JP2017155363A - 不織布シート - Google Patents
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Abstract
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一方、本願出願人らは、ナノファイバーの1種として、酸化セルロース繊維(TEMPO酸化セルロース繊維)に金属粒子を担持した金属担持セルロース繊維を含む衛生薄葉紙を開発した(特許文献2)。
さらに、近年では不織布シートに消臭抗菌機能を付与することも要求されてきている。
従って本発明は、十分な消臭抗菌機能を有すると共に、強度に優れた不織布シートの提供を目的とする。
前記金属イオン含有セルロース繊維を2〜30質量%含むことが好ましい。
前記不織布シートに対する前記金属イオンの含有量が60〜510mg/m2であることが好ましい。
合成繊維は、不織布シートの強度を向上させて湿潤時や耐薬品に対する紙力を高める。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートの群から選ばれる1種以上の繊維が挙げられる。
又、スパンボンド法やメルトブローン法で製造した合成繊維の原不織布シートの上に金属イオン含有セルロース繊維を置き、水流交絡により結合させて製造することができる。
このように、繊維がしっかりと絡み合った合成繊維の原不織布シートをベースとして不織布シートを製造することで、強度が向上する。
又、第1のウェブを、乾式のエアレイド法やカード法などで製造してもよい。この場合、原料シートをハンマーミル等で開繊した繊維を用いることができる。
さらに、ウェブに熱融着繊維を含むと乾燥工程で繊維間の結合力が増し、更に高い強度を得ることができる。
第1のウェブは、その後に原不織布シートと水流交絡法で結合させるが、この際に第1のウェブから繊維が脱落するのを防止するため、第1のウェブを構成する繊維の繊維長が1.5mm以上が望ましい。
原紙中の金属イオン含有セルロース繊維の割合が2質量%未満であると、抗菌消臭機能が低下し、金属イオン含有セルロース繊維の割合が30質量%を超えるとコストアップとなる場合がある。
又、不織布シートの厚さを0.2〜2.0μm(JIS -P 8118により測定)とすることができる。
不織布シートの強度を1000〜6000gf/25mmとすることができる。
金属イオン含有セルロース繊維の材料としては、木材パルプや非木材パルプのセルロース繊維、及び再生セルロース系繊維が挙げられる。再生セルロース系繊維として、具体的にはレーヨン、コットン、キュプラが挙げられる。
金属イオン含有セルロース繊維は、セルロース繊維表面にカルボキシル基又はカルボキシレート基を導入した酸化セルロース繊維に対し、金属化合物水溶液を接触させることによって得ることができる。また、上記原紙の製造方法としては、酸化セルロース繊維を含む原料を抄造したシートに上記金属化合物水溶液を接触させる方法の他、予め酸化セルロース繊維に金属イオンを含有させ、この金属イオン含有セルロース繊維を含む原料を抄造する方法を例示することできる。
反応温度は4〜40℃が好ましく、室温がより好ましい。反応系のpHは8〜11が好ましい。酸化の度合いは、反応時間、N−オキシル化合物の量等により適宜調整できる。
このようにして得た酸化セルロース繊維は、表面に酸基が存在し、内部にはほとんど酸基は存在しない。これはセルロース繊維が結晶性であるため、酸化剤が繊維の内部にまで拡散しにくいためと考えられる。
酸基の含有量は、特開2008−001728号公報の段落0021に開示されている方法によって測定できる。すなわち、精秤した乾燥セルロース試料を用いて0.5〜1質量%のスラリー60mLを調製し、0.1mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約2.5とする。その後、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階を示すまでに消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下式を用いて酸基量X1を求める。
X1(mmol/g)=V(mL)×0.05/セルロースの質量(g)
金属化合物水溶液とは、金属塩の水溶液である。金属塩の例には、錯体(錯イオン)、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、および酢酸塩が含まれる。金属塩は水溶性であることが好ましい。
金属化合物の接触方法に関しては、予め調製したセルロース繊維の分散液と金属化合物水溶液を混合してもよく、セルロース繊維を含む分散液を基材の上に塗布して膜とし、当該膜に金属化合物水溶液を添加して含浸させてもよい。このとき、膜は基板上に固定されたままであってもよいし、基板から剥離された状態であってもよい。
金属化合物水溶液の濃度は特に限定されないが、セルロース繊維100質量部に対して10〜80質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましい。
金属化合物を接触させる時間は適宜調整してよい。接触させる際の温度は特に限定されないが20〜40℃が好ましい。また、接触させる際の液のpHは特に限定されないが、pHが低いと、カルボキシル基に金属イオンが結合しにくくなるため、7〜13が好ましく、pH8〜12が特に好ましい。
金属イオンとして、上記金属元素のイオンを用いることにより、抗菌機能が付与される。一方、セルロース繊維の酸基のすべてに金属粒子が結合しなくても良く、残存した酸基も臭い成分であるアンモニア等を中和することができ、消臭機能が発揮される。
金属イオンの含有量が10mg/g未満であると、金属イオン含有セルロース繊維による抗菌/消臭性能が低下することがある。
金属イオンの含有量が60mg/gを超えるものを製造することは、金属イオン含有セルロース繊維の収率の低下につながり、コストアップとなることがある。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
乾燥重量で5.00gの未乾燥の針葉樹漂白クラフトパルプ、39mgの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)及び514mgの臭化ナトリウムを水500mlに分散させた後、15質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプ(絶乾)に対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.5mmolとなるように加えて反応を開始した。反応中は3MのNaOH水溶液を滴下してpHを10.0に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を2回繰り返し、固形分量15質量%の水を含浸させたTEMPO酸化セルロース繊維を得た。
このTEMPO酸化セルロース繊維はその表面にカルボキシル基またはカルボキシレート基を有する。金属イオンを含有する前のTEMPO酸化セルロース繊維の酸基量(酸化セルロース繊維1g当たり)を表1に示す。
次に、得られたTEMPO酸化セルロース繊維(この時点では金属イオンを含有していない)に対し、表1に示すpHと濃度(TEMPO酸化セルロース繊維1g当たり)の金属塩水溶液を加えて撹拌した。これにより、TEMPO酸化セルロース繊維に金属イオンを担持させた。
なお、図1に、実施例に用いた金属イオン含有セルロース繊維の透過型電子顕微鏡像を示す。
次に、金属イオン含有セルロース繊維と、パルプを準備した。
そして、金属イオン含有セルロース繊維と、パルプとを表2に示す配合比で紙料を調製した後、湿式抄紙法で表2に示す坪量の第1のウェブを形成した。
又、ポリプロピレンの原料樹脂から、スパンボンド法で表2に示す坪量の第2のウェブを直接形成した。
次に、第1のウェブと第2のウェブを積層し、水流交絡法により各ウェブの繊維を結合させて不織布シートを製造した。
比較例1として、金属イオン含有セルロース繊維を配合せずに不織布シートを製造した。
<消臭性>
ガスバッグに10cm×10cmの不織布シートサンプルを設置し、5ppmの硫化水素ガスを0.5L 注入後の消臭能力を官能評価した。比較として、ガスバッグに不織布シートサンプルを設置しないブランク試験を行った。評価が◎、○であれば、実用上問題はない。
◎:まったく臭わない
○:ほとんど臭気が気にならない
×:ブランクと同等の臭気が残る
<抗菌性>
繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 JIS-L1902:2008 定量試験(菌液吸収法)に従って評価した。数値(静菌活性値)が2.0以上であれば問題ない。
一方、不織布シートに対する金属イオンの含有量が60mg/m2未満の比較例1の場合、消臭、抗菌機能が各実施例よりも大幅に劣った。
不織布シートに金属イオン含有セルロース繊維を含まない比較例2の場合、消臭、抗菌機能が各実施例よりも大幅に劣った。
Claims (4)
- 表面にカルボキシル基又はカルボキシレート基を有する酸化セルロース繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属元素のイオンを含有してなる金属イオン含有セルロース繊維と、合成繊維とが結合してなる不織布シート。
- 前記合成繊維がポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートの群から選ばれる1種以上の繊維である請求項1記載の不織布シート。
- 前記金属イオン含有セルロース繊維を2〜30質量%含む請求項1又は2に記載の不織布シート。
- 前記不織布シートに対する前記金属イオンの含有量が60〜510mg/m2である請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布シート。
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