金(Fe−Ni系合金)などが挙げられる。
上述のように、マスクブランク用基板の場合、基板に低熱膨張の特性が要求されるため、多成分系ガラス材料を使用するが、透過型マスクブランク用基板に使用される合成石英ガラスと比較して高い平滑性を得にくいという問題がある。この問題を解決すべく、多成分系ガラス材料からなる基板上に、金属、合金からなる又はこれらのいずれかに酸素、窒素、炭素の少なくとも一つを含有した材料からなる薄膜を形成する。そして、このような薄膜表面を鏡面研磨、表面処理することにより、上記範囲の表面粗さの表面を比較的容易に形成することができる。
上記薄膜の材料としては、例えば、Ta(タンタル)、Taを含有する合金、又はこれらのいずれかに酸素、窒素、炭素の少なくとも一つを含有したTa化合物が好ましい。Ta化合物としては、例えば、TaB、TaN、TaO、TaON、TaCON、TaBN、TaBO、TaBON、TaBCON、TaHf、TaHfO、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSi、TaSiO、TaSiN、TaSiON、TaSiCONなどを使用することができる。これらTa化合物のうち、窒素(N)を含有するTaN、TaON、TaCON、TaBN、TaBON、TaBCON、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSiN、TaSiON、TaSiCONがより好ましい。なお、上記薄膜は、薄膜表面の高平滑性の観点から、好ましくはアモルファス構造とする。薄膜の結晶構造は、X線回折装置(XRD)により測定することができる。
また、上記の通り本発明において好ましいマスクブランク用基板の製造方法は、上記所定の空間周波数領域における所定のPSDを有する表面形態が得られるように表面加工する表面加工工程を有している。
当該表面加工工程は、上記空間周波数領域における所定のPSDを達成することができる限りその工程の実施方法は特に限定されるものではない。フレアーと呼ばれる迷光によるパターンコントラストの低下を抑制するためには、上記空間周波数領域(1μm−1以上)である高空間周波数領域よりも長い中間空間周波数領域(1×10−2μm−1以上1μm−1以下)におけるPSDを低減することが好ましい。この場合には、中間空間周波数領域粗さ低減工程と、高空間周波数領域におけるPSDを上記範囲にする高空間周波数領域粗さ低減工程とを実施することにより行うことが好ましい。
なお、空間周波数1×10−2μm−1以上1μm−1以下の領域を観測するには、非接触表面形状測定機(例えば、Zygo社製のNewView6300)で0.14mm×0.105mmの領域を観測するのがデータの信頼性が高い。この領域は、原子間力顕微鏡で1μm×1μmの領域を測定する場合と同じく、マスクブランク用基板の主表面の中心である。
上記二つの工程は、一般に高空間周波数領域粗さ低減工程の方がより微細な粗さ調整を必要とし、中間空間周波数領域粗さ低減工程の作業により高空間周波数領域の粗さも影響を受ける場合があり、その反対はほとんどないことから、本発明においては、中間空間周波数領域粗さ低減工程の後に、高空間周波数領域粗さ低減工程を行うことが好ましい。
これらの工程は、EEM(Elastic Emission Machining)及び/又は触媒基準エッチング(CARE(Catalyst-Referred Etching))にて実施することが好適である。
特にEEMは中間空間周波数領域粗さ低減工程において有用であり、CAREは高空間周波数領域粗さ低減工程において有用である。
{EEM}
EEMは、0.1μm以下の微細粉末粒子を被加工物(マスクブランク用基板)に対してほぼ無荷重状態で接触させ、そのとき微細粉末粒子と被加工物の界面で発生する相互作用(一種の化学結合)により、被加工物表面原子を原子単位で除去するという非接触研磨方法である。
前記の無荷重状態で接触させるために、例えば被加工物を水中に配し、当該水中に微細粉末粒子を分散させ、さらに前記被加工物の被加工面の近傍にホイールのような回転体を配し、これを回転させることがおこなわれる。この回転運動によって、前記被加工面と回転体との間に高速せん断流と呼ばれる流れが発生し、微細粉末粒子が被加工面に作用する。
前記回転体のサイズは、被加工物の大きさに応じて適宜選択される。当該回転体の形状は、被加工物表面において加工液と優先的に接触(反応)させたい領域に応じて適宜選定する。局所的に加工液を優先的に接触させたい場合は、球状、線状とし、面の比較的広い領域で加工液を優先的に接触させたい場合は、円筒状とする。
前記回転体の材質は、加工液に対して耐性を有し、かつ、なるべく低弾性のものがよい。高弾性(比較的柔らかい)だと、回転中に形状変形を引き起こしたり、形状が不安定になり、加工精度を悪化させる可能性があるので好ましくない。前記回転体の材料として例えば、ポリウレタン、ガラス、セラミックスなどを使用することができる。
前記回転体の回転数は達成したいPSDによって適宜選択されるが、通常50〜1000rpmであり、回転体による研磨時間は通常60〜300分である。
一般に、EEMの加工は、被加工物を回転体に対し垂直に配し、回転させた回転体に対して所定の荷重をかけることによって、被加工物と回転体とのギャップを調整することができる。回転させた回転体に所定の荷重をかけた状態で、回転体を回転軸に対して平行に走査させる。加工エリア端に到達したら、回転体に平行に一定の距離だけ動かし、逆方向に走査させる。これらの動作を繰り返すことによって、エリア全体を加工することが可能となる。前記荷重範囲は、上記と同様に達成したいPSDによって適宜選択されるが、通常0.5kg〜5kgの範囲で設定される。
EEMに使用される上記微細粉末粒子としては、例えば酸化セリウム、シリカ(SiO2)、コロイダルシリカ、酸化ジルコニウム、二酸化マンガン、酸化アルミニウムなどを挙げることができるが、被加工物がガラス基板の場合、微細粉末粒子としては、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、コロイダルシリカなどを使用することが好ましい。また、前記微細粉末粒子の平均粒径は、100nm以下であることが好ましい(なお、平均粒径はSEM(走査電子顕微鏡)を用いて15〜105×10倍の画像を計測することにより得られる)。なお、加工速度を向上させるために、被加工物を配する溶媒に微細粉末粒子を懸濁して加工液とし、これを被加工物と接触させてもよい。
EEMでは、以上の通り微細粉末粒子を分散させた水と、酸性水溶液及びアルカリ性水溶液のいずれかの水溶液とを加工液としてもよいし、あるいは前記いずれかの水溶液を加工液としてもよい。水を使用する場合は、純水、超純水が好ましい。
前記酸性水溶液としては、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸などの水溶液が挙げられる。非接触研磨における加工液に酸性水溶液を含有させることにより、研磨速度が向上する。ただし、酸の種類や濃度が高い場合は、ガラス基板を荒らしてしまうことがあるので、ガラス基板が荒れない酸、濃度を適宜選定する。
前記アルカリ性水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液が挙げられる。非接触研磨における加工液にアルカリ性水溶液を含有させると、研磨速度が向上する。また、ガラス基板表面に潜在的な極微細な欠陥(クラック、傷等)が存在する場合、それを顕著化することができるため、あとの検査工程で微小欠陥を確実に検出することが可能になる。アルカリ性水溶液は、加工液に含まれる研磨砥粒が溶解しない範囲で調整され、加工液としてpHが9〜12となるように調整することが好ましい。
{CARE(触媒基準エッチング)}
次に、CAREの加工原理は、被加工物(マスクブランク用基板)と触媒を処理液中に配置するか、被加工物と触媒との間に処理液を供給し、被加工物と触媒を接触させ、そのときに触媒上に吸着している処理液中の分子から生成された活性種によって被加工物を加工するものである。なお、被加工物がガラスなどの固体酸化物からなる場合には、前記加工原理は、処理液を水とし、水の存在下で被加工物と触媒を接触させ、触媒と被加工物表面とを相対運動させる等することにより、加水分解による分解生成物を被加工物表面から除去し加工するものである。
CARE加工方法として具体的には、被加工物に対して常態では溶解性を示さない処理液中に該被加工物を配し、白金、金、鉄、モリブデンなどの金属やSUSなどの合金又はセラミックス系固体触媒からなる加工基準面を有する定盤の前記基準面を、被加工物の加工面に接触若しくは極接近させて配し(又は被加工物と触媒との間に処理液を供給し)、前記処理液中で被加工物と前記加工基準面を相対運動させることにより、前記加工基準面の表面で生成した活性種と被加工物を反応させることによって被加工物を加工する。なお、被加工物の材料が、常態ではハロゲンを含む分子が溶けた処理液によっては溶解しない場合においては、ハロゲンを含む分子が溶けた処理液を使用することもできる。ここで、ハロゲンを含む分子としてはハロゲン化水素が好ましいが、C−F、S−F、N−F、C−Cl、S−Cl、N−Cl等の結合を有する分子も用いることが可能である。
ここで、ハロゲン化水素の分子が溶けた水溶液をハロゲン化水素酸という。ハロゲンとしては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)が挙げられるが、化学的な反応性は原子番号が大きくなるにしたがって小さくなるので、処理液として実際の加工レートを考慮すると好ましく使用できるのはフッ化水素酸(HF水溶液)である。しかし、HF水溶液ではガラス(SiO2)を溶解させてしまい、HCl水溶液では、低膨張ガラスに含まれるTiを選択的に要出させてしまう。これらの要因や加工時間を考慮し、適切な濃度に調整したハロゲン化水素酸を用いることが好ましい。
そして、前記触媒には水素を酸化し、水素イオンと原子を取り出す反応を促進する白金、金、鉄、モリブデンなどの金属やSUSなどの合金又はセラミックス系固体触媒を使用する。活性種は加工基準面でのみ生成し、この活性種は定盤の加工基準面を離れると直ちに失活することから、副反応などはほとんど起こらず、また表面加工の原理が機械的な研磨ではなく化学反応なので、被加工物に対するダメージが極めて少なく、優れた平滑性を達成することができ、高空間周波数領域の粗さも有効に低減させることができる。
さらに、マスクブランク用基板がガラス基板の場合には、固体触媒として白金や金、銀、銅、モリブデン、ニッケル、クロム等の遷移金属を使用すると、加水分解反応が進行して、水中にてCAREを実施することで基板の表面加工が実施できる。コストや加工特性の観点から、このようにしてCAREを実施することが好ましい。
以上説明した、定盤における固体触媒からなる加工基準面は、通常所定のパッド上に固体触媒を成膜することによって形成される。前記パッドに特に制限はなく、例えばゴム、光透過性の樹脂、発泡性の樹脂及び不織布を使用することができる。
上述の通り、CAREでは処理液中で被加工物と前記加工基準面を相対運動させることにより、前記加工基準面の表面で生成した活性種と被加工物を反応させて、被加工物表面を除去することにより表面加工を行う。
またCAREの加工条件は、例えば定盤回転数:5〜200rpm、被加工物回転数:5〜200rpm、加工圧力:10hPa〜 1000hPa、加工時間:5〜120分の範囲で設定することができる。
以上説明したCAREを実施する、代表的なCARE加工装置を図9に示す。このCARE加工装置100は、処理槽124と、該処理槽124内に回転自在に配置された触媒定盤126と、表面(被加工面)を下向きにして被加工物128(マスクブランク用基板)を脱着自在に保持する基板ホルダ130を有している。基板ホルダ130は、触媒定盤126の回転軸芯と平行且つ偏心した位置に設けた上下動自在な回転軸132の先端に連結されている。触媒定盤126は、例えば、ステンレスからなる剛性材料の基材140の表面に、固体触媒として所定の厚みを有する、例えば白金142が形成されている。なお、固体触媒はバルクであっても良いが、安価で形状安定性の良い、例えばフッ素系ゴム材などの弾性を有する母材上に白金142を形成した構成としてもよい。
また、基板ホルダ130の内部には、該ホルダ130で保持した被加工物128の温度を制御するための温度制御機構としてのヒータ170が回転軸132内に延びて埋設されている。処理槽124の上方には、温度制御機構としての熱交換器172によって所定の温度に制御した処理液(純水など)を処理槽124の内部に供給する処理液供給ノズル174が配置されている。更に、触媒定盤126の内部には、触媒定盤126の温度を制御する温度制御機構としての流体流路176が設けられている。
このCARE加工装置100によるCAREの実施方法は、例えば以下の通りである。処理液供給ノズル174から触媒定盤126に向けて処理液を供給する。そして、基板ホルダ130で保持した被加工物128を触媒定盤126の白金(触媒)142の表面に所定の圧力で押付けて、被加工物128を触媒定盤126の白金(触媒)142との接触部(加工部)に処理液を介在させながら、触媒定盤126及び被加工物128を回転させて、被加工物128の表面(下面)を平坦に除去加工(エッチング)する。なお、基板ホルダ130で保持した被加工物128を触媒定盤126の白金(触媒)142に所定の圧力で押付けることなく、被加工物128を白金(触媒)142に極近接させて、被加工物128の表面を平坦に除去加工(エッチング)するようにしてもよい。
以上説明した各工程を実施することにより、中間空間周波数及び高空間周波数領域のPSDを所定値以下に調整し、本発明において好ましいパワースペクトル密度及び表面粗さを備えたマスクブランク用基板が製造される。本発明においては、マスクブランク用基板の製造工程において行われるその他の工程を実施してもよい。
[反射型マスクブランクの製造方法]
次に、本発明の一実施形態に係る反射型マスクブランク30の製造方法について以下に説明する。図3は、本実施形態の反射型マスクブランク30を示す模式図である。
本実施形態の反射型マスクブランク30は、上記説明した多層反射膜付き基板20の保護膜22上に(又は保護膜22がない場合には多層反射膜21上に)、転写パターンとなる吸収体膜24を形成することで製造される。
上記吸収体膜24の材料は、特に限定されるものではない。例えば、EUV光を吸収する機能を有するもので、Ta(タンタル)単体、又はTaを主成分とする材料を用いることが好ましい。Taを主成分とする材料は、通常、Taの合金である。このような吸収体膜の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。Taを主成分とする材料としては、例えば、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくともいずれかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料などを用いることができる。また例えば、TaにB、Si、Ge等を加えることにより、アモルファス構造が容易に得られ、吸収体膜24の平滑性を向上させることができる。さらに、TaにN、Oを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができる。
吸収体膜24の表面は、多層反射膜21について述べた上記範囲のパワースペクトル密度(すなわち空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるPSDが20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下)を有していることが、疑似欠陥の検出を抑制する観点から好ましい。上記PSD範囲のマスクブランク用基板10や、多層反射膜付き基板20の表面形態を保って、吸収体膜24の表面が、前記範囲のパワースペクトル密度になるようにするには、吸収体膜24をアモルファス構造または微結晶構造にすることが好ましい。結晶構造については、X線回折装置(XRD)により確認することができる。
このような構成とすることにより、上記に挙げた検査光源波長として266nmのUVレーザー又は193nmのArFエキシマレーザー、13.5nmのEUV光を用いる高感度欠陥検査装置で反射型マスクブランク30の欠陥検査を行う場合、疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することができる。なお、吸収体膜24の表面とは、吸収体膜24の保護膜22又は多層反射膜21と接する面と反対側の面であって、マスクブランク用基板10の主表面と平行な面である。
本発明の多層反射膜付き基板20は上述の通り、その膜表面(多層反射膜21又は保護膜22)の上記空間周波数領域における粗さ(PSD)が十分に抑制されており非常に平坦性に優れるので、その上に形成される吸収体膜24の上記空間周波数領域におけるPSDを、疑似欠陥を含む欠陥検出数を大幅に抑制することができる範囲とすることが容易である。
なお、本発明の反射型マスクブランクは、図3に示す構成に限定されるものではない。例えば、上記吸収体膜24の上に、吸収体膜24をパターニングするためのマスクとなるレジスト膜を形成することもでき、レジスト膜付き反射型マスクブランクも、本発明の反射型マスクブランクである。なお、吸収体膜24の上に形成するレジスト膜は、ポジ型でもネガ型でも構わない。また、電子線描画用でもレーザー描画用でも構わない。さらに、吸収体膜24と前記レジスト膜との間に、いわゆるハードマスク(エッチングマスク)膜を形成することもでき、この態様も本発明における反射型マスクブランクである。
[反射型マスクの製造方法]
次に、本発明の一実施形態に係る反射型マスク40の製造方法について以下に説明する。図4は、本実施形態の反射型マスク40を示す模式図である。
本実施形態の反射型マスク40は、上記の反射型マスクブランク30における吸収体膜24をパターニングして、上記保護膜22又は多層反射膜21上に吸収体パターン27を形成することで製造される。本実施形態の反射型マスク40は、EUV光等の露光光で露光すると、マスク表面で吸収体膜24のある部分では露光光が吸収され、それ以外の吸収体膜24を除去した部分では露出した保護膜22及び多層反射膜21で露光光が反射されることにより、リソグラフィー用の反射型マスク40として使用することができる。
[半導体装置の製造方法]
以上説明した反射型マスク40と、露光装置を使用したリソグラフィープロセスにより、半導体基板等の被転写体上に形成されたレジスト膜に、前記反射型マスク40の吸収体パターン27に基づく回路パターン等の転写パターンを転写し、その他種々の工程を経ることで、半導体基板上に配線など種々のパターン等が形成された半導体装置を製造することができる。
なお、上述のマスクブランク用基板10、多層反射膜付き基板20、反射型マスクブランク30に基準マークを形成し、この基準マークと、上述の高感度欠陥検査装置で検出された致命欠陥の位置を座標管理することができる。得られた致命欠陥の位置情報(欠陥データ)に基づいて、反射型マスク40を作製するときに、上述の欠陥データと被転写パターン(回路パターン)データとを元に、致命欠陥が存在している箇所に吸収体パターン27が形成されるように描画データを補正して、欠陥を低減させることができる。
[多層反射膜成膜条件とBGL(バックグラウンドレベル)]
以下に示す種々の条件でガラス基板上に多層反射膜を形成し、それについて検査光源波長が13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行ったときのBGLを求めた。尚、使用したガラス基板は、後述する実施例1に示す加工方法により表面加工され、ガラス基板表面は、その1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であるものを使用した。
実施例試料1:Moターゲット及びSiターゲットを使用して、イオンビームスパッタリングによりMo層(低屈折率層、厚み2.8nm)及びSi層(高屈折率層、厚み4.2nm)を交互積層し(積層数40ペア)、多層反射膜を前記ガラス基板上に形成した。イオンビームスパッタリングにおけるガラス基板法線に対するMo、Siスパッタ粒子の入射角度は30度、イオンソースのガス流量は8sccmとした。さらに多層反射膜上にRFスパッタリングによりRu保護膜(膜厚2.5nm)を成膜して多層反射膜付き基板とした。
比較例試料1:Moターゲット及びSiターゲットを使用して、イオンビームスパッタリングによりMo層(厚み2.8nm)及びSi層(厚み4.2nm)を交互積層し(積層数40ペア)、多層反射膜を前記ガラス基板上に形成した。イオンビームスパッタリングにおけるガラス基板法線に対するMo、Siスパッタ粒子の入射角度は、それぞれ、Moが50度、Siが40度、イオンソースのガス流量は8sccmとした。さらに多層反射膜上にRu保護膜(膜厚2.5nm)を成膜して多層反射膜付き基板とした。
比較例試料2:Ru保護膜を形成しなかった以外は比較例試料1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。
比較例試料3:イオンソースのガス流量を16sccmに変更し、Ru保護膜を形成しなかった以外は比較例試料1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。
以上のようにして作製された多層反射膜付き基板の膜表面について波長13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行い、そのときのBGLを求めた。結果を図5に示す。図5より、BGLは多層反射膜の成膜条件(Mo、Siの入射角度)に依存していることがわかる。また、その他の条件、例えばガス流量には依存していないことがわかる。
[多層反射膜表面の表面粗さと反射率]
上記条件にて作製した多層反射膜付き基板の膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下の表面粗さ(Rms)を原子間力顕微鏡にて測定した。測定領域は1μm×1μmである。結果を下記に示す。
実施例試料1:Rms=0.115nm
比較例試料1:Rms=0.148nm
比較例試料2:Rms=0.132nm
比較例試料3:Rms=0.146nm
また、上記実施例試料1、比較例試料1〜3について、EUV光(波長13.5nm)における多層反射膜の反射率をEUV Technology社製 LPR1016により測定したところ、Rmsが0.13nm未満の試料については、65%以上と高い反射率であったのに対して、Rmsが0.13nm以上の試料については、64%に至らず反射率が悪化する結果となった。
[多層反射膜成膜条件とPSD(パワースペクトル密度)]
上述の実施例試料1、比較例試料1〜3の多層反射膜付き基板の膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定した後、パワースペクトル解析した結果を図6に示す。
図6に見られる通り、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下において、多層反射膜を構成する各層のスパッタ粒子が、基板主表面の法線に対して0度以上30度以下で入射させた実施例試料1のPSDが、基板主表面の法線に対して30度超で入射させた比較例試料1のPSDと比べて全体的に小さくなっていることがわかる。即ち、多層反射膜付き基板の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるPSDは、イオンビームスパッタリングにおけるガラス基板法線に対するMo、Siスパッタ粒子の入射角度を適切に制御することにより、所定値以下にすることができることがわかった。
以上の結果を踏まえ、種々の波長の光を使用する高感度欠陥検査装置において、疑似欠陥を含む欠陥検出数が少なく、よって致命欠陥を確実に検出することできる本発明の多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及び反射型マスクの実施例等について、以下に説明する。
[実施例1]MRF→EEM→CARE→実施例試料1成膜条件
<マスクブランク用基板の作製>
(研磨及びMRFによる表面加工)
マスクブランク用基板として、大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mmのSiO−TiO系のガラス基板を準備した。両面研磨装置を用いて、当該ガラス基板の表裏面を、酸化セリウム砥粒及びコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨した後、低濃度のケイフッ酸で表面処理した。これにより得られたガラス基板表面の表面粗さを原子間力顕微鏡で測定したところ、二乗平均平方根粗さ(Rms)は0.15nmであった。
当該ガラス基板の表裏面における148mm×148mmの領域の表面形状(表面形態、平坦度)を、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で測定した。その結果、ガラス基板の表裏面の平坦度は290nm(凸形状)であった。ガラス基板表面の表面形状(平坦度)の測定結果は、測定点ごとにある基準面に対する高さの情報としてコンピュータに保存するとともに、ガラス基板に必要な表面平坦度の基準値50nm(凸形状)、裏面平坦度の基準値50nmと比較し、その差分(必要除去量)をコンピュータで計算した。
次いで、ガラス基板面内を加工スポット形状領域ごとに、必要除去量に応じた局所表面加工の加工条件を設定した。事前にダミー基板を用いて、実際の加工と同じようにダミー基板を、一定時間基板を移動させずにスポットで加工し、その形状を上記表裏面の表面形状を測定する装置と同じ測定機にて測定し、単位時間当たりにおけるスポットの加工体積を算出した。そして、スポットの情報とガラス基板の表面形状の情報より得られた必要除去量に従い、ガラス基板をラスタ走査する際の走査スピードを決定した。
設定した加工条件に従い、磁気流体による基板仕上げ装置を用いて、磁気粘弾性流体研磨(Magneto Rheological Finishing : MRF)加工法により、ガラス基板の表裏面平坦度が上記の基準値以下となるように局所的表面加工処理をして表面形状を調整した。なお、このとき使用した磁性粘弾性流体は、鉄成分を含んでおり、研磨スラリーは、アルカリ水溶液+研磨剤(約2wt%)、研磨剤:酸化セリウムとした。その後、ガラス基板について、濃度約10%の塩酸水溶液(温度約25℃)が入った洗浄槽に約10分間浸漬した後、純水によるリンス、イソプロピルアルコール(IPA)による乾燥を行った。
得られたガラス基板表面の表面形状(表面形態、平坦度)を測定したところ、表裏面の平坦度は約40〜50nmであった。また、ガラス基板表面の表面粗さを、転写パターンが形成される側の主表面(142mm×142mm)の中央の1μm×1μmの領域を、原子間力顕微鏡を用いて測定したところ、二乗平均平方根粗さ(Rms)は0.37nmとなっており、MRFによる局所表面加工前の表面粗さより荒れた状態になっていた。
このガラス基板の表面状態をZygo社製、非接触表面形状測定機NewView6300にて測定し(測定領域:0.14mm×0.105mm、拡大倍率:50倍)、パワースペクトル解析を行った。結果を図7に示す(「EEM未加工」として表示されている。「EEM加工あり」と表示されたものについては後述)。
パワースペクトル解析の結果、空間周波数1×10−2μm−1以上1μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で4.5×10nm(空間周波数1×10−2μm−1)であった(図7点線参照)。
また、原子間力顕微鏡にて上記ガラス基板の表面粗さを測定し(測定領域:1μm×1μm)、パワースペクトル解析を行った結果を図8に「未研磨部」として示す。解析の結果、空間周波数1μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で14nm(空間周波数2μm−1)となった。より詳しくは、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で14nm(空間周波数3μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワー密度が最大で8.32nm(空間周波数11μm−1)、最小で0.58nm(空間周波数100μm−1)であった(図8点線参照)。
(EEMによる表面加工)
次に、以上のパワースペクトル解析を行ったガラス基板の表裏面について、ガラス基板表面の表面形状を維持又は改善する目的と、中間空間周波数領域(10−2μm以上1μm−1以下)のPSDを低減することを目的として、ガラス基板の表裏面にEEMを実施した。このEEMは、以下の加工条件で行った。
加工液:微細粉末粒子(濃度:3wt%)含有中性水溶液(pH:7)
微細粉末粒子:コロイダルシリカ、平均粒径;約80nm
回転体:ポリウレタン回転球
回転体回転数:280rpm
研磨時間:120分
荷重:1.5kg
その後、ガラス基板の端面をスクラブ洗浄した後、表裏面に対して、低濃度フッ酸水溶液によるメガソニック洗浄(周波数3MHz、60秒)、純水によるリンス、乾燥を行った。
EEMにより表面加工したガラス基板の表面状態を、上述と同様にZygo社製、非接触表面形状測定機NewView6300にて測定し(測定領域:0.14mm×0.105mm)、パワースペクトル解析を行った。結果を図7に「EEM加工あり」として示す。これの拡大倍率は、上記「EEM未加工」に対応する。
解析の結果、空間周波数1×10−2μm−1以上1μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で10nm(空間周波数1×10−2μm−1)となった。以上より、EEMによる表面加工により、中間空間周波数領域(1×10−2μm−1以上1μm−1以下)のPSDを低減することができたことがわかる。
また、EEM表面加工により得られたガラス基板の表面状態を、原子間力顕微鏡にて測定し(測定領域:ガラス基板の中心1μm×1μm)、パワースペクトル解析を行った結果を図8に「EEM加工部」として示す。
解析の結果、空間周波数1μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で25nm(空間周波数3μm−1)となった(図8実線参照)。より詳しくは、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で25nm(空間周波数3μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で9.0nm(空間周波数10μm−1)であった。
以上、図8の結果より、EEMによる表面加工によって、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下のPSDは改善しない(または悪化する)結果となったが、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下のPSDについては低減することができた。
(2)CAREとPSD(図10)
次に、以上のEEM表面加工を経たガラス基板の表裏面について、高空間周波数領域(1μm−1以上)のPSDを低減することを目的として、ガラス基板の表裏面に対して、図9のCARE加工装置を使用して片面ずつ触媒基準エッチング(CARE)による表面加工を行った。なお、加工条件は以下の通りとした。
加工液:純水
触媒:Pt
基板回転数:10.3回転/分
触媒定盤回転数:10回転/分
加工時間:50分
加工圧:250hPa
その後、ガラス基板の端面をスクラブ洗浄した後、当該基板を王水(温度約65℃)が入った洗浄槽に約10分浸漬させ、その後、純水によるリンス、乾燥を行った。なお、王水による洗浄は、ガラス基板の表裏面に触媒であるPtの残留物がなくなるまで、複数回行った。
CAREにより表面加工したガラス基板の表面状態を、原子間力顕微鏡にて測定し(測定領域:1μm×1μm)、パワースペクトル解析を行った結果を図10に示す。解析の結果、空間周波数1μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で5.0nm(空間周波数2μm−1)であった。より詳しくは、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で5.0nm(空間周波数2μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で1.9nm(空間周波数11μm−1)であった。
この結果のとおり、CAREによる表面加工により、高空間周波数領域の粗さを低減することができた。また、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における二乗平均平方根粗さRmsは0.08nmと良好であった。
<多層反射膜付き基板の作製>
次に、このようにして得られたマスクブランク用基板上に、上記実施例試料1における成膜条件で多層反射膜を成膜し、さらに、多層反射膜上にRFスパッタリングにより、Ru保護膜(膜厚2.5nm)を成膜して多層反射膜付き基板を作製した。
この得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定した後、パワースペクトル解析を行った。その結果、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で15.8nm(空間周波数5μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で6.73nm(空間周波数10μm−1)となった。また、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるRmsは、0.126nmであった。また、この保護膜表面の反射率をEUV Technology社製LPR1016により測定したところ、65.1%と高い反射率であった。
次に、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)、及び検査光源波長13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行った。尚、測定領域は132mm×132mmとした。検査感度条件は、球相当直径SEVD(Sphere Equivalent Volume Diameter)で20nmサイズの欠陥を検出できる検査感度条件とした。尚、球相当直径SEVDは、欠陥の平面視面積を(S)、欠陥の高さを(h)としたときに、SEVD=2(3S/4πh)1/3の式により算出することができる。(以下の実施例、比較例も同様。)欠陥の面積(S)、欠陥の高さ(h)は原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。その結果、Teron610による検出欠陥数は21,705個、Actinic検査においてもBGLが閾値を超えることなく、疑似欠陥を含む欠陥検出数が少なく、欠陥検査が容易であった。Teron610による検出欠陥数が100000個以下で、さらにActinic検査において疑似欠陥を含む欠陥検出数が少なければ、異物や傷などの致命欠陥の有無を容易に検査することができる。
<反射型マスクブランクの作製>
次に、多層反射膜付き基板の保護膜及び多層反射膜に対して、転写パターン形成領域の外側4箇所に、上記欠陥の位置を座標管理するための基準マークを集束イオンビームにより形成した。
次に、多層反射膜付き基板の多層反射膜を形成していない裏面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、裏面導電膜を形成した。裏面導電膜は、Crターゲットを多層反射膜付き基板の裏面に対向させ、Ar+Nガス(Ar:N=90%:10%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことで形成した。尚、裏面導電膜の膜厚は20nmとした。
さらに、上述した多層反射膜付き基板の保護膜表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、TaBNからなる吸収体膜を成膜し、反射型マスクブランクを作製した。この吸収体膜は、TaBターゲット(Ta:B=80:20)に多層反射膜付き基板を対向させ、Xe+Nガス(Xe:N=90%:10%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことで形成した。尚、吸収体膜の膜厚は70nmとした。また、吸収体膜の結晶構造をX線回折装置(XRD)により測定したところ、アモルファス構造であった。
<反射型マスクの作製>
上述した吸収体膜の表面に、スピンコート法によりレジストを塗布し、加熱及び冷却工程を経て、膜厚150nmのレジスト膜を成膜した。次いで、所望のパターンの描画及び現像工程を経て、レジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクにして、Cl+Heガスのドライエッチングにより、吸収体膜であるTaBN膜のパターニングを行い、保護膜上に吸収体パターンを形成した。その後、レジスト膜を除去し、洗浄を行い、反射型マスクを作製した。
尚、上述の描画工程においては、上記基準マークを元に、致命欠陥が存在している箇所に吸収体パターンが配置されるように描画データを補正して、反射型マスクを作製した。得られた反射型マスクについて、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)を使用して欠陥検査を行ったところ、欠陥は確認されなかった。
上述のとおり、反射型マスクにおいて、高感度欠陥検査装置での欠陥は確認されなかったので、この反射型マスクを使用して、露光装置を使用したリソグラフィープロセスを行った場合、反射型マスク起因の転写パターン欠陥が発生せずに半導体装置を作製することができる。
[実施例2]
実施例1で使用したのと同様のガラス基板を使用して、実施例1と同様にMRF及びEEM加工を行った。なお、EEM加工条件は以下の通りである。
加工液:微細粉末粒子(濃度:5wt%)含有中性水溶液(pH:7)
微細粉末粒子:コロイダルシリカ、平均粒径;約80nm
回転体:ポリウレタン回転球
回転体回転数:280rpm
研磨時間:120分
荷重:1.5kg
このようにして得られたマスクブランク用基板上に、上記実施例試料1における成膜条件で多層反射膜を成膜し、さらに、多層反射膜上にRFスパッタリングにより、Ru保護膜(膜厚2.5nm)を成膜して多層反射膜付き基板を作製した。
この得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定した後、パワースペクトル解析を行った。その結果、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で17.2nm(空間周波数5.4μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で7.18nm(空間周波数10μm−1)となった。また、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下のRmsは、0.123nmであった。この保護膜表面の反射率をEUV Technology社製LPR1016により測定したところ、65.2%と高い反射率であった。
次に、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)、及び検査光源波長13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行った。尚、測定領域は132mm×132mmとした。検査感度条件は、球相当直径SEVDで20nmサイズの欠陥を検出できる検査感度条件とした。その結果、Teron610による検出欠陥数は28,591個,Actinic検査においてもBGLが閾値を超えることなく、疑似欠陥を含む欠陥検出数が少なく、欠陥検査が容易であった。疑似欠陥が少ないほど、異物や傷などの致命欠陥の有無を容易に検査することができる。
また、上述の実施例1と同様に反射型マスクブランク、及び反射型マスクを作製した。得られた反射型マスクについて、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)を使用して欠陥検査を行ったところ、欠陥は確認されなかった。
[参考例1]
ガラス基板として、大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mmのSiO−TiO系のガラス基板を準備し、実施例1と同様にMRF及びEEM加工を実施した。なお、EEM加工の条件は以下の通りである。
加工液:微細粉末粒子(濃度:5wt%)含有中性水溶液(pH:7)
微細粉末粒子:コロイダルシリカ、平均粒径:約80nm
回転体:ポリウレタンロール
回転体回転数:280rpm
研磨時間:180分
このようにして作製されたマスクブランク用基板上に、上記比較例試料2における成膜条件で多層反射膜を成膜し、さらに、多層反射膜上にRFスパッタリングにより、Ru保護膜(膜厚2.5nm)を成膜して多層反射膜付き基板を作製した。
この得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定した後、パワースペクトル解析を行った。その結果、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で18.1nm(空間周波数4.8μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で9.6nm(空間周波数10μm−1)となった。また、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下のRmsは、0.151nmであった。この保護膜表面の反射率をEUV Technology社製LPR1016により測定したところ、64.4%であった。
次に、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)、及び検査光源波長13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行った。尚、測定領域は132mm×132mmとした。検査感度条件は、球相当直径SEVDで20nmサイズの欠陥を検出できる検査感度条件とした。その結果、Teron610では、検出欠陥数34,017個、Actinic検査機においては、BGLが閾値を超え、疑似欠陥を含む欠陥検出数は10万個と多数となり、欠陥検査困難であった。
[実施例3]
上述の実施例1において、マスクブランク用基板の作製を、EEM及びCAREを行わず、両面タッチ研磨を行った以外は実施例1と同様に多層反射膜付き基板を作製した。
この得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定した後、パワースペクトル解析を行った。その結果、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で18.5nm(空間周波数4.5μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で8.8nm(空間周波数10μm−1)となった。また、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下のRmsは、0.129nmであった。この保護膜表面の反射率をEUV Technology社製LPR1016により測定したところ、65.0%と高い反射率であった。
次に、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)、及び検査光源波長13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行った。尚、測定領域は132mm×132mmとした。検査感度条件は、球相当直径SEVDで20nmサイズの欠陥を検出できる検査感度条件とした。その結果、Teron610欠陥検出数40,028個、Actinic検査機においてもBGLは閾値を超えることなく、疑似欠陥を含む欠陥検出数は少なく検査可能であった。
[実施例4]
実施例1で使用したのと同様のガラス基板を使用して、実施例1と同様にMRF及びCARE加工を行った。なお、CARE加工条件は以下の通りである。
加工液:純水
触媒:Cr
基板回転数:10.3回転/分
触媒定盤回転数:10回転/分
加工時間:20分
加工圧力:50hPa
その後、ガラス基板の端面をスクラブ洗浄したのち、当該基板を硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸を含むCrエッチング液が入った洗浄槽に約10分浸漬させ、その後、純水によるリンス、乾燥を行った。なお、Crエッチング液による洗浄は、ガラス基板の表裏面から触媒であるCrの残留物がなくなるまで、複数回行った。
このようにして得られたマスクブランク用基板上に、上記実施例試料1における成膜条件で多層反射膜を成膜し、さらに、多層反射膜上にイオンビームスパッタリングにより、Ru保護膜(膜厚2.5nm)を成膜して多層反射膜付き基板を作製した。
この得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定した後、パワースペクトル解析を行った。その結果、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で16.4nm(空間周波数3μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で6.4nm(空間周波数10μm−1)となった。また、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下のRmsは、0.119nmであった。この保護膜表面の反射率をEUV Technology社製LPR1016により測定したところ、66.2%と高い反射率であった。
次に、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)、及び検査光源波長13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行った。尚、測定領域は132mm×132mmとした。検査感度条件は、球相当直径SEVDで20nmサイズの欠陥を検出できる検査感度条件とした。その結果、Teron610による検出欠陥数は23,450個、Actinic検査においてもBGLが閾値を超えることなく、疑似欠陥を含む欠陥検出数が少なく、欠陥検査が容易であった。疑似欠陥が少ないほど、異物や傷などの致命欠陥の有無を容易に検査することができる。
また、上述の実施例1と同様に反射型マスクブランク、及び反射型マスクを作製した。得られた反射型マスクについて、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)を使用して欠陥検査を行ったところ、欠陥は確認されなかった。
[比較例1]
上述の参考例1において、EEMを行わず、両面タッチ研磨を行った以外は参考例1と同様に多層反射膜付き基板を作製した。
この得られた多層反射膜付き基板の保護膜表面を原子間力顕微鏡(測定領域1μm×1μm)にて測定した後、パワースペクトル解析を行った。その結果、空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で25nm(空間周波数3.5μm−1)、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が最大で10.5nm(空間周波数10μm−1)となった。また、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下のRmsは、0.147nmであった。この保護膜表面の反射率をEUV Technology社製LPR1016により測定したところ、64.8%であった。
次に、検査光源波長193nmの高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)、及び検査光源波長13.5nmの高感度欠陥検査装置を使用して欠陥検査を行った。尚、測定領域は132mm×132mmとした。検査感度条件は、球相当直径SEVDで20nmサイズの欠陥を検出できる検査感度条件とした。その結果、欠陥検出数はTeron610では100,000個超、ActinicにおいてもBGLが閾値を超え、疑似欠陥を含む欠陥検出数は10万個と多数となった。
尚、上記実施例で示したとおり、以下に記載の多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、反射型マスクの製造方法によりそれぞれ製造された多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスクも、本発明の効果を奏することができる。
(構成A)
高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層反射膜を、マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面上に有する多層反射膜付き基板の製造方法であって、
前記マスクブランク用基板は、EEM及び/又は触媒基準エッチングにより表面加工されており、
前記主表面上に、高屈折率材料と低屈折率材料のターゲットを用いたイオンビームスパッタリングにより、前記高屈折率材料と前記低屈折率材料のスパッタ粒子を前記主表面の法線に対して0度以上30度以下の入射角度で入射させて前記多層反射膜を成膜することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
(構成B)
前記マスクブランク用基板は、ガラス材料からなることを特徴とする構成A記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
(構成C)
前記触媒基準エッチングは、遷移金属を含む材料からなる触媒を、処理液を介して前記主表面に接触若しくは極接近させ、前記触媒と前記主表面とを相対運動させることにより、加水分解による分解生成物を前記主表面から除去するものであることを特徴とする構成A又は構成Bに記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
(構成D)
前記処理液は水若しくは純水であることを特徴とする構成C記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
(構成E)
さらに前記多層反射膜上に保護膜を形成することを特徴とする構成A〜構成Dのいずれか1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
(構成F)
構成A〜Eのいずれか1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法により製造された多層反射膜付き基板の多層反射膜上又は保護膜上に、転写パターンとなる吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
(構成G)
構成Fに記載の反射型マスクブランクの製造方法により製造された反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングして、前記多層反射膜上又は前記保護膜上に吸収体パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
10 マスクブランク用基板
20 多層反射膜付き基板
21 多層反射膜
22 保護膜
23 裏面導電膜
24 吸収体膜
27 吸収体パターン
30 反射型マスクブランク
40 反射型マスク
100 CARE(触媒基準エッチング)加工装置
124 処理槽
126 触媒定盤
128 被加工物
130 基板ホルダ
132 回転軸
140 基材
142 白金(触媒)
170 ヒータ
172 熱交換器
174 処理液供給ノズル
176 流体流路

Claims (10)

  1. 高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層反射膜を、マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面上に有する多層反射膜付き基板の製造方法であって、
    高屈折率材料と低屈折率材料のターゲットを用いたイオンビームスパッタリングにより、前記主表面上に前記多層反射膜を成膜する工程を有し、
    前記イオンビームスパッタリングにおいて、前記多層反射膜の膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下となるように、前記高屈折率材料と前記低屈折率材料のスパッタ粒子を前記主表面の法線に対して所定の入射角度で入射させ
    前記入射角度が、前記主表面の法線に対して0度以上30度以下であり、
    前記マスクブランク用基板が、EEM(Elastic Emission Machining)及び/又は触媒基準エッチング:CARE(CAtalyst-Referred Etching)により表面加工されていることを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
  2. 前記多層反射膜上に保護膜を形成する工程をさらに有し、
    該保護膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  3. 前記マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が、10nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板の製造方法により製造された多層反射膜付き基板の多層反射膜上又は保護膜上に、転写パターンとなる吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
  5. 請求項に記載の反射型マスクブランクの製造方法により製造された反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングして、前記多層反射膜上又は前記保護膜上に吸収体パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
  6. マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面上に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層反射膜を有する多層反射膜付き基板であって、
    前記多層反射膜付き基板の膜表面は、1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であり、
    前記膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さが二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.13nm未満であることを特徴とする多層反射膜付き基板。
  7. 前記多層反射膜付き基板が、前記多層反射膜上に保護膜を有し、該保護膜表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得られる空間周波数1μm−1以上10μm−1以下におけるパワースペクトル密度が20nm以下であって、且つ、空間周波数10μm−1以上100μm−1以下におけるパワースペクトル密度が10nm以下であり、前記保護膜表面の空間周波数10μm−1以上100μm−1以下における表面粗さが二乗平均平方根粗さ(Rms)で0.13nm未満であることを特徴とする請求項に記載の多層反射膜付き基板。
  8. 請求項又はに記載の多層反射膜付き基板の多層反射膜上又は保護膜上に、転写パターンとなる吸収体膜を有することを特徴とする反射型マスクブランク。
  9. 請求項に記載の反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングして得られた吸収体パターンを、前記多層反射膜上又は前記保護膜上に有することを特徴とする反射型マスク。
  10. 請求項に記載の反射型マスクを用いて、露光装置を使用したリソグラフィープロセスを行い、被転写体上に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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