JP2017155030A - 細胞増殖促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な線維芽細胞増殖促進剤を提供する。【解決手段】細胞増殖促進剤であって、セルロース繊維を有効成分とし、記セルロース繊維は、数平均繊維径が2〜150nmである。また、前記セルロース繊維が、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.5mmol/gの割合になっている。【選択図】図1

Description

本発明は、新規な細胞増殖促進剤に関する。
近年、セルロースそのものを物理的に微細に加工した微細セルロースが種々開発されている。例えば、その中でもセルロースミクロフィブリルは、幅がナノレベルの極細繊維で結晶化度が高く、人工的には得られない優れた特性を持っている。
しかし、セルロースミクロフィブリルは、ミクロフィブリル同士が強固に水素結合しているため、水溶媒中でナノ分散させることができなかった。
そこで、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化させたセルロースナノファイバーが開発されている。このセルロースナノファイバーは、ミクロフィブリルの表面がイオン化し、その静電反発によって水中で容易にナノ分散する。
このセルロースナノファイバーは、水に溶けずに均一分散して、静置時は高粘度ゲルで、流動時には液状となるチキソトロピーの性質を有したゲルとなるという特徴的な性質を有している。ゲル状でスプレー噴霧可能で、噴霧後も効能を保持するため、化粧品全般(例えば、特許文献1),塗料やインキなどの色材(例えば、特許文献2)等、種々の用途が提案されている。
特許第5269512号公報 特許第5545775号公報
このように特徴的な性質を有するセルロースナノファイバーは、さらなる機能性を備えている可能性が期待されている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、新規な線維芽細胞増殖促進剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、セルロースナノファイバーの新規な用途としての線維芽細胞増殖促進剤を提供することにある。
本発明者らが、上記セルロースナノファイバーのさらなる付加価値を見出すべく、その機能性を探索したところ、線維芽細胞に対して増殖促進効果を呈すると共に線維芽細胞の遊走の促進効果を呈することを見出し、本発明をするに至った。
前記目的を達成するために、本発明の細胞増殖促進剤は、セルロース繊維を有効成分とし、前記セルロース繊維は、数平均繊維径が2〜150nmである。
また、前記セルロース繊維が、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.5mmol/gの割合になっているという構成をとっていてもよい。
前記セルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであるとよい。
また、前記細胞増殖促進剤は、前記セルロース繊維が水性溶媒に分散した分散体であって、前記細胞増殖促進剤における前記セルロース繊維の濃度が、6.0×10−5重量%〜5.0重量%であるとよい。
前記細胞増殖促進剤は、線維芽細胞の増殖促進剤であってもよい。
更に、前記細胞増殖促進剤は、皮膚創傷治癒促進剤,皮膚の老化防止剤,皮膚の老化改善剤,皮膚のしわ・たるみ及びはり消失の防止剤,皮膚用保湿剤,皮膚外用剤,化粧品,医薬品,研究用試薬及び食品組成物を含む群のうち少なくとも一つとして用いられる細胞増殖促進剤であってもよい。
本発明によれば、数平均繊維径が2〜150nmであって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.5mmol/gの割合になっているセルロース繊維が有する細胞増殖促進効果及び細胞遊走促進効果に優れた細胞増殖促進剤を提供することができる。
試験例1の細胞増殖促進効果確認試験において、本発明の一実施例に係るセルロース繊維を添加後の細胞増殖の経時変化を示すグラフである。 試験例1の細胞増殖促進効果確認試験において、本発明の一実施例に係るセルロース繊維添加3日後の細胞数の増加率を示すグラフである。 試験例2の細胞遊走試験において、傷をつけた後の培養前後の傷の外観を示す写真である。 試験例2の細胞遊走試験において、培養後に傷が閉鎖した面積の割合を示す変化率を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る細胞増殖促進剤について説明する。
本発明に係る細胞増殖促進剤は、有効成分として、特定のセルロース繊維を含む。
特定のセルロース繊維とは、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維である。
そのセルロース繊維が、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基に酸化変性された、微細なセルロース繊維である。これは、上記セルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料を表面酸化し微細化した繊維であることを意味する。すなわち、天然セルロースの生合成の過程においては、ほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構成するが、上記ミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めるために、その水酸基(セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基)の一部が酸化され、カルボキシル基に変換されているものである。
上記特定のセルロース繊維を構成するセルロースがI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
また、上記特定のセルロース繊維は、数平均繊維径が2〜150nmである。上記数平均繊維径は、好ましくは2〜100nmであり、特に好ましくは3〜80nmである。上記数平均繊維径が上記範囲未満であると、本質的に分散媒体に溶解してしまい、逆に上記数平均繊維径が上記範囲を超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないからである。
上記特定のセルロース繊維の数平均繊維径は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1重量%の微細セルロースの水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、数平均繊維径を算出する。
そして、上記特定のセルロース繊維は、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性されており、それによってカルボキシル基の割合が0.6〜2.5mmol/gになっている。上記カルボキシル基の含量は、保形性能、分散安定性の点から、好ましくは1.0〜2.0mmol/gの範囲である。なお、上記カルボキシル基量が上記範囲未満であると、セルロース繊維の分散安定性に乏しく、沈降を生じる場合があり、逆に上記カルボキシル基量が上記範囲を超えると、水溶性が強くなりべたついた使用感を与える傾向がみられるようになる。
上記特定のセルロース繊維のカルボキシル基量の測定は、例えば、乾燥重量を精秤したセルロース試料から0.5〜1重量%スラリーを60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、次の式に従いカルボキシル基量を求めることができる。
カルボキシル基量(mmol/g)=V(ml)×〔0.05/セルロース重量〕 ……(式)
なお、カルボキシル基量の調整は、後述するように、セルロース繊維の酸化工程で用いる共酸化剤の添加量や反応時間を制御することにより行うことができる。
また、上記特定のセルロース繊維は、繊維表面上のセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基に酸化されている。このセルロース繊維表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基に酸化されているかどうかは、例えば、13C−NMRチャートにより確認することができる。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに、178ppmに、カルボキシル基に由来するピークが現れる。このようにして、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基に酸化されていることを確認することができる。
本発明における、上記特定のセルロース繊維は、特に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)等のN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであると、上記特定のセルロース繊維を容易に得ることができるようになる。
本発明に係る細胞増殖促進剤の適用対象となる細胞は特に制限されず、種々の生物種の真核細胞の増殖能を向上させることができる。
特に、ヒト又はヒト以外の動物(特に哺乳動物)の細胞が適用対象として好ましい。
また、体細胞(皮膚線維芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、等)や生殖細胞が、増殖対象として好ましい。
本発明の上記特定のセルロース繊維を有効成分とした細胞増殖促進剤は、一実施形態において、皮膚線維芽細胞の増殖を促進する皮膚線維芽細胞増殖促進剤であってもよい。
線維芽細胞とは、動物個体のほぼ全ての組織中に分散して存在する細胞で、臓器の形態形成に重要な役割を果たす繊維性結合組織の成分である。すなわち、皮膚の機能を保つ上で最も重要な細胞であり、正常組織では目立った機能を有さない。
線維芽細胞は組織に損傷があるとその損傷部に遊走し、コラーゲン等の細胞外マトリックスの産生を始める。細胞外マトリックスを更新し、細胞と細胞外マトリックスの相互作用、傷の収縮等の創傷治癒過程の中で重要な働きを果している。
一般に、動物が外傷を負った後に起こる治癒過程(創傷治癒)には、傷口の修復等に線維芽細胞の増殖が重要な役割を果たしている。
本発明では、後述する試験例1において、特定のセルロース繊維が皮膚線維芽細胞の増殖促進作用を示したことから、特定のセルロース繊維が創傷治癒過程を促進し、外傷の治癒を早める効果があることが確認できたものである。
つまり、皮膚の損傷(傷)が治癒する過程には、次の3段階がある。
すなわち、第1ステップとして、血小板の凝集と血管収縮で血が止まり、次いで、マクロファージ(貪食細胞)が創面の死んだ組織を取り込んできれいにする。第2ステップでは、線維芽細胞が分泌するコラ−ゲンを主体とした肉芽組織による修復が開始される。第3ステップでは、肉芽組織が瘢痕組織へと変化し、安定した傷になる。
本発明に係る線維芽細胞増殖促進剤は、第2ステップにおいて線維芽細胞の増殖を促進することによりコラーゲンを増加させる役割を果たす。
つぎに、上記特定のセルロース繊維の製造についてより詳しく述べると、そのセルロース繊維は、例えば、(1)酸化反応工程、(2)精製工程、(3)分散工程(微細化処理工程)等を行うことにより得ることができる。以下、各工程を順に説明し、最後に、(4)他の添加剤の添加について説明する。
(1)酸化反応工程
天然セルロースと、N−オキシル化合物とを水(分散媒体)に分散させた後、共酸化剤を添加して、反応を開始する。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なす。ここで、共酸化剤とは、直接的にセルロース水酸基を酸化する物質ではなく、酸化触媒として用いられるN−オキシル化合物を酸化する物質のことである。
上記天然セルロースは、植物,動物,バクテリア産生ゲル等のセルロースの生合成系から単離した精製セルロースを意味する。より具体的には、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター,コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ,バガスパルプ等の非木材系パルプ、バクテリアセルロース(BC)、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロース等をあげることができる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ,バガスパルプ等の非木材系パルプが好ましい。上記天然セルロースは、叩解等の表面積を高める処理を施すと、反応効率を高めることができ、生産性を高めることができるため好ましい。また、上記天然セルロースとして、単離、精製の後、乾燥させない(ネバードライ)で保存していたものを使用すると、ミクロフィブリルの集束体が膨潤しやすい状態であるため、反応効率を高め、微細化処理後の数平均繊維径を小さくすることができるため好ましい。
上記反応における天然セルロースの分散媒体は水であり、反応水溶液中の天然セルロース濃度は、試薬(天然セルロース)の充分な拡散が可能な濃度であれば任意である。通常は、反応水溶液の重量に対して約5%以下であるが、機械的攪拌力の強い装置を使用することにより反応濃度を上げることができる。
また、上記N−オキシル化合物としては、例えば、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物があげられる。上記N−オキシル化合物は、水溶性の化合物が好ましく、なかでもピペリジンニトロキシオキシラジカルが好ましく、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)または4−アセトアミド−TEMPOが好ましい。上記N−オキシル化合物の添加は、触媒量で充分であり、好ましくは0.1〜4mmol/l、さらに好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲で反応水溶液に添加する。
上記共酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、過有機酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。そして、上記次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属の存在下で反応を進めることが、反応速度の点において好ましい。上記臭化アルカリ金属の添加量は、上記N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
上記反応水溶液のpHは約8〜11の範囲で維持されることが好ましい。水溶液の温度は約4〜40℃において任意であるが、反応は室温(25℃)で行うことが可能であり、特に温度の制御は必要としない。
目的とするカルボキシル基量を得るために、酸化の程度を共酸化剤の添加量と反応時間により制御する。通常、反応時間は約5〜120分、長くとも240分以内に完了する。
そして、上記反応終了後、塩酸を添加して中性(pH6.0〜8.0)に調整する。また、長期保存安定性を向上させる目的で、上記反応終了後に、水素化ホウ素ナトリウム等により還元処理を行っても良い。
(2)精製工程
つぎに、未反応の共酸化剤(次亜塩素酸等)や、各種副生成物等を除く目的で、適宜、精製を行う。反応物繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返すことで高純度(99重量%以上)の反応物繊維と水の分散体とする。
上記精製工程における精製方法は、遠心脱水を利用する方法(例えば、連続式デカンダー)のように、上述した目的を達成できる装置であればどのような装置を利用しても構わない。こうして得られる反応物繊維の水分散体は、絞った状態で固形分(セルロース)濃度としておよそ10重量%〜50重量%の範囲にある。この後の分散工程を考慮すると、50重量%よりも高い固形分濃度とすると、分散に極めて高いエネルギーが必要となることから好ましくない。
(3)分散工程(微細化処理工程)
上記精製工程にて得られる水を含浸した反応物繊維(水分散体)を、水等の分散媒体中に分散させ分散処理を行う。処理に伴って粘度が上昇し、微細化処理されたセルロース繊維の分散体を得ることができる。その後、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することによって、特定のセルロース繊維を得ることができる。なお、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することなく、分散体の状態で用いても差し支えない。
上記分散工程で使用する分散機としては、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等の強力で叩解能力のある装置を使用することにより、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となり、経済的に有利に分散体を得ることができる点で好ましい。なお、上記分散機としては、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー等を用いても差し支えない。
上記セルロース繊維の分散体の乾燥法としては、例えば、分散媒体が水である場合は、スプレードライ、凍結乾燥法等が用いられ、分散媒体が水と有機溶媒の混合溶液である場合は、ドラムドライヤーによる乾燥法、スプレードライヤーによる噴霧乾燥法等が用いられる。
分散体における上記特定のセルロース繊維の含有量は、6.0×10−5重量%〜5.0重量%の範囲内であるとよい。上記特定のセルロース繊維の含有量が、上記範囲内であると、充分な細胞増殖促進効果を得ることが可能となる。
(4)他の添加剤の添加
また、本発明の細胞増殖促進剤は、上記特定のセルロース繊維及び分散媒体のほかに、他の成分材料として、機能性添加剤を用いることも可能である。上記機能性添加剤としては、例えば、増粘促進剤、無機塩類、有機塩類、界面活性剤、オイル類、保湿剤、防腐剤、有機微粒子、無機微粒子、消臭剤、香料、有機溶媒等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
増粘促進剤としては、カルボキシビニルポリマー,(メタ)アクリル酸アルキル共重合体が用いられる。(メタ)アクリル酸アルキル共重合体とは、アクリル酸アルキル共重合体あるいはメタクリル酸アルキル共重合体等を用いることができる。そして、本発明において、これらの増粘促進剤は、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
無機塩類としては、水に溶解・分散できるものが好ましく、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属と、ハロゲン化水素、硫酸、炭酸等からなる塩類があげられ、具体的には、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、(NH42SO4、Na2CO3等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
有機塩類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水酸化物や、有機アミンと分子中に存在するカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等を中和することにより実質的に水溶性、水分散性を示す物質であるものが好ましい。
界面活性剤としては、水に溶解・分散できるものが好ましく、例えば、アルキルスルホコハク酸ソーダ,アルキルスルホン酸ソーダ,アルキル硫酸エステル塩等のスルホン酸系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等のリン酸エステル系界面活性剤、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物,アルキルアリールフェノールのアルキレンオキサイド付加物等の非イオン系界面活性剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
オイル類としては、例えば、メチルポリシロキサン,シリコーンポリエーテルコポリマー等のシリコンオイル、オリーブ油,ひまし油等の植物油、動物油、ラノリン、流動パラフィン、スクワラン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
保湿剤としては、例えば、ヒアルロン酸、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
有機微粒子としては、例えば、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、ウレタンエマルジョン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
無機微粒子としては、例えば、酸化チタン、シリカ化合物、カーボンブラック等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等があげられ、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
消臭剤・香料としては、例えば、Dリモネン、デシルアルデヒド、メントン、プレゴン、オイゲノール、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メントール、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、植物(例えば、カタバミ、ドクダミ、ツガ、イチョウ、クロマツ、カラマツ、アカマツ、キリ、ヒイラギモクセイ、ライラック、キンモクセイ、フキ、ツワブキ、レンギョウ等)の各器官から水、親水性有機溶剤で抽出された消臭有効成分等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
有機溶媒としては、例えば、水に可溶するアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、機能性添加剤の配合量は、機能性添加剤が目的とする効果を発現するために必要な配合量で用いられる。
本発明の細胞増殖促進剤は、先に述べたように、特定のセルロース繊維と水、さらに、必要に応じ機能性添加剤を配合し、混合処理等することにより得ることができる。
より詳しく述べると、混合処理としては、例えば、真空ホモミキサー、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー等の各種混練器、各種粉砕機、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ペブルミル、ビーズミル粉砕機、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー等を用いた混合処理があげられる。なお、上記混合処理は、先に述べたように常温で行うことが可能であるが、必要に応じ、加熱することも可能であり、その温度範囲は、好ましくは、5〜95℃の範囲内であり、より好ましくは10〜30℃の範囲内である。
本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤は、皮膚の線維芽細胞の増殖の促進や延命の作用を有する。線維芽細胞の増殖促進により、線維芽細胞によって産生される細胞外マトリックス、例えば皮膚の弾力性に寄与するコラーゲン、保湿成分であるヒアルロン酸、及びコラーゲンの線維を支え、皮膚の弾力性に寄与するエラスチンの増加が期待される。加齢に伴い、又は皮膚が紫外線及び活性酸素等に曝されると線維芽細胞が減少することが知られている。それにより、線維芽細胞によってもたらされるコラーゲン等の細胞外マトリックスも減少し、老化現象、例えば真皮の厚みの減少、皮膚のしわ及びたるみの発生、はりの消失、並びに保湿性の低下が生じる。本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤により、皮膚の線維芽細胞の増殖が促進されると、しわやたるみの防止、はりの消失の防止、及び皮膚の保湿性の向上が期待され、優れた皮膚の老化防止・改善効果が発揮される。したがって、本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤は、皮膚の老化防止剤又は改善剤としても用いることができる。
また、皮膚組織が損傷した場合、損傷部位から線維芽細胞が遊走・増殖し、細胞外マトリックスの合成により、損傷箇所が修復されることが知られている。本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤により、皮膚の線維芽細胞の増殖が促進されると、皮膚組織の損傷修復が促進され、治癒が早まることが期待される。したがって、本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤は、皮膚創傷治癒促進剤としても用いることができる。
本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤の具体的な配合形態としては、上記の作用効果を得ることを目的とした皮膚外用剤、化粧品、医薬品、研究用試薬、及び飲食品等として適用することができる。これらの中で、本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤は皮膚外用剤や化粧品として皮膚表面(表皮)に塗布されることが好ましい。本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤を皮膚外用剤、化粧品、及び飲食品として適用する場合は、従来品と区別するために、上記作用・効果、例えば皮膚の線維芽細胞の増殖促進、しわやたるみの防止、はりの消失の防止、皮膚の保湿性の向上、老化防止・改善、及び皮膚創傷治癒促進等の効果を得ることを目的とする旨の表示を付すことが好ましい。
本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤を化粧品に適用する場合、化粧品基材に配合することにより製造することができる。化粧品の形態は、乳液状、クリーム状、粉末状などのいずれであってもよい。このような化粧品を肌に適用することにより、線維芽細胞増殖促進作用を得ることができる。化粧品基剤は、一般に化粧品に共通して配合されるものであって、例えば、油分、精製水及びアルコールを主要成分として、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、増粘剤、抗脂漏剤、血行促進剤、美白剤、pH調整剤、色素顔料、防腐剤及び香料から選択される少なくとも一種が適宜配合される。
本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤を飲食品に適用する場合、線維芽細胞増殖促進剤を飲食品そのものとして、又は種々の食品素材又は飲料品素材に配合して使用することができる。飲食品の形態としては、特に限定されず、液状、粉末状、ゲル状、固形状のいずれであってもよく、また剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤のいずれであってもよい。その中でも、吸湿性が抑えられることから、カプセル剤であることが好ましい。前記飲食品としては、その他の成分としてゲル化剤含有食品、糖類、香料、甘味料、油脂、基材、賦形剤、食品添加剤、副素材、増量剤等を適宜配合してもよい。
本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤を医薬用素材又は医薬品として使用する場合は、皮膚への塗布、服用(経口摂取)により投与する場合の他、皮下注射、血管内投与、経皮投与等のあらゆる投与方法を採用することが可能である。剤形としては、特に限定されないが、例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、坐剤、液剤、注射剤等が挙げられる。また、添加剤として賦形剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤等を配合してもよい。また、本実施形態の線維芽細胞増殖促進剤を線維芽細胞増殖促進用の試薬の形態で実験用・研究用試薬として適用してもよい。線維芽細胞が関係する生理作用のメカニズムの解明又は各種症状の治療法等の研究・開発等の分野において、好適に用いられる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<試験例1:セルロース繊維の細胞増殖促進効果確認試験>
本試験例のセルロース繊維の線維芽細胞増殖促進効果の確認試験には、下記合成例に基づいて合成したセルロース繊維水性分散液に、純水を加え、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)により8000rpmで10分間撹拌することにより得られた、10重量%希釈溶液(固形分濃度が0.2重量%)を使用した。
合成例:
針葉樹パルプ2gに、水150mlと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPOを0.025gとを加え、充分撹拌して分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が6.5mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加してpHを7.0に調整し、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。セルロース繊維のカルボキシル基量、数平均繊維径は、カルボキシル基量が1.83mmol/g、数平均繊維径が6nmであった。また、広角X線回折像測定により、得られたセルロース繊維がI型結晶構造を有することを確認した。
対数増殖期にあるヒト正常皮膚線維芽細胞(DSファーマ製,Cell System−Fb Cells)を、96ウェルプレートにウェルあたり2,000セルとなるよう0.5%ウシ胎児血清(FBS),ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に懸濁して播種し、1日培養した。
本発明のセルロース繊維の一実施例として、固形分濃度を0.2重量%とした上記セルロース繊維の水分散体を、それぞれ、0.03125重量%(セルロース繊維濃度6.25×10−5重量%),0.0625重量%(セルロース繊維濃度1.25×10−4重量%),0.125重量%(セルロース繊維濃度2.5×10−4重量%),0.25重量%(セルロース繊維濃度5.0×10−4重量%),0.5重量%(セルロース繊維濃度1.0×10−3重量%),1重量%(セルロース繊維濃度2.0×10−3重量%),2重量%(セルロース繊維濃度4.0×10−3重量%)の濃度になるように0.5% FBS,DMEMで希釈して各ウェルに添加した。また、ポジティブコントロール(PC)に、上記セルロース繊維の水分散体を添加せず、10%FBS,DMEMとなるよう、FBS,DMEMを添加した。ネガティブコントロール(NC)は、上記セルロース繊維の水分散体を添加せず、0.5%FBS,DMEMとなるようにした。これらのサンプルについて、更に培養を行った。
上記セルロース繊維の水分散体添加前,添加後1日培養後,2日培養後,3日培養後に、水溶性テトラゾリウム塩WST−8を発色試薬として用いた細胞増殖測定用発色試薬CCK−8((株)同仁化学研究所)をDMEMで20倍希釈し、100μL/wellずつ添加し、2時間呈色反応を行い、マイクロプレートリーダーで450nmの吸光度を測定した。ポジティブコントロール(PC),ネガティブコントロール(NC)も、同様に450nmの吸光度を測定した。
結果を、図1及び図2に示す。
図1は、培養0日目(上記セルロース繊維の水分散体添加前)の細胞数を100として、培養1,2,3日後の各サンプルの細胞数の増加率を示すグラフである。図2は、培養3日後の各サンプルの細胞数を示すグラフであって、ネガティブコントロール(NC)の3日目の細胞数を、100%としている。
図1,2の結果より、固形分濃度を0.2重量%とした上記セルロース繊維の水分散体濃度0.03125重量%以上のとき、つまりセルロース繊維濃度が6.25×10−5重量%以上のときに、細胞の増殖が促進されていた。
<試験例2:セルロース繊維の細胞遊走促進効果確認試験>
本発明のセルロース繊維の実施例として、試験例1の合成例で調製した固形分濃度を0.2重量%の上記セルロース繊維の水分散体を用いて、組成物の線維芽細胞遊走促進作用を試験した。
ヒト正常皮膚線維芽細胞を、培養シャーレで培養し、コンフレントになった段階で、針状のチップを用いて傷をつけた。固形分濃度を0.2重量%とした上記セルロース繊維の水分散体を3重量%(セルロース繊維濃度6.0×10−3重量%)、0.75重量%(セルロース繊維濃度1.5×10−3重量%)の濃度になるようにDMEM培地で希釈した溶液、ポジティブコントロールPC(10%FBS,DMEM培地)、ネガティブコントロールNC(DMEM培地)をそれぞれ、500μL添加して、7時間培養した。
そして、傷をつけた直後の傷の面積と7時間培養後の傷の面積の値を用いて、傷が閉鎖した面積の割合を示す変化率を計算し、グラフにプロットした。
つまり、変化率は、{(傷をつけた直後の傷の面積(μm)−7時間培養後の傷の面積(μm))/傷をつけた直後の傷の面積(μm)}×100(%)により計算した。
結果を、図3及び図4に示す。
図3は、本試験例において傷をつけた後の培養前後の傷の外観を示す写真であり、図4は、算出された変化率のグラフである。
図3及び図4の結果より、本実施例のセルロースナノファイバー組成物は、線維芽細胞の遊走を促進することが分かった。
本発明者らが、上記セルロースナノファイバーのさらなる付加価値を見出すべく、その機能性を探索したところ、線維芽細胞に対して増殖促進効果を呈すると共に線維芽細胞の遊走の促進効果を呈することを見出し、本発明をするに至った。
前記目的を達成するために、本発明の細胞増殖促進剤は、セルロース繊維を有効成分とし、前記セルロース繊維は、数平均繊維径が2〜150nmである。
また、前記セルロース繊維が、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.5mmol/gの割合になっている。
本発明者らが、上記セルロースナノファイバーのさらなる付加価値を見出すべく、その機能性を探索したところ、線維芽細胞に対して増殖促進効果を呈すると共に線維芽細胞の遊走の促進効果を呈することを見出し、本発明をするに至った。
前記目的を達成するために、本発明の細胞増殖促進剤は、セルロース繊維を有効成分とし、前記セルロース繊維は、数平均繊維径が2〜150nmである。
また、前記セルロース繊維が、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.5mmol/gの割合になっている。
前記細胞増殖促進剤は、線維芽細胞の増殖促進剤である。
前記セルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであるとよい。
また、前記細胞増殖促進剤は、前記セルロース繊維が水性溶媒に分散した分散体であって、前記細胞増殖促進剤における前記セルロース繊維の濃度が、6.0×10−5重量%〜5.0重量%であるとよい
に、前記細胞増殖促進剤は、皮膚創傷治癒促進剤,皮膚の老化防止剤,皮膚の老化改善剤,皮膚のしわ・たるみ及びはり消失の防止剤,皮膚用保湿剤,皮膚外用剤,化粧品,医薬品,研究用試薬及び食品組成物を含む群のうち少なくとも一つとして用いられる細胞増殖促進剤であってもよい。
本発明によれば、数平均繊維径が2〜150nmであって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.5mmol/gの割合になっているセルロース繊維が有する線維芽細胞の増殖促進効果及び線維芽細胞の遊走促進効果に優れた細胞増殖促進剤を提供することができる。
また、創傷治癒過程を促進し、外傷の治癒を早める効果があり、皮膚創傷治癒促進剤として用いることが可能な新規な繊維芽細胞増殖促進剤を提供することができる。
本発明の上記特定のセルロース繊維を有効成分とした細胞増殖促進剤は、皮膚線維芽細胞の増殖を促進する皮膚線維芽細胞増殖促進剤であ
線維芽細胞とは、動物個体のほぼ全ての組織中に分散して存在する細胞で、臓器の形態形成に重要な役割を果たす繊維性結合組織の成分である。すなわち、皮膚の機能を保つ上で最も重要な細胞であり、正常組織では目立った機能を有さない。
線維芽細胞は組織に損傷があるとその損傷部に遊走し、コラーゲン等の細胞外マトリックスの産生を始める。細胞外マトリックスを更新し、細胞と細胞外マトリックスの相互作用、傷の収縮等の創傷治癒過程の中で重要な働きを果している。
一般に、動物が外傷を負った後に起こる治癒過程(創傷治癒)には、傷口の修復等に線維芽細胞の増殖が重要な役割を果たしている。
本発明では、後述する試験例1において、特定のセルロース繊維が皮膚線維芽細胞の増殖促進作用を示したことから、特定のセルロース繊維が創傷治癒過程を促進し、外傷の治癒を早める効果があることが確認できたものである。

Claims (6)

  1. 細胞増殖促進剤であって、
    セルロース繊維を有効成分とし、
    前記セルロース繊維は、数平均繊維径が2〜150nmであることを特徴とする細胞増殖促進剤。
  2. 前記セルロース繊維が、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.5mmol/gの割合になっていることを特徴とする請求項1に記載の細胞増殖促進剤。
  3. 前記セルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものである、請求項1又は2記載の細胞増殖促進剤。
  4. 前記細胞増殖促進剤は、前記セルロース繊維が水性溶媒に分散した分散体であって、
    前記細胞増殖促進剤における前記セルロース繊維の濃度が、6.0×10−5重量%〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の細胞増殖促進剤。
  5. 線維芽細胞の増殖促進剤であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の細胞増殖促進剤。
  6. 皮膚創傷治癒促進剤,皮膚の老化防止剤,皮膚の老化改善剤,皮膚のしわ・たるみ及びはり消失の防止剤,皮膚用保湿剤,皮膚外用剤,化粧品,医薬品,研究用試薬及び飲食品を含む群のうち少なくとも一つとして用いられる請求項1乃至4いずれか記載の細胞増殖促進剤。
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