JP2017150009A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性の低下を抑制し、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法の提供。【解決手段】質量%で、C:0.002〜0.150%、Si:2.5〜6.0%、Mn:0.01〜0.80%、Al:0.010〜0.050%、N:0.003〜0.020%並びにS:0.002〜0.030%又はSe:0.002〜0.100%のうちから選んだ1種又は2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成からなる熱延鋼板に800〜400℃の冷却速度を20℃/s以上とする熱延焼鈍を施し、中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施す冷延鋼板に脱炭焼鈍と仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、熱延板焼鈍後かつ1回目の冷間圧延後の中間焼鈍までの間に、500〜800℃の温度で30〜600秒未満の熱処理を施す方向性電磁鋼板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
電磁鋼板は、変圧器やモーターの鉄心材料等として広く用いられている軟磁性材料である。その中でも方向性電磁鋼板は、結晶方位をGoss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積することで、優れた磁気特性を示すため、主として大型の変圧器の鉄心材料等として使用されている。変圧器を励磁した際に生じるエネルギーロスを低減するため、方向性電磁鋼板は、励磁によって鋼板で生じる損失すなわち鉄損が低いことが求められる。
方向性電磁鋼板を低鉄損化する手段として、二次再結晶粒径を微細にすることで、鋼板の渦電流損を低減する技術が知られている。例えば、特許文献1には、脱炭焼鈍の700℃までの加熱速度を平均30℃/s以上で加熱することで、一次再結晶集合組織中のGoss方位粒を増やし、二次再結晶粒を微細にする技術が開示されている。
また、鋼板の渦電流損を低減するその他の手段として、磁区細分化技術が知られている。例えば、特許文献2には、最終冷間圧延後の鋼板にレジストを印刷し、エッチングを施すことで、鋼板表面に溝を形成し、磁区細分化する技術が開示されている。また、特許文献3には方向性電磁鋼板にレーザを照射し、鋼板表層に高転位密度領域を導入することで磁区細分化する技術が、特許文献4には、電子ビーム照射によって磁区細分化する技術が開示されている。
その他の低鉄損の手段として、製品の結晶方位のGoss方位への集積を高め、ヒステリシス損を低減する手段が知られている。そのためには、仕上焼鈍前の製品の一次再結晶集合組織を適切な状態に制御することが重要である。方向性電磁鋼板の製造では、一般に、仕上焼鈍中に一次再結晶粒のうちGoss方位を有する粒のみが、周囲の粒を蚕食しながら粗大に成長する、二次再結晶が生じることで、Goss方位に高度に集積した鋼板を得ることができる。そして、二次再結晶の際に、Goss方位を有する粒のみを優先的に成長させる一次再結晶集合組織として、{111}<112>方位と{411}<148>方位が知られている。
一次再結晶集合組織をこれらの方位に先鋭化する手段として、最終冷延圧下率の制御が挙げられる。例えば、特許文献5には、冷延圧下率を70%〜91%と高圧下することで、再結晶焼鈍時に粒界からの再結晶核形成が促進され、Goss方位の成長に好適な{111}<112>粒を含む{111}//ND方位を発達させる技術が開示されている。しかしながら、冷延圧下率を高圧下とするのみでは、一次再結晶集合組織中に{111}<112>方位のみが発達し、{411}<148>方位が弱くなり、両者の方位がバランスよく存在せず、磁束密度の向上に限界があるという問題があった。
上記の問題を解決するために、特許文献6では、最終冷間圧延を除くいずれかの冷間圧延に先立って、500℃以上750℃以下の温度範囲で、10分以上480時間以下の熱処理を行うことで、熱間圧延後の第2相組織であるパーライト中に層状に析出した炭化物を球状化し、圧延工程での不均一なひずみ量を減少させつつ、最終冷間圧延前の粒径を粗大化させることで、一次再結晶集合組織中の{411}<148>方位の存在頻度を高めて、{111}<112>方位と{411}<148>方位をバランスよく存在させることが可能となる技術が開示されている。
特開平04-160114号公報 特公平08-6140号公報 特公昭57-2252号公報 特公平06-072266号公報 特許4123653号公報 特開2012-21229号公報
しかしながら、前述の層状炭化物を球状化させる熱処理(以下、球状化処理)は、10分以上行う必要があり、工業的に実施する際には、連続焼鈍ラインを用いた場合、設備が長大となりすぎるため、バッチ焼鈍が必要であった。そのため、コイルの加熱および冷却に時間がかかり、リードタイムが大きく増大することで、生産性が低下するという問題があった。
本発明は、前記課題を解決し、前述の球状化処理を連続焼鈍が許容される短時間にて実施可能とすることによって、生産性の低下を防ぎつつ、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、発明者らは、球状化処理を短時間化し、連続焼鈍による処理を可能とするために鋭意検討を行った。その結果、熱延板焼鈍の冷却過程を急冷とすることで、層状に析出した炭化物の形態を制御し、続く熱処理によって炭化物が球状化する時間を短時間化できることを見出した。
まず、本発明を着想するに至った実験について説明する。
(実験1)
質量%でC:0.06%、Si:3.1%、Mn:0.1%、Al:0.020%、N:0.007%、Se:0.01%を含有する鋼スラブを、1400℃の温度で加熱した後、熱間圧延して2.2mmの板厚とし、1100℃、60秒の熱延板焼鈍を施した。ここで、熱延板焼鈍の冷却過程において、温度が800℃から400℃までの冷却速度を5℃/sから200℃/sの範囲とした。次いで、熱延板焼鈍した鋼板に、700℃で10秒から3600秒の範囲で熱処理を施した。その後、冷間圧延して1.5mmの中間厚とした後に、1100℃×80sの中間焼鈍を施し、最終冷間圧延を施して板厚0.23mmとした。その後、850℃×120sの脱炭焼鈍を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1150℃で6時間保持する純化焼鈍を兼ねた仕上焼鈍を施した。斯くして得た仕上焼鈍後の試験片について、JIS C2550に準拠して磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を測定した。
図1に上記試験片の磁気特性について測定した結果を示す。熱延板焼鈍後の800℃から400℃までの冷却速度を20℃/s以上とすることで、熱延板焼鈍後に700℃で熱処理する時間を30sまで短縮しても、鉄損が0.85W/kg以下の良好な磁気特性を得ることができている。
熱延板焼鈍の冷却を急冷とすることで、層状炭化物の球状化に必要な時間が軽減される理由については、以下のように考えている。オーステナイトが析出した高温の鋼を冷却すると、A1点以下でパーライト相が析出するが、パーライト中の層状炭化物間の間隔は冷却速度が速いほど微細となり、炭化物層1枚あたりの厚さは薄くなる。そのため、冷却速度が遅く炭化物層が厚い場合に比べ、球状化焼鈍中に層状炭化物の溶解と崩壊が促進されるために、短時間で球状化が進行したと考えられる。あるいは、冷却速度がさらに速くなると、パーライトの代わりにマルテンサイトが析出するようになり、このような相は不安定であるため、球状化が促進されたと考えられる。
次いで、発明者らは、球状化処理を施す際の温度について検討を行った。
(実験2)
実験1で使用したものと同じ鋼スラブを1400℃の温度で加熱した後、熱間圧延して2.2mmの板厚とし、1100℃、60秒の熱延板焼鈍を施した。ここで、熱延板焼鈍の冷却過程において、温度が800℃から400℃までの冷却速度を一部の試料について10℃/sとし、残りの試料については40℃/sとした。次いで、熱延板焼鈍した鋼板を300℃から900℃の範囲で5分間の熱処理を施した。その後、冷間圧延して1.5mmの中間厚とした後、1100℃×80sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延を施して板厚0.23mmとした。その後、850℃×120sの脱炭焼鈍を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1150℃で6時間保持する純化焼鈍を兼ねた仕上焼鈍を施した。斯くして得た仕上焼鈍後の試験片について、JIS C2550に準拠して磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を測定した。
図2に上記試験片の磁気特性について測定した結果を示す。熱処理の均熱温度を500℃〜800℃の範囲することで、0.85W/kg以下の良好な鉄損が得ることができている。
熱処理の均熱温度を500〜800℃の範囲とする必要がある理由としては、発明者らは以下のように考えている。均熱温度を500℃未満とすると、層状セメンタイトの球状化が十分に進行せず、また、800℃超であると、鋼のA1点を超えることでパーライト組織のオーステナイト化が進行し、A1点以下に冷却した際に、再びパーライト組織が析出してしまうために、セメンタイトの球状化によって、最終冷間圧延前の粒径を粗大とすることができず、結果として一次再結晶集合組織中の{411}<148>方位の存在頻度を増やすことができないためであると考えられる。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.002%以上0.150%以下、Si:2.5%以上6.0%以下、Mn:0.01%以上0.80%以下、Al:0.010%以上0.050%以下、N:0.003%以上0.020%以下並びにS:0.002%以上0.030%以下およびSe:0.002%以上0.100%以下のうちから選んだ1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブに熱間圧延を施して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に熱延板焼鈍を施し、該熱延板焼鈍後の熱延鋼板に、中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とし、該冷延鋼板に脱炭焼鈍を施し、該脱炭焼鈍後の冷延鋼板に仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法であって、前記熱延板焼鈍の800℃から400℃までの冷却速度を20℃/s以上とし、前記熱延板焼鈍の後かつ1回目の冷間圧延後の中間焼鈍までの間に、500℃以上800℃以下の温度で30秒以上600秒未満の熱処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
(2)前記成分組成は、さらに、質量%で、Cr:0.01%以上0.50%以下、Cu:0.01%以上0.50%以下、P:0.005%以上0.500%以下、Ni:0.01%以上1.50%以下、Sb:0.005%以上0.500%以下、Sn:0.005%以上0.500%以下、Mo:0.005%以上0.100%以下、B:0.0002%以上0.0025%以下、Nb:0.0010%以上0.0100%以下およびV:0.001%以上0.010%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(1)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(3)前記脱炭焼鈍は、500℃から700℃までの加熱速度を80℃/s以上とすることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(4)前記冷延鋼板に磁区細分化処理を施すことを特徴とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(5)前記磁区細分化処理が、前記仕上焼鈍後の前記冷延鋼板への連続レーザビームの照射によるものであることを特徴とする、前記(4)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(6)前記磁区細分化処理が、前記仕上焼鈍後の前記冷延鋼板への電子ビーム照射によるものであることを特徴とする、前記(4)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、磁束密度が高く、鉄損の低い方向性電磁鋼板を、生産性を著しく低下させることなく製造することができる。
熱延板焼鈍後熱処理の均熱時間の鉄損に対する影響を示すグラフである。 熱延板焼鈍後熱処理の均熱温度の鉄損に対する影響を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態による方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。まず、本発明の方向性電磁鋼板の素材に用いる鋼素材(スラブ)の成分組成について説明する。なお、本明細書において、各成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
C:0.002%以上0.150%以下
Cは、0.002%に満たないと、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブによる割れが生じるなどして、製造に支障をきたすようになる。一方、0.150%を超えると、脱炭焼鈍で、Cを時期時効の起こらない0.005%以下に低減することが困難となる。よって、Cは0.002%以上0.150%以下の範囲とする。好ましくは0.01%以上0.150%以下である。
Si:2.5%以上6.0%以下
Siは鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するのに必要な元素である。上記効果は、2.5%未満であると十分でなく、一方、6.0%を超えると、加工性が低下し、圧延して製造することが困難となる。よってSiは2.5%以上6.0%以下の範囲とする。好ましくは、2.9%以上5.0%以下である。
Mn:0.01%以上0.80%以下
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.01%未満では十分に得られず、一方、0.80%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よってMnは0.01%以上0.80%以下の範囲とする。好ましくは0.02%以上0.50%以下の範囲である。
Al:0.010%以上0.050%以下、N:0.003%以上0.020%以下
AlとNはともにインヒビター形成元素として必要であるが、上記下限値より少ないと、インヒビター効果が十分に得られず、一方、上記上限値を超えると、固溶温度が高くなり、スラブの再加熱を行った場合にも未固溶で残存し、磁気特性を劣化させる。よってAlは0.010%以上0.050%以下、Nは0.003%以上0.020%以下の範囲とする。好ましくは、Alは0.015%以上0.035%以下、Nは0.005%以上0.015%以下の範囲である。
S:0.002%以上0.030%以下およびSe:0.002%以上0.100%以下のうちから選んだ1種または2種
SとSeはともにMnと結合してインヒビターを形成するが、それぞれ含有量が上記下限値より少ないと、インヒビター効果が十分に得られず、一方、上記上限値を超えると、固溶温度が高くなり、スラブの再加熱を行った場合にも未固溶で残存し、磁気特性を劣化させる。好ましくはS:0.004%以上0.015%以下およびSe:0.005%以上0.050%以下の範囲である。
本発明における基本成分は、上記したとおりであり、残部はFeおよび不可避的不純物である。かかる不可避的不純物としては、原料、製造設備等から不可避的に混入する不純物が挙げられる。
以上、本発明の基本成分について説明したが、本発明では、その他にも必要に応じて、以下の元素を適宜含有させることができる。
Cr:0.01%以上0.50%以下
Crは仕上焼鈍におけるフォルステライト被膜の形成を安定化させ、被膜不良を軽減することで生産性の向上のために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.01%未満では、被膜形成の安定化の効果が乏しく、0.50%超では、磁束密度が劣化するため、Crは0.01%以上0.50%以下の範囲とした。好ましくは0.05%以上0.40%以下の範囲である。
Ni:0.01%以上1.50%以下
Niは、オーステナイト生成元素であるため、オーステナイト変態を利用することで熱延板組織を改善し、磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.01%未満では、磁気特性の向上効果が小さく、一方、含有量が1.50%超では、加工性が低下するため通板性が悪くなるほか、二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。従って、Niは0.01%以上1.50%以下の範囲とした。好ましくは0.10%以上0.60%以下の範囲である。
Sn:0.005%以上0.500%以下、Sb:0.005%以上0.500%以下、P:0.005%以上0.500%以下、Cu:0.01%以上0.50%以下、Mo:0.005%以上0.100%以下
Sn、Sb、P、CuおよびMoは、磁気特性向上に有用な元素であるが、それぞれ含有量が上記範囲の下限値に満たないと、磁気特性の改善効果が乏しく、一方、それぞれ含有量が上記範囲の上限値を超えると、二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。従って、Sn:0.005%以上0.500%以下、Sb:0.005%以上0.500%以下、P:0.005%以上0.500%以下、Cu:0.01%以上0.50%以下、Mo:0.005%以上0.100%以下の範囲でそれぞれ含有することができる。好ましくは、Sn:0.01%以上0.10%以下、Sb:0.01%以上0.10%以下、P:0.01%以上0.10%以下、Cu:0.05%以上0.3%以下、Mo:0.01%以上0.05%以下の範囲である。
B:0.0002%以上0.0025%以下、Nb:0.0010%以上0.0100%以下、V:0.001%以上0.010%以下
B、NbおよびVはいずれも微細な窒化物あるいは炭化物として析出することで、インヒビターとしての役割をはたし、磁束密度を向上させるのに有用な元素である。しかしながら、それぞれ含有量が上記範囲の下限値に満たないと、磁気特性の改善効果が乏しく、一方、それぞれ含有量が上記範囲を超えると、仕上焼鈍における純化が困難となって鉄損が劣化する。従って、B:0.0002%以上0.0025%以下、Nb:0.0010%以上0.0100%以下、V:0.001%以上0.010%以下の範囲でそれぞれ含有することができる。好ましくは、B:0.0002%以上0.0015%以下、Nb:0.0010%以上0.0060%以下、V:0.001%以上0.0060%以下の範囲である。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
前述した成分組成を有する鋼を常法の精錬プロセスで溶製した後、常法の造塊―分塊圧延または連続鋳造法で鋼素材(スラブ)を製造してもよいし、あるいは、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片を製造してもよい。上記スラブは、常法に従い、1400℃程度の温度に再加熱し、熱間圧延に供する。
次いで、熱間圧延して得た熱延鋼板に熱延板焼鈍を施す。この熱延板焼鈍の温度は、良好な磁気特性を得るために、800〜1150℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では、熱間圧延で形成されたバンド組織が残留し、整粒の一次再結品組織を得ることが難しくなり、二次再結晶粒の成長が阻害される。一方、1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化し過ぎて、やはり、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
また、本発明の特徴として、熱延板焼鈍の冷却過程で、800℃〜400℃の範囲を20℃/s以上の冷却速度とする必要がある。冷却速度が20℃/sより遅いと、パーライト変態によって析出する層状炭化物の層間隔が十分に微細化されず、球状化処理に要する時間が長くなって、連続焼鈍炉での処理が困難となり、生産性が大きく低下する。冷却速度は好ましくは40℃/s以上、さらに好ましくは60℃/s以上である。熱延板焼鈍後に微細な層間隔を持つパーライト組織あるいはマルテンサイト組織を得るために、急冷開始温度は800℃以上、急冷停止温度は400℃以下とする必要がある。急冷開始温度が800℃より低いと、急冷開始前にパーライト変態が生じてしまい、急冷停止温度が400℃より高いと、パーライト組織の層間隔が十分に微細化できなくなる。急冷開始温度は、800℃よりも高くてもよいが、例えば、特開昭57-198214に開示されているように、AlNやMnSなどのインヒビターを微細析出させることを目的して、800℃以上の適当な温度までは緩冷却とし、それ以下の温度で20℃/s以上の急冷としてもよい。また、急冷停止温度は400℃以下としてもよく、マルテンサイトの析出を目的として、室温付近まで急冷することも有効である。急冷停止温度は、好ましくは300℃、さらに好ましくは200℃である。
次いで、熱延板焼鈍の後に、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とする。
ここで、本発明の特徴として、熱延板焼鈍以降、第1回冷間圧延後の中間焼鈍までの間に、500℃以上800℃以下の温度で30秒以上600秒未満で焼鈍する、球状化処理を施す。球状化処理によって、パーライト中の層状炭化物が球状化し、中間焼鈍後の再結晶粒径が粗大化することで、一次再結晶集合組織中に{411}<148>方位が増大し、製品の磁束密度が向上する。
球状化処理の温度は500℃より低いと層状炭化物の球状化が進行せず、800℃より高いとパーライトが部分的にオーステナイト変態し、球状化が進行しない。従って、球状化の処理温度は500〜800℃の範囲とする必要がある。好ましくは、600℃〜760℃である。また、球状化の処理時間は30秒以上600秒未満とする。処理時間が30秒より短いと、層状炭化物の球状化が十分に進行しない。処理時間は30秒以上であれば、長時間の処理を施してもよいが、600秒以上の焼鈍では本発明を利用せずとも球状化の効果を得ることができ、球状化焼鈍の短時間化という本発明の課題からは逸脱するため、また、生産性の観点から長大な設備を必要としない連続焼鈍ラインで球状化焼鈍を実施するため、焼鈍時間の上限は600秒未満とする。球状化の処理時間は、好ましくは180秒以上である。球状化処理は本発明の温度範囲内で所定の時間確保できれば、ヒートパターンに特に制限はなく、加熱速度や冷却速度は特に限定されない。また、球状化処理を行う設備は特に限定されないが、加熱・冷却を短時間で行うことができ、生産性に優れる連続焼鈍炉を用いることが好ましい。また、熱延板焼鈍あるいは中間焼鈍を実施する焼鈍炉で連続的に実施してもよい。
なお、球状化処理は熱延板焼鈍後に微細な層間隔で析出した層状炭化物あるいはマルテンサイト組織を球状化させることが目的であるため、熱延板焼鈍前に行っても効果が得られない。また、中間焼鈍を施すことで、微細なパーライト組織やマルテンサイト組織が再びオーステナイト変態して元に戻るため、球状化処理の短時間化の効果が得られなくなる。従って、球状化処理は熱延板焼鈍以降、第1回冷間圧延後の中間焼鈍までの間に行う必要がある。
上記中間焼鈍の焼鈍温度は、900〜1200℃の範囲とするのが好ましい。900℃未満では、再結晶粒が微細化して、一次再結晶組織におけるGoss方位核が減少し、磁気特性の低下を招く。一方、1200℃を超えると、熱延板焼鈍と同様、粒径が粗大化しすぎるため、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
上記最終冷間圧延における圧下率は、特に制限は設けないが、一次再結晶集合組織中の{111}<112>方位や{411}<148>方位を増やすことを目的として、70%以上の高圧下とするのが好ましい。さらに好ましくは80%以上である。
最終板厚に圧延した冷延鋼板は、均熱温度が700〜1000℃の脱炭焼鈍を施す。均熱温度が700℃未満であると、一次再結晶および脱炭が十分に進行せず、所望の一次再結晶集合組織が得られなくなる。一方、1000℃を超えると一次粒径が粗大化しすぎることで2次再結晶の駆動力を失い、続く仕上焼鈍でGoss方位粒の2次再結晶が生じなくなる可能性がある。従って、脱炭焼鈍の均熱温度は700〜1000℃が好ましい。
ここで、一次再結晶集合組織のGoss方位および{411}<148>方位をさらに増加させることを目的として、脱炭焼鈍の加熱過程の500〜700℃の加熱速度を80℃/s以上とすることが望ましい。これは、冷延組織の回復・一次再結晶が進行する500〜700℃の範囲を急速加熱することで、冷間圧延によって歪が蓄積しやすく、優先的に再結晶が進行する{111}//ND方位粒の再結晶を抑制し、Goss方位や{411}<148>方位の再結晶を促すことを目的とする。これにより、{411}<148>方位の増大は製品の磁束密度を向上させるとともに、Goss方位の増大は製品の二次再結晶粒径を微細化させて鉄損を低減する。加熱速度が80℃/s未満であると、{111}//ND方位の再結晶が優先的に進行し、急速加熱の効果が得られない。そのため、加熱速度は80℃/s以上とするのが好ましい。さらに好ましくは120℃/s以上である。また、急速加熱の開始温度が500℃を上回ると{111}//ND方位粒の回復・再結晶が進行し、急速加熱の停止温度が700℃未満であるとGoss方位や{411}<148>方位の再結晶が促進されず、一次再結晶集合組織の改善効果が得られない。従って急速加熱を施す温度は500〜700℃の範囲が好ましい。さらに好ましくは300℃〜700℃である。
脱炭焼鈍に関するその他の条件は、公知の方法に従えばよく、例えば、脱炭を促進するとともに、仕上焼鈍時にフォルステライト被膜形成の材料となる酸化物層を鋼板表面に形成することを目的として、焼鈍雰囲気を酸化性とすることが好ましい。例えば、水蒸気を含有するN・H混合雰囲気を用いることで、酸化性および脱炭性の制御が容易となる。
脱炭焼鈍を施した鋼板は、鉄損特性やトランスの騒音を重視する場合には、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、仕上焼鈍を施し、Goss方位に高度に集積させた二次再結晶組織を発達させるとともに、フォルステライト被膜を形成させるのが好ましい。一方、打抜加工性を重視し、フォルステライト被膜を形成させない場合には、焼鈍分離剤を適用しないか、あるいは、シリカやアルミナ等を主体とした焼鈍分離剤を用いて仕上焼鈍を施すのが好ましい。なお、フォルステライト被膜を形成しない場合、焼鈍分離剤の塗布に水分を持ち込まない静電塗布を行うことも有効である。また、焼鈍分離剤に代えて、耐熱無機材料シート(シリカ、アルミナ、マイカ)を用いてもよい。
仕上焼鈍の焼鈍温度は、フォルステライト被膜を形成させない場合には、850〜1100℃の範囲とするのが好ましい。このとき、二次再結晶の完了のみを目的とするときには、上記温度域で数時間以上保持するだけで仕上焼鈍を完了することができる。一方、フォルステライト被膜を形成させる場合や、鉄損特性を重視し、純化処理を施す場合には、さらに1200℃程度の温度まで昇温するのが好ましい。
仕上焼鈍後の鋼板は、その後、水洗やブラッシング、酸洗等で、鋼板表面に付着した未反応の焼鈍分離剤を除去した後、平坦化焼鈍を施して形状矯正することが、鉄損の低減には有効である。これは、仕上焼鈍は、通常、コイル状態で行うため、コイルの巻き癖が付き、これが原因で、鉄損測定時に特性が劣化することがあるためである。
さらに、鋼板を積層して使用する場合には、上記平坦化焼鈍において、あるいは、その前後において、鋼板表面に絶縁被膜を被成することが有効である。特に、鉄損の低減を図るためには、絶縁被膜として、鋼板に張力を付与する張力付与被膜を適用するのが好ましい。張力付与被膜の形成には、パインダーを介して張力被膜を塗布する方法や、物理蒸着法や化学蒸着法により無機物を鋼板表層に蒸着させる方法を採用することが、被膜密着性に優れかつ著しく鉄損低減効果が大きい絶縁被膜を形成することができるので、より好ましい。
さらに鉄損低減のために、磁区細分化処理を行うことが好ましい。処理方法としては一般的に実施されているような、最終製品板に溝を入れたりレーザやプラズマジェットにより線状に熱歪や衝撃歪を導入したりする方法や、最終仕上げ板厚に達した冷間圧延板などの中間製品にあらかじめ溝を入れたりする方法でよい。
その他の製造条件は、方向性電磁鋼板の一般的な製造方法に従えばよい。
(実施例1)
質量%でC:0.06%、Si:3.2%、Mn:0.08%、Al:0.025%、N:0.008%、Se:0.02%を含有する鋼スラブを、1400℃の温度で加熱した後、熱間圧延して2.2mmの板厚とし、1100℃、60秒の熱延板焼鈍を施した。ここで、熱延板焼鈍の冷却過程において、温度が800℃から400℃までの冷却速度を10℃/sから200℃/sの範囲とした。次いで、熱延板焼鈍した一部の鋼板には400〜700℃の範囲で20秒から3600秒間均熱する熱処理を施した。その後、冷間圧延して1.5mmの中間厚とした後、1100℃×80sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延を施して板厚0.23mmとした。その後、850℃×120sの脱炭焼鈍を施した。ここで、脱炭焼鈍の500℃〜700℃の加熱速度は20℃/sとし、焼鈍は雰囲気酸化性PHO/PH=0.40の水蒸気を含有したN・H混合雰囲気中で行った。次いで,MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1150℃で6時間保持する純化焼鈍を兼ねた仕上焼鈍を施した。斯くして得た仕上焼鈍後の試験片について、JIS C2550に準拠して磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50および磁化力800A/mにおける磁束密度Bを測定した。
上記試験片の磁気特性を測定した結果を表1に示す。
Figure 2017150009
表1に示すように、熱延板焼鈍の冷却速度および球状化処理の温度と時間を本発明の範囲内とすることで、短時間の球状化焼鈍であっても、磁束密度が向上し、良好な鉄損が得られることがわかる。
(実施例2)
質量%でC:0.07%、Si:3.6%、Mn:0.05%、Al:0.020%、N:0.005%、S:0.02%を含有する鋼スラブを、1400℃の温度で加熱した後、熱間圧延して2.4mmの板厚とし、1100℃、60秒の熱延板焼鈍を施した。ここで、熱延板焼鈍の冷却過程において、温度が800℃から400℃までの冷却速度は80℃/sとした。この後、複数の冷間圧延を施して最終板厚0.23mmとした。ここで、一部の熱延板焼鈍後の試料は1回の中間焼鈍をはさむ2回の冷間圧延を施し、中間厚は1.8mmとした。また、残りの試料は2回の中間焼鈍をはさむ3回の冷間圧延を施し、第1回冷間圧延後の中間厚を2.0mm、第2回冷間圧延後の中間厚を1.5mmとした。いずれの条件においても、中間焼鈍は1100℃で80sの均熱を施した。さらに、2回の冷間圧延を施した一部の試料には、第1回冷間圧延前後および第2回冷間圧延前後のいずれかで、700℃で300秒の球状化処理を施した。また、3回の冷間圧延を施した一部の試料には、第1回冷間圧延前後、第2回冷間圧延前後および第3回冷間圧延前後のいずれかで、700℃で300秒の球状化処理を施した。その後、最終冷間圧延板に850℃で120sの脱炭焼鈍を施した。ここで、脱炭焼鈍の500℃〜700℃の加熱速度は20℃/sとし、焼鈍は雰囲気酸化性PHO/PH=0.40の水蒸気を含有したN・H混合雰囲気中で行った。次いで,MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1150℃で6時間保持する純化焼鈍を兼ねた仕上焼鈍を施した。斯くして得た仕上焼鈍後の試験片について、JIS C2550に準拠して磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50および磁化力800A/mにおける磁束密度Bを測定した。
上記試験片の磁気特性を測定した結果を表2に示す。
Figure 2017150009
表2に示すように、良好な鉄損を得ることができるのは、第1回冷間圧延前後のいずれかで、すなわち、熱延板焼鈍の後かつ1回目の冷間圧延後の中間焼鈍までの間に、球状化処理を行った場合のみであることが分かる。
(実施例3)
質量%でC:0.07%、Si:3.4%、Mn:0.06%、Al:0.022%、N:0.010%、S:0.008%、Se:0.02%を含有する鋼スラブを、1400℃の温度で加熱した後、熱間圧延して2.4mmの板厚とし、1100℃、60秒の熱延板焼鈍を施した。ここで、熱延板焼鈍の冷却過程において、温度が800℃から400℃までの冷却速度を100℃/sとした。次いで、700℃で30秒あるいは580秒間均熱する球状化処理を施した。その後、冷間圧延して1.5mmの中間厚とした後、1100℃×80sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延を施して板厚0.23mmとした。
ここで、最終冷間圧延を施した一部の試料には、グラビアロールを用いたレジスト印刷へと続く電解エッチングによって、板幅方向から圧延面内で30°傾いた方向に伸びる幅100mm、深さ30μmの溝を圧延方向に5mmの間隔で形成する磁区細分化処理を施した。
次いで、850℃×120sの脱炭焼鈍を施した。ここで、脱炭焼鈍の500℃〜700℃の加熱速度は50℃/s〜200℃/sの範囲とし、焼鈍は雰囲気酸化性PHO/PH=0.40の水蒸気を含有したN・H混合雰囲気中で行った。次いで,MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1150℃で6時間保持する純化焼鈍を兼ねた仕上焼鈍を施した。
次いで、最終冷間圧延後にエッチング溝を形成しなかった一部のサンプルについて、レーザ照射あるいは電子ビーム照射によって磁区細分化処理を施した。ここで、レーザ照射による磁区細分化処理は、ビーム径0.3mm、出力200Wの連続レーザを操作速度100m/sで板幅方向に水平に、圧延方向に5mmの間隔で照射することで行った。また、電子ビーム照射による磁区細分化処理は、加速電圧100kV、ビーム電流3mAの電子ビームを、板幅方向に水平に、圧延方向に5mmの間隔で照射することにより行った。
斯くして得た仕上焼鈍後の試験片について、JIS C2550に準拠して磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50および磁化力800A/mにおける磁束密度Bを測定した。
上記試験片の磁気特性を測定した結果を表3に示す。
Figure 2017150009
表3に示すように、脱炭焼鈍の500〜700℃の加熱速度を80℃/s以上とすることで、さらに良好な磁気特性を得ることができることがわかる。また、エッチング溝、レーザ照射あるいは電子ビーム照射による磁区細分化処理を施すことでより優れた磁気特性を得ることができることがわかる。
(実施例4)
表4に示す成分のスラブを1400℃の温度で加熱した後、熱間圧延して2.4mmの板厚とし、1100℃、60秒の熱延板焼鈍を施した。ここで、熱延板焼鈍の冷却過程において、温度が800℃から400℃までの冷却速度を100℃/sとした。次いで、700℃で580秒間均熱する球状化処理を施した。その後、冷間圧延して1.5mmの中間厚とした後、1100℃×80sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延を施して板厚0.23mmとした。次いで、850℃×120sの脱炭焼鈍を施した。ここで、脱炭焼鈍の500℃〜700℃の加熱速度は50℃/sとし、焼鈍は雰囲気酸化性PHO/PH=0.40の水蒸気を含有したN・H混合雰囲気中で行った。次いで,MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1150℃で6時間保持する純化焼鈍を兼ねた仕上焼鈍を施した。斯くして得た仕上焼鈍後の試験片について、JIS C2550に準拠して磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50および磁化力800A/mにおける磁束密度Bを測定した。
上記試験片の磁気特性を測定した結果を表4に示す。
Figure 2017150009
表4に示すように、C、Si、Mn、Al、N、S、Seを本発明の範囲内とすることで、良好な磁気特性を得ることができることがわかる。
また、Cr、Cu、P、Ni、Sb、Sn、Mo、B、Nb、Vを本発明の範囲内で添加することでさらに良好な磁気特性を得ることができることがわかる。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.002%以上0.150%以下、
    Si:2.5%以上6.0%以下、
    Mn:0.01%以上0.80%以下、
    Al:0.010%以上0.050%以下、
    N:0.003%以上0.020%以下並びに
    S:0.002%以上0.030%以下およびSe:0.002%以上0.100%以下のうちから選んだ1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブに熱間圧延を施して熱延鋼板とし、
    該熱延鋼板に熱延板焼鈍を施し、
    該熱延板焼鈍後の熱延鋼板に、中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とし、
    該冷延鋼板に脱炭焼鈍を施し、
    該脱炭焼鈍後の冷延鋼板に仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法であって、
    前記熱延板焼鈍の800℃から400℃までの冷却速度を20℃/s以上とし、
    前記熱延板焼鈍の後かつ1回目の冷間圧延後の中間焼鈍までの間に、500℃以上800℃以下の温度で30秒以上600秒未満の熱処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Cr:0.01%以上0.50%以下、
    Cu:0.01%以上0.50%以下、
    P:0.005%以上0.500%以下、
    Ni:0.01%以上1.50%以下、
    Sb:0.005%以上0.500%以下、
    Sn:0.005%以上0.500%以下、
    Mo:0.005%以上0.100%以下、
    B:0.0002%以上0.0025%以下、
    Nb:0.0010%以上0.0100%以下および
    V:0.001%以上0.010%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記脱炭焼鈍は、500℃から700℃までの加熱速度を80℃/s以上とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記冷延鋼板に磁区細分化処理を施すことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記磁区細分化処理が、前記仕上焼鈍後の前記冷延鋼板への連続レーザビームの照射によるものであることを特徴とする、請求項4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記磁区細分化処理が、前記仕上焼鈍後の前記冷延鋼板への電子ビーム照射によるものであることを特徴とする、請求項4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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