JP2017154960A - 熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体及びその製造法。 - Google Patents

熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体及びその製造法。 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた熱伝導性を有するダイヤモンド焼結体、及びダイヤモンド粉末を、高温・高圧下で固めて、簡便に、効率よく、かつ高い生産性で前記ダイヤモンド焼結体を製造する方法を提供する。
【解決手段】
ダイヤモンド粒子からなり、熱伝導率が50W/(m・K)以上であることを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体、及び不活性ガス雰囲気中で、ナノサイズのダイヤモンド粒子を700〜4000Kの温度及び1〜15GPaの圧力下で焼結することを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体の製造法。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導性を有するダイヤモンド焼結体、及びダイヤモンド粉末を、高温・高圧下で固めて前記優れた熱伝導性を有するダイヤモンド焼結体を、簡便に、効率よく、かつ高い生産性で製造する方法に関する。
ダイヤモンドは、化学的安定性、生体適合性、半導体特性、硬度、熱伝導性等の物性の高さから、パワー半導体デバイス、電子放出源、電極、MEMS、バイオデバイス、切削工具、研磨工具、プローブ、ヒートシンク、触媒担体等への応用が期待されている。しかし、ダイヤモンド自体の正確な微細加工が困難であるという問題があり、これがデバイスの実用化を阻む原因の一つとなっている。ダイヤモンドの微細加工では、上記の困難さのために、まずは所定の焼結体を製造することが目的となっている。ダイヤモンド焼結体の微細加工では、加工面の平坦性、形状を加工する方法等、さまざまな技術開発が行われている。
これらは所望の焼結体を加工することによって得ることを目的とした技術開発であり、所望の焼結体そのものを得る技術開発については検討されていない。
従って、本発明の目的は、優れた熱伝導性を有するダイヤモンド焼結体、及びダイヤモンド粉末を、高温・高圧下で固めて、簡便に、効率よく、かつ高い生産性で前記ダイヤモンド焼結体を製造する方法を提供することにある。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、不活性ガス雰囲気中で、ナノサイズのダイヤモンド粉末を高温・高圧下で成型することによって、熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体を製造することができることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンド粒子からなり、熱伝導率が50W/(m・K)以上であることを特徴とする。
熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体を製造する本発明の方法は、不活性ガス雰囲気中で、ナノサイズのダイヤモンド粒子を700〜4000Kの温度及び1〜15GPaの圧力下で焼結することを特徴とする。
前記焼結温度は1300〜3300Kであり、前記焼結圧力は4〜12GPaであるのが好ましい。
前記焼結の時間は1秒から5分であるのが好ましく、15秒から3分であるのがより好ましい。
前記不活性ガスは窒素、ヘリウム又はアルゴンであるのが好ましい。
本発明の方法によって得られる前記ダイヤモンド焼結体の熱伝導率は50W/(m・K)以上であるのが好ましい。
ここで言う熱伝導率は、JIS R1611に準拠して測定した。
熱伝導率の単位は、W/(m・K)で表される。ここで、
W;ワット
m;メートル
K;絶対温度(ケルビン)
を表す。
本発明のダイヤモンド焼結体は、不活性ガス雰囲気中で、ダイヤモンド粉末を高温・高圧下で焼結し、成型することによって得られ、任意の形状の熱伝導性の良好な成型物とすることができるため、パワー半導体デバイス、電子放出源、電極、MEMS、バイオデバイス、切削工具、研磨工具、プローブ、ヒートシンク、触媒担体等への応用が期待できる。
本発明のダイヤモンド粉末の製造方法で用いる装置の一例を示す模式断面図である。 本発明のダイヤモンド粉末の製造方法で用いる容器の例を示す模式図である。 本発明のダイヤモンド粉末の製造方法で用いる装置の他の一例を示す模式断面図である。 本発明のダイヤモンド粉末の製造方法で用いた爆薬及び窒素を充填するための容器を示す模式図である。 本発明のダイヤモンド粉末の製造方法で用いた氷の容器を示す模式図である。
本発明の熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体を製造するには、ナノサイズのダイヤモンド(以下、ナノダイヤモンドという。)粉末を出発原料とする。
出発原料のナノダイヤモンド粉末作製の方法には、炭素元素を含む爆薬を使用する爆轟(デトネーション)合成法や高出力の超音波を用いてグラファイトを処理するキャビテーション法等がある。
前者のデトネーションによる爆発合成は、金属製のチャンバー内で炭素を含む爆発物による合成により直径5nmのダイヤモンド結晶を生成する「デトネーション・ナノダイヤモンド」と呼ばれる。爆発の間、爆薬の炭素からダイヤモンドへと変換可能な高い圧力と温度が発生する。水冷すると、爆発合成後のチャンバーは急冷され、ダイヤモンドが生成する。生成した物質にはグラファイトや非ダイヤモンド炭素が多く付着しているため、約250℃の熱硝酸でそれらを溶解させて精製する方法である。
後者の超音波キャビテーション法は、マイクロメートル(μm)サイズのダイヤモンドを、超音波によるキャビテーションを行うことで、標準状態下の有機溶媒中で分散したグラファイトから合成する方法である。
本発明の熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体を製造する出発原料であるダイヤモンド粉末に、爆轟法を用いて作製したダイヤモンド粉末を使用して実施例を説明するが、これらの出発原料に限定されるものではない。
[1]ダイヤモンド焼結体の製造方法
本発明のダイヤモンド焼結体の製造方法の好ましい実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)ダイヤモンド焼結体の製造法
本発明のダイヤモンド焼結体の製造方法は、高温、高圧圧縮機に金型をセットし、金型中にダイヤモンド粉末を窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の不活性ガス雰囲気に満たし、高温・高圧下で圧縮、焼結し、焼結体にすることを特徴とする。
ダイヤモンド粉体には空気を含むので、高温に加熱するとダイヤモンドが酸化して燃焼するので、高温、高圧圧縮機にセットした金型にダイヤモンド粉末をセットした状態で、金型部分より吸引して、空気を予め除去しておくことが好ましい。真空で空気を除去するとダイヤモンド粉体が舞い上がるので、ダイヤモンド粉体が舞い上がらないように、徐々に真空度を上げて空気を除く事が好ましい。
しかる後、金型部分にダイヤモンド粉末が舞い上がらないように、不活性ガスを徐々に注入することが好ましい。注入する不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等が挙げられるが、窒素、ヘリウム、アルゴンが特に好ましい。
ダイヤモンド粉末は、使用用途に応じて作製された金型にコンパクトに充填され次工程で高温に加熱され、高圧がかけられる。高温加熱、加圧に先だって、金型中のダイヤモンド粉末より空気を完全に除くために、空気を除く真空操作と不活性ガスを注入する操作を数回繰り返し行う事が好ましい。
不活性ガスで置換されたダイヤモンド粉末を金型に充填した状態で、不活性ガスを温度700〜1200Kで1分から30分かけて予熱して、しかる後、高温、高圧をかけてダイヤモンド焼結体を作製する。かける温度としては、700〜4000K、好ましくは1300〜3300Kであることが良い。このときの圧力は、1〜15GPa、好ましくは4〜12GPaであることが良い。温度、圧力は、これら両者の組合せの範囲内で有れば良い。加熱する温度、圧力が700K以下、1Gpa以下であると焼結体としての形状の保持が難しく、力を加えると容易に崩れる。また熱伝導率が目的とする50W/(m・K)以上を達成できない。その理由は良く分からないが、不活性ガス等がダイヤモンド間に介在し、ダイヤモンドの密着が十分でない事が理由であるかもしれない。加熱する温度、圧力の上限は特に限定されないが、生産技術上4000K、15Gpa程度が限界である。また4000K以上では加熱による劣化が大きく好ましくない。加熱、加圧する時間は、1秒から5分の間で有れば良く、好ましくは15秒から3分程度かければ良い。高温で加圧圧縮終了後、冷却スピードが遅いとナノダイヤモンドは酸化劣化するので、冷却は速いほうが良く、冷却するスピードは、500〜6000K/分であることが良い。
本発明の方法において、ダイヤモンド粉末に銅、銀、アルミニウム等の金属粉末を、焼結体の体積に対して15体積%以下で添加して焼結してもよい。これらの金属粉末を添加することによって、ダイヤモンド粒子間の接着強度を高めることができるとともに、焼結体の熱膨張係数を調節することができる。これらの金属粉末は粒子サイズが小さいほどより低温での焼結が可能となる。従って金属粉末の粒子サイズとしては、150nm以下が好ましく、1〜100nmがより好ましい。
(2)ダイヤモンドの製造法
本発明に於いて用いるダイヤモンドは、爆轟法ナノダイヤモンドが好ましい。爆轟法ダイヤモンドは、コアがSP3ダイヤモンドで、その表面のシェルはSP2グラファイトからなるコア・シェル構造から成っている。シェルのSP2グラファイト表面に多数の官能基、すなわち、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)等が存在している。高温・高圧を加えることで固い焼結体になる理由は明らかでないが、−OHと−COOHが、又は−OH同士が反応して、エーテル結合を作製するためと考えられている。いずれにしろ、しっかりと結合したダイヤモンド焼結体が得られる。
爆轟法によるナノダイヤモンドの合成は、例えば、水と多量の氷を満たした純チタン製の耐圧容器に、電気雷管を装着した爆薬[例えば、TNT(トリニトロトルエン)/HMX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン)=50/50]を胴内に収納させ、片面プラグ付き鋼鉄製パイプを水平に沈め、この鋼鉄製パイプに鋼鉄製のヘルメット状カバーを被覆して、前記爆薬を爆裂させることにより行うことができる。反応生成物としてのナノダイヤモンドは容器中の水中から回収する。
爆薬としては、トロメチルアニリン(テトリル)、トリアミノトリニトロベンゼン(TATB)、ジアミノトリニトロベンゼン(DATB)、ヘキサニトロスチルベン(HNS)、ヘキサニトロアゾベンゼン(HNAB)、ヘキサニトロジフェニルアミン(HNDP)、ピクリン酸、ピクリン酸アンモニウム、ベンゾトリアゾール(TACOT)、エチレンジニトラミン(EDNA)、ニトログアニジン(NQ)、ペンタエリスリトールテトラナイトレート(ペンスリット)、ベンゾトリフルオキサン(BTF)等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用する。特に、RDX(60%)とTNT(40%)との混合爆薬であるコンポジションB、HMX(75%)とTNT(25%)との混合爆薬であるオクトール等を使用するのが好ましい。
これらの有機系爆薬は、炭素原子含有率が15質量%以上、好ましくは20〜35質量%、密度が1.5g/cc以上、好ましくは1.6g/cc以上、爆速は7000m/s以上、好ましくは7500m/s以上であり、酸素バランスが負、好ましくは−0.2〜−0.6であり、爆轟圧が18GPa以上、好ましくは20〜30GPa、爆轟温度が3000K以上、好ましくは3000〜4000Kである。そのため、爆薬中の炭素原子を効率よくダイヤモンドに転換することができる。
回収した爆発生成物は、ナノオーダーサイズのダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、黒く着色している。この未精製のナノダイヤモンドは、2.4〜2.6g/cm程度の密度を有し、メジアン径(動的光散乱法)は50〜500nm程度である。未精製ナノダイヤモンドの精製の程度によっては目的とする熱伝導性に差異が出るので、高熱伝導性を求める場合は、SP2グラファイトを除去して焼結体に供することが好ましい。この未精製のダイヤモンドを後述の方法で酸化処理することにより、グラファイト系炭素のシェル層を除去し、ナノダイヤモンドの粒子を得ることができる。酸化処理により精製したダイヤモンド粒子は、2〜10nm程度の一次粒子からなるメジアン径50〜250nm程度の二次粒子である。
未精製のナノダイヤモンド(粗ダイヤモンド)の酸化処理方法としては、(a)硝酸等の共存下で高温高圧処理する方法(酸化処理A)、(b)水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で処理する方法(酸化処理B)、(c)水及び/又はアルコールからなる溶媒に酸素を共存させて、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1MPa(ゲージ圧)以上の圧力で処理する方法(酸化処理C)、又は(d)380〜450℃で酸素を含む気体により処理する方法(酸化処理D)が挙げられる。これらの酸化処理は、単独で行ってもよいし、組合せて行っても良い。酸化処理を組合せる場合は、爆轟法で得られた未精製のナノダイヤモンドにまず酸化処理Aを施し、さらに酸化処理B〜Cのいずれかを施すのが好ましい。
爆轟法で得られた未精製のダイヤモンドに酸化処理Aを施すことによりグラファイト層の一部が除去されたダイヤモンド粒子(グラファイト−ダイヤモンド粒子)が得られ、このグラファイト−ダイヤモンド粒子に酸化処理B〜Cのいずれかの処理を施すことにより前記グラファイト層をさらに除去することができる。
酸化処理したダイヤモンドの密度は、ダイヤモンド粒子中のダイヤモンドとグラファイトとの量によって決まる。すなわち、未精製のナノダイヤモンドに施す酸化処理の程度によって、ダイヤモンド粒子中のダイヤモンドとグラファイトとの量を変え、ダイヤモンド粒子の密度を調節することができる。グラファイト系炭素(グラファイトの密度:2.25g/cm)の残存量が少なくなればなるほどダイヤモンドの密度(3.50g/cm)に近づく。従って、精製度が高くグラファイト系炭素の残存量が少ないほど密度が高くなる。
[2]ダイヤモンド焼結体
本発明の製造方法によって得られるダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンド粒子からなり、熱伝導率が50W/(m・K)以上であることを特徴とする。本発明のダイヤモンド焼結体は、熱伝導性に優れ、好ましくは100W/(m・K)以上の熱伝導率を有し、さらに好ましくは200W/(m・K)以上の熱伝導率を有し、最も好ましくは300W/(m・K)以上の熱伝導率を有する。
ダイヤモンド焼結体に含まれる気孔は焼結体の熱伝導率に対して悪影響を及ぼすため、気孔率はできるだけ小さい方がよい。ダイヤモンド焼結体の気孔率は1%以下であるのが好ましい。
ダイヤモンド焼結体は、85体積%以上のダイヤモンド粒子を含有するのが好ましい。85体積%以上のダイヤモンド粒子を含有することにより、優れた熱伝導性を発揮する。本発明のダイヤモンド焼結体のダイヤモンド含率は、好ましくは90体積%超、より好ましくは95体積%以上、最も好ましくは99体積%以上である。ダイヤモンド含有量が多いほど高い熱伝導率のダイヤモンド焼結体が得られる。
ダイヤモンド焼結体は、残部に銅、銀、アルミニウム等の金属を含有してもよい。これらの残部の金属は、焼結体の体積に対して15体積%以下である。これらの金属が含まれることにより、ダイヤモンド粒子間の接着強度を高めることができるとともに、焼結体の熱膨張係数を調節することができる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
(1)爆薬の準備
図4(a)に示すように、TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)を60/40の比で含む0.65kgの爆薬3を、円筒状のPET製の容器20aに充填し、同じくPET製の蓋20bをして容器20aを密閉した。前記蓋20bに設けられたノズル21から容器20a内の空気を吸引し、代わりに窒素ガスを充填する操作を5回繰り返した後、ノズルを閉めて容器20aを密閉した。このような操作により、容器20a内は窒素ガスで満たされ、このときの酸素濃度は0.5容量%であった。なお爆薬3には、起爆用爆薬及び電気雷管を取り付けた。
(2)爆薬の設置
この爆薬3を充填した容器20aを、図1に示すように、5mの大きさの耐圧性容器1内のほぼ中央部分に吊材4で吊り下げ、耐圧性容器1内の空気を窒素と置換した。前記吊材4として銅線を使用し、爆薬3を起爆するための電気雷管への電流はこの銅線を通して供給した。このときの耐圧性容器1内は1気圧であり、酸素濃度は4容量%であった。
(3)爆発
耐圧性容器1の外壁に、送風機で風を当てながら窒素ガスで満たした容器20aに充填した爆薬3を爆発させた。
(4)爆発生成物の回収
爆発後5分間静置し、耐圧性容器1の上蓋7を開け、水で耐圧性容器の内壁面を洗浄しながら黒色液状の爆発生成物(未精製のダイヤモンド)を回収した。この未精製のダイヤモンドの収率は使用した爆薬量に対して7.5質量%であり、密度は2.44g/cm、メジアン径(動的光散乱法)は100nmであった。この未精製のダイヤモンドは、密度から計算して、85体積%のグラファイト系炭素と15体積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
(5)ダイヤモンドの精製
この未精製のダイヤモンドを60質量%硝酸水溶液と混合し、160℃、14気圧、20分の条件で酸化性分解処理を行った後、130℃、13気圧、1時間で酸化性エッチング処理を行った。酸化性エッチング処理により、グラファイトが一部除去された粒子が得られた。この粒子を、アンモニアを用いて、210℃、20気圧、20分還流し中和処理した後、自然沈降させデカンテーションにより35質量%硝酸での洗浄を行い、さらにデカンテーションにより3回水洗し、遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、ナノダイヤモンドの粉末を得た。このナノダイヤモンド粉末の収率は使用した爆薬量に対して4.1質量%であり、密度は3.36g/cm、メジアン径は35nm(動的光散乱法)であった。密度から計算して、89体積%のダイヤモンドと11体積%のグラファイト系炭素からなっていると推定された。
実施例1〜5、比較例1〜2
得られたナノダイヤモンド粉末を、金型に入れ、ナノダイヤモンド粉末が飛ばないように空気を抜き、同様にナノダイヤモンドが飛ばないように、徐々に不活性ガスアルゴン注入をする。これを5回繰り返し、アルゴン雰囲気のナノダイヤモンドを1000Kで2分間、予め加熱して、表1に記載の温度、圧力で圧縮機にかけて10mm径の厚み3mmのダイヤモンド焼結体を作製した。この試料の熱伝導率を測定した結果を表1に示す。
Figure 2017154960
Figure 2017154960
表1から明らかなように、熱伝導率が50W/(m・K)以上を満足するには、処理温度は、700〜4000K、処理圧力が1〜15GPaの組み合わせが好ましく、処理温度が1300〜3300K、処理圧力が4〜12GPaである事が最も好ましい事が理解される。
実施例6〜10、比較例3〜4
実施例1〜5、比較例1〜2と同様にして、(1)爆薬の準備、(2)爆薬の設置、及び(3)爆発の操作を行った後、さらに、(1)爆薬の準備、(2)爆薬の設置、及び(3)爆発の操作を4回繰り返し、続けて合計で5回の爆発を行った。ただし、2回目以降の爆発においては、爆薬を設置した後に容器内のガスを窒素で置換する操作は省略した。5回目の爆発後、実施例1〜5、比較例1〜2と同様にして、(4)爆発生成物の回収作業、及び(5)ダイヤモンドの精製を行った。この未精製のダイヤモンドを60質量%硝酸水溶液と混合し、130℃、10気圧、10分の条件で酸化性分解処理を行った後、110℃、10気圧、30分で酸化性エッチング処理を行った。酸化性エッチング処理により、グラファイトが一部除去された粒子が得られた。この粒子を、アンモニアを用いて、180℃、15気圧、20分還流し中和処理した後、自然沈降させデカンテーションにより35質量%硝酸での洗浄を行い、さらにデカンテーションにより3回水洗し、遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、ダイヤモンドの粉末を得た。このダイヤモンド粉末の収率は使用した爆薬量に対して4.3質量%であり、密度は3.13g/cm、メジアン径は30nm(動的光散乱法)であった。密度から計算して、70体積%のダイヤモンドと30体積%のグラファイト系炭素からなっていると推定された。
実施例6〜10、比較例3〜4の項で得られたナノダイヤモンド粉末を、金型に入れ、ナノダイヤモンド粉末が飛ばないように空気を抜き、同様にナノダイヤモンドが飛ばないように、徐々に不活性ガスアルゴン注入をする。これを5回繰り返し、アルゴン雰囲気のナノダイヤモンドを1000Kで2分間、予め加熱して、表2に記載の温度、圧力で圧縮機にかけて10mm径の厚み600μのナノダイヤモンド焼結体を作製した。この試料の熱伝導率を測定した結果を表2に示す。
Figure 2017154960
表2から明らかなように、熱伝導率が50W/(m・K)を満足するには、処理温度は、700〜4000K、処理圧力が1〜15GPaの組み合わせが好ましく、処理温度が1300〜3300K、処理圧力が4〜12GPaである事が最も好ましい事が理解される。
表1、表2の結果から明らかなように、熱伝導率が50W/(m・K)を満足するダイヤモンド焼結体を作製するには、高温、高圧圧縮機にセットした金型中に、ダイヤモンド粉末をセットし、空気を除き、不活性ガスを充填を数回繰り返し、予め余熱を加えてしかる後、処理温度は、700〜4000K、処理圧力が1〜15GPaの組み合わせが好ましく、処理温度が1300〜3300K、処理圧力が4〜12GPaであることが最も好ましいことが理解される。また、1秒から5分間の範囲で焼結すればこれらの条件を満足し、特に15秒から3分間の範囲で焼結すれば、問題なく上記熱伝導率を満足することを確認した。
1・・・耐圧性容器
2・・・容器
3・・・爆薬
4・・・吊材
5・・・リーク弁
6・・・耐圧性の密閉容器
7・・・上蓋
20a・・・容器
20b・・・蓋
21・・・ノズル
22a,22b・・・氷の容器

Claims (7)

  1. ダイヤモンド粒子からなり、熱伝導率が50W/(m・K)以上であることを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体。
  2. 熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体を製造する方法であって、不活性ガス雰囲気中で、ナノサイズのダイヤモンド粒子を700〜4000Kの温度及び1〜15GPaの圧力下で焼結することを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体の製造法。
  3. 請求項2に記載のダイヤモンド焼結体の製造法において、前記焼結温度が1300〜3300Kであり、前記焼結圧力が4〜12GPaであることを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体の製造法。
  4. 請求項2又は3に記載のダイヤモンド焼結体の製造法において、前記焼結の時間が1秒から5分であることを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体及びその製造法。
  5. 請求項4に記載のダイヤモンド焼結体の製造法において、前記焼結の時間が15秒から3分であることを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体及びその製造法。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載のダイヤモンド焼結体の製造法において、前記不活性ガスが窒素、ヘリウム又はアルゴンであることを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体の製造法。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載のダイヤモンド焼結体の製造法において、前記ダイヤモンド焼結体の熱伝導率が50W/(m・K)以上であることを特徴とする熱伝導性に優れたダイヤモンド焼結体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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