JP2017155878A - 車輪支持用転がり軸受ユニット - Google Patents
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Abstract
Description
又、前記内輪7の外周面の軸方向内端部で、前記内輪軌道8bから軸方向内側に外れた部分には、エンコーダ13を外嵌固定している。
又、前記外輪2の軸方向外端開口部と前記ハブ本体6の軸方向中間部外周面との間に、シールリング14を設置すると共に、前記外輪2の軸方向内端開口部にキャップ16を装着している。これにより、前記各転動体12、12及び前記エンコーダ13を設置した空間15の軸方向両端開口部を塞ぎ、この空間15内に封入したグリースが外部空間に漏洩したり、又は外部空間に存在する異物が、この空間15内に侵入したりする事を防止している。
以上の様な構成を有するキャップ16は、前記嵌合芯金18の軸方向外半部を、前記外輪2の軸方向内端部内周面に軸方向内側から圧入により(締り嵌めで)嵌合すると共に、前記キャップ本体17を構成するキャップ円筒部19の軸方向外端面を、前記外輪2の軸方向内端面に当接させた状態で、この外輪2に組み付けられている。
即ち、従来構造の場合には、前記キャップ円筒部19のうちの前記嵌合芯金18の軸方向内半部の径方向外側に存在する部分の径方向の厚さ寸法が大きいと、当該部分の成形収縮(固化による収縮)に基づいて、前記嵌合芯金18の軸方向内半部が圧縮応力(径方向内側への力)を受ける。この様な圧縮応力に基づいて、前記嵌合芯金18が、軸方向外側に向かうほど外径が大きくなる状態(テーパ状)に変形すると、この嵌合芯金18を、前記外輪2の軸方向内端部内周面に圧入し難くなってしまう可能性がある。
又、前記キャップ本体17が、結晶性樹脂製である場合、使用時の温度上昇に伴い、前記キャップ円筒部19のうちの前記嵌合芯金18の軸方向内半部の径方向外側に存在する部分の結晶化が進むと、当該部分が収縮して前記嵌合芯金18と前記外輪2との嵌合部の締め代が減り、この嵌合部の嵌合力が低下する可能性がある。
又、前記キャップ円筒部19のうちの前記嵌合芯金18の軸方向内半部の径方向外側に存在する部分の結晶化度が、円周方向に関して均一でない場合には、使用時の温度上昇に伴い、前記キャップ円筒部19に反りが生じて、このキャップ円筒部19の軸方向外端面と、前記外輪2の軸方向内端面との間に軸方向の隙間が発生し易くなり、この隙間から水が浸入したり、前記エンコーダの被検出面と、前記センサの検出部との間に存在するエアギャップ(間隔)が変動して前記センサの検出精度が悪化してしまう可能性がある。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない。
前記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、前記外輪の内径側にこの外輪と同心に支持され、外周面のうちでこの外輪の軸方向外端部よりも軸方向外側に突出した部分に車輪を支持する為の回転側フランジが設けられている。
前記各転動体は、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられている。
前記キャップは、前記外輪の軸方向内端開口を塞ぐ為のものである。
この様なキャップは、金属製の嵌合芯金と、合成樹脂製のキャップ本体とを備えている。
このうちの嵌合芯金は、内径側筒部と、この内径側円筒部の軸方向内端部から径方向外側に延出した状態で形成された外向鍔部と、この外向鍔部の径方向外端部から軸方向外側に延出した状態で形成された外径側筒部とを有すると共に、前記内径側筒部のうち、軸方向外側に位置する一部分を、前記外輪の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌する為の嵌合部としている。
前記キャップ本体は、径方向外端部により、前記内径側筒部のうち前記嵌合部よりも軸方向内側に位置する部分の外周面を覆うと共に、前記外向鍔部及び前記外径側筒部を包埋した状態で、前記嵌合芯金に結合固定されている。
そして、前記キャップは、前記嵌合芯金の前記嵌合部を前記外輪の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌すると共に、前記キャップ本体のうち、前記嵌合芯金の前記内径側筒部よりも径方向外側に位置する部分の軸方向外側面を前記外輪の軸方向内端面に当接させた状態で、この外輪に取り付けられている。
先ず、キャップの組み付け性の低下を防止できる理由は、本発明の場合、キャップを構成する嵌合芯金に、外径側筒部を設けているからである。即ち、本発明の場合、この外径側筒部を、嵌合芯金を構成する外向鍔部の径方向外端部から軸方向外側に延出した状態で設けている。この為、このキャップ本体のうち、軸方向に関して前記外径側筒部と整合する部分を、この記外径側筒部により、この外径側筒部の内径側に存在する部分と、同じく外径側に存在する部分とに分割する事ができる。従って、前記キャップ本体のうち、成形収縮(固化による収縮)に基づいて、前記内径側筒部に圧縮応力(径方向内側への力)を作用する部分(前記キャップ本体のうち、前記外径側筒部よりも径方向内側且つ前記内径側筒部の軸方向内端部よりも径方向外側に存在する部分)の径方向に関する厚さ寸法が、この外径側筒部が存在していない場合よりも小さくなる。この結果、前記嵌合芯金が、前記成形収縮に基づいてテーパ状に変形し難くなる為、前記内径側筒部を外輪の軸方向内端部内周面に内嵌固定する際の組み付け性の低下を防止できる。
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1を参照しつつ説明する。
本例の車輪支持用転がり軸受ユニット1aは、外輪2と、ハブ3と、複数個の転動体12、12と、エンコーダ13と、シールリング14と、キャップ16aとを備えている。
このうちの外輪2は、内周面に複列の外輪軌道4a、4b、外周面に懸架装置に結合固定する為の静止側フランジ5を、それぞれ有する。又、前記外輪2は、使用状態で、懸架装置を構成する図示しないナックルに支持(結合固定)されて回転しない。
一方、前記キャップ16aは、前記外輪2の軸方向内端開口部に、この軸方向内端開口部を塞ぐ状態で装着されている。
この様にして、前記各転動体12、12及び前記エンコーダ13を設置した空間15の軸方向両端開口部を塞ぎ、この空間15内に封入したグリースが外部空間に漏洩したり、又は外部空間に存在する異物が、この空間15内に侵入したりする事を防止している。
このうちのキャップ本体17aは、略円盤状部材であり、軸方向外側面の径方向外端寄り部に、全周に亙り軸方向外側のみに開口したシール用凹溝21aが形成されている。このシール用凹溝21aには、Oリング22aが係止されている。
又、前記キャップ本体17aの径方向中央部及び中間部の円周方向一部分には、他の部分に比べて軸方向内側に膨出した(軸方向厚さ寸法が大きくなった)取付部23aが設けられている。この取付部23aのうち、前記エンコーダ13(エンコーダ本体28)の被検出面と軸方向に対向する部分には、軸方向に貫通した貫通孔24が形成されている。そして、この貫通孔24内には、図示しないセンサユニットを構成するセンサが組み付けられている。更に、前記取付部23aのうちで、前記貫通孔24から外れた部分には、内周面に雌ねじが形成された取付用ナット25が、インサート成形により埋め込まれている。
このうちの内径側円筒部29は、特許請求の範囲の内径側筒部に相当するものであって、軸方向の全長に亙り、外径寸法及び内径寸法が変化しない円筒状に形成されている。この様な内径側円筒部29の軸方向中間部乃至軸方向内端縁は、前記キャップ本体17aの径方向外端寄り部分にインサート成形により埋め込まれている(モールドされている)。一方、前記内径側円筒部29の軸方向中間部乃至軸方向外端縁は、前記キャップ本体17aから軸方向外側に突出(露出)している。
先ず、前記キャップ16aの組み付け性の低下を防止できる理由は、本例の構造の場合、このキャップ16aを構成する嵌合芯金18aに、前記外径側円筒部31を設けているからである。即ち、本例の場合、この外径側円筒部31の軸方向外端縁の位置を、前記シール用凹溝21aの軸方向内端縁と一致させている。この為、前記キャップ本体17aのうち、前記内径側円筒部29の軸方向内端部よりも径方向外側に存在し、且つ、軸方向に関して前記外径側円筒部31と整合する部分が、この外径側筒部31により、前記内径側樹脂部32と前記外径側樹脂部33とに分割されている。又、前記キャップ本体17aのうち、軸方向に関して前記シール用凹溝21aと整合する部分は、このシール用凹溝21aよりも径方向外側に存在する部分と、同じく径方向内側に存在する部分とに分割されている。別の言い方をすれば、本例の場合、前記キャップ本体17aのうち、前記内径側円筒部29の径方向外側に存在する部分には、この内径側円筒部29の外周面から前記キャップ本体17aの外周面にまで連続した部分が存在していない。従って、成形収縮(固化による収縮)に基づいて、前記内径側円筒部29の軸方向内端部に圧縮応力(径方向内側への力)を作用する部分(前記内径側樹脂部32、及び、前記キャップ本体17aのうち、軸方向に関して前記シール用凹溝21aと整合する部分で、このシール用凹溝21aよりも径方向内方に存在する部分)の径方向に関する厚さ寸法が、この外径側円筒部31が存在していない場合(前記内径側樹脂部32と前記外径側樹脂部33とに分割されていない場合)よりも小さくなる。この結果、前記内径側円筒部29が、前記成形収縮に基づいてテーパ状に変形し難くなる為、この内径側円筒部29を前記外輪2の軸方向内端部内周面に内嵌固定する際の組み付け性の低下を防止できる。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図2を参照しつつ説明する。
本例の車輪支持用転がり軸受ユニット1bの場合、キャップ16bを構成する嵌合芯金18bの構造を、前述した実施の形態の第1例の場合と異ならせている。
具体的には、本例の場合、嵌合芯金18bを構成する内径側円筒部29aを、軸方向中間部乃至軸方向外端縁に形成された大径円筒部34と、この大径円筒部34よりも軸方向内側に設けられた小径円筒部35と、この大径円筒部34とこの小径円筒部35とを連続する連続段部36とにより構成している。
又、本例の場合、前記小径円筒部35の軸方向内端部から径方向外側に延出した状態で、外向鍔部30aが形成されている。この様な外向鍔部30aは、外径寸法と内径寸法との差が、前述した実施の形態の第1例の外向鍔部30よりも大きい。
その他の構造及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図3を参照しつつ説明する。
本例の車輪支持用転がり軸受ユニット1cの場合も、キャップ16cを構成する嵌合芯金18cの構造を、前述した実施の形態の第1例及び第2例の場合と異ならせている。尚、前記嵌合芯金18cを構成する内径側円筒部29a及び外向鍔部30aの構造は、前述した実施の形態の第2例と同様である。
そして、本例の場合、前記外径側円筒部31aの軸方向外端面の円周方向複数箇所に、径方向両端及び軸方向外側が開口した切り欠き37、37を形成している。本例の場合、これら各切り欠き37、37の底部(軸方向内端面)の軸方向に関する位置を、前記シール用凹溝21aの軸方向内端縁(底部)と一致させている。
この様な本例の構造の場合、インサート成形の際の、内径側樹脂部32に相当する部分への合成樹脂の回り込みを良くする事ができる。尚、インサート成形の際の、前記内径側樹脂部32に相当する部分への合成樹脂の回り込みを更に向上する為に、前記外向鍔部30aに、この外向鍔部30aを軸方向に貫通した1乃至複数個の通孔を形成する構成を採用する事もできる。この様な通孔も、上述の様に前記各切り欠き37、37と同様に、プレス加工前の打ち抜き加工により形成する事ができる。
2 外輪
3 ハブ
4a、4b 外輪軌道
5 静止側フランジ
6 ハブ本体
7 内輪
8a、8b 内輪軌道
9 小径段部
10 かしめ部
11 回転側フランジ
12 転動体
13 エンコーダ
14 シールリング
15 空間
16、16a、16b、16c キャップ
17、17a キャップ本体
18、18a、18b、18c 嵌合芯金
19 キャップ円筒部
20 キャップ底部
21、21a シール用凹溝
22、22a Oリング
23、23a 取付部
24 貫通孔
25 取付用ナット
26 支持環
27 円輪部
28 エンコーダ本体
29、29a 内径側円筒部
30、30a 外向鍔部
31、31a 外径側円筒部
32 内径側樹脂部
33 外径側樹脂部
34 大径円筒部
35 小径円筒部
36 連続段部
37 切り欠き
Claims (2)
- 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、
外周面に複列の内輪軌道を有し、該外輪の内径側に該外輪と同心に支持され、外周面のうちで該外輪の軸方向外端部よりも軸方向外側に突出した部分に車輪を支持する為の回転側フランジを設けたハブと、
前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、
前記外輪の軸方向内端開口を塞ぐ為のキャップとを備え、
前記キャップは、金属製の嵌合芯金と、合成樹脂製のキャップ本体とを備えており、
前記嵌合芯金は、内径側筒部と、この内径側円筒部の軸方向内端部から径方向外側に延出した状態で形成された外向鍔部と、この外向鍔部の径方向外端部から軸方向外側に延出した状態で形成された外径側筒部とを有すると共に、前記内径側筒部のうち、軸方向外側に位置する一部分を、前記外輪の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌する為の嵌合部としており、
前記キャップ本体は、径方向外端部により、前記内径側筒部のうち前記嵌合部よりも軸方向内側に位置する部分の外周面を覆うと共に、前記外向鍔部及び前記外径側筒部を包埋した状態で、前記嵌合芯金に結合固定されており、
前記キャップは、前記嵌合芯金の前記嵌合部を前記外輪の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌すると共に、前記キャップ本体のうち、前記嵌合芯金の前記内径側筒部よりも径方向外側に位置する部分の軸方向外側面を前記外輪の軸方向内端面に当接させた状態で、この外輪に取り付けられている
車輪支持用転がり軸受ユニット。 - 前記キャップ本体が、結晶性樹脂製である、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
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