JP2017149228A - ガス発生器 - Google Patents

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Haruki Takizawa
春樹 滝澤
上田 真也
Shinya Ueda
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Abstract

【課題】ガス噴出口の開口面積を従来と同様とした場合でも、作動時のフィルタ破損を抑制しつつ、軽量化及びコスト低減も達成できるガス発生器を得る。【解決手段】ガス発生器100は、下部側シェル10と、これを閉鎖する上部側シェル20とで構成される短尺円筒状のハウジング10を備えている。上部側シェル20は、天板部21と、その全周縁から下方に延設され且つ複数のガス噴出口23が設けられている周壁部22とを備えている。ガス噴出口23は、細長形状の孔であり、ガス噴出口23の開口面積をx(mm2)、(ガス噴出口23の開口面積(mm2)/ガス噴出口23の周長(mm))をyとした場合、ガス噴出口23が、y≦0.27x0.5の関係を満たす開口形状となるように形成されている。また、ガス噴出口23の総開口面積をSmm2、前記ハウジングの厚みをTmm(2mm以下)とした場合、70≦(S×T)≦300の関係を満たしている。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の安全装置に用いられるガス発生器に関し、特に、エアバッグ展開に用いられるガス発生器に関する。
自動車の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するため、急速にエアバッグを膨張展開させるガス発生器は、ステアリングホイール内又はインストルメントパネル内に装着されたエアバッグモジュールに組み込まれている。そして、ガス発生器は、コントロールユニット(作動器)からの通電により点火器(イグナイター)を発火し、この火炎によりガス発生剤を燃焼させて、多くのガスを急激に発生させるものである。
この種のガス発生器としては、従来から、例えば、下記特許文献1に記載されているように、クロージャシェルとイニシエータシェルとを有するハウジングと、このハウジング内部に設けられたフィルタとを有し、該フィルタを介してガスを噴出させるためのガス噴出口がクロージャシェルの周方向に複数形成されたものが開示されている。
特開平1−172047号公報
上記特許文献1のようなガス発生器においては、軽量化及びコスト低減のために、ハウジング内圧の低減が必須の課題となっている。このハウジング内圧の低減を達成するためには、上記ガス噴出口の開口面積を大きくする必要があるが、単に大きくすると、上記ガス噴出口においてフィルタを吸い出す力が大きくなってしまい、フィルタを破損させることがある。この解決策として、上記ガス噴出口の開口面積を小さくして、上記ガス噴出口の口数を増加させることが考えられるが、その代わり、加工の手間がかかることになるので、コストが増大してしまう。他の解決策として、上記フィルタと上記ガス噴出口との間のクリアランスを大きくすることが考えられるが、ハウジング全体が大きくなってしまい、軽量化及びコスト低減の目的をそもそも果たせなくなってしまう。
そこで、本発明は、ガス噴出口の開口面積を従来と同様とした場合でも、作動時のフィルタ破損を抑制しつつ、軽量化及びコスト低減も達成できるガス発生器を提供することを目的とする。
(1) 本発明は、複数のガス噴出口が配設されたクロージャシェルと、イニシエータシェルとを有した金属製のハウジングと、前記ガス噴出口を前記ハウジングの内側において閉塞するシール状の閉塞部材と、前記ハウジングの内側に周方向にわたって設けられたフィルタ材と、前記ハウジング内において、前記イニシエータシェル内壁と前記クロージャシェル内壁と前記フィルタ材内壁とで囲まれる空間から形成された燃焼室と、前記燃焼室に収容され燃焼によりガスを発生するガス発生剤と、前記イニシエータシェルに装着され、前記ガス発生剤を着火燃焼させる着火手段と、を備えたガス発生器であって、前記ガス噴出口の開口面積をx、(前記ガス噴出口の開口面積/前記ガス噴出口の周長)をyとした場合、前記ガス噴出口がy≦0.27x0.5(好ましくは、y≦0.22x0.5)の関係を満たす形状であり、前記ガス噴出口の総開口面積をSmm、前記ハウジングの厚みをTmm(2mm以下とする。)とした場合、70≦(S×T)≦300(好ましくは70≦(S×T)≦250、さらに好ましくは70≦(S×T)≦120)の関係を満たしていることを特徴とする。なお、ガス噴出口が円形状の場合、y=0.281x0.5の関係となる。
上記(1)の構成によれば、ガス噴出口の開口面積を従来と同様とした場合でも、作動時のフィルタ破損を抑制しつつ、軽量化及びコスト低減も達成できる。また、上記(1)の構成に含まれない単なる円形状のガス噴出口ではガス噴出口の周長を変化させることはできないが、上記(1)の構成によれば、ガス噴出口の開口面積に対するガス噴出口の周長を変化させることも可能であるので、閉塞部材の破断圧を制御することもできる。また、ガス噴出口の開口面積とハウジングの厚みとのバランスを取ることで、安全な領域で、従来よりも軽量化及びコスト低減を達成したガス発生器を得ることができる。
(2) 上記(1)のガス発生器においては、前記ガス噴出口が、細長形状、凸形状、又は略∨字形状であることが好ましい。
(3) 上記(2)のガス発生器においては、前記ガス噴出口の形状が、細長形状のものを2つ以上交差するように形成したものであることが好ましい。
上記(2)又は(3)の構成によれば、容易に上記(1)のガス発生器を製造することが可能である。
(4) 上記(1)〜(3)のガス発生器においては、前記ガス噴出口の間に、円形状の別のガス噴出口を少なくとも1つ形成していてもよい。
上記(4)の構成によれば、上記効果を奏しながらも、様々な出力特性を有したガス発生器を提供することができる。
本発明の実施形態に係るガス発生器を示す外観図である。 図1に示したガス発生器を示す概略構成図であって、一部透視図である。 図1に示したガス発生器のガス噴出口の1つを示した図である。 本発明の実施形態の変形例に係るガス発生器のガス噴出口を示す図である。 本発明の実施例と比較例について、ガス噴出口の面積と、(ガス噴出口の開口面積/ガス噴出口の周長)との関係を示したグラフである。
(ガス発生器の構成)
図1及び図2は、本発明に係るガス発生器の実施形態を示す図である。図1及び図2に示すガス発生器100は、軸方向の両端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、カップ状部材50、伝火薬56、ガス発生剤61、下側保持部材62、上側保持部材63、クッション材64、シールテープ(閉塞部材)24、およびフィルタ材70等が収容されることで構成されている。また、ハウジングの内部に設けられた収容空間には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤61が主として収容されたガス発生剤収容室60が位置している。
短尺略円筒状のハウジングは、下部側シェル(イニシエータシェル)10と上部側シェル(クロージャシェル)20とを含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20のそれぞれは、圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。これにより、ハウジングの軸方向の端部は、天板部21と底板部11とによって閉塞されている。なお、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接、レーザー溶接、又は摩擦圧接等が好適に利用できる。
また、上部側シェル20は、周壁部22の下端から連続して外側に向けて立設された固定部25をさらに有している。当該固定部25は、ハウジングを外部の部材(図示せず)に対して固定するための部位であり、これにより設置後においてガス発生器100が当該外部の部材によって支持されることになる。なお、上部側シェル20の厚みは、2.0mm以下であることが好ましいが、より好ましくは1.8mm以下である。
図1に示すように、下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、上述した保持部30を介して点火器40が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に雌型コネクタ部34を設けるためのスペースとなる部位である。なお、下部側シェル10の厚みは、2.0mm以下であることが好ましいが、より好ましくは1.8mm以下である。
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視円形状の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42が挿通される部位である。
下部側シェル10は、上述したように圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって製作されている。具体的には、下部側シェル10は、たとえば上型および下型からなる一対の金型を用いて、圧延された一枚の金属製の板状部材を上下方向からプレスすることにより、図示する如くの形状に成形されることで製作される。
ここで、下部側シェル10を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、又はステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440MPa以上780MPa以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が好適に利用される。なお、プレス加工としては、熱間鍛造で行なわれてもよいし冷間鍛造で行なわれてもよいが、寸法精度の向上の観点から、より好適には冷間鍛造で行われる。
上部側シェル20は、上述したように圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって製作されている。具体的には、上部側シェル20は、たとえば上型および下型からなる一対の金型を用いて、圧延された一枚の金属製の板状部材を上下方向からプレスすることにより、図示する如くの形状に成形されることで製作される。ここで、上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、上述した下部側シェル10の場合と同様に、ステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、又はステンレス合金等からなる金属板が利用可能である。
図1に示すように、点火器40は、火炎を発生させるための点火装置であり、点火部41と、上述した一対の端子ピン42と、を備えている。点火部41は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体とを含んでいる。一対の端子ピン42は、点火薬を着火させるために点火部41に接続されている。
より詳細には、点火部41は、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン42が挿通されてこれを保持する基部とを備えており、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン42の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび基部は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には一般に2ミリ秒以下である。
点火器40は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
ここで、突状筒部13に設けられた開口部15の大きさは、点火器40の最大外形部分である点火部41の外形よりも小さく構成されている。このように構成することにより、万が一保持部30に予期せぬ破損が生じた場合であっても、ハウジングの内部の圧力上昇を受けて点火器40が当該開口部15を通過してハウジングの外部に飛び出てしまうことが防止でき、ガス発生器100の安全な動作が確保されることになる。
なお、保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。
また、保持部30は、点火器40のスクイブカップの外周面を覆う環状の被覆部35を備えている。この被覆部35においては、段形成面38を有する段形状が形成されていることによって、下部側環状被覆部36と上部側環状被覆部37とが設けられている。具体的には、下部側環状被覆部36は、点火器40のスクイブカップの下部を覆うように設けられており、上部側環状被覆部37は、下部側環状被覆部36よりも上部であってスクイブカップの途中高さまでを覆うように設けられている。また、上部側環状被覆部37の径方向に沿った厚みは、下部側環状被覆部36の径方向に沿った厚みよりも小さく構成されている。これにより、被覆部35は、点火器40のスクイブカップの軸方向に対して実質的に直交する略平面環状の段形成面38を有する段形状に形成されていることになり、点火器40の点火部41は、径方向において当該段形状を有する被覆部35によって保持されることになる。
なお、下部側環状被覆部36は、主として、ガス発生器100の動作時においても点火器40が保持部30から脱落してしまうことを防止するための保持力を発揮するように設けられた部位である。一方、上部側環状被覆部37は、主として、ガス発生器100の動作時において点火器40が作動することによって発生する衝撃を受け止めるように設けられた部位である。
このように構成することにより、ガス発生器100の動作時において、点火器40が作動することによって生じる衝撃により、樹脂成形体からなる保持部30自体、又は、当該保持部30とこれが固着する部材である下部側シェル10と点火器40(特に点火器40)との間の界面において、ガス発生器100の動作に不具合をもたらすような意図しない亀裂が発生することを防止できる。
点火器40は、保持部30の成形の際に、開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態とされ、この状態において点火器40と下部側シェル10との間の空間を充填するように上述した樹脂材料が流し込まれることにより、保持部30を介して底板部11に固定される。
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性、耐久性、及び、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6又はナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31および外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32および連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40の点火部41の下方端寄りの部分の側面および下面と、点火器40の端子ピン42の上方端寄りの部分の表面とにそれぞれ固着している。これにより、開口部15は、端子ピン42と保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。
なお、保持部30の内側被覆部31は、底板部11に設けられた突状筒部13の軸方向端部のみを覆うように設けられており、これにより突状筒部13のハウジングの内部に位置する外周面は、保持部30によって覆われずに露出した状態となっている。
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。この雌型コネクタ部34内には、点火器40の端子ピン42の下方端寄りの部分が露出して配置されている。雌型コネクタ部34には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。また、雌型コネクタ部34は導電性樹脂からなり、接地端子としての役目を備えている。雄型コネクタには、接地端子としての雌型コネクタ部34に接触するアース端子(図示せず)が設けられているので、雄型コネクタが雌型コネクタ部34に嵌合された場合において、雄型コネクタが有している接地用リードワイヤ(図示せず)がガス発生器100外部のグラウンド回路と接地されるようになっている。
また、保持部30によって覆われることとなる部分の底板部11の表面の所定位置に予め接着剤層が設けられてなる下部側シェル10を用いて上述した射出成形を行なうこととしてもよい。当該接着剤層は、上記底板部11の所定位置に予め接着剤を塗布してこれを硬化させておくことにより、その形成が可能である。
このようにすれば、底板部11と保持部30との間に硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部からなる保持部30をより強固に底板部11に固着させることが可能になる。したがって、射出成形後において、底板部11に対して保持部30が相対的に回転してしまうことが未然に防止可能となる。また、底板部11に設けられた開口部15を囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することも可能になる。
ここで、底板部11に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性、耐久性、及び耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂又はシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
また、接着剤を塗布する位置は特に限定されるものではないが、たとえば底板部11の突状筒部13が形成された部分における外表面(すなわち、保持部30の外側被覆部32によって覆われる部分の底板部11の表面)の全面あるいはその一部のみとしたり、底板部11の突状筒部13が形成された部分における内表面(すなわち、保持部30の内側被覆部31によって覆われる部分の底板部11の表面)の全面あるいはその一部のみとしたりすることができ、さらには保持部30によって覆われる部分の底板部11の表面の全面とすることもできる。
なお、点火器40において、保持部30によって覆われることとなる部分である点火部41のスクイブカップの表面の所定位置に予め接着剤を塗布することで接着剤層を設けておいてもよい。このように構成すれば、上述した底板部11に接着剤層を予め設けた場合と同様に、点火器40を保持部30により強固に固着させることが可能になり、当該部分においてより高いシール性を確保することが可能になる。
また、本実施の形態においては、保持部30の成形に際して、保持部30が点火器40と下部側シェル10と一体化されるように構成した場合を例示したが、保持部30の成形に際して、保持部30が下部側シェル10とのみ一体化されるようにし、成形後の保持部30に対して点火器40がたとえば嵌め込み等によって組付けられるように構成してもよい。その場合には、保持部30が下部側シェル10に対してのみ固着することになるため、保持部30と点火器40との間のシール性がこれのみでは確保されないことになるが、当該部分にOリングを配置する等、適宜のシール処理を施せば、十分なシール性を確保することが可能になる。
底板部11には、突状筒部13、保持部30および点火器40を覆うようにカップ状部材50が組付けられている。カップ状部材50は、底板部11側の端部が開口した略円筒形状を有しており、内部に伝火薬56が収容された伝火室55を含んでいる。カップ状部材50は、その内部に設けられた伝火室55が点火器40の点火部41に面することとなるように、ガス発生剤61が収容されたガス発生剤収容室60内に向けて突出して位置するように配置されている。
カップ状部材50は、上述した伝火室55を規定する頂壁部51および側壁部52と、側壁部52の開口端側の部分から径方向外側に向けて延設された延設部53とを有している。延設部53は、下部側シェル10の底板部11の内表面に沿って延びるように形成されている。具体的には、延設部53は、突状筒部13が設けられた部分およびその近傍における底板部11の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部54を含んでいる。
延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側保持部材62との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側保持部材62とによって挟み込まれている。ここで、下側保持部材62は、その上方に配置されたガス発生剤61、クッション材64、上側保持部材63および天板部21によって底板部11側に向けて押し付けられた状態にあるため、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側保持部材62によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。
なお、カップ状部材50の側壁部52の開口端側の部分が、保持部30のハウジングの内部に位置する部分である内側被覆部31に外挿されることで当該保持部30に対して圧入固定されている。当該圧入固定は、ハウジングに対するカップ状部材50の組付けの際に、その組付作業が容易に行なえるようにするための固定部位であるが、当該圧入固定によってもカップ状部材50が底板部11に対して固定されることになる。
カップ状部材50は、頂壁部51および側壁部52のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた伝火室55を取り囲んでいる。このカップ状部材50は、点火器40が作動することによって伝火薬56が着火された場合に伝火室55内の圧力上昇又は発生した熱の伝導に伴って破裂又は溶融するものであり、その機械的強度は比較的低いものが使用される。
そのため、カップ状部材50としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材、又は、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6又はナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。
なお、カップ状部材50としては、このようなものの他にも、鉄又は銅等に代表されるような機械的強度の高い金属製の部材からなり、その側壁部52に開口を有し、当該開口を閉塞するようにシールテープが貼着されたもの等を利用することも可能である。
伝火室55に充填された伝火薬56は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬56としては、ガス発生剤61を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物などが用いられる。伝火薬56は、粉状のもの、又は、バインダによって所定の形状に成型されたもの等が利用される。バインダによって成型された伝火薬56の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
下部側シェル10および上部側シェル20からなるハウジングの内部の空間のうち、上述のカップ状部材50が配置された部分を取り巻く空間には、ガス発生剤61が収容されたガス発生剤収容室60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50は、ハウジングの内部に形成されたガス発生剤収容室60内に突出して配置されており、このカップ状部材50の側壁部52の外表面に面する部分に設けられた空間がガス発生剤収容室60として構成されている。
また、ガス発生剤収容室60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内側に沿ってフィルタ材70が配置されている。フィルタ材70は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されることにより、ガス発生剤61が収容されたガス発生剤収容室60を径方向において取り囲んでいる。
ガス発生剤61は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤61としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤61が形成される。燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等又はこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジン、硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。また、酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、又は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。また、添加剤としては、バインダ、スラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダ、又は、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。また、燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤61の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状又は多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ガス発生器100が組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤61の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤61の形状の他にもガス発生剤61の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズ又は充填量を適宜選択することが好ましい。
フィルタ材70は、たとえばステンレス鋼又は鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したもの、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの、あるいは孔あき金属板を巻き回したもの等が利用される。ここで、網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網又は平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用される。また、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタル、又は、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさ及び形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさ及び形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)又はステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケル又はこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ材70は、ガス発生剤収容室60にて発生したガスがこのフィルタ材70中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却し、かつ残渣が外部に放出されないようにするためには、ガス発生剤収容室60内にて発生したガスが確実にフィルタ材70中を通過するようにすることが必要である。
フィルタ材70に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22(すなわち、固定部25が設けられた位置よりも天板部21側に位置する部分の周壁部)には、ガス噴出口23が複数設けられている。このガス噴出口23は、細長形状の孔であり、フィルタ材70を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。ここで、ガス噴出口23一つの開口面積をx(mm)、(ガス噴出口23一つの開口面積(mm)/ガス噴出口23一つの周長(mm))をyとした場合、ガス噴出口23は、y≦0.27x0.5(好ましくは、y≦0.22x0.5)の関係を満たす開口形状となるように形成されている。また、上部側シェル20の周壁部22のフィルタ材70側に位置する主面には、上記ガス噴出口23を閉塞するようにシールテープ24が貼付されている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が利用される。これにより、ガス発生剤収容室60の気密性が確保されている。
ガス発生剤収容室60のうち、底板部11側に位置する端部近傍には、下側保持部材62が配置されている。下側保持部材62は、環状の形状を有しており、フィルタ材70と底板部11との境目部分を覆うように配置されている。下側保持部材62は、フィルタ材70の底板部11側に位置する内周面に接触することでフィルタ材70を位置決めして保持するとともに、底板部11との間でカップ状部材50の先端部54を挟み込むことでカップ状部材50を保持している。
下側保持部材62は、作動時において、ガス発生剤収容室60にて発生したガスが、フィルタ材70の内部を経由することなくフィルタ材70の下端と底板部11との間の隙間から流出してしまうことを防止する。下側保持部材62は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものであり、好適には普通鋼又は特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板又はステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
ガス発生剤収容室60のうち、天板部21側に位置する端部には、上側保持部材63が配置されている。上側保持部材63は、略円盤状の形状を有しており、フィルタ材70と天板部21との境目部分を覆うように配置されている。上側保持部材63は、フィルタ材70の天板部21側に位置する内周面に接触することでフィルタ材70を位置決めして保持するとともに、その内部に配置されたクッション材64を保持している。
上側保持部材63は、作動時において、ガス発生剤収容室60にて発生したガスが、フィルタ材70の内部を経由することなくフィルタ材70の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する。上側保持部材63は、下側保持部材62と同様に、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものであり、好適には普通鋼又は特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板又はステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
上側保持部材63の内部には、ガス発生剤収容室60に収容されたガス発生剤61に接触するように円盤形状のクッション材64が配置されている。これにより、クッション材64は、ガス発生剤収容室60の天板部21側の部分において天板部21とガス発生剤61との間に位置することになり、ガス発生剤61を底板部11側に向けて押圧している。このクッション材64は、成形体からなるガス発生剤61が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体、ロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、又は、クロロプレン及びEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。
(ガス噴出口23の開口面積と、フィルタ材70の破損との関係)
次に、ガス噴出口23の開口面積と、フィルタ材70の破損との関係について説明する。フィルタ材70の破損は、ガス噴出口23によるフィルタ材70を吸い出す力が大きければ大きいほど発生しやすくなる。具体的には、上記yの値が大きいほど、フィルタ材70の破損は発生しやすい。
また、円形状以外の形状を有したガス噴出口の場合、その形状の角部は流体が流れにくく、開口面積に対して流路が小さくなる。そのため、円形状以外の形状を有したガス噴出口の場合、フィルタを吸い出す力が、円形状のガス噴出口に比べて小さくなる。具体的には、ガス噴出口23の形状の場合、図3に示した符号12a、12bの斜線部分が角部となり、流体が流れにくくなる。そのため、ガス噴出口23の場合、フィルタ材70を吸い出す力が、円形状のガス噴出口に比べて小さくなる。
また、上記yの式から、ガス噴出口の開口面積に対し周長が長い円形状以外の形状のガス噴出口にすると、ガス噴出口の数を増加させなくても、上記yの値を抑えることができる。この知見から、ガス噴出口23の変形例として、例えば、図4(a)に示した凸形状のガス噴出口81、図4(b)に示した2つの細長形状を交差させるようにして形成したバツ形状のガス噴出口82、図4(c)に示した3つの細長形状を交差させるようにして形成したガス噴出口83、図4(d)に示した略∨字形状のガス噴出口84、等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、ガス発生器の出力特性は、ほぼガス噴出口の開口面積に支配されるので、ガス噴出口が円形状以外の形状であっても、該出力特性は円形状の場合と遜色ない。
(ガス噴出口23の開口面積及び周長と、シールテープ(閉塞部材)24の破断圧との関係)
次に、ガス噴出口23の開口面積及び周長と、シールテープ24の破断圧との関係について説明する。シールテープ24の破断圧は、以下の式で算出することが可能である。
(シールテープ24の破断圧)=(シールテープ24のせん断強度×シールテープ24の厚み×ガス噴出口23の周長)/(ガス噴出口23の開口面積)
上記式により、円形状のガス噴出口の場合、ガス噴出口の面積が決まると同時に周長も決まってしまい、シールテープ24のせん断強度が所定のものであるならば、シールテープ24の破断圧も決まってしまう。しかし、円形状以外のガス噴出口とする本実施形態の場合、ガス噴出口23の開口面積に対するガス噴出口23の周長を選択することによって、上記式に基づいて、シールテープ24の破断圧を制御することができる。したがって、ガス噴出口23の形成数を増加させなくても、シールテープ24の破断圧とガス噴出口23の開口面積とを自由に選択できるので、ガス発生器100の低温着火性を向上させることができる。
(ガス発生器100の作動)
本実施の形態におけるガス発生器100が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。伝火室55に収容された伝火薬56は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼し、多量の熱粒子を発生させる。この伝火薬56の燃焼によってカップ状部材50は破裂または溶融し、上述の熱粒子がガス発生剤収容室60へと流れ込む。
流れ込んだ熱粒子により、ガス発生剤収容室60に収容されたガス発生剤61が着火されて燃焼し、多量のガスを発生させる。ガス発生剤収容室60にて発生したガスは、フィルタ材70の内部を通過し、その際、フィルタ材70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ材70によって除去されてハウジングの外周縁部に流れ込む。
ハウジングの内圧の上昇に伴い、上部側シェル20のガス噴出口23を閉塞していたシールテープ24による封止が破られ、ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、ガス発生器100に隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張および展開する。
上記構成の本実施形態によれば、ガス噴出口23の開口面積を従来と同様とした場合でも、作動時のフィルタ材70の破損を抑制しつつ、軽量化及びコスト低減も達成できる。また、単なる円形状のガス噴出口ではできなかったが、上記構成によれば、ガス噴出口23の開口面積に対するガス噴出口23の周長を変化させることができるので、シールテープ24の破断圧を制御することができる。
(実施例1)
上部側シェルの厚みを1.2mmとし、図4(b)に示したガス噴出口を有したガス発生器100と同様の構成のガス発生器(以下、本発明に係るガス発生器)と、上部側シェルの厚みを1.2mmとし、ガス噴出口が円形状である従来のガス発生器とについて、ガス噴出口の総面積、流量係数、ガス噴出口の数の検討を行った。なお、どちらのガス発生器もガス発生量を2molとした。ガス噴出口の総面積、y(各ガス噴出口の開口面積/各ガス噴出口の周長)、ガス噴出口の数を表1に示す。
本発明に係るガス発生器においては、従来のガス発生器とガス噴出口の総面積(全ガス噴出口の面積の総和)が同様であっても、表1に示したとおり、従来のガス発生器に対してガス噴出口の数が1/3でよいことがわかった。
(実施例2)
ガス噴出口の形状の条件によって、どのようにガス発生器内のフィルタ材の破損に影響を与えるかについて実験を行った。ここで、図5のグラフに、xをガス噴出口の面積、yを(ガス噴出口の開口面積/ガス噴出口の周長)とした場合において、本発明に係るガス発生器の範囲(y≦0.27x0.5)と、円形状のガス噴出口を有したガス発生器(y=0.281x0.5)を示す。また、図5のグラフに、下記表2に示した1〜5のガス噴出口を有したガス発生器の状態を示した。ここで、クリアランスとは、上記ガス発生器100を例として、ガス噴出口23の内壁側とフィルタ材70外壁との間の距離(mm)のことである。
表2の評価結果に示した通り、y≦0.27x0.5の範囲内にある番号3〜5の横長孔形状のガス噴出口をハウジングに有したガス発生器には、フィルタ材に破損は見られなかった。これに対して、y=0.282x0.5のグラフ線上の番号1、2の円形状のガス噴出口をハウジングに有したガス発生器には、フィルタ材に破損が見られた。このように、ハウジングの小型化のために上記クリアランスを小さくしようとした場合、円形状のガス噴出口を有したガス発生器ではフィルタ材を破損してしまう場合があるが、本発明を適用したガス発生器ではフィルタ材を破損しないことがわかった。
(実施例3)
安全な領域で、従来よりも軽量化及びコスト低減を達成することができるハウジング(ガス噴出口の形状:横長孔形状)を有したガス発生器の実証実験を行った。結果を下記表3に示す。なお、ハウジング内に油を徐々に流し込んでハウジングが破断した際の圧力をハイドロ圧Pとし、ハウジング外部が非常な高温となった際にガス発生剤の燃焼により発生するハウジングの内圧を高温時内圧Qとしている。また、ハイドロ圧P及び高温時内圧Qにおいては、経験により値にばらつきが出ることがわかっているので、その補正値をRとしている。これらを用いて、安全率=(P−R)/(Q+R)と規定した場合、この安全率が1.5以上であることが好ましい。より好ましい安全率は1.6以上である。ここで、安全率とは、「静的なハウジング強度が、発生しうるハウジング内圧に対し、どのくらい余裕があるかを示す指標」のことである。
各ガス発生器のガス発生量が1.2molのものについて、実施例1〜4に係るNo.1〜4のハウジングにおいては、比較例1に係るNo.5のハウジングと比較して、ハウジングの板厚(厚み)が薄いにもかかわらず、比較例1に係るNo.5のハウジングよりも高い安全率を達成していることがわかる。また、各ガス発生器のガス発生量が2.0molのものについて、実施例5に係るNo.6のハウジングにおいては、比較例2に係るNo.7のハウジングと比較して、ハウジングの板厚(厚み)が薄いにもかかわらず、比較例2に係るNo.7のハウジングと同等の安全率を達成していることがわかる。また、ガス発生器のガス発生量が3.0molのものについて、実施例6に係るNo.8のハウジングにおいては、ハウジングの板厚(厚み)が1.4mmと薄いにもかかわらず、十分な安全率を達成していることがわかる。したがって、上記比較例からわかるように、従来では、安全率を1.5以上にするためにハウジングの板厚(厚み)を厚くし、ハイドロ圧を上げていたので、ハウジングが重くなりがちだった。しかしながら、上記実施例からわかるように、本発明を適用すれば、ガス噴出口の総開口面積を所定の値まで大きくしつつもハウジングの板厚(厚み)を所定値(例えば実施例1の1.2mm)まで薄くすることができるとともに、安全率を適切な値にコントロールすることができる。すなわち、本発明によれば、ガス噴出口の開口面積とハウジングの厚みとのバランスを取るので、安全な領域で、従来よりも軽量化及びコスト低減を達成することができるハウジングを有したガス発生器を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。例えば、上述したガス噴出口23及びガス噴出口23の変形例などの様々な形状を組み合わせても良いし、ガス噴出口23及びガス噴出口23の変形例などの様々な形状の間に円形状のガス噴出口を形成してもよい。これらにより、上記効果を奏しながらも、様々な出力特性を有したガス発生器を提供することが可能となる。
10 下部側シェル
11 底板部
12 周壁部
13 突状筒部
14 窪み部
15 開口部
20 上部側シェル
21 天板部
22 周壁部
23、81、82、83、84 ガス噴出口
24 シールテープ
25 固定部
30 保持部
31 内側被覆部
32 外側被覆部
33 連結部
34 雌型コネクタ部
40 点火器
41 点火部
42 端子ピン
50 カップ状部材
51 頂壁部
52 側壁部
53 延設部
54 先端部
55 伝火室
56 伝火薬
60 ガス発生剤収容室
61 ガス発生剤
62 下側保持部材
63 上側保持部材
64 クッション材
70 フィルタ材
100 ガス発生器

Claims (4)

  1. 複数のガス噴出口が配設されたクロージャシェルと、イニシエータシェルとを有した金属製のハウジングと、
    前記ガス噴出口を前記ハウジングの内側において閉塞するシール状の閉塞部材と、
    前記ハウジングの内側に周方向にわたって設けられたフィルタ材と、
    前記ハウジング内において、前記イニシエータシェル内壁と前記クロージャシェル内壁と前記フィルタ材内壁とで囲まれる空間から形成された燃焼室と、
    前記燃焼室に収容され燃焼によりガスを発生するガス発生剤と、
    前記イニシエータシェルに装着され、前記ガス発生剤を着火燃焼させる着火手段と、
    を備えたガス発生器であって、
    前記ガス噴出口の開口面積をx、(前記ガス噴出口の開口面積/前記ガス噴出口の周長)をyとした場合、前記ガス噴出口がy≦0.27x0.5の関係を満たす形状であり、
    前記ガス噴出口の総開口面積をSmm、前記ハウジングの厚みをTmm(2mm以下とする。)とした場合、70≦(S×T)≦300の関係を満たしていることを特徴とするガス発生器。
  2. 前記ガス噴出口が、細長形状、凸形状、又は略∨字形状であることを特徴とする請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記ガス噴出口の形状が、細長形状のものを2つ以上交差するように形成したものであることを特徴とする請求項1に記載のガス発生器。
  4. 前記ガス噴出口の間に、円形状の別のガス噴出口を少なくとも1つ形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス発生器。
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