JP2017145297A - 熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(is)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜の製造方法 - Google Patents

熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(is)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜に関し、SO2透過抑制能とH+輸率に優れるものを提供する。【解決手段】特定のスチレン誘導体や特定のスルホン酸基を形成するための化合物に、特定の多官能性化合物を組み合せて、高分子膜基材に対して放射線グラフト重合することにより、優れたカチオン交換膜を効率良く製造する。アノード及びカソード、ヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液を前記アノードと接触させて収容するアノード室及びヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液を前記カソードと接触させて収容するカソード室、並びに前記アノード室と前記カソード室を隔てるカチオン交換膜を備える、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器であって、前記カチオン交換膜を用いたブンゼン反応器。【選択図】図4

Description

本発明は、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜の製造方法に関する。
水素は、燃焼しても地球温暖化を招く二酸化炭素を発生しないため、環境に優しい将来エネルギー源として期待されている。近年、水素を製造する手法として、高温の熱源により水を分解する、熱化学水素製造プロセスが開発されており、その中でゼネラルアトミック(General Atomic)社によって提案されたヨウ素−硫黄(IS)プロセスは、次のような反応で水から水素と酸素を製造する。
+SO+2HO→2HI+HSO (1)
2HI→I+H (2)
SO→SO+0.5O+HO (3)
そして、反応(1)をブンゼン反応と呼ぶ。ブンゼン反応後の反応(2)と反応(3)によって、それぞれ水素と酸素を生成すると同時に、ヨウ素(I)と二酸化硫黄(SO)を触媒として循環するため、HIとHSOという2種の酸を分離しなければならない。現状、密度差による液−液分離操作が用いられ、これには生成水素の1000倍の物質量に相当するIを添加している。この状況では、ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの工業的実現、産業化に必要な効率向上は決して見込めない問題がある。
そこで、電気化学的にブンゼン反応を起こす、即ち、HIをカソード上、HSOをアノード上で生成する膜ブンゼン反応が土器屋らにより考案されている(非特許文献1)。膜ブンゼン反応では、カソード、アノードを含む反応液が隔膜で予め仕切られているため、HIとHSOの分離操作に不可欠なI添加が不要であり、カソード反応液中のI濃度を5mol/kg−HO以下にまで低減することができる。隔膜としては、反応原理上、プロトン(H)を透過するカチオン交換膜を利用する必要があり、デュポン社により製造されているナフィオン(登録商標)の使用例がある(非特許文献2)。ナフィオン(登録商標)を用いた場合、高濃度HSOとの接触に伴うH伝導性の低下によって、電極間に印加する電圧(以下、過電圧と呼ぶ)が上昇するという問題が指摘されている。
また、本発明者らは、フッ素系高分子からなる高分子フィルム基材に一官能性モノマーとしてスチレン誘導体を放射線グラフト重合することによりカチオン交換膜を作製し、ナフィオン(登録商標)に代わる隔膜としての利用を検討している(非特許文献3)。
M. Dokiya et al., Int. J. Hydrogen Energy, 4, 267-277 (1979) M. Nomura et al., AIChE J., 1991-1998 (2004) N. Tanaka et al., Proceedings of 2008 AIChE Annual Meeting (CD-ROM) (2008)
本発明は、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜を製造することができる新規なカチオン交換膜の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スルホン酸基を形成するための特定の化合物に、特定の多官能性化合物を組み合せて高分子膜基材に対して放射線グラフト重合することにより、優れたカチオン交換膜を効率良く製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜の製造方法であって、
下記式(a−1)で表されるスチレン誘導体及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する重合工程、並びに前記スチレン誘導体に由来する芳香族環にスルホン酸基を導入するスルホン化工程を含むことを特徴とする、カチオン交換膜の製造方法。
Figure 2017145297

(式(a−1)中、Xはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はニトロ基を、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは0〜4の整数を表す。)
Figure 2017145297

(式(b−1)〜(b−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
<2> 熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜の製造方法であって、
下記式(a−2)で表されるスルホニル化合物及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する重合工程
を含むことを特徴とする、カチオン交換膜の製造方法。
Figure 2017145297

(式(a−2)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、又は単結合を、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)
Figure 2017145297

(式(b−1)〜(b−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
<3> 前記高分子膜基材が、フッ素系高分子、脂肪族炭化水素系高分子、及び芳香族炭化水素系高分子からなる群より選択される少なくとも1種の高分子からなる、<1>又は<2>に記載のカチオン交換膜の製造方法。
<4> 熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜であって、
下記式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造を含む側鎖及び下記式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造を含む側鎖を有する高分子を含む高分子膜であることを特徴とする、カチオン交換膜。
Figure 2017145297

(式(A−1)及び(A−2)中、Xはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はニトロ基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、又は単結合を、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは0〜4の整数を表す。)
Figure 2017145297

(式(B−1)〜(B−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
<5> 前記高分子が、フッ素系高分子、脂肪族炭化水素系高分子、又は芳香族炭化水素系高分子を主鎖をとする高分子である、<4>に記載のカチオン交換膜。
<6> イオン交換容量が、0.1〜3.5mmol/gである、<4>又は<5>に記載のカチオン交換膜。
<7> 室温下の交流インピーダンス法で測定した膨潤含水時のプロトン伝導率が、0.001〜0.3S/cmである、<4>〜<6>の何れかに記載のカチオン交換膜。
<8> アノード及びカソード、ヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液を前記アノードと接触させて収容するアノード室及びヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液を前記カソードと接触させて収容するカソード室、並びに前記アノード室と前記カソード室を隔てるカチオン交換膜を備える、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器であって、
前記カチオン交換膜が、<4>〜<7>の何れかに記載のカチオン交換膜である、膜ブンゼン反応器。
本発明によれば、優れたカチオン交換膜を効率良く製造することができる。
熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器を表した概念図である。 実施例2の膜ブンゼン反応試験に使用した膜ブンゼン反応器の構造を表した概念図である。 実施例2の膜ブンゼン反応試験におけるアノード室反応溶液のHSO濃度とSO濃度の経時変化を表すグラフである。 実施例2の膜ブンゼン反応試験におけるカソード室反応溶液のHI濃度とI濃度の経時変化を表すグラフである。 実施例21で得られたカチオン交換膜(スルホン化後)と、同実施例におけるスルホン化前の高分子膜の赤外吸収スペクトル(波数範囲:900〜1100cm−1)の測定結果である。 実施例21と比較例3で得られたカチオン交換膜の赤外吸収スペクトル(波数範囲:1400〜1650cm−1)の測定結果である。 実施例と比較例とナフィオン(登録商標)のイオン交換容量(IEC)とプロトン伝導率の関係を表したグラフである。 実施例と比較例とナフィオン(登録商標)のイオン交換容量(IEC)と含水率の関係を表したグラフである。 実施例と比較例とナフィオン(登録商標)のイオン交換容量(IEC)と水の透過流束の関係を表したグラフである。
本発明を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
<カチオン交換膜の製造方法>
本発明の一態様であるカチオン交換膜の製造方法(以下、「本発明の製造方法1」と略す場合がある。)は、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜を製造する方法であり、下記式(a−1)で表されるスチレン誘導体及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する重合工程(以下、「重合工程1」と略す場合がある。)、並びに前記スチレン誘導体に由来する芳香族環にスルホン酸基を導入するスルホン化工程(以下、「スルホン化工程」と略す場合がある。)を含むことを特徴とする。
Figure 2017145297

(式(a−1)中、Xはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲ
ン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はニトロ基を、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは0〜4の整数を表す。)
Figure 2017145297

(式(b−1)〜(b−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
本発明の別の一態様であるカチオン交換膜の製造方法(以下、「本発明の製造方法2」と略す場合がある。)は、同じく熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜を製造する方法であり、下記式(a−2)で表されるスルホニル化合物及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する重合工程(以下、「重合工程2」と略す場合がある。)を含むことを特徴とする。
Figure 2017145297

(式(a−2)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、又は単結合を、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)
Figure 2017145297

(式(b−1)〜(b−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
本発明者らは、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜を製造することができる新規なカチオン交換膜の製造方法を求め検討を重ねた結果、「式(a−1)で表されるスチレン誘導体」や「式(a−2)で表されるスルホニル化合物」のようなスルホン酸基を形成するための化合物に、「式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物」を組み合せて、高分子膜基材に対して放射線グラフト重合することにより、優れたカチオン交換膜を効率良く製造することができることを見出したのである。
膜ブンゼン反応器では、アノード側のSOやSO 2−がカチオン交換膜を介してカソード側に移動し、カソード表面でS等が析出して、反応の進行とともに過電圧が増大して効率が低下してしまう問題がある。本発明の製造方法1や本発明の製造方法2では、式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物をグラフト重合させることを特徴としているが、この多官能性化合物に由来する構造(おそらく架橋構造が形成していると思われる。)が、カチオン交換膜の過度な膨潤を抑える効果があるものと考えられる。カチオン交換膜の膨潤が抑えられることによって、SOの透過が抑制されるとともに、「Hの移動に伴って流れる電流」/「回路に流れる全電流」に相当する「H輸率」が向上し、優れた膜ブンゼン反応器が得られることになるのである。
なお、「熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器」については、後述する<膜ブンゼン反応器>において詳細に説明する。
以下、「重合工程1」、「スルホン化工程」、「重合工程2」等について詳細に説明する。
重合工程1は、式(a−1)で表されるスチレン誘導体及び式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する工程であるが、式(a−1)で表されるスチレン誘導体の具体的種類は、特に限定されず、目的とするカチオン交換膜に応じて適宜選択することができる。なお、重合工程1に使用する「式(a−1)で表されるスチレン誘導体」は、1種類に限られず、2種以上を組み合せて重合させてもよい。また、「スチレン誘導体」には、「スチレン」自体が含まれるものとする。
Figure 2017145297

式(a−1)中、Xはそれぞれ独立して「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロ
ゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基」、「ハロゲン原子」、「ヒドロキシル基」、「カルボキシル基」、「アミノ基」、又は「ニトロ基」を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」とは、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(−F)等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子、又はハロゲン原子を含む官能基によって炭化水素基の水素原子が置換されていてもよいことを意味するほか、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子、又はハロゲン原子を含む官能基(連結基)を炭素骨格の内部又は末端に含んでいてもよいことを意味する。また、「炭化水素基」は、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、炭素−炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。従って、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基」としては、例えば−CH−CH−OHのようなヒドロキシル基を含む炭素数2の炭化水素基、−CH−O−CHのようなエーテル基を炭素骨格の内部に含む炭素数2の炭化水素基、及び−O−CH−CHのようなエーテル基を炭素骨格の末端に含む炭素数2の炭化水素基(エトキシ基)等が含まれる。
が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下である。
が炭化水素基である場合に炭化水素基に含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(フッ素原子,−F)、クロロ基(塩素原子,−Cl)、ブロモ基(臭素原子,−Br)、ヨード基(ヨウ素原子,−I)等が挙げられる。
としては、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、n−ブチル基(−,−Bu)、t−ブチル基(−,−Bu)、n−ペンチル基(−11)、n−ヘキシル基(−13,−Hex)、シクロヘキシル基(−11,−Cy)、フェニル基(−C,−Ph)、メトキシ基(−OCH,−OMe)、エトキシ基(−OC,−OEt)、n−プロポキシ基(−O,−OPr)、フェノキシ基(−OC,−OPh)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)等が挙げられる。
は水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表しているが、「炭化水素基」は、Xの場合と同義である。
が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。
としては、水素原子、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、フェニル基(−C,−Ph)等が挙げられる。
nは0〜4の整数であるが、好ましくは0、1、2、より好ましくは0、1、特に好ましくは0である。
式(a−1)で表されるスチレン誘導体としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2017145297

なお、化合物名としては、スチレン、α−メチルスチレン;4−メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン、フェニルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、ビニルフェニルアリルエーテル等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、フルオロスチレン等のハロゲノスチレン;ヒドロキシスチレン;ビニル安息香酸;アミノスチレン;ニトロスチレン等が挙げられる。
重合工程1は、式(a−1)で表されるスチレン誘導体及び式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する工程であるが、式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物の具体的種類は、特に限定されず、目的とするカチオン交換膜に応じて適宜選択することができる。なお、重合工程1に使用する「式(b−1)及び(b−2)の何れかで表される多官能性化合物」は、1種類に限られず、2種以上を組み合せて重合させてもよい。
Figure 2017145297

式(b−1)〜(b−3)中、Xは「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基」、「酸素原子」、「硫黄原子」、「スルフィニル基」、「スルホニル基」、又は「単結合」を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲ
ン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」は、Xの場合と同義である。「2価の炭化水素基」とは、結合位置が2つある炭化水素基であることを意味し、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、炭素−炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。
が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下である。
が炭化水素基である場合に炭化水素基に含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(フッ素原子,−F)、クロロ基(塩素原子,−Cl)、ブロモ基(臭素原子,−Br)、ヨード基(ヨウ素原子,−I)等が挙げられる。
としては、単結合、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、n−プロピレン基(−−)、フェニレン基(−C−)、ビフェニレン基(−C−)、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基(−S(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)−)等が挙げられる。
は「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基」を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」は、Xの場合と同義である。「3価の炭化水素基」とは、結合位置が3つある炭化水素基であることを意味し、飽和炭化水素基に限られず、炭素−炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。
の炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下である。
の炭化水素基に含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(フッ素原子,−F)、クロロ基(塩素原子,−Cl)、ブロモ基(臭素原子,−Br)、ヨード基(ヨウ素原子,−I)等が挙げられる。
は「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基」を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」は、Xの場合と同義である。「4価の炭化水素基」とは、結合位置が4つある炭化水素基であることを意味し、飽和炭化水素基に限られず、炭素−炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。
の炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下である。
の炭化水素基に含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(フッ素原子,−F)、クロロ基(塩素原子,−Cl)、ブロモ基(臭素原子,−Br)、ヨード基(ヨウ素原子,−I)等が挙げられる。
はそれぞれ独立して「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基」又は「水素原子」を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」は、Xの場合と同義である。
が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下
、さらに好ましくは6以下である。
が炭化水素基である場合に炭化水素基に含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(フッ素原子,−F)、クロロ基(塩素原子,−Cl)、ブロモ基(臭素原子,−Br)、ヨード基(ヨウ素原子,−I)等が挙げられる。
としては、水素原子、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、n−ブチル基(−,−Bu)、t−ブチル基(−,−Bu)等が挙げられる。
式(b−1)で表される多官能性化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2017145297

なお、化合物名としては、ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、ジビニルアセチレン、ジビニルベンゼン、2,3−ジフェニルブタジエン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホキシド、ジビニルスルホン、1,4−ジビニル−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン等が挙げられる。
式(b−2)で表される多官能性化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2017145297

なお、化合物名としては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルトリメリテート、トリス(2−アクロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
式(b−3)で表される多官能性化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2017145297

なお、化合物名としては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
重合工程2は、式(a−2)で表されるスルホニル化合物及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する工程であるが、式(a−2)で表されるスルホニル化合物の具体的種類は、特に限定されず、目的とするカチオン交換膜に応じて適宜選択することができる。なお、重合工程2に使用する「式(a−2)で表されるスルホニル化合物」は、1種類に限られず、2種以上を組み合せて重合させてもよい。
Figure 2017145297

式(a−2)中、Xは「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基」、又は「単結合」を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」は、Xの場合と同義である。「2価の炭化水素基」は、Xの場合と同義である。
が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下である。
が炭化水素基である場合に炭化水素基に含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(フッ素原子,−F)、クロロ基(塩素原子,−Cl)、ブロモ基(臭素原子,−Br)、ヨード基(ヨウ素原子,−I)等が挙げられる。
としては、単結合、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、n−プロピレン基(−−)、フェニレン基(−C−)、ビフェニレン基(−C−)等が挙げられる。
は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表しているが、「炭化水素基」は、Xの場合と同義である。
としては、水素原子、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、アンモニウム(NH)、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、フェニル基(−C,−Ph)等が挙げられる。
は水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表しているが、「炭化水素基」は、Xの場合と同義である。
が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。
としては、水素原子、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、フェニル基(−C,−Ph)等が挙げられる。
式(a−2)で表されるスルホニル化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2017145297

なお、化合物名としては、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、(1−メチルビニル)スルホン酸、(1−メチルビニル)ビニルスルホン酸ナトリウム、(2−メチルアリル)スルホン酸、(2−メチルアリル)アリルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸メチル、スチレンスルホン酸エチル、α−メチルスチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸ナトリウム、α−メチルスチレンスルホン酸メチル、α−メチルスチレンスルホン酸エチル等が挙げられる。
重合工程2は、式(a−2)で表されるスルホニル化合物及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する工程であるが、(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物は、前述の通りである。
重合工程1と重合工程2は、前述の化合物等を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する工程であるが、高分子膜基材の材質や形態は、特に限定されず、目的とするカチオン交換膜に応じて適宜選択することができる。なお、高分子膜基材を構成する高分子は、1種類に限られず、2種以上を組み合せたものであってもよい。
高分子膜基材の材質としては、フッ素系高分子、脂肪族炭化水素系高分子、芳香族炭化水素系高分子が挙げられる。
フッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系高分子としては、低密度、高密度、超分子量のポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、トリメチルペンテンをモノマーとする高分子等が挙げられる。
芳香族炭化水素系高分子としては、高機能樹脂(スーパーエンジニアリングプラスチッ
ク)と称されるポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶性芳香族高分子、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
上記のような高分子であると、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器内のHI−SO環境下で十分に耐えうるカチオン交換膜を製造することができる。
高分子膜基材は、架橋させたものであってもよい。架橋させたものであると、得られるカチオン交換膜の寸法変化を抑制することができる。高分子膜基材を架橋させる方法は、特に限定されないが、PTFEの架橋は例えば特開平06−116423号公報を参考にすることができる。FEP、PFAの架橋は例えば特開平11−049867号公報を参考にすることができる。PVDF、PCTE、ETFEの架橋は例えば特開平11−349711号公報を参考にすることができる。PVFの架橋は例えばL.A. Wall et al., J.
Polym. Sci. A-1, 4, 349-365 (1966)を、PCTFEの架橋は例えばS. Straus et al.,
S.P.E. Transactions, 4, 61 (1964)を、ECTFEの架橋は例えばY.X. Luo et al., Radiat. Phys. Chem., 18, 445 (1981)を参照することができる。
高分子膜基材を構成する高分子の重量平均分子量は、通常1,000〜1,000,000の範囲である。
高分子膜基材の膜厚は、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
重合工程1と重合工程2は、前述の化合物等を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する工程であるが、放射線グラフト重合の方法や条件は、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、具体的な方法として、式(a−1)で表されるスチレン誘導体等と高分子膜基材に対して同時に放射線を照射してグラフト重合させる同時照射法、及び先に高分子膜基材に対して放射線を照射し、式(a−1)で表されるスチレン誘導体等と接触させてグラフト重合させる前照射法が挙げられるが、単独重合体の生成量が少ないことから、前照射法が好ましい。
また、前照射法については、酸素の存在下で放射線照射、又は放射線照射後の酸素の存在下にさらしてラジカル反応を行うパーオキサイド法と、酸素の不在下で放射線照射、ラジカル反応を行う炭素ラジカル法があるが、どちらも使用可能である。パーオキサイド法では、高分子膜基材に結合した酸素ラジカルを起点としてグラフト重合が開始されるのに対し、炭素ラジカル法では高分子膜基材の炭素上に生じたラジカルを利用することになる。
前照射法の操作例としては、以下の(1)〜(3)の手順で行うことが挙げられる。
(1)高分子膜基材を容器に投入し、容器内を真空脱気して、不活性ガスで置換する。
(2)容器内を所定の温度に設定し、放射線を照射する。
(3)式(a−1)で表されるスチレン誘導体等を含む混合液を容器に注入し、高分子膜基材と式(a−1)で表されるスチレン誘導体等を接触させる。
照射する放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等の電離放射線が挙げられるが、γ線、電子線が特に好ましい。
放射線のエネルギー量は、通常0.5kGy以上、好ましくは5kGy以上、より好ましくは10kGy以上であり、通常500kGy以下、好ましくは200kGy以下、より好ましくは100kGy以下である。
放射線を照射する際の温度条件は、通常−80℃以上、好ましくは0℃以上であり、通常80℃以下、好ましくは50℃以下である。
放射線の照射時間は、例えばγ線では通常30分以上、好ましくは60分以上であり、
通常20時間以下、好ましくは3時間以下である。一方、電子線では通常1秒以上、好ましくは2秒以上であり、通常1分以下、好ましくは10秒以下である。
高分子膜基材と式(a−1)で表されるスチレン誘導体等を接触させるときの温度条件は、通常30℃以上、好ましくは40℃以上であり、通常150℃以下、好ましくは80℃以下である。
高分子膜基材と式(a−1)で表されるスチレン誘導体等の接触時間(反応時間)は、通常10分以上、好ましくは30分以上であり、通常72時間以下、好ましくは24時間以下である。
上記範囲内であると、グラフト重合を十分に進めることができるとともに、高分子膜基材の劣化を抑制することができる。
重合工程1における式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物の使用量(仕込量)は、式(a−1)で表されるスチレン誘導体と式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物の総使用量を100体積%とした場合に、通常1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上であり、通常70%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である。
重合工程2における式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物の使用量(仕込量)は、式(a−2)で表されるスルホニル化合物と式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物の総使用量を100体積%とした場合に、通常1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上であり、通常70%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である。
上記範囲内であると、カチオン交換膜のSOの透過抑制能やH輸率を確保し易くなる。
重合工程1及び重合工程2において、式(a−1)で表されるスチレン誘導体等を希釈する溶媒を用いてもよい。溶媒の種類としては、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサン等のケトン系溶媒;ジオキサン、テトラヒドルフラン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;イソプロピルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素系溶媒等が挙げられる。なお、式(a−2)で表されるスルホニル化合物のスルホン酸基のように、イオン交換基を含むモノマーを使用する場合には、水又は水の混合溶媒を利用することが挙げられる。なお、式(a−1)で表されるスチレン誘導体等のモノマーの濃度は、通常10体積%以上とする。
本発明の製造方法1は、式(a−1)で表されるスチレン誘導体等に由来する芳香族環にスルホン酸基を導入する工程を含むことを特徴とするが、スルホン化の方法や条件は、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば特開2001−348439号公報に記載されている方法を採用することができる。具体的には、1,2−ジクロロエタンを溶媒として、重合工程1を終えた高分子膜を0.2〜0.5mol/Lのクロロスルホン酸溶液に室温〜70℃下で、2〜48時間浸漬して反応させ、その後十分に水洗いする方法が挙げられる。スルホン化反応に必要なスルホン化剤は、特に限定されず、公知のものを適宜利用することができるが、濃硫酸、三酸化硫黄、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の製造方法2は、式(a−2)で表されるスルホニル化合物の−SOがスルホン酸基(−SOH)でない場合、通常、加水分解やイオン交換によって、スルホン酸基に変換することが好ましい。
本発明の製造方法1及び本発明の製造方法1によって製造されるカチオン交換膜のグラ
フト率は、通常1%以上、好ましくは5%以上であり、通常100%以下、好ましくは50%以下である。上記範囲内であると、カチオン交換膜のSOの透過抑制能やH輸率を確保し易くなる。
なお、グラフト率(Xdg)は、下記式に数値を代入することによって算出することができる。
Figure 2017145297

:放射線グラフト重合前の高分子膜基材の乾燥状態の質量[g]
:放射線グラフト重合後の高分子膜の乾燥状態の質量[g]
<カチオン交換膜>
本発明の製造方法1及び本発明の製造方法2の詳細を前述したが、本発明の製造方法1及び本発明の製造方法2によって製造することができるカチオン交換膜もまた本発明の一態様である。
即ち、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜であって、
下記式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造を含む側鎖及び下記式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造を含む側鎖を有する高分子を含む高分子膜であることを特徴とする、カチオン交換膜(以下、「本発明のカチオン交換膜」と略す場合がある。)も本発明の一態様である。
Figure 2017145297

(式(A−1)及び(A−2)中、Xはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はニトロ基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、又は単結合を、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは0〜4の整数を表す。)
Figure 2017145297

(式(B−1)〜(B−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
なお、「式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造を含む側鎖」とは、カチオン交換膜(高分子膜)に含まれる高分子が、主鎖(炭素数が最大となる高分子内の炭素鎖(骨格))と主鎖から枝分かれした炭素鎖、即ち側鎖を有する構造となっており、この側鎖に式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造が含まれていることを意味する。また、同様に「式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造を含む側鎖」も、側鎖に式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造が含まれていることを意味する。側鎖は、式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造のみからなる側鎖や、式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造のみからなる側鎖に限られず、式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造と式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造の両方やその他の構造を有し、これらがランダムに重合されたものであってもよいものとする(下記式参照。)。
Figure 2017145297

また、側鎖の末端の構造も、特に限定されないが、別の高分子に結合して架橋構造を形成していてもよい。
「X」、「X」、「R」、「n」、「X」、「X」、「X」、「R」等については、<カチオン交換膜の製造方法>のものと同義である
本発明のカチオン交換膜は、式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造の含有量は、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量以下である。
本発明のカチオン交換膜は、式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造の含有量は、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
上記範囲内であると、カチオン交換膜のSOの透過抑制能やH輸率を確保し易くなる。
本発明のカチオン交換膜の膜厚は、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。上記範囲内であると、H伝導率を確保し易くなるとともに、膜ブンゼン反応器の使用に適した機械的強度を確保し易くなる。
本発明のカチオン交換膜のイオン交換容量は、通常0.1mmol/g以上、好ましくは0.5mmol/g以上、より好ましくは0.7mmol/g以上であり、通常3.5mmol/g以下、好ましくは3.0mmol/g以下、より好ましくは2.5mmol
/g以下である。上記範囲内であると、H伝導率を確保し易くなるとともに、膜ブンゼン反応器の使用に適した機械的強度を確保し易くなる。
なお、カチオン交換膜のイオン交換容量(Ion Exchange Capacity,IEC)は、下記式に数値を代入することによって算出することができる。
Figure 2017145297

[n(酸基)obs]:カチオン交換膜の酸点の物質量[mmol]
:カチオン交換膜の乾燥状態の質量[g]
本発明のカチオン交換膜の含水率は、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、通常150質量%以下、好ましくは100質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、H伝導率を確保し易くなるとともに、膜ブンゼン反応器の使用に適した機械的強度を確保し易くなる。
なお、カチオン交換膜の含水率は、下記式に数値を代入することによって算出することができる。
Figure 2017145297

:カチオン交換膜の含水状態(室温で水中に保存し、付着した水を拭き取った後(約1分)後の状態)の質量[g]
:カチオン交換膜の乾燥状態(40℃で16時間真空乾燥を行った状態)の質量[g]
本発明のカチオン交換膜の交流インピーダンス法で測定したプロトン伝導率(室温、膨潤含水時)は、通常0.001S/cm以上、好ましくは0.005S/cm以上、より好ましくは0.01S/cm以上、さらに好ましくは0.03S/cm以上であり、通常0.3S/cm以下、好ましくは0.2S/cm以下である。上記範囲内であると、H伝導率を確保し易くなる。
本発明のカチオン交換膜のH輸率は、通常0.8以上、好ましくは0.9以上、より好ましくは0.95以上である。上記範囲内であると、優れた膜ブンゼン反応器が得られることとなる。なお、「H輸率」は、N. Tanaka et al., J. Membr. Sci., 411-412, 99-108 (2012)に記載の方法によって算出することができる。
<膜ブンゼン反応器>
本発明のカチオン交換膜の詳細を前述したが、本発明のカチオン交換膜を備える熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器もまた本発明の一態様である。
即ち、アノード及びカソード、ヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液をアノードと接触させて収容するアノード室及びヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液をカソードと接触させて収容するカソード室、並びにアノード室とカソード室を隔てるカチオン交換膜を備える、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器であって、カチオン交換膜が本発明のカチオン交換膜である、膜ブンゼン反応器(以下、「本発明の膜ブンゼン反応器」と略す場合がある。)も本発明の一態様である。
以下、「熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器」について
詳細に説明する。
熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスは、前述のように下記反応(1)〜(3)の反応によって、水から水素と酸素を製造する方法であり、反応(1)が「ブンゼン反応」である。
+SO+2HO→2HI+HSO (1)
2HI→I+H (2)
SO→SO+0.5O+HO (3)
「膜ブンゼン反応器」は、反応(1)を進める反応器であり、一般的に図1に示すような構成を有している。具体的には、アノード室104とカソード室105のそれぞれにヨウ素(I)と二酸化硫黄(SO)を含む反応液を収容し、電流を印加することでアノード102上で下記反応(4)が、カソード上で下記反応(5)が進行することになる。そして、アノード側で生成したHがカチオン交換膜101を介してカソード側に選択的に移動して、HSOをアノード室104で、HIをカソード室105で分離された状態で生成することができるのである。
SO+2HO→HSO+2H+2e (4)
+2e→2I (5)
本発明の膜ブンゼン反応器は、カチオン交換膜101として本発明のカチオン交換膜を備えるものであり、本発明のカチオン交換膜はSOの透過抑制能やH輸率に優れるため、例えばカソードの反応液のI濃度が5mol/kg−HO以下の条件下で稼働させることができるのである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
厚さ50μmのETFEフィルム基材(旭硝子株式会社製)を2cm×2cmに切断し、コック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cm×高さ15cm)に入れ、真空ポンプで2時間以上脱気後、容器内をアルゴンガスで置換した。この状態で、ETFEフィルム基材に60Co線源からのγ線を室温で線量15kGy(線量率:15kGy/h)照射した。続いて、スチレンに1,4−ジビニルベンゼンを体積基準で5%添加し、それをトルエンで25体積%まで希釈した混合液10mL(予め窒素ガスで脱気済)に照射ETFEフィルム基材を浸漬した。ガラス容器をアルゴンガスで置換した後で密閉し、60℃にして4時間(反応時間)反応させた。所定時間の経過後、ガラス容器のコックを開け空気に曝露して、直ちに反応を終了させた。得られた高分子膜をトルエンで洗浄後、乾燥した。
次に高分子膜をスルホン化するため、1,2−ジクロロエタンで希釈した0.2mol/Lクロロスルホン酸溶液に浸漬し、50℃で6時間反応させた後、水洗により加水分解を行って、カチオン交換膜を得た。
得られたカチオン交換膜のイオン交換容量(IEC)を測定したところ、1.7mmol/gであった。なお、イオン交換容量は、下記の[n(酸基)obs]とWをそれぞれ測定し、下記式にこれらの数値を代入して算出した。[n(酸基)obs]の測定は、カチオン交換膜を3mol/L塩化ナトリウム水溶液中に6時間浸漬して酸点をナトリウムイオンで置換し、溶液内に放出されたプロトン(H)を0.01mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定することで行った。
Figure 2017145297

[n(酸基)obs]:カチオン交換膜の酸点の物質量[mmol]
:カチオン交換膜の乾燥状態の質量[g]
<実施例2>
実施例1と同様の方法によって作製した5cm×5cmのカチオン交換膜を、図2に示される電解セルに設置し、膜ブンゼン反応試験を行った。反応溶液として、カソード室のHI濃度、I濃度を共に2.5mol/kg−HO、アノード室のHSO濃度、SO濃度を3.2mol/kg−HO、1.2mol/kg−HOに調整し、温度23℃にて流通させた。電流密度200mA/cmで3時間電解を行い、カソード室とアノード室のそれぞれについて、電解に伴う各成分の濃度変化を測定した。結果を図3と図4に示す。
図3から明らかなように、電解時間の経過とともにアノード室のHSO濃度が上昇し、SO濃度が減少しており、反応(4)が進行していることが示された。
一方、図4から明らかなように、電解時間の経過とともにカソード室のHI濃度が上昇し、I濃度が減少しており、反応(5)が進行していることが示された。
SO+2HO→HSO+2H+2e (4)
+2e→2I (5)
これらの結果から、本発明の製造方法で製造されたカチオン交換膜は、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に利用可能であり、特にカソードの反応液のI濃度が5mol/kg−HO以下の条件下で稼働できることが確認できた。
<実施例1、3〜27、比較例1〜4>
それぞれ表1に記載のものに条件を変更した以外、実施例1と同様の方法により、カチオン交換膜を得た。得られたカチオン交換膜のイオン交換容量(IEC)をそれぞれ測定したところ、表1に記載の結果となった。
<比較例5>
Nafion212(DuPont社製)について測定されたIECを表1の比較例5に示す。
Figure 2017145297
<赤外吸収スペクトルの測定>
実施例21で得られたカチオン交換膜(スルホン化後)と、同実施例におけるスルホン
化前の高分子膜のそれぞれについて、赤外吸収スペクトル(波数範囲:900〜1100cm−1)を測定した。結果を図5に示す。F.N. Buchi et al., Electrochim. Acta, 40, 345 (1995)より、図5の(i)はポリスチレン、(ii)はその芳香族スルホン酸に由来する吸収ピークであることを確認した。従って、本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、スルホン酸基が導入されたポリスチレン構造を有することが明らかである。
次に、実施例21と比較例3で得られたカチオン交換膜のそれぞれについて、赤外吸収スペクトル(波数範囲:1400〜1650cm−1)を測定した。結果を図6に示す。H.-P. Brack, J. Polym. Sci. A: Polym. Chem., 42, 59 (2004) より、図6の(i)はポリスチレン、(ii)は1,4−ジビニルベンゼンに由来する吸収ピークであることを確認した。従って、本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、1,4−ジビニルベンゼンに由来する構造を有することが明らかである。
<プロトン伝導率の測定>
実施例1、3〜27で得られたカチオン交換膜のそれぞれのプロトン伝導率(σ[S/cm])をそれぞれ測定した。プロトン伝導率の測定は、膜抵抗測定セルとポテンショ/ガルバノスタット(北斗電工(株)製HABF−5001)とを使用して行い、室温下の純水中に十分に浸漬したカチオン交換膜(測定面積Sm[cm]を2組の白金電極で挟み、その間の膜抵抗Rmを交流インピーダンス法により測定した。得られたRm、及び測定面積Smを、下記式に代入して算出した。
Figure 2017145297

L:電極間の距離[cm]
Rm:膜抵抗[Ω/cm]
Sm:膜断面積[cm
イオン交換容量(IEC)とプロトン伝導率σの結果をプロットしたグラフを図7に示す。本発明の製造方法によって得られたカチオン交換膜は、イオン交換容量を0.2〜3.1mmol/gの範囲に変化させることにより、プロトン伝導率を0.001〜0.19S/cmの間で制御可能であることが明らかである。
<含水率の測定>
実施例7、15、25と比較例1〜5で得られたカチオン交換膜の含水率をそれぞれ測定した。なお、含水率は、下記のWとWをそれぞれ測定し、下記式にこれらの数値を代入して算出した。

Figure 2017145297

:カチオン交換膜の含水状態(室温で水中に保存し、付着した水を拭き取った後(約1分)後の状態)の質量[g]
:カチオン交換膜の乾燥状態(40℃で16時間真空乾燥を行った状態)の質量[g]
イオン交換容量(IEC)と含水率の結果をプロットしたグラフを図8に示す。参考として、ナフィオン(登録商標)のイオン交換容量(IEC)と含水率の結果も、図8のグ
ラフに記す。本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を重合させないカチオン交換膜や、イオン交換容量0.9mmol/g程度のナフィオン(登録商標)に比べ、含水率が低い傾向が見られた。本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、含水率を相対的に抑制することができることが明らかである。
<水の透過流束の測定>
実施例7、15、25と比較例1〜5で得られたカチオン交換膜の水の透過流束を、パーベーパレーション法(Pervaporation,PV)法を用いてそれぞれ測定した。PV試験装置の膜モジュール内にカチオン交換膜を設置し、バイトンフッ素ゴムを用いてシールした。供給溶液として、25℃に保った純水をマグネティックポンプで循環させて用いた。透過側は真空ポンプで吸引した。真空トラップは2段階に設置し、2段階目では定常に至るまでの透過ガスのトラップと真空ポンプからのオイル蒸気の逆流防止の役割を担う一方、1段階目で測定対象の透過ガスを回収した。すなわち、純水の透過流束は、1段階目にトラップされた透過液の質量測定を行うことで算出した。
イオン交換容量(IEC)と水の透過流束の結果をプロットしたグラフを図9に示す。参考として、ナフィオン(登録商標)のイオン交換容量(IEC)と水の透過流束の結果も、図9のグラフに記す。本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を重合させないカチオン交換膜や、イオン交換容量0.9mmol/g程度のナフィオン(登録商標)に比べ、水の透過流束が低い傾向が見られた。本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、水の透過流束を相対的に抑制することができることが明らかである。
SOは、水への溶解度が1.47mol/kg−HOと非常に高く、含水率や水の水透過流束の結果から、本発明の製造方法はSOの透過抑制能が高いカチオン交換膜を製造することができると解釈することができる。
<H輸率の測定>
実施例2の膜ブンゼン反応試験におけるカソード側のHI濃度、I濃度の時間変化を観測し、N. Tanaka et al., J. Membr. Sci., 411-412, 99-108 (2012)に記載の方法によってH輸率を算出した。
輸率は、1.0に達し、0.8を超える高い値であった。本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、高いH選択性を有するとともに、カソードの反応液のI濃度が5mol/kg−HO以下の条件下でも、効率的に稼働することができることが明らかである。
本発明の製造方法によって製造されたカチオン交換膜は、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に利用することができる。
101 カチオン交換膜
102 アノード
103 カソード
104 アノード室
105 カソード室
201 カチオン交換膜(有効膜面積:5cm
202 アノード(白金)
203 カソード(不浸透黒鉛)
204 テフロン(登録商標)メッシュ
205 エンドプレート
206 テフロン(登録商標)削り出し
207 集電ロッド
208 ガスケット

Claims (8)

  1. 熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜の製造方法であって、
    下記式(a−1)で表されるスチレン誘導体及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する重合工程、並びに前記スチレン誘導体に由来する芳香族環にスルホン酸基を導入するスルホン化工程を含むことを特徴とする、カチオン交換膜の製造方法。
    Figure 2017145297

    (式(a−1)中、Xはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はニトロ基を、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは0〜4の整数を表す。)
    Figure 2017145297

    (式(b−1)〜(b−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
  2. 熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜の製造方法であって、
    下記式(a−2)で表されるスルホニル化合物及び下記式(b−1)〜(b−3)の何れかで表される多官能性化合物を高分子膜基材に対して放射線グラフト重合する重合工程を含むことを特徴とする、カチオン交換膜の製造方法。
    Figure 2017145297

    (式(a−2)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、又は単結合を、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)
    Figure 2017145297

    (式(b−1)〜(b−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
  3. 前記高分子膜基材が、フッ素系高分子、脂肪族炭化水素系高分子、及び芳香族炭化水素系高分子からなる群より選択される少なくとも1種の高分子からなる、請求項1又は2に記載のカチオン交換膜の製造方法。
  4. 熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器に使用するカチオン交換膜であって、
    下記式(A−1)及び(A−2)の何れかで表される構造を含む側鎖及び下記式(B−1)〜(B−3)の何れかで表される構造を含む側鎖を有する高分子を含む高分子膜であることを特徴とする、カチオン交換膜。
    Figure 2017145297

    (式(A−1)及び(A−2)中、Xはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はニトロ基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、又は単結合を、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは0〜4の整数を表す。)
    Figure 2017145297

    (式(B−1)〜(B−3)中、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、又は単結合を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の3価の炭化水素基を、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の4価の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
  5. 前記高分子が、フッ素系高分子、脂肪族炭化水素系高分子、又は芳香族炭化水素系高分子を主鎖をとする高分子である、請求項4に記載のカチオン交換膜。
  6. イオン交換容量が、0.1〜3.5mmol/gである、請求項4又は5に記載のカチオン交換膜。
  7. 室温下の交流インピーダンス法で測定した膨潤含水時のプロトン伝導率が、0.001〜0.3S/cmである、請求項4〜6の何れか1項に記載のカチオン交換膜。
  8. アノード及びカソード、ヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液を前記アノードと接触させて
    収容するアノード室及びヨウ素と二酸化硫黄を含む反応液を前記カソードと接触させて収容するカソード室、並びに前記アノード室と前記カソード室を隔てるカチオン交換膜を備える、熱化学水素製造ヨウ素−硫黄(IS)プロセスの膜ブンゼン反応器であって、
    前記カチオン交換膜が、請求項4〜7の何れか1項に記載のカチオン交換膜である、膜ブンゼン反応器。
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