JP2008138258A - アルミニウム液体を利用した硬質材料の作製方法及びその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬質粒子を分散した耐摩耗性に優れる複合材料に対して成形助剤を利用することなく、最終製品形状に成形する方法と、軽量性及び機能性を付与するために複合材料を多孔質化する方法及び該方法により作製した硬質材料を提供する。
【解決手段】複合材料の素地となる金属相にアルミナイド金属間化合物を用い、硬質粒子とアルミナイド金属間化合物を構成する遷移金属粉末とアルミニウム粉末を混合して加熱することで、アルミニウムの軟化あるいは溶融現象を利用して最終製品形状に成形し、更に、加熱時に遷移金属とアルミニウムの混合体からアルミナイド金属間化合物が合成される際に生じる体積変化により、気孔を導入させるとともに、残存するアルミニウムが蒸発除去されることを利用して多孔質化させる、硬質材料の作製方法、及びその硬質材料製品。
【選択図】図3

Description

本発明は、アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料の作製方法及びその成形体に関するものであり、更に詳しくは、硬質粒子の結合相であるアルミナイド金属間化合物を形成するアルミニウムを利用して、多孔質成形体及び複雑形状の成形体をニアネットシェイプ成形することが可能な硬質材料の作製技術及びその成形体に関するものである。本発明は、耐食性に優れるため、多孔質体にしても腐食環境に強く、部材の軽量化とともに、多孔質の通気性を利用した機能性部材として好適に使用できる硬質材料及びアルミニウムの軟化現象や溶融現象を利用した高精度成形技術を提供するものであり、具体的には、硬質粒子を遷移金属粉末及びアルミニウム粉末と混合して加熱成形することにより、アルミニウムの軟化あるいは溶融状態を利用して最終製品形状に成形する方法と、アルミニウムと遷移金属の混合物からアルミナイド金属間化合物の合成時に生じる体積変化あるいはアルミニウムの蒸発現象を利用して多孔質化する方法及びその硬質材料製品を提供するものである。
超硬合金に代表される、金属と硬質粒子を複合化した硬質材料は、耐摩耗性に優れ、高強度であるため、金型や工具として利用されている。このような硬質材料は、セラミックスなどの硬質材料と異なり、電気伝導性があるため、放電加工などの電気を利用した加工技術で最終製品形状に加工することができる。しかし、金属と硬質粒子を複合化した硬質材料は、その強度を高めるために、コバルトやニッケルなどの遷移金属を純金属の状態で利用する方法が採用されている。そのため、この種の硬質材料には、高温での軟化や錆の問題があった。
このような硬質材料の中で、最も広く利用されている超硬合金の耐食性を改善するために、幾つかの技術が開発されている。先行技術として、例えば、アルミニウムを結合相中に含む新しい超硬合金が開発されている(特許文献1)。更に、アルミナイド金属間化合物をアルミニウムの液相を利用して成形する際には、生成するアルミニウム液相量の制御が重要であるが、先行技術として、例えば、アルミナイド金属間化合物の低温成形合成法として、非平衡粉末を利用した技術が開発されている(特許文献2)。
金属と硬質粒子を複合化した硬質材料は、焼結などの方法で作製されるが、一般に、硬質材料には、高強度が要求されるため、気孔が残留しないようなプロセスが採用されている。超硬合金は、炭化タングステンとコバルトの複合材料であるが、溶融したコバルトが炭化タングステンとの濡れ性が良好であることを利用して、気孔の残留を防止している。更に、焼結した成形体を熱間等方加圧(HIP)などで加圧成形して、気孔を潰す技術も開発されている。
また、通電と加圧を同時に付与するパルス通電焼結により、緻密な焼結体を作製する技術も開発されている。一方、超硬合金などの優れた耐摩耗性を利用した超硬合金製のチャッキング治具や摺動治具などの部材の要求がある。しかし、これらの部材には、気孔の残留が要求されており、従来の材料では、対応することができない。
また、従来の技術では、金属粉末と硬質粒子の混合粉末を金型などで成形する際に、成形助剤や離型剤として、パラフィンやポリビニールアルコール、ステアリン酸などの有機材料が利用されている。しかし、これらを加熱して除去する際に、炭素源や酸素源になり、気孔が残存して、強度が低下するなどの問題があった。更に、成形助剤や離型剤は、廃棄物となるため、環境負荷を低減するためにも、これらの使用量を減じることが好ましい。
特許第2611177号公報 特許第2818860号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の問題点を解決することができる新しい硬質材料及びその作製技術を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、アルミニウムを結合相に含む硬質複合材料のアルミニウムの軟化時や溶解時に加圧成形することで、有機材料の成形助剤を用いることなく目的形状に成形できること、及びその後に加熱を継続し、燃焼合成反応を誘発することにより、アルミニウムの蒸発と金属間化合物相の合成に伴う収縮で気孔が形成されることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、結合相にアルミニウムを含む硬質複合材料の作製方法において、アルミニウムの軟化時あるいは溶解時の比較的低温で加圧成形することで緻密な成形体を作製すること、燃焼合成反応でアルミナイド金属間化合物が形成される際に体積変化を伴うことで目的形状の成形体を成形助剤などを添加することなく成形すること、及び成形温度より高温において気孔を導入して多孔質化すること、を可能とする新しい硬質材料の作製方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、アルミナイド金属間化合物の優れた耐食性を生かした多孔質な硬質複合材料及び無駄な成形助剤などを用いずに最終形状に成形した硬質複合材料を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料を作製する方法であって、硬質粒子、遷移金属、及びアルミニウムの粉末を混合し、加熱によりアルミニウムを軟化あるいは溶解して、最終形状に加圧成形した後、更に加熱して遷移金属とアルミニウムの燃焼合成反応によりアルミナイド金属間化合物を合成し、アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料を作製することを特徴とする硬質材料の作製方法。
(2)燃焼合成反応の過程で気孔を発生させて成形体を多孔質化する、前記(1)に記載の硬質材料の作製方法。
(3)燃焼合成反応によりアルミナイド金属間化合物を合成するとともに、アルミニウムの一部を蒸発させて、成形体中の気孔量を増加させる、前記(1)に記載の硬質材料の作製方法。
(4)燃焼合成反応後の加圧力、加熱温度、及び/又は保持時間により気孔の残存量を制御する、前記(2)又は(3)に記載の硬質材料の作製方法。
(5)硬質粒子が、炭化物、硼化物、窒化物又はこれらの複合物である、前記(1)から(4)のいずれかに記載の硬質材料の作製方法。
(6)遷移金属が、鉄、チタン、ニッケル、ニオブの1種以上を含む、前記(1)から(4)のいずれかに記載の硬質材料の作製方法。
(7)加熱する機構として通電加熱を利用する、前記(1)から(4)のいずれかに記載の硬質材料の作製方法。
(8)アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料であって、1)炭化タングステン(WC)−FeAl超硬合金からなり、2)WCと、FeとAlからなる金属間化合物で構成されており、3)X線回折によりWCとFeの化合物が観察されず、4)気孔量が0.1%から30%の多孔質成形体である、ことを特徴とするWC−FeAl硬質材料。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料を作製する方法であって、アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質複合材料において、アルミニウムが軟化あるいは溶解した際に最終形状に加圧成形し、更に加熱することにより燃焼合成反応によりアルミナイド金属間化合物を合成し、アルミニウムの一部を除去することにより気孔を導入することを特徴を有するものである。
本発明では、気孔率の高い成形体を得る場合には、アルミニウムの一部を高温で蒸発除去するなどの方法を積極的に利用すること、及び硬質粒子と金属の混合時にアルミニウムの量を調整すること、で気孔率の高い成形体の作製を実現することができる。本発明において、硬質粒子と金属は、均質に混合することが必要であり、これらには、微細な粉末を用いることが好ましい。
これらの粉末を混合する方法には、振動型ボールミル、転動型ボールミル、アトリッションボールミル、遊星型ボールミル、などを用いて混合する方法が好適なものとして例示される。これらの混合時には、粉砕効果と分散性を向上するため、硬質鋼ボールや超硬合金ボールなどの媒体を用いることができる。また、エチルアルコール、メチルアルコール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶剤を用いることも可能である。
本発明において、遷移金属とアルミニウムの配合割合は、最終的に合成するアルミナイド金属間化合物の組成を考えて決定する必要がある。アルミナイド金属間化合物のアルミニウム組成より過剰に加えたアルミニウムは、加熱した際に蒸発除去され、気孔を形成する。また、アルミナイド金属間化合物が生成する際には、体積が減少するため、微細な気孔が生成する。
アルミニウムは、一般に、圧延などの加工を加熱して行う場合、300〜600℃で行っており、この温度範囲では、アルミニウムが変形に耐え得る状態(軟化した状態)にあり、更に加熱すると、660℃で溶解することが知られている。本発明においては、このアルミニウムの軟化あるいは溶解現象を利用して、加圧下にて変形を行う。
アルミニウムが与えられた外力により滑らかに変形することにより、型内に充填し、最終製品形状にすることができる。また、固体状態の金属を室温付近で変形させるには、大きな外力が必要となり、型との摩擦力も大きく、型の損傷が大きくなるが、アルミニウムが軟化あるいは溶融した状態では、比較的小さな外力でも均等な変形が可能となり、結果的に、型への負荷も低減される。
加圧成形時の加熱方法は、一般に用いられている抵抗加熱式のヒーターや高周波加熱、光源を利用した赤外線炉などを利用することができる。高速な加熱を行うためには、導電性の型に直接通電を行って通電加熱する方式が望ましい。加熱の雰囲気は、アルミニウムや遷移金属の酸化を防止するために、真空雰囲気、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気が好ましい。
型内で加圧成形された硬質粒子と遷移金属、アルミニウムの混合体は、最終製品形状に緻密に成形される。更に加熱することで、遷移金属とアルミニウムは燃焼合成反応によりアルミナイド金属間化合物を合成する。アルミナイド金属間化合物の密度は、一般に、アルミニウムの密度と遷移金属の密度の和より小さい。これは、アルミナイド金属間化合物が燃焼合成反応で合成されることから、遷移金属とアルミニウムの混合体よりアルミナイド金属間化合物の方が化学的に安定であり、原子間の結合力が強固であるためである。
その結果、燃焼合成反応でアルミナイド金属間化合物が生成すると、成形体に細かい気孔が多数発生することになる。この気孔は、サイズが小さいため、その後、加圧下にて加熱を続けると、焼結が進行して、気孔を完全に消失させることもできる。気孔の残存量は、燃焼合成反応後の加圧力と加熱温度に依存しており、加圧力と加熱温度で制御することができる。
硬質粒子と遷移金属、アルミニウムを混合する際に、アルミニウムを遷移金属とアルミニウムからなるアルミナイド金属間化合物のアルミニウム組成より多く配合することにより、前記の加熱過程において、燃焼合成反応時あるいは燃焼合成反応後に、過剰のアルミニウムが蒸発除去される。
アルミニウムの蒸発は、加熱時の雰囲気の影響を受け、真空雰囲気や減圧雰囲気では蒸発しやすくなる。また、酸素が加熱時の雰囲気中に存在する場合には、過剰のアルミニウムの一部は、成形体の表面部で酸化アルミニウムを生成する。これらのアルミニウムの除去を生じさせることで、成形体中の気孔量を増加させることが可能となる。
本発明は、硬質な粒子を含む複合材料に、耐食性を付与するため、素地をアルミナイド金属間化合物にしたものであり、従来の硬質な粒子を含む複合材料の作製方法のように、硬質な複合材料を構成する硬質粒子と素地となる金属粉末を混合して焼結するのではなく、アルミナイド金属間化合物を構成する遷移金属とアルミニウムの粉末を出発原料として加熱して焼結するところに最大の特色がある。
本発明は、硬質粒子を遷移金属粉末及びアルミニウム粉末と混合して加熱成形することにより、アルミニウムの軟化あるいは溶融状態を利用して最終製品形状に成形する方法と、アルミニウムと遷移金属の混合物からアルミナイド金属間化合物の合成時に生じる体積変化、あるいはアルミニウムの蒸発現象を利用して、多孔質化する方法を提供するものである。
本発明では、硬質粒子、遷移金属及びアルミニウムの粉末を混合し、加熱によりアルミニウムを軟化あるいは溶解して、最終形状に加圧成形した成形体とした後、更に加熱して遷移金属とアルミニウムの燃焼合成反応によりアルミナイド金属間化合物を合成することで、硬質粒子と遷移金属との化合物を生じることなく、硬質粒子と、アルミナイド金属間化合物から構成される硬質材料を製造することができる。
本発明では、上記燃焼合成反応の過程で気孔を発生させて成形体を多孔質化すること、また、燃焼合成反応によりアルミナイド金属化合物を合成するとともに、アルミニウムの一部を蒸発させて、成形体中の気孔量を増加させること、更に、燃焼合成反応後の加圧力と加熱温度により気孔の残存量を制御すること、が可能であり、硬質粒子を分散した従来材では、耐食性の悪さから多孔質化が困難であったが、本発明では、これらにより所望の気孔量を残存させた部材とすることが可能である。
本発明の硬質材料は、物として、アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料であって、炭化タングステン(WC)−FeAl超硬合金からなり、WCと、FeとAlからなる金属間化合物で構成されており、X線回折によりWCとFeの化合物が観察されず、気孔量が0.1%から30%であることで特徴付けられるWC−FeAl硬質材料である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、アルミナイド金属間化合物を結合相とする新しい硬質材料の製造方法及びその硬質材料を提供することが可能であり、また、出発原料であるアルミニウムは、加熱の途中で軟化あるいは溶融するため、本硬質材料の成形性を大きく改善することができる。
(2)そのため、これまで用いられていた有機材料などの成形助剤を必要とせず、複雑な最終形状の成形体をニアネット成形することができる。
(3)成形助剤は、産業廃棄物やガスになるものが多く、環境には好ましくないものであるが、本発明の方法では、廃棄物などを低減することができる。
(4)更に、耐摩耗性に優れる硬質粒子を分散した複合材料は、これまで耐食性の悪さから多孔質化が困難であったが、本発明では、素地に耐食性を持たせることにより、多孔質化にも対応できる材料とすることができる。
(5)硬質粒子である炭化タングステンは、比重が大きく、部材が重くなるが、多孔質化することにより、軽量化がはかられるとともに、通気性を利用した機能性部材としての応用も期待される。
(6)通気性を利用することにより、吸引装置と組み合わせたチャッキング用治具やフィルターなどへ応用可能である。
(7)多孔質な硬質材料は砥石としての応用も可能であり、孔を利用した切削屑の効率的な排出も期待できる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
炭化タングステン粉末(日本新金属製)35.4gに、鉄粉末3.5gとアルミニウム粉末1.1gを添加して、遊星型ボールミルで1時間の混合を行った。得られた混合粉末を、内径10mmで外形30mm、高さ30mmの黒鉛製型内に、約5gの混合粉末として充填し、直流の電流を印加して加熱を行った。
黒鉛型内に3mm挿入したK型シース熱電対により、温度が1080℃になるようにして、種々の時間保持して、成形体を作製した。得られた成形体の密度をアルキメデス法により測定したところ、1分間の保持では理論密度の89.5%、5分間の保持では96.2%、10分間の保持では97.7%の成形体となっていた。理論密度との差は空隙率を示しており、保持時間を変化させることで、空隙率を変えることができた。成形体は、いずれも炭化タングステンとFeAl金属間化合物の複合材料であった。
炭化タングステン粉末(日本新金属製)35.4gに、鉄粉末3.5gとアルミニウム粉末1.1gを添加して、遊星型ボールミルで1時間の混合を行った。得られた混合粉末を、内径10mmで外形30mm、高さ30mmの黒鉛製型内に、約5gの混合粉末として充填し、直流の電流を印加して加熱を行った。
黒鉛型内に3mm挿入したK型シース熱電対により、温度が950℃、1050℃、1150℃になるようにして1分間保持して、成形体を作製した。950℃で理論密度の76.9%、1050℃で88.5%、1150℃で99.2%の成形体となっていた。理論密度との差は空隙率を示しており、成形温度を変化させることで、複合材料の空隙率を変えることができた。成形体は、いずれも炭化タングステンとFeAl金属間化合物の複合材料であった。
炭化タングステン粉末(日本新金属製)28.8gに、鉄粉末8.5gとアルミニウム粉末2.7gを添加して、遊星型ボールミルで1時間の混合を行った。得られた混合粉末を、内径10mmで外形30mm、高さ30mmの黒鉛製型内に、約5gの混合粉末として充填し、直流の電流を印加して加熱を行った。
黒鉛型内に3mm挿入したK型シース熱電対により、温度が1000℃になるようにして、成形体を作製した。得られた成形体は、理論密度の94.8%であり、5.2%の空隙を有する多孔体であった。成形体のSEMによる組織を図1に示す。
炭化タングステン粉末(日本新金属製)35.4gに、鉄粉末3.5gとアルミニウム粉末1.6gを添加して、遊星型ボールミルで1時間の混合を行った。得られた混合粉末を、内径10mmで外形30mm、高さ30mmの黒鉛製型内に、約5gの混合粉末として充填し、直流の電流を印加して加熱を行った。
黒鉛型内に3mm挿入したK型シース熱電対により、温度が1100℃になるようにして、真空中で成形体を作製した。得られた成形体は、炭化タングステンとFeAl金属間化合物からなり、図2のSEM組織のように、大きな気孔が存在する多孔質体であった。密度は理論密度の75%程度であった。
硼化チタン粉末(日本新金属製)17.7gに、鉄粉末1.8gとアルミニウム粉末0.8gを添加して、乳鉢にて1時間の混合を行った。得られた混合粉末を、内径10mmで外形30mm、高さ30mmの黒鉛製型内に、約2gの混合粉末として充填し、直流の電流を印加して加熱を行った。
黒鉛型内に3mm挿入したK型シース熱電対により、温度が1100℃になるようにして作製した成形体は、硼化チタンとFeAl金属間化合物の複合材料であった。得られた成形体は、理論密度の82%であり、18%の空隙を有する多孔質体であった。得られた焼結体のX線回折の結果を図3に示す。
炭化タングステン粉末(スタルク製)35.4gに、鉄粉末3.5gとアルミニウム粉末1.1gを添加して、遊星型ボールミルで1時間の混合を行った。得られた混合粉末を、内径20mmで外形30mm、高さ30mmの黒鉛製型内に、10mm径で5mm高さの黒鉛製円柱を設置した上に、約20gの混合粉末として充填し、直流の電流を印加して加熱を行った。
黒鉛型内に3mm挿入したK型シース熱電対により、温度が1150℃になるようにし、成形体に65kg/cmの加圧力が作用するようにして加圧成形したWC−FeAl硬質材料の金型を作製した。アルミニウムが溶解する660℃近傍で大きな収縮が観察された後、焼結が進行する様子が観察された。得られた成形体の外観を図4に示す。外径が20mmで、中心に10mm径で深さ5mmのくぼみを有する成形体をニアネット成形することができた。成形体は、理論密度の99.5%の密度であった。
以上詳述したように、本発明は、アルミニウム液体を利用した硬質材料の作製方法及びその成形体に係るものであり、本発明は、これまでに超硬合金などの耐摩耗性材料が利用されてきた産業分野において、特に、耐食性が要求される部材に好適に利用することが可能であり、具体的には、例えば、海中で利用される掘削工具や破断切断工具、砂などの硬質粒子との摩耗が常に関与する土木鉱山用の掘削工具、岩石粉砕用のクラッシャーの刃などに、好適に適用することができる。また、素地であるアルミナイド金属間化合物は、高温での耐酸化性あるいは強度に優れるため、高温加工の鍛造用金型や線引き型、引き抜き型などへ利用可能である。本発明は、硬質材料を多孔質化することにより、耐摩耗性と通気性、軽量性などを同時に発現させることを可能とし、吸引用チャック治具や研磨用治具、潤滑用治具などへの応用が期待できる。
1000℃にて焼結成形したWC−FeAl硬質材料のSEM写真(黒い部分が孔)を示す。 1100℃の真空中でアルミニウムの一部を蒸発除去させたWC−FeAl硬質材料のSEM写真を示す。 本発明の方法により得られた焼結体のX線回折の結果を示す。 アルミニウムを利用して加圧成形したWC−FeAl硬質材料の金型の外観写真を示す。

Claims (8)

  1. アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料を作製する方法であって、硬質粒子、遷移金属、及びアルミニウムの粉末を混合し、加熱によりアルミニウムを軟化あるいは溶解して、最終形状に加圧成形した後、更に加熱して遷移金属とアルミニウムの燃焼合成反応によりアルミナイド金属間化合物を合成し、アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料を作製することを特徴とする硬質材料の作製方法。
  2. 燃焼合成反応の過程で気孔を発生させて成形体を多孔質化する、請求項1に記載の硬質材料の作製方法。
  3. 燃焼合成反応によりアルミナイド金属間化合物を合成するとともに、アルミニウムの一部を蒸発させて、成形体中の気孔量を増加させる、請求項1に記載の硬質材料の作製方法。
  4. 燃焼合成反応後の加圧力、加熱温度、及び/又は保持時間により気孔の残存量を制御する、請求項2又は3に記載の硬質材料の作製方法。
  5. 硬質粒子が、炭化物、硼化物、窒化物又はこれらの複合物である、請求項1から4のいずれかに記載の硬質材料の作製方法。
  6. 遷移金属が、鉄、チタン、ニッケル、ニオブの1種以上を含む、請求項1から4のいずれかに記載の硬質材料の作製方法。
  7. 加熱する機構として通電加熱を利用する、請求項1から4のいずれかに記載の硬質材料の作製方法。
  8. アルミナイド金属間化合物を結合相とする硬質材料であって、1)炭化タングステン(WC)−FeAl超硬合金からなり、2)WCと、FeとAlからなる金属間化合物で構成されており、3)X線回折によりWCとFeの化合物が観察されず、4)気孔量が0.1%から30%の多孔質成形体である、ことを特徴とするWC−FeAl硬質材料。
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