JP6702259B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法に関し、具体的には低鉄損の方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
電磁鋼板は、変圧器やモーターの鉄心材料等として広く用いられている軟磁性材料であり、無方向性電磁鋼板と方向性電磁鋼板とが存在する。中でも方向性電磁鋼板は、結晶方位をGoss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積することで、優れた磁気特性を示すため、主として大型の変圧器の鉄心材料等として使用されている。したがって、この方向性電磁鋼板には、変圧器を励磁した際に生じるエネルギーロスを低減するため、励磁による損失、すなわち鉄損が低いことが求められる。
方向性電磁鋼板の鉄損は、履歴損と渦電流損とに分離することができる。履歴損は、結晶方位のGoss方位への集積度を高めることで低減することができる。そこで、例えば、特許文献1には、AlNを製造過程で微細に析出させ、これを仕上焼鈍時に粒界をピン留めするインヒビタとして用いることで、Goss方位を優先的に二次再結晶させ、方位集積度の高い方向性電磁鋼板を製造する技術が開示されている。
一方、渦電流損を低減する方法としては、Siを添加して鋼の固有抵抗を高め、製品を励磁した際に生じる渦電流を低減する方法が知られている。しかし、鋼中のSiを増大していくと、仕上焼鈍におけるGoss方位の二次再結晶が困難となり、二次再結晶不良が発生して、磁気特性が大幅に低下するという問題がある。そのため、方向性電磁鋼板のSi含有量は、一般的に3mass%程度に止められていた。
上記問題を解決するため、例えば非特許文献1には、Snを添加することで、Si含有量を3.8mass%まで高めても、安定して二次再結晶を発現させる技術が開示されている。そして、非特許文献1には、Siを3.8mass%、Snを0.1mass%添加した板厚が0.285mmの製品板の磁束密度は1.7Tで、周波数50Hzで励磁したときの鉄損W17/50は0.94W/kgであったと記載されている。
方向性電磁鋼板の渦電流損を低減する手法として、Si量を増していく方法以外に、板厚を薄くする方法が知られている。しかし、板厚を薄くしていくと、Si量を増やした場合と同様、二次再結晶が不安定となることが知られている。この問題を解決する技術として、例えば特許文献2には、一次再結晶焼鈍を行った後、マグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を静電塗布することで、マグネシアに含まれる水分が仕上焼鈍時にインヒビタの分解を促進することを抑制し、二次再結晶を安定化する技術が開示されている。
特公昭40−15644号公報 特許第2530521号公報
中島正三郎ら、「3.8mass%Si一方向性電磁鋼板の二次再結晶に及ぼすSn添加の影響」、1991年、日本金属学会誌、第55巻、第11号、p.1274−1281
しかしながら、方向性電磁鋼板を工業生産する場合には、マグネシアを静電塗布したとしても、塗布したマグネシアが空気中の水分を吸収するため、二次再結晶の不安定性を完全に解消できない。さらに、近年、省エネルギー化への要求は一段と強さを増しており、さらなる低鉄損化が求められている。
本発明は、従来技術が抱える上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、Siの含有量が高くても、安定して二次再結晶を発現させて良好な鉄損特性を得ることができる方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するため、Snを過剰に添加することなく、Siが高い方向性電磁鋼板の二次再結晶を安定化する方策について鋭意検討を重ねた。その結果、鋼スラブの成分組成から計算されるγ相の最大分率を高めるとともに、仕上焼鈍の加熱過程における焼鈍雰囲気を加熱途中で切り替え、低温側では焼鈍雰囲気中の水素の含有量を低くし、高温側では焼鈍雰囲気中の窒素の含有量をSiの含有量に応じて高めることで、二次再結晶が安定的に発現することができることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.002〜0.2mass%、Si:2.8〜4.6mass%、Mn:0.01〜0.8mass%、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを加熱し、熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、該冷延板を脱炭焼鈍した後、仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、上記成分組成から熱力学計算によって求められるγ相の最大分率をモル分率(mol%)で30%以上とし、上記仕上焼鈍の加熱過程における800〜950℃間のいずれかの温度Ts以下の焼鈍雰囲気を、水素の含有量VH2が10vol%以下の窒素またはアルゴンの単体または窒素とアルゴンの混合雰囲気とし、Ts超え1150℃以下の温度の焼鈍雰囲気を、窒素の含有量VN2(vol%)が下記(1)式;
12.5×[Si]−35≦VN2≦12.5×[Si]+35 ・・・(1)
ここで、上記[Si]は、Siの含有量(mass%)である。
を満たす水素と窒素の混合雰囲気とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、S:0.002〜0.030mass%およびSe:0.002〜0.100mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.010〜0.500mass%、Ni:0.010〜1.500mass%、Sn:0.005〜0.500mass%、Sb:0.005〜0.500mass%、P:0.005〜0.500mass%、Cu:0.010〜0.500mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%およびV:0.0010〜0.0100mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、上記成分組成から熱力学計算によって求められるγ相の最大分率をモル分率(mol%)で40%以上とすることを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、上記冷間圧延の最終冷延圧下率を85%以上とすることを特徴とする。
本発明によれば、Siが高い場合でも二次再結晶を安定的に発現することができるので、低鉄損の方向性電磁鋼板を安定して提供することが可能となる。
Si含有量と仕上焼鈍昇温過程の高温域における雰囲気中の窒素の含有量VN2が鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 仕上焼鈍昇温過程における雰囲気切替温度Tが鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 γ相の最大分率が鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。
以下、本発明を開発するに至った実験について説明する。
(実験1)
Si:2.8〜4.6mass%、Mn:0.07mass%、Al:0.02mass%およびN:0.010mass%を含有し、さらに、Cの含有量を0.03〜0.2mass%の範囲で種々に変化させた鋼スラブを1400℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とし、1100℃×60秒の熱延板焼鈍を施した。この際、上記鋼スラブのC含有量は、熱力学計算によって求められるγ相の最大分率がモル分率(mol%)で35%となる量とした。ここで、上記熱力学計算は、Thermo−Calc 3.1を用いて計算機上で行い、計算に使用するデータベースはSSOL4(バージョン4.9)とした(以降、同様とする。)。また、上記熱間圧延の仕上圧延における1パス目の圧延開始温度(入側温度)は、1050℃以上とした。
その後、上記熱延板焼鈍後の熱延板を冷間圧延して1.7mmの中間厚とし、1100℃×80sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。
次いで、上記冷延板に850℃×120sの脱炭焼鈍を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布した後、二次再結晶焼鈍と1200℃で6時間保持する純化焼鈍からなる仕上焼鈍を施した。
この際、上記仕上焼鈍の加熱過程における焼鈍雰囲気は、室温から850℃までは窒素100vol%とし、850℃から1150℃までは窒素および水素の混合雰囲気とし、雰囲気中の窒素の含有量VN2を0〜100vol%の範囲で種々に変化させた。また、純化焼鈍に至る1150℃から1200℃までおよび純化焼鈍中の焼鈍雰囲気は水素100vol%とした。
斯くして得た仕上焼鈍後の鋼板から試験片を採取し、JISC2550に準拠し、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を測定した。
図1に、Si含有量および仕上焼鈍の加熱過程の850℃から1150℃の範囲における焼鈍雰囲気中の窒素の含有量VN2と鉄損W17/50との関係を示した。この図から、鋼スラブ中のSi含有量が2.8mass%未満では、鋼の固有抵抗が低く、渦電流損が十分に低減されないため、いずれの条件でもW17/50≦0.85W/kgを満たす良好な鉄損を得ることができない。また、Si含有量が4.6mass%を超えても、二次再結晶が正常に発現せず、良好な鉄損特性を得ることができない。しかし、Si含有量が2.8〜4.6mass%の範囲では、Si含有量(mass%)を[Si]と表わしたとき、850℃から1150℃までの雰囲気中の窒素の含有量VN2(vol%)下記の(1)式;
12.5×[Si]−35≦VN2≦12.5×[Si]+35 ・・・(1)
を満たす範囲で、良好な鉄損が得られることがわかった。
上記(1)式に示されるように、仕上焼鈍の加熱過程の高温領域で、Siの含有量が高いほど焼鈍雰囲気中の窒素の含有量VN2を高くするほど鉄損が改善する理由について、発明者らは以下のように考えている。
仕上焼鈍では、インヒビタである鋼中のAlNの分解が鋼板表層から始まるため、鋼板表層から再結晶粒の粗大化が生じる。二次再結晶が発現し難い高Si鋼では、インヒビタの抑制力が弱いときには、鋼板表層から結晶粒の粗大化が進行するため、本来、二次再結晶の核となるべきGoss方位粒が蚕食されて、より二次再結晶が発現せず、良好な鉄損が得られなくなる。
しかし、仕上焼鈍の焼鈍雰囲気にある程度以上の窒素が存在すると、焼鈍中に窒素が鋼板表層に吸収され、AlNの分解が仕上焼鈍の高温度域まで抑制されるので、二次再結晶が発現し易くなると考えられる。
しかし、焼鈍雰囲気中の窒素の含有量VN2が高過ぎると、鋼板表層への窒素の吸収が過剰となり、AlNが適切な温度で分解するのを妨げるようになるため、却って二次再結晶が発現し難くなる。
そのため、仕上焼鈍の加熱過程の雰囲気中における窒素の含有量VN2には下限と上限が存在する。
上記の実験結果に基き、発明者らは、さらに、Si含有量の高い方向性電磁鋼板における二次再結晶の発現を安定化するため、上記適切な窒素の含有量VN2を有する焼鈍雰囲気に切り替える温度を確認する実験を行った。
(実験2)
C:0.085mass%、Si:3.5mass%、Mn:0.07mass%、Al:0.02mass%およびN:0.01mass%を含有する鋼スラブを、1400℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.6mmの熱延板とし、1100℃×60秒の熱延板焼鈍を施した。なお、上記成分組成から熱力学計算によって求められるγ相の最大分率はモル分率(mol%)で34.5%であった。また、上記熱間圧延の仕上圧延における1パス目の圧延開始温度(入側温度)は、1050℃以上とした。
その後、上記熱延板焼鈍後の熱延板を冷間圧延して1.8mmの中間厚とし、1100℃×80sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延して板厚0.23mmの冷延板とした。
次いで、上記冷延板に850℃×120sの脱炭焼鈍を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布した後、二次再結晶焼鈍と1200℃で6時間保持する純化焼鈍からなる仕上焼鈍を施した。この際、上記仕上焼鈍の加熱過程における740〜1050℃間の種々の異なる温度Tsにおいて焼鈍雰囲気の切り替えを行った。具体的には、室温から上記温度Tsまでは、窒素100vol%の焼鈍雰囲気とし、温度Tsから1150℃までは、窒素の含有量VN2が30vol%の窒素と水素の混合雰囲気とした。また、1150℃から1200℃までおよび純化焼鈍中の焼鈍雰囲気は、水素100vol%とした。
斯くして得た仕上焼鈍後の鋼板から試験片を採取し、JISC2550に準拠して励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を測定した。
図2に、焼鈍雰囲気を切り替えた温度Tsと鉄損W17/50との関係を示した。この図から、Tsが800℃未満あるいは950℃より高い場合には、良好な鉄損が得られず、Tsが800℃以上950℃以下の範囲で良好な鉄損が得られることがわかった。
上記のように、雰囲気切替温度Tsを800℃以上950℃以下の範囲とすることで良好な鉄損が得られる理由について、発明者らは以下のように考えている。
実験1で示したように、仕上焼鈍の加熱過程の高温域における焼鈍雰囲気として、窒素の含有量VN2をSiの含有量に応じて制御した窒素と水素の混合雰囲気を用いることで、適切な温度で二次再結晶を発現することができる。
この理由について、発明者らは、以下のように考えている。
水素は、鋼板表層のインヒビタの分解を促進し、二次再結晶を開始させる役割を有する。そのため、低温域の水素の含有率が高いと、インヒビタの分解が過度に進んで二次再結晶不良が発生するようになる。一方、水素含有率が低い雰囲気を高温まで維持すると、AlNが適切な温度で分解するのを妨げ、却って二次再結晶が発現し難くなる。そのため、雰囲気の切り替え温度Tsには、上限と下限が存在すると考えられる。
発明者らは、さらに、Si含有量の変化に伴う組織変化が鉄損特性に及ぼす影響について調査する実験を行った。
(実験3)
Mn:0.07mass%、Al:0.02mass%、N:0.01mass%を含有し、Siを2.8mass%、3.6mass%、4.0mass%および4.6mass%の4段階に変化させ、さらにCの含有量を、熱力学計算によって求められるγ相の最大分率がモル分率(mol%)で0〜100%となるように調整した鋼スラブを、1400℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.6mmの熱延板とした。また、上記熱間圧延の仕上圧延における1パス目の圧延開始温度(入側温度)は、1000℃以上とした。ついで、1100℃×60秒の熱延板焼鈍を施した後、上記熱延板焼鈍後の熱延板を冷間圧延して1.8mmの中間厚とし、1100℃×80sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。
次いで、上記冷延板に850℃×120sの脱炭焼鈍を施し、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布した後、二次再結晶焼鈍と1200℃で6時間保持する純化焼鈍からなる仕上焼鈍を施した。ここで、上記仕上焼鈍における加熱過程の室温から850℃までの焼鈍雰囲気は窒素100vol%とし、850℃から1150℃までの焼鈍雰囲気は窒素の含有量VN2が35vol%の水素と窒素の混合雰囲気とした。また、1150℃から1200℃までおよび純化焼鈍中の焼鈍雰囲気は水素100vol%とした。
斯くして得た仕上焼鈍後の鋼板から試験片を採取し、JISC2550に準拠し、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を測定した。
図3に、鋼スラブの成分組成から求められるγ相の最大分率と鉄損W17/50およびSi含有量との関係を示した。この図から、γ相の最大分率を30mol%以上とすることで、良好な鉄損が得られることがわかる。
上記図3のように、Si含有量が2.8mass%より高い鋼でも、γ相の最大分率を30mol%以上とすることで、良好な鉄損を得ることができる理由について、発明者らは以下のように考えている。
方向性電磁鋼板の製造においては、スラブ中に含まれるインヒビタを固溶させ、後工程で微細に析出させるため、スラブを熱間圧延する前に1200〜1400℃程度の温度まで加熱するため、スラブの鋼組織が粗大化する。Siは、フェライト形成元素であることから、高Siでは、成分組成によってはフェライト単相となるが、斯かるフェライト単相の粗大な鋼組織を有するスラブを熱間圧延すると、熱延板の組織が不均一化し、脱炭焼鈍後の一次再結晶組織における結晶粒径が不均一なものとなる。結晶粒径が不均一になると、粒成長の駆動力も不均一となるため、仕上焼鈍における二次再結晶が不安定化し、鉄損特性が低下する原因となる。
一方、高Siでも、高温度域で所定量以上のオーステナイト相が生成する成分組成であると、オーステナイト変態によって組織が微細化されるため、一次再結晶後の結晶粒径が均一化して二次再結晶が安定化すると考えられる。
しかし、オーステナイト相の分率は、Si含有量が増えれば増えるほど減少するため、成分組成を制御して、γ相の最大分率を30mol%以上確保することで、二次再結晶が安定化し、良好な鉄損が得られる。
本発明は、上記の実験結果に、さらに検討を加えて完成したものである。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる鋼スラブの成分組成について説明する。
C:0.002〜0.2mass%
Cは、0.002mass%に満たないと、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして、製造に支障をきたすようになる。さらに、Cは、オーステナイト形成元素であり、γ相の最大分率を高めて、スラブの鋼組織を微細するためにも必要な元素である。一方、0.2mass%を超えると、脱炭焼鈍でCを磁気時効が起こらない0.005mass%以下に低減することが困難となる。よって、Cは0.002〜0.2mass%の範囲とする。好ましくは0.01〜0.1mass%の範囲である。
Si:2.8〜4.6mass%
Siは、鋼の比抵抗を高め、渦電流損を低減するのに必要な元素である。上記効果は、2.8mass%未満では十分でなく、一方、4.6mass%を超えると、二次再結晶が困難になるとともに、加工性が低下し、圧延することが困難となる。よって、Siは2.8〜4.6mass%の範囲とする。好ましくは3.0〜4.0mass%の範囲である。
Mn:0.01〜0.80mass%
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.01mass%未満では十分に得られず、一方、0.80mass%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.01〜0.80mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.50mass%の範囲である。
Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%
AlおよびNは、ともにインヒビタ形成元素として必要な成分であり、上記下限値より少ないと、インヒビタ効果が十分に得られず、一方、上記上限値を超えると、スラブ再加熱時の固溶温度が高くなり過ぎ、スラブ再加熱後でも未固溶で残存するようになり、磁気特性の低下を招く。よって、それぞれ、Alは0.010〜0.050mass%、Nは0.003〜0.020mass%の範囲とする。好ましくは、それぞれ、Alは0.015〜0.035mass%、Nは0.005〜0.015mass%の範囲である。
本発明に用いる鋼スラブは、上記成分組成を満たすことに加えて、鋼の成分組成から熱力学的に求められるγ相のモル分率(mol%)を温度ごとにプロットしたときの最大値(最大分率)が30mol%以上であることが必要である。γ相の最大分率が30mol%未満では、熱間圧延中のオーステナイト変態による鋼組織の微細化効果が不十分となり、脱炭焼鈍後に均一な一次再結晶組織を得ることができず、その結果、二次再結晶が不安定となる。なお、Siはフェライト形成元素であることから、Si含有量を高くするとγ相の最大分率が減少するため、他のオーステナイト形成成分、例えば、Cの添加によって、γ相の最大分率を30mol%以上確保することが必要である。好ましいγ相の最大分率は40mol%以上である。
なお、先述したように、本発明では、γ相の最大分率の熱力学的計算は、Thermo−Calc3.1を、データベースはSSOL4(バージョン4.9)を用いて行う。
本発明の方向性電磁鋼板の素材となる鋼スラブは、上記した基本成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物であるが、以下の元素を含有することができる。
S:0.002〜0.030mass%およびSe:0.002〜0.100mass%のうちから選ばれる1種または2種
SおよびSeは、ともにMnと結合してインヒビタを形成するが、それぞれ含有量が上記下限値より少ないと、インヒビタ効果が十分に得られず、一方、上記上限値を超えると、スラブ再加熱時の固溶温度が高くなり過ぎ、スラブ再加熱後でも未固溶で残存するようになり、磁気特性の低下を招く。よって、SおよびSeを添加する場合は、それぞれS:0.002〜0.030mass%およびSe:0.002〜0.100mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは、それぞれS:0.005〜0.020mass%、Se:0.010〜0.050mass%の範囲である。
Cr:0.010〜0.500mass%
Crは、仕上焼鈍におけるフォルステライト被膜の形成を安定化させ、被膜不良を軽減する有用な元素である。しかし、含有量が0.010mass%未満では、上記効果が乏しく、一方、0.500mass%を超えると磁束密度が低下する。よって、Crを添加する場合は0.010〜0.500mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.050〜0.400mass%の範囲である。
Ni:0.010〜1.500mass%
Niは、オーステナイト形成元素であるため、スラブの最大γ相分率を高めるのに有用な元素である。しかし、含有量が0.010mass%未満では、上記効果が小さく、一方、1.500mass%超えでは、加工性が低下し、通板性も悪化する他、二次再結晶が不安定になって磁気特性が劣化する。よって、Niを添加する場合は、0.010〜1.500mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.100〜1.000mass%の範囲である。
Sn:0.005〜0.500mass%、Sb:0.005〜0.500mass%、P:0.005〜0.500mass%、Cu:0.010〜0.500mass%およびMo:0.005〜0.100mass%のうちから選ばれる1種または2種以上
Sn,Sb,P,CuおよびMoは、磁気特性の向上に有効な元素であるが、それぞれの含有量が上記範囲の下限値に満たないと、磁気特性の改善効果が乏しく、一方、それぞれの含有量が上記範囲の上限値を超えると、二次再結晶が不安定になり磁気特性が低下する。よって、上記元素を添加する場合は、それぞれ上記範囲で添加するのが好ましい。より好ましくは、それぞれSn:0.01〜0.10mass%、Sb:0.01〜0.10mass%、P:0.01〜0.10mass%、Cu:0.05〜0.300mass%およびMo:0.01〜0.05mass%の範囲である。
B:0.0002〜0.0025mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%およびV:0.0010〜0.0100mass%のうちから選ばれる1種または2種以上
B,NbおよびVは、いずれも微細な窒化物あるいは炭化物として析出することで、インヒビタとしての役割を果たすので、磁束密度を向上させるのに有用な元素である。しかし、それぞれの含有量が上記範囲の下限値に満たないと、磁気特性の改善効果が乏しく、一方、それぞれの含有量が上記範囲を超えると、仕上焼鈍における純化が困難となり、鉄損が劣化する。よって、上記元素を添加する場合は、それぞれ上記範囲で添加するのが好ましい。より好ましくは、それぞれB:0.0002〜0.0015mass%、Nb:0.0010〜0.0060mass%およびV:0.0010〜0.0060mass%の範囲である。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
鋼スラブ
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる鋼素材(スラブ)は、上記した成分組成を有する鋼を転炉や真空脱ガス装置等を用いた常法の精錬プロセスで溶製した後、常法の連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で製造してもよいし、あるいは、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片としてもよく、特に制限はない。
スラブ再加熱および熱間圧延
上記鋼スラブは、熱間圧延に先立ち、常法に従い、1200〜1400℃程度の温度に再加熱して、インヒビタ形成元素を固溶させた後、熱間圧延して熱延板とする。この熱間圧延の条件は、粗圧延を行う場合は、粗圧延の終了温度を1100℃以上とし、仕上圧延の終了温度は900℃以上として行うのが好ましい。なお、熱間圧延の仕上圧延における1パス目の入側温度、すなわち、圧延開始温度は、高いγ相分率を確保する観点から、1000℃以上にするのが好ましい。より好ましくは1050℃以上である。
熱延板焼鈍
上記熱間圧延後の鋼板は、その後、熱延板焼鈍を施す。この熱延板焼鈍の均熱温度は、良好な磁気特性を得るためには、800〜1150℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では、熱間圧延で形成されたバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しく、二次再結晶粒の成長が阻害されるおそれがある。一方、1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化し過ぎ、却って整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなる。なお、熱延板焼鈍の均熱時間は10〜600秒程度とするのが好ましい。
冷間圧延
熱延板焼鈍後の鋼板は、その後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とする。中間焼鈍を施す場合の均熱温度は、900〜1200℃の範囲とするのが好ましい。900℃未満では、中間焼鈍後の再結晶粒が細かくなり、さらに、一次再結晶組織におけるGoss核が減少して製品板の磁気特性が低下するおそれがある。一方、1200℃を超えると、熱延板焼鈍と同様、結晶粒が粗大化し過ぎて、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなる。なお、中間焼鈍の均熱時間は、10〜600秒程度とするのが好ましい。
また、冷間圧延の最終冷間圧延における圧下率は85%以上とするのが好ましい。圧下率を85%とすることで、一次再結晶集合組織が、Goss方位の二次再結晶に有利なものとなり、磁束密度が向上して、履歴損が改善される。より好ましい圧下率は87%以上である。なお、冷延圧下率の上限は95%程度とするのが好ましい。
脱炭焼鈍
最終板厚とした冷延板は、その後、均熱温度を700〜1000℃とする、一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施す。均熱温度が700℃未満では、一次再結晶および脱炭が十分に進行せず、所望の一次再結晶集合組織が得られない。一方、1000℃を超えると、一次再結晶粒が粗大化し過ぎて、続く仕上焼鈍におけるGoss方位粒の二次再結晶の駆動力が失われ、二次再結晶が生じ難くなるおそれがある。よって、脱炭焼鈍の均熱温度は700〜1000℃の範囲とするのが好ましい。なお、脱炭焼鈍の均熱時間は10〜600秒程度とするのが好ましい。
仕上焼鈍
脱炭焼鈍を施した鋼板は、その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と純化焼鈍からなる仕上焼鈍を施し、Goss方位に高度に集積させた二次再結晶組織を発達させるとともに、フォルステライト被膜を形成させる。なお、仕上焼鈍では、純化処理のため、および、フォルステライト被膜を形成するため、1200℃程度まで昇温するのが好ましい。
ここで、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法において最も重要なことは、仕上焼鈍の加熱過程において、室温から加熱初期の焼鈍雰囲気を、窒素またはアルゴンの単体雰囲気あるいは窒素とアルゴンの混合雰囲気とし、かつ、該雰囲気中に含まれる水素の含有量VH2を10vol%以下とし、さらに、仕上焼鈍の加熱過程の800〜950℃間のいずれかの温度Tsから1150℃までの段階の焼鈍雰囲気を、水素と窒素からなり、かつ、窒素の含有量VN2(vol%)が下記(1)式;
12.5×[Si]−35≦VN2≦12.5×[Si]+35 ・・・(1)
を満たす混合雰囲気に切り替える必要があるということである。
加熱過程の初期の段階における水素の含有量VH2を10vol%以下とする理由は、VH2が10vol%を超えると、インヒビタの分解が進行し、抑制力が弱まるため、二次再結晶が正常に発現せず、鉄損が劣化するからである。好ましいVH2は5vol%以下である。
また、加熱過程の焼鈍雰囲気を、高温度域で切り替える理由は、仕上焼鈍の高温度域では、インヒビタの分解が生じて二次再結晶が起こるが、Si含有量が高い鋼においては、インヒビタの抑制力が弱いため、早期にインヒビタの分解が生じて二次再結晶が不安定となり易い。そこで、焼鈍雰囲気中の窒素の含有量VN2を高くし、鋼中に窒素を吸収させることでインヒビタの分解を抑制し、二次再結晶を安定化するためである。
また、上記雰囲気の切替温度Tsを800〜950℃の範囲のいずれかの温度とする理由は、切替温度が800℃より低いと、インヒビタの分解が早期に進行するので二次再結晶が不安定となり、一方、950℃より高いと窒素の吸収が過剰となって、二次再結晶が発現し難くなるためである。好ましい切替温度Tsは800〜900℃の範囲である。
なお、1150℃まで加熱した後の焼鈍雰囲気は、常法の条件に従えばよく、特に制限はないが、鋼を純化する目的から、水素の含有量が高い雰囲気とするのが望ましい。
なお、上記仕上焼鈍後の鋼板は、その後、水洗やブラッシング、酸洗等で、鋼板表面に付着した未反応の焼鈍分離剤を除去した後、平坦化焼鈍を施して形状矯正するのが鉄損の低減には有効である。これは、仕上焼鈍は、通常、コイルの状態で行われるため、コイルの巻き癖によって鉄損測定時に特性が劣化するのを防止するためである。
さらに、本発明の鋼板を積層して使用する場合には、上記平坦化焼鈍において、あるいは、その前後において、鋼板表面に絶縁被膜を被成することが有効である。特に、鉄損の低減を図るためには、絶縁被膜として、鋼板に張力を付与する張力付与被膜を適用するのが好ましい。張力付与被膜の形成には、バインダーを介して張力被膜を塗布する方法や、物理蒸着法や化学蒸着法により無機物を鋼板表層に蒸着させる方法を採用することで、被膜密着性に優れかつ著しく鉄損低減効果が大きい絶縁被膜を形成することができるので、より好ましい。
また、鉄損をより低減するためには、磁区細分化処理を施すことが好ましい。処理方法としては、一般的に実施されている、最終製品板に溝を形成したり、電子ビーム照射やレーザ照射、プラズマ照射等によって線状または点状に熱歪や衝撃歪を導入する方法、最終板厚に冷間圧延した鋼板等の中間工程の鋼板表面にエッチング加工を施して溝を形成したりする方法等を用いることができる。
なお、上記した以外のその他の製造条件は、方向性電磁鋼板の一般的な製造方法に従えばよい。
表1に示したようにSiの含有量を2.8〜4.6mass%の範囲で種々に変化させ、Mn:0.01〜0.8mass%、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%の範囲で含有し、かつ、Cを熱力学計算によって求められるγ相の最大分率が表1に示される値となるように含有する鋼スラブを、1400℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とし、1100℃×30秒の熱延板焼鈍を施した。また、上記熱間圧延の仕上圧延における1パス目の圧延開始温度(入側温度)は、1000℃以上とした。
その後、上記熱延板焼鈍後の熱延板を冷間圧延して1.5mmの中間厚とし、1100℃×40sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。次いで、850℃×120sの一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、その後、二次再結晶焼鈍と、1200℃で5時間保持する純化焼鈍からなる仕上焼鈍を施した。
この際、上記仕上焼鈍における加熱過程における室温から表1に示したTsの温度までの雰囲気は窒素と水素の混合雰囲気とし、該雰囲気中の水素の体積分率VH2を表1に示した数値に制御するとともに、上記Tsの温度から1150℃までの焼鈍雰囲気を窒素と水素の混合雰囲気とし、該雰囲気中の窒素の含有量VN2を表1にように種々に変化させた。また、1150℃から1200℃までおよび純化焼鈍中の焼鈍雰囲気は水素100vol%とした。
斯くして得た仕上焼鈍後の鋼板から、試験片を採取し、JISC2550に準拠し、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を測定し、その結果を表1に示した。
この結果から、本発明の製造条件に適合する条件で製造した鋼板は、いずれも鉄損特性に優れていることがわかる。
表2に示す種々の成分組成を有する鋼スラブを、1410℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1080℃×60秒の熱延板焼鈍を施した。また、上記熱間圧延の仕上圧延における1パス目の圧延開始温度(入側温度)は、1050℃以上とした。
その後、上記熱延板焼鈍後の熱延板を冷間圧延して1.6mmの中間厚とし、1100℃×40sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。次いで、840℃×100sの一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、その後、二次再結晶焼鈍と、1180℃で8時間保持する純化焼鈍からなる仕上焼鈍を施した。
この際、上記仕上焼鈍における加熱過程の焼鈍雰囲気は、室温からTs:900℃までは窒素100vol%とし、Ts:900℃から1150℃までは窒素50vol%および水素50vol%の混合雰囲気とした。また、純化焼鈍に至る1150℃から1180℃までおよび純化焼鈍中の焼鈍雰囲気は水素100vol%とした。
斯くして得た仕上焼鈍後の鋼板から、試験片を採取し、JISC2550に準拠し、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を測定した。
上記測定の結果を表2に示した。この結果から、本発明に適合する成分組成を有する鋼素材を用いて、本発明に適合する条件で製造した鋼板は、いずれも優れた鉄損特性を有していることがわかる。

Claims (5)

  1. C:0.002〜0.2mass%、Si:3.6〜4.6mass%、Mn:0.01〜0.8mass%、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを加熱し、熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、該冷延板を脱炭焼鈍した後、仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記成分組成から熱力学計算によって求められるγ相の最大分率をモル分率(mol%)で30%以上とし、
    上記仕上焼鈍の加熱過程における800〜950℃間のいずれかの温度Ts以下の焼鈍雰囲気を、水素の含有量VH2が10vol%以下の窒素またはアルゴンの単体または窒素とアルゴンの混合雰囲気とし、
    Ts超え1150℃以下の温度の焼鈍雰囲気を、窒素の含有量VN2(vol%)が下記(1)式を満たす水素と窒素の混合雰囲気とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    12.5×[Si]−35≦VN2≦12.5×[Si]+35 ・・・(1)
    ここで、上記[Si]は、Siの含有量(mass%)である。
  2. 上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、S:0.002〜0.030mass%およびSe:0.002〜0.100mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.010〜0.500mass%、Ni:0.010〜1.500mass%、Sn:0.005〜0.500mass%、Sb:0.005〜0.500mass%、P:0.005〜0.500mass%、Cu:0.010〜0.500mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%およびV:0.0010〜0.0100mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 上記成分組成から熱力学計算によって求められるγ相の最大分率をモル分率(mol%)で40%以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 上記冷間圧延の最終冷延圧下率を85%以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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