JP5705529B2 - 嚢内保持具 - Google Patents

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Description

本発明は、眼球の水晶体嚢内に挿入されて用いられる嚢内保持具およびその使用方法に関する。
近年の白内障手術の手法としては、混濁した水晶体を水晶体嚢内から摘出した後、水晶体に替わる眼内レンズを水晶体嚢内へ装着する、というものが広く知られている。
水晶体嚢内へ装着する眼内レンズ(IOL;Intraocular lens)は、一般的に、略円形状をなすレンズ体(光学部)と、そのレンズ体から延びる支持腕部と、から構成されている。このような構成の眼内レンズを水晶体嚢内へ装着する場合は、水晶体赤道線の円形を保持することがレンズ固定の安定化のために重要である。
このことから、水晶体嚢内への眼内レンズの装着にあたっては、嚢内リングと呼ばれるレンズ装着のための補助具(嚢内保持具)を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された嚢内リングは、弾性を有する材料によって円環状に形成されており、その内周側に眼内レンズの支持腕部を嵌め込むための溝部が形成されている。このような構成の嚢内リングを水晶体嚢内に挿入しておけば、水晶体赤道線を略完全に円形保持し得るため、水晶体嚢内への眼内レンズの装着の容易化が図れるようになる。また、嚢内リングにある程度の厚さを持たせることで、水晶体摘出後の水晶体嚢の前嚢と後嚢とが貼り付いて眼内レンズの挿入に支障をきたすというおそれを防止することもできる。
特許第3088806号公報
しかしながら、従来構成による嚢内リングには、緑内障を発症するリスクについて考慮されたものが存在しない。
ここで、緑内障およびその発症要因として考えられる事項について簡単に説明する。
図9は、緑内障の概要についての説明図である。
図9(a)に示すように、眼球1は、常に丸く保たれている。これは、眼球1の中の「房水」と呼ばれる液体によって、略一定の圧力が眼内に発生するからである。そして、その圧力のことを「眼圧」という。
房水は、図9(b)に示すように、毛様体10という部位から分泌され、水晶体8と虹彩6との間を通って前房に至り、線維柱帯18aを経てシュレム管18bから排出され、眼外の血管へ流れていくという定まった経路で循環している。なお、線維柱帯18aを含む房水の流出路の場所のことを隅角18という。
ところで、眼圧は、何らかの理由で眼内における房水の循環が妨げられ、眼外への房水の排出が円滑に行われなくなると、眼内の房水の量が多くなって上昇してしまう。眼圧の上昇は、図9(c)に示すように、視神経15の圧迫を招く。すると、視神経の一部に障害が生じ、脳に情報が送られず視界が欠けて見えてしまう。これが、緑内障である。
このように、緑内障については、眼圧の上昇が発症要因として挙げられる。換言すると、緑内障は、眼圧を下降させることで、発症のリスクが下がることが知られている。また、眼圧を下降させることで、緑内障が進行する可能性を低くすることもできる。
図10は、従来構成の嚢内リングを水晶体嚢内へ挿入した状態の一具体例を示す説明図である。
従来構成の嚢内リング60は、水晶体嚢8a内に挿入したときに、水晶体赤道線8cを中心にして、当該水晶体嚢8aの前嚢側(角膜側)と後嚢側(網膜側)とで対称な形状をしている。そのため、水晶体嚢8a内に挿入した嚢内リング60の前側隅部が、虹彩6にストレスを与えてしまい(図中矢印参照)、水晶体嚢8aと虹彩6との間に十分な隙間を確保できないおそれがある(図中L部参照)。さらには、虹彩6にストレスを与えることによって、隅角18が圧迫されてしまうおそれもある(図中M部参照)。
これらのことは、眼内における房水の循環を妨げる要因、すなわち緑内障の発症要因となり得る。以上のように、従来構成の嚢内リング60は、緑内障を発症するリスクについて考慮されておらず、そのリスクを抑制する策についても全く講じられていない。
この点については、例えば嚢内リング60の厚さ(前嚢側の面と後嚢側の面との距離)を全体的に薄く形成して、当該嚢内リング60の前側隅部が極力虹彩6にストレスを与えないように構成することも考えられる。ところが、嚢内リング60は、水晶体赤道線を円形に保持するという機能の他に、内周側に形成された溝部によって眼内レンズの支持腕部を支持するという機能を有する。つまり、眼内レンズの支持機能を果たすために、溝部は、ある程度の溝幅を必要とする。そのため、嚢内リング60の厚さを全体的に薄くすることには限界があり、現状を超える薄型化は非常に困難である。また、水晶体摘出後の水晶体嚢8aの前嚢と後嚢とが貼り付くことを防止するためにも、嚢内リング60には、ある程度の厚さを持たせることが望ましく、この点においても現状を超える薄型化は非常に困難である。
そこで、本発明は、眼球の水晶体嚢内に挿入して用いることで当該水晶体嚢自体の形状保持や眼内レンズの装着容易化等の各機能を果たしつつ、その場合であっても薄型化を要することなく緑内障の発症リスクを抑制することのできる嚢内保持具およびその使用方法を提供することを、主たる目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
本発明の第1の態様は、眼球の水晶体嚢内に挿入されて当該水晶体嚢の形状を保持する環状の嚢内保持具であって、前記環状の内周には、前記水晶体嚢内に装着される眼内レンズの支持腕部が嵌合される溝部が形成され、前記環状の外周には、外周方向に向けて突出する頂部を有した凸状部が形成され、前記水晶体嚢内に挿入したときに、前記環状の軸方向における前記溝部の中心位置よりも、当該軸方向における前記凸状部の頂部位置が、前記眼球の虹彩の側に位置するように、当該溝部の中心位置と当該凸状部の頂部位置とが当該軸方向にオフセット配置されて構成されていることを特徴とする嚢内保持具である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、前記頂部は、前記水晶体嚢の形状に近似する丸みを帯びた形状に形成されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様のいずれかに記載の発明において、前記溝部の中心位置よりも前記凸状部の頂部位置が配された側の前記環状の内周部分である第1内周部分と、当該第1内周部分と前記溝部を挟んで反対側に位置する前記環状の内周部分である第2内周部分とで、前記第1内周部分の内径に対して前記第2内周部分の内径が小径となる部分を有して構成されていることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、眼球の水晶体嚢内に挿入されて当該水晶体嚢の形状を保持する環状の嚢内保持具であって、前記環状の内周には、前記水晶体嚢内に装着される眼内レンズの支持腕部が嵌合される溝部が形成されており、前記環状の外周には、前記水晶体嚢内に挿入したときに水晶体赤道線の近傍に位置する頂部を有した凸状部が形成されており、前記環状の軸方向における形状は、前記凸状部の頂部を中心にした非対称形状で、当該頂部から前記眼球の虹彩の側に位置する前面までの距離が当該頂部から前記眼球の網膜の側に位置する後面までの距離よりも小さく形成されており、前記水晶体嚢内に挿入したときに、前記前面と前記虹彩との間隔を、前記非対称形状でない場合に比べて大きく確保するように構成されているとともに、前記環状の軸方向における前記溝部の中心位置よりも、当該軸方向における前記凸状部の頂部位置が、前記眼球の虹彩の側に位置するように、当該溝部の中心位置と当該凸状部の頂部位置とが当該軸方向にオフセット配置されて構成されていることを特徴とする嚢内保持具である
本発明によれば、嚢内保持具を水晶体嚢内に挿入した場合に、当該水晶体嚢と虹彩との間に十分な隙間を確保することができるので、眼内における房水の還流が良好となる。したがって、緑内障が発症するリスクを抑制することができる。しかも、嚢内保持具自体の薄型化を要することがないので、水晶体赤道線を円形に保持する機能や眼内レンズの装着を容易化する機能等が阻害されてしまうこともない。
眼球の平面的な断面構造を説明する図である。 眼内レンズの構成例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る嚢内保持具の構成例を示す説明図であり、(a)はその外観斜視図、(b)はその側断面図である。 本発明の一実施形態に係る嚢内保持具の使用方法を示す説明図(その1)であり、当該嚢内保持具の水晶体嚢内への挿入時の状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る嚢内保持具の使用方法を示す説明図(その2)であり、当該嚢内保持具を水晶体嚢内へ挿入した後の状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る嚢内保持具の使用方法を示す説明図(その3)であり、当該嚢内保持具を利用した眼内レンズの装着状態を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る嚢内保持具の外周部分の構成例を示す説明図であり、(a)〜(d)はそれぞれが異なる構成例を示す側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る嚢内保持具の内周部分の構成例を示す説明図であり、(a)および(b)はそれぞれが異なる構成例を示す側断面図である。 緑内障の概要についての説明図である。 従来構成の嚢内リングを水晶体嚢内へ挿入した状態の一具体例を示す説明図である。
以下、図面に基づき本発明に係る嚢内保持具およびその使用方法について説明する。
<1.眼球の構造>
ここで、本発明に係る嚢内保持具およびその使用方法の説明に先立ち、当該嚢内保持具が用いられる眼球の構造について説明する。
(眼球の全体構造)
図1は、眼球の平面的な断面構造を説明する図である。
図例のように、眼球1は、全体に球状をなし、前方の角膜2の部分を除いて強膜3により被覆保護されている。角膜2周囲の強膜3の表面は結膜4で覆われている。角膜2は、眼球保護機能のほかに、外から入ってくる光を屈折させるレンズ機能を果たす。角膜2の内側(裏側)には、房水で満たされた前房5があり、この前房5に面して虹彩6の中央に瞳孔7がある。
虹彩6は、瞳孔7の大きさ(開口の寸法)を調節することにより、眼球1の内部に入射する光の量を調整する機能を果たす。瞳孔7には水晶体8の前面が臨んでいる。水晶体8には、毛様小帯(チン小帯)9を介して毛様体10がつながっている。毛様体10は、水晶体8の厚さを制御してピント合わせを行う筋肉組織である。
水晶体8の裏側には硝子体11がある。硝子体11は、眼球1の内部の大部分を占めている。硝子体11は、ゼリー状の無色透明な組織であり、眼球1の形状と弾性を維持している。また、硝子体11は、水晶体8で屈折された光線を網膜13まで送る働きをする。網膜13は、眼球1の内部で最も内側に位置する膜組織である。網膜13には、瞳孔7を通して眼球1内に入射する光を感じ、その強さ、色、形などを識別する視細胞が存在する。
網膜13の外側には脈絡膜14がある。脈絡膜14は、強膜3の内側(つまり、強膜3と網膜13の間)に位置する膜組織である。脈絡膜14は、血管に富んでおり、眼球1の各組織への血流路として、眼球1内に栄養を与える役目も果たす。さらに、眼球1の後側(裏側)には視神経15がつながっている。視神経15は、網膜13が受けた光刺激を脳に伝える神経である。視神経15がつながる部分には盲点16が存在する。盲点16は、中心窩17から4〜5mmほど離れたところにある。
(水晶体)
水晶体8は、無色透明で凸レンズ形状を有しており、毛様体10と呼ばれる筋肉がつながり、チン小帯9で支えられている。そして、水晶体8は、近くを見るときは毛様体10が収縮しチン小帯9が弛緩することで厚くなる。また、遠くを見るときは逆に毛様体10が弛緩しチン小帯9が引っ張られることで薄くなる。このようにして、水晶体8は、遠近にピントを合わせるようになっている。
(水晶体嚢)
水晶体8の表面は、水晶体嚢と呼ばれる薄い膜で包まれている。水晶体嚢は、弾性に富む膜様の構造物であり、恒常的な圧力下でその性質を維持する。
<2.眼内レンズ>
次いで、眼球の白内障手術で水晶体を摘出したときに装着される眼内レンズについて説明する。眼内レンズは、本発明に係る嚢内保持具を用いて、混濁した水晶体を摘出した後の水晶体嚢内へ当該水晶体に替わって装着されるものである。
図2は、眼内レンズの構成例を示す説明図である。
眼内レンズ20の一例としては、図2(a)に示すように、略円形状をなすレンズ体(光学部)21と、そのレンズ体21の外周部から延びる2本のワイヤ状の支持腕部22と、から構成されたものがある。レンズ体21を形成する材料としては、例えば、硬質の素材であるPMMA(ポリメチルメタクリレート)、または軟質の素材であるアクリル系樹脂やシリコン系樹脂等が用いられる。支持腕部22を形成する材料としては、PP(ポリプロピレン)、ポリイミド、PMMA等が用いられる。
眼内レンズ20の他の例としては、図2(b)に示すように、レンズ体21と支持腕部22とが同一軟質素材であるアクリル系樹脂やシリコン系樹脂等によって一体に構成されたものもある。
また、眼内レンズ20のさらに他の例としては、図2(c)に示すように、支持腕部22が軟質素材によって板状に形成された、いわゆるプレートタイプのものもある。
<3.本発明の一実施形態に係る嚢内保持具およびその使用方法>
次に、本発明の一実施形態に係る嚢内保持具およびその使用方法について、具体的に詳しく説明する。
(嚢内保持具の概要)
ここで説明する嚢内保持具は、白内障手術で水晶体8を摘出した場合において、水晶体嚢内へ眼内レンズ20を装着するための補助具として用いられる。この点については、嚢内リング、レンズ装着用補助具または水晶体嚢構成体等と呼ばれる従来構成の補助具と全く同様である。すなわち、本実施形態で説明する嚢内保持具は、従来構成の補助具と全く同様に、水晶体嚢の形状保持機能および眼内レンズ20の装着容易化機能の各機能を兼ね備えている。さらには、後嚢混濁(PCO)の抑制機能を備えることもできる。
その一方で、本実施形態で説明する嚢内保持具は、従来構成の補助具とは異なり、詳細を後述するように、緑内障の発症リスクの抑制機能という従来にはない新規な機能を備えている。このことから、以下の説明において、本発明に係る嚢内保持具については、従来とは異なる名称である「嚢内ソケット」とも呼ぶ。
(嚢内保持具の構成例)
図3は、本発明の一実施形態に係る嚢内保持具(嚢内ソケット)の構成例を示す説明図である。
図3(a)に示すように、嚢内ソケット30は、環状に形成されている。ここでいう「環状」とは、平面的に輪をつくる形状のことであり、特に円環つくる形状が該当する。
円環の大きさは、特に限定されるものではないが、一般的な水晶体嚢の大きさから決定すればよく、例えば外径8〜12mm、厚さ1〜2mm程度とすることが考えられる。
嚢内ソケット30の形成材料については、水晶体嚢内への挿入および水晶体嚢内での安定した固定のために、弾性を有した材料が用いられる。弾性を有した材料としては、例えばシリコンゴムが挙げられる。ただし、生体適合性や形状安定性等を有し眼科医療用に適したものであれば、特に限定されることはない。すなわち、シリコンゴム以外にも、例えば、合成樹脂としてヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、ビニルアルコール等の吸水性高分子、コラーゲン等の生体高分子、アクリルゴム等のエラストマ、それらの混合物または共重合体等を用いることが考えられる。さらには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等といった医療用材料として用いられる合成樹脂であってもよく、またポリメチルメタクリレート等の硬質合成樹脂であってもよい。
(内周部分の構成)
嚢内ソケット30における環状の内周には、図3(b)に示すように、その全周にわたって、眼内レンズ20の支持腕部22が嵌合される溝部31が形成されている。溝部31は、必ずしも全周にわたって形成されている必要はないが、様々なタイプの眼内レンズ20の装着、様々な手法による眼内レンズ20の装着等に対応にするためには、全周にわたって形成されていることが望ましい。
溝部31の形状は、例えば、眼内レンズ20の支持腕部22が0.1〜0.5mm程度の太さ(厚さ)で形成されている場合であれば、0.5mm程度の形成幅(嚢内ソケット30の環状軸方向における溝幅)A、0.5mm程度の形成深さ(嚢内ソケット30の環状周方向における溝深さ)Bの凹溝状とすることが考えられる。ただし、溝部31は、眼内レンズ20の支持腕部22が嵌合し得るものであれば、その形状や大きさ等が特に限定されるものではない。
溝部31を形成することによって、嚢内ソケット30における環状の内周には、当該溝
部31以外の部分に、第1内周部分32aと第2内周部分32bとが存在することになる。つまり、嚢内ソケット30における環状の内周には、当該環状に軸方向に沿って、溝部31を挟んで第1内周部分32aと第2内周部分32bとが並んで配置される。第1内周部分32aおよび第2内周部分32bの形成厚(嚢内ソケット30の環状軸方向における大きさ)は、例えば、溝部31の形成幅Aが0.5mm程度である場合に、それぞれの形成厚を均等にしつつ、当該溝部31、第1内周部分32aおよび第2内周部分32bを合わせた総厚Cを1.0mm程度とすることが考えられる。ただし、第1内周部分32aおよび第2内周部分32bの形成厚は、眼内レンズ20の支持状態でも溝部31の形状を維持できるものであれば、その大きさが特に限定されるものではない。
ところで、溝部31の形成幅Aについては、眼内レンズ20の支持機能を果たすために、ある程度の大きさを必要とする。また、第1内周部分32aおよび第2内周部分32bの形成厚についても、溝部31の形状を維持するために、ある程度の大きさを必要とする。したがって、これらのことを考慮すると、嚢内ソケット30の厚さ(当該嚢内ソケット30の環状軸方向における総厚C)を全体的に薄くすることには限界があり、現状(従来構成)を超える薄型化は非常に困難である。また、水晶体摘出後の水晶体嚢の前嚢と後嚢とが貼り付くことを防止するためにも、嚢内ソケット30には、ある程度の厚さを持たせることが望ましく、この点においても現状を超える薄型化は非常に困難である。
第1内周部分32aと第2内周部分32bとは、それぞれの内径(嚢内ソケット30の環状周方向における大きさ)を同じとしてもよいが、後述する凸状部33の頂部位置Gが配された側の第1内周部分32aの内径Dに対し、当該第1内周部分32aと溝部31を挟んで反対側に位置する第2内周部分32bの内径Eを小径に構成することが望ましい。その場合に、それぞれにおける内径D,Eは、眼内レンズ20の形状に応じて決定されるものとする。具体的には、例えば、眼内レンズ20のレンズ体21の径が6mm程度である場合には、第1内周部分32aの内径Dを7〜8mm程度とする。第1内周部分32aの側から溝部31内への眼内レンズ20の支持腕部22の嵌合を容易に行えるようにするためである。また、第2内周部分32bの内径Eについては5mm程度とする。第2内周部分32bの側への眼内レンズ20の脱落を未然に防止するためである。なお、第2内周部分32bの内径Eは、第1内周部分32aの内径Dより全体的に(全周にわたって)小径とすることが考えられるが、全体的ではなく部分的に小径となる箇所が存在する構成であってもよい。つまり、第1内周部分32aの内径Dに対して、第2内周部分32bの内径Eが小径となる部分を有して構成されていてもよい。少なくとも小径となる部分が存在していれば、レンズ脱落の未然防止が可能だからである。
(外周部分の構成)
一方、嚢内ソケット30における環状の外周には、図3(b)に示すように、その全周にわたって、外周方向に向けて突出する頂部33aを有した凸状部33が形成されている。凸状部33の頂部33aは、嚢内ソケット30における環状の最外周を構成するもので、当該嚢内ソケット30を水晶体嚢内に挿入したときに水晶体赤道線の近傍に位置することになる。水晶体赤道線とは、水晶体嚢の縁(最外周部分)を通る線状箇所のことをいう。また、水晶体赤道線の近傍とは、当該水晶体赤道線と一致する位置に加えて、当該水晶体赤道線と完全には一致しないが技術常識から判断して当該水晶体赤道線と一致する場合と同等であるとみなせる位置を含むことを意味する。
凸状部33の頂部33aは、水晶体嚢の形状に近似する丸みを帯びた形状に形成されていることが望ましい。嚢内ソケット30の外周形状を水晶体嚢の本来の形状に近似させることで、水晶体嚢が薄い膜であっても、嚢内ソケット30による水晶体嚢の自然な状態保持(形状保持)を可能にするためである。丸みの大きさについては、特に限定されることはなく、一般的な水晶体嚢の形状を考慮して適宜決定すればよい。
(内周部分と外周部分との位置関係)
嚢内ソケット30における環状の内周部分および外周部分は、それぞれが上述した構成を有しているが、それぞれの間には以下に述べる位置関係がある。
嚢内ソケット30は、図3(b)に示すように、その内周に形成された溝部31と、その外周に形成された凸状部33の頂部33aとが、環状軸方向にオフセット配置されている。さらに詳しくは、嚢内ソケット30の環状軸方向における溝部31の中心位置Fと、当該環状軸方向における凸状部33の頂部位置Gとが、当該環状軸方向にオフセット配置されて、嚢内ソケット30が構成されているのである。ここで、溝部31の中心位置Fとは、当該溝部31の形成幅Aにおける中心の位置のことをいう。したがって、溝部31の中心位置Fは、当該溝部31の形状から一意に特定することができる。また、凸状部33の頂部位置Gとは、当該凸状部33が有する頂部33aが配された位置、すなわち環状の最外周を構成する位置のことをいう。したがって、凸状部33の頂部位置Gは、頂部33aが丸みを帯びた形状であれば、線状または点状の位置として、当該凸状部33における頂部33aの形状から一意に特定することができる。
溝部31の中心位置Fと凸状部33の頂部位置Gとのオフセット量Hについては、特に限定されるものではない。例えば、嚢内ソケット30の総厚Cを二分する位置に溝部31の中心位置Fが配されている場合であれば、オフセット量Hの数値範囲は、0より大きく、嚢内ソケット30の総厚Cを二分の一の値以下となる。なお、オフセット量Hについては、凸状部33の形状を形成可能な範囲で極力大きく設定することが望ましい。極力大きく設定すれば、後述する虹彩6との間隔についても大きく確保できるからである。
以上のことからも明らかなように、嚢内ソケット30の環状軸方向における形状は、凸状部33の頂部33aを中心にした非対称形状となっている。そして、頂部33aから図中上方側に位置する嚢内ソケット30の端縁によって構成される仮想面(以下、この仮想面を「前面」という。)Iまでの距離が、当該頂部33aから図中下方側に位置する嚢内ソケット30の端縁によって構成される仮想面(以下、この仮想面を「後面」という。)Jまでの距離よりも小さく形成されているのである。
嚢内ソケット30における前面Iは、詳細を後述するように、当該嚢内ソケット30を眼球の水晶体嚢内に挿入したときに、当該眼球の虹彩の側(角膜の側)に位置する面、すなわち当該水晶体嚢における前嚢側に位置する面である。これに対して、嚢内ソケット30における後面Jは、当該嚢内ソケット30を眼球の水晶体嚢内に挿入したときに、当該眼球の網膜の側に位置する面、すなわち当該水晶体嚢における後嚢側に位置する面である。したがって、嚢内ソケット30は、水晶体赤道線に位置することになる凸状部33の頂部33aを中心にした非対称形状とすることで、水晶体嚢内に挿入したときに前面Iと虹彩との間隔を非対称形状でない場合に比べて大きく確保するように構成されることになる。
(嚢内保持具の使用方法)
次に、以上のように構成された嚢内ソケット30の使用方法を説明する。
図4〜図6は、本発明の一実施形態に係る嚢内保持具の使用方法を示す説明図である。
嚢内ソケット30の使用方法には、大別すると、眼球の水晶体嚢8a内へ挿入するステップと、眼内レンズ20を装着するステップと、がある。
(水晶体嚢内への挿入)
嚢内ソケット30を水晶体嚢8a内へ挿入する場合には、その前提として、混濁した水
晶体(白内障水晶体)が当該水晶体嚢8a内から摘出されているものとする。白内障水晶体の水晶体嚢8a内からの摘出は、図4に示すように、水晶体嚢8aの前嚢に6mm程度の小さな円形開口(CCC:Continuous Curvilinear CapsulorhexisまたはContinuous Circular Capsulorhexis)8bを形成し、超音波乳化吸引術(PEA)を利用して行えばよい。
白内障水晶体の摘出後は、水晶体嚢8aの前嚢に施されたCCC8bから、嚢内ソケット30を当該水晶体嚢8a内へ挿入する。具体的には、先ず、例えば鑷子(セッシ)50を用いて、挿入すべき嚢内ソケット30を摘んで略長円形に撓ませる。そして、撓ませた状態のまま、CCC8bを通して嚢内ソケット30を水晶体嚢8a内へ挿入する。なお、この挿入作業は、セッシ50以外の道具を用いて行ってもよく、例えば市販のソフトレンズ用のインジェクターを用いて行うことも可能である。
水晶体嚢8a内へ挿入される嚢内ソケット30は、上述したように、当該嚢内ソケット30の環状軸方向において、凸状部33の頂部33aを中心にした非対称形状となっている。このことから、水晶体嚢8a内への嚢内ソケット30の挿入は、必ず次に述べる方向性を守って行うものとする。すなわち、嚢内ソケット30の挿入は、当該嚢内ソケット30における溝部31の中心位置Fよりも、当該嚢内ソケット30における凸状部33の頂部位置Gが、眼球の虹彩6の側(水晶体嚢8aの前嚢の側)に位置する状態で行う。
嚢内ソケット30を水晶体嚢8a内へ挿入した後は、当該嚢内ソケット30を撓ませた状態を解除する。すると、図5に示すように、嚢内ソケット30は、自らの弾性によって元の円形に復帰する。これにより、嚢内ソケット30における凸状部33の頂部位置Gは、水晶体嚢8aにおける水晶体赤道線8cの全周に当接することになる。その結果、水晶体嚢8aは、張りが与えられ、水晶体赤道線8cが円形に保たれるとともに、前嚢に形成されたCCC8b等もその形状が維持される。
このとき、非対称形状に形成された嚢内ソケット30は、溝部31の中心位置Fよりも凸状部33の頂部位置Gが虹彩6の側に位置する状態で水晶体嚢8a内に挿入されている。したがって、嚢内ソケット30における前面Iと虹彩6との間は、従来構成のような対象形状であり本実施形態のような非対称形状でない補助具を挿入した場合に比べると、その間隔を十分に大きく確保することができる(図中K部参照)。つまり、従来構成の場合とは異なり、嚢内ソケット30の前面I側の部位が虹彩6にストレスを与えてしまうことがなく、これに伴って遇角18が圧迫されてしまうおそれもなくなる。
また、このとき、嚢内ソケット30における凸状部33の頂部33aが丸みを帯びた形状であれば、その嚢内ソケット30によって形状が保持される水晶体嚢8aは、当該水晶体嚢8aの本来の形状に近似する自然な状態保持(形状保持)がされることになる。
また、嚢内ソケット30の前面Iと虹彩6との間隔を十分に大きく確保できれば、水晶体嚢8aを構成する薄い膜は嚢内ソケット30によって形状が保持されることから、当該水晶体嚢8aにおける前嚢と虹彩6との間についても、その間隔を十分に大きく確保することができる。その結果、眼内では、水晶体嚢8a内に嚢内ソケット30を挿入した状態であっても、房水の循環が妨げられてしまうのを抑制でき、眼外への房水の排出を円滑に行うことができる(図中矢印参照)。
(眼内レンズの装着)
水晶体嚢8a内への嚢内ソケット30の挿入後は、その嚢内ソケット30を利用しつつ、水晶体嚢8a内への眼内レンズ20の装着を行う。眼内レンズ20を装着する際には、先ず、装着すべき眼内レンズ20を、例えばセッシまたはインジェクターを用いて、CC
C8bを通して水晶体嚢8a内へ挿入する。そして、図6に示すように、眼内レンズ20の支持腕部22を、水晶体嚢8a内に挿入されている嚢内ソケット30の溝部31に嵌合させる。
このように、眼内レンズ20は、支持腕部22が嚢内ソケット30の溝部31に嵌合した状態で、水晶体嚢8a内に装着される。したがって、眼内レンズ20は、嚢内ソケット30によって安定して固定され、偏位したり脱落したりすることがない。つまり、嚢内ソケット30の内周に形成された溝部31に眼内レンズ20の支持腕部22を嵌合することによって、水晶体嚢8a内では、当該眼内レンズ20の安定した固定状態が保障される。
このとき、嚢内ソケット30における第1内周部分32aの内径Dに対して第2内周部分32bの内径Eが小径となる部分を有して構成されていれば、眼内レンズ20の装着作業時には、その作業の容易化が図られるとともに、当該眼内レンズ20が脱落してしまうこともない。
ところで、眼内レンズ20は、水晶体嚢8a内に装着されると、原則的にはその後の交換が不要である。ただし、例外的には、眼内レンズ20の交換が必要になる場合があり得る。具体的には、例えば小児向けの白内障手術を行った場合である。ここでいう小児は、未熟児から3歳児程度が対象となる。小児においても先天性白内障や合併症白内障等を発症し得るが、このような白内障は早期なる手術が必要である。しかしながら、小児の眼球については、急速な発育によって、短期間による度数ズレが生じる可能性がある。そのような場合に関しては、手術からある程度の期間が経過した後に、眼内レンズ20の交換手術を行うことで対処することが必要になる。
眼内レンズ20の交換手術を行う際には、先ず、先の白内障手術時に設けられたCCC8bから、既装着の眼内レンズ20をIOLカッター等で切断して、水晶体嚢8a内から摘出する。その後は、新たな眼内レンズ20を、例えばセッシまたはインジェクターを用いて、CCC8bを通して水晶体嚢8a内へ挿入する。そして、挿入した眼内レンズ20の支持腕部22を、水晶体嚢8a内の嚢内ソケット30の溝部31に嵌合させる。
このときに問題となるのが、眼内レンズ20の交換作業時(交換手術時)の困難さである。これは、水晶体嚢8aを構成する薄い膜が眼内レンズ20の表面に固着することで、当該眼内レンズ20の摘出が困難となることに起因する。
この点につき、上述したように、本実施形態では、水晶体嚢8a内に挿入された嚢内ソケット30が、当該水晶体嚢8aの本来の形状を保持する。しかも、嚢内ソケット30には、前面Iと後面Jとの間につき、ある程度の厚さを持たせている。そして、このようなの嚢内ソケット30における溝部31に眼内レンズ20の支持腕部22を嵌合させることで、当該眼内レンズ20の水晶体嚢8a内への装着を行う。したがって、本実施形態で説明した眼内レンズ20の装着構造によれば、水晶体嚢8aを構成する薄い膜が眼内レンズ20の表面に固着するのを防ぐことができる。これにより、眼内レンズ20の交換時には、容易に既装着の古い眼内レンズ20を摘出することが可能となり、また新たな眼内レンズ20についても水晶体嚢8a内への装着が非常に容易となる。
<4.本実施形態における作用効果>
以上に説明したように、本実施形態では、眼内レンズ20の装着にあたり、凸状部33の頂部33a(水晶体赤道線8c)を中心にした非対称形状の嚢内ソケット30、すなわち溝部31の中心位置Fと凸状部33の頂部位置Gとがオフセット配置された嚢内ソケット30を、水晶体嚢8a内に挿入する。したがって、対称形状の従来構成の場合とは異なり、嚢内ソケット30の前面I側の部位が虹彩6にストレスを与えてしまうことがなく、
これに伴って遇角18が圧迫されてしまうおそれもなくなる。その結果、眼内では、水晶体嚢8a内に嚢内ソケット30を挿入した状態であっても、房水の循環が妨げられるのを抑制して眼外への房水の排出を円滑に行えるようになるので、房水の循環が妨げられることによる眼圧の上昇を招いてしまうことがない。つまり、本実施形態によれば、緑内障発症のリスクを抑制する策として、眼内における房水の循環を妨げることのない構成の嚢内ソケット30を採用しているのである。
しかも、本実施形態では、房水の循環を妨げることのない構成として、嚢内ソケット30を非対称形状(オフセット配置)としているので、当該嚢内ソケット30の総厚C(前面Iと後面Jとの間の距離)の薄型化を要することがない。したがって、嚢内ソケット30の全体形状や内周部分の溝部31等の形成を容易に(高コストを要することなく)行うことができる。さらには、嚢内ソケット30が本来的に果たすべき機能である、水晶体嚢8(特に水晶体赤道線8cの部分)の形状保持機能、および、眼内レンズ20の装着容易化機能の各機能についても、薄型化によって阻害されてしまうのを未然に回避することができる。
つまり、本実施形態によれば、眼球の水晶体嚢8a内に挿入して用いることで嚢内ソケット30が本来的に持つ各機能を確実に果たせるようにしつつ、その場合であっても薄型化を要することなく緑内障の発症リスクを抑制できるのである。
また、本実施形態で説明したように、嚢内ソケット30における凸状部33の頂部33aが丸みを帯びた形状であれば、その嚢内ソケット30によって形状が保持される水晶体嚢8aは、当該水晶体嚢8aの本来の形状に近似する自然な状態保持(形状保持)がされることになる。したがって、チン小帯9への負担が軽減されることになり、その結果としてチン小帯9の断裂等による水晶体脱臼を抑制することができる。
また、本実施形態で説明したように、嚢内ソケット30における第1内周部分32aの内径に対して、当該嚢内ソケット30における第2内周部分32bの内径が小径となる部分を有して構成されていれば、眼内レンズ20の装着作業時には、その作業の容易化が図れるとともに、当該眼内レンズ20の脱落を未然に防止することも可能になる。
<5.本発明の他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、凸状部33の頂部33aが丸みを帯びた形状である場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。
図7は、本発明の他の実施形態に係る嚢内保持具(嚢内ソケット)の外周部分の構成例を示す説明図である。
図7(a)に示す嚢内ソケットは、凸状部33の頂部33aを、丸みを帯びた形状ではなく、角部によって構成される形状としたものである。それ以外は、上述した実施形態の場合と全く同様である。このような形状の外周部分であっても、溝部31の中心位置Fと凸状部33の頂部位置Gとが環状軸方向にオフセット配置された非対称形状を備えていれば、その嚢内ソケットは、薄型化を要することなく緑内障の発症リスクを抑制することができる。
図7(b)に示す嚢内ソケットは、凸状部33の頂部33aを角部によって構成した場合において、溝部31の中心位置Fと凸状部33の頂部位置Gとのオフセット量Hを最大限に大きく設定したものである。オフセット量Hを最大限に大きく設定したことにより、
凸状部33の頂部位置Gは、嚢内ソケットにおける前面Iと一致している。このような形状の外周部分であれば、嚢内ソケットを水晶体嚢8a内へ挿入したときに、当該嚢内ソケットにおける前面Iが水晶体赤道線8cに位置することになるので、当該前面Iと虹彩6との間隔を最大限に大きく確保することができる。つまり、眼内での房水の循環の円滑化を図り、緑内障の発症リスクを抑制する上では最も有効である。
図7(c)に示す嚢内ソケットは、凸状部33の頂部33aを、線状または点状ではなく、面状の形状としたものである。このような構成の場合、凸状部33の頂部位置Gは、水晶体赤道線8cと一致する位置であるから、面状の頂部33aの環状軸方向形成幅における中心の位置となる。このような形状の外周部分であっても、溝部31の中心位置Fと凸状部33の頂部位置Gとが環状軸方向にオフセット配置された非対称形状を備えていれば、その嚢内ソケットは、薄型化を要することなく緑内障の発症リスクを抑制することができる。しかも、頂部33aを面状にすることによって、嚢内ソケットの形成加工の容易化(加工コストの抑制)等が期待できる。
図7(d)に示す嚢内ソケットは、凸状部33の頂部33aの全周または一部にわたり溝33aが加工されている。このような構成の場合、凸状部33の頂部位置Gは、水晶体赤道線8cと一致する位置、すなわち溝33aの有無のかかわらず仮想的な頂点の位置となる。このような形状の外周部分であっても、溝部31の中心位置Fと凸状部33の頂部位置Gとが環状軸方向にオフセット配置された非対称形状を備えていれば、その嚢内ソケットは、薄型化を要することなく緑内障の発症リスクを抑制することができる。
また、例えば、上述した実施形態では、溝部31の形状が凹溝状である場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。
図8は、本発明の他の実施形態に係る嚢内保持具(嚢内ソケット)の内周部分の構成例を示す説明図である。
図8(a)に示す嚢内ソケットは、溝部31の溝底部分が平らではなく二つの傾斜面からなる谷状に形成されている。このような構成の場合であっても、溝部31の中心位置Fは、当該溝部31の形成幅Aにおける中心の位置となる。
図8(b)に示す嚢内ソケットは、当該嚢内ソケットの環状軸方向において、溝部31が非対称な形状に形成されている。このような構成の場合、溝部31の中心位置Fは、当該溝部31に嵌合する眼内レンズ20の支持腕部22との関係において特定されることになる。例えば、溝部31の溝底部分の環状軸方向形成幅が支持腕部22の太さに対して同等または大きく形成されている場合は、当該溝底部分の環状軸方向における中心の位置が溝部31の中心位置Fとなる。ただし、支持腕部22の太さのほうが大きい場合には、溝底部分の形成幅にかかわらず、溝内にて支持腕部22の中心が存在するであろう位置が溝部31の中心位置Fとなる。
また、外周部分または内周部分の形状の他についても、本発明は、上述した各実施形態の内容に限定されることはない。特に、上述した実施形態では、発明内容の理解の容易化を図るために、具体的な数値を挙げて説明を行っているが、当該数値は発明を具現化するための一具体例に過ぎず、必要に応じて適宜変更可能であることは勿論である。
1…眼球
8…水晶体
8a…水晶体嚢
8c…水晶体赤道線
20…眼内レンズ
22…支持腕部
30…嚢内ソケット(嚢内保持具)
31…溝部
32a…第1内周部分
32b…第2内周部分
33…凸状部
33a…頂部
F…溝部の中心位置
G…凸状部の頂部位置
H…オフセット量
I…前面
J…後面

Claims (4)

  1. 眼球の水晶体嚢内に挿入されて当該水晶体嚢の形状を保持する環状の嚢内保持具であって、
    前記環状の内周には、前記水晶体嚢内に装着される眼内レンズの支持腕部が嵌合される溝部が形成され、
    前記環状の外周には、外周方向に向けて突出する頂部を有した凸状部が形成され、
    前記水晶体嚢内に挿入したときに、前記環状の軸方向における前記溝部の中心位置よりも、当該軸方向における前記凸状部の頂部位置が、前記眼球の虹彩の側に位置するように、当該溝部の中心位置と当該凸状部の頂部位置とが当該軸方向にオフセット配置されて構成されている
    ことを特徴とする嚢内保持具。
  2. 前記頂部は、前記水晶体嚢の形状に近似する丸みを帯びた形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の嚢内保持具。
  3. 前記溝部の中心位置よりも前記凸状部の頂部位置が配された側の前記環状の内周部分である第1内周部分と、当該第1内周部分と前記溝部を挟んで反対側に位置する前記環状の内周部分である第2内周部分とで、前記第1内周部分の内径に対して前記第2内周部分の内径が小径となる部分を有して構成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の嚢内保持具。
  4. 眼球の水晶体嚢内に挿入されて当該水晶体嚢の形状を保持する環状の嚢内保持具であって、
    前記環状の内周には、前記水晶体嚢内に装着される眼内レンズの支持腕部が嵌合される溝部が形成されており、
    前記環状の外周には、前記水晶体嚢内に挿入したときに水晶体赤道の近傍に位置する頂部を有した凸状部が形成されており、
    前記環状の軸方向における形状は、前記凸状部の頂部を中心にした非対称形状で、当該頂部から前記眼球の虹彩の側に位置する前面までの距離が当該頂部から前記眼球の網膜の側に位置する後面までの距離よりも小さく形成されており、
    前記水晶体嚢内に挿入したときに、前記前面と前記虹彩との間隔を、前記非対称形状でない場合に比べて大きく確保するように構成されているとともに、前記環状の軸方向における前記溝部の中心位置よりも、当該軸方向における前記凸状部の頂部位置が、前記眼球の虹彩の側に位置するように、当該溝部の中心位置と当該凸状部の頂部位置とが当該軸方向にオフセット配置されて構成されている
    ことを特徴とする嚢内保持具。
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