JP2017156710A - 画像形成装置用の弾性ベルト、ベルトユニット、及び画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置用の弾性ベルト、ベルトユニット、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた画像形成装置用の弾性ベルトを提供することである弾性ベルトを提供すること。【解決手段】スチレンブタジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム及びエチレンプロピレン系ゴムを含む混合ゴム材料と、カーボンブラックと、を含有するゴム基材を有する画像形成装置用の弾性ベルト。エピクロロヒドリン系ゴムは、共重合成分としてアルキレンオキサイドを60モル%以下で含む共重合体ゴムである。エピクロロヒドリン系ゴムの含有量は、混合ゴム材料に対して40質量%以下である。エチレンプロピレン系ゴムの含有量は、混合ゴム材料に対して40質量%以上である。カーボンブラックは、吸油性の異なる少なくとも2種のカーボンブラックである。【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成装置用の弾性ベルト、ベルトユニット、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式等を採用した画像形成装置では、中間転写ベルト、記録媒体搬送転写ベルト等の弾性ベルトが適用されている。
例えば、特許文献1には「クロロプレンゴムとエチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体(EPDM)とからなるゴム基剤と、該ゴム基剤中に分散されているアセチレンブラックとファーネスブラック、またはアセチレンブラツクとケッチェンブラックと、から主として構成されている転写ベルト」が開示されている。
例えば、特許文献2には「アクリロニトリル量が18〜40重量%で100℃でのムーニー粘度が30〜60であるアクリロニトリルブタジエンゴムと、エチレンオキサイド量が10〜40モル%であるエピクロルヒドリンゴムとを重量比(アクリロニトリルブタジエンゴム:エピクロルヒドリンゴム)で80:20〜20:80の割合で含有してなる導電性ゴム組成物をベルトに使用すること」が開示されている。
例えば、特許文献3には「エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が50〜95モル%/1〜49モル%/1〜10モル%であり、数平均分子量Mnが10000以上であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(A)と、アクリロニトリルブタジエンゴム(B)とを、(A):(B)=70:30〜5:95の重量比で混合した導電性ポリマーを含み、上記導電性ポリマー100重量部に対して、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を0.1重量部以上7.0重量部以下の割合で配合してなる導電性ゴム組成物をベルトに使用すること」が開示されている。
例えば、特許文献4には「エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が50〜95モル%/1〜49モル%/1〜10モル%であり、数平均分子量Mnが10000以上であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を、エピクロルヒドリンゴムに対して重量比0.01以上4.00以下で混合した導電性ゴム組成物をベルトに使用すること」が開示されている。
例えば、特許文献5には「イオン導電性ゴム材料からなるポリマー連続相と、電子導電性ゴム材料からなるポリマー粒子相とを含んでなる海島構造のゴム組成物であって、該イオン導電性ゴム材料は、体積固有抵抗率1×1012Ω・cm以下の原料ゴムAより主になり、該電子導電性ゴム材料は、原料ゴムBに導電粒子を配合することにより導電化されている半導電性ゴム組成物をベルトに使用すること」が開示されている。
例えば、特許文献6には「エチレンオキサイドを含有する共重合ゴム、クロロプレンゴムおよびアクリロニトリルブタジエンゴムを含有する半導電性ゴム組成物をベルトに使用すること」が開示されている。
特開平09−179414号公報 特開平11−65269号公報 特開2002−212413号公報 特開2002−105305号公報 特開2002−3651号公報 特開2006−348245号公報
本発明の課題は、ニトリルゴム又はクロロプレンゴムとエピクロロヒドリン系ゴムとエチレンプロピレン系ゴムとからなる混合ゴム材料を含むゴム基材を有する弾性ベルトに比べ、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた画像形成装置用の弾性ベルトを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
スチレンブタジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム及びエチレンプロピレン系ゴムを含む混合ゴム材料と、カーボンブラックと、を含有するゴム基材を有する画像形成装置用の弾性ベルト。
請求項2に係る発明は、
前記エピクロロヒドリン系ゴムが、共重合成分としてアルキレンオキサイドを60モル%以下で含む共重合体ゴムである請求項1に記載の弾性ベルト。
請求項3に係る発明は、
前記エピクロロヒドリン系ゴムの含有量が、前記混合ゴム材料に対して40質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の弾性ベルト。
請求項4に係る発明は、
前記エチレンプロピレン系ゴムの含有量が、前記混合ゴム材料に対して40質量%以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の弾性ベルト。
請求項5に係る発明は、
前記カーボンブラックが、吸油性の異なる少なくとも2種のカーボンブラックである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の弾性ベルト。
請求項6に係る発明は、
前記スチレンブタジエンゴムの含有量(質量%)をCSBR、前記エピクロロヒドリン系ゴムの含有量(質量%)をCECO、前記エチレンプロピレン系ゴムの含有量(質量%)をCEPDMとしたとき、式;CEPDM>CECO≧CSBRの関係を満たす請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の弾性ベルト。
請求項7に係る発明は、
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の弾性ベルトと、
前記弾性ベルトを張力がかかった状態で支持する複数のロールと、
を備えたベルトユニット。
請求項8に係る発明は、
像保持体を有し、前記像保持体の表面にトナー像を形成する画像形成部と、
記録媒体を搬送する搬送転写ベルトであって、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の弾性ベルトからなる搬送転写ベルトと、前記搬送転写ベルトを介して前記像保持体に対向して配置され、前記搬送転写ベルトで搬送する記録媒体に、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を直接転写する転写部材と、を有する転写部と、
を有する画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、ニトリルゴム又はクロロプレンゴムとエピクロロヒドリン系ゴムとエチレンプロピレン系ゴムとからなる混合ゴム材料を含むゴム基材を有する弾性ベルトに比べ、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた画像形成装置用の弾性ベルトが提供される。
請求項2に係る発明によれば、エピクロロヒドリン系ゴムが共重合成分としてアルキレンオキサイドを60モル%超えで含む共重合体ゴムである場合に比べ、抵抗の環境依存性が低減された弾性ベルトが提供される。
請求項3に係る発明によれば、エピクロロヒドリン系ゴムの含有量が40質量%超えの場合に比べ、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた弾性ベルトが提供される。
請求項4に係る発明によれば、エチレンプロピレン系ゴムの含有量が40質量%未満の場合に比べ、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた弾性ベルトが提供される。
請求項5に係る発明によれば、1種のカーボンブラックを適用した場合に比べ、抵抗のバラツキが抑制された弾性ベルトが提供される。
請求項7に係る発明によれば、ニトリルゴム又はクロロプレンゴムとエピクロロヒドリン系ゴムとエチレンプロピレン系ゴムとからなる混合ゴム材料を含むゴム基材を有する弾性ベルトを備える場合に比べ、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた弾性ベルトを備えるベルトユニットが提供される。
請求項8に係る発明によれば、ニトリルゴム又はクロロプレンゴムとエピクロロヒドリン系ゴムとエチレンプロピレン系ゴムとからなる混合ゴム材料を含むゴム基材を有する弾性ベルトを搬送転写ベルトとして備える場合に比べ、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた搬送転写ベルト備える画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<弾性ベルト>
本実施形態に係る画像形成装置用の弾性ベルトは、スチレンブタジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム及びエチレンプロピレン系ゴムを含む混合ゴム材料と、カーボンブラックと、を含有するゴム基材を有する。
このため、本実施形態に係る弾性ベルトは、上記構成を有することにより、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れた弾性ベルトとなる。この理由は、スチレンブタジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム及びエチレンプロピレン系ゴムは、互いのゴムの相溶性が良好となるためと推測される。互いのゴムの相溶性が良好であると、各ゴムを混合したときに、エチレンプロピレン系ゴムによる耐オゾン性の向上が有効に働くと考えられる。また、イオン導電性のエピクロロヒドリン系ゴムによるイオン導電性を有効に働くと共に、電子導電性のカーボンブラックの3成分系での分散性も高まり、ゴム成分の結晶化等も生じ難く、抵抗安定性も向上し、経時変化及び環境変化を制御されると考えられる。このため、弾性ベルトの耐オゾン性及び抵抗安定性が高まると考えられる。
また、本実施形態に係る弾性ベルトは、剛性、伸張安定性、耐ブリード性(なお、ブリードとは成分が析出する現像である)も向上し易くなる。
以下、本実施形態に係る弾性ベルトの詳細について説明する。
本実施形態に係る弾性ベルトは、ゴム基材を有する。弾性ベルトは、ゴム基材の単層体であってもよし、ゴム基材の外周面に離型層を有する積層体であってもよい。なお、弾性ベルトは、離型層以外の機能層を有する積層体であってもよい。
(ゴム基材)
ゴム基材は、混合ゴム材料と、カーボンブラックと、を含む。ゴム基材は、その他の添加剤を含んでもよい。
混合ゴム材料について説明する。
混合ゴム材料は、スチレンブタジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム及びエチレンプロピレン系ゴムの3成分を含む。混合ゴム材料は、他のゴムを含んでもよい。ただし、全ゴム成分に占める前記3成分の割合は、90質量%以上(好ましく95質量%、より好ましくは100質量%)であることがよい。
スチレンブタジエンゴムは、スチレンとブタジエンとの共重合体ゴムである。耐オゾンと相溶性の観点から、全重合成分に占めるスチレン量(スチレンに由来する構造)は、例えば、60質量%以上85質量%以下(好ましくは60質量%以上75質量%以下)であることがよい。
エピクロロヒドリン系ゴムは、少なくともエピクロロヒドリンを重合成分として含む重合体ゴムである。エピクロロヒドリン系ゴムは、エピクロロヒドリンの単独重合体ゴム、多元共重合体ゴム(二元共重合体ゴム、三元共重合体ゴム等)のいずれであってもよい。
エピクロロヒドリン系ゴムとしては、例えば、エピクロロヒドリン単独重合体ゴム、エピクロロヒドリンとアリルグリシジルエーテルとの共重合体ゴム、エピクロロヒドリンとアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又はその双方)との共重合体ゴム、エピクロロヒドリンとアルキレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルとの共重合体ゴム、アリルグリシジルエーテル変性エピクロロヒドリンとアルキレンオキサイドとの共重合体ゴム等が挙げられる。
これらの中でも、ベルトの抵抗調整の観点から、エピクロロヒドリン系ゴムは、共重合成分としてアルキレンオキサイドを含む共重合体ゴム(アルキレンオキサイドに由来する構造を有する共重合ゴム)が好ましい。一方で、ベルトの抵抗の環境依存性を低減する観点から、アルキレンオキサイド量(アルキレンオキサイドに由来する構造の量)は、全重合成分に対して60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。なお、ベルトの抵抗調整の観点から、アルキレンオキサイド量は、全重合成分に対して20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましい。
ベルトの抵抗調整、ニトリルゴム(NBR)より安価、高剛性、及び耐オゾン性の観点から、エピクロロヒドリン系ゴムとしては、1×10Ωcm以上の抵抗率(体積抵抗率)を有するゴムであることが好ましい。体積抵抗率は、JIS−K6271(2008年)の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方」に基づいて測定である。
エチレンプロピレン系ゴムは、少なくともエチレン及びプロピレンを重合成分として含む共重合体ゴムである。
エチレンプロピレン系ゴムとしては、エチレンとプロピレンとの共重合体ゴム、エチレンとプロピレンとジエン(エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン,イソホロン構造等)との共重合体ゴム等が挙げられる。
エチレンプロピレン系ゴムにおいて、ゴム相溶性と耐オゾン性の観点から、全重合成分に占めるエチレン量(エチレンに由来する構造)は、例えば、40質量%以上80質量%以下(好ましくは40質量%以上70質量%以下)であることがよい。全重合成分に占めるプロピレン量(プロピレンに由来する構造)は、例えば、20質量%以上60質量%以下(好ましくは30質量%以上 50 質量%以下)であることがよい。
また、第3成分のジエン成分(たとえばエチリデンノルボルネン、1,4ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等)を加えることで共加硫性が増し、極性ゴムのエピクロロヒドリン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムとの分散及び相溶性がより向上する。
混合ゴム材料は、スチレンブタジエンゴムの加硫性が高い過酸化物加硫で架橋された架橋物であることがよい。これにより、加硫性の低いエピクロロヒドリン系ゴムを含んでも、ベルトの剛性、ベルトの伸張安定性が高まり易くなる。また、ベルトの耐ブリード性も高まり易くなる。
ここで、混合ゴム材料において、ベルトの耐オゾン性及び抵抗安定性の向上の観点から、スチレンブタジエンゴムの含有量は、混合ゴム材料に対して5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましく、10質量%以上25質量%以下が更に好ましい。
同観点から、エピクロロヒドリン系ゴムの含有量は、混合ゴム材料に対して40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。一方、ベルトの抵抗調整、相溶性、および共加硫性の観点から、エピクロロヒドリン系ゴムの含有量は、混合ゴム材料に対して20質量%以下であることが好ましく、15 質量%以下がより好ましく、 10 質量%以下が更に好ましい。
同観点から、エチレンプロピレン系ゴムの含有量は、混合ゴム材料に対して40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。一方、スチレンブタジエンゴム及びエピクロロヒドリン系ゴムとの相溶性、耐オゾン性、並びに抵抗調整制御の観点から、エチレンプロピレン系ゴムの含有量は、混合ゴム材料に対して40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。なお、エチレンプロピレン系ゴムの含有量により、ベルト(ゴム基材)の抵抗調整も可能である。
特に、ベルトの耐オゾン性及び抵抗安定性の向上の観点から、スチレンブタジエンゴムの含有量(質量%)をCSBR、エピクロロヒドリン系ゴムの含有量(質量%)をCECO、エチレンプロピレン系ゴムの含有量(質量%)をCEPDMとしたとき、式;CEPDM>CECO≧CSBRの関係を満たすことが好ましい。
なお、スチレンブタジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム及びエチレンプロピレン系ゴムの含有量を上記範囲にすると、ベルトの剛性、ベルトの伸張安定性、ベルトの耐ブリード性、補強性も向上し易くなる。
混合ゴム材料の含有量は、ベルト基材に対して、30質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下がより好ましい。
カーボンブラックについて説明する。
カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法で製造されるカーボンブラック(例えばチャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック等)、ファーネスト法で製造されるカーボンブラック(例えばガスファーネストブラック、オイルファーネストブラック等)、サーマル法で製造されるカーボンブラック(例えばサーマルブラック、アセチレンブラック等)が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
カーボンブラックは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックとしては、ベルトの抵抗のバラツキを低減する観点から、吸油性の異なる少なくとも2種のカーボンブラックを併用することが好ましい。具体的には、吸油性が高く導電性に優れるケッチェンブラック及びアセチレンブラックの少なくとも一方と、吸油性が小さくゴム補強性が優れるサーマルブラックとを併用することが好ましい。これらのカーボンブラックの併用によってベルトの抵抗バラツキが低減される。なお、吸油性の異なるカーボンブラックとは、DBP(ジブチルフタレート)吸油量が異なるカーボンブラックを示す。そして、DBP吸油量は、ASTM D2414−6TTに定義された値である。
ここで、カーボンブラックの使用割合は、例えば、質量比でケッチェンブラック及びアセチレンブラックの少なくとも一方:サーマルブラック=1:1乃至1:8が好ましく、更には1:2乃至1:5がより好ましい。
カーボンブラックの含有量は、例えば、混合ゴム材料100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、15質量部以上35質量部以下であることがより好ましい。
その他添加剤について説明する。
その他の添加剤としては、周知の各種のゴム用添加剤が挙げられる。具体的には、その他の添加剤としては、粒子状又は長繊維状等の充填剤(酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等)、加硫剤、加硫促進剤、受酸剤、老化防止剤、可塑剤、プロセスオイル、着色剤等が挙げられる。
ここで、その他の添加剤(特に、受酸剤)により、ベルト基材の抵抗調整を行ってもよい。特に、受酸剤により抵抗調整する場合、受酸剤の含有量は、混合ゴム材料100質量部に対して0から30部の範囲内とすることがよい。
ゴム基材の特性について説明する。
ゴム基材の体積抵抗率は、10Ω/cm以下であることが好ましく、10Ω/cm以下がより好ましい。また、ゴム基材の体積抵抗率は、10Ω/cm以上であることが好ましく、10Ω/cm以上がより好ましい。
ゴム基材の厚みは、特に制限はないが、例えば、搬送転写ベルトに適用する場合、ベルトの剛性、ベルトの永久伸び変化抑制、ベルトの蛇行抑制,搬送安定性等の観点から、100μm以上1000μm以下が好ましく、300μm以上600μm以下がより好ましい。
(離型層)
離型層は、例えば、樹脂を含む樹脂層で構成されていることがよい。離型層は、必要に応じて、樹脂に加えて、潤滑剤、及び補強剤のいずれか一方、または両方を含んでいてもよい。
樹脂について説明する。
樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂、シリコーン樹脂、又はフッ素含有樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも、使用環境の変化に伴うゴム基材の伸張に追従しやすくなる点で、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
なお、樹脂は、架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、シランカップリング剤等の架橋剤が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、主剤と硬化剤とが混合されている1液型のポリウレタン樹脂、または、主剤と硬化剤とを用いる2液硬化型のポリウレタン樹脂等が挙げられ、いずれのポリウレタン樹脂を用いてもよい。
2液硬化型のポリウレタン樹脂を用いる場合、主剤としては、硬化剤であるイソシアネート基と反応し得る官能基を有する樹脂が挙げられる。例えば、具体的には、分子内に水酸基を有するアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール等のポリオールが挙げられる。これらの主剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族イソシアネート;トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート3量体;イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート3量体;HDIとトリレンジイソシアネート(TDI)との混合イソシアヌレート3量体;その他イソシアヌレート3量体、アダクト体、ビュレット体等が挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
ここで、ポリオールとイソシアネート化合物は、ポリオール中の水酸基(OH基)に対するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)が1.0以上1.5以下の範囲となる配合比で混合することが好ましい。1.0以上1.3以下の範囲がより好ましく、1.0以上1.15以下の範囲さらに好ましい。
潤滑剤について説明する。
潤滑剤は、離型層の離型性を高める機能を有する。潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン、黒鉛、窒化ホウ素、シリカ、ポリアミド粉等が挙げられる。これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン、及び黒鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの潤滑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、離型層の離型性がより向上する点から、PTFEを用いることがより好ましい。
潤滑剤の含有量は、離型層の離型性を高める観点から、離型層に含有する樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。潤滑剤の含有量をこの範囲にすると、離型層の摩耗が低減され易くなる。
補強剤について説明する。
補強剤は、離型層の摩耗を抑える機能を有する。具体的には、補強剤は、上記に挙げた潤滑剤以外の粒子であり、離型層を補強する効果を有する樹脂粒子、又は無機粒子である。
補強剤としては、具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン(PTFE)・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、及びポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素含有化合物の樹脂粒子;ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等のフッ素樹脂以外の樹脂粒子;カーボンブラック、シリカ、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ケイ素アンチモン、酸化アルミニウム等の無機粒子が挙げられる。これらの補強剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましい。
補強剤の含有量は、離型層の摩耗を抑える観点から、樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましい。
なお、離型層には、周知のその他の添加剤を含んでもよい。
離型層の特性について説明する。
離型層の厚みは、例えば、1μm以上15μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。
(ベルト特性)
本実施形態に係る弾性ベルトは、体積抵抗率が10Ωcm以上10Ωcm以下であり、表面抵抗率が10/□以上1011□以下であることが好ましい。
本実施形態に係る弾性ベルトの表面抵抗率及び体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ)を用い、JIS K 6911(1995年)に従って測定する。
表面抵抗率ρs(Ω/□)は下記式により算出する。ここで、下記式において、d(mm)は円柱状電極部の外径、D(mm)はリング状電極部の内径を示す。また、電圧V(V)は印加電圧、電流I(A)は電圧を印加したときに流れる電流を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
体積抵抗率の測定は、表面抵抗率の測定で使用した装置を用いて測定する。但し、円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体に代えて第二電圧印加電極を備える。そして、下記式により、体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出する。ここで、下記式において、tは弾性ベルトの厚さを示す。また、電圧V(V)は印加電圧、電流I(A)は電圧を印加したときに流れる電流を示す。
式ρv=2.011×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
ここで、上記式に示される2.011は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd/4tとして算出される。また、弾性ベルトの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用し測定する。
(弾性ベルトの製造方法)
次に、本実施形態に係る弾性ベルトの製造方法について説明する。
−ゴム基材の製造−
導電性のゴム基材の製造方法については、ゴム基材が得られる限り、特に限定されない。例えば、ゴム材料(混合ゴム材料)と導電剤(カーボンブラック)とを混練し、加硫剤、加硫促進剤等の各種添加剤を加えて押出加工を行った後、加硫処理を行い、ゴム基材が得られる。
具体的には、まず、例えば、使用する各ゴム材料に、導電剤(カーボンブラック)を混入分散させた後、これらを加圧式ニーダー等の混練機で混練させ、加硫剤、加硫促進剤等を加えて押出加工を行う。
ゴム基材を得るための上記の混練されたゴム組成物を押出成形する場合には、加硫マンドレルと呼ばれる、ベルト内径と同サイズの外径を持つ金属製のシリンダに、混練したゴム材料を覆い被せた状態で予め定めた条件(例えば、170℃で1時間)にて加硫させる。その後、研磨用マンドレルに加硫したゴム材料を被せて、ゴム基材の内周面と外周面とを研磨し、厚みと、表面の平滑性を調整してゴム基材が得られる。
(離型層の形成)
離型層を形成する場合、ゴム基材上に、離型層を形成する。離型層の形成方法は、離型層を形成し得る限り、特に限定されない。例えば、一例としては、潤滑剤および補強剤を含有した樹脂と樹脂を架橋するための架橋剤とを含む離型層用塗布液と、を準備する。そして、ゴム基材上に、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布方法により、離型層用塗布液を塗布する。その後、ゴム基材上に付着した離型層用塗布液の塗膜に加熱硬化処理を行う方法が挙げられる。
上記に挙げた例のように、塗布液を用いて離型層を液を用いて形成する場合、塗布液は水系、又は溶剤系のいずれの塗布液でもよい。作業環境の点で、水系の塗布液を用いることが好ましい。また、水系である場合には、エマルション、ディスパージョンのいずれの形態であってもよい。なお、溶剤系とは、有機溶媒により固形分が溶解又は分散されている形態であり、水系とは、水、又は水と水混和性有機溶媒(例えば、アルコール)との混合溶媒により固形分が溶解、又は分散されている形態のことを示す。
<その他の用途>
本実施形態の弾性ベルトは、電子写真方式の画像形成装置における搬送転写ベルトとして好適に用いられる。また、中間転写ベルトにも適用してもよい。その他、定着装置を通過した後の用紙を冷却するための冷却ベルト、駆動ベルト等の他の弾性ベルトに適用してもよい。
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係る弾性ベルトを適用した画像形成装置の一例について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、像保持体を有し、像保持体の表面にトナー像を形成する画像形成部と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写部と、を備える。
具体的には、画像形成装置は、例えば、像保持体、像保持体の表面を帯電する帯電装置、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置を有する画像形成部、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写部と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着装置を備える装置、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置、トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置、トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置、電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
画像形成装置が直接転写方式の装置の場合、転写部は、例えば、記録媒体を搬送する搬送転写ベルトと、搬送転写ベルトを介して前記像保持体に対向して配置され、搬送転写ベルトで搬送する記録媒体に、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を直接転写する転写部材と、を有する。そして、搬送転写ベルトとして、上記本実施形態に係る弾性ベルトが適用される。
画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写部は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体(中間転写ベルト)の表面に一次転写する一次転写部材と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写部材と、を有する構成が適用される。そして、この中間転写ベルトに、本実施形態に係る弾性ベルトが適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態の弾性ベルトを適用した一例として、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接、記録媒体に転写する直接転写方式の装置の搬送転写ベルトとして備えた画像形成装置の構成を概略的に示している。
図1に示す画像形成装置100は、矢印A方向に回転する電子写真感光体10の周囲に、電子写真感光体10の表面を帯電する帯電装置11(帯電手段の一例)、帯電した電子写真感光体10の表面に露光ビームBmを照射して静電潜像を形成する露光装置12(静電潜像形成手段の一例)、トナーを収容し、電子写真感光体10上の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置13(現像手段の一例)、電子写真感光体10上の残留トナーを除去するクリーニング装置17(クリーニング手段の一例)を備えている。そして、このクリーニング装置17には、クリーニングブレード17a、潤滑材18を電子写真感光体10の表面に供給する繊維状部材16(ロール状)が設けられている。
さらに、図1に示す画像形成装置100は、転写ユニット20、記録媒体Pに転写された未定着トナー像を定着する定着装置60、各装置(各部)の動作を制御する制御部(不図示)を備えている。
上記の転写ユニット20(転写手段の一例)は、転写部15における静電転写に先立って電子写真感光体10上のトナー像を帯電する転写前帯電装置14、電子写真感光体10上に形成されたトナー像を転写部15において記録媒体P(例えば、記録紙(用紙))に転写する搬送転写ベルト21を備えている。
また、転写ユニット20は、駆動ロール22と従動ロール23とによって張力を持って架け渡された搬送転写ベルト21(弾性ベルトを適用した一例)と、搬送転写ベルト21の内側に配設され、搬送転写ベルト21を介して電子写真感光体10に押圧される転写ロール24とを備えている。さらに、駆動ロール22を通過した後に搬送転写ベルト21の表面上の付着物を掻き取るクリーニングブレード25が設けられている。
転写ユニット20は、矢印B方向に回転する搬送転写ベルト21により、転写部15に搬送されてくる記録媒体Pに電子写真感光体10上のトナー像を転写する機能と、転写部15においてトナー像が転写された記録媒体Pを定着装置60まで搬送する機能とを有している。
また、本実施形態の画像形成装置は、記録媒体Pを収容する記録媒体収容部50、この記録媒体収容部50に集積された記録媒体Pを予め定められたタイミングで取り出して搬送する取り出しロール51、取り出しロール51により繰り出された記録媒体Pを搬送する搬送ロール52、搬送された記録媒体Pを予め定められたタイミングで転写部15に送り込む位置決めロール54、位置決めロール54から送り出された記録媒体Pを転写部15に導く案内部55、転写ユニット20によりトナー像が転写されて搬送されてくる記録媒体Pを定着装置60へ導く案内部56を備えている。
なお、本実施形態の弾性ベルトを適用した一例として、搬送転写ベルトとして備えた画像形成装置を例に挙げて説明したが、例えば、本実施形態の弾性ベルトは、中間転写ベルトとして備えた画像形成装置に適用してもよい。
<ベルトユニット>
次に、本実施形態に係る弾性ベルトを適用したベルトユニットについて説明する。
本実施形態に係る弾性ベルトが適用されたベルトユニットは、弾性ベルトと、弾性ベルトを張力がかかった状態で支持する複数のロールと、を備えている。例えば、弾性ベルトは、互いに対向して配置された駆動ロール及び従動ロールにより張力がかかった状態で掛け渡されている。
本実施形態に係る弾性ベルトを、例えば、搬送転写ベルトとして適用する場合、ベルトユニットは、上記の各ロール(駆動ロール及び従動ロール)に加えて、感光体(像保持体)表面のトナー像を記録媒体に転写させるための転写ロール(転写部材)を備えたものであってもよい。例えば、図1に示す画像形成装置において、駆動ロール22と従動ロール23とによって張力がかかった状態で架け渡された搬送転写ベルト21と、搬送転写ベルト21の内側に配設され、搬送転写ベルト21を介して電子写真感光体10に押圧される転写ロール24とを備えたユニットは、本実施形態に係る弾性ベルトを搬送転写ベルトとして適用した場合のベルトユニットの一例である。
また、例えば、中間転写ベルトとして適用した場合、上記の各ロール(駆動ロール及び従動ロール)に加えて、感光体(像保持体)表面のトナー像を中間転写ベルト(弾性ベルトを適用した他の一例)上に1次転写させるためのロールと、中間転写ベルト上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置されていてもよい。
なお、張力がかかった状態で掛け渡すためのロールの数や位置は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<実施例1>
SBR(スチレンブタジエンゴム:JSR製JSR1502)30部と、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム:住友化学製エスプレン505)40部と、GECO(1)(エピクロロヒドリン・エチレンオキサイド・アリルグリシジルエーテル共重合体ゴム:ダイソー製エピクロマーCG102、エチレンオキサイド量(EO量)=56モル%、体積抵抗率=10Ωcm)30部と、を加圧式ニーダーで混錬した。
次に、得られた混練物に、アセチレンブラック(電気化学工業製、DBP吸油量= 212ml/100g)30部、サーマルブラック(旭カーボン製、DBP吸油量=103ml/100g)40部、酸化亜鉛(日本化学工業製)5部、酸化マグネシウム(受酸剤、共和化学製)5部、硫黄加硫剤(鶴見化学工業製サルファックスPMC)1部、加硫促進剤(大内新興化学工場製ノクセラーTS及びDT)各1部を投入し、2本加熱ロールでさらに混錬した。
次に、得られた混練物をベルト状(95mmφ)に肉厚1.2mmで押し出し加工し、アルミニウム(Al)ドラム面に被覆成形させた。この後、飽和蒸気高圧缶で170℃で1時間加硫させた。円筒研磨で0.45mm厚まで研磨して、ベルト状のゴム基材(ゴム硬度5.5度、体積抵抗率106.8Ωcm)を作製した。
次に、水系ポリウレタン塗工液(ヘンケル製ボンデライトS−FN345、PTFE15質量部含有)に硬化剤(ヘンケル製ロックタイト(TW8370C)WH−1を5%混合して塗工液を、スプレー法により、ゴム基材上に塗工し、120℃、30分硬化処理させ、厚さ6μmの離型層を形成した。
ベルト基材上に離型層が形成された2層構成の弾性ベルト(体積抵抗率107.2Ωcm)を得た。
<実施例2>
GECO(1)に代えて、GECO(2)「ダイソー製エピクロマーCG102(EO量=41モル%、体積抵抗率=107.1Ωcm)」を用い、受酸剤(酸化マネシウム)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、弾性ベルト(体積抵抗率107.5Ωcm)を得た。ただし、離型層の厚さは4.8μmとした。
<実施例3>
GECO(1)に代えて、GECO(3)「ダイソー製エピオン301(EO=56モル%、体積抵抗率=106.7Ωcm)」を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ベルト(体積抵抗率107.1Ωcm)を得た。
<比較例1>
SBRに代えて、CR(クロロプレンゴム:デュポン製ネオプレンWST)を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ベルト(体積抵抗率106.1Ωcm)を得た。だたし、ゴム基材の厚みは5μmとした。なお、ゴム基材の表面硬度は35であった。
<比較例2>
SBRに代えて、NBR(ニトリルゴム:日本ゼオン製Nipol 1042)を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ベルト(体積抵抗率107.4Ωcm)を得た。なお、ゴム基材の表面硬度は35であった。
<評価1>
各弾性ベルトの特性を調べた。
(耐オゾン性)
弾性ベルトの耐オゾン性について、次のように評価した。3ppmオゾンチャンバー内で、3%から30%伸張を繰り返して、72時間、弾性ベルトに張力を付与して、その際に表面発生するクラック状況を目視観察し、劣化状態を観察した。評価基準は、以下の通りある。
A:表面層に大きな変化なし
B:表面層に部分クラック発生
C:表面層の全面と弾性層にクラック発生
(抵抗安定性)
弾性ベルトの抵抗安定性について、次のように評価した。低温低湿環境下(10℃、15%RHの環境下)において、300mm/secの速度で、3%の張力を付与しつつ、弾性ベルトを回転させながら、弾性ベルトに定電流100μAで100時間通電させさせた。そして、DC500Vの印加条件で、弾性ベルト抵抗の変化を計測し、初期からの変化量で評価した。そして、通電前後での体積抵抗の変化量(桁)から抵抗安定性を評価した。評価基準は、以下の通りある。
A:0以上0.5桁未満
B:0.5以上1桁未満
C:1桁以上
(抵抗の環境依存性)
弾性ベルトの抵抗の環境依存性について、28℃、85%RH、8時間保管後の弾性ベルトの体積抵抗と、10℃、15%RH、8時間保管後の弾性ベルトの体積抵抗率との差で評価した。評価基準は以下の通りである。
A:0.5桁未満
B:0.5以上1桁未満
C:1桁以上
(抵抗バラツキ)
弾性ベルトの抵抗バラツキについて、JIS電極を用いて、DC500Vを10秒印加し、弾性ベルトの面内周方向を12箇所測定して、その間の抵抗バラツキ(体積抵抗率の差)を評価した。評価基準は、以下の通りある。
A:0以上0.5桁未満
B:0.5以上1桁未満
C:1桁以上
(剛性)
弾性ベルトの剛性について、弾性ベルトを3号ダンベル打ち抜き、得られた試料を用いて、耐オゾン性の評価前後での引っ張り試験による弾性率変化を評価した。評価基準は、以下の通りある。
A:5%未満
B:5以上10%未満
C:10%以上変化
(伸張安定性)
弾性ベルトの伸張安定性について、抵抗安定性の評価前後でのでの3%ベルト伸張時(初期10kg負荷)の張力変化から評価した。評価基準は、以下の通りある。
A: 1以上3kg未満
B: 3以上5kg未満
C: 5kg以上
(耐ブリード性)
弾性ベルトの耐ブリード性について、次のように評価した。42℃、85%RH環境下で72時間、ベルトを保管した。そして、保管前後のベルトを転写搬送ベルトとして富士ゼロックス社製のプリンターに搭載し、ハーフトーン画像を出力し、ブリードによる画像汚染状態を観察した。評価基準は、以下の通りある。
A: ブリード痕跡無し
B: 数枚で消失する画像汚染あり
C: 感光体上でブリード痕跡は残り、画像汚染継続
<評価2>
各弾性ベルトを、富士ゼロックス社製D110(モノクロ複合機)の転写部の搬送転写ベルトとして装着し、A4普通紙に画像の形成を行った。具体的には、800,000枚の画像形成を行った。
各例のゴム基材の成分、及び評価結果について、表1〜表2に一覧にして示す。
上記結果から、本実施例の弾性ベルトは、比較例の弾性ベルトに比べ、耐オゾン性及び抵抗安定性に優れることがわかる。また、本実施例の弾性ベルトは、剛性、伸張安定性、耐ブリード性も良好であることがわかる。
そして、本実施例の弾性ベルトは、評価2(実機評価)でも、継続して良好な画像が得られることがわかる。
10 電子写真感光体
11 帯電装置
12 露光装置
13 現像装置
14 転写前帯電装置
15 転写部
17 クリーニング装置
20 転写ユニット
21 搬送転写ベルト
22 駆動ロール
23 従動ロール
24 転写ロール
50 記録媒体収容部
51 取り出しロール
52 搬送ロール
54 位置決めロール
55 案内部
56 案内部
60 定着装置
100 画像形成装置

Claims (8)

  1. スチレンブタジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム及びエチレンプロピレン系ゴムを含む混合ゴム材料と、カーボンブラックと、を含有するゴム基材を有する画像形成装置用の弾性ベルト。
  2. 前記エピクロロヒドリン系ゴムが、共重合成分としてアルキレンオキサイドを60モル%以下で含む共重合体ゴムである請求項1に記載の弾性ベルト。
  3. 前記エピクロロヒドリン系ゴムの含有量が、前記混合ゴム材料に対して40質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の弾性ベルト。
  4. 前記エチレンプロピレン系ゴムの含有量が、前記混合ゴム材料に対して40質量%以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の弾性ベルト。
  5. 前記カーボンブラックが、吸油性の異なる少なくとも2種のカーボンブラックである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の弾性ベルト。
  6. 前記スチレンブタジエンゴムの含有量(質量%)をCSBR、前記エピクロロヒドリン系ゴムの含有量(質量%)をCECO、前記エチレンプロピレン系ゴムの含有量(質量%)をCEPDMとしたとき、式;CEPDM>CECO≧CSBRの関係を満たす請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の弾性ベルト。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の弾性ベルトと、
    前記弾性ベルトを張力がかかった状態で支持する複数のロールと、
    を備えたベルトユニット。
  8. 像保持体を有し、前記像保持体の表面にトナー像を形成する画像形成部と、
    記録媒体を搬送する搬送転写ベルトであって、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の弾性ベルトからなる搬送転写ベルトと、前記搬送転写ベルトを介して前記像保持体に対向して配置され、前記搬送転写ベルトで搬送する記録媒体に、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を直接転写する転写部材と、を有する転写部と、
    を有する画像形成装置。
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