JP2008297619A - セラミックス分散マグネシウム複合材料及びその製造方法 - Google Patents

セラミックス分散マグネシウム複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量性と耐熱性が要求される部位に幅広く適用可能なマグネシウム基複合材料を提供する。
【解決手段】マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を複合化した塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料であって、当該複合材料の円相当径が0.3mmより大であり、セラミックス粒子が5重量%以上で60重量%以下であり、X線回折によりマグネシウムとセラミックスを示す回折ピークが観察され、マグネシウムとセラミックスの界面での脆化相の形成が観察されない、ことを特徴とする塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料、及びマグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を、硬質なボール及び容器を用いた密閉型の乾式粉砕・混合方法により複合化する塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、セラミックス粒子を分散したマグネシウム基複合材料及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、セラミックス粉末とマグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末を硬質なボールを用いて密閉型の乾式粉砕・混合方法により作製した塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料及びその製造方法に関するものである。本発明に係るセラミックス分散マグネシウム基複合材料は、軽量な構造部材であるマグネシウムの硬度を高めて耐摩耗性を高めるとともに、耐熱性を付与する技術を提供することができる。
マグネシウムは、実用金属材料の中で最も軽量であるが、軟質で強度が不足するため、他の金属元素を添加した合金の形で実用化されてきている。しかし、マグネシウムの融点の低さから、合金化しても耐熱性は十分に改善されていない。そこで、強度と耐熱性の改善をねらったセラミックス粒子との複合化が注目されている。
マグネシウムは、活性な金属材料であり、その複合化は、非常に困難である。特に、母材となるマグネシウムあるいはマグネシウム合金を溶解して複合化を行うと、比重差の点で複合材料が浮遊あるいは沈降して分離する問題がある上、攪拌を行うと、溶融したマグネシウムが酸化して発火する危険を伴うことになる。そのため、できるだけ低温で複合化する試みもなされている。低温での成形では、マグネシウム合金の一部が溶解した半溶融状態であり、見かけ粘性の高さを利用した複合化が行える。しかし、複合化には限度があり、複合化するセラミックス粒子などの量は少なく、幅広い複合化率に対応した複合化方法が求められていた。
また、マグネシウムとセラミックスとの複合化も試みられているが、マグネシウムは、酸素や窒素、炭素などの軽元素と容易に反応するため、セラミックス粒子とマグネシウムを複合化する際には、マグネシウムと軽元素との反応が生じて脆い化合物を生成し、強度が低下するという問題があった(非特許文献1)。そのため、複合化するセラミックス粒子は限定され、溶融状態で複合化する際には、その制約が更に厳しくなるという問題があった。
マグネシウム合金溶湯中へのセラミックス粒子の複合化が困難であるため、あらかじめセラミックス繊維によるプリフォームを作製しておき、この間隙にマグネシウム合金溶湯を高圧で流し込むことによる複合化技術が開発されている。しかし、この技術では、複合化は可能であるものの、20体積%以下の低いセラミックス粒子の複合化率の成形体しか作製できない上、高圧の付加によりプリフォームが破損しやすいという問題があった(非特許文献2)。
マグネシウムと金属粉末の複合化の先行技術として、例えば、乾式粉砕・混合方法である機械的合金化法を用いてマグネシウム合金中に鉄あるいは鉄を含有した合金を分散し、軽量で磁性を有する材料とするマグネシウムと鉄との複合化技術(特許文献1)、マグネシウムあるいはマグネシウム合金中にベリリウムを分散したマグネシウムとベリリウムとの複合化技術(特許文献2)、が開発されている。しかし、これらの技術は、マグネシウムと合金を形成しない金属元素を対象に、マグネシウムの展延性と軟質性を利用して金属粒子を練り込んでいく技術であり、耐熱性の高いセラミックス粒子のようにマグネシウムと反応する粉末に応用することができないという問題があった。
特開平9−302425号公報 特開2001−131672号公報 V.Laurent et. al :Journal of Material Science, 27(1992),4447 M.Zheng et.al :Materials Letters, Vol.47(2001),118
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記複合化技術の問題点を解決することを目標として鋭意研究を重ねた結果、マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粒子を硬質なボール及び容器を用いた密閉型の乾式粉砕・混合方法により複合化することにより幅広いマグネシウムとセラミックスの複合化割合において塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料が作製できることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末の乾式粉砕・混合過程における展延性に着目し、硬質なセラミックス粒子を硬質なボール及び容器を用いて押し込みながら造粒することにより塊状に複合化して発火させることなく成形してなる、塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料を提供することを目的とするものである。また、本発明は、塊状のセラミックス粒子分散マグネシウム基複合材料を作製するとともに、マグネシウムの軽量性を生かした高強度あるいは高耐熱性の部材及びその製造技術を提供することを目的とするものである。
更に、本発明においては、複合粒子が塊状であることが重要であり、本発明は、塊状にすることによって、酸化や発火しやすいマグネシウム合金の比表面積を減じて安全に取り扱うことができるようにするとともに、マグネシウム合金を成形する手段として最もよく利用される射出成形用の原料として供給することを可能とする塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を複合化した塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料であって、1)当該複合材料の円相当径が0.3mmより大である、2)セラミックス粒子が5重量%以上で60重量%以下である、3)X線回折によりマグネシウムとセラミックスを示す回折ピークが観察され、マグネシウムとセラミックスの界面での脆化相の形成が観察されない、ことを特徴とする塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
(2)セラミックスが、マグネシウムの炭化物(Mg)より熱力学的に安定な炭化物、マグネシウムの酸化物(MgO)より熱力学的に安定な酸化物、又はマグネシウムの窒化物(Mg)より熱力学的に安定な窒化物である、前記(1)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
(3)乾式粉砕・混合方法により複合化した、前記(1)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
(4)セラミックスが、炭化珪素、炭化チタン、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、窒化硼素、又は窒化チタンである、前記(1)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
(5)前記(1)から(4)のいずれかに記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料からなる射出成形用複合材料。
(6)マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を、硬質なボール及び容器を用いた密閉型の乾式粉砕・混合方法により複合化して塊状の複合材料を作製することを特徴とする塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
(7)上記複合材料の円相当径が0.3mmより大である塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料を作製する、前記(6)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
(8)乾式粉砕・混合方法に用いる硬質なボール及び容器が、鉄を50重量%以上含有している、前記(6)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
(9)マグネシウムを70重量%より多く含有しているマグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末を用いる、前記(6)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
(10)セラミックス粉末として、マグネシウムの炭化物(Mg)より熱力学的に安定な炭化物、マグネシウムの酸化物(MgO)より熱力学的に安定な酸化物、又はマグネシウムの窒化物(Mg)より熱力学的に安定な窒化物を用いる、前記(6)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
(11)セラミックス粒子が5重量%以上で60重量%以下である塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料を作製する、前記(6)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
(12)液体が多くても80体積%の存在下にて成形して塊状の複合材料を作製する、前記(6)に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を複合化した塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料であって、当該複合材料の円相当径が0.3mmより大であり、セラミックス粒子が5重量%以上で60重量%以下であり、X線回折によりマグネシウムとセラミックスを示す回折ピークが観察され、マグネシウムとセラミックスの界面での脆化相の形成が観察されない、ことを特徴とするものである。
本発明では、セラミックスが、マグネシウムの炭化物(Mg)より熱力学的に安定な炭化物、マグネシウムの酸化物(MgO)より熱力学的に安定な酸化物、又はマグネシウムの窒化物(Mg)より熱力学的に安定な窒化物であること、乾式粉砕・混合方法により複合化したこと、セラミックスが、炭化珪素、炭化チタン、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、窒化硼素、又は窒化チタンであること、を好ましい実施の態様としている。
また、本発明は、上記塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料からなる射出成形用複合材料の点、マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を、硬質なボール及び容器を用いた密閉型の乾式粉砕・混合方法により複合化して塊状の複合材料を作製することを特徴とする塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法の点、に特徴を有するものである。
本発明は、マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粒子を乾式粉砕・混合する技術において、1)鉄を主成分とする硬質なボール及び容器を用いた密閉型の処理を行い、2)マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末に比して極めて微細なセラミックス粒子を用い、3)得られた複合材料が粗大な造粒された塊になっている、点に特徴を有するものである。
密閉された容器内にて塊状で得られたマグネシウム基複合材料は、酸化しやすいマグネシウムを安全に取り扱うことが可能であり、複合材料の一部を溶解した半溶融成形において目的の形状に成形しやすくなる。
本発明に用いる材料としては、市販のマグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末を用いることができる。また、マグネシウムあるいはマグネシウム合金を切削などの機械加工した際に発生する加工屑を予備粉砕した粉末を利用することもできる。ただ、これらの粉末は、密閉型の乾式粉砕・混合を行うために、円相当径で2mm以下のものが好ましい。また、マグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末は、微細になるほど酸化されやすいため、円相当径で0.1mm以上のものが好ましい。
添加するセラミックス粒子は、市販の炭化珪素、炭化チタンなどの炭化物、酸化アルミニウムや酸化チタン、酸化カルシウムなどの酸化物、窒化硼素や窒化チタンなどの窒化物などを用いることができる。これらのセラミックス粉末は、密閉型の乾式粉砕・混合により硬質なボールどうしの衝突あるいはボールと容器壁面との衝突によって軟質なマグネシウムあるいはマグネシウム合金中に押し込まれて複合化される。
そのため、マグネシウムあるいはマグネシウム合金粉末に比して極めて微細であることが要求される。効率的に複合化を行うためには、マグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末の50分の1以下のセラミックス粒子が好ましい。ただ、マグネシウムは、非常に活性な金属であり、複合化によってもセラミックス粒子との界面で反応を生じる。
反応で生じた化合物は、脆い化合物である場合が多く、複合材料の強度を低下させてしまう。そのため、添加するセラミックスは、マグネシウムの炭化物より熱力学的に安定な炭化物、マグネシウムの酸化物より熱力学的に安定な酸化物、マグネシウムの窒化物より熱力学的に安定な窒化物が好ましい。
マグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末とセラミックス粒子との複合化は、密閉型の乾式粉砕・混合により行われる。密閉型の乾式粉砕・混合の装置としては、一般に、機械的合金化処理に用いられる装置が使われる。一般には、振動型ボールミルや転動型ボールミル、遊星型ボールミルなどが利用できる。
処理時間は、利用する装置の種類やボールの充填量、粉末の充填量によって変化するが、一般には、5時間から100時間程度で複合化を行うことができる。なお、密閉型の乾式粉砕・混合においては、容器内を真空にした後、アルゴンなどの不活性ガスで置換することが好ましい。また、粉末表面に物理的に吸着しているガスなどが分離しやすいように減圧不活性ガスで処理することが好ましい。
乾式粉砕・混合に用いる容器やボールは、マグネシウムとの反応が少ないように、鉄を多量に含んだ硬質材料が好ましい。特に、鉄を50重量%以上含有している硬質材料は、粉砕・混合時のマグネシウムの溶着及びその剥離に伴う摩耗が少なく、目的組成のマグネシウム基複合材料を作製することができる。乾式粉砕・混合には、アルコールや油脂などの潤滑剤を添加することがあるが、本発明では、粉末どうしの凝着による造粒現象を利用するため、潤滑剤は使用しない方がよい。
本発明では、乾式粉砕・混合を行った結果得られる複合材料が、円相当径で0.3mm以上であることに特徴がある。本来、乾式の粉砕・混合では、微細な粉末が形成されるが、マグネシウムは、耐くぼみ性に優れている上、歪みの導入による硬化の少ない材料であるため、粉砕の初期にデイスク状に変形する。
この際に、マグネシウムあるいはマグネシウム合金より硬質なセラミックス粒子は、ボールの衝撃力によりマグネシウムあるいはマグネシウム合金表面から押し込まれて複合化することになる。その後、ボールの3重点で構成される部分にディスク状に変形した粉末が押し込まれで球状に加工され、0.3mm以上の大きな塊状の複合材料を形成することになる。
初期に形成されるディスク状の粉末は、用いたマグネシウムあるいはマグネシウム合金の粉末サイズの影響を受け、最終的に形成される塊状の複合材料のサイズは乾式粉砕に用いたボールのサイズの影響を最も受ける。小さな塊状の複合材料を作製する場合には、小さなボールを用いることが有効である。
セラミックス粉末の添加量は、2重量%以上で60重量%以下であることが好ましい。セラミックス粒子の添加量が2重量%より少ないと、マグネシウムが有する展延性のために、粉末が容器やボールの表面に焼き付き、薄くコーティング膜を形成する。その結果、塊状の複合材料を回収することができない。
また、セラミックス粒子の添加量が60重量%より多いと、セラミックス粒子の脆さが発現して塊状の複合材料を形成せず、微細な粉末が形成される。この粉末は、マグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末とセラミックス粉末が微細に混合した状態であり、大気中で発火する危険性が高い。
得られたセラミックス粒子分散マグネシウム基複合材料は、塊状であるため、大気中での取り出しができる。セラミックス粒子は、マグネシウムあるいはマグネシウム合金に物理的に保持されている状態であり、化学的な反応はほとんどない。そのため、マグネシウムあるいはマグネシウム合金を完全に溶解させると容易にセラミックス粒子が分離する。
しかし、マグネシウムあるいはマグネシウム合金の一部を溶解しても見かけの粘性が高くなるため、セラミックス粒子が分離することはない。この状態を利用して加圧成形すると、セラミックス粒子の再配列と、マグネシウムあるいはマグネシウム合金の固相−液相界面でのチキソトロピー性で高い成形性を得ることができる。
すなわち、半溶融成形状態において、本発明のセラミックス粒子分散マグネシウム基複合材料は、高い流動性を示し、成形性がよくなる。なお、半溶融成形時の液相の量は80体積%以下である必要があり、好ましくは50重量%以下がよい。液相量が80体積%以上では、物理的に保持されているセラミックス粒子は離脱し、分離されてしまう。
半溶融状態の成形では、加熱方法は特に指定しないが、短時間で目的温度に達成する方法が好ましく、赤外線イメージ炉や高周波加熱炉、通電加熱などが利用できる。加熱温度は液相の生成量で決定され、その量は合金系により変化するため特に限定しない。加圧成形時に加圧方法も特に指定しないが、油圧プレスや空圧プレス、機械的なプレス、射出成成形などの技術が利用できる。
従来法として、例えば、マグネシウムあるいはマグネシウム合金中に鉄あるいは鉄を含有した合金粉末を固相拡散を利用して複合化してマトリックス中に分散材料が均一に分散することや、マグネシウムあるいはマグネシウム合金粉末とベリリウム粉末を機械的合金化法により複合化して塊状のベリリウム分散マグネシウム複合材料を作製することは既に知られている。しかし、これらの技術は、マグネシウムと合金を形成しない金属元素を対象としている方法であり、耐熱性の高いセラミックス粒子のようにマグネシウムと反応する材料に適用することはできないという問題があった。
これに対して、本発明は、硬質なボール及び容器を用いた密閉型の乾式粉砕・混合方法によりマグネシウムとセラミックスを複合化してセラミックスを分散させた塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料を作製することで、マグネシウムを発火させることなく成形してマグネシウムの軽量性を生かした高強度で高耐熱性の部材を作製することを実現可能にしたものである。本発明は、特に、塊状にすることが重要であり、それによって酸化や発火しやすいマグネシウム合金の比表面積を減じて安全に取り扱うことを可能にするとともに、軽量性と耐熱性の要件をともに満たしたマグネシウム基複合材料を提供することを実現するものとして有用である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)マグネシウムとセラミックスを幅広い複合化割合において分散、複合化することを可能にした塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法とその製品を提供することができる。
(2)マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粒子を発火させることなく造粒、成形し、複合化することが可能なセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法を提供することができる。
(3)本発明により、酸化や発火しやすいマグネシウム合金の比表面積を減じて安全に取扱うことが可能となる。
(4)本発明の方法により、マトリックスとセラミックス粉末との界面に脆化相を生成しない、高い機械的強度を有する複合材料を作製し、提供することができる。
(5)本発明の複合材料は、実用材料形状への成形が比較的容易であり、押し出しなどにより丸棒形状への成形が可能であり、軽量性と耐熱性が要求される部材に幅広く応用することができる。
次に、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
マグネシウム合金切削チップ(Mg−9mass%Al−1mass%Zn)24gと炭化珪素粉末(信濃電気製錬株式会社製、10ミクロン)10.7gを混合し、遊星型ボールミルで25時間及び100時間の乾式粉砕・混合を行った。乾式粉砕・混合の雰囲気は、減圧のアルゴンガス雰囲気とし、圧力媒体として、10mm径の鋼球を用いた。なお、鋼製の容器は、500mlの容量があり、その中に鋼球を430g充填した。
25時間及び100時間の処理で得られた材料は、いずれも直径が1mm〜3mm程度の塊状(図1)であった。この塊を半分に切り、走査電子顕微鏡により断面組織を観察したところ1〜10ミクロンの炭化珪素粉末が微細で均一に分散した状態であった。図2に、走査電子顕微鏡により断面組織を観察した観察像を示す。出発原料である炭化珪素粉末に比べて、わずかに微細な粉末になっており、乾式粉砕・混合の初期に炭化珪素粉末が粉砕されたものと考えられる。
この塊の構成相をX線回折により同定すると、マグネシウムと炭化珪素の結晶ピークのみが観察された。図3に塊の構成相をX線回折により同定した結果を示す。このピークは、処理時間が長くなっても変化しなかった。塊状の複合材料が形成された後は、乾式粉砕・混合によるいわゆる機械的合金化反応は、ほとんど進行しないものと考えられる。そのため、塊状の複合材料のマグネシウム合金と炭化珪素の界面では、脆化相の形成は観察されず、界面の維持された健全な複合材料(図3)が形成される。
マグネシウム合金粉末24gとアルミナ粉末8gを乳鉢にて予備混合し、遊星型ボールミルを用いて50時間の乾式粉砕・混合を行った。乾式粉砕・混合の雰囲気は、減圧アルゴンガスとし、圧力媒体として10mm径の鋼球を用いた。なお、鋼製の容器は、500mlであり、その中に鋼球を430g充填した。
得られた複合材料は、直径0.3mm〜2mm程度の球状であり、数ミクロンのアルミナ粉末が均一に分散した状態であり、図4のX線回折図に示されるように、MgAlのピーク以外の両者の間の反応生成物は、観察されなかった。
マグネシウム合金切削チップ(Mg−9mass%Al−1mass%Zn)22gと炭化珪素粉末(信濃電気製錬株式会社製、10ミクロン)12.7gを混合し、遊星型ボールミルで25時間の乾式粉砕・混合を行った。乾式粉砕・混合の雰囲気は、減圧のアルゴンガス雰囲気とし、圧力媒体として10mm径の鋼球を用いた。なお、鋼製の容器は、500mlの容量があり、その中に鋼球を430g充填した。
得られた複合材料は、直径1mm〜5mm程度の塊状であり、1〜10ミクロンの炭化珪素粉末が均一に分散した状態であった。炭化珪素とマグネシウム合金との間の反応生成物は観察されなかった。
得られた複合材料を内径20mmの内径20mmの鉄製の金型に入れ、赤外線イメージ炉を用いて加熱した。590℃で5分間保持した後、50kg/cmの加圧力で押し出し比1/3にて内径12mm×長さ80mmの金型に押し出し成形した。この時の液体量は、およそ80体積%であった。
得られた成形体は、1〜5ミクロンの炭化珪素粉末が均一に分散した状態であり、気孔などは残っていなかった。X線回折によると、マグネシウムと炭化珪素を示す回折ピークのみが観察された。すなわち、マグネシウム合金と炭化珪素の界面での脆化相の生成は、観察されなかった。一方、溶解法により作製した溶解材は、両者の反応により生成したと考えられるMgSiのピークが明瞭に観察された(図5)。
本材料から切り出したマグネシウム複合材料の引張強度は、350MPaであり、溶解材よりも約20%高い値が得られた。これは、本材料は、溶解材で観察されるマグネシウム合金と炭化珪素との界面で脆化相が生成しないことに起因していると考えられる。
以上詳述したように、本発明は、マグネシウム複合材料及びその製造方法に係るものであり、本発明に係るマグネシウム複合材料は、機械的合金化処理を用いることによりマトリックスとセラミックス粉末との界面に脆化相を生成しないため、高い機械的強度を期待できる。また、実用材料形状への成形も比較的容易であり、押し出しなどにより丸棒形状にすることも問題がない。セラミックスのように熱的安定性の高い材料を複合化したマグネシウム複合材料は、自動車用のピストンなど、軽量性と耐熱性が要求される部位に幅広く適用することが期待される。
乾式粉砕・混合処理で得られた直径が1mm〜3mm程度の塊状の複合材料を示す。 走査電子顕微鏡により断面組織を観察した観察像を示す。 塊の構成相をX線回折により同定した結果を示す。 本発明の複合材料のX線回折図を示す。 固相合成−半溶融成形材と溶解材のX線回折図を示す。

Claims (12)

  1. マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を複合化した塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料であって、1)当該複合材料の円相当径が0.3mmより大である、2)セラミックス粒子が5重量%以上で60重量%以下である、3)X線回折によりマグネシウムとセラミックスを示す回折ピークが観察され、マグネシウムとセラミックスの界面での脆化相の形成が観察されない、ことを特徴とする塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
  2. セラミックスが、マグネシウムの炭化物(Mg)より熱力学的に安定な炭化物、マグネシウムの酸化物(MgO)より熱力学的に安定な酸化物、又はマグネシウムの窒化物(Mg)より熱力学的に安定な窒化物である、請求項1に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
  3. 乾式粉砕・混合方法により複合化した、請求項1に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
  4. セラミックスが、炭化珪素、炭化チタン、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、窒化硼素、又は窒化チタンである、請求項1に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料からなる射出成形用複合材料。
  6. マグネシウム粉末あるいはマグネシウムを主成分とする合金粉末とセラミックス粉末を、硬質なボール及び容器を用いた密閉型の乾式粉砕・混合方法により複合化して塊状の複合材料を作製することを特徴とする塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
  7. 上記複合材料の円相当径が0.3mmより大である塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料を作製する、請求項6に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
  8. 乾式粉砕・混合方法に用いる硬質なボール及び容器が、鉄を50重量%以上含有している、請求項6に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
  9. マグネシウムを70重量%より多く含有しているマグネシウム粉末あるいはマグネシウム合金粉末を用いる、請求項6に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
  10. セラミックス粉末として、マグネシウムの炭化物(Mg)より熱力学的に安定な炭化物、マグネシウムの酸化物(MgO)より熱力学的に安定な酸化物、又はマグネシウムの窒化物(Mg)より熱力学的に安定な窒化物を用いる、請求項6に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
  11. セラミックス粒子が5重量%以上で60重量%以下である塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料を作製する、請求項6に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
  12. 液体が多くても80体積%の存在下にて成形して塊状の複合材料を作製する、請求項6に記載の塊状のセラミックス分散マグネシウム基複合材料の製造方法。
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