JP2017148272A - 眼内レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】眼内レンズの挿入手術を面倒なものにすることなく、後発白内障の発症を効果的に抑制することができる技術を提供する。【解決手段】レンズ機能を有する円盤状の光学部22と、光学部22の外周縁22cから腕状に延びる支持部23と、から構成される眼内レンズであって、支持部23の根元部24が幅広に形成されるとともに、根元部24の近傍に位置して光学部22の外周部22dに貫通孔27が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、眼内レンズに関し、特に、水晶体嚢内に挿入して使用する眼内レンズに関する。
人間の眼に関する疾患として白内障が知られている。白内障は、眼球内にある水晶体が白く濁ってしまう病気である。近年では、白内障を発症した患者の視力を回復するために白内障手術が行われている。白内障手術は、白く濁った水晶体を取り除き、水晶体に代わる人工の眼内レンズ(IOL:IntraOcular Lens)を挿入する手術である。
白内障手術では、水晶体を摘出した後に残る水晶体嚢の内部に眼内レンズを収容する。水晶体嚢は、薄い膜でできた袋状の透明な組織である。このため、白濁した水晶体に代えて眼内レンズを水晶体嚢内に挿入することにより、患者の視力を回復することができる。ただし、眼内レンズによって一旦視力を回復できたとしても、術後に後発白内障(PCO:Posterior Capsular Opacities)を発症し、再び視力が低下することがある。後発白内障とは、上記白内障手術を行った後、水晶体上皮細胞(LEC:Lens Epithelial Cells)が眼内レンズの後面側に回り込むことで、水晶体嚢の後側部分(後嚢)が白く濁ってしまう病気である。
後発白内障を抑制する技術として、たとえば特許文献1には、貫通孔と突出部とを備える眼内レンズが記載されている。この眼内レンズでは、突出部の端部を水晶体嚢の後嚢に接触させることにより、眼内レンズの光学部を後嚢から離した状態に維持し、その状態で貫通孔を通して眼房水を水晶体嚢内に循環させることにより、水晶体上皮細胞(以下、単に「細胞」ともいう。)の増殖を抑制する仕組みになっている。
特開2014−14532号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の眼内レンズでは、突出部が厚み方向に突出しているため、白内障手術で眼内に眼内レンズを挿入する際に、突出部が邪魔になって手術が面倒になるという難点があった。
本発明の主な目的は、眼内レンズの挿入手術を面倒なものにすることなく、後発白内障の発症を効果的に抑制することができる技術を提供することにある。
(第1の態様)
本発明の第1の態様は、
レンズ機能を有する円盤状の光学部と、前記光学部の外周縁から腕状に延びる支持部と、から構成される眼内レンズであって、
前記支持部の根元部が幅広に形成されるとともに、前記根元部の近傍に位置して前記光学部の外周部に貫通孔が形成されている
眼内レンズである。
(第2の態様)
本発明の第2の態様は、
前記貫通孔は、前記光学部の外周部であって、かつ、前記根元部の近傍に位置する根元部近傍領域に、前記貫通孔の全部が収まる状態、または、前記貫通孔の少なくとも一部が重なり合う状態で形成されている
上記第1の態様に記載の眼内レンズである。
(第3の態様)
本発明の第3の態様は、
前記貫通孔は、前記光学部の円周方向において前記根元部の一端と他端を結ぶ仮想円弧線の長さ方向のほぼ中間部に対応する位置に形成されている
上記第2の態様に記載の眼内レンズである。
(第4の態様)
本発明の第4の態様は、
前記根元部近傍領域に前記貫通孔が複数形成されている
上記第1または第2の態様に記載の眼内レンズである。
(第5の態様)
本発明の第5の態様は、
前記複数の貫通孔は、各々の貫通孔の位置が前記光学部の円周方向にずれた状態で形成されている
上記第4の態様に記載の眼内レンズである。
(第6の態様)
本発明の第6の態様は、
前記光学部の前面および後面のうち少なくとも一方の面に、前記貫通穴に通じる溝が形成され、
前記溝は、前記光学部の直径方向と異なる方向に延びて形成されている
上記第1〜第5の態様のいずれか1つに記載の眼内レンズである。
(第7の態様)
前記溝は、前記光学部の円周方向に沿って形成されている
上記第6の態様に記載の眼内レンズである。
(第8の態様)
前記溝は、前記光学部の全周にわたって連続的に形成されている
上記第6または第7の態様に記載の眼内レンズである。
本発明によれば、眼内レンズの挿入手術を面倒なものにすることなく、後発白内障の発症を効果的に抑制することができる。
眼球の構造を説明する図であって、(a)は眼球の断面構造を示す概略図、(b)はその一部を拡大した概略図である。 本発明の第1実施形態に係る眼内レンズの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。 本発明の第2実施形態に係る眼内レンズの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。 図3(b)のB部を拡大した図である。 孔なし眼内レンズを挿入した場合の術後の徹照像を示す図である。 孔あき眼内レンズを挿入した場合の術後の徹照像を示す図である。 根元部近傍領域に複数の貫通孔を設けた眼内レンズの構成例を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
<眼球の構造>
まず、本発明の実施形態に係る眼内レンズの説明に先立って、当該眼内レンズが用いられる眼球の構造について、図1を用いて説明する。図1(a)は、眼球の断面構造を示す概略図であり、図1(b)は、その一部を拡大した概略図である。
(眼球の全体構造)
図1(a)に示すように、眼球101は、全体に球状をなし、前方の角膜102の部分を除いて強膜103により被覆保護されている。角膜102から虹彩106表面までの空間は前房105と呼ばれ、虹彩106裏面から水晶体111までの間は後房と呼ばれる。これらの部分は眼房水(以下、単に「房水」という。)で満たされている。
虹彩106によって形成される円形の孔は瞳孔107と呼ばれる。虹彩106は、瞳孔107の大きさを調節することにより、眼球101の内部に入射する光の量を調整する。虹彩106の後方には水晶体111が存在する。水晶体111の後方には硝子体113が存在し、その後方には網膜112が存在する。網膜112は、眼内に入射された光を信号に変え、脳に伝える役目を果たす。
(水晶体)
水晶体111は無色透明で凸レンズ形状を有し、水晶体嚢108と呼ばれる薄い膜で覆われている。水晶体111は水晶体嚢108と毛様小帯109(チン氏帯)を介して、毛様体110に繋がっている。毛様体110は毛様体筋を有し、この毛様体筋の働きにより水晶体111の厚さを制御して焦点(ピント)合わせを行う。すなわち、近くを見るときは毛様体110の毛様体筋が収縮し、毛様小帯109が弛緩することで水晶体111は厚くなる。このため、水晶体111の屈折力が増して近方が見えやすくなる。一方、遠くを見るときには毛様体110の毛様体筋が弛緩し、毛様小帯109が引っ張られることで水晶体111が薄くなる。このため、水晶体111の屈折力が低下して遠方が見えやすくなる。
(水晶体嚢)
水晶体嚢108は、弾性に富む透明な膜様の構造物である。水晶体嚢108は、水晶体赤道部Eを境に前嚢108aと後嚢108bに区別して呼ばれる。前嚢108aは、水晶体赤道部Eよりも前方(角膜102側)の部分をいい、後嚢108bは、水晶体赤道部Eよりも後方(網膜112側)の部分をいう。眼内レンズの挿入手術では、前嚢108aを切開して開口を形成し、この開口を通して水晶体111を取り除いた後、水晶体111に代わる眼内レンズを水晶体嚢108内に挿入する。
(房水)
房水は、図1(b)に示すように、毛様体110における毛様体突起110aから分泌される。さらにこの房水は、水晶体嚢108と虹彩106との間を通って前房に至り、線維柱帯118aを経てシュレム管118から排出される。
<知見>
本発明者らは、上記特許文献1に記載の眼内レンズが有する突出部、すなわち光学部と後嚢とを離れた状態に維持するための構造部分を設けなくても、後発白内障を効果的に抑制できる有効な手立てがないかどうか鋭意検討した。そして、その検討過程において、後発白内障の抑制に有効であるとされているシャープエッジ効果がどの程度有効であるかどうかを実験で確認してみた。シャープエッジ効果とは、眼内レンズの光学部の外周縁に適度な角度でエッジ部分を形成し、そこに水晶体嚢を接触させることにより、後嚢側への細胞の回り込みを抑制する効果である。実験の結果、たしかにシャープエッジ効果によって後嚢側への細胞の回り込みが抑制されることが確認された。さらにそれ以外にも、次のような知見が得られた。すなわち、眼内レンズの構成として、光学部から腕状に延びる支持部の根元部が幅広に形成された眼内レンズでは、支持部の根元部から光学部の中心方向に細胞の伸展が認められ、そこではシャープエッジ効果が相対的に弱くなっているという知見が得られた。以下の実施形態に係る眼内レンズは、こうした発明者らの知見に基づいてなされたものである。
<第1実施形態>
(眼内レンズの構成)
図2は本発明の第1実施形態に係る眼内レンズの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。
眼内レンズ21は、レンズ機能を有する光学部22と、この光学部22を支持する一対(2つ)の支持部23と、から構成されている。ここで、「眼内レンズ」を「光学部と、支持部と、から構成される」と表記した理由は、上記特許文献1に記載の「突出部」、すなわち「光学部を後嚢から離した状態に維持するための構成要素」を「眼内レンズ」の構成要素から除く趣旨であって、上記「突出部」以外の構成要素まで除く趣旨ではない。
光学部22と支持部23は一体化された構造になっている。また、光学部22と支持部23とは互いに異なる材料で構成されている。すなわち、光学部22は、眼内レンズ21を眼内に挿入するときに光学部22を折り畳み可能とするために、たとえばソフトアクリル、シリコーン樹脂などの軟質材料で構成されている。支持部23は、たとえばPMMA(ポリメチルメタクリレート)などの硬質材料で構成されている。このように、光学部22と支持部23を異種材料で構成した一体型(一体化構造)の眼内レンズ21を製造する方法としては、たとえば、特開平11−155944号公報に記載の方法を適用することができる。また、眼内レンズ21は、光学部22および支持部23を含めて、全体的に平らに形成されている。
(光学部)
光学部22は、円盤状に形成されている。一般に「円盤状」とは平たくて丸いものを意味する。このため、上記特許文献1に記載された眼内レンズのように、光学部に「突出部」を付設したものは「円盤状」に含まない。なぜなら、光学部に「突出部」を備えた眼内レンズの場合は、「突出部」が眼内レンズの厚み方向に大きく突出し、「円盤状」の概念から外れるためである。また、本第1実施形態に係る「眼内レンズ」は、上述したとおり「突出部」を構成要素に含まないものである。このため、本第1実施形態に係る「眼内レンズ」を水晶体嚢108内に挿入すると、眼内レンズ21の光学部22の後面に後嚢108bが接触し、これによって光学部22の後面が後嚢108bによって覆われた状態となる。つまり、本第1実施形態においては、光学部22の後面が後嚢108bによって被覆されることを予定した「嚢被覆予定面」となっている。
光学部22は、2つの光学面22a,22bを有し、これらの光学面22a,22bが凸レンズ形状を形成している。眼内レンズ21を水晶体嚢108内に収めた状態では、一方の光学面22aが前側Fs、他方の光学面22bが後ろ側Rsを向くように配置される。ここで記述する「前側Fs」とは、眼球101の水晶体嚢108内に眼内レンズ21を収めた状態では、眼球101の角膜102側に相当し、「後ろ側Rs」とは、眼球101の網膜112側に相当する。このため、眼内レンズ21を水晶体嚢108内に挿入して使用する場合は、一方の光学面22aが角膜102側に配置され、他方の光学面22bが網膜112側に配置される。眼内レンズ21の「前側Fs」と「後ろ側Rs」は、光学面22a,22b相互の曲率半径の違いや、支持部23を側面方向から見たときの形状などによって識別することが可能である。
光学部22は、上記2つの光学面22a,22bによって凸レンズ形状を形成することにより、所定の屈折力を有している。この屈折力は、白濁した水晶体111を取り除いた後、水晶体111の代わりとなって装用者が希望する焦点距離を与えるためのものである。つまり、眼内レンズ101が水晶体嚢108内に挿入され、眼外からの光が光学部22を通ることにより、眼内レンズ101の装用者は、希望する焦点距離を得ることができる。これがいわゆるレンズ機能である。
光学部22の直径は、眼内レンズ21を水晶体嚢108内に挿入するのに適した寸法であれば、どのような寸法に設定してもかまわない。光学部22の直径は、たとえば、5mm以上7mm以下の範囲に設定される。光学部22の厚みは、所望の屈折力に合わせて設定すればよい。光学部22は、光透過性を有する軟性材料によって折り畳み可能に構成されている。
(支持部)
支持部23は、眼内レンズ21を眼内に挿入したときに光学部22を支持する部分である。支持部23は、眼内レンズ21を水晶体嚢108内に収容したときに、水晶体赤道部Eに対応する位置で水晶体嚢108に接触し、その状態で光学部22を支持する。支持部23は、光学部22の外周縁22cから腕状に延びている。光学部22の外周縁22cとは、光学部22の最も外側の外形部分を規定する円形の縁をいう。支持部23は、一つの眼内レンズ21に2つ形成されている。各々の支持部23は、以下のような共通の構造を有している。
支持部23は、根元部24と、腕部25と、先端部26と、を一体に有している。根元部24は、光学部22の外周縁22cにつながる部分であって、平面的にみると幅広に形成されている。具体的には、根元部24は、支持部23の長さ方向において光学部22の外周縁22cに近づくほど根元部24の幅が広くなるような山裾状に形成され、最も幅広の部分で光学部22に接合されている。光学部22と支持部23の接合界面は、上述した軟質材料と硬質材料による異種材料同士の接合界面となる。このような異種材料同士の接合界面は、光学部22と支持部23を同じ材料で構成する場合に比較して接合強度が弱くなる。このため、所望の接合強度を得るために支持部23の根元部24を幅広に形成し、その幅広部分を光学部22の外周縁22cに接合することにより、両者の接合面積を広く確保している。このように、根元部24は、光学部22の外周縁22cにつながる支持部23の一構成部分であるため、根元部24に関しては、光学部22に対する支持部23の接合部または連結部と言い換えることもできる。
腕部25は、適度な可撓性を有している。腕部25は、根元部24との境界を起点に円弧を描くように湾曲している。支持部23の先端部26は、水晶体嚢108に接触してもこれを傷つけないように適度な丸みを帯びている。先端部26は、眼内レンズ21を水晶体嚢108内に収容するときに、支持部23の弾性変形による反発力で水晶体嚢108に押し当てられる。
(貫通孔)
光学部22の外周部22dには、貫通孔27が設けられている。貫通孔27は、支持部23の個数に応じて合計2つ設けられている。貫通孔27は、これに対応する支持部23の根元部24の近傍に位置する状態で設けられている。以下に、「光学部22の外周部22d」および「支持部23の根元部24の近傍」の各用語について定義する。
(光学部の外周部)
光学部22の外周部22dは、たとえば、図中破線で示す仮想円28を用いて特定することが可能な領域である。すなわち、光学部22の外周部22dとは、仮想円28よりも外側で、かつ、光学部22の外周縁22cよりも内側の領域をいう。仮想円28は、光学部22の外周縁22cと同心円状をなし、かつ、外周縁22cよりも小さい円である。このため、光学部22の外周部22dはドーナツ型の領域になっている。
仮想円28は、光学部22の中心Cを中心とする円である。仮想円28の直径は、貫通孔27の存在が光学部22のレンズ機能におよぼす影響や、根元部24と貫通孔27の位置関係などを考慮して設定すればよい。具体的には、仮想円28の直径は、光学部22の直径dに対して、好ましくは0.6d以上0.9d以下、より好ましくは0.65d以上0.85d以下、さらに好ましくは0.7d以上0.8d以下の範囲に設定するとよい。このような条件で仮想円28の直径を規定することにより、眼内レンズ21を使用する使用者の視界に貫通孔27が入り込む(映り込む)リスクを低く抑えることができる。
(支持部の根元部の近傍)
支持部23の根元部24の近傍は、たとえば、光学部22の円周方向における根元部24の一端P1と他端P2を用いて特定することが可能な領域である。根元部24の一端P1は、根元部24の一方の山裾部分の終端に位置し、根元部24の他端P2は、根元部24の他方の山裾部分の終端に位置する。このため、光学部22の外周縁22cに対しては、幅広の根元部24が一端P1から他端P2にわたって接合している。
このような前提において、支持部23の根元部24の近傍とは、2つの仮想直線L1,L2と1つの仮想円弧線L3によって囲まれる扇形の領域のうち、光学部22の外周部22dに属する領域をいう。仮想直線L1は、根元部24の一端P1と光学部22の中心Cとを結ぶ直線である。仮想直線L2は、根元部24の他端P2と光学部22の中心Cとを結ぶ直線である。仮想円弧線L3は、光学部22の外周縁22cに沿って根元部24の一端P1と他端P2を結ぶ円弧線である。
貫通孔27は、上記の定義によって特定される光学部22の外周部22dであって、かつ、根元部24の近傍に位置する根元部近傍領域29に、貫通孔27の全部が収まる状態で形成されている。ここで記述する「貫通孔27の全部が収まる状態」とは、根元部近傍領域29から「貫通孔27がはみ出さない状態」を意味する。支持部23の根元部24からの細胞の伸展を抑制するうえでは、貫通孔27の全部が根元部近傍領域29に収まるように形成されていることが好ましいものの、具体的な実施にあたっては、貫通孔27の一部が根元部近傍領域29に重なり合う状態に形成されていてもよい。
貫通孔27は、光学部22の円周方向において根元部24の一端P1と他端P2を結ぶ仮想円弧線L3の長さ方向のほぼ中間部に対応する位置に形成されている。このような配置で貫通孔27を形成しておけば、根元部24からの細胞の伸展をバランスよく抑制することができる。なお、図2(a)におけるA−A断面基準線は、光学部22の中心Cと2つの貫通孔27の中心とを結ぶ直線になっていて、貫通孔27は、このA−A断面基準線に沿う光学部22の直径方向において、仮想円28に貫通孔27の縁が接する状態に配置されている。
貫通孔27は、光学部22を厚み方向に貫通する状態で形成されている。ここで記述する「厚み方向」とは、光学部22の厚み方向を意味する。この厚み方向において、貫通孔27の一方は前側Fsに開口し、貫通孔27の他方は後ろ側Rsに開口している。貫通孔27は平面視で円形の孔になっている。本第1実施形態のように、1つの根元部近傍領域29に1つの貫通孔27を設ける場合、貫通孔27の大きさ(直径)は、この貫通孔27を通して房水を後嚢に接触させるという観点からすると、好ましくは0.2mm以上0.8mm以下、より好ましくは0.3mm以上0.7mm以下、さらに好ましくは0.4mm以上0.6mm以下の範囲に設定するとよい。
<眼内レンズの挿入手術>
次に、本発明の第1実施形態における眼内レンズの挿入手術について説明する。
まず、眼内レンズ21を眼内に挿入する場合は、それに先立って眼球101の表面に創口を作製する。この創口は角膜102と強膜103の境界部に形成する。次に、水晶体嚢108の前嚢108aを切開し、これによって前嚢108aに開口を形成する。この開口は、眼球101の創口を通してセッシなどの手術器具を眼内に挿入し、水晶体嚢108の前嚢108aを円形またはそれに近い形状に切開して形成する。前嚢108aの開口は、たとえば直径6mm相当の大きさに形成する。次に、水晶体嚢108内の白濁した水晶体111(水晶体皮質、水晶体核)を摘出する。水晶体111の摘出は、たとえば、超音波乳化吸引術により行う。
次に、眼内レンズ21を小さく折り畳んでセッシで把持する。その際、光学部22を二つ折りしてこれをセッシの先端部で把持する。このとき、眼内レンズ21は全体的に平らな形状になっているため、セッシでの取り扱いが容易になる。次に、水晶体嚢108内に眼内レンズ21を挿入して収容する。具体的には、眼内レンズ21を把持するセッシの先端部を眼球101の上記創口から前嚢108aの開口へと挿入し、そこでセッシを開放することにより、水晶体嚢108内に眼内レンズ21を収容する。このとき、セッシを開放すると眼内レンズ21が展開して元の形状に戻るが、必要に応じてセッシを使って眼内レンズ21の展開を補助しつつ、眼内レンズ21を適正な位置に収める。
このように眼内レンズ21を水晶体嚢108内に挿入することにより、一対の支持部23の先端部26はそれぞれ水晶体嚢108の赤道部Eに接触する状態となり、この状態で光学部22が眼内の所定の位置に支持される。その際、水晶体嚢108は一対の支持部23に押されて変形する。
このとき、眼内レンズ21の後ろ側Rsでは、光学部22の後面に後嚢108bが接触する。このため、眼内レンズ21の後ろ側Rsでは、光学部22の後面が後嚢108bによって被覆されるとともに、貫通孔27の開口が後嚢108bによって塞がれる。
(貫通孔の存在意義)
ここで、貫通孔27の存在意義について説明する。
まず、眼内レンズ21の構成上、光学部22の外周縁22cに適度な角度でエッジ部分を形成しておけば、光学部22のエッジ部分に水晶体嚢108が接触する。このため、シャープエッジ効果によって後嚢108b側への細胞の回り込みを抑制することができる。ただし、支持部23の根元部24では、光学部22の外周縁22cに根元部24が幅広に接合しているため、他の部分に比べてシャープエッジ効果が弱くなる。
そうした状況において、光学部22の外周部22dに貫通孔27が設けられていると、眼球101の前房105等を満たしている房水が貫通孔27に浸入するとともに、浸入した房水が貫通孔27を通して後嚢108bに接触する。房水には、細胞の増殖を抑制する効果がある。このため、支持部23の根元部24の近傍に貫通孔27を配置しておけば、房水の存在によって細胞の回り込みを抑制することができ、根元部24の近傍に位置する貫通孔27を中心にして、その周囲の領域にも房水が染み渡り、そこでも細胞の増殖抑制効果が期待できる。
<本第1実施形態の効果>
本第1実施形態においては、支持部23の根元部24の近傍に位置する状態で光学部22の外周部22dに貫通孔27を形成しているため、眼球101の水晶体嚢108内に眼内レンズ21を挿入して使用する際に、貫通孔27を通して後嚢108bに房水を接触させることができる。そして、この房水による細胞の増殖抑制効果によって細胞の回り込みを抑制することができる。これにより、支持部23の根元部24から光学部22の中心側に細胞が伸展することを効果的に抑制することができる。また、眼内レンズ21は、上記特許文献1に記載の「突出部」を備えていないため、この「突出部」の存在が眼内レンズの挿入手術の邪魔になることがない。また、眼内レンズ21は全体的に平らに形成されているため、眼内レンズの挿入手術における取り扱いも容易になる。その結果、眼内レンズの挿入手術を面倒なものにすることなく、後発白内障の発症を効果的に抑制することが可能となる。
さらに本第1実施形態においては、支持部23の根元部24の近傍に位置するように貫通孔27を設けたことで、水晶体嚢108の破損を抑制する効果も期待できる。以下に理由を記述する。
まず、支持部23は、根元部24を固定端、先端部26を自由端とする、いわゆる片持ち梁の形態で光学部22に接合されている。このため、支持部23の先端部26を光学部22の中心Cに近づく方向に押し込んで腕部25を撓ませると、根元部24に大きな力が加わる。この力は、支持部23をPMMAなどの硬質材料で構成すると、より大きくなる。また、支持部23の根元部24は幅広に形成されているため、ほとんど弾性変形しない。
一方、支持部23の先端部26には腕部25の撓みによる反力が作用する。このため、眼球101の水晶体嚢108内に眼内レンズ21を挿入して、一対の支持部23を水晶体嚢108の赤道部Eに接触させると、腕部25の撓みによる反力で先端部26が水晶体嚢108に押し付けられる。また、水晶体嚢108は支持部23の先端部26に押されて突っ張った状態になる。そうすると、たとえば、水晶体嚢108が脆弱であったりすると、術中または術後において、水晶体嚢108が支持部23の先端部26に押されて破れる恐れがある。
この点、支持部23の根元部24の近傍に貫通孔27を設けると、腕部25の撓みによって先端部26に作用する反力を、貫通孔27の存在によって低減することができる。すなわち、支持部23の撓みによる応力は、根元部24に隣接する光学部22の外周部22dに伝わるため、そこに貫通孔27を設けておけば、軟性材料からなる光学部22の材料特性と相まって貫通孔27の周辺に適度な柔軟性をもたせることができる。これにより、腕部25の撓みによる応力を、貫通孔27周辺の柔軟性を利用して緩和することができる。このため、貫通孔27を設けない場合に比べて、水晶体嚢108に加わる負荷を軽減することができる。よって、水晶体嚢108の破れを抑制する効果が期待できる。
<第2実施形態>
(眼内レンズの構成)
図3は本発明の第2実施形態に係る眼内レンズの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。また、図4は図3(b)のB部を拡大した図である。
本発明の第2実施形態に係る眼内レンズ21は、上記第1実施形態の構成と比較して、第1の溝31と第2の溝32とを設けた点が異なる。第1の溝31は、光学部22の前面側の外周部22dに設けられ、第2の溝32は、光学部22の後面側の外周部22dに設けられている。光学部22の前面とは前側Fsを向いて配置される面であり、光学部22の後面とは後ろ側Rsを向いて配置される面である。
(第1の溝)
第1の溝31は、貫通孔27に通じるように形成されている。「貫通孔27に通じる」とは、眼内レンズ21を平面視したときに、第1の溝31の一部が貫通孔27に重なっている状態をいう。第1の溝31は、光学部22の前面の一部を凹状にへこませた状態で形成されている。第1の溝31のへこみ形状は断面円弧状(略U字形)になっている。第1の溝31の深さは、仮に第1の溝31の上に前嚢108aが覆い被さっても、第1の溝31の底に前嚢108aが貼り付かない程度の寸法、たとえば、0.1mm程度に設定されている。
第1の溝31は、貫通孔27の形成部位に溝の一部が重なるように形成されるとともに、その貫通孔27の形成部位から光学部22の直径方向とは異なる方向に延びて形成されている。本第2実施形態では、第1の溝31が光学部22の円周方向に沿って形成されている。また、第1の溝31は、光学部22の全周にわたって連続的に形成されている。換言すると、第1の溝31は、光学部22と同心円を描くように環状に形成されている。第1の溝31の幅Wは、貫通孔27の直径寸法よりもやや大きく設定されている。貫通孔27の開口は、第1の溝31のへこみ部分に臨む状態で配置されている。
(第2の溝)
一方、第2の溝32は、第1の溝31に比べて溝幅が少し狭くなっている。具体的には、光学部22の直径方向において、第2の溝32の外側の縁は、第1の溝31と同じ位置になっているが、第2の溝32の内側の縁は、第1の溝31よりもやや外寄りの位置になっており、その分、第2の溝32の幅が相対的に狭くなっている。ただし、第2の溝32の幅は、第1の溝31と同じでもよいし、第1の溝31より広くてもよい。以上の点を除けば、第2の溝32は第1の溝31と同様に形成されている。このため、第2の溝32に関する詳しい説明は省略する。
(第1の溝の存在意義)
上記構成からなる眼内レンズ21は、上記第1実施形態と同様の方法で眼内に挿入されるが、その際に、前嚢108aの切開の仕方によっては、前嚢108aの開口がきれいな円形にならずに歪んだ形状になったり、その開口の位置や大きさがばらついたりする。このため、貫通孔27の形成部位に前嚢108aが覆い被さることもあり得る。そうした場合、仮に第1の溝31が設けられていないと、貫通孔27の開口が前嚢108aによって塞がれる。このため、房水が貫通孔27に浸入できなくなる。
これに対して、第1の溝31が設けられている場合は、貫通孔27の形成部位に前嚢108aが覆い被さっても、第1の溝31のへこみによって前嚢108aが貫通孔27の開口から浮いた状態に保持される。このため、貫通孔27の開口が前嚢108aによって塞がれることがない。また、貫通孔27の形成部位以外の部分で第1の溝31の上に前嚢108aが覆い被さった場合にも、第1の溝31のへこみによって前嚢108aが第1の溝31の底から浮いた状態に保持される。このため、第1の溝31の少なくとも一部が前嚢108aによって被覆されていなければ、その部分から第1の溝31内に房水が浸入する。さらに、房水は第1の溝31を伝って貫通孔27にも浸入する。つまり、第1の溝31は、房水を貫通孔27に導く水路の機能を果たす。したがって、貫通孔27の形成部位に前嚢108aが覆い被さった場合でも、房水を貫通孔27に浸入させることができる。
(第2の溝の存在意義)
第2の溝32の存在意義は、貫通孔27に浸入した房水を、より広い範囲にわたって後嚢108bに接触させることにある。すなわち、仮に第2の溝32が形成されていないとすると、貫通孔27に浸入した房水は、貫通孔27の開口部分においてのみ後嚢108bに直接接触することになる。
これに対して、第2の溝32が設けられている場合は、貫通孔27に浸入した房水が第2の溝32にも入り込む。このため、房水が後嚢108bに直接接触する部分は、貫通孔27の開口部分だけでなく第2の溝32の形成部位まで広がる。したがって、光学部22の後面を覆う後嚢108bに対し、より広い範囲にわたって房水を直接接触させることができる。
<本第2実施形態の効果>
本第2実施形態においては、光学部22の外周部22dに貫通孔27を形成するとともに、この貫通孔27に通じる第1の溝31および第2の溝32を形成しているため、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
すなわち、光学部22の外周部22dに第1の溝31を形成すれば、仮に貫通孔27の形成部位に前嚢108aが覆い被さった場合でも、第1の溝31を通して貫通孔27に房水を浸入させることができる。このため、貫通孔27を通して後嚢108bに房水を接触させ、房水による細胞の増殖抑制効果によって後嚢108b側への細胞の回り込みを抑制することができる。
また、第1の溝31を光学部22の円周方向に沿って形成すれば、眼内レンズ21を使用する使用者の視野内に第1の溝31が入り込むリスクを軽減することができる。さらに、第1の溝31を光学部22の全周にわたって連続的に形成すれば、第1の溝31の全ての部分が前嚢108aによって覆われるリスクを軽減することができる。
また、光学部22の外周部22dに第2の溝32を形成すれば、光学部22の後面を覆う後嚢108bに対して、より広範囲に房水を接触させることができる。これにより、房水による細胞の増殖抑制効果を、貫通孔27の開口部分だけでなく第2の溝32の形成部位まで波及させることができる。したがって、後嚢108b側への細胞の回り込みをより効果的に抑制することができる。
また、第2の溝32を光学部22の円周方向に沿って形成すれば、眼内レンズ21を使用する使用者の視野内に第2の溝32が入り込むリスクを軽減することができる。さらに、第2の溝32を光学部22の全周にわたって連続的に形成すれば、第2の溝32に入り込んだ房水が、光学部22の中央部分を環状に取り囲むかたちで後嚢108bに直接接触する状態となる。このため、光学部22の後面側における細胞の回り込みは、光学部22の外周部全周に行き渡る房水によって抑制される。したがって、第2の溝32を細胞増殖抑制用溝として、それより内側(光学部22の中心側)への細胞の伸展を有効に抑制することができる。
<後発白内障抑制効果の実証>
HOYA株式会社製の眼内レンズ(YA−60BB)をベースに、上記第2実施形態のように光学部の外周部に貫通孔と溝を設けた眼内レンズ(以下、「孔あき眼内レンズ」という。)と、貫通孔と溝を設けない眼内レンズ(以下、「孔なし眼内レンズ」という。)とを用意した。孔あき眼内レンズに関しては、貫通孔の直径を0.55mmとし、第1の溝31および第2の溝32の深さを共に0.1mmとした。そして、孔あき眼内レンズと孔なし眼内レンズを、それぞれ白色家兎の眼内に挿入し、術後1週、術後3週、術後5週の各段階で、株式会社ニデック製の前眼部撮影・解析装置(EAS−1000)による徹照像を基に細胞の伸展具合を比較した。その結果を図5および図6に示す。図中の破線は、支持部の根元部付近を囲んだ線である。また、図5(a)は孔なし眼内レンズを挿入した場合の術後1週の徹照像、同図(b)は術後3週の徹照像、同図(c)は術後5週の徹照像をそれぞれ示している。また、図6(a)は孔あき眼内レンズを挿入した場合の術後1週の徹照像、同図(b)は術後3週の徹照像、同図(c)は術後5週の徹照像をそれぞれ示している。
まず、孔なし眼内レンズの場合は、術後1週および術後3週の段階で、それぞれ支持部の根元部から後嚢の中心側への細胞の伸展が見られた。そして術後5週になると、重層化した細胞層が支持部の根元部から後嚢の中央側に形成されていることが認められた。
一方、孔あき眼内レンズの場合は、術後1週、術後3週および術後5週のいずれの段階においても支持部の根元部から後嚢の中心部への細胞伸展は認められなかった。特に術後3週および術後5週では貫通孔の開口部に前嚢が被さってはいたが、貫通孔に通じる溝を形成したことで、房水が溝を通して貫通孔に浸入し、細胞の増殖を抑制したと思われる。
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記各実施形態においては、光学部22と支持部23を異なる材料で構成した眼内レンズ21を例に挙げて説明したが、これに限らず、光学部22と支持部23を同じ材料(たとえば、ソフトアクリル、シリコーン樹脂などの軟質材料)で構成したワンピースタイプの眼内レンズに適用してもよい。また、これ以外にも、支持部23の先端部26のみ硬質材料で構成した眼内レンズや、支持部の根元部の一部を光学部の外周部に埋め込んだ構造の眼内レンズに適用してもよい。
また、上記各実施形態においては、貫通孔27の平面視形状を円形としたが、これに限らず、多角形、楕円形、長円形、スリット形など、任意の形状を適用可能である。
また、上記各実施形態においては、1つの根元部近傍領域29に1つの貫通孔27を形成した例を示したが、これに限らず、1つの根元部近傍領域29に複数の貫通孔27を形成した構成であってもよい。その場合の好ましい1つの形態を図7に示す。図7においては、1つの根元部近傍領域29に2つの貫通孔27a,27bが形成されている。貫通孔27aの位置と貫通孔27bの位置は、光学部22の円周方向にずれている。また、貫通孔27aと貫通孔27bは、根元部24の一端P1と他端P2のほぼ中間部(A−A断面基準線)を挟んで配置されている。このように複数(図例では2つ)の貫通孔27a,27bを形成することにより、各々の貫通孔27a,27bを通して、より広範囲に後嚢108bに房水を接触させることができる。このため、根元部24からの細胞の伸展をより効果的に抑制することが可能となる。なお、1つの根元部近傍領域29に複数の貫通孔27を形成する場合は、各々の貫通孔27を互いに同じ大きさで形成してもよいし、互いに異なる大きさで形成してもよい。
また、貫通孔27の形態として、貫通孔27の側壁面をテーパー形状としてもよい。具体的には、貫通孔27の内径を前側Fsから後ろ側Rsに向かって連続的に大きくしたり、反対に、後ろ側Rsから前側Fsに向かって連続的に大きくしたりして、貫通孔27の側壁面をテーパー形状としてもよい。
また、貫通孔27を段付き構造にしてもよい。具体的には、貫通孔27の中心軸方向(深さ方向)において、一方の貫通孔部分の内径を他方の貫通孔部分の内径よりも大きくすることで、両貫通孔部分の境界を段付きとした構造にしてもよい。
また、貫通孔27の少なくとも一方の開口のエッジ部分を面取り形状にしてもよい。面取り形状とは、角の部分を斜めに落としたり丸めたりした形状をいう。貫通孔27の前側Fsの開口部のエッジ部分を面取り形状とした場合は、貫通孔27に対して房水がより浸入しやすい状況を作り出すことができる。貫通孔27の後ろ側Rsの開口のエッジ部分を面取り形状とした場合は、その面取り形状による開口寸法の拡大により、貫通孔27を通して後嚢が房水に触れる面積をより広く確保することができる。
また、上記第2実施形態においては、第1の溝31および第1の溝31の形態として、光学部22の全周にわたって溝を連続的に形成した例を示したが、これに限らず、いずれか一方の溝、または、両方の溝が、光学部22の円周方向の途中で途切れた構造になっていてもよい。
また、溝の形状に関しても、U字形やV字形など、種々の形状を採用することができ、溝の本数に関しても、1本に限らず、複数本の溝を光学部22の円周方向に平行に形成してもよい。
また、第1の溝31および第2の溝32は、必ずしも両方同時に備えている必要はなく、第1の溝31のみを備えた構成や、第2の溝32のみを備えた構成を採用してもよい。
ところで、上述した貫通孔27と第1の溝31の組合せや、貫通孔27と第2の溝32の組合せは、それぞれ支持部23の形態にかかわらず所定の作用効果を奏するものである。具体的には、眼内レンズの中には、腕状をなす支持部の根元部が幅広ではなく腕部と同等の幅で形成されているもの、あるいは、支持部が腕状ではなく板状に形成されているものなど、種々の形態の支持部を備えたものがある。
これに対して、上記の組合せによる作用効果は、支持部の形態の違いにかかわらず得られるものである。つまり、貫通孔27と第1の溝31の組合せや、貫通孔27と第2の溝32の組合せによる作用効果は、レンズ機能を有する円盤状の光学部を備えた眼内レンズであれば同様に得られるものである。そこで、その作用効果を奏する眼内レンズの態様を、以下に付記する。
(付記1)
レンズ機能を有する円盤状の光学部を備えた眼内レンズであって、
前記光学部の外周部に、貫通孔と、前記貫通孔に通じる溝と、が形成され、
前記溝は、前記光学部の前面および後面のうち少なくとも一方の面に、前記光学部の直径方向と異なる方向に延びて形成されている
眼内レンズ。
(付記2)
前記溝は、前記光学部の円周方向に沿って形成されている
付記1に記載の眼内レンズ。
(付記3)
前記溝は、前記光学部の全周にわたって連続的に形成されている
付記1または2に記載の眼内レンズ。
21…眼内レンズ
22…光学部
23…支持部
24…根元部
27…貫通孔
29…根元部近傍領域
31…第1の溝
32…第2の溝

Claims (8)

  1. レンズ機能を有する円盤状の光学部と、前記光学部の外周縁から腕状に延びる支持部と、から構成される眼内レンズであって、
    前記支持部の根元部が幅広に形成されるとともに、前記根元部の近傍に位置する状態で前記光学部の外周部に貫通孔が形成されている
    眼内レンズ。
  2. 前記貫通孔は、前記光学部の外周部であって、かつ、前記根元部の近傍に位置する根元部近傍領域に、前記貫通孔の全部が収まる状態、または、前記貫通孔の少なくとも一部が重なり合う状態で形成されている
    請求項1に記載の眼内レンズ。
  3. 前記貫通孔は、前記光学部の円周方向において前記根元部の一端と他端を結ぶ仮想円弧線の長さ方向のほぼ中間部に対応する位置に形成されている
    請求項2に記載の眼内レンズ。
  4. 前記根元部近傍領域に前記貫通孔が複数形成されている
    請求項1または2に記載の眼内レンズ。
  5. 前記複数の貫通孔は、各々の貫通孔の位置が前記光学部の円周方向にずれた状態で形成されている
    請求項4に記載の眼内レンズ。
  6. 前記光学部の前面および後面のうち少なくとも一方の面に、前記貫通穴に通じる溝が形成され、
    前記溝は、前記光学部の直径方向と異なる方向に延びて形成されている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の眼内レンズ。
  7. 前記溝は、前記光学部の円周方向に沿って形成されている
    請求項6に記載の眼内レンズ。
  8. 前記溝は、前記光学部の全周にわたって連続的に形成されている
    請求項6または7に記載の眼内レンズ。
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