JP2017155709A - 真空ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータ破損対策の信頼性を高めるのに好適な真空ポンプを提供する。【解決手段】真空ポンプの排気機構部は、ロータの外周側にネジ溝排気流路を形成するために、外装ケース1(1A、1B)の内周側に取付けた固定部材としてネジ溝排気部ステータ9を有し、ネジ溝排気部ステータ9の外周側には、そのネジ溝排気部ステータ9の材質よりも比強度の高い材質からなる高強度部材10が取付けられており、ガス中の腐食成分による高強度部材10の腐食を抑制するために、その高強度部材10の周囲に腐食防止構造St1が設けられる。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体製造装置、フラット・パネル・ディスプレイ製造装置、ソーラー・パネル製造装置におけるプロセスチャンバ、その他のチャンバのガス排気手段として利用される真空ポンプに関し、特にロータ破損対策の信頼性を高めるのに好適なものである。
この種の真空ポンプとしては、例えば、特許文献1で開示している真空ポンプ(ターボ分子ポンプ100)が知られている。
同文献1の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ100)は、外装ケース(ベース50およびケーシング52)内に配置されたロータ(ロータ4)と、該ロータを回転可能に支持する支持手段(上部ラジアル電磁石62、下部ラジアル電磁石64およびスラスト電磁石66等)と、該ロータを回転駆動する駆動手段(モータ40)と、該ロータの回転により吸気したガスを排気する排気機構部と、を備えている。
同文献1の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ100)における前記排気機構部は、翼排気部(ロータ翼20、ステータ翼44等)とネジ溝排気部により構成されており、ネジ溝排気部は、ロータ(ロータ4)の外周側にネジ溝排気流路を形成する手段として、外装ケース(ベース50およびケーシング52)の内周側に取付けた固定部材(ネジステータ11)を有している。
また、同文献1の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ100)では、ロータ破損対策の一環として、固定部材(ネジステータ11)の外周側に、高強度部材(高強度部材12)が取付けられる構成を採用している。
しかしながら、同文献1の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ100)によると、高強度部材(高強度部材12)が真空ポンプ内部のガス雰囲気に曝される環境にあるため、そのガス雰囲気中の腐食成分、例えば塩素系ガス成分によって高強度部材(高強度部材12)が腐食するおそれがあり、腐食による高強度部材(高強度部材12)の強度低下によって高強度部材(高強度部材12)本来の機能を十分に発揮することができず、ロータ破損対策としての信頼性は低いものと言わざるを得ない。
また、同文献1の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ100)にあっては、フランジ(取付けフランジ11a)を介して、固定部材(ネジステータ11)を外装ケース(ベース50およびケーシング52)の内周側に取付けているが、そのフランジが外装ケースに接触した構造になっている。このため、高強度部材で受けたロータの破壊による衝撃力やトルクがフランジを介して外装ケースに伝わってしまうことで、外装ケースを変形させる力や真空ポンプ全体を回転移動させる力が発生するおそれや、そのような真空ポンプ全体の回転移動によるチャンバの破損等、真空ポンプを取付けた各種装置を破損するおそれがある点でも、ロータ破損対策としての信頼性は低いものと言わざるを得ない。要するに、同文献1の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ100)では、ロータが破壊したときに外装ケースに伝わる破壊の衝撃力とトルクを低減する対策が不十分である。
なお、以上の説明におけるカッコ内の部材名称と符号は、特許文献1で用いられているものである。
2015−127525号公報
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ロータ破損対策の信頼性を高めるのに好適な真空ポンプを提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は、外装ケース内に配置されたロータと、前記ロータを回転可能に支持する支持手段と、前記ロータを回転駆動する駆動手段と、前記ロータの回転により吸気したガスを排気する排気機構部と、を備え、前記排気機構部は、前記ロータの外周側にネジ溝排気流路を形成するために、前記外装ケースの内周側に取付けた固定部材を有し、前記固定部材の外周側には、その固定部材の材質よりも比強度の高い材質からなる高強度部材が取付けられており、前記ガス中の腐食成分による前記高強度部材の腐食を抑制するために、その高強度部材の周囲に腐食防止構造を設けたことを特徴とする。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に前記ガスの流れ込みを低減または防止するシール部材を設置したことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に対して不活性ガス等の腐食対策ガスを供給する腐食対策ガス供給手段を設けたことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記高強度部材の外面に耐腐食性表面処理を施したことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に樹脂等のモールド材を充填したことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記固定部材の中に前記高強度部材が埋め込まれた形態となるように構成したことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記固定部材に前記高強度部材を収容する収容空間を設け、その収容空間に前記高強度部材を設置したことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に前記高強度部材を取り囲むケースを設置したことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造として、前記固定部材または前記外装ケースの少なくとも一部に嵌め合い構造が設けられていることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記腐食防止構造は、前記嵌め合い構造を焼嵌め、冷やし嵌め、あるいは圧入のいずれかで構成したことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記固定部材と前記外装ケースは、更に、前記固定部材と前記外装ケースの取付け部に、前記ロータが破壊したときに前記外装ケースに伝わる破壊の衝撃力とトルクを低減する衝撃力・トルク低減構造が設けられていることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記取付け部は、前記固定部材と前記外装ケースとが連結フランジを介して連結した構造になっていて、前記衝撃力・トルク低減構造は、前記連結フランジの塑性歪が、前記固定部材と前記外装ケースのいずれか少なくとも一つの塑性歪よりも大きくなるように、前記連結フランジが塑性変形するフランジ塑性変形構造であることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記フランジ塑性変形構造は、前記連結フランジの少なくとも一部の厚みが、前記固定部材と前記外装ケースのいずれか少なくとも一つの厚みよりも薄いことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記フランジ塑性変形構造は、前記連結フランジに溝、括れ、あるいは切欠きのいずれか少なくとも一つを形成したものであることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記連結フランジは、前記固定部材と前記外装ケースのいずれか少なくとも一つと一体に形成されていることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記衝撃力・トルク低減構造は、前記ロータの前記ネジ溝排気流路を形成する部分の最上端より上方に前記高強度部材の上端が位置する構造、または、前記ロータの前記ネジ溝排気流路を形成する部分の最下端より下方に前記高強度部材の下端が位置する構造、若しくは、その両方の構造を備えるものであることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記衝撃力・トルク低減構造は、前記固定部材に対して固定して形成された保持溝に、前記高強度部材の端部を挿入して、前記高強度部材を保持する構造であることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記保持溝の内周側の壁と前記高強度部材との間に空隙部を設けたことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記固定部材に対して固定して設けられた保持片を備え、前記保持溝は、前記保持片に形成されたことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記保持片の強度は、前記固定部材の強度より高いことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記衝撃力・トルク低減構造は、前記高強度部材の周囲に衝撃を吸収する緩衝材が配設されたことを特徴としてもよい。
本発明では、真空ポンプの具体的な構成として、ガス中の腐食成分による高強度部材の腐食を抑制する手段として、その高強度部材の周囲に腐食防止構造を採用したため、腐食性ガスによる高強度部材の腐食を抑制し、腐食による高強度部材の強度低下を抑制することができ、ロータ破損対策の一環として採用した高強度部材本来の機能、特に、ロータの破壊によって生じる破壊の衝撃力やトルクを吸収する機能を長期に亘って維持することができる点で、ロータ破損対策としての信頼性が向上し、ロータ破損対策を高めるのに好適な真空ポンプを提供し得る。
また、本発明では、真空ポンプの具体的な構成として、ロータが破壊したときに外装ケースに伝わる破壊の衝撃力とトルクを低減する手段として、衝撃力・トルク低減構造を採用したため、破壊の衝撃力やトルクによる外装ケースの変形や真空ポンプ全体の回転移動を効果的に低減することができ、真空ポンプ全体の回転移動によるチャンバの破損等、真空ポンプを取付けた各種装置の破損を回避できる点で、ロータ破損対策としての信頼性が向上し、ロータ破損対策の信頼性を高めるのに好適な真空ポンプを提供し得る。
本発明を適用し得る真空ポンプの断面図 本発明の第1の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第2の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 図3に示した高強度部材の腐食防止構造の変形例の説明図。 図3に示した高強度部材の腐食防止構造の変形例の説明図。 本発明の第3の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第4の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第5の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第6の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第7の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第8の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第9の実施形態(衝撃力・トルク低減構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 (a)は本発明の第10の実施形態(衝撃力・トルク低減構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図、同図(b)と(c)は同図(a)中のA矢視図。 本発明の第11の実施形態(衝撃力・トルク低減構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 本発明の第12の実施形態(衝撃力・トルク低減構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図。 (a)は本発明の第13の実施形態(衝撃力・トルク低減構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図、(b)は本発明の第13の実施形態(衝撃力・トルク低減構造)の要部の説明図。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用し得る真空ポンプの断面図、図2は、本発明の第1の実施形態(高強度部材の腐食防止構造)として、図1の真空ポンプに対して本発明を適用した構成におけるネジ溝排気部ステータ(固定部材)付近の断面拡大図である。なお、これらの図において本発明の要部を見やすくするためにロータの断面のハッチングは省略してある。この点は他の図面でも同様である。
図1の真空ポンプP1は、外装ケース1と、外装ケース1内に配置されたロータ6と、ロータ6を回転可能に支持する支持手段SPと、ロータ6を回転駆動する駆動手段DR、ならびに、ロータ6の回転により吸気したガスを排気する排気機構部として、回転翼7と固定翼8によりガスを吸気し排気する翼排気部Pt、および、ネジ溝91を利用してガスを吸気し排気するネジ溝排気部Psを備えている。
外装ケース1は、筒状のポンプケース1Aと有底筒状のポンプベース1Bとをその筒軸方向に締結ボルトで一体に連結した有底円筒形になっており、ポンプケース1Aの上端部側はガスを吸気するための吸気口2として開口し、また、ポンプベース1Bの下端部側面には、ネジ溝排気部Psで圧縮したガスを外装ケース1の外へ排気するために、排気ポート3を設けてある。
吸気口2は、ポンプケース1A上縁のフランジ1Cに設けた図示しない締結ボルトにより、例えば半導体製造装置のプロセスチャンバ等、高真空となる図示しない密閉チャンバに接続される。排気ポート3は、図示しない補助ポンプに連通接続される。
ポンプケース1A内の中央部には各種電装品を内蔵する円筒状のステータコラム4が設けられている。図1の真空ポンプP1では、ポンプベース1Bとは別部品としてステータコラム4を形成してポンプベース1Bの内底にネジ止め固定することで、ステータコラム4をポンプベース1B上に立設しているが、これとは別の実施形態として、このステータコラム4をポンプベース1Bの内底に一体に立設してもよい。
ステータコラム4の外側にはロータ6が設けられている。ロータ6は、ポンプケース1A及びポンプベース1Bに内包され、かつ、ステータコラム4の外周を囲む円筒形状になっている。
ステータコラム4の内側にはロータ軸5が設けられている。ロータ軸5は、その上端部が吸気口2の方向を向き、その下端部がポンプベース1Bの方向を向くように配置してある。また、ロータ軸5は、磁気軸受(具体的には、公知の2組のラジアル磁気軸受MB1と1組のアキシャル磁気軸受MB2)により回転可能に支持されている。さらに、ステータコラム4の内側には駆動モータMOが設けられており、この駆動モータMOによりロータ軸5はその軸心周りに回転駆動される。
ロータ軸5の上端部はステータコラム4の円筒上端面から上方に突出し、その突出したロータ軸5の上端部に対してロータ6の上端側がボルト等の締結手段で一体に固定されている。したがって、ロータ6は、ロータ軸5を介して、磁気軸受で回転可能に支持されており、また、この支持状態において、駆動モータMOを起動すると、ロータ6は、ロータ軸5と一体にそのロータ軸心周りに回転することができる。
以上の説明から分かるように、図1の真空ポンプP1では、ロータ軸5と磁気軸受がロータ6を回転可能に支持する支持手段SPとして機能し、また、駆動モータMOがロータ6を回転駆動する駆動手段DRとして機能する。
《翼排気部Ptの詳細》
図1の真空ポンプP1は、ロータ6の略中間より上流が第1の排気機構部、具体的には翼排気部Ptとして機能するように構成してある。以下、この翼排気部Ptを詳細に説明する。
ロータ6の略中間より上流側のロータ6外周面には、複数の回転翼7が一体に設けられている。これら複数の回転翼7は、当該ロータ6の回転中心軸(ロータ軸5の軸心)若しくは外装ケース1の軸心(以下「真空ポンプ軸心」という)を中心として放射状に並んで配置されている。
一方、ポンプケース1Aの内周側には複数の固定翼8が設けられており、これら複数の固定翼8もまた、真空ポンプ軸心を中心として放射状に並んで配置されている。
そして、図1の真空ポンプP1では、前記のように放射状に配置された回転翼7と固定翼8とが真空ポンプ軸心に沿って交互に多段で配置されることによって、真空ポンプP1の翼排気部Ptを構成している。
いずれの回転翼7も、ロータ6の外径加工部と一体的に切削加工で切り出し形成したブレード状の切削加工品であって、ガス分子の排気に最適な角度で傾斜している。いずれの固定翼8もまた、ガス分子の排気に最適な角度で傾斜している。
《翼排気部Ptによる排気動作説明》
以上の構成からなる翼排気部Ptでは、駆動モータMOの起動により、ロータ軸5、ロータ6および複数の回転翼7が一体に高速で回転し、最上段の回転翼7が吸気口2から入射したガス分子に下向き方向(吸気口2から排気ポート3へ向かう方向)の運動量を付与する。この下向き方向の運動量を有するガス分子が固定翼8によって次段の回転翼7側へ送り込まれる。以上のようなガス分子への運動量の付与と送り込み動作とが繰り返し多段に行われることにより、吸気口2側のガス分子はロータ6の下流に向かって順次移行するように排気される。
《ネジ溝排気部Psの詳細》
図1の真空ポンプP1においては、ロータ6の略中間より下流が第2の排気機構部、具体的にはネジ溝排気部Psとして機能するように構成してある。以下、このネジ溝排気部Psを詳細に説明する。
ネジ溝排気部Psは、ロータ6の外周側(具体的には、ロータ6の略中間より下流のロータ6部分の外周側)にネジ溝排気流路Rを形成する手段として、ネジ溝排気部ステータ9を有しており、このネジ溝排気部ステータ9は、固定部材として、外装ケース1の内周側に取付けてある。
図1の真空ポンプP1では、ステータ取付け部材1Dを介して、ネジ溝排気部ステータ9を外装ケース1の内周側に取付けているが、ステータ取付け部材1Dは、ポンプベース1Bと一体の一部品として設けてもよい。
ネジ溝排気部ステータ9は、その内周面がロータ6の外周面に対向するように配置された円筒形の固定部材であって、ロータ6の略中間より下流のロータ6部分を囲むように配置してある。
そして、ロータ6の略中間より下流のロータ6部分は、ネジ溝排気部Psの回転部材として回転する部分であって、ネジ溝排気部ステータ9の内側に、所定のギャップを介して挿入・収容されている。
ネジ溝排気部ステータ9の内周部には、深さが下方に向けて小径化したテーパコーン形状に変化するネジ溝91を形成してある。このネジ溝91はネジ溝排気部ステータ9の上端から下端にかけて螺旋状に刻設してある。
前記のようなネジ溝91を備えたネジ溝排気部ステータ9により、ロータ6の外周側には、ガス排気のためのネジ溝排気流路Rが形成される。なお、図示は省略するが、先に説明したネジ溝91をロータ6の外周面に形成することで、前記のようなネジ溝排気流路Rが設けられるように構成してもよい。
ネジ溝排気部Psでは、ネジ溝91とロータ6の外周面でのドラック効果により、気体を圧縮しながら移送するため、ネジ溝91の深さは、ネジ溝排気流路Rの上流入口側(吸気口2に近い方の流路開口端)で最も深く、その下流出口側(排気ポート3に近い方の流路開口端)で最も浅くなるように設定してある。
ネジ溝排気流路Rの入口(上流開口端)は、多段に配置されている固定翼8のうち最下段の固定翼8Eとネジ溝排気部ステータ9との間の隙間(以下「最終隙間G1」という)に向って開口し、また、同ネジ溝排気流路Rの出口(下流開口端)は、ポンプ内排気口側の流路S(以下「ポンプ内排気口側流路S」という)を通じて、排気ポート3に連通している。図示は省略するが、最終隙間G1は、多段に配置されている回転翼7のうち最下段の回転翼とネジ溝排気部ステータ9との間に形成されても良い。
前記ポンプ内排気口側流路Sは、ロータ6やネジ溝排気部ステータ9の下端部とポンプベース1Bの内底部との間に所定の隙間(図1の真空ポンプP1では、ステータコラム4の下部外周を一周する形態の隙間)を設けることによって、ネジ溝排気流路Rの出口から排気ポート3に至るように形成してある。
《ネジ溝排気部Psにおける排気動作説明》
先に説明した翼排気部Ptの排気動作による移送で前述の最終隙間G1に到達したガス分子は、ネジ溝排気流路Rに移行する。移行したガス分子は、ロータ6の回転によって生じるドラッグ効果によって、遷移流から粘性流に圧縮されながらポンプ内排気口側流路Sに向かって移行する。そして、ポンプ内排気口側流路Sに到達したガス分子は、排気ポート3に流入し、図示しない補助ポンプを通じて外装ケース1の外へ排気される。
《ロータ破損対策》
ネジ溝排気部ステータ9(固定部材)の外周側には、ロータ破損対策として、そのネジ溝排気部ステータ9の材質よりも比強度の高い材質からなる高強度部材10を取付けてある。この高強度部材10としては例えばCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用することができるが、CFRPに限定されることはない。
また、このロータ破損対策では、外装ケース1側へ破壊の衝撃力やトルクが伝達する割合を減少させる手段として、高強度部材10と外装ケース1(ポンプケース1A、ポンプベース1B)との間や、高強度部材10とネジ溝排気部ステータ9との間に、所定幅の隙間からなる緩衝空間G2、G3を設けている。
図1の真空ポンプP1において、ネジ溝排気部ステータ9に対する高強度部材10の取付け部は、図2に示したように、ネジ溝排気部ステータ9(固定部材)に対して固定して形成された保持溝11A、11Bに、高強度部材10の端部10A、10Bを挿入して保持する構造になっている。
前記のような保持溝11A、11Bによる保持の具体的な構造例として、図1の真空ポンプP1では、ネジ溝排気部ステータ9の上端部外周に、フランジ9Aを設ける一方、同ネジ溝排気部ステータ9の下端部に、前記フランジ9Aと対向する保持片9Bを取付けるとともに、そのフランジ9Aの下面と保持片9Bの上面とに前記保持溝11A、11Bが対向して形成される構造を採用している。
ところで、図1の真空ポンプP1でも、高速回転しているロータ6が破壊すると、そのロータ6の破片がネジ溝排気部ステータ9の方向に飛び散る。このように飛び散ったロータ6の破片の衝突によって破壊の衝撃力とトルクがネジ溝排気部ステータ9に作用し、ネジ溝排気部ステータ9は外装ケース1方向(外向き)に変形しようとする。
しかし、図1の真空ポンプP1では、ネジ溝排気部ステータ9の外周側に高強度部材10を取付けているので、前記のようなネジ溝排気部ステータ9の外向きの変形は、高強度部材10によって効果的に抑制される。このため、ロータ6の破壊時にネジ溝排気部ステータ9が変形することで外装ケース1側にぴったり接触してしまう現象を回避することができ、よって、ネジ溝排気部ステータ9から外装ケース1側に伝達される破壊の衝撃力やトルクは減少する。
《図1の真空ポンプにおける高強度部材の腐食防止構造の適用》
図1の真空ポンプP1では、排気するガス中の腐食成分による高強度部材10の腐食を抑制する手段として、高強度部材10の周囲に図2から図11に示した腐食防止構造St1のいずれかを設けることができる。
《高強度部材の腐食防止構造(その1)》
図2の腐食防止構造St1は、高強度部材10の周囲にシール部材12A、12B、12Cを設置することで、高強度部材10を腐食性ガスから保護したものである。シール部材12A、12B、12Cの設置場所は必要に応じて適宜変更することが可能であるが、図1の真空ポンプP1では、下記ガスリーク部(第1から第3のガスリーク部)にシール部材12A、12B、12Cを設置している。
(1)第1のガスリーク部
外装ケース1(具体的にはステータ取付け部材1D)に対するネジ溝排気部ステータ9の取付け部(この取付け部にシール部材12Aを設置)。
(2)第2のガスリーク部
ネジ溝排気部ステータ9の下端部に対する保持片9Bの取付け部(この取付け部にシール部材12Bを設置)。
(3)第3のガスリーク部
前記保持片9Bと外装ケース1(具体的にはポンプベース1Bまたはステータ取付け部材1D)との間(ここにシール部材12Cを設置)。
図2の腐食防止構造St1では、前記第3のガスリーク部にシール部材12Cを設置する構成として、そのシール部材12Cが図2のように真空ポンプ軸心方向に変形する構成を採用しているが、これとは別に、図3のようにシール部材12Cがポンプケース1Aあるいはロータ6の半径方向(以下「真空ポンプ径方向」という)に変形する構成を採用してもよい。図2のように3つのシール部材12A、12B、12Cすべてが真空ポンプ軸心方向に変形する構成に比べて、図3のように1つのシール部材12Cだけでも真空ポンプ径方向に変形する構成の方が、高さ方向の寸法管理がし易いという利点がある。
ところで、図3の腐食防止構造St1では、前記第3のガスリーク部にシール部材12Cを設置する上で、外装ケース1(具体的にはステータ取付け部材1D)と保持片9Bとを当接させ、その当接部にシール部材12Cを設置しているので、そのような当接部を介して外装ケース1側に破壊の衝撃力とトルクが伝わり易くなる。
そこで、図3の腐食防止構造St1では、保持片9Bの一部を他部より薄い薄肉部13として形成し、この薄肉部13が破壊の衝撃力やトルクで破断することにより、外装ケース1側へ破壊の衝撃力やトルクが伝達する割合を減少させている。
シール部材12A、12B、12Cとしては例えばOリングを採用してもよいが、それに限定されることはない。また、シール部材12A、12B、12Cを収容設置するためのシール溝としては、図2や図3のような角溝(断面が四角形の溝)に限定されることはなく、例えば、図4のようなアリ溝や図5のような三角溝を採用してもよい。アリ溝はシール部材12A、12B、12Cの脱落を防止する効果があり、三角溝は、高さ方向と半径方向のシールを同時にすることが出来る効果がある。
《高強度部材の腐食防止構造(その2)》
図6の腐食防止構造St1は、高強度部材10の周囲に対して、不活性ガス等の腐食対策ガスを供給する腐食対策ガス供給手段14を設けたものである。この腐食対策ガス供給手段14は、具体的には、外装ケース1の外側からガス供給路14Aを介して緩衝空間G2へ腐食対策ガスを供給する構成になっている。不活性ガスの例としては、工業ガスとしても良く使用される窒素ガスが挙げられる。
緩衝空間G2は、先に説明した第1のガスリーク部(外装ケース1(具体的にはステータ取付け部材1D)に対するネジ溝排気部ステータ9の取付け部)および第3のガスリーク部(保持片9Bと外装ケース1(具体的にはステータ取付け部材1D)との間)に連通しているので、この緩衝空間G2に対して腐食対策ガスを供給して緩衝空間G2の圧力を高めることにより、第1のガスリーク部および第3のガスリーク部から緩衝空間G2への腐食性ガスの流入量が減るため、そのような緩衝空間G2内に流入した腐食性ガスによる高強度部材10の腐食は効果的に抑制される。
《高強度部材の腐食防止構造(その3)》
図示は省略するが、前記以外の他の腐食防止構造として、高強度部材10の外面(表面)に耐腐食性表面処理を施してもよい。この種の耐腐食性表面処理としては、例えば高強度部材10の外面に対して、ニッケルメッキ等のような耐腐食性材料のメッキ処理、または、耐腐食性塗料の塗布処理、あるいは樹脂コーティングを施す方式が考えられる。樹脂コーティングではエポキシ系樹脂を用いることができる。
《高強度部材の腐食防止構造(その4)》
図7の腐食防止構造St1は、高強度部材10の周囲(具体的には、緩衝空間G2、G3)に樹脂等のモールド材MMを充填することによって、そのモールド材MMで高強度部材10がモールドされるモールド構造を採用したものである。モールド材MMとしては例えばエポキシ系樹脂を用いることができる。
この図7の腐食防止構造St1によると、高強度部材10はモールド材MMによってモールドされているので、高強度部材10が腐食性ガスに直接曝されることはなく、腐食性ガスによる高強度部材10の腐食を効果的に抑制することができる。
《高強度部材の腐食防止構造(その5)》
図8の腐食防止構造St1は、ネジ溝排気部ステータ9を鋳造で製造する際に、その製造に用いる鋳型の中に高強度部材10をセットして鋳込むことにより、ネジ溝排気部ステータ9の中に高強度部材10が埋め込まれた形態となるように構成したものである。
鋳造時の高熱による高強度部材10の強度低下を抑制する等の観点から、図8の腐食防止構造St1を採用する際は、図9に示した腐食防止構造St1を適用してもよい。図9の腐食防止対策構造は、ネジ溝排気部ステータ9を鋳造で製造する際に、予め高強度部材10を耐熱性のあるケース15に収容し、そのケース15ごと高強度部材10を鋳型にセットし鋳込むことで、ネジ溝排気部ステータ9の中に高強度部材10が埋め込まれた形態となるように構成したもの、つまり、高強度部材10の周囲に高強度部材10を取り囲むケース15を設置したものである。なお、この場合、鋳込みの際に耐熱ケースから空気を抜く必要がある。
図8や図9の腐食防止構造St1を採用した場合には、高強度部材10は鋳物(ネジ溝排気部ステータ9)で覆われた形態になるから、高強度部材10が腐食性ガスに直接曝されることはなく、腐食性ガスによる高強度部材10の腐食を効果的に抑制でき、また、高強度部材10は鋳物の中で保持されているから、保持片9B(図2参照)が不要となる点で、部品点数の削減も図れる。
《高強度部材の腐食防止構造(その6)》
図10の腐食防止構造St1は、ネジ溝排気部ステータ9の中に収容空間G4を設けるとともに、その収容空間G4内に高強度部材10を設置した構造になっている。
収容空間G4は切削等の機械加工によって形成することができる。また、収容空間G4の内壁と高強度部材10との間に、樹脂等のモールド材を充填してモールド部16を設けるか、あるいは、発泡金属材、ハニカム構造材、焼結金属材等の緩衝材を設置することによって、その高強度部材10の周囲に衝撃を吸収する緩衝材が配設される構成を採用することができる。さらに、この図10の腐食防止構造St1でも、高強度部材10をケースに入れて収容空間G4に配置してもよい。
図10の腐食防止構造St1では、収容空間G4の内壁と高強度部材10との間に、樹脂等のモールド材を充填してモールド部16を設けるとともに、そのモールド部16や高強度部材10の脱落防止手段として、ネジ溝排気部ステータ9の外側から収容空間G4に向けて貫通穴17を開設し、この貫通穴17内にもモールド材が充填されることで抜け止め突起18が形成される構成を採用している。
図示は省略するが、前記貫通穴17に代えて、凹部を収容空間G4の内壁に形成し、その凹部内にモールド材が充填される構成でも、抜け止め突起18と同様の作用効果(モールド部16や高強度部材10の脱落防止)が得られる。
《高強度部材の腐食防止構造(その7)》
図1の真空ポンプP1において、外装ケース1に対するネジ溝排気部ステータ9の取付け部は、図11に示したように、ネジ溝排気部ステータ9の上端部と外装ケース1(具体的には、外装ケース1の内側に取付けてあるステータ取付け部材1D)とが嵌め合い19によって連結した構造(嵌め合い構造)になっている。
図11の腐食防止構造St1は、前記のようなネジ溝排気部ステータ9の上端部と外装ケース1との嵌め合い19(以下「第1の嵌め合い19」という)を焼嵌め、冷やし嵌め、あるいは圧入等の、しまり嵌めによって構成したものである。
また、図11の腐食防止構造St1では、ネジ溝排気部ステータ9の下端部と外装ケース1とを嵌め合い20によって連結した構造にするとともに、そのネジ溝排気部ステータ9の下端部と外装ケース1との嵌め合い20(以下「第2の嵌め合い20」という)も同様に、焼嵌め、冷やし嵌め、あるいは圧入等の、しまり嵌めで構成している。
図11の腐食防止構造St1によると、第1の嵌め合い19が焼嵌めなどで構成されることによって、前記第1のガスリーク部を介する緩衝空間G2への腐食性ガスの流入量が減少するとともに、第2の嵌め合い20が焼嵌めなどで構成されることによって、前記第3のガスリーク部を介する緩衝空間G2への腐食性ガスの流入量が減少するので、緩衝空間G2内に流入した腐食性ガスによる高強度部材10の腐食を効果的に低減し得る。
なお、図11の腐食防止構造St1では、前述の通り、第1の嵌め合い19と第2の嵌め合い20との双方を焼嵌め、冷やし嵌め、あるいは圧入等の、しまり嵌めによって構成したが、この構成はいずれか一方の嵌め合い(19又は20)だけに適用してもよい。
《図1の真空ポンプにおいて外装ケースに伝わる破壊の衝撃力とトルクの低減》
図1の真空ポンプP1では、ロータ6が破壊したときに外装ケース1に伝わる破壊の衝撃力とトルクを低減する手段として、図12から図16に示した衝撃力・トルク低減構造のいずれかを設けることができる。
《衝撃力・トルク低減構造(その1)》
図1の真空ポンプP1において、外装ケース1に対するネジ溝排気部ステータ9の取付け部は、図12に示したように、ネジ溝排気部ステータ9の上端部と外装ケース1とが連結フランジ21を介して連結した構造になっている。なお、図12の例では、連結フランジ21をネジ溝排気部ステータ9の上端部外周に設けているが、これに代えて、そのような連結フランジ21を外装ケース1側に設ける構成も採用し得る。
図12の衝撃力・トルク低減構造St2は、連結フランジ21の塑性歪が、ネジ溝排気部ステータ9(固定部材)と外装ケース1のいずれか少なくとも一つの塑性歪よりも大きくなるように、連結フランジ21が塑性変形する構造(以下「フランジ塑性変形構造」という)を採用したものである。
前記フランジ塑性変形構造の実施例として、図12の衝撃力・トルク低減構造St2では、連結フランジ21の少なくとも一部の厚みt1が、ネジ溝排気部ステータ9(固定部材)と外装ケースのいずれか少なくとも一つの厚みよりも薄くなるように構成している。
また、図13(a)の衝撃力・トルク低減構造St2では、前記フランジ塑性変形構造の実施例として、連結フランジ21に溝22を形成している。
溝22の存在によってネジ溝排気部ステータ9より先に連結フランジ21が塑性変形するという条件を満たすなら、溝22の形態は特に限定されない。
例えば、図13(b)に示したように、連結フランジ21がネジ溝排気部ステータ9の上端部に沿って環状に形成されている場合、溝22は連結フランジ21と同じように環状に形成してもよい。
また、図13(c)に示したように、図13(a)の連結フランジ21が複数のブロック21Aに分割して形成されている場合、溝22はそのブロック21Aの一部を括れさせる形態となるように形成してもよい。
図示は省略するが、フランジ塑性変形構造として、切欠きを形成してもよい。
また、連結フランジ21は、ネジ溝排気部ステータ9(固定部材)と外装ケース1のいずれか少なくとも一つと一体に形成されるものであってよい。
《衝撃力・トルク低減構造(その2)》
高強度部材10としては、例えば公知のCFRPのような繊維強化プラスチックを採用することができるが、繊維強化プラスチックからなる高強度部材10の端部はそれ以外の部分に比べて引っ張り強度が低い。繊維強化プラスチックからなる高強度部材10の端部では内部の繊維が途切れていることがその強度低下の原因になっていると考えられる。
このため、繊維強化プラスチックからなる高強度部材10の端部ではロータ6の破片による破壊の衝撃力やトルクを十分に吸収することができない。それに対し、繊維強化プラスチックからなる高強度部材10の端部以外の部分では、内部の繊維が途切れることなく連続しているので、破壊の衝撃力やトルクを十分に吸収することができる。
以上の観点から、図14の衝撃力・トルク低減構造St2では、ロータ6のネジ溝排気流路Rを形成する部分の最上端6Aより上方に高強度部材10の上端10Aが位置する構造、および、ロータ6のネジ溝排気流路Rを形成する部分の最下端6Bより下方に高強度部材10の下端10Bが位置する構造を採用した。これらの構造については必要に応じていずれか一方を省略することも可能である。
《衝撃力・トルク低減構造(その3)》
図15を参照すると、前述の通り、図1の真空ポンプP1において、ネジ溝排気部ステータ9に対する高強度部材10の取付け部は、ネジ溝排気部ステータ9側に設けた保持溝11A、11Bに高強度部材10の端部(上端10Aと下端10B)を挿入する形式で保持する構造になっている。
前記のような保持構造を前提として、図15の衝撃力・トルク低減構造St2は、保持溝11A、11Bの内周側の壁と高強度部材10との間に空隙部G5を設けた構造になっている。
前記空隙部G5が存在しない構成、すなわち、保持溝11A、11Bの内壁と高強度部材10とが密着している構成の場合は、ネジ溝排気部ステータ9に加わった破壊の衝撃力とトルクが高強度部材10を介して外装ケース1側にダイレクトに伝達されてしまうが、前記のような空隙部G5が存在する構成の場合には、空隙部G5が緩衝材として機能することにより、外装ケース1側に伝達される破壊の衝撃力やトルクは低減される。
《衝撃力・トルク低減構造(その4)》
ネジ溝排気部ステータ9(固定部材)の強度よりも保持片9Bの強度の方が低い場合は、ネジ溝排気部ステータ9に加わった破壊の衝撃力やトルクによって、ネジ溝排気部ステータ9よりも先に保持片9Bが破損し、高強度部材10の保持状態が崩壊してしまうため、高強度部材10において破壊の衝撃力やトルクを十分に吸収することができない。このことから、図15の衝撃力・トルク低減構造St2では、後述する構造によって、保持片9Bの強度がネジ溝排気部ステータ9の強度より高くなるように構成している。
より具体的には、保持片9Bの保持溝11Bの壁11Wの強度や保持片9Bの取付け強度が、ネジ溝排気部ステータ9の強度よりも高いことが望ましい。
前記のような強度の強弱構成を得るための具体的な構造として、図16(a)の衝撃力・トルク低減構造St2では、ネジ溝排気部ステータ9の下端付近に段部23を形成することにより、保持片9Bに形成されている保持溝11Bの壁11Wの厚みt3に比べて、ネジ溝排気部ステータ9の下端付近の厚みt4の方が薄いか、同等となるように構成している。本構造を採用することにより、衝撃力もしくはトルクを高強度部材10で吸収する場合でも、高強度部材10を保持する保持片9Bの壁11Wが破断するよりも先に、保持片9Bが落下するなどして、破壊の衝撃力やトルクが十分に吸収されないことを防ぐことが出来るが、これに限定されることはない。
図示は省略するが、ネジ溝排気部ステータ9の構成材料よりも高強度の材料で保持片9Bを構成することによって、前記のような強度の強弱構成を得てもよいし、また、図15(b)に示したように真空ポンプ軸心方向に沿ったボルトBT1で保持片9Bをネジ溝排気部ステータ9に取付け固定している場合には、そのボルトBT1の本数を増やすことによって、前記のような強度の強弱構成を得てもよい。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
また、以上説明した各実施形態は組み合わせて使用しても良い。ネジ溝排気部Psのみの真空ポンプに適用しても良い。
1 外装ケース
1A ポンプケース
1B ポンプベース
1C フランジ
1D ステータ取付け部材
2 吸気口
3 排気ポート
4 ステータコラム
5 ロータ軸
6 ロータ
6A ロータの最上端
6B ロータの最下端
7 回転翼
8 固定翼
9 ネジ溝排気部ステータ(固定部材)
9A フランジ
9B 保持片
91 ネジ溝
10 高強度部材
10A 高強度部材の端部(上端)
10B 高強度部材の端部(下端)
11A、11B 保持溝
11W 保持溝の壁
12A、12B、12C シール部材
13 保持片の薄肉部
14 腐食対策ガス供給手段
15 ケース
16 モールド部
17 貫通穴
18 抜け止め突起
19 ネジ溝排気部ステータの上端部と外装ケースとの嵌め合い
20 ネジ溝排気部ステータの下端部と外装ケースとの嵌め合い
21 連結フランジ
22 溝
23 段部
BT1 ボルト
DR 駆動手段
G1 最終隙間
G2、G3 緩衝空間
G4 収容空間
G5 空隙部
MM モールド材
MB 磁気軸受
MB1 ラジアル磁気軸受
MB2 アキシャル磁気軸受
MO モータ
P1 真空ポンプ
Pt 翼排気部
Ps ネジ溝排気部
R ネジ溝排気流路
S ポンプ内排気口側流路
SP 支持手段
St1 腐食防止構造
St2 衝撃力・トルク低減構造

Claims (21)

  1. 外装ケース内に配置されたロータと、
    前記ロータを回転可能に支持する支持手段と、
    前記ロータを回転駆動する駆動手段と、
    前記ロータの回転により吸気したガスを排気する排気機構部と、を備え、
    前記排気機構部は、前記ロータの外周側にネジ溝排気流路を形成するために、前記外装ケースの内周側に取付けた固定部材を有し、
    前記固定部材の外周側には、その固定部材の材質よりも比強度の高い材質からなる高強度部材が取付けられており、
    前記ガス中の腐食成分による前記高強度部材の腐食を抑制するために、その高強度部材の周囲に腐食防止構造を設けたこと
    を特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に前記ガスの流れ込みを低減または防止するシール部材を設置したこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に対して不活性ガス等の腐食対策ガスを供給する腐食対策ガス供給手段を設けたこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  4. 前記腐食防止構造として、前記高強度部材の外面に耐腐食性表面処理を施したこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  5. 前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に樹脂等のモールド材を充填したこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  6. 前記腐食防止構造として、前記固定部材の中に前記高強度部材が埋め込まれた形態となるように構成したこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  7. 前記腐食防止構造として、前記固定部材に前記高強度部材を収容する収容空間を設け、その収容空間に前記高強度部材を設置したこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  8. 前記腐食防止構造として、前記高強度部材の周囲に前記高強度部材を取り囲むケースを設置したこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  9. 前記腐食防止構造として、前記固定部材または前記外装ケースの少なくとも一部に嵌め合い構造が設けられていること
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  10. 前記腐食防止構造は、前記嵌め合い構造を焼嵌め、冷やし嵌め、あるいは圧入のいずれかで構成したこと
    を特徴とする請求項9に記載の真空ポンプ。
  11. 前記固定部材と前記外装ケースは、更に、前記固定部材と前記外装ケースの取付け部に、前記ロータが破壊したときに前記外装ケースに伝わる破壊の衝撃力とトルクを低減する衝撃力・トルク低減構造が設けられていること
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  12. 前記取付け部は、前記固定部材と前記外装ケースとが連結フランジを介して連結した構造になっていて、
    前記衝撃力・トルク低減構造は、前記連結フランジの塑性歪が、前記固定部材と前記外装ケースのいずれか少なくとも一つの塑性歪よりも大きくなるように、前記連結フランジが塑性変形するフランジ塑性変形構造であること
    を特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ。
  13. 前記フランジ塑性変形構造は、前記連結フランジの少なくとも一部の厚みが、前記固定部材と前記外装ケースのいずれか少なくとも一つの厚みよりも薄いこと
    を特徴とする請求項12に記載の真空ポンプ。
  14. 前記フランジ塑性変形構造は、前記連結フランジに溝、括れ、あるいは切欠きのいずれか少なくとも一つを形成したものであること
    を特徴とする請求項12に記載の真空ポンプ。
  15. 前記連結フランジは、前記固定部材と前記外装ケースのいずれか少なくとも一つと一体に形成されていること
    を特徴とする請求項12に記載の真空ポンプ。
  16. 前記衝撃力・トルク低減構造は、前記ロータの前記ネジ溝排気流路を形成する部分の最上端より上方に前記高強度部材の上端が位置する構造、または、前記ロータの前記ネジ溝排気流路を形成する部分の最下端より下方に前記高強度部材の下端が位置する構造、若しくは、その両方の構造を備えるものであること
    を特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ。
  17. 前記衝撃力・トルク低減構造は、前記固定部材に対して固定して形成された保持溝に、前記高強度部材の端部を挿入して、前記高強度部材を保持する構造であること
    を特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ。
  18. 前記保持溝の内周側の壁と前記高強度部材との間に空隙部を設けたこと
    を特徴とする請求項17に記載の真空ポンプ。
  19. 前記固定部材に対して固定して設けられた保持片を備え、前記保持溝は、前記保持片に形成されたこと
    を特徴とする請求項17に記載の真空ポンプ。
  20. 前記保持片の強度は、前記固定部材の強度より高いこと
    を特徴とする請求項19に記載の真空ポンプ。
  21. 前記衝撃力・トルク低減構造は、前記高強度部材の周囲に衝撃を吸収する緩衝材が配設されたこと
    を特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ。
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