JP2005307345A - 粒子分散金属間化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた硬度の粒子分散金属間化合物が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】硬質化合物粒子形成元素粉末と、金属間化合物形成元素粉末とを混合、成形して得られた成形体を加熱、溶融後、冷却、凝固させる。硬質化合物粒子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Siの1種以上と、CまたはBの1種以上とから形成される。金属間化合物は、Fe、Co、Ni、Ti、Nb、Ta、Cr、Mo、Wから選択され硬質化合物粒子形成元素とは異なる1種以上と、Al、Siから選択され硬質化合物粒子形成元素とは異なる1種以上とから形成される。硬質化合物粒子はTiとCまたはBとから形成され、金属間化合物はFeとAlとから形成される。成形体の溶融開始前で昇温停止し、所定時間保持後、昇温を再開して成形体を溶融する。昇温停止温度は、成形体の溶融開始温度よりも50〜150℃低い。保持時間は、10〜60分間である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マトリックスとなる金属間化合物相の中に、該金属間化合物よりも硬度の高い硬質化合物粒子が分散してなる粒子分散金属間化合物の製造方法に関するものである。
鉄とアルミニウムとの金属間化合物である鉄アルミナイド基焼結合金は、高い硬度を備えていることが知られており、前記高い硬度に伴う優れた耐摩耗性により、各種摺動部材等に用いることが検討されている。
従来、前記鉄アルミナイド基焼結合金として、鉄アルミナイド金属間化合物相の中に、FeC化合物相が混在するものが知られている(例えば特許文献1参照)。前記鉄アルミナイド基焼結合金は、Al、Fe、Cの各粉末を所定の組成で混合してなる混合物を加圧成形して粉末成形体とし、該粉末成形体に通電プレス成形を施すことにより製造できるとされている。
一方、Fe−Al金属間化合物相の中に、TiC粒子が分散された粒子分散金属間化合物も知られている(例えば特許文献2参照)。前記粒子分散金属間化合物は、Fe−Al金属間化合物の粉末と、TiCの粒子とを混合して、真空中で加熱することによりできるとされている。
しかしながら、前記粒子分散金属間化合物は、Fe−Al金属間化合物の粉末と、TiCの粒子とを原料とするために、マトリックスとなるFe−Al金属間化合物相とTiCの粒子との親和性が低く、十分な硬度が得られないことがあるという不都合がある。
特開2002−146495号公報 米国特許第5637816号明細書
本発明は、かかる不都合を解消して、優れた硬度を備える粒子分散金属間化合物を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、マトリックスとなる金属間化合物相の中に、該金属間化合物よりも硬度の高い硬質化合物粒子が分散してなる粒子分散金属間化合物の製造方法であって、該硬質化合物粒子を形成する少なくとも2つの元素の粉末と、該金属間化合物を形成する少なくとも2つの元素の粉末とを混合し、成形して粉末成形体を得る工程と、得られた粉末成形体を加熱して溶融する工程と、該粉末成形体が溶融した後、冷却して凝固させる工程とを備えることを特徴とする。
本発明の製造方法では、目的とする粒子分散金属間化合物を構成する硬質化合物粒子と、金属間化合物とのそれぞれの原料となる各元素の粉末を混合し、成形して得られた粉末成形体を加熱する。このようにすると、温度が前記各元素の粉末のうち最も融点の低い元素の融点を超えると該元素の粉末が溶融し、溶融した元素の融液が毛管現象により他の元素の粉末の間隙に侵入するので、溶融した元素と他の元素の粉末との接触面積が急激に増大する。そして、溶融した元素と他の元素との間で化合物合成の発熱反応が連鎖的に起こり、反応温度が急上昇して、短時間のうちに前記各元素が溶融した融液が形成されるものと考えられる。
例えば、融点1453℃のニッケルと、融点660℃のアルミニウムとから両者の金属間化合物であるニッケルアルミナイドを合成するときには、ニッケル粉末とアルミニウム粉末とを混合して加熱すると、温度が660℃を超えた時点でアルミニウム粉末が溶融し、その融液が毛管現象によりニッケル粉末の間隙に侵入する。すると、アルミニウム融液とニッケル粉末との接触面積が急増し、これを引き金にニッケルアルミナイド生成の発熱反応が起きる。この結果、反応温度は約2500℃もの高温に僅か数秒で上昇する。
前記の例は、金属間化合物を生成する2種の元素の粉末についてのみ述べているが、前記金属間化合物を生成する元素の粉末に、さらに前記硬質化合物粒子を生成する元素の粉末が含まれる場合にも同様のメカニズムにより反応温度の急上昇が起き、短時間のうちに前記各元素が溶融した融液が形成される。
次に、前記融液を冷却すると、まず、前記融液中、融点の高い化合物として前記硬質化合物粒子が形成され、次いで該硬質化合物粒子の間隙に残った未凝固融液から前記金属間化合物が形成されるものと考えられる。この結果、マトリックスとなる金属間化合物相の中に、該金属間化合物よりも硬度の高い硬質化合物粒子が分散してなる粒子分散金属間化合物が形成される。
かかる本発明の製造方法によれば、前記粒子分散金属間化合物をその構成元素から形成するので、前記金属間化合物と前記質化合物粒子との親和性が高くなり、優れた硬度を備える粒子分散金属間化合物を得ることができる。
本発明の製造方法では、前記硬質化合物粒子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Siからなる群から選択される1種以上の元素と、C、Bからなる群から選択される1種以上の元素とから形成される。また、前記金属間化合物は、Fe、Co、Ni、Ti、Nb、Ta、Cr、Mo、Wからなる群から選択され前記硬質化合物粒子を形成する元素とは異なる1種以上の元素と、Al、Siからなる群から選択され前記硬質化合物粒子を形成する元素とは異なる1種以上の元素とから形成される。
前記硬質化合物粒子と前記金属間化合物との組み合わせとしては、例えば、前記硬質化合物粒子はTiとCまたはBとから形成され、前記金属間化合物はFeとAlとから形成されるものを挙げることができる。
ところで、前述のようにして粒子分散金属間化合物を形成するときには、生成する粒子分散金属間化合物の微細組織、例えば前記硬質化合物粒子の粒子径を制御することが難しいという問題がある。前記微細組織は、前記粒子分散金属間化合物の機械的強度等の材料物性を支配する重要な因子である。
前記問題は、前述のように溶融した元素と他の元素との間で化合物合成の発熱反応が連鎖的に起きたときに、反応速度や反応熱を制御することが難しいことによるものである。即ち、前記反応温度は、反応前の各元素の粉末の顕熱、生成物の生成エンタルピー、生成物の融解エンタルピー等の反応系に固有の物理量により決定されてしまい、外部からは制御することができない。
また、前述のようにして前記粒子分散金属間化合物を形成するときには、該粒子分散金属間化合物の内部に多量の気孔が残存してしまうおそれもある。前記気孔は、複数の元素の粉末を反応させる際に粉末間に空隙が残存することにより形成され、あるいは前記粉末表面に吸着されている水分が反応時の高温で気化することにより形成されるものと考えられる。
本発明者は、前記粒子分散金属間化合物における前記微細組織を制御する方法と、該粒子分散金属間化合物の全体積に対する気孔率を低減する方法について検討した。この結果、本発明者は、本発明の製造方法において、前記粉末成形体が溶融した後、冷却して凝固させる工程が前記微細組織の形成と前記気孔の形成とに影響することを見出した。また、本発明者は、本発明の製造方法の前記粉末成形体を加熱して溶融する工程において、該粉末成形体の溶融が開始される前に、所定温度で一旦昇温を停止し、該温度に所定時間保持することにより、該粉末成形体が溶融した後、冷却して凝固させる工程における温度を制御できることを見出した。
そこで、本発明の製造方法は、前記粉末成形体を加熱して溶融する工程において、該粉末成形体の溶融が開始される前の所定温度で一旦昇温を停止し、該温度に所定時間保持した後、昇温を再開して該粉末成形体の溶融することが好ましい。
このようにするときには、前記所定温度に所定時間保持している間に、元素同士が固体状態で緩やかに反応し、異種元素の粉末間の境界に反応生成物の膜が形成する。この後、昇温を再開して、前記粉末成形体中の未反応粉末を溶融すると、反応熱の放出が少ないばかりか、前記所定温度に所定時間保持している間に生成した反応生成物により熱が吸収される。この結果、前記粉末成形体が溶融する際の最高温度を低下させ、前記粉末成形体が溶融した後、冷却して凝固させる工程における冷却速度を増大させることができるので、生成される粒子分散金属間化合物に含まれる硬質化合物粒子の粒子径を小さくすることができると共に、該粒子分散金属間化合物の全体積に対する気孔率を低減することができる。
前記粉末成形体の溶融が開始される前に、所定温度で一旦昇温を停止するときに、前記昇温を停止する温度は、前記粉末成形体の溶融が開始される温度よりも50〜150℃低い範囲の温度であることが好ましい。前記昇温を停止する温度が前記粉末成形体の溶融が開始される温度よりも50℃未満の低さである場合(粉末成形体の溶融が開始される温度−昇温を停止する温度<50℃)には、昇温を停止する温度に所定時間保持している間に前記元素同士の反応が過度に進行することがある。一方、前記昇温を停止する温度が前記粉末成形体の溶融が開始される温度よりも150℃を超える低さである場合(粉末成形体の溶融が開始される温度−昇温を停止する温度>150℃)には、前記元素同士の反応が不十分になることがある。
また、前記所定温度に保持する時間は、10〜60分間の範囲であることが好ましい。前記所定温度に保持する時間が10分間未満である場合には、前記元素同士の反応が不十分になることがある。一方、前記所定温度に保持する時間が60分間を超える場合には、前記元素同士の反応が過度に進行することがある。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は第1の実施形態の製造方法における反応温度の経時変化を示すグラフ、図2は粒子分散金属間化合物のマトリックスとなる金属間化合物のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ、図3乃至図5は粒子分散金属間化合物のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ、図6は粒子分散金属間化合物に分散している硬質化合物粒子のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ、図7は粒子分散金属間化合物に含まれる硬質化合物粒子の割合と、該粒子分散金属間化合物の硬度との関係を示すグラフである。また、図8は第2の実施形態の製造方法における反応温度の経時変化を示すグラフである。
次に、第1の実施形態の粒子分散金属間化合物の製造方法について説明する。本実施形態で製造する粒子分散金属間化合物は、マトリックスとなる金属間化合物相の中に、硬質化合物粒子が分散されているものである。
本実施形態の製造方法では、まず、前記硬質化合物粒子を形成する元素の粉末と、前記金属間化合物を形成する元素の粉末とを所定の割合で混合する。
前記硬質化合物粒子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Siからなる群から選択される1種以上の第1の元素と、C、Bからなる群から選択される1種以上の第2の元素とから形成される。従って、前記第2の元素がCであるときには、前記硬質化合物粒子は前記第1の元素の炭化物となり、前記第2の元素がBであるときには、前記硬質化合物粒子は前記第1の元素のホウ化物となる。このような硬質化合物粒子として、例えばTiC、TiBを挙げることができる。
また、前記金属間化合物は、Fe、Co、Ni、Ti、Nb、Ta、Cr、Mo、Wからなる群から選択され前記硬質化合物粒子を形成する元素とは異なる1種以上の第3の元素と、Al、Siからなる群から選択され前記硬質化合物粒子を形成する元素とは異なる1種以上の第4の元素とから形成される。従って、前記第4の元素がAlであるときには、前記金属間化合物は前記第3の元素とのアルミナイドとなり、前記第4の元素がSiであるときには、前記金属間化合物は前記第3の元素とのシリサイドとなる。このような金属間化合物として、例えばFeAl金属間化合物(鉄アルミナイド)を挙げることができる。
本実施形態では、FeAl金属間化合物相をマトリックスとして、該FeAl金属間化合物相中にTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物を例として説明する。
前記FeAl金属間化合物相中にTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物を製造する場合には、Fe粉末、Al粉末、Ti粉末、C粉末を、所定の割合で混合し、成形して得られた粉末成形体を、例えば、700〜750℃の範囲の温度に加熱する。前記粉末成形体を前記範囲の温度に加熱すると、図1に示すように、該粉末成形体の温度(反応温度)が次第に上昇して行くが、前記4種の元素の中で最も融点の低いAlの融点(660℃)に達した後、反応温度が急激な上昇を示す。
これは、Alが溶融することにより、Alの融液と他の3種の元素との接触面積が大きくなり、Alと他の3種の元素との間で化合物合成の発熱反応が連鎖的に起こるためと考えられる。この結果、前記粉末成形体の温度は短時間のうちに非常な高温に達し、Fe、Al、Ti、Cの4元系融液が生成する。このときの最高温度は、図1に示す測定結果では約1700℃程度であるが、測定に用いた熱電対及びアルミナ保護管による熱の消費を考慮すれば、さらに数百度高い温度に達したものと推察される。
前記反応温度は前記最高温度に達した後は下降に転じ、前記融液が冷却される。すると、まず、融点の高い化合物であるTiCの硬質化合物粒子が形成され、次いでTiC粒子の間隙に残った未凝固融液からFeAl金属間化合物が形成されるものと考えられる。この結果、前記融液が凝固し、FeAl金属間化合物相中にTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物の成形体が形成される。
尚、図1は、Fe、Al、Ti、Cの各粉末をそれぞれ25モル%ずつ混合して、成形した粉末成形体を加熱する場合の反応温度の経時変化を示すものであり、この場合にはFeAl金属間化合物相中に50体積%のTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物の成形体が形成される。
次に、Fe粉末、Al粉末、Ti粉末、C粉末の割合を変えた以外は、前述の製造方法と全く同一にして、FeAl金属間化合物のみからなる成形体A、FeAl金属間化合物に30体積%のTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物の成形体B、FeAl金属間化合物に50体積%のTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物の成形体C、FeAl金属間化合物に70体積%のTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物の成形体D、TiCのみからなる成形体Eを形成し、成形体A〜EのX線回折角度と強度とを測定した。成形体A〜EのX線回折角度と強度とを、それぞれ図2〜6に示す。
図2、図6がそれぞれFeAl金属間化合物のみ、TiCのみに対するピークを示しているのに対し、図3〜5はFeAl金属間化合物とTiCとの両方のピークを示しており、成形体B〜Dは、FeAl金属間化合物相中にTiC粒子が分散している粒子分散金属間化合物であることが明らかである。
次に、Fe粉末、Al粉末、Ti粉末、C粉末の割合を変えた以外は、前述の製造方法と全く同一にして、分散しているTiC粒子の割合(体積%)がそれぞれ異なる成形体を形成し、各成形体のヴィッカース硬度を測定した。結果を図7に示す。
図7から、本実施形態の製造方法で得られた粒子分散金属間化合物は、FeAl金属間化合物のみからなる成形体よりも硬く、700〜2500(Hv)の範囲の優れた硬度を備えていることが明らかである。
本実施形態では、FeAl金属間化合物相中にTiC粒子が分散している4元系の粒子分散金属間化合物について説明しているが、前記第1〜4の元素はそれぞれ複数の元素を用いてもよく、得られる粒子分散金属間化合物の諸物性を変えることができる。
また、前記粉末成形体の加熱を、鉄基、ニッケル基、チタン基等の合金基材の表面で行うと、形成される粒子分散金属間化合物を該合金基材に接合することができる。
また、前記粉末成形体内の位置によって各元素の割合、元素の種類を徐々に変えると、傾斜組成を備える粒子分散金属間化合物を形成することができる。
尚、前記第2の元素がCである場合、前記粉末成形体の加熱を窒素雰囲気中で行うと、前記硬質化合物粒子を前記第1の元素の炭窒化物とすることができる。ここで、前記第2の元素を全く使用しないときには、前記粉末成形体の加熱を窒素雰囲気中で行うことにより、前記硬質化合物粒子を前記第1の元素の窒化物とすることができる。
次に、第2の実施形態の粒子分散金属間化合物の製造方法について説明する。第2の実施形態の製造方法は、前記硬質化合物粒子を形成する元素の粉末と、前記金属間化合物を形成する元素の粉末とを混合して得られた粉末成形体を加熱して溶融する際に、該粉末成形体の溶融が開始される前の所定温度で一旦昇温を停止し、該温度に所定時間保持した後、昇温を再開して該粉末成形体の溶融すること以外は、前記第1の実施形態の製造方法と全く同一である。
前記昇温を停止する温度は、粉末成形体の溶融が開始される温度、即ち前記粉末成形体を構成する元素の内の最も融点の低い元素の融点よりも50〜150℃低い範囲の温度である。また、前記昇温を停止した温度に保持する時間は、10〜60分間の範囲である。
本実施形態に用いる前記硬質化合物粒子を形成する元素と、前記金属間化合物を形成する元素としては、前記第1の実施形態の場合と全く同一の元素を挙げることができる。
本実施形態では、FeAl金属間化合物相をマトリックスとして、該FeAl金属間化合物相中にTiB粒子が分散している粒子分散金属間化合物を例として説明する。
本実施形態の製造方法では、前記FeAl金属間化合物相中にTiB粒子が分散している粒子分散金属間化合物を製造する場合、まず、Fe粉末、Al粉末、Ti粉末、B粉末を、所定の割合で混合し、成形して得られた粉末成形体を、例えば、700〜750℃の範囲の温度に加熱する。前記粉末成形体を前記範囲の温度に加熱すると、図8(a)に示すように、該粉末成形体の温度(反応温度)が次第に上昇して行くが、本実施形態では前記4種の元素の中で最も融点の低いAlの融点(660℃)に達する前に、550℃に達した時点で一旦昇温を停止する。そして、前記昇温を停止した550℃の温度に、30分間保持する。
次に、前記保持時間経過後、再び700〜750℃の範囲の温度に加熱して、昇温を開始する。このようにすると、図8(b)に示すように、前記4種の元素の中で最も融点の低いAlの融点(660℃)に達した後、反応温度が急激な上昇を示す。
これは、前記第1の実施形態の場合と同様に、Alが溶融することにより、Alの融液と他の3種の元素との接触面積が大きくなり、Alと他の3種の元素との間で化合物合成の発熱反応が連鎖的に起こるためと考えられる。この結果、前記粉末成形体の温度は短時間のうちに非常な高温に達し、Fe、Al、Ti、Bの4元系融液が生成する。
このときの最高温度は、図8(b)に示すように約1500℃であった。一方、第1の実施形態の製造方法に従って、途中で昇温を停止することなく加熱を続けた場合の反応温度の経時変化のうち、該反応温度がAlの融点(660℃)に達した後の経時変化を、図8(b)に破線で示す。第1の実施形態の製造方法に従った場合の反応温度の最高温度は、前述のように約1700℃であり、第2の実施形態の製造方法に従うことにより、反応温度の最高温度が低下することが明らかである。
ただし、これらの測定温度は、測定に用いた熱電対がアルミナ製保護管で覆われているため、試料温度が急速に昇温する場合、該熱電対の温度がこれに追随できず、最高温度が過小評価されている可能性がある。
前記反応温度は前記最高温度に達した後は下降に転じ、前記融液が冷却される。そして、第1の実施形態と同様のメカニズムにより前記融液が凝固して、FeAl金属間化合物相中にTiB粒子が分散している粒子分散金属間化合物の成形体が形成される。但し、第2の実施形態の製造方法では、前述のように、反応温度の最高温度が低くなっているため、前記融液の冷却速度が大きくなる。この結果、第2の実施形態の製造方法によれば、TiB粒子の粒子径を小さくできると共に、全体積に対する気孔率が低減された粒子分散金属間化合物を得ることができる。
次に、第1の実施形態の製造方法に従って、途中で昇温を停止することなく加熱を続けることにより得られた粒子分散金属間化合物を切断して微細組織を観察したところ、TiB粒子の粒子径は10〜20μmの範囲であり、粒子分散金属間化合物全体積に対する気孔率は20体積%であった。これに対して、第2の実施形態で得られた粒子分散金属間化合物を切断して微細組織を観察したところ、TiB粒子の粒子径は0.5〜3μmの範囲であり、粒子分散金属間化合物全体積に対する気孔率は4体積%であった。
従って、第2の実施形態の製造方法によれば、第1の実施形態の製造方法に比較して、TiB粒子の粒子径が小さくなると共に、前記粒子分散金属間化合物の全体積に対する気孔率が低減されることが明らかである。
本発明の第1の実施形態の製造方法における反応温度の経時変化を示すグラフ。 粒子分散金属間化合物のマトリックスとなる金属間化合物のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ。 粒子分散金属間化合物のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ。 粒子分散金属間化合物のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ。 粒子分散金属間化合物のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ。 粒子分散金属間化合物に分散している硬質化合物粒子のX線回折角度と強度との関係を示すグラフ。 粒子分散金属間化合物に含まれる硬質化合物粒子の割合と、該粒子分散金属間化合物の硬度との関係を示すグラフ。 本発明の第2の実施形態の製造方法における反応温度の経時変化を示すグラフ。
符号の説明
符号なし。

Claims (7)

  1. マトリックスとなる金属間化合物相の中に、該金属間化合物よりも硬度の高い硬質化合物粒子が分散してなる粒子分散金属間化合物の製造方法であって、
    該硬質化合物粒子を形成する少なくとも2つの元素の粉末と、該金属間化合物を形成する少なくとも2つの元素の粉末とを混合し、成形して粉末成形体を得る工程と、
    得られた粉末成形体を加熱して溶融する工程と、
    該粉末成形体が溶融した後、冷却して凝固させる工程とを備えることを特徴とする粒子分散金属間化合物の製造方法。
  2. 前記硬質化合物粒子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Siからなる群から選択される1種以上の元素と、C、Bからなる群から選択される1種以上の元素とから形成されることを特徴とする請求項1記載の粒子分散金属間化合物の製造方法。
  3. 前記金属間化合物は、Fe、Co、Ni、Ti、Nb、Ta、Cr、Mo、Wからなる群から選択され前記硬質化合物粒子を形成する元素とは異なる1種以上の元素と、Al、Siからなる群から選択され前記硬質化合物粒子を形成する元素とは異なる1種以上の元素とから形成されることを特徴とする請求項2記載の粒子分散金属間化合物の製造方法。
  4. 前記硬質化合物粒子はTiとCまたはBとから形成され、前記金属間化合物はFeとAlとから形成されることを特徴とする請求項1記載の粒子分散金属間化合物の製造方法。
  5. 前記粉末成形体を加熱して溶融する工程において、該粉末成形体の溶融が開始される前の所定温度で一旦昇温を停止し、該温度に所定時間保持した後、昇温を再開して該粉末成形体を溶融することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の粒子分散金属間化合物の製造方法。
  6. 前記昇温を停止する温度は、前記粉末成形体の溶融が開始される温度よりも50〜150℃低い範囲の温度であることを特徴とする請求項5記載の粒子分散金属間化合物の製造方法。
  7. 前記所定温度に保持する時間は、10〜60分間の範囲であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の粒子分散金属間化合物の製造方法。
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