JP2017150108A - 繊維シート - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 繊維が集合してなる繊維シートであって、繊維は、径5μm超の幹部を有し、繊維の少なくとも一部は、幹部から延出する径5μm以下のフィブリル部を有し、繊維シートは、幹部同士が交差する交点A、フィブリル部同士が交差する交点B、および幹部とフィブリル部とが交差する交点Cを有し、1mm2において、交点Aの数NA、交点Bの数NB、および交点Cの数NCの合計が30000以上である、繊維シート。
[3] 上記数NBは、20000以上である、[1]または[2]に記載の繊維シート。
図1〜図3を用いて、本発明の繊維シートについて説明する。図1に示されるように、繊維シート1は、繊維が集合してなる繊維シートである。このような繊維シートとしては、織布(織物)、編み物、レース、フェルト、不織布などが挙げられる。用途に応じて繊維シートは適宜選択することができる。たとえば繰り返し使用する用途であれば、織物、編み物から選択することが耐久性の面で好ましく、使い捨ての用途においては、価格の面から不織布を選択することが好ましい。
上記の繊維シート1は、たとえば、複数本の繊維を集合させてシート状の第1前駆体を形成する工程(繊維シート形成工程)と、第1前駆体の厚み方向に関し、少なくとも一方側からキャビテーションエネルギーを与えることにより、繊維からフィブリル部を起毛させて、第2前駆体を形成する工程(フィブリル化工程)と、を備える製造方法によって製造することができる。以下、各工程について詳述する。
本実施形態の製造方法においては、まず、複数本の繊維を集合させてシート状の第1前駆体が形成される。第1前駆体は、フィブリルを有する繊維として好ましいものとして後述する繊維を用いて、または、場合によっては他の繊維として好ましいものとして後述する繊維を混合して、既存の加工技術(織物、編み物、レース、フェルト、不織布(乾式、湿式のいずれでもよい)の製法)を特に制限なく用いて形成することができる。第1前駆体は、好ましくは、スパンレース(水流)にて繊維を三次元交絡させた不織布であることが好ましい。
次に、得られた第1前駆体に、その厚み方向において少なくとも一方側からキャビテーションエネルギーを与える。当該工程は、上述の工程で第1前駆体を形成し、そのまま行ってもよいし、形成後に一旦巻き取られた第1前駆体を取り出して行ってもよい。これにより、繊維がフィブリル化され、もって繊維からフィブリル部が起毛された、第2前駆体が形成される。
得られた第2前駆体は、繊維シート1となり得るが、上記フィブリル化工程を経た後の第2前駆体は、水分を多く含んでいる場合が多い。このため、第2前駆体そのものを繊維シート1としてもよいが、これを乾燥させて繊維シート1とすることが好ましい。乾燥方法は特に限定されず、たとえば、マングルで脱水した後に、熱風乾燥機を用いて130℃で乾燥させてもよい。特に、第2前駆体に対し、その目付量に対して、50〜500%の水分を均一に含ませた状態で、乾燥処理を実施することが好ましい。これにより、交点における水素結合をより顕著に形成させることができる。
上述のような繊維シート1は、通気性に優れつつも、高い機能性を発揮し得るものとなる。この理由について、従来の繊維シートと比較しながら説明する。
JIS L 1906に準じ、温度20℃、湿度65%の標準状態に繊維シートの試験片を24時間放置後、幅方向1m×長さ方向1mの試料を採取し、天秤を用いて重量(g)を測定する。得られた重量(g)の小数点以下を四捨五入して目付量とした。
剃刀(フェザー安全剃刀(株)製「フェザー剃刃S片刃」)を用いて、サンプルを表面に対して垂直であってMD方向に平行に切断し、デジタル顕微鏡[(株)キーエンス(KEYENCE)製デジタルマイクロスコープ(DIGITALMICROSCOPE)VHX−900]にて、その断面を観察し厚さを計測した。
目付量(g/m2)を厚み(mm)で除して、見かけ密度を求めた。
目付量F(g/m2)、厚みG(μm)および繊維の平均比重H(g/cm2)から、下記式
空隙率(%)=100−((F/G/H)×100)
により空隙率(%)を算出した。
JIS L 1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて、繊維シートのMD方向およびCD方向に関し、乾燥状態および湿潤状態における各々の破断強度を測定した。なお、繊維シートを50℃で1時間予備乾燥を行ない、標準状態(温度20℃、相対湿度65%)で24時間放置し、これを乾燥状態の繊維シートとした。一方、繊維シートを20℃の水に24時間浸漬し、その後該繊維シートを水から取り出して布帛上に静置して水を切り、繊維シートの400重量%の含水状態に調整したものを湿潤状態の繊維シートとした。
JIS L 1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて、繊維シートの機械方向(MD)および幅方向(CD)に関し、乾燥状態および湿潤状態における各々の破断伸度をそれぞれ測定した。なお、繊維シートを50℃で1時間予備乾燥を行ない、標準状態(温度20℃、相対湿度65%)で24時間放置し、これを乾燥状態の繊維シートとした。一方、繊維シートを20℃の水に24時間浸漬し、その後該繊維シートを水から取り出して布帛上に静置して水を切り、繊維シートの400重量%の含水状態に調整したものを湿潤状態の繊維シートとした。
走査型電子顕微鏡(「S−3400N型」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、上述の方法に従って、交点Aの数NA、交点Bの数NB、交点Cの数NCを算出した。
(繊維シート形成工程)
繊度1.7dtex(径:12.0μm)、繊維長38mmのテンセル(登録商標)(レンチング社製)を用い、CADでセミランダムウェブを作成した。次いで、水流による三次元絡合処理を施した。具体的には、まず、ウエブを金属製多孔性支持部材上に載置し、径0.10mmの噴射孔がウエブの幅方向に間隔0.6mm毎に設けられた2列のノズルを用い、それぞれ水流を水圧3MPa、5MPaの順で噴射し交絡させた(第1交絡処理)。更にウエブの表裏を搬送コンベアで反転させ、ポリエステル平織りメッシュ(日本フィルコン株式会社製、OP−76)支持体上に載置し、2列のノズルにおけるそれぞれ水流を水圧3MPa、5MPaの順で噴射し三次元絡合させた(第2交絡処理)。これら一連の処理を5m/分の速度で行ない、スパンレース不織布(第1前駆体)を得た。
次に、精電舎電子工業株式会社製の超音波加工機を用い、関西金網株式会社製ナイロン平織りメッシュ(線径160μm、#200)で形成された支持体上で、スパンレース不織布の片面に、出力:1200W、周波数:20kHz、水温:25℃で、水浴超音波加工により0.2秒間処理を行なった。これにより、フィブリル部が起毛したスパンレース不織布(第2前駆体)を得た。
次に、第2前駆体を脱水用マングルで脱水し、脱水後の第2前駆体に対し、130℃の熱風を5分間吹き付けることにより、乾燥させた。以上により、実施例1に係る繊維シートを作製した。
繊度1.3dtex(径:10.5μm)、繊維長38mmのテンセル(登録商標)(レンチング社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2に係る繊維シートを作製した。
繊度1.7dtex(径:12.0μm)、繊維長38mmのリヨセル(テンセル(登録商標)、レンチング社製)と、繊度1.6dtex(径:12.3μm)、繊維長51mmのポリエチレンテレフタラートステープル繊維(テトロン(登録商標)T471、東レ株式会社製)とを、重量比で30:70となるように均一に混合させた繊維を用い、第1交絡処理および第2交絡処理のそれぞれにおいて、水流を5MPa、8MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3に係る繊維シートを作製した。
フィブリル化工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により、繊維シートを作製した。
繊度3.8dtex(径:20.6μm)、繊維長51mmの分割繊維(ナイロン6とポリエチレンテレフタレートの質量比:33/67、「WRAMP W102」、(株)クラレ製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、繊維シートを作製した。
Claims (9)
- 繊維が集合してなる繊維シートであって、
前記繊維は、径5μm超の幹部を有し、
前記繊維の少なくとも一部は、前記幹部から延出する径5μm以下のフィブリル部を有し、
前記繊維シートは、前記幹部同士が交差する交点A、前記フィブリル部同士が交差する交点B、および前記幹部と前記フィブリル部とが交差する交点Cを有し、
1mm2において、前記交点Aの数NA、前記交点Bの数NB、および前記交点Cの数NCの合計が30000以上である、繊維シート。 - 前記数NBは前記数NAの50倍以上である、請求項1に記載の繊維シート。
- 前記数NBは、20000以上である、請求項1または請求項2に記載の繊維シート。
- 前記数NAは、1000以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の繊維シート。
- 前記繊維シートの空隙率は、70〜99%である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の繊維シート。
- 前記繊維シートの破断強度は、10N/5cm以上である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維シート。
- 前記繊維シートの目付量は、10〜500g/m2である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の繊維シート。
- 前記繊維シートの見かけ密度は、0.015〜0.45g/cm3である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の繊維シート。
- 繊維が集合してなる繊維シートであって、
前記繊維シートは、1mm2当たりの交点数が30000以上であり、空隙率が70〜99%であり、かつ破断強度が10N/5cm以上である、繊維シート。
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