本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電コイル部と給電側共振コンデンサを拡大して示す模式構成図である。図3は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの補助給電コイル部と補助給電側共振コンデンサを拡大して示す模式構成図である。図4は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電コイル、補助給電コイルおよび受電コイルの配置を説明するための図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの受電コイル部と受電側共振コンデンサを拡大して示す模式構成図である。なお、図4においては、説明の便宜上、筐体等の図示を省略した給電コイル、補助給電コイル、受電コイルを図示している。
ワイヤレス電力伝送システム10は、図1に示されるように、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、地上に配設される給電設備に搭載され、ワイヤレス受電装置200は、移動体500に搭載されている。ここで、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体500は、内蔵のバッテリーに蓄えられた電力を利用して推進力を発生させるものであれば特に制限されず、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)などの車両が挙げられる。また、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体500は、電気自動車やハイブリッド自動車だけではなく、工場内で物品等を搬送する走行車や移動ロボットなども挙げられる。さらに、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体500としては、車輪を持たず、外部の駆動手段によって移動するエレベータにおけるエレベータかごなどもあげられる。なお、本実施形態では、ワイヤレス受電装置200を電気自動車に搭載した例を用いて説明する。
ワイヤレス給電装置100は、電源110と、第1インバータ120と、第2インバータ121と、給電コイル部130と、給電側共振コンデンサ133と、補助給電コイル部140と、補助給電側共振コンデンサ143を有する。ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、受電側共振コンデンサ213と、整流部240と、充電部250と、を有する。
電源110は、直流電力を後述する第1インバータ120および第2インバータ121に供給する。電源110としては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、あるいはスイッチングコンバータなどのスイッチング電源装置などが挙げられる。
第1インバータ120および第2インバータは、電源110から供給される直流電力を交流電力に変換する機能を有している。本実施形態では、第1インバータ120は、電源110から供給される直流電力を交流電力に変換し、後述する給電コイル部130に供給し、第2インバータ121は、電源110から供給される直流電力を交流電力に変換し、後述する補助給電コイル部140に供給する。第1インバータ120および第2インバータ121としては、図示しない複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このスイッチング回路を構成するスイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが挙げられる。
給電コイル部130は、第1インバータ120から供給された交流電力を後述する受電コイル部210に給電する機能を有する。この給電コイル部130は、地中あるいは地面近傍に配置される。本実施形態では、給電コイル部130は、図2に示されるように、給電コイル131と、磁性体132と、を有し、絶縁性を有する筺体134によってパッケージングされている。なお、給電コイル部130は、給電コイル131のみから構成されていてもよい。
給電コイル131は、交流電流が流れると第1磁界を発生させる。具体的には、給電コイル131は、第1インバータ120から所定の駆動周波数の交流電圧が供給されると、交流電流が流れて交流磁界(第1磁界)を発生させる。この給電コイル131は、銅やアルミニウムなどの導線を複数撚り合わせたリッツ線を巻回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。なお、給電コイル131の巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。
磁性体132は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体132は、給電コイル131が効率良く磁界を発生するための機能を果たす。なお、給電コイル131を平面コイルで構成する場合、磁性体132は、給電コイル131の後述する受電コイル211と対向する面とは反対側である給電コイル131の背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体132と給電コイル131の間には、絶縁性のシートが設置されていてもよい。一方、給電コイル131をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体132は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体132を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に給電コイル131の導線を巻回するようにしてもよい。本実施形態では、図2に示されるように、平面コイルから構成される給電コイル131と、この給電コイル131の背面側であって、給電コイル131のコイル軸方向と直交する方向に沿って伸びる板状の磁性体132から構成されている。この磁性体132としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
給電側共振コンデンサ133は、給電コイル131と接続されており、給電コイル131とともに給電側LC共振回路を形成している。給電側共振コンデンサ133は、給電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この給電側共振コンデンサ133は、給電コイル131に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、給電側LC共振回路の共振周波数を後述する受電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、図2では、給電側共振コンデンサ133は、給電コイル部130の筐体134から離間して配置されているがこれに限られることなく、給電コイル部130の筐体134の外表面に設置されていてもよく、給電コイル部130の筐体134の内部に収納されていても構わない。
補助給電コイル部140は、第2インバータ121から供給された交流電力を後述する受電コイル部210に給電する機能を有する。本実施形態では、補助給電コイル部140は、図3に示されるように、補助給電コイル141と、磁性体142と、を有し、絶縁性を有する筐体144によってパッケージングされている。なお、補助給電コイル部140は、補助給電コイル141のみから構成されていてもよい。本実施形態では、補助給電コイル部140は、給電コイル部130と同様に、地中あるいは地面近傍に配置されることとなる。
補助給電コイル141は、交流電流が流れると第2磁界を発生させる。具体的には、補助給電コイル141は、第2インバータ121から所定の駆動周波数の交流電圧が供給されると、交流電流が流れて交流磁界(第2磁界)を発生させる。この補助給電コイル141は、銅やアルミニウムなどの導線を複数撚り合わせたリッツ線を巻回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。本実施形態では、補助給電コイル141から発生する第2磁界の強度は、給電コイル131から発生する第1磁界の強度よりも小さくなっている。具体的には、第2インバータ121から補助給電コイル部140に供給される交流電力の交流電流を小さくすることにより、補助給電コイル141から発生する第2磁界の強度が給電コイル131から発生する第1磁界の強度より小さくなるように調整してもよく、補助給電コイル141の巻数を少なくすることにより、補助給電コイル141から発生する第2磁界の強度が給電コイル131から発生する第1磁界の強度よりも小さくなるように調整してもよい。このように、補助給電コイル141から発生する第2磁界の強度が、給電コイル131から発生する第1磁界の強度よりも小さいと、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて後述する充電部250の起動を開始する際に発生する漏洩電磁ノイズが抑制される。したがって、漏洩電磁ノイズによる周囲の電子機器への影響を防止しつつ、充電部250の起動を即座に実行することができる。また、本実施形態では、補助給電コイル141の外形寸法は、給電コイル131の外形寸法よりも小さくなっている。具体的には、本実施形態のように、補助給電コイル141および給電コイル131が平面コイルから構成される場合は、補助給電コイル141を構成する導線の最外周部分により画定される外形面積が、給電コイル131を構成する導線の最外周部分により画定される外形面積より小さくなっている。
給電コイル131および補助給電コイル141は、図4に示されるように、移動体500の進行方向に沿って、手前側から補助給電コイル141、給電コイル131の順で配置されている。つまり、補助給電コイル141は、給電コイル131よりも移動体500の進行方向に沿って手前側に位置することになる。したがって、移動体500が給電エリアに進入した際に、補助給電コイル141が先行して受電コイル211に重なることとなる。ここで、移動体500の進行方向に沿った手前側とは、移動体500の進行に合わせて変化する。具体的には、移動体500が前進してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合は、移動体500の進行方向に沿った手前側とは、移動体500の前方部に近接する側となり、補助給電コイル141は、給電コイル131よりも移動体500の前方部に近接して配置されることとなる。一方、移動体500が後退してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合は、移動体500の進行方向に沿った手前側とは、移動体500の後方部に近接する側となり、補助給電コイル141は、給電コイル131よりも移動体500の後方部に近接して配置されることとなる。なお、本実施形態では、移動体500として電気自動車の例を用いて説明しているが、移動体500がエレベータかごの場合についても同様である。すなわち、エレベータかごが上昇してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合、移動体500の進行方向に沿った手前側とは、エレベータかごの上方部に近接する側となり、エレベータかごが下降してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合、移動体500の進行方向に沿った手前側とは、エレベータかごの下方部となる。さらに、本実施形態では、補助給電コイル141の中心は、給電コイル131の中心から移動体500の進行方向に沿って手前側に伸ばした仮想線上に位置している。またさらには、補助給電コイル141は、平面視した場合、給電コイル131と重ならない範囲で近接して配置されている。なお、補助給電コイル141と給電コイル131の離間距離は、後述する充電部250の起動時間や移動体500の走行速度に基づいて設定されることとなる。
磁性体142は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体142は、補助給電コイル141が効率よく磁界を発生するための機能を果たす。なお、補助給電コイル141を平面コイルで構成する場合、磁性体142は、補助給電コイル141の後述する受電コイル211と対向する面とは反対側である背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体142と補助給電コイル141の間には、絶縁性のシートが設置されていてもよい。一方、補助給電コイル141をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体142は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体142を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に補助給電コイル141の導線を巻回するようにしてもよい。本実施形態では、図3に示されるように、平面コイルから構成される補助給電コイル141と、この補助給電コイル141の背面側であって、補助給電コイル141のコイル軸方向と直交する方向に沿って伸びる板状の磁性体142から構成されている。この磁性体142としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
補助給電側共振コンデンサ143は、補助給電コイル141と接続されており、補助給電コイル141とともに補助給電側LC共振回路を形成している。補助給電側共振コンデンサ143は、補助給電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この補助給電側共振コンデンサ143は、補助給電コイル141に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、補助給電側LC共振回路の共振周波数を後述する受電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、図3では、補助給電側共振コンデンサ143は、補助給電コイル部140の筐体144から離間して配置されているがこれに限られることなく、補助給電コイル部140の筐体144の外表面に設置されていてもよく、補助給電コイル部140の筐体144の内部に収納されていても構わない。
受電コイル部210は、ワイヤレス給電装置100から給電された交流電力を受電する機能を有する。本実施形態では、受電コイル部210は、移動体500の下部に搭載されることとなる。この受電コイル部210は、図5に示されるように、受電コイル211と、磁性体212と、を有し、絶縁性を有する筐体によってパッケージングされている。なお、受電コイル部210は、受電コイル211のみから構成されていてもよい。
受電コイル211は、給電コイル131が発生する第1磁界または補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して、給電コイル131または補助給電コイル141から電力を受電する。具体的には、受電コイル211は、給電コイル131が発生する第1磁界または補助給電コイル141が発生する第2磁界により、電磁誘導作用による起電力が生じ、この起電力に基づく交流電流が流れる。そして、受電コイル211に発生した交流電流は、後述する整流部240に供給される。本実施形態では、受電コイル211は、第1磁界および第2磁界を介して、給電コイル131および補助給電コイル141から電力を受電する。この受電コイル211は、銅やアルミニウムなどの導線を複数撚り合わせたリッツ線を巻き回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。なお、受電コイル211の巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。
磁性体212は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体212は、給電コイル131および補助給電コイル141が発生する交流磁界を効率良く受電コイル211に集中させる機能を果たす。なお、受電コイル211を平面コイルで構成する場合、磁性体212は、受電コイル211の給電コイル131および補助給電コイルと対向する面とは反対側である背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体212と受電コイル211の間には、絶縁性のシートが設置されていてもよい。一方、受電コイル211をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体212は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体212を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に受電コイル211の導線を巻回するようにしてもよい。本実施形態では、図5に示されるように、平面コイルから構成される受電コイル211と、この受電コイル211の背面側であって、受電コイル211のコイル軸方向と直交する方向に沿って伸びる板状の磁性体212から構成されている。この磁性体212としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
受電側共振コンデンサ213は、受電コイル211と接続されており、受電コイル211とともに受電側LC共振回路を形成している。受電側共振コンデンサ213は、受電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この受電側共振コンデンサ213は、受電コイル211に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、受電側LC共振回路の共振周波数を給電側LC共振回路および補助給電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、図5では、受電側共振コンデンサ213は、受電コイル部210の筐体214から離間して配置されているがこれに限られることなく、受電コイル部210の筐体214の外表面に設置されていてもよく、受電コイル部210の筐体214の内部に収納されていても構わない。
整流部240は、受電コイル211が受電した交流電力を直流電力に整流して、後述する充電部250に出力する。整流部240を構成する素子としては、トランジスタやダイオード等の半導体素子が挙げられる。例えば、複数のダイオードがブリッジ接続されたブリッジ型回路と、このブリッジ型回路に並列に接続され、整流された電圧を平滑して直流電圧を生成する平滑コンデンサから構成される。
充電部250は、整流部240により整流された直流電力の電圧を、移動体500に搭載される蓄電部320を充電するための電圧に変換する機能を有する。具体的には、充電部250は、整流部240に接続されており、起動回路251と、電力変換回路252から構成される。これにより、整流部240から直流電力が供給されると、この直流電力を受けて充電部250内部の起動回路251が起動し、供給された直流電力が、起動回路251により充電部250内部の電力変換回路252の起動用の電力に変換されて電力変換回路252に供給される。電力変換回路252は、起動用の電力を受けて起動状態となり、整流部240から供給される直流電圧を蓄電部320への充電電圧に変換して蓄電部320に出力する。すなわち、充電部250は、整流部240から供給される直流電力により、起動回路251、電力変換回路252の順に起動したのち、電力変換回路252による充電動作が開始されることとなる。ここで、起動回路251が消費する電力は、電力変換回路252が蓄電部320の充電動作のために出力する電力に比べて極めて小さいものの、起動回路251に電力が供給されてから起動するまでに時間を要することから、電力変換回路252による充電動作が開始するまでに時間を要し、即座に充電動作が開始できない。本実施形態では、給電コイル131および補助給電コイル141は、移動体500の進行方向に沿って、手前側から補助給電コイル141、給電コイル131の順で配置されていることから、充電部250は、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始することとなる。したがって、充電部250は、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電した電力を受ける際には、既にスタンバイ状態となっている。このように構成される充電部250としては、整流部240から出力される直流電圧および蓄電部320の定格電圧に応じて、昇圧型コンバータ、昇降圧型コンバータ、降圧型コンバータ等の非絶縁型が用いられる。また、充電部250は、トランスを用いる絶縁型であってもよく、複数の素子を用いるインターリーブ型であっても構わない。蓄電部320は、移動体500に搭載されており、繰り返し充電可能な電池であれば特に制限されず、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などが挙げられる。また、蓄電部320は、蓄電量の高い電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double−Layer Capacitor)であってもよく、電力を一時的に蓄え、蓄えられた電力を負荷部に供給することが可能な電力バッファとして機能するものであっても構わない。
このような構成を備えることにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200にワイヤレスにて電力伝送するワイヤレス電力伝送システム10が実現される。
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の給電動作について説明する。
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた移動体500が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する。移動体500が給電エリアに進入すると、先行して補助給電コイル141が受電コイル211と重なる。このとき、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211で受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。充電部250に整流部240から直流電力が供給されると、この電力を受けて充電部250内部の起動回路251が起動し、供給された直流電力が、起動回路251により充電部250内部の電力変換回路252の起動用の電力に変換されて電力変換回路252に供給され、電力変換回路252が起動用の電力を受けて起動状態となる。つまり、充電部250は、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始し、スタンバイ状態に移行する。一方、充電動作が準備されている間も移動体500は進行し続けるため、続いて給電コイル131が、受電コイル211と重なる。このとき、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211が受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。ここで、充電部250は、即座に充電動作が可能なスタンバイ状態に移行しているため、充電部250に供給された直流電圧は、充電部250内部の電力変換回路252によって蓄電部320への充電電圧に変換され、蓄電部320に充電される。このように、給電コイル131からの電力を受電コイル211で受電するときには、補助給電コイル141により給電され受電コイル211で受電した電力で充電部250が起動し、スタンバイ状態になっている。そのため、受電コイル211が給電コイル131から給電される電力を受電した直後から蓄電部320への充電が開始されることとなる。つまり、受電コイル211が給電コイル131から給電される電力を受電してから蓄電部320への充電動作が開始するまでの充電部250の充電動作のレスポンスが向上する。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10は、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200とを有し、ワイヤレス給電装置100は、交流電流が流れると第1磁界を発生する給電コイル131と、交流電流が流れると第2磁界を発生する補助給電コイル141と、を備え、ワイヤレス受電装置200は、第1磁界または第2磁界を介して電力を受電する受電コイル211と、受電コイル211に接続される整流部240と、整流部240に接続され、移動体500に搭載される蓄電部320を充電する充電部250と、を備え、給電コイル131および補助給電コイル141は、移動体500の進行方向に沿って、手前側から補助給電コイル141、給電コイル131の順で配置され、第2磁界の強度は、第1磁界の強度より小さく、充電部250は、第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始している。そのため、補助給電コイル141から給電され、受電コイル211により受電された電力が先行して充電部250に供給されることから、充電部250の起動が開始し、充電部250をスタンバイ状態とすることができる。つまり、充電部250は即座に充電動作が可能となっている。したがって、走行中充電において、充電部250の充電動作のレスポンスを向上させ、効率的な充電動作が可能となる。
また、本発明に係るワイヤレス電力伝送システム10においては、補助給電コイル141の発生する第2磁界の強度は、給電コイル131の発生する第1磁界の強度より小さくなっている。そのため、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて充電部250の起動を開始する際に発生する漏洩電磁ノイズが抑制される。したがって、漏洩電磁ノイズによる周囲の電子機器への影響を防止しつつ、充電部250の起動を即座に実行することができる。
(第2実施形態)
次に、図6〜図8を参照して、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20の構成について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの模式図である。図7は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電コイル、補助給電コイルおよび受電コイルの配置を説明するための図である。図8は、図3で示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの補助給電コイル部と補助給電側共振コンデンサとは別の本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの補助給電コイル部と補助給電側共振コンデンサを拡大して示す模式構成図である。なお、図7においては、説明の便宜上、筐体等の図示を省略した給電コイル、補助給電コイル、受電コイルを図示している。
ワイヤレス電力伝送システム20は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、第1インバータ120と、第2インバータ121と、給電コイル部130と、給電側共振コンデンサ133と、補助給電コイル部140と、補助給電コイル部145と、補助給電側共振コンデンサ143と、補助給電側共振コンデンサ146と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、受電側共振コンデンサ213と、整流部240と、充電部250と、を有する。電源110、第1インバータ120、給電コイル部130、給電側共振コンデンサ133、第2インバータ121、補助給電コイル部140、補助給電側共振コンデンサ143、受電コイル部210、受電側共振コンデンサ213、整流部240と充電部250の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20は、補助給電コイル部145と補助給電側共振コンデンサ146を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1実施形態では、移動体500が前進あるいは後退してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する例を用いて説明したが、本実施形態では、移動体500が前進および後退してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する例について説明する。
補助給電コイル部145は、第2インバータ121から供給された交流電力を受けて第2磁界を発生し、受電コイル部210に給電する機能を有する。補助給電コイル部145の構成は、図8に示されるように、補助給電コイル141と、磁性体142と、を有し、絶縁性を有する筐体144によってパッケージングされている。なお、補助給電コイル部145は、補助給電コイル141のみから構成されていてもよい。本実施形態では、補助給電コイル部145は、給電コイル部130と同様に、地中あるいは地面近傍に配置されることとなる。
補助給電コイル部145の補助給電コイル141は、図7に示されるように、給電コイル131を基準に、移動体500の進行方向に沿って補助給電コイル部140の補助給電コイル141とは反対側に配置されている。したがって、移動体500が前進してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する際は、移動体500の進行方向に沿って、手前側から補助給電コイル部140の補助給電コイル141、給電コイル131の順で位置することとなり、移動体500が後退してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する際は、移動体500の進行方向に沿って、手前側から補助給電コイル部145の補助給電コイル141、給電コイル131の順で位置することとなる。つまり、本実施形態では、移動体500が前進してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入した場合、および、移動体500が後退してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入した場合のいずれにおいても、給電コイル131よりも移動体500の進行方向に沿って手前側に補助給電コイル部140の補助給電コイル141あるいは補助給電コイル部145の補助給電コイル141が位置することとなる。また、補助給電コイル部145の補助給電コイル141の中心は、給電コイル131の中心から移動体500の進行方向に沿って伸ばした仮想線上に位置している。さらに、補助給電コイル部145の補助給電コイル141は、平面視した場合、給電コイル131と重ならない範囲で近接して配置されている。なお、補助給電コイル部145の補助給電コイル141と給電コイル131の離間距離は、充電部250の起動時間や移動体500の走行速度に基づいて設定されることとなる。
補助給電側共振コンデンサ146は、補助給電コイル部145の補助給電コイル141と接続されており、補助給電コイル部145の補助給電コイル141とともに補助給電側LC共振回路を形成している。補助給電側共振コンデンサ146は、補助給電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この補助給電側共振コンデンサ146は、補助給電コイル部145の補助給電コイル141に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、補助給電側LC共振回路の共振周波数を受電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、図8では、補助給電側共振コンデンサ146は、補助給電コイル部145の筐体144から離間して配置されているがこれに限られることなく、補助給電コイル部145の筐体144の外表面に設置されていてもよく、補助給電コイル部145の筐体144の内部に収納されていても構わない。
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20の給電動作について説明する。
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた移動体500が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに前進して進入する。移動体500が給電エリアに進入すると、先行して補助給電コイル部140の補助給電コイル141が受電コイル211と重なる。このとき、補助給電コイル部140の補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211で受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。充電部250に整流部240から直流電力が供給されると、この電力を受けて充電部250内部の起動回路251が起動し、供給された直流電力が、起動回路251により充電部250内部の電力変換回路252の起動用の電力に変換されて電力変換回路252に供給され、電力変換回路252が起動用の電力を受けて起動状態となる。つまり、充電部250は、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、補助給電コイル部140の補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始し、スタンバイ状態に移行する。一方、充電動作が準備されている間も移動体500は進行し続けるため、続いて給電コイル131が、受電コイル211と重なる。このとき、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211が受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。ここで、充電部250は、即座に充電動作が可能なスタンバイ状態に移行しているため、充電部250に供給された直流電圧は、充電部250内部の電力変換回路252によって蓄電部320への充電電圧に変換され、蓄電部320に充電される。このように、給電コイル131からの電力を受電コイル211で受電するときには、補助給電コイル部140の補助給電コイル141により給電され受電コイル211で受電した電力で充電部250の起動が開始し、スタンバイ状態になっている。そのため、受電コイル211が給電コイル131から給電される電力を受電した直後から蓄電部320への充電が開始されることとなる。つまり、受電コイル211が給電コイル131から給電される電力を受電してから蓄電部320への充電動作が開始するまでの充電部250の充電動作のレスポンスが向上する。
続いて、移動体500が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに後退して進入すると、先行して補助給電コイル部145の補助給電コイル141が受電コイル211と重なる。このとき、補助給電コイル部145の補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211で受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。充電部250に整流部240から直流電力が供給されると、この電力を受けて充電部250内部の起動回路251が起動し、供給された直流電力が、起動回路251により充電部250内部の電力変換回路252の起動用の電力に変換されて電力変換回路252に供給され、電力変換回路252が起動用の電力を受けて起動状態となる。つまり、充電部250は、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、補助給電コイル部145の補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始し、スタンバイ状態に移行する。一方、充電動作が準備されている間も移動体500は進行し続けるため、続いて給電コイル131が、受電コイル211と重なる。このとき、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211が受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。ここで、充電部250は、即座に充電動作が可能なスタンバイ状態に移行しているため、充電部250に供給された直流電圧は、充電部250内部の電力変換回路252によって蓄電部320への充電電圧に変換され、蓄電部320に充電される。このように、給電コイル131からの電力を受電コイル211で受電するときには、補助給電コイル部145の補助給電コイル141により給電され受電コイル211で受電した電力で充電部250の起動が開始し、スタンバイ状態になっている。そのため、受電コイル211が給電コイル131から給電される電力を受電した直後から蓄電部320への充電が開始されることとなる。つまり、移動体500が前進および後退のいずれかによってワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入したとしても、受電コイル211が給電コイル131から給電される電力を受電してから蓄電部320への充電動作が開始するまでの充電部250の充電動作のレスポンスが向上する。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20は、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200とを有し、ワイヤレス給電装置100は、交流電流が流れると第1磁界を発生する給電コイル131と、交流電流が流れると第2磁界を発生する補助給電コイル141と、を備え、ワイヤレス受電装置200は、第1磁界または第2磁界を介して電力を受電する受電コイル211と、受電コイル211に接続される整流部240と、整流部240に接続され、移動体500に搭載される蓄電部320を充電する充電部250と、を備え、給電コイル131および補助給電コイル141は、移動体500の進行方向に沿って、手前側から補助給電コイル141、給電コイル131の順で配置され、第2磁界の強度は、第1磁界の強度より小さく、充電部250は、第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始している。そのため、補助給電コイル141から給電され、受電コイル211により受電された電力が先行して充電部250に供給されることから、充電部250の起動が開始し、充電部250をスタンバイ状態とすることができる。つまり、充電部250は即座に充電動作が可能となっている。したがって、走行中充電において、充電部250の充電動作のレスポンスを向上させ、効率的な充電動作が可能となる。
また、本発明に係るワイヤレス電力伝送システム20においては、補助給電コイル141の発生する第2磁界の強度は、給電コイル131の発生する第1磁界の強度より小さくなっている。そのため、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて充電部250の起動を開始する際に発生する漏洩電磁ノイズが抑制される。したがって、漏洩電磁ノイズによる周囲の電子機器への影響を防止しつつ、充電部250の起動を即座に実行することができる。
(第3実施形態)
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム30の構成について説明する。図9は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの模式図である。図10は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの補助受電コイル部と補助受電側共振コンデンサを拡大して示す模式構成図である。図11は、第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電コイル、補助給電コイル、受電コイルおよび補助受電コイルの配置を説明するための図である。なお、図11においては、説明の便宜上、筐体等の図示を省略した給電コイル、補助給電コイル、受電コイル、補助受電コイルを図示している。
ワイヤレス電力伝送システム30は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、第1インバータ120と、第2インバータ121と、給電コイル部130と、給電側共振コンデンサ133と、補助給電コイル部140と、補助給電側共振コンデンサ143と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、受電側共振コンデンサ213と、補助受電コイル部220と、補助受電側共振コンデンサ223と、整流部240と、充電部250と、を有する。電源110、第1インバータ120、第2インバータ121、給電コイル部130、給電側共振コンデンサ133、補助給電コイル部140、補助給電側共振コンデンサ143、受電コイル部210、受電側共振コンデンサ213、整流部240、充電部250の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム30は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10に加えて、補助受電コイル部220と、補助受電側共振コンデンサ223を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
補助受電コイル部220は、受電コイル部210と同様に、ワイヤレス給電装置100から供給された交流電力を受電する機能を有し、受電した交流電力を整流部240に供給する。この補助受電コイル部220は、図10に示されるように、補助受電コイル221と、磁性体222と、を有し、絶縁性を有する筐体224によってパッケージングされている。なお、補助受電コイル部220は、補助受電コイル221のみから構成されていてもよい。本実施形態では、補助受電コイル部220は、受電コイル部210と同様に、移動体500の下部に搭載されることとなる。具体的には、図9に示されるように、補助受電コイル部220は、移動体500の進行方向において、受電コイル部210よりも移動体500の前側下部に配置されている。
補助受電コイル221は、整流部240に接続されており、給電コイル131が発生する第1磁界または補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して交流電力を受電する。具体的には、給電コイル131が発生する第1磁界または補助給電コイル141が発生する第2磁界により、電磁誘導作用による起電力が生じ、この起電力に基づく交流電流が流れる。そして、補助受電コイル221に発生した交流電流は、整流部240に供給される。この補助受電コイル221は、銅やアルミニウムなどの導線を複数撚り合わせたリッツ線を巻回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。補助受電コイル221の単位時間当たりに受電する電力量は、受電コイル211の単位時間当たりに受電する電力量よりも小さくなっている。本実施形態では、補助受電コイル221の外形寸法が受電コイル211の外形寸法より小さくなっており、これにより受電する電力量を調整している。具体的には、本実施形態のように、補助受電コイル221および受電コイル211が平面コイルから構成される場合、補助受電コイル221を構成する導線の最外周部分により画定される外形面積が、受電コイル211を構成する導線の最外周部分により画定される外形面積より小さくなっている。なお、補助受電コイル221の巻数は、受電する電力量に基づいて適宜設定され、受電コイル211の巻数よりも少なくても構わない。
受電コイル211および補助受電コイル221は、図11に示されるように、移動体500の進行方向に沿って、進行方向前側から補助受電コイル221、受電コイル211の順で配置されている。つまり、補助受電コイル221は、受電コイル211よりも移動体500の進行方向前側に位置することとなる。ここで、移動体500の進行方向前側とは、移動体500の進行に合わせて変化する。具体的には、移動体500が前進してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合は、移動体500の進行方向前側は移動体500の前方部となり、補助受電コイル221は、受電コイル211よりも移動体500の前方下部に配置されることとなる。一方、移動体500が後退してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合は、移動体500の進行方向前側は移動体500の後方部となり、補助受電コイル221は、受電コイル211よりも移動体500の後方下部に配置されることとなる。なお、本実施形態では、移動体500として電気自動車の例を用いて説明しているが、移動体500がエレベータかごの場合についても同様である。すなわち、エレベータかごが上昇してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合、エレベータかごの進行方向前側は上方部となり、エレベータかごが下降してワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する場合、エレベータかごの進行方向前側は下方部となる。また、補助受電コイル221の中心は、受電コイル211の中心から移動体500の進行方向における前方側に伸ばした仮想線上に位置している。さらに、補助受電コイル221は、平面視した場合、受電コイル211と重ならないように配置されている。なお、補助受電コイル221と受電コイル211の離間距離は、充電部250の起動時間や移動体500の走行速度に基づいて設定されることとなる。
磁性体222は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体222は、補助給電コイル141が発生する磁界を効率良く補助受電コイル221に集中させる機能を果たす。なお、補助受電コイル221を平面コイルで構成する場合、磁性体222は、補助受電コイル221の給電側のコイルと対向する面とは反対側である背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体222と補助受電コイル221の間には、絶縁性のシートが設置されていてもよい。一方、補助受電コイル221をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体222は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体222を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に補助受電コイル221の導線を巻回するようにしてもよい。本実施形態では、図10に示されるように、平面コイルから構成される補助受電コイル221と、この補助受電コイル221の背面側であって、補助受電コイル221のコイル軸方向と直交する方向に沿って伸びる板状の磁性体222から構成されている。この磁性体222としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
補助受電側共振コンデンサ223は、補助受電コイル221と接続されており、補助受電コイル221とともに補助受電側LC共振回路を形成している。補助受電側共振コンデンサ223は、補助受電側LC共振回路の共振周波数を、補助給電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しくなるように調整する機能を有する。この補助受電側共振コンデンサ223は、補助受電コイル221に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。なお、補助受電側LC共振回路を形成しなくても、補助受電コイル221のみで受電した電力で、充電部250を起動する電力が確保できるのであれば、補助受電側LC共振回路を形成する必要はなく、補助受電側共振コンデンサ223は不要となる。なお、図10では、補助受電側共振コンデンサ223は、補助受電コイル部220の筐体224から離間して配置されているがこれに限られることなく、補助受電コイル部220の筐体224の外表面に設置されていてもよく、補助受電コイル部220の筐体224の内部に収納されていても構わない。
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム30の給電動作について説明する。
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた移動体500が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する。移動体500が給電エリアに進入すると、先行して補助受電コイル221が補助給電コイル141と重なる。このとき、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して補助受電コイル221に電力が給電される。補助受電コイル221で受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。充電部250に整流部240から直流電力が供給されると、この電力を受けて充電部250内部の起動回路251が起動し、供給された直流電力が、起動回路251により充電部250内部の電力変換回路252の起動用の電力に変換されて電力変換回路252に供給され、電力変換回路252が起動用の電力を受けて起動状態となる。つまり、充電部250は、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始し、スタンバイ状態に移行する。さらに、移動体500が進行し続けると、補助受電コイル221は給電コイル131と重なる。このとき、給電コイル131が発生する第1磁界を介して補助受電コイル221に電力が給電される。補助受電コイル221で受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。このとき、充電部250は、補助受電コイル221で受電した電力で既に起動が開始しているため、充電部250の起動が維持されつつ、充電部250の起動の維持に使われる電力をこえた電力は蓄電部320に充電される。さらに、移動体500が進行し続けると、続いて受電コイル211が補助給電コイル141と重なる。このとき、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211で受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。充電部250は、補助受電コイル221で受電した電力で既に起動が開始しているため、充電部250の起動が維持されつつ、充電部250の起動の維持に使われる電力をこえた電力は蓄電部320に充電される。さらに、移動体500が進行し続けると、続いて受電コイル211が、給電コイル131と重なる。このとき、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211が受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。ここで、充電部250は、すでに起動が開始しているため、充電部250に供給された直流電圧は、即座に充電部250内部の電力変換回路252によって蓄電部320への充電電圧に変換され、蓄電部320に充電される。このように、給電コイル131からの電力を受電コイル211で受電するときには、補助受電コイル221が補助給電コイル141より受電した受電電力で充電部250が起動し、スタンバイ状態になっているとともに、補助受電コイル221が給電コイル131より受電した電力ならびに受電コイル211が補助給電コイル141より受電した電力で充電部250の起動が維持されている。そのため、受電コイル211が電力を受電した直後から蓄電部320への充電が開始されることとなる。つまり、受電コイル211が電力を受電してから蓄電部320への充電動作が開始するまでの充電部250の充電動作のレスポンスが向上する。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム30は、ワイヤレス受電装置200が、補助受電コイル221をさらに備え、整流部240は、補助受電コイル221と接続され、受電コイル211および補助受電コイル221は、移動体500の進行方向前側から補助受電コイル221、受電コイル211の順で配置され、補助受電コイル221は、第1磁界または第2磁界を介して電力を受電している。そのため、補助給電コイル141から給電される電力が、受電コイル211により受電する前に、補助受電コイル221により受電して充電部250に供給されることから、充電部250の起動をより早めることが可能となる。したがって、給電コイル141から給電された電力を受電コイル211で受電するときには、確実に充電部250をスタンバイ状態とすることができる。
(第4実施形態)
次に、図12を参照して、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム40の構成について説明する。図12は、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの模式図である。
ワイヤレス電力伝送システム40は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、第1インバータ120と、第2インバータ121と、給電コイル部130と、給電側共振コンデンサ133と、補助給電コイル部140と、補助給電側共振コンデンサ143と、第1検知部151と、切換部160と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、受電側共振コンデンサ213と、整流部240と、充電部250と、を有する。電源110、第1インバータ120、第2インバータ121、給電コイル部130、給電側共振コンデンサ133、補助給電コイル部140、補助給電側共振コンデンサ143、受電コイル部210、受電側共振コンデンサ213、整流部240と充電部250の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム40は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10に加えて、第1検知部151と、切換部160を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1検知部151は、第1インバータ120と給電コイル131との間に設けられ、給電コイル131を流れる電流を検知する機能を有する。すなわち、給電コイル131に受電コイル211が重なって、受電コイル211による電力の受電が開始されたことを、給電コイル131に流れる電流を検知して認識するものである。この第1検知部151には、閾値が設定されており、第1検知部151で検知した電流の値が閾値を超えたとき、出力信号を後述する切換部160に出力する。なお、閾値は、給電コイル131から受電コイル211に電力伝送され、受電コイル211が電力を受電するときに給電コイル131を流れる電流の最小の値が設定される。この第1検知部151は、電流センサやカレントトランスから構成される。
切換部160は、第2インバータ121と補助給電コイル141との間に設けられ、第1検知部151よりの出力信号を受け取ったときに、第2インバータ121と補助給電コイル141との間の接続状態を切換える。具体的には、切換部160は、給電コイル131を流れる電流が閾値を超えない状態では、第1検知部151からの出力信号が入力されないため、第2インバータ121と補助給電コイル141との接続状態を維持し、給電コイル131を流れる電流が閾値を超えたときには、第1検知部151からの出力信号が入力され、第2インバータ121と補助給電コイル141との接続を遮断する。すなわち、切換部160は、第1検知部151により検知された電流が閾値を超えたとき、第2インバータ121と補助給電コイル141との間の接続を遮断することとなる。ここで、第2インバータ121と補助給電コイル141との間の接続とは、電気的な接続のことを意味する。この切換部160としては、半導体スイッチやリレーが用いられる。
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム40の給電動作について説明する。
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた移動体500が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する。移動体500が給電エリアに進入すると、先行して補助給電コイル141が受電コイル211と重なる。このとき、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211で受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。充電部250に整流部240から直流電力が供給されると、この電力を受けて充電部250内部の起動回路251が起動し、供給された直流電力が、起動回路251により充電部250内部の電力変換回路252の起動用の電力に変換されて電力変換回路252に供給され、電力変換回路252が起動用の電力を受けて起動状態となる。つまり、充電部250は、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電した電力を受ける前に、補助給電コイル141が発生する第2磁界を介して受電した電力を受けて起動を開始し、スタンバイ状態に移行する。一方、充電動作が準備されている間も移動体500は進行し続けるため、続いて給電コイル131が、受電コイル211と重なる。このとき、給電コイル131が発生する第1磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211が受電した電力は、整流部240によって整流され、整流部240から出力された直流電力は、充電部250に供給される。ここで、充電部250は、即座に充電動作が可能なスタンバイ状態に移行しているため、充電部250に供給された直流電圧は、充電部250内部の電力変換回路252によって蓄電部320への充電電圧に変換され、蓄電部320に充電される。このように、給電コイル131からの電力を受電コイル211で受電するときには、補助給電コイル141により給電され受電コイル211で受電した電力で充電部250が起動し、スタンバイ状態になっている。そのため、受電コイル211が給電コイル131から給電される電力を受電した直後から蓄電部320への充電が開始されることとなる。本実施形態では、給電コイル131からの電力を受電コイル211で受電開始すると、第1検知部151で検知される電流が閾値を超える。第1検知部151で検知された電流が閾値を超えると、第1検知部151より出力信号が切換部160に出力される。切換部160が第1検知部151からの出力信号を受け取ると、切換部160によって第2インバータ121と補助給電コイル141との間の接続が遮断され、補助給電コイル141からの給電が停止される。つまり、補助給電コイル141での電力消費は発生しないこととなる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム40は、ワイヤレス給電装置100が、給電コイル131に接続され、給電コイル131に電力を供給する第1インバータ120と、補助給電コイル141に接続され、補助給電コイル141に電力を供給する第2インバータ121と、給電コイル131を流れる電流を検知する第1検知部151と、第2インバータ121と補助給電コイル141との間の接続状態を切り換える切換部160と、を備え、切換部160は、給電コイル131を流れる電流が閾値を超えたときに、第2インバータ121と補助給電コイル141との接続を遮断している。そのため、受電コイル211が給電コイル131からの電力を受電開始したときには、補助給電コイル141からの給電が停止される。したがって、受電コイル211が給電コイル131からの電力を受電中に補助給電コイル141が動作しないため、無駄な電力消費を抑制することができる。
(第5実施形態)
次に、図13〜図16を参照して、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム50の構成について説明する。図13は、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの模式図である。図14は、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの補助給電コイル部と補助給電側共振コンデンサを拡大して示す模式構成図である。図15aは、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいて、移動体が給電エリアに進入する前の状態を示す図である。図15bは、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいて、移動体が給電エリアに進入を開始した状態を示す図である。図15cは、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいて、受電コイルが補助給電コイルに重なり始めた状態を示す図である。図15dは、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいて、給電コイルを給電に適した位置に移動させる前の状態を示す図である。図15eは、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいて、給電コイルを給電に適した位置に移動させた状態を示す図である。図15fは、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいて、受電コイルが給電コイルに重なり始めた状態を示す図である。なお、図15a〜図15fにおいては、説明の便宜上、筐体等の図示を省略した給電コイル、第1〜第3補助給電コイル、受電コイルを図示している。
ワイヤレス電力伝送システム50は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、第1インバータ120と、第2インバータ121と、給電コイル部130と、給電側共振コンデンサ133と、補助給電コイル部190と、補助給電側共振コンデンサ193と、動作部181と、第2検知部152を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、受電側共振コンデンサ213と、整流部240と、充電部250と、を有する。電源110、第1インバータ120、第2インバータ121、給電コイル部130、給電側共振コンデンサ133、受電コイル部210、受電側共振コンデンサ213、整流部240と充電部250の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム50は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の補助給電コイル部140と補助給電側共振コンデンサ143に代えて、補助給電コイル部190と補助給電側共振コンデンサ193と、を備え、またさらに、動作部181と、第2検知部152を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
補助給電コイル部190は、第2インバータ121から供給された交流電力を受電コイル部210に給電する機能を有する。本実施形態では、補助給電コイル部190は、図14に示されるように、補助給電コイル191と、磁性体192と、を有し、絶縁性を有する筐体194によってパッケージングされている。なお、補助給電コイル部190は、補助給電コイル191のみから構成されていてもよい。本実施形態では、補助給電コイル部190は、給電コイル部130と同様に、地中あるいは地面近傍に配置されることとなる。
給電コイル131および補助給電コイル191は、図15aに示されるように、移動体500の進行方向に沿って、手前側から補助給電コイル191、給電コイル131の順で配置されている。つまり、補助給電コイル191は、給電コイル131よりも移動体500の進行方向に沿って手前側に位置することになる。したがって、移動体500が給電エリアに進入した際に、補助給電コイル191が先行して受電コイル211に重なることとなる。補助給電コイル191は、複数のコイルから構成され、本実施形態では、第1補助給電コイル191a、第2補助給電コイル191b、第3補助給電コイル191cの3つのコイルから構成されている。第1〜第3補助給電コイル191a〜191cは、地中あるいは地面近傍において、互いに重なり合わないように位置している。具体的には、第2補助給電コイル191bの中心は、給電コイル131の中心から移動体500の進行方向に沿って手前側に伸ばした仮想線上に位置し、第1および第3補助給電コイル191a,191cは、給電コイル131の中心から移動体500の進行方向に沿って手前側に伸ばした仮想線に対して線対称になるように位置している。またさらには、第1〜第3補助給電コイル191a〜191cは、第1〜第3補助給電コイル191a〜191cの中心同士を結ぶ仮想線が移動体500の進行方向と直交する方向に平行となるように位置している。すなわち、第1〜第3補助給電コイル191a〜191cは、移動体500の進行方向と直交する方向に並置されている。ここで、本実施形態では、第1〜第3補助給電コイル191a〜191cは、それぞれ補助給電側共振コンデンサ193と接続され補助給電側LC共振回路を形成している。なお、図14では、3つの補助給電側共振コンデンサ193は、それぞれ補助給電コイル部190の筐体194から離間して配置されているがこれに限られることなく、補助給電コイル部190の筐体194の外表面に設置されていてもよく、補助給電コイル部190の筐体194の内部に収納されていても構わない。また、第1〜第3補助給電コイル191a〜191cは、磁性体192とともに1つの筐体194にパッケージングされているがこれに限られることなく、第1〜第3補助給電コイル191a〜191cが別々の筐体にそれぞれのコイルに対応する磁性体とともにパッケージングされていてもよい。
第2検知部152は、第2インバータ121と補助給電コイル191との間に設けられ、補助給電コイル191を流れる電流を検知する。すなわち、受電コイル211への給電電力を、補助給電コイル191を流れる電流を検知して認識するものである。ここで、補助給電コイル191からの電力を受電コイル211で受電する際の電力伝送効率が良い場合、つまり、補助給電コイル191の位置が、受電コイル211への給電に適した位置の場合、補助給電コイル191を流れる電流が小さくなる。一方、電力伝送効率が悪い場合、つまり、補助給電コイル191の位置が、受電コイル211への給電に適した位置ではない場合、補助給電コイル191を流れる電流が大きくなる。この第2検知部152は、電流を検知したとき、検知した電流の値を後述する動作部181に出力する。なお、第2検知部152は、電流センサやカレントトランスから構成される。
動作部181は、給電コイル131を移動体500の進行方向と交差する方向に移動させる機能を有する。動作部181は、図13に示されるように給電コイル部130を動作部181上面に搭載し、地中あるいは地面近傍を、第2検知部152からの電流の値に基づいて、給電コイル部130を介して、給電コイル131を移動させることができる。具体的には、動作部181は、第2検知部152と接続され、第2検知部152で検知した第1〜第3補助給電コイル191a〜191cを流れる電流のうち、電流の値が最も小さい補助給電コイルの位置に給電コイル131を移動させる。すなわち、移動体500の進行に伴って、複数の補助給電コイル191を流れる電流の値に変化が生じたときに、電流の値に変化が生じた補助給電コイル191のうち、第2検知部152で検知される電流の値が最も小さい補助給電コイル191の位置が最も電力伝送効率の良い位置であるため、この位置に給電コイル131を移動させることで、給電コイル131を給電に適した位置に配置させることが可能となる。この動作部181としては、単軸ロボット、直動アクチュエータ、あるいは、ボールねじとサーボモータで構成されるサーボステージなど、サーボ制御できるものであってもよい。
続いて、図15を参照して、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム50の給電コイル部130の位置合わせ動作について説明する。
まず、図15aに示すとおり、ワイヤレス受電装置200を備えた移動体500が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する前の状態から、給電エリアの第1〜第3補助給電コイル191a〜191cが配置されている側に向かって進行すると、図15bに示すとおり、先行して、第1補助給電コイル191aが、受電コイル211と重なる。このとき、第1補助給電コイル191aが発生する第2磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211で受電が始まると、第1補助給電コイル191aを流れる電流が変化する。第2検知部152は、第1〜第3補助給電コイル191a〜191cを流れる電流を検知しており、第1補助給電コイル191aを流れる電流の値を動作部181に通知する。動作部181は、第2検知部152からの通知を受けて、電流の値が変化したのは第1補助給電コイル191aであることを認識する。移動体500が進行すると、図15cに示すとおり、第1補助給電コイル191aと受電コイル211の重なる範囲が拡大するとともに、第2補助給電コイル191bが受電コイル211に重なり始める。このとき、第1補助給電コイル191aから受電コイル211への電力伝送が継続しつつ、新たに第2補助給電コイル191bが発生する第2磁界を介して受電コイル211に電力が給電される。受電コイル211で、第2補助給電コイル191bから給電された電力の受電が始まると、第2補助給電コイル191bを流れる電流が変化する。第2検知部152は、第2補助給電コイル191bを流れる電流を検知し、電流の値を動作部181に通知する。移動体500の進行に伴い、第2検知部152で検知する第1補助給電コイル191aの電流の値および第2補助給電コイル191bの電流の値が次第に減少していくが、さらに移動体500が進行し、受電コイル211の中心位置が第1〜第3補助給電コイル191a〜191cの中心位置(補助給電コイル191の中心位置)を超えると、今度は電流の値は増加に転じる。ここで、図15dに示すとおり、受電コイル211が第2補助給電コイル191bよりも第1補助給電コイル191aの中心近傍を通過することから、電流の値が減少から増加に転じる際に第1補助給電コイル191aを流れる電流が第2補助給電コイル191bを流れる電流より小さくなる。これにより、動作部181は、検知された電流の値が最も小さかった補助給電コイル191が第1補助給電コイル191aであることを認識し、図15eに示すとおり、給電コイル131を第1補助給電コイル191aの移動体500の進行方向と直交する方向の位置に移動させる。つまり、この位置が、給電コイル131が受電コイル211に給電するために適した位置であるため、給電コイル131が給電した電力を受電コイル211が受電する前に、給電コイル131を給電に適した位置に移動させることができる。そして、図15fに示す、受電コイル211が給電コイル131に重なり、給電コイル131から給電された電力を受電コイル211が受電開始するときには、給電コイル131は給電に適した位置に移動されている。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム40は、ワイヤレス給電装置100が、補助給電コイル191を流れる電流を検知する第2検知部152と、給電コイル131を移動体500の進行方向と交差する方向に移動させる動作部181を、備え、補助給電コイル191は、複数のコイルを含み、動作部181は、第2検知部152により検知した複数のコイルそれぞれを流れる電流に基づき、給電コイル131を移動させている。そのため、給電コイル131が給電した電力を受電コイル211が受電する前に、給電コイル131を給電に適した位置に移動させることが可能となる。したがって、電力伝送効率を向上させることができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明したが、本発明は上述の実施形態に限られることなく、様々な変形や変更が可能である。上述の実施形態では、第2〜第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20〜50における特徴的構成ならびに機能を、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10に適用した例を用いて説明したがこれに限られることなく、他の実施形態に組み合わせても構わない。