JP7348697B1 - 核シェルター構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】Jアラートなどの警報が鳴った際にも、退避や移動を必要としない平常時に日常生活を送っている居室自体を核シェルターとすることのできる、建築基準法に適合した、居住型の核シェルター構造を提供する。【解決手段】核シェルター構造Sは、それぞれコンクリート躯体である、第1の床11と、第1の壁12と、第1の天井13と、から構成される第1の構造10と、第1の構造10内に構築される第2の構造20であって、第1の床11上に構築される第2の床21と、第1の壁内12に構築される第2の壁22と、第1の天井13下に構築される第2の天井23と、から構成される第2の構造20と、を備え、第2の構造20を構成する第2の床21、第2の壁22、及び、第2の天井23は、中性子吸収材50を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、日常生活を送っている居室自体を核シェルターとすることのできる、居住型の核シェルター構造に関するものである。
日本核シェルター協会による2002年調査では、日本は人口1人あたりの核シェルター普及率が0.02%と海外と比べて極端に低い(スイス100%・イスラエル100%・アメリカ82%・イギリス67%)。
また、仮に地下シェルターを備えていた場合でも、Jアラート等のミサイル警報が鳴ってから、数分以内に高齢者や要介護者、大人数の幼児等を地下シェルターに混乱なく誘導することは極めて困難を伴う。
近年ミサイル到達速度の向上により避難猶予時間が全くない可能性もあり、深夜を含めて、過去の発明による地下型コンクリート製核シェルター(例えば、特許文献1参照)や地上型鋼鈑製核シェルター(建物内に置くタイプ)では、事前に予測不可能な攻撃には全く無防備であり、移動時間を考慮すると、ミサイル着弾前に避難することができない可能性が高い。
特開2020-029699号公報
さらに、日本人の多くが都会に集中して住んでいるので、今さら地下に核シェルターを設けるだけの土地やスペースが存在せず、地下核シェルター建設には、既存の建物を一度解体して、建て替えるしか方法がなく、高額なコストと設置場所が壁になって普及が進まない。
加えて、従来の発明によるシェルターには窓がないため、停電時または蓄電池等の電力を使い果たした場合には、真っ暗な閉鎖空間で過ごさなければならないため、長期間になるほど、精神的に非常に厳しくなる。一般的に核シェルターでは、様々な放射性物質の半減期を考慮すると、およそ2週間耐えなければならないとされている。さらに窓が無いシェルターでは建築基準法の採光要件を満たさず、緊急避難用または納戸としてしか使用できない欠点がある。
一方、地上型鋼鈑製核シェルター(放射性降下物の被害から防護する目的のフォールアウトシェルター)では、耐火性能や耐熱性能が低いため、核ミサイルの熱線や建物火災に対しては無防備となり、熱線で火傷を負ったり放射線遮蔽性能が無いため被爆したりする可能性が高い。建物の共有部分として核シェルターを設けた場合には、シェルターの床面積や換気能力によって収容人員の上限が設けられるため、入居者や滞在者全員を収容できない可能性がある。
他方で、人体や生命に最も有害な中性子線を100分の1に減衰するためには、100%コンクリート製のシェルターでは躯体の厚さが63CM以上必要(出典:中性子遮蔽コンクリートの技術改良 建設機械施工 VOL.68 NO.7 JULY 2016)となり、既存の鉄筋コンクリート造の建物を核シェルターに改修することは不可能に近い。
放射線遮蔽をコンクリートと土壌に頼って、コンクリート躯体厚さが30CM以上の地下100M級の大深度大規模シェルターを莫大な費用と時間をかけて築造しても、工事車両の出入り情報等から敵国に正確な位置を知られてしまい、かえってピンポイントで核攻撃を招くリスクもある。どのように強靭な核シェルターを建設しても、複数攻撃を受けた場合には、生存確率は低くなる。過去のシェルターでは、戦時の通常弾のミサイル攻撃や銃撃音が聞こえる際に、「爆音」や「振動」に恐怖し続けなければならない。
そこで、本発明は、Jアラートなどの警報が鳴った際にも、退避や移動を必要としない平常時に日常生活を送っている居室自体を核シェルターとすることのできる、建築基準法に適合した、居住型の核シェルター構造を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の核シェルター構造は、建物内に設置される核シェルター構造であって、それぞれコンクリート躯体である、第1の床と、第1の壁と、第1の天井と、から構成される第1の構造と、前記第1の構造内に構築される第2の構造であって、前記第1の床上に構築される第2の床と、前記第1の壁内に構築される第2の壁と、前記第1の天井下に構築される第2の天井と、から構成される第2の構造と、を備え、前記第2の構造を構成する前記第2の床、前記第2の壁、及び、前記第2の天井は、中性子吸収材を有している。
このように、本発明の核シェルター構造は、建物内に設置される核シェルター構造であって、それぞれコンクリート躯体である、第1の床と、第1の壁と、第1の天井と、から構成される第1の構造と、第1の構造内に構築される第2の構造であって、第1の床上に構築される第2の床と、第1の壁内に構築される第2の壁と、第1の天井下に構築される第2の天井と、から構成される第2の構造と、を備え、第2の構造を構成する第2の床、第2の壁、及び、第2の天井は、中性子吸収材を有している。このような構成であれば、退避や移動を必要とすることなく、日常生活を送っている居室自体を核シェルターとすることによって、核ミサイルによる爆風・高熱火災・放射線による損害を軽減することができる。
さらに、化学兵器(サリン、VXガスなど)、生物兵器(炭そ菌など)、地震や台風、噴火等の自然災害や火災、原子力発電所の放射能漏洩事故などに対しても被害を軽減することを目的とした「多目的シェルター」といえる。
100%鉄筋コンクリート製の核シェルター(630MM以上のコンクリート厚)よりも、壁や天井を薄く軽量化できる(躯体を除いて最小135MM厚)ことで、既存の鉄筋コンクリート造建物の改修においても、居室を核シェルターに転換できる「地上型シェルター」であり、当然に新築や地下にも適用できる。
また、放射線防護上の遮へいの目的は、被ばくを線量限度以下にするとともに、放射線による外部被ばくを合理的に達成可能な限り低減することである。
三重放射線遮蔽構造の概念図である。 核シェルター構造の平面図である。 核シェルター構造の断面図である。 フレーム構造体の斜視図である。 添加剤による中性子遮蔽材の性能比較表である。 中性子遮蔽性能表である。 硫酸バリウム含有石膏ボードのガンマ線遮蔽性能表である。 セシウム137からのガンマ線の透過率である。 遮蔽材の厚さと放射線の減衰値の関係を示す表である。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例においては、集合住宅としていわゆるマンションに本発明を適用した場合について説明するが、これらは例示であって、以下の内容に限定して適用することを意図するものではない。
(全体構成)
はじめに、本実施例の核シェルター構造Sの全体構成について説明する。核シェルター構造Sは、図1~図3に示すように、構造としては、コンクリート躯体である第1の構造10と、第1の構造10内に構築される第2の構造20と、によって二重構造とされている。後述するが、放射線遮蔽構造としては、基本構造であるコンクリート躯体と、中性子吸収材と、ガンマ線遮蔽材と、による三重放射線遮蔽構造となっている。
第1の構造10は、それぞれコンクリート躯体である、第1の床11と、第1の壁12と、第1の天井13と、から構成される。この他、第1の構造10は、通常のコンクリート躯体構造(鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート)であるから説明は省略する。なお、例えば、3階の住戸の第1の床11は、2階の住戸の第1の天井13に相当する。
第2の構造20は、第1の床11上に構築される防振構造の第2の床21と、第1の壁12内に第1の壁12から完全に切り離して構築される第2の壁22と、第1の天井13下に第1の天井13から(後述するフレーム構造体40を介して)完全に切り離して構築される第2の天井23と、から構成される。
そして、第1の構造10の壁12及び天井13と、第2の構造20の壁22及び天井23と、の間には、耐火ロックウール30が充填されている。耐火ロックウール30は、第1の構造10の内面と第2の構造20の外面に加えて、第2の構造20をなすフレーム構造体(40)の柱部材(42)や天井部材(43)の厚みに相当する隙間にも充填(設置)される。耐火ロックウール30としては、耐熱温度650度、80~120kg/mのものを使用することができる。
そして、この第2の構造20は、第1の床11上に防振部材である防振ゴム21aを介して打設される浮床コンクリートである第2の床21と、この浮床コンクリート上に設置されるフレーム構造体40に取り付けられている第2の壁22及び第2の天井23と、から構成される。
この第2の床21、第2の壁22、及び第2の天井23は、それぞれボード状に形成された1枚の中性子吸収材50を、同じくボード状に形成された2枚のガンマ線遮蔽材60、60によってサンドイッチ状に挟み込んだサンドイッチ構造を備えている。
そして、建物躯体のコンクリートと、中性子吸収材50と、ガンマ線遮蔽材60、60と、によって、三重放射線遮蔽構造が構成されている。
(フレームの構成)
ここで、フレーム構造体40の構成について説明する。フレーム構造体40は、図4に示すように、主に、角型断面の軽量鉄骨によって形成されて床を構成する床部材41、・・・と、床部材41に立設される柱部材42、・・・と、柱部材42、・・・の上端を結ぶ天井部材43、・・・と、によって構成されている。
ドア及びサッシが配置される開口部の箇所には、開口部を囲むように床部材41及び柱部材42が配置されている。さらに、コーナー部分の各部材の接合部には、補強プレート44、・・・が取り付けられており、フレーム構造体40全体の剛性が高められている。フレーム構造体40は、各部材を所用の寸法に切断した状態で現場に運搬し、現場において溶接又はボルト等によって組立(構築)される。
(中性子吸収材)
そして、第2の構造を構成する第2の床21、第2の壁22、及び、第2の天井23は、中性子吸収材50を有している。この中性子吸収材50は、炭化ホウ素又は酸化ガドリニウムを含有するシリコンゴム、ポリエチレン樹脂、塗料である。中性子吸収材50は、好ましくは、炭化ホウ素又は酸化ガドリニウムを含有するシリコンゴムボードである。中性子吸収材50は、それぞれ建築用鋼製下地材(軽量鉄骨壁下地、軽量鉄骨天井下地)を介してフレーム構造体40に取り付けられる。
(ガンマ線遮蔽材)
また、第2の構造を構成する第2の床21、第2の壁22、及び、第2の天井23は、さらにガンマ線遮蔽材60を有している。このガンマ線遮蔽材60は、硫酸バリウムを含有する石膏ボードである。ガンマ線遮蔽材60は、それぞれ建築用鋼製下地材(軽量鉄骨壁下地、軽量鉄骨天井下地)を介してフレーム構造体40に取り付けられる。そして、本実施例では、ガンマ線遮蔽材60、60は、中性子吸収材50の室外側及び室内側の両側に挟み込むように設置されている。
(窓)
第2の構造20内部の居室Rから第1の構造10を介して建物外へと連通する窓70は、二重サッシ(71、72)又は三重サッシ(71、72、73)と、第2の構造20側(居室R側)に設置された手動で開閉可能な放射線遮蔽パネル74と、を有する。窓ガラスは、防爆ガラス(合わせガラス)又は耐熱強化ガラス(フィルム張り)を組み合わせて形成される。さらに防爆性能を高めるために、窓の開口面積は建築基準法の採光基準を満たす最小面積とすることが好ましい。
他の具体的な構成として、窓70としては、屋外側を「防弾防爆ガラス」、屋内側を「放射線遮蔽ガラス」とした二重サッシ、又は、どちらかを2枚使用した三重サッシを使用することもできる。
(ドア)
第2の構造20内部の居室Rから建物内の他の部分(例えば、廊下、隣室)へと連通するドア80は、防火ドア81と、第2の構造20側(居室R側)に設置された放射線遮蔽ドア82と、を有する二重ドアとなっている。それぞれのドア80には、パッキンによって気密性を持たせることで、居室R内への放射能汚染物質や汚染ガスの流入を防止するようになっている。放射線遮蔽ドア82は、前述と同様に中性子吸収材とガンマ線遮蔽材とによって構成される。
(その他、換気装置など)
これらの各構成の他、居室Rの内外の換気をするために、特殊フィルタ付き換気装置90が設置されている。換気装置90としては、放射性ヨウ素ガスを吸着できる特殊フィルタとして、国産の活性炭素繊維製フィルタ(WACフィルタ)を使用した換気装置、または収容人数に応じたスイスやイスラエル製などの海外製特殊フィルタ付き換気装置とすることが好ましい。
(作用・効果)
次に、本実施例の核シェルター構造Sの奏する作用・効果について説明する。
(1)上述してきたように、本発明の建物内に設置される核シェルター構造Sは、それぞれコンクリート躯体である、第1の床11と、第1の壁12と、第1の天井13と、から構成される第1の構造10と、第1の構造10内に構築される第2の構造20であって、第1の床11上に構築される第2の床21と、第1の壁12内に構築される第2の壁22と、第1の天井13下に構築される第2の天井23と、から構成される第2の構造20と、を備え、第2の構造20を構成する第2の床21、第2の壁22、及び、第2の天井23は、中性子吸収材50を有している。
このような構成であれば、入射した中性子線をコンクリートによる散乱により低速中性子線又は熱中性子線とし、次に熱中性子線を中性子吸収材50によって吸収することによって、退避や移動を必要とすることなく、日常生活を送っている居室R自体を核シェルターとすることによって、核ミサイルによる爆風・高熱火災・放射線による損害を軽減することができる。
(2)加えて、第2の構造20を構成する第2の床21、第2の壁22、及び、第2の天井23は、さらにガンマ線遮蔽材60を有しているため、中性子吸収材50による中性子捕獲反応の際に放出されるガンマ線を遮蔽することができる。
(3)このガンマ線遮蔽材60は、中性子吸収材50の両側に設置されているため、居室R内方向及び居室R外方向の両方向のガンマ線を挟み込む形で効果的に遮蔽できる。
(4)また、第1の床11と第2の床21の間、第1の壁12と第2の壁22の間、及び、第1の天井13と第2の天井23の間には、耐火ロックウールが充填されているため、核ミサイルや火災などの熱波から居室型の核シェルター構造Sの鉄骨材や居室R内を保護する機能を有している。
(5)さらに、第2の構造20は、第1の床上に防振部材である防振ゴム21aを介して打設される浮床コンクリートである第2の床21と、浮床コンクリート上に設置されるフレーム構造体40に取り付けられる第2の壁22及び第2の天井23と、から構成されるため、核シェルターとしての機能に加えて、防音性と防振性を有することができる。さらに、核ミサイル等の脅威にさらされた際の爆音や振動を軽減することで、居室R内の恐怖感を低減することができる。
加えて、鉄骨製のフレーム構造体40を使用することによって、既存の建築物(住宅、マンション、オフィス、学校の教室、病院など)コンクリート躯体の内部において、居室Rを1室単位で核シェルターに転換できる。
(6)前述した中性子吸収材50としては、炭化ホウ素又は酸化ガドリニウムを含有するシリコンゴムボードを使用することが好ましい。これらの素材を使用することで、最も優れた中性子吸収効果を得ることができる。
(7)前述したガンマ線遮蔽材60としては、硫酸バリウムを含有する石膏ボードを使用することが好ましい。この素材を使用することで、最も優れたガンマ線遮蔽効果を得ることができる。
(8)また、第2の構造20から建物外へと連通する窓70は、二重サッシ(71、72)又は三重サッシ(71-73)と、第2の構造20側に設置された開閉式の放射線遮蔽パネル74と、を有しているため、開口部からの放射線を遮蔽することができる。加えて、電動の防火シャッター75を備えれば、耐火性能をさらに高めることができる。
(9)さらに、第2の構造20から建物内の他の部分へと連通するドア80は、防火ドア81と、第2の構造20側に設置された放射線遮蔽ドア82と、を有しているため、気密性を高め、防爆性能(耐火性能)と放射線遮蔽性能を有するドア80となる。
(その他の作用・効果)
本発明の核シェルター構造Sは、その他にも以下のような作用・効果を奏する。
・窓70がある核シェルター構造Sによって、建築基準法の採光条件を満たすことが可能になり、普段は居室Rとして利用出来るため、空間の利用価値が極めて高くなる。既存の核シェルターの閉塞空間による心理的圧迫から解放し、日常利用が可能な、窓があって明るく換気(通常時)も出来る快適な居住空間を提供する。
・突破的な攻撃に対しては、地上で普段使用している集合住宅等の居住空間や事務所、病室、教室等自体が核シェルターの機能を満たすことで、避難に要する時間をゼロにして生存率を最大限に高める。
・建物専有部分を核シェルターとするため、移動を伴わずに居住者や滞在者全員を24時間自動的に収容できる。
・建物単位で核シェルター化することが可能なので、大人数収容型の大型シェルターと比較して、核シェルターのある位置が分散されるため、ピンポイント攻撃による全滅リスクを低減する。
・既存の鉄筋コンクリート造建物等の居室を核シェルターに転換する「居住型核シェルター」によって、建て替えや新築するよりも短い施工期間かつ低価格で核シェルターの建設・設置を可能することで、日本国内へのシェルター普及を加速させることを可能にする。
・地下だけでなく地上階においても核シェルター設置が可能であり、既存建築の改修だけでなく、当発明の構造によって全階全ての居室を核シェルター化した中高層建物(全戸核シェルター付の集合住宅や宿舎、オフィス、病院、学校等)の新築も可能である。
・シェルターに窓とドアの開口部があるため二方向避難を可能にして、一方の開口部が変形やガレキ等で開かない場合でも、もう一方からの避難を可能にする。
・核ミサイル攻撃のほかにも、通常ミサイル攻撃、化学兵器(サリン、VXガスなど)、生物兵器(炭そ菌など)、地震や台風、噴火等の自然災害や火災、原子力発電所の放射能漏洩事故などに対しても効果を発揮する。
・様々な核種の放射線の強さ(線量率)を1000分の1(10-3)にするためには、100%コンクリート製のシェルターの場合は、約400mmから700mmのコンクリート厚さが必要になる。一方、本発明によれば、躯体を除いて135mmの壁厚で放射線遮蔽性能のある核シェルターを既存建築内に設置出来る(参照 図5.遮へい材の厚さと放射線の減衰値)。
(壁厚の計算式)
背面空気層50mm(50mm厚の耐火ロックウール充填)+
鉄骨柱50mm角(50mm厚の耐火ロックウール充填)+
放射線遮蔽ボード12.5mm+
中性子遮蔽材10mm+
放射線遮蔽ボード12.5mm
=135mm
薄型の鉄骨フレーム構造によって、過度にコンクリートの厚さに依存せずに放射線遮蔽性能を高めることが出来るため、シェルターの有効空間面積や天井高を確保し、躯体が軽量化されることで建築コストを低減できる。
・建物躯体から絶縁され、免振ゴム浮床コンクリート自立鉄骨構造のため、地震災害に対しても、シェルター内の物的人的損害を低減できる。建物躯体が揺れによって変位しても、クリアランス(建物躯体と絶縁された鉄骨フレーム間の背面空気層)によって、内部フレーム構造体40が躯体(10)と衝突しないためにシェルター居室R内が損傷を受けにくい。
・耐熱強化ガラス+飛散防止フィルム、または防爆合わせガラスなどの採用により、窓の耐熱性能および耐風性能を大幅に向上し、さらに二重サッシ、三重サッシ化されることで、台風や竜巻などの自然災害に対してもシェルターとして機能する。
・開口部の耐熱強化ガラスや防火ドア、躯体と鉄骨フレーム間の650度耐熱ロックウールの採用によって、通常火災に対しても共用部分における避難困難時の一時避難シェルターとして機能し、消防車到着までの時間を稼ぐ事ができる。
・現場組み立て式の鉄骨材を使用した「無限連結フレーム構造」によって、どの様な広さのシェルターでも構築可能である。
・工場で「プレカットした鉄骨を組み立てる」フレーム構造なので、分厚い鉄筋コンクリート製の地下シェルターを新築するよりも設置コストが小さい。
(浮床耐熱鉄骨フレーム構造について)
建物の躯体から絶縁された「浮床耐熱鉄骨フレーム構造」によって、居室の耐爆性能・耐熱性能および放射線遮蔽性能を大幅に向上させ、ガンマ線やX線だけでなく、放射線の中で最も人体および生命に悪影響を与える中性子線を遮蔽する「三重放射線遮蔽構造」を持つ。
(三重放射線遮蔽構造)
中性子線は電荷を持たない粒子線であり、物質を透過する能力が非常に大きいので、 これを遮蔽するためには物質中の散乱と吸収を利用する必要がある。
本発明による放射線遮蔽方法は、中性子線を、
1) 水分を多量に含むコンクリートで散乱によりエネルギーを減速させた低速中性子線または熱中性子線とし、
2) 熱中性子に対する吸収断面積の大きな物質(炭化ホウ素(BC)または酸化ガドリニウム(Gd)含有の シリコンゴム、ポリエチレン、 などの中性子吸収剤を利用して中性子成分を吸収させ、
3) この中性子捕獲反応の際にガンマ線が放出される場合に2枚の硫酸バリウム含有石膏ボードで挟み込んで、ガンマ線を遮蔽する「三重放射線構造」を持つ。
離隔部(背面空気層)が大きいほど、散乱と吸収によって中性子速度の減速が速まり、人体への被ばく量を低減できる。
(放射線遮蔽材(中性子線)について)
主な放射線には、物質粒子(アルファ線、ベータ線、中性子線)、電磁波(エックス線、ガンマ線)があるが、アルファ線およびベータ線は薄い金属板などで容易に遮蔽可能なため、本発明においては、主に中性子線、ガンマ線、エックス線を遮蔽することに注力する。ガンマ線と同じ遮蔽材(鉛や硝酸バリウムなど)でエックス線は効果的に遮蔽できる。
中性子は水素に吸収されるため、約60%が水分である人体への影響は極めて大きく、被爆することで人体が受ける影響は、ガンマ線と比べて約3~200倍の腫瘍誘発、15~45倍ほどの寿命短縮など有害なものであると言われている。
放射線遮蔽物質の代表的なものの中には、放射性施設などで用いられる鉛(Pb)があるが、これら毒性が強く環境負荷が大きな材料を使用せずに、環境負荷が小さく人に無害なコンクリート、炭化ホウ素(B4C)または酸化ガドリニウム(Gd)、硫酸バリウム(BaSO)等の材料を使用することで、居室における放射線遮蔽を可能にした。
同じ添加率の場合に、炭化ホウ素(BC)・三酸化二ホウ素(B)・酸化ガドリニウム(Gd)の比較では、酸化ガドリニウム(Gd)の中性子遮蔽性が最も高い(図1.添加剤による中性子遮蔽材の性能比較 参照)。この中で三酸化二ホウ素(B)には、危険有害性情報(飲み込むと有害のおそれ・軽度の皮膚刺激・強い眼刺激・呼吸器への刺激のおそれ)があるために、居室での使用や現場施工には向かない可能性がある。
酸化ガドリニウムは(Gd)、医薬品(MRIの造影剤)としての実績もあり、体内に入っても排出されるため、安全性が高い。シリコンゴムは耐熱温度が200度あり、ポリエチレン樹脂板(耐熱温度80度)と比較して耐熱性能に優れる。酸化ガドリニウム(Gd)を10%以上添加したシリコンゴムは、厚さ10mmで熱中性子を1000分の1以下に減衰(99.9%以上遮蔽)できる(図2.中性子遮蔽性能 参照)。したがって、本発明では、炭化ホウ素(BC)20%以上または酸化ガドリニウム(Gd)10%以上を添加したシリコンゴム(厚さ10mm以上)を中性子遮蔽材として使用することを推奨する。
(放射線遮蔽材(ガンマ線、エックス線)について)
ガンマ線の遮蔽には、水・コンクリート・鉄・鉛の中では、鉛が最も遮蔽率が高い(図4.セシウム137からのガンマ線の透過率 参照)。ガンマ線およびエックス線の遮蔽には、硫酸バリウム(BaSO)含有石膏ボードを用いる。ガンマ線の遮蔽には鉛の使用が一般的であったが、鉛は毒性が強く、廃棄時の環境負荷が高いため、天然素材の硫酸バリウムの使用が推奨される。硫酸バリウムは、長く医療用(レントゲン撮影時のバリウム)として使用されており、人体に無害である。
硫酸バリウム含有石膏ボードの二重張りによって、鉛2mm厚(技研興業 スキュータムボード12.5mm厚×2枚の場合)~鉛3mm厚(吉野石膏 RadBoard-X 15mm厚×2枚)と同等の放射線遮蔽性能を持つ。鉛2.0mm厚(100kV)相当は、一般的な医療施設のCT室に求められる放射線遮蔽性能に匹敵する。
(耐火構造について)
本発明の「浮床耐熱鉄骨フレーム構造」は、建物コンクリート躯体から絶縁され、免振ゴム浮床コンクリートに緊結された鉄骨フレーム構造体の全体を、耐熱温度650度の耐火ロックウールで包み込む(背面空気層や鉄骨フレーム間、免振ゴム浮床コンクリート下部にも耐火ロックルールを充填する)ことで、核ミサイルや火災などの熱波から居室型シェルターの鉄骨材や居室を守る機能を持つ。
(防音性能について)
耐火ロックウール(例:80~120kg/m)はグラスウールと比較して単位質量が大きく、特に低い周波数に対して高い吸音性能を持つため、近隣に着弾したミサイルや空爆、自然災害(雷、台風)等による騒音を効果的に低減し、さらに浮床コンクリート下部の免振ゴムが躯体振動を低減することで、シェルター内を静かに保ち、居住者や収容者の恐怖を低減して快適性を向上する。
(建物基本構造について)
建物Bの基本構造は、原則として鉄筋コンクリート造、又は、鉄骨鉄筋コンクリート造とし、設置階は地下階のほか地上階でも可能であり、新築、及び、既存建築物の改修に対応できる。既存建築物の改修の場合に2階以上に本発明による核シェルター構造Sを設置する際は、荷重に耐えられるか否かの構造計算、及び、躯体の補強が必要となる。
木造や鉄骨造の場合は、原則として新築に限りシェルター設置が可能であり、シェルター設置階(地下または地上1階)を鉄筋コンクリート造とした混構造とする必要がある。木造や鉄骨造の既存建物への適用ができない理由は、木造や鉄骨造の建物躯体には放射線遮蔽性能がほとんど無く、防爆性能および耐熱性能が低いからである。また建物火災時に一酸化炭素が発生して換気口から流入する危険性もある。
普通コンクリートの厚さが13.5cm~23.3cmあれば、放射線の強さ(線量率)は10分の1に減衰され、3倍の厚さの40.5cm~69.9cmあれば1000分の1に減衰される。核種が代表的なセシウム(137CS)の例では、16.3cm厚のコンクリートで線量率が10分の1に減衰され、16.3×2=32.6cm厚で100分の1に、16.3×3=48.9cm厚で1000分の1に減衰される(図5.遮へい材の厚さと放射線の減衰値(単位:cm)参照)。
新築の鉄筋コンクリート造の場合は、屋上スラブと屋外に面する外壁、及び、バルコニーの手すり壁、及び、袖壁のコンクリート厚さを200mm以上とすると、躯体だけで放射線の強さ(線量率)を約10分の1に低減できる。ただし、防爆性能および耐熱性能を高めるためには躯体は厚いほど良い。開口部(ドア・窓)の前には、コンクリート厚さ200mmの保護壁を設けると、さらに耐衝撃性能を増加させることができる。
(フレーム構造体について)
本発明におけるフレーム構造体の梁のたわみ量は、居室や事務室の天井として問題がない500分の1以下に抑えるものとする。使用する鉄骨材の肉厚や形状、大きさは、このたわみ量から算出して選択する。現場組み立て式の肉厚3.2mm以上の鉄骨材を使用した「無限連結フレーム構造」によって、どの様な広さのシェルターでも構築可能である。
具体的には、シェルターの間口が約4mまでは肉厚3.2mmの軽量鉄骨材の梁せい100mmで対応可能である。一般的な建物の7mスパンの場合は、肉厚6mm以上の重量鉄骨材を使用することで、梁のたわみを500分の1以下に抑えることができ、梁せいを150mm以下(150×75mmの角柱)にすることが可能なため、既存建物躯体内に設置する場合においても、天井高を高く確保することができる。建物躯体内において、重量のある肉厚6mm以上の重量鉄骨を使用してフレームを組み立てる方法として、台に乗せた2台の油圧ミッションジャッキで梁を持ち上げてレベルを調整する。
(床の具体例)
第2の床21は、図3に示すように、具体的には以下のような構成となっている。
・床仕上げ材
・放射線遮蔽材(硫酸バリウムボード) t12.5mm以上
・中性子吸収材(酸化ガドリニウム20%含有シリコンゴム) t10mm以上
・放射線遮蔽材(硫酸バリウムボード) t12.5mm以上
・浮床コンクリート t80mm以上
・ポリエチレンフィルム 0.15mm
・構造用合板 12mm
・防振ゴム 50mm
・背面空気層50mm以上(50mm厚耐火ロックウール充填)
・レベラー8mm以上
(天井の具体例)
第2の天井23は、図3に示すように、具体的には以下のような構成となっている。
・天井仕上げ材
・放射線遮蔽材(硫酸バリウムボード) t12.5mm以上
・中性子吸収材(酸化ガドリニウム20%含有シリコンゴム) t10mm以上
・放射線遮蔽材(硫酸バリウムボード) t12.5mm以上
・鉄骨梁SS400 肉厚3.2mm~6.0mm 鉄骨100mm×50mm以上(梁間に50mm厚耐火ロックウール充填)※梁の形状はたわみが500分の1以下となるように選択する。
・背面空気層50mm以上(50mm厚耐火ロックルール充填)
(壁の具体例)
第2の壁22は、図3に示すように、具体的には以下のような構成となっている。
・壁仕上げ材
・放射線遮蔽材(硫酸バリウムボード) t12.5mm以上
・中性子吸収材(酸化ガドリニウム20%含有シリコンゴム) t10mm以上
・放射線材(硫酸バリウムボート) t12.5mm以上
・鉄骨柱 SS400 厚3.2mm以上 50mm角柱(柱間に50mm厚ロックウール充填)
・背面空気層50mm以上(50mm厚耐火ロックルール充填)
(開口部(窓・ドア)について)
本発明によるシェルターの開口部は、窓は二重サッシまたは三重サッシ(防爆ガラス+耐熱強化ガラス等の組み合わせ)+放射線遮蔽開閉パネルとし、ドアは二重ドア(防火ドア+放射線遮蔽ドア)とする。
放射線遮蔽開閉パネルおよび放射線遮蔽ドアには、酸化ガドリニウム(Gd)含有シリコンゴムおよび硫酸バリウム含有石膏ボード等を内蔵することで、放射線(中性子およびガンマ線)を効果的に遮蔽する。
(窓の具体例)
窓は、図2に示すように、具体的には以下のような構成となっている。
開口部(窓サッシ)の耐風性能および耐熱性能を最大化するために、耐熱強化ガラス(実施例:日本板硝子パイロペアJ)に飛散防止フィルム張りまたは、防爆合わせガラス(ポリカーボネートシートを挟んだ合わせガラス。実施例:ヘラクレスガラス技研 ヘラクレスV)を組み合わせた二重サッシまたは三重サッシとする。
合わせガラスまたは飛散防止フィルム張りとすることで、防爆性能を向上させ、衝撃波や飛来物等によるガラスの貫通・損壊を低減する。防爆性能を高めるため、窓の開口面積は建築基準法の採光基準を満たす最小面積とする。開口部をライトコート(中庭)またはライトウェルに面して設ける場合は、開口部への衝撃が減少して安全性が向上するため、窓サッシの耐熱性能および防爆性能を下げて、コストを低減することができる。
それぞれの窓には、パッキン等による高い気密性を持たせることで、シェルター内へ放射能汚染物質や汚染ガスの流入を防ぐ。さらに耐火性能を高めるためには、窓の屋外側に電動防火シャッターを設置することができる。(3階以上の代替侵入口の場合は、防火シャッターのフレット厚は1mm以下とする。具体的な基準は都道府県ごとに定められるので、事前に所轄消防署に確認を要する。)
電動防火シャッターのスイッチはシェルター内に設けて、夜間や非常時は室内からの操作でシャッターを閉鎖する。窓が代替進入口(3階以上)の場合は、耐熱強化ガラス5mmに窓ガラス用フィルムB(基材の厚さ100μmの多積層PET製窓ガラス用フィルム:例 GRAFIL 貫通防止フィルムSN100など)を貼ると、最も強度が高くなる。下記の「窓ガラス用フィルムB」を参照のこと。
(窓ガラス用フィルムB)
「窓ガラス用フィルムB」は、次のものをいう。
(1)PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層以外で、基材の厚さが 100μm を超え 400μm 以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を貼付したガラス
(2)PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層で、基材の厚さが 100μm 以下のもの (内貼り用、外貼り用は問わない)を貼付したガラス
具体的な基準は都道府県ごとに定められるので、事前に所轄消防署に確認を要する。
5mm厚の強化ガラスは3mm厚の普通ガラスの7.5倍の許容荷重があるため、二重サッシとすることで普通ガラス3mm厚の15倍、三重サッシとすれば22.5倍の強度とすることが可能になる。下記の「代替進入口に使用可能なガラスの許容荷重」を参照のこと。
(代替進入口に使用可能なガラスの許容荷重)
建築基準法施行令第126条の7第1項第4号に規定する「外部から開放し、又は破壊して室内に進入できる構造」に適合するガラスの種類と許容荷重。
・フロート板ガラス 3mm 1575N
・フロート板ガラス 8mm 7200N
・合わせガラス 6mm+6mm 9720N
・合わせガラス PW6.8+6mm 9677N
・強化ガラス 5mm 11813N
(放射線遮蔽開閉パネルについて)
開口部(窓サッシ)の放射線遮蔽については、窓の室内側に放射線遮蔽開閉パネル(天吊り引戸:放射線遮蔽材(中性子吸収材とガンマ線遮蔽材の組み合わせ)を内蔵して中性子線とガンマ線を遮蔽)を取り付け、Jアラートを受信した場合などの緊急時または夜間等に手動で閉鎖して、開口部を放射線から遮蔽する。放射線遮蔽開閉パネルは、引分け戸(図2)の他に、片引き戸(2枚引き、3枚引き)等とすることもできる。
(ドアの具体例)
ドアは、図2に示すように、具体的には以下のような構成となっている。
シェルターの開口部(ドア)は二重ドアとする。
開口部(ドア)の耐火性能については、シェルター廊下側ドアに防火設備(20分耐火)または特定防火設備(1時間耐火)認定のとれた防火ドアを使用して、耐火性能を確保する。開口部(ドア)の放射線遮蔽については、シェルター居室側ドアを放射線遮蔽ドア(前述した放射線遮蔽材によって中性子線とガンマ線を遮蔽)とする。それぞれのドアには、パッキンによる高い気密性を持たせることで、シェルター内へ放射能汚染物質や汚染ガスの流入を防ぐ。鉄筋コンクリート造で玄関ドアが防火設備の場合は、前述の防火ドアは省略することもできる。
(換気装置について)
放射性物質や放射性ガスを遮蔽するための非常用換気装置は、収容人数8名以下のシェルターであれば、海外既製品の特殊空気ろ過フィルタ(イスラエル製のレインボー72R等)、8名を超える場合には、収容人数に応じて設計されたスイス製などの特殊フィルタ内蔵換気装置を導入する。
また、放射性ヨウ素ガスを吸着できる特殊フィルタとして、国産の活性炭素繊維製フィルタ(WACフィルタ:東京大学・東洋紡・ワカイダエンジニアリング)を使用した換気装置とすることも出来る。WACフィルタは粒径0.0004~0.001μmの細孔により、放射性ヨウ素ガスを99.999%以上吸着して無害化することができる。
非常時用に特殊空気ろ過フィルタ内蔵の機械式換気装置を設置する場合は、第二種換気方式(吸気が機械式ファン)を採用してシェルター内を必ず「陽圧」にして、汚染物質や汚染ガスをシェルター内に流入させない仕組みとする。
居室型核シェルターのため、24時間換気装置を必ず設ける。24時間換気装置は、高性能フィルタ内蔵の全熱交換型同時吸排気換気装置とすると良く、非常時には電源をオフにすることで、室内へ汚染物質・汚染ガスが流入するのを防ぐ。
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、第2の床21は、第1の床11上に構築される防振構造の浮床コンクリートであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、第2の床21は通常の防振構造ではない床であってもよい。
S 核シェルター構造
R 居室
10 第1の構造
11 第1の床
12 第1の壁
13 第1の天井
20 第2の構造
21 第2の床
22 第2の壁
23 第2の天井
30 耐火ロックウール
40 フレーム構造体
41 床部材
42 柱部材
43 天井部材
44 補強プレート
50 中性子吸収材
60 ガンマ線遮蔽材
70 窓
71~73 サッシ
74 放射線遮蔽パネル
75 防火シャッター
80 ドア
81 防火ドア
82 放射線遮蔽ドア
90 換気装置
91 バルコニー手摺壁

Claims (9)

  1. 建物内に設置される核シェルター構造であって、
    それぞれコンクリート躯体である、第1の床と、第1の壁と、第1の天井と、から構成される第1の構造と、
    前記第1の構造内に構築される第2の構造であって、前記第1の床上に構築される第2の床と、前記第1の壁内に構築される第2の壁と、前記第1の天井下に構築される第2の天井と、から構成される第2の構造と、を備え、
    前記第2の構造を構成する前記第2の床、前記第2の壁、及び、前記第2の天井は、中性子吸収材を有する、核シェルター構造。
  2. 前記第2の構造を構成する前記第2の床、前記第2の壁、及び、前記第2の天井は、さらにガンマ線遮蔽材を有する、請求項1に記載された、核シェルター構造。
  3. 前記ガンマ線遮蔽材は、前記中性子吸収材の両側に設置されている、請求項2に記載された、核シェルター構造。
  4. 前記第1の床と前記第2の床の間、前記第1の壁と前記第2の壁の間、及び、前記第1の天井と前記第2の天井の間には、耐火ロックウールが充填されている、請求項2に記載された、核シェルター構造。
  5. 前記第2の構造は、前記第1の床上に防振部材を介して打設される浮床コンクリートである第2の床と、前記浮床コンクリート上に設置されるフレーム構造体に取り付けられる第2の壁及び第2の天井と、から構成される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された、核シェルター構造。
  6. 前記中性子吸収材は、炭化ホウ素又は酸化ガドリニウムを含有するシリコンゴムボードである、請求項5に記載された、核シェルター構造。
  7. 建物内に設置される核シェルター構造であって、
    それぞれコンクリート躯体である、第1の床と、第1の壁と、第1の天井と、から構成される第1の構造と、
    前記第1の構造内に構築される第2の構造であって、前記第1の床上に構築される第2の床と、前記第1の壁内に構築される第2の壁と、前記第1の天井下に構築される第2の天井と、から構成される第2の構造と、を備え、
    前記第2の構造を構成する前記第2の床、前記第2の壁、及び、前記第2の天井は、中性子吸収材を有し、
    前記第2の構造を構成する前記第2の床、前記第2の壁、及び、前記第2の天井は、さらにガンマ線遮蔽材を有し、
    前記第2の構造は、前記第1の床上に防振部材を介して打設される浮床コンクリートである第2の床と、前記浮床コンクリート上に設置されるフレーム構造体に取り付けられる第2の壁及び第2の天井と、から構成され、
    前記ガンマ線遮蔽材は、硫酸バリウムを含有する石膏ボードである、核シェルター構造。
  8. 前記第2の構造から建物外へと連通する窓は、二重サッシ又は三重サッシと、前記第2の構造側に設置された放射線遮蔽開閉パネルと、を有する、請求項5に記載された、核シェルター構造。
  9. 前記第2の構造から建物内の他の部分へと連通するドアは、防火ドアと、前記第2の構造側に設置された放射線遮蔽ドアと、を有する、請求項5に記載された、核シェルター構造。
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