JP2017153419A - 飲料の製造方法及び飲料の香味向上方法 - Google Patents

飲料の製造方法及び飲料の香味向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】好ましくない香りの付与が抑制される飲料の製造方法及び飲料の香味向上方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る飲料の製造方法は、原料液を使用して飲料を製造する方法であって、酸処理が施されたホップを前記原料液に添加することを含む。本発明の一実施形態に係る飲料の香味向上方法は、原料液を使用して製造される飲料の香味を向上させる方法であって、酸処理が施されたホップを前記原料液に添加することにより、前記飲料の香味を向上させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、飲料の製造方法及び飲料の香味向上方法に関する。
ビールの製造においては、非特許文献1に記載のように、麦汁を煮沸し、冷却した後にホップを添加するドライホッピングを行うことがある。
Donald Million, "Dry Hopping: Techniques, September 2003 (https://byo.com/mead/item/569-dry-hopping-techniques)
しかしながら、従来のドライホッピングは、ホップに由来する好ましい香りのみならず、好ましくない香りも付与してしまうという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、好ましくない香りの付与が抑制される飲料の製造方法及び飲料の香味向上方法を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る飲料の製造方法は、原料液を使用して飲料を製造する方法であって、酸処理が施されたホップを前記原料液に添加することを含む。本発明によれば、好ましくない香りの付与が抑制される飲料の製造方法を提供することができる。
また、前記方法において、前記酸処理が施されたホップを、加熱後の冷却を経て調製された前記原料液に添加することとしてもよい。また、前記方法において、前記酸処理は、酸性の溶液とホップとを混合する処理であることとしてもよい。この場合、前記酸性の溶液のpHは6.0以下であることとしてもよい。
また、前記方法は、前記加熱後の冷却を経て調製された原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことをさらに含むこととしてもよい。この場合、前記方法においては、前記酸処理が施されたホップを、前記アルコール発酵の終了時までに添加することとしてもよい。
また、前記方法は、前記アルコール発酵を行うことを含む場合、前記アルコール発酵後に熟成を行うことをさらに含み、前記酸処理が施されたホップを、前記熟成の開始前までに添加することとしてもよい。
また、前記方法において、前記飲料は、ビールテイスト飲料であることとしてもよい。また、前記方法において、前記酸処理が施されたホップを前記原料液に添加した後に熱殺菌を行わないこととしてもよい。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る飲料の香味向上方法は、原料液を使用して製造される飲料の香味を向上させる方法であって、酸処理が施されたホップを前記原料液に添加することにより、前記飲料の香味を向上させる。本発明によれば、好ましくない香りの付与が抑制される飲料の香味向上方法を提供することができる。
本発明によれば、好ましくない香りの付与が抑制される飲料の製造方法及び飲料の香味向上方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る実施例1において、飲料の官能評価を行った結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例2において、飲料の官能評価を行った結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例3において、飲料の官能評価を行った結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例4において、飲料の官能評価を行った結果の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例4において、飲料の官能評価を行った結果の他の例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例5において、飲料の官能評価を行った結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例6において、飲料の官能評価を行った結果を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
本実施形態に係る飲料の製造方法(以下、「本方法」という。)は、原料液を使用して飲料を製造する方法であって、酸処理が施されたホップを当該原料液に添加することを含む。
すなわち、本発明の発明者らは、ドライホッピング技術について鋭意検討を重ねた結果、予め酸処理が施されたホップを使用することにより、好ましくない香りの付与が抑制されるドライホッピング(より具体的には、例えば、好ましくない香りの付与を抑制しつつ、好ましい香りを効果的に付与するドライホッピング)を達成できることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本実施形態は、原料液を使用して製造される飲料の香味を向上させる方法であって、酸処理が施されたホップを当該原料液に添加することにより、当該飲料の香味を向上させる、飲料の香味向上方法をも含む。
ホップの酸処理は、ホップを酸性条件下で保持する処理であれば特に限られないが、例えば、酸性の溶液(以下、「処理液」という。)と当該ホップとを混合する処理であることが好ましい。すなわち、この場合、処理液とホップとを混合し、当該処理液中に当該ホップを浸漬して保持することにより、当該ホップの酸処理を行う。
処理液のpHは、酸性の範囲(例えば、6.9以下)であれば特に限られないが、例えば、6.0以下であることとしてもよく、5.0以下であることとしてもよく、4.0以下であることとしてもよい。また、処理液のpHは、3.5以下であることが好ましい。さらに、この場合、処理液のpHは、3.0以下であることが好ましく、2.9以下であることがより好ましく、2.7以下であることがより一層好ましく、2.6以下であることが特に好ましい。処理液のpHの下限値は特に限られないが、例えば、1.0以上であることとしてもよい。
処理液は、酸を含む水溶液であることが好ましい。すなわち、この場合、処理液は、酸が添加されることにより調製された水溶液である。処理液に含まれる酸は、添加により水溶液のpHを低下させるものであれば特に限られないが、例えば、乳酸、りん酸、りんご酸、無水亜硫酸、酒石酸、酢酸及びクエン酸からなる選択される1以上であることとしてもよく、乳酸、りん酸、りんご酸、無水亜硫酸及び酒石酸からなる選択される1以上であることが好ましい。
処理液は、例えば、エキスが10w/v%以下であることとしてもよく、5w/v%以下であることとしてもよく、エキスが1w/v%以下であることとしてもよい。処理液のエキス(w/v%)は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「7.2 エキス」に記載の方法に従い測定される。
酸処理が施されるホップの形態は、特に限られず、例えば、生ホップ、プレスホップ、ホップパウダー、ホップペレット、ホップエキス、イソ化ホップ、ローホップ、テトラホップ及びヘキサホップからなる群より選択される1以上であることとしてもよいが、ホップペレットであることが好ましい。
プレスホップは、乾燥させたホップの球果を圧縮して得られる。ホップパウダーは、乾燥させたホップの球果を粉砕して得られる。ホップペレットは、ホップパウダーをペレット状に圧縮成形して得られる。ホップエキスは、例えば、ホップの毬花に含まれる成分を溶媒抽出することによって調製される。イソ化ホップは、ホップにアルカリ処理や加熱処理等のイソ化処理を施してα酸をイソ化することで得られる。ローホップやテトラホップ等の還元イソα酸製品は、適切な触媒を用いて水素付加を行うことによって得られる。
酸処理が施されるホップの品種は、特に限られないが、いわゆるフレーバーホップが好ましく使用される。フレーバーホップは、例えば、カスケード種、Galaxy種、Citra種、Polaris種、Apollo種、Saaz種、Traditon種、Sorachi Ace種、Barbe Rouge種、Mandarina Bavaria種、Mosaic種、Nelson Sauvin種、信州早生種、フラノ18号種及びリトルスター種からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
酸処理の時間(例えば、ホップを処理液中に浸漬して保持する時間)は、当該酸処理の効果が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、3分以上であることとしてもよく、5分以上であることとしてもよい。酸処理の時間の上限値は、特に限られないが、例えば、48時間以下、24時間以下、12時間以下、8時間以下、4時間以下又は2時間以下であることとしてもよい。酸処理の時間が長くなることにより、ホップに由来する好ましい香りが、好ましくない香りに変化する恐れがある。すなわち、酸処理の時間が短くなるほど、ホップに由来する好ましくない香りの付与が効果的に抑制される。
酸処理の温度(例えば、ホップを処理液中に浸漬して保持する温度)は、当該酸処理の効果が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、5℃以上、100℃以下であることとしてもよく、40℃以上、95℃以下であることとしてもよく、50℃以上、90℃以下であることとしてもよい。
また、比較的低い温度で酸処理を行うこととしてもよい。この場合、酸処理の温度は、例えば、5℃以上、40℃以下であることとしてもよく、10℃以上、30℃以下であることとしてもよく、15℃以上、25℃以下であることとしてもよい。さらに、この場合、酸処理は、加熱することなく行うこととしてもよい。これらの場合、低コストで簡便な操作により、ホップの酸処理を行うことができる。
また、加熱下で酸処理を行うこととしてもよい。この場合、酸処理の温度は、例えば、40℃以上、100℃以下であることとしてもよく、50℃以上、95℃以下であることとしてもよく。60℃以上、90℃以下であることとしてもよい。この場合、ホップに特有の好ましい香りを効果的に付与する、酸処理後のホップを得ることができる。
本方法においては、ホップの酸処理は行うことなく、予め酸処理が施されたホップを用意し(例えば、当該酸処理が施されたホップを他者から購入し)、当該用意されたホップを使用することとしてもよいが、本方法は、上述のようにしてホップに酸処理を施すことをさらに含むこととしてもよい。すなわち、この場合、本方法は、ホップに酸処理を施すことと、当該酸処理が施されたホップを原料液に添加することと、を含む。
そして、本方法では、上述のような酸処理が施されたホップ(以下、「酸処理ホップ」という。)を原料液に添加する。原料液は、飲料の製造に使用されるものであれば特に限られないが、例えば、植物原料を含む原料を使用して調製されることとしてもよい。
植物原料は、飲料の製造に使用される、植物由来の原料であれば特に限られないが、例えば、次の(i)、(ii)及び(iii)からなる群より選択される1以上であることとしてもよい:(i)穀類(例えば、麦類、米類及びトウモロコシからなる群より選択される1以上)、豆類及びイモ類からなる群より選択される1以上;、(ii)当該群より選択される1以上を発芽させたもの;、及び(iii)当該(i)及び当該(ii)の一方又は両方に由来する成分。
上記(i)及び/又は(ii)の植物原料を使用して調製された原料液は、当該(i)及び/又は(ii)の植物原料に由来する成分を含む。上記(iii)の植物原料を使用して調製された原料液は、当該(iii)の植物原料を含む。
麦類は、例えば、大麦、小麦、燕麦及びライ麦からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。麦類を発芽させたものは、麦芽と呼ばれる。麦芽は、例えば、大麦、小麦、燕麦及びライ麦からなる群より選択される1以上の麦芽であることとしてもよい。
上記(iii)の成分は、上記(i)及び(ii)の一方又は両方に由来する成分であれば特に限られないが、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖類、脂質、ビタミン及びミネラルからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
原料液は、ホップを含む原料を使用して調製されることとしてもよい。この場合、原料液は、上記(i)、(ii)及び(iii)からなる群より選択される1以上と、ホップとを含む原料を使用して調製されることとしてもよい。これらの場合、原料液は、ホップ由来成分を含む。
原料液の調製に使用されるホップの形態は、特に限られず、例えば、生ホップ、プレスホップ、ホップパウダー、ホップペレット、ホップエキス、イソ化ホップ、ローホップ、テトラホップ及びヘキサホップからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。原料液の調製に使用されるホップの品種は、特に限られないが、例えば、いわゆるケトルホッピングに使用されるホップが好ましく使用される。また、原料液の調製に使用されるホップの品種と、酸処理が施されたホップの品種とは異なることとしてもよい。
本方法においては、酸処理ホップを、加熱後の冷却を経て調製された原料液に添加することとしてもよい。すなわち、この場合、加熱され、その後に冷却されて調製された原料液に、酸処理ホップを添加する。
具体的に、原料液は、例えば、植物原料を含む原料を使用して調製される場合、当該原料液は、少なくとも当該植物原料と水とを混合して得られた混合液を加熱し、その後、当該混合液を冷却することにより調製されることとしてもよい。この場合、混合液の加熱温度は、特に限られないが、例えば、30℃以上、100℃以下の温度、又は50℃以上、95℃以下の温度に混合液を加熱することとしてもよい。
また、例えば、植物原料に含まれる消化酵素、及び/又は外的に添加される消化酵素(この場合、少なくとも植物原料と、当該外的に添加された消化酵素と、水とを混合して得られた混合液を加熱する)が働く温度(例えば、30℃以上、80℃以下)に混合液を加熱することとしてもよい。
消化酵素は、植物原料に含まれる糖類重合体(例えば、デンプン、三糖類や二糖類)及び/又はアミノ酸重合体(例えば、タンパク質やペプチド)を消化する酵素であれば特に限られないが、例えば、デンプン分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素であることが好ましい。
より具体的に、原料液が、麦芽を含む原料を使用して調製される場合、当該原料液は、少なくとも当該麦芽と水とを混合して得られた混合液の糖化を行い、その後、当該混合液を冷却することにより調製されることとしてもよい。
糖化は、例えば、少なくとも麦芽と水とを混合して調製された原料液を、当該麦芽に含まれる消化酵素(例えば、デンプン分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素)が働く温度(例えば、30℃以上、80℃以下)に加熱することにより行う。
また、原料液が、ホップを含む原料を使用して調製される場合、当該原料液は、少なくともホップと水と混合して調製された混合液の煮沸を行い、その後、当該混合液を冷却することにより調製されることとしてもよい。
また、原料液が、麦芽及びホップを含む原料を使用して調製される場合、当該原料液は、まず少なくとも当該麦芽と水とを混合して得られた混合液の糖化を行い、次いで、ホップを添加して当該混合液の煮沸を行い、その後、当該混合液を冷却することにより調製されることとしてもよい。
本方法においては、原料液の調製は行うことなく、予め調製された原料液を用意し(例えば、予め調製された原料液を他者から購入し)、当該用意された原料液を使用することとしてもよいが、本方法は、上述のようにして原料液を調製することをさらに含むこととしてもよい。
すなわち、例えば、本方法において、酸処理ホップを、加熱後の冷却を経て調製された原料液に添加する場合、本方法においては、加熱及び冷却を含む原料液の調製は行うことなく、予め加熱後の冷却を経て調製された原料液を用意し(例えば、予め加熱後の冷却を経て調製された原料液を他者から購入し)、当該用意された原料液を使用することとしてもよいが、本方法は、上述のようにして原料液の加熱を行うことと、加熱後の当該原料液を冷却することと、をさらに含むこととしてもよい。すなわち、この場合、本方法は、原料液の加熱を行うことと、加熱後の当該原料液を冷却することと、当該加熱後の冷却を経て調製された原料液に酸処理ホップを添加することと、を含む。
本方法においては、原料液に酸処理ホップを添加することにより、当該原料液に、当該酸処理ホップに由来する香りを付与する。すなわち、本方法においては、例えば、加熱後の冷却を経て調製された原料液に酸処理ホップを添加することにより、ドライホッピングを行うこととしてもよい。
原料液に酸処理ホップを添加する方法は、当該原料液に当該酸処理ホップに由来する香りが付与される方法であれば特に限られないが、例えば、上述のように処理液とホップとを混合することにより酸処理が行われた場合には、当該ホップを含む酸処理後の処理液の少なくとも一部を、原料液に添加することとしてもよい。この場合、ホップの固形成分を含む酸処理後の処理液の少なくとも一部を、原料液に添加することとしてもよい。
具体的に、例えば、酸処理が施されたホップペレットを原料液に添加する場合、当該ホップペレットを含む酸処理後の処理液の少なくとも一部を、加熱後の冷却を経て調製された原料液に添加することとしてもよい。この場合、酸処理後の処理液に含まれるホップペレットは吸水してほぐれていることから、当該ホップペレットを含むスラリー状の組成物である当該酸処理後の処理液を原料液に添加することになる。
ホップを含む酸処理後の処理液のpHは、例えば、5.5以下であることとしてもよく、5.2以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましく、4.6以下であることがより一層好ましく、4.5以下であることが特に好ましい。酸処理後の処理液のpHの下限値は特に限られないが、例えば、1.0以上であることとしてもよく、2.0以上であることとしてもよく、2.5以上であることとしてもよい。
本方法は、原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことをさらに含むこととしてもよい。アルコール発酵は、原料液に酵母を添加することにより開始する。アルコール発酵開始時の原料液における酵母の密度は、例えば、1×10個/mL〜3×10個/mLであることとしてもよい。酵母は、アルコール発酵を行う酵母であれば特に限られず、例えば、ビール酵母、ワイン酵母、焼酎酵母及び清酒酵母からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。なお、本実施形態において、アルコール発酵は、ビール等の製造における主発酵又は前発酵に相当する。また、本方法は、アルコール発酵後に熟成を行うことをさらに含むこととしてもよい。なお、本実施形態において、熟成は、ビール等の製造における貯酒又は後発酵に相当する。
酸処理ホップを原料液に添加するタイミングは、当該原料液が調製された後であって、当該酸処理ホップに由来する香りが付与されるタイミングであれば特に限られない。すなわち、例えば、本方法において、酸処理ホップを、加熱後の冷却を経て調製された原料液に添加する場合、当該酸処理ホップを当該原料液に添加するタイミングは、当該原料液が、その調製中に加熱され冷却された後であって、当該酸処理ホップに由来する香りが付与されるタイミングであれば特に限られない。
すなわち、例えば、本方法が、原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことをさらに含む場合(例えば、加熱後の冷却を経て調製された原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことをさらに含む場合)には、当該酸処理ホップを、当該アルコール発酵の終了時までに添加することとしてもよい。
この場合、本方法は、原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことと、酸処理ホップを、当該アルコール発酵の終了時までに、当該原料液に添加することと、を含む。
具体的に、例えば、アルコール発酵の開始前(例えば、原料液への酵母の添加前)、アルコール発酵の開始時(例えば、原料液への酵母の添加時)、アルコール発酵中(例えば、原料液への酵母の添加後)及びアルコール発酵の終了時からなる群より選択される1以上のタイミングで、酸処理ホップを原料液に添加することとしてもよい。
また、例えば、本方法が、アルコール発酵を行うことと、当該アルコール発酵後に熟成を行うことと、をさらに含む場合には、当該酸処理が施されたホップを、当該熟成の開始前までに添加することとしてもよい。
この場合、本方法は、原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことと、当該アルコール発酵後に熟成を行うことと、酸処理ホップを、当該熟成の開始前までに、当該原料液に添加することと、を含む。
具体的に、例えば、アルコール発酵の開始前(例えば、原料液への酵母の添加前)、アルコール発酵の開始時(例えば、原料液への酵母の添加時)、アルコール発酵中(例えば、原料液への酵母の添加後)、アルコール発酵の終了時、アルコール発酵の終了後であって熟成の開始前からなる群より選択される1以上のタイミングで、酸処理ホップを原料液に添加することとしてもよい。
酸処理ホップの添加時における原料液の温度は、特に限られないが、当該酸処理ホップを、例えば、5℃以上、90℃以下の原料液、5℃以上、70℃以下の原料液、5℃以上、50℃以下の原料液、5℃以上、30℃以下の原料液、又は10℃以上、20℃以下の原料液に添加することとしてもよい。
本方法においては、酸処理ホップが添加された後の原料液を使用して、最終的に飲料を製造する。すなわち、例えば、本方法が上述のとおりアルコール発酵を行うことを含む場合、酸処理ホップの添加後であって、当該アルコール発酵後の原料液を使用して飲料を得る。
また、本方法が上述のとおりアルコール発酵を行うこと、及び続いて熟成を行うことを含む場合、酸処理ホップの添加後であって、当該熟成後の原料液を使用して飲料を得る。具体的に、例えば、酸処理ホップの添加後であって、当該アルコール発酵後又は熟成後の原料液に、少なくともろ過処理及び/又は殺菌処理を施して、飲料を得ることとしてもよい。
また、本方法においては、酸処理ホップを原料液に添加した後に熱殺菌を行わないこととしてもよい。この場合、酸処理ホップを原料液に添加することにより付与された香味を効果的に維持することができる。
また、本方法においては、酸処理ホップを原料液に添加した後にろ過処理を行わないこととしてもよい。この場合、酸処理ホップを原料液に添加することにより付与された香味を効果的に維持することができる。
また、本方法においては、アルコール発酵を行うことなく飲料を製造することとしてもよい。この場合、酸処理ホップが添加された後の原料液を使用して飲料を得る。具体的に、例えば、酸処理ホップが添加された後の原料液に、少なくとも他の成分の添加、ろ過処理及び殺菌処理からなる群より選択される1以上を施して、飲料を得ることとしてもよい。
なお、酸処理ホップが添加された後の原料液に添加される他の成分は、例えば、糖類、食物繊維、酸味料、色素、香料、甘味料及び苦味料からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
本方法により製造される飲料は、上述の酸処理ホップに由来する香りを有する飲料であれば特に限られない。本方法は、例えば、発泡性飲料の製造方法であることしてもよい。本実施形態において、発泡性飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を含む泡特性を有する飲料である。すなわち、発泡性飲料は、例えば、炭酸ガスを含有する飲料であって、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料であることが好ましい。
発泡性飲料は、その炭酸ガス圧が所定値以上であることとしてもよい。具体的に、発泡性飲料の炭酸ガス圧は、例えば、1.0kg/cm以上であることとしてもよく、2.0kg/cm以上であることとしてもよい。発泡性飲料の炭酸ガス圧の上限値は、特に限られないが、当該炭酸ガス圧は、例えば、3.0kg/cm以下であることとしてもよい。
発泡性飲料は、例えば、そのNIBEM値が50以上であることとしてもよい。NIBEM値は、ビール等の発泡性飲料の泡持ち特性を示す指標値として使用されている。NIBEM値は、発泡性飲料を所定の容器に注いだ際に形成された泡の高さが所定量減少するまでの時間(秒)として評価される。具体的に、発泡性飲料のNIBEM値は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.29 泡−NIBEM−Tを用いた泡持ち測定法−」に記載の方法に従い測定される。
発泡性飲料は、ビールテイスト飲料であることとしてもよい。本実施形態において、ビールテイスト飲料は、ビール様の香味を有する発泡性飲料である。すなわち、ビールテイスト飲料は、例えば、ビール、発泡酒、又は発泡酒とスピリッツ等のアルコール成分とを含有する発泡性飲料であることとしてもよいが、後述のとおり、アルコール含有量、麦芽の使用の有無、及びアルコール発酵の有無に関わらず、ビール様の香味を有する発泡性飲料であれば特に限られない。
本方法において、飲料に発泡性を付与する方法は特に限られないが、例えば、アルコール発酵、炭酸水の使用、及び炭酸ガスの使用からなる群より選択される1以上により発泡性を付与することとしてもよい。
本方法は、アルコール飲料の製造方法であることとしてもよい。この場合、本方法は、アルコール発酵を行うことを含むこととしてもよく、アルコール発酵及び熟成を行うことを含むこととしてもよい。
本実施形態において、アルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%以上(アルコール分1度以上)の飲料である。アルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%以上であれば特に限られないが、例えば、1〜20体積%であってもよい。アルコール飲料は、ビールテイスト飲料であることとしてもよい。
アルコール飲料は、発泡性アルコール飲料であることとしてもよい。発泡性アルコール飲料は、上述した発泡性を有するアルコール飲料である。発泡性アルコール飲料は、ビールテイスト飲料(例えば、ビール、発泡酒、又は発泡酒とスピリッツ等のアルコール成分とを含有する発泡性飲料からなる群より選択される発泡性アルコール飲料)であることとしてもよい。
本方法は、ノンアルコール飲料の製造方法であることとしてもよい。この場合、本方法は、アルコール発酵を行うことなく、ノンアルコール飲料を製造する方法であることとしてもよい。ノンアルコール飲料は、ビールテイスト飲料であることとしてもよい。
本実施形態において、ノンアルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%未満の飲料である。ノンアルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%未満であれば特に限られないが、例えば、0.5体積%未満であってもよく、0.05体積%未満であってもよく、0.005体積%未満であってもよい。ノンアルコール飲料は、発泡性ノンアルコール飲料であることとしてもよい。発泡性ノンアルコール飲料は、ビールテイスト飲料であることとしてもよい。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
まず、大麦麦芽、ホップ及び水を含む原料を使用し、煮沸後に冷却された原料液(冷麦汁)を調製した。具体的に、ホップを除く原料を混合して得られた混合液を65℃で維持することにより、糖化を行った。さらに、糖化後の混合液にホップを添加して煮沸を行った。煮沸後の混合液を冷却して約20℃の原料液を得た。
一方、ホップの酸処理を行った。酸処理の対象とするホップとしては、原料液の調製に使用したホップとは異なる品種であるカスケード種のホップペレットを使用した。まず醸造用水に乳酸を添加して、乳酸濃度が異なることによりpHが異なる複数の処理液を調製した。次いで、各処理液に、ホップペレットを2g/L添加し、浸漬した。ホップペレットを含む各処理液を常温で30分保持することにより、酸処理を行った。酸処理後の各処理液は、吸水してほぐれたホップペレットを含むスラリー状の組成物であった。
その後、アルコール発酵の開始直前に、上記酸処理が施されたホップペレットを添加し、ドライホッピングを行った。すなわち、まず上記冷却された原料液に、上記ホップペレットを含む酸処理後の処理液を添加した。その後、EBC発酵管を使用して、約2.5Lスケールでアルコール発酵を行った。すなわち、酸処理が施されたホップペレットを含む原料液に、上面発酵ビール酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始した。アルコール発酵後には、さらに熟成を行った。
そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5.5体積%のアルコール飲料(ビール)を得た。また、比較のため、処理水に代えて、乳酸を添加していない醸造用水をそのまま使用したこと以外は同様にしてビールを製造した。
そして、上述のようにして製造された各ビールについて、熟練したパネラー5人による官能評価を行った。官能評価においては、各パネラーが、「スムース感」、「ビールらしい味」、「苦味粗さ」、「樹脂臭」の各項目に対し、「1点」、「2点」、「3点」、「4点」又は「5点」の点数を付与した。
また、ビールの製造に使用した、ホップを添加する前の処理液、ホップを含む酸処理後の処理液、及びホップを含む酸処理後の処理液が添加された原料液のpHをそれぞれ測定した。また、ビールのアセトアルデヒド含有量も測定した。アセトアルデヒド含有量は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.22 低沸点香気成分」に記載の方法に従って測定した。
図1には、例1−1〜例1−5のそれぞれについて、処理液調製時の酸添加量(w/v%)と、ホップを添加する前の処理液(図中の「処理液」)、ホップを含む酸処理後の処理液(図中の「処理液+ホップ」)、及びホップを含む酸処理後の処理液が添加された原料液(図中の「処理液+ホップ+原料液」)のpHと、官能検査の結果と、ビールのアセトアルデヒド含有量(ppm)とを示す。
なお、図1の官能評価結果において、「スムース感」及び「ビールらしい味」については、点数が高いほど好ましい評価であり、「苦味粗さ」及び「樹脂臭」については、点数が低いほど好ましい評価である。また、図1に示す官能評価の点数は、5人のパネラーにより付与された点数の合計値を、当該パネラーの人数で除することにより算出された値である。
図1に示すように、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行って製造された例1−2〜例1−5のビールは、処理液に代えて醸造用水を使用した例1−1のビールに比べて、アセトアルデヒド含有量が低下し、スムース感及びビールらしい味が増し、苦味粗さ及び樹脂臭が低減された香味を有すると評価された。
すなわち、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行うことにより、酸処理が施されていないホップを使用したドライホッピングを行う場合に比べて、ビールの香味が向上することが示された。
特に、処理液調製時の酸添加量が0.10w/v%超(具体的には0.25w/v%以上)であり、処理液のpHが3.0未満(具体的には2.7以下)であり、ホップを含む酸処理後の処理液のpHが5.2未満(具体的には4.6以下)であった例1−3〜例1−5のビールは、顕著に向上した香味を有すると評価された。
なお、結果を図示してはいないが、酸処理の時間が5分であったこと以外は例1−4と同様にして製造したビールについても、図1に示す当該例1−4の結果と同様の官能評価結果が得られた。
上述の実施例1と同様にして、煮沸後、約2℃に冷却された原料液(冷麦汁)を調製した。また、ホップの酸処理を行った。酸処理の対象とするホップとしては、カスケード種のホップペレットを使用した。
まず上述の実施例1と同様にして、醸造用水に乳酸を添加して、乳酸濃度が異なることによりpHが異なる複数の処理液を調製した。次いで、各処理液に、ホップペレットを2g/L添加し、浸漬した。ホップペレットを含む各処理液を常温で30分保持することにより、酸処理を行った。
その後、アルコール発酵を行うことなく、酸処理が施されたホップペレットを使用するドライホッピングを行って、ノンアルコール飲料を得た。すなわち、上記冷却された原料液に、ホップペレットを含む酸処理後の処理液を添加して、常温で30分保持することにより、ドライホッピングを行った。
さらに、ドライホッピング後の原料液をろ過し、飲料用水と混合することにより(原料液:飲料用水=3:1(体積比))、アルコール含有量が0.005体積%未満のノンアルコール飲料を得た。また、比較のため、処理水に代えて醸造用水をそのまま使用したこと以外は同様にしてノンアルコール飲料を製造した。そして、上述のようにして製造された各ノンアルコール飲料について、パネラーの数が3人であったこと以外は上述の実施例1と同様にして、官能評価を行った。
図2には、例2−1〜例2−5のそれぞれについて、処理液調製時の酸添加量(w/v%)、及び官能検査の結果を示す。図2に示すように、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行って製造された例2−2〜例2−5のノンアルコール飲料は、処理液に代えて醸造用水を使用した例2−1のノンアルコール飲料に比べて、スムース感及びビールらしい味が増し、苦味粗さが低減された香味を有すると評価された。
すなわち、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行うことにより、酸処理が施されていないホップを使用したドライホッピングを行う場合に比べて、ノンアルコール飲料の香味が向上することが示された。
特に、処理液調製時の酸添加量が0.10w/v%超(具体的には0.25w/v%以上)であった例2−3〜例2−5のノンアルコール飲料は、顕著に向上した香味を有すると評価された。
上述の実施例1と同様にして、煮沸後、約18℃に冷却された原料液(冷麦汁)を調製した。また、ホップの酸処理を行った。酸処理の対象とするホップとしては、カスケード種のホップペレットを使用した。
まず上述の実施例1と同様にして、醸造用水に、乳酸、リン酸又はリンゴ酸を0.50w/v%添加することにより、使用された酸の種類が異なる複数の処理液を調製した。なお、0.50w/v%のリン酸を添加して調製された処理液のpH(20.5℃)は、1.7であった。また、0.50w/v%のリンゴ酸を添加して調製された処理液のpH(20.6℃)は、2.6であった。次いで、各処理液に、ホップペレットを2g/L添加し、浸漬した。ホップペレットを含む各処理液を常温で30分保持することにより、酸処理を行った。
その後、上記冷却された原料液に、まず上記ホップペレットを含む酸処理後の処理液を添加した。次いで、容量約200mLの発酵管を使用して、約200mLスケールでアルコール発酵を行った。すなわち、酸処理ホップ添加後の冷却された原料液に、上面発酵ビール酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始し、さらに、当該アルコール発酵後に熟成を行った。
そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5.0体積%のビールを得た。また、比較のため、処理水に代えて、酸を添加していない醸造用水をそのまま使用したこと以外は同様にしてビールを製造した。また、上述のようにして製造された各ビールについて、パネラーの数が3人であったこと以外は上述の実施例1と同様にして、官能評価を行った。
図3には、例3−1〜例3−4のそれぞれについて、処理液の調製に使用された酸の種類、及び官能検査の結果を示す。図3に示すように、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行って製造された例3−2〜例3−4のビールは、処理液に代えて醸造用水を使用した例3−1のビールに比べて、スムース感及びビールらしい味が増し、苦味粗さ及び樹脂臭が低減された香味を有すると評価された。
すなわち、処理液の調製に使用される酸の種類にかかわらず、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行うことにより、酸処理が施されていないホップを使用したドライホッピングを行う場合に比べて、ビールの香味が向上することが示された。
上述の実施例1と同様にして、煮沸後、約18℃に冷却された原料液(冷麦汁)を調製した。また、ホップの酸処理を行った。酸処理の対象とするホップとしては、原料液の調製に使用したホップ、及び上述した実施例のドライホッピングで使用されたカスケード種のいずれとも異なる14品種(Galaxy種、Citra種、Polaris種、Apollo種、Saaz種、Traditon種、Sorachi Ace種、Barbe Rouge種、Mandarina Bavaria種、Mosaic種、Nelson Sauvin種、信州早生種、フラノ18号種及びリトルスター種)のホップペレットを使用した。
まず上述の実施例1と同様にして、醸造用水に乳酸を0.50w/v%添加することにより、処理液を調製した。次いで、処理液に、14品種のうちいずれかのホップペレットを2g/L添加し、浸漬した。ホップペレットを含む各処理液を常温で30分保持することにより、酸処理を行った。
その後、上記冷却された原料液に、まず上記ホップペレットを含む酸処理後の処理液を添加した。次いで、容量約200mLの発酵管を使用して、約200mLスケールでアルコール発酵を行った。すなわち、酸処理ホップ添加後の冷却された原料液に、上面発酵ビール酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始し、さらに、当該アルコール発酵後に熟成を行った。
そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5.0体積%のビールを得た。また、比較のため、処理水に代えて醸造用水をそのまま使用したこと以外は同様にしてビールを製造した。また、上述のようにして製造された各ビールについて、パネラーの数が3人であったこと以外は上述の実施例1と同様にして、官能評価を行った。
図4Aには、例4−1C〜例4−14Cについて、また、図4Bには、例4−1〜例4−14について、ドライホッピングに使用されたホップの品種、及び官能検査の結果を示す。図4A及び図4Bに示すように、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行って製造された例4−1〜例4−14のビールは、処理液に代えて醸造用水を使用した例4−1C〜例4−14Cのビールに比べて、スムース感及びビールらしい味が増し、苦味粗さ及び樹脂臭が低減された香味を有すると評価された。
すなわち、使用されるホップの品種にかかわらず、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行うことにより、酸処理が施されていないホップを使用したドライホッピングを行う場合に比べて、ビールの香味が向上することが示された。
上述の実施例1と同様にして、煮沸後、約18℃に冷却された原料液(冷麦汁)を調製した。また、ホップの酸処理を行った。酸処理の対象とするホップとしては、カスケード種のホップペレットを使用した。
まず上述の実施例1と同様にして、醸造用水に乳酸を0.50w/v%添加することにより、処理液を調製した。次いで、処理液に、ホップペレットを2g/L添加し、浸漬した。ホップペレットを含む各処理液を常温で30分保持することにより、酸処理を行った。
その後、例5−1においては、上述の実施例1と同様に、アルコール発酵の開始直前に、酸処理後のホップペレットを添加し、ドライホッピングを行った。すなわち、上記冷却された原料液に、まず上記ホップペレットを含む酸処理後の処理液を添加し、次いで、上面発酵ビール酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始した。3日間のアルコール発酵後には、さらに熟成を行った。そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5.5体積%のビールを得た。
一方、例5−2においては、3日間のアルコール発酵中に、酸処理が施されたホップペレットを添加し、ドライホッピングを行った。すなわち、まず上記冷却された原料液に、上面発酵ビール酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始した。次いで、アルコール発酵2日目(アルコール発酵終了の1日前)の時点で、アルコール発酵中の原料液に、上記ホップペレットを含む酸処理後の処理液を添加した。アルコール発酵後には、さらに熟成を行った。そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5.5体積%のビールを得た。そして、上述のようにして製造された各ビールについて、パネラーの数が3人であったこと以外は上述の実施例1と同様にして、官能評価を行った。
図5には、例5−1及び例5−2のそれぞれについて、酸処理ホップの添加タイミング、及び官能検査の結果を示す。図5に示すように、酸処理ホップをアルコール発酵開始直前に添加してドライホッピングを行った例5−1、及び酸処理ホップをアルコール発酵中に添加してドライホッピングを行った例5−2のいずれにおいても、最終的に製造されたビールは、スムース感及びビールらしい味が増し、苦味粗さ及び樹脂臭が低減された香味を有すると評価された。
すなわち、酸処理ホップの添加タイミングがアルコール発酵開始直前かアルコール発酵中かにかかわらず、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行うことにより、ビールの香味が向上することが示された。
上述の実施例1と同様にして、煮沸後、約18℃に冷却された原料液(冷麦汁)を調製した。また、ホップの酸処理を行った。酸処理の対象とするホップとしては、カスケード種のホップペレットを使用した。
まず上述の実施例1と同様にして、醸造用水に乳酸を0.50w/v%添加することにより、処理液を調製した。次いで、例6−1においては、上述の実施例1と同様にして、処理液に、ホップペレットを2g/L添加し、浸漬した。ホップペレットを含む処理液を、加熱することなく、常温で30分保持することにより、酸処理を行った。
一方、例6−2及び例6−3においては、各処理液に、ホップペレットを2g/L添加した後、ホップペレットを含む各処理液を加熱して、それぞれ60℃で30分、及び90℃で30分保持し、さらにその後、当該加熱を停止して、その温度が常温になるまで各処理液を放置することにより、酸処理を行った。
また、例6―4においては、処理液に、ホップペレットを2g/L添加した後、まずホップペレットを含む各処理液を、加熱することなく常温で29分保持し、続いて、当該各処理液を加熱して90℃で1分保持し、さらにその後、加熱を停止して、その温度が常温になるまで各処理液を放置することにより、酸処理を行った。
その後、上記冷却された原料液に、まず上記ホップペレットを含む酸処理後の処理液を添加した。次いで、容量約200mLの発酵管を使用して、約200mLスケールでアルコール発酵を行った。すなわち、酸処理ホップ添加後の冷却された原料液に、上面発酵ビール酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始し、さらに、当該アルコール発酵後に熟成を行った。
そして、上述のようにして製造された各ビールについて、パネラーの数が3人であったこと、及び「フレーバーホップに特有の香り」についても評価したこと以外は上述の実施例1と同様にして、官能評価を行った。
図6には、例6−1〜例6−4のそれぞれについて、酸処理時の加熱条件、及び官能検査の結果を示す。図6に示すように、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行って製造された例6−1〜例6−4のビールは、いずれもスムース感及びビールらしい味が増し、苦味粗さ及び樹脂臭が低減された香味を有すると評価された。すなわち、酸処理時の加熱の有無にかかわらず、酸処理ホップを使用したドライホッピングを行うことにより、ビールの香味が向上することが示された。
また、加熱下で酸処理が施されたホップを使用したドライホッピングを行って製造された例6−2〜例6−4のビールは、加熱されることなく酸処理が施されたホップを使用したドライホッピングを行って製造された例6−1のビールに比べて、フレーバーホップに特有の香り(具体的には、カスケード種に特有の柑橘系の香り)が増していると評価された。すなわち、加熱下で酸処理が施されたホップを使用したドライホッピングを行うことにより、ビールのフレーバーホップに特有の香りが効果的に増強されることが示された。

Claims (10)

  1. 原料液を使用して飲料を製造する方法であって、
    酸処理が施されたホップを前記原料液に添加することを含む、
    飲料の製造方法。
  2. 前記酸処理が施されたホップを、加熱後の冷却を経て調製された前記原料液に添加する、
    請求項1に記載の飲料の製造方法。
  3. 前記酸処理は、酸性の溶液とホップとを混合する処理である、
    請求項1又は2に記載の飲料の製造方法。
  4. 前記酸性の溶液のpHは6.0以下である、
    請求項3に記載の飲料の製造方法。
  5. 前記原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行うことをさらに含む、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の飲料の製造方法。
  6. 前記酸処理が施されたホップを、前記アルコール発酵の終了時までに添加する、
    請求項5に記載の飲料の製造方法。
  7. 前記アルコール発酵後に熟成を行うことをさらに含み、
    前記酸処理が施されたホップを、前記熟成の開始前までに添加する、
    請求項5に記載の飲料の製造方法。
  8. 前記飲料は、ビールテイスト飲料である、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の飲料の製造方法。
  9. 前記酸処理が施されたホップを前記原料液に添加した後に熱殺菌を行わない、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の飲料の製造方法。
  10. 原料液を使用して製造される飲料の香味を向上させる方法であって、
    酸処理が施されたホップを前記原料液に添加することにより、前記飲料の香味を向上させる、
    飲料の香味向上方法。

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