JP2012059657A - プロトン伝導性高分子電解質膜とそれを用いた膜電極接合体および高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

プロトン伝導性高分子電解質膜とそれを用いた膜電極接合体および高分子電解質型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】プロトン伝導基を有する側鎖が基体にグラフト重合されたプロトン伝導性高分子電解質膜(グラフト電解質膜)であって、膜電極接合体(MEA)を形成する際の電極との接合条件を当該膜に過酷な条件とすることなく、電極との良好な接合を実現できる電解質膜を提供する。
【解決手段】フッ化ビニリデン(VdF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体からなる基材に、プロトン伝導基を有する側鎖がグラフト重合された構造を有するプロトン伝導性高分子電解質膜とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、プロトン伝導性高分子電解質膜とそれを用いた膜電極接合体および高分子電解質型燃料電池に関する。
プロトン伝導性を有する高分子膜を電解質に使用した高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、エネルギー密度が高く、家庭用コージェネレーションシステム、携帯機器用電源、自動車用電源などの幅広い分野での使用が期待される。
電解質膜に用いる高分子として、パーフルオロカーボンスルホン酸(例えば、デュポン製「ナフィオン(登録商標)」)が一般的である。パーフルオロカーボンスルホン酸からなる膜は化学的な耐久性に優れるが、原料となるフッ素樹脂は汎用品ではなく、その合成過程も複雑であることから非常に高価である。電解質膜が高価であることは、PEFCの実用化に対する大きな障害となる。この状況を背景に、現在、パーフルオロカーボンスルホン酸膜に代わる電解質膜の開発が進められており、このような電解質膜として特開平9-102322号公報には、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)からなる基体に、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖(例えばスチレンスルホン酸重合体からなる側鎖)がグラフト重合された膜が開示されている。
ところでPEFCにおいて、電解質膜は、当該膜を挟持するように配置された一対の電極(アノード電極およびカソード電極)と接合した状態で使用される。電解質膜と電極との接合体を、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と呼ぶ。MEAは、例えば、電極と電解質膜とを熱プレスして形成される(熱プレス法)。熱プレスする電極はガス拡散電極、即ち、電極とガス拡散層との接合体であってもよく、このとき、ガス拡散電極と電解質膜とを、電極と電解質膜とが接するように熱プレスすればよい。高い発電特性を示すPEFCとするためには、MEAにおいて電解質膜と電極とが良好に接合していることが重要である。
電解質膜と電極との接合性を向上させるために、特開平4-220957号公報では、プラズマエッチングを用いて電解質膜の表面に微細な凹凸を与え、電極との接触面積を増大させている。しかし、PEFCの運転停止サイクルにおいて電解質膜が置かれる雰囲気の湿度および温度は大きく変化し、この変化に合わせて膜は膨張および収縮を繰り返す。特開平4-220957号公報の技術では、この点を考慮しておらず、表面がエッチングされた電解質膜の耐久性(耐膨張収縮性)に疑問が残る。
また、特開2005-222894号公報には、電解質膜の表面を一時的に液相化または軟化させた状態で、電極およびガス拡散層と接合させる技術が記載されている。しかし、このような接合は電解質膜にとって過酷であり、接合時に電解質膜の変形、収縮、膜厚バラツキなどが生じやすい。このため、必ずしも電解質膜と電極とを良好に接合できるとは限られず、接合時に電解質膜の特性が劣化することもある。
一方、熱プレス法以外にも、電極の構成材料を含むインク(電極インク)を電解質膜の表面に塗工してMEAを形成する方法が知られている(インク塗布法)。この方法では、熱プレス法に比べて電解質膜と電極との接合条件を緩和できるが、必ずしも両者の接合性は高くない。両者の接合をより確実にするためには、塗工後にさらに熱プレスを実施することが望まれる。
特開平9-102322号公報 特開平4-220957号公報 特開2005-222894号公報
本発明は、プロトン伝導基を有する側鎖が基体にグラフト重合されたプロトン伝導性高分子電解質膜(グラフト電解質膜)であって、MEAを形成する際の電極との接合条件を当該膜に過酷な条件とすることなく、電極との良好な接合を実現できる電解質膜の提供を目的とする。
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜は、フッ化ビニリデン(VdF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体からなる基体に、プロトン伝導基を有する側鎖がグラフト重合された構造を有する。
本発明の膜電極接合体(MEA)は、高分子電解質膜と、前記電解質膜を挟持するように配置された一対の電極と、前記一対の電極を挟持するように配置された一対のセパレータと、を備え、前記電解質膜が、本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜である。
本発明の高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、高分子電解質膜と、前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極と、前記一対の電極を狭持するように配置された一対のセパレータと、を備え、前記電解質膜が、本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜である。
本発明によれば、VdF−HFP共重合体を基体に用いたグラフト電解質膜とすることによって、MEAを形成する際の電極との接合条件を当該膜に過酷な条件とすることなく、電極との良好な接合を実現できる電解質膜が得られる。本発明の電解質膜では、例えば、表面のエッチング処理を行うことなく、低温の熱プレスにおいても、電極との良好な接合を実現できる。また、本発明の電解質膜では、インク塗布法において熱プレスを併用する場合に、低温の熱プレスにおいても、電極との良好な接合を実現できる。
本発明の膜電極接合体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の高分子電解質型燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。
(プロトン伝導性高分子電解質膜)
本発明の電解質膜は、フッ化ビニリデン(VdF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体からなる基体に、プロトン伝導基を有する側鎖がグラフト重合された構造を有する。基体がVdF−HFP共重合体からなることによって、電極と本発明の電解質膜とを接合して膜電極接合体(MEA)を形成する際の両者の接合条件を当該膜に過酷な条件とすることなく、両者の良好な接合が実現される。本発明の電解質膜では、例えば熱プレス法において、表面のエッチング処理を行うことなく、低温の熱プレスにおいても、電極との良好な接合を実現できる。また例えば、インク塗布法において熱プレスを併用する場合に、低温の熱プレスにおいても、電極との良好な接合を実現できる。なお、本発明の電解質膜と接合させる「電極」にはガス拡散電極が含まれる。
また、低温(例えば175℃未満、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下)の熱プレスによって電解質膜と電極との良好な接合が実現されることで、熱プレス時における電解質膜中のプロトン伝導基の分解が抑制され(例えば、プロトン伝導基の一種であるスルホン酸基は、175℃を超える温度域で分解が促進される)、高い発電特性を有するMEAが得られる。さらに、得られたMEAにおける電解質膜と電極との接合が良好であることから、長期の発電時にも高い発電特性を維持する(長期耐久性を有する)MEAが期待される。
高分子電解質型燃料電池(PEFC)の一種に、メタノールを含む溶液を燃料に供給するダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)がある。パーフルオロカーボンスルホン酸からなる電解質膜は、メタノール透過性が高く、DMFCには不適であることが知られている。これに対して本発明の電解質膜は、VdF−HFP共重合体を基体とするグラフト電解質膜であるため、メタノール透過性が低く、DMFCにも好適に使用できる。
本発明の効果が得られる限り、VdF−HFP共重合体は、VdF単位およびHFP単位以外の構成単位を有していてもよい。
VdF−HFP共重合体は、各種市販のものを使用可能である。融点が110〜170℃の範囲のVdF−HFP共重合体を使用できる。
本発明の効果が得られる限り、基体は、VdF−HFP共重合体以外の材料を、0.1〜20重量%程度含んでいてもよい。このような材料は、例えば、各種のフィラー、シリカ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、層状珪酸塩である。
基体の形状は膜状であるが、その厚さならびに主面に垂直な方向から見たサイズは、電解質膜として望む厚さおよびサイズに基づいて適宜決定できる。
電解質膜の重要な特性の一つに膜抵抗(プロトン伝導に対する抵抗)がある。膜抵抗を低くするためには電解質膜を薄くするとよい。しかし過度に薄くすると、膜の強度が低下することで破損やピンホールが生じやすくなる。このため、電解質膜の厚さは5〜300μm程度が好ましく、20〜150μm程度がより好ましい。基体に側鎖がグラフト重合され、さらに当該側鎖にプロトン伝導基が導入されることで、最終的に得られる電解質膜は基体に比べて厚くなる。これを考慮すると、基体の厚さは3〜280μm程度が好ましく、18〜135μm程度がより好ましい。
側鎖(グラフト鎖)は、プロトン伝導基を有する限り特に限定されず、典型的には、プロトン伝導基を有するビニル重合体である。ビニル重合体は、1種または2種以上のビニルモノマーの重合により形成される構成単位、あるいは1種または2種以上のビニルモノマーの重合後、得られた重合体に対してプロトン伝導基を導入するための反応(置換反応など)を進行させて形成される構成単位を有する。ビニル重合体は、本発明の効果が得られる限り、これらの構成単位以外の構成単位を有していてもよい。ビニルモノマーは、ビニル基を有するモノマーまたはビニル基に結合している水素の一部が置換された基を有するモノマーである。
ビニルモノマーは、例えば、以下の式(1)に示すモノマーである。
2C=CXR1 (1)
式(1)において、Xは、水素原子または「−CH3」である。Xが水素原子の場合、R1は、「−O−Cn2n+1」、「−C(=O)−Cn2n+1」、「−C(=O)−O−Cn2n+1」、または複数の水素が置換基R2によって置換されていてもよいフェニル基である。ここで、nは1〜10の範囲の自然数、置換基R2は、「−CH3」、「−CH2Cl」、「−CH2OH」、「−C(CH33」、「−CH2SO3Na」、「−Cl」、「−Br」または「−F」である。Xが「−CH3」の場合、R1はフェニル基である。R1の例示における「−Cn2n+1」の部分は、nが3以上のとき、直鎖であっても分岐を有していてもよい。
ビニルモノマーの重合後、得られた重合体に対してプロトン伝導基であるスルホン酸基を導入する反応を進行させやすいことから、R1は、フェニル基、または複数の水素が置換基R2によって置換されていてもよいフェニル基が好ましい。
側鎖は架橋構造を有していてもよく、この場合、PEFCの運転時における電解質膜の膨潤が抑制されるとともに、その熱安定性および耐薬品性が向上する。架橋構造は、例えば、グラフト反応性を持つ不飽和結合を複数有する、多官能性のビニルモノマーを含むモノマー群のグラフト重合により形成できる。多官能性のビニルモノマーは、例えば、1,2−ビス(p−ビニルフェニル)エタン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、ジアリルエーテル、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリアリル−1,2,4−ベンゼントリカルボキシレート、トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ブタジエンである。
プロトン伝導基は、例えば、スルホン酸基、リン酸基またはカルボキシル基である。高いプロトン伝導性を有することから、スルホン酸基が好ましい。
本発明の電解質膜におけるグラフト率は、電解質膜として必要な特性、典型的にはプロトン伝導度に応じて調整すればよいが、例えば6〜300重量%であり、10〜150重量%が好ましい。グラフト率は、後述の製造方法において、基体への放射線の照射線量、モノマー(モノマー群)の重合温度および/または重合時間を変化させて調整できる。
本発明の電解質膜のプロトン伝導度(25℃)は、0.03S/cm以上が好ましく、0.05S/cm以上がより好ましい。
本発明の電解質膜のイオン交換容量は、0.3〜6.0meq/gが好ましく、0.5〜3.0meq/gがより好ましい。イオン交換容量が過度に小さい場合、電解質膜として十分な特性が得られない。一方、過度に大きい場合、PEFC運転時における電解質膜の膨潤度が高くなって、電極との接合性が低下することがある。
本発明の電解質膜の製造方法は特に限定されず、グラフト電解質膜を製造する公知の方法を応用できる。具体的な例を以下に示す。
最初に、VdF−HFP共重合体からなる基体に放射線を照射する。放射線は、電子線またはγ線が一般的である。照射温度は−10〜80℃程度であり、室温が好ましい。照射線量は、例えば1〜500kGyである。放射線は空気中で照射してもよいが、不活性ガスの雰囲気下で照射することが好ましい。
次に、重合により側鎖(グラフト鎖)となるモノマー、典型的にはビニルモノマーを基体にグラフト重合させる。グラフト重合の方法は特に限定されず、例えば、凍結、煮沸あるいは不活性ガスのバブリングにより酸素を除去したモノマーに、放射線照射後の基体を浸漬すればよい。グラフト重合させるモノマーは、上述した多官能性ビニルモノマーを含むことが好ましい。この場合、架橋構造を有するグラフト鎖を形成できる。
放射線照射後すぐにグラフト重合を実施しない場合は、放射線照射後の基体を、当該基体を構成する重合体のガラス転移温度以下の温度で一時的に保管してもよい。
なお、上述の例では、放射線の照射とグラフト重合とを別個に実施している(前照射法)が、放射線の照射とグラフト重合とを同時に実施してもよい(同時照射法)。基体にグラフトしないホモポリマーの生成量が少ないことから、前照射法が好ましい。前照射法には、主に2通りの方法(ポリマーラジカル法およびパーオキサイド法)があるが、いずれの方法を用いてもよい。ポリマーラジカル法は、放射線照射により基体に生成したアルキルラジカルを、そのままグラフト重合の活性点として用いる手法である。パーオキサイド法は、放射線照射により生成したアルキルラジカルを、一時的に基体を酸素含有雰囲気に晒すことでパーオキサイドに変化させ、それをグラフト重合の活性点として用いる手法である。
次に、グラフト重合後の基体をトルエンなどの溶剤により洗浄し、当該基体に残留する未反応のモノマーを除去する。
グラフト重合させたモノマーがプロトン伝導基を有さない、即ち側鎖がプロトン伝導基を有さない場合、続いて、側鎖にプロトン伝導基を導入する。プロトン伝導基の導入は、公知の方法に従えばよい。プロトン伝導基としてスルホン酸基を導入する方法は、特開2001-348439号公報に開示がある。具体的には、1,2-ジクロロエタンを溶媒とする濃度0.2〜0.5モル/Lのクロロスルホン酸溶液にグラフト重合後の基体を浸漬し、10〜80℃の反応温度で1〜48時間反応させる。反応後は、水により基体を十分に洗浄し、未反応のクロロスルホン酸を除去する。スルホン化剤はクロロスルホン酸のジクロロエタン溶液に限定されず、濃硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、チオ硫酸ナトリウム、メシチレンスルホン酸など、側鎖にスルホン酸基を導入できる物質であればよい。
(膜電極接合体)
本発明の膜電極接合体(MEA)の一例を、図1に示す。
図1に示すMEA1は、電解質膜2と、電解質膜2を狭持するように配置された一対の電極(アノード電極3、カソード電極4)とを備え、電解質膜2と電極3,4とが互いに接合されている。電解質膜2は上述した本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜である。MEA1では、電解質膜2と電極3,4との接合が良好であり、MEA1をPEFCに組み込むことでPEFCの発電特性を向上できる。
アノード電極(燃料極)3およびカソード電極(酸化極)4の構成は、それぞれ、一般的なMEAのアノード電極、カソード電極と同様であればよい。
MEA1は、公知の手法により製造でき、例えば電解質膜2と電極3,4(電極はガス拡散電極であってもよい)とを熱プレスして形成できる。
(高分子電解質型燃料電池)
本発明の高分子電解質型燃料電池(PEFC)の一例を、図2に示す。
図2に示すPEFC11は、電解質膜2と、電解質膜2を狭持するように配置された一対の電極(アノード電極3、カソード電極4)と、上記一対の電極を狭持するように配置された一対のセパレータ(アノードセパレータ5、カソードセパレータ6)とを備え、各部材は、当該部材の主面に垂直な方向に圧力が印加された状態で接合されている。電解質膜2と電極3,4とは、MEA1を構成している。電解質膜2は上述した本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜である。MEA1における電解質膜2と電極3,4との接合が良好であることから、PEFC11は高い発電特性を有する。
アノード電極3、カソード電極4、アノードセパレータ5およびカソードセパレータ6の構成は、それぞれ、一般的なPEFCにおける各部材と同様であればよい。
本発明のPEFCは、必要に応じて、図2に示す部材以外の部材を備えていてもよい。また、図2に示すPEFC11はいわゆる単セルであるが、本発明のPEFCは、このような単セルを複数積層したスタックであってもよい。
本発明のPEFCは、メタノールを含む溶液を燃料として供給するDMFCであってもよい。
実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
最初に、本実施例において作製した電解質膜の評価方法を示す。
[グラフト率]
以下の式(2)により、電解質膜のグラフト率を求めた。
グラフト率(重量%)=(W2−W1)/W1×100 (2)
式(2)におけるW1はグラフト重合前の基体の乾燥重量(g)、W2はグラフト重合後かつプロトン伝導基導入前の基体の乾燥重量(g)である。
[プロトン伝導度κ]
電解質膜のプロトン伝導度κは、電解質膜の膜抵抗Rm(Ω)を交流法(新実験化学講座19,高分子化学<II>、p992、丸善)に従って測定し、以下の式(3)により求めた。
プロトン伝導度κ(S/cm)=(1/Rm)・(d/A1) (3)
式(3)におけるdは電解質膜の厚さ(cm)、A1は、膜抵抗Rmを求める際の電解質膜の通電面積(cm2)である。
膜抵抗Rmの測定には、膜抵抗測定セルおよびLCRメーター(ヒューレットパッカード製、E−4925A)を使用した。測定セルには濃度1Mの硫酸を満たし、測定セルにおける白金電極間の距離は5mmとした。電解質膜をセットして測定した白金電極間の測定値から、電解質膜をセットしないで測定した白金電極間の測定値を引いた値を、電解質膜の膜抵抗Rm(Ω)とした。
[面積変化率]
電解質膜の面積変化率は、以下の式(4)により求めた。
面積変化率(%)=(A2−A1)/A1×100 (4)
1は、電解質膜をサイズ50mm×50mmに裁断した後、乾燥機中に放置して十分に乾燥させたときの当該膜の面積であり、A2は、その後、当該膜を濃度40重量%のメタノール水溶液に浸漬(液温25℃±2℃、24時間)させたときの当該膜の面積である。
[電極との接合性]
最初に、カーボン粒子の表面に白金触媒が担持された電極(田中貴金属工業製、TEC10E50E)と、分散媒であるn−プロパノール、イソプロパノールおよび水の混合液とを攪拌して、電極の含有率が7重量%である電極インクを作製した。次に、電解質膜の一方の表面に、スプレーコートにより電極インクを塗布した。電極インクの塗布量は3.6g/cm2とした。次に、塗布した電極インクを乾燥させた後、全体を一対の保護フィルムで挟持した状態で熱プレスして、MEAを作製した。次に、作製したMEAを室温の水に浸漬して1時間攪拌した後に乾燥させ、乾燥後のMEAにおける電極と電解質膜との接合状態を目視により確認した。この試験を、熱プレスの温度を変更しながら1種類の電解質膜に対して複数回実施し、水中での攪拌後も電極と電解質膜とが剥離なく接合している熱プレス温度を求めた。求めた熱プレス温度が低いほど、電極との接合性が良好な電解質膜である。
[融点]
VdF−HFP共重合体の融点は、ASTM D3418に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツル製、DSC6200)を用いて昇温速度10℃/分として評価した。
(実施例1)
HFP変性PVdF(アルケマ製、Kyner Flex 2850-00、融点158℃)からなる厚さ50μmのフィルムを10cm角に裁断した後、当該フィルムに対して、大気中、線量120kGy、加速電圧300kVの条件下で電子線を照射した。照射後のフィルムはドライアイス温度に冷却し、グラフト重合を実施するまでそのまま保管した。
これとは別に、スチレン(和光純薬製、特級)200g、ジビニルベンゼン(アルドリッチ製、80%品、m,p混合体)6.94g、メタノール(和光純薬製、特級)60gおよびエチルベンゼン(和光純薬製、特級)140gをセパラブルフラスコに投入し、全体を90℃に調整したオイルバスで加熱して大気雰囲気下で沸騰させ、フラスコ内の混合液に含まれる酸素を除去した。フラスコ内の混合液の沸点は66℃であった。
次に、酸素を除去した後の混合液に、電子線を照射したHFP変性PVdFフィルムを浸漬し、当該フィルムを基体とするグラフト重合を進行させた。重合完了後、フラスコからフィルムを取りだし、トルエンに12時間浸漬して未反応のモノマーを除去するとともに、メタノールでさらに10分間洗浄し、続いて、60℃に保持した乾燥機で乾燥させて、HFP変性PVdFからなる基体に、架橋構造を有するスチレン鎖がグラフト重合された構造を有するグラフト膜を得た。
次に、得られたグラフト膜を濃度0.05Mの1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸/o−ジクロロベンゼン溶液に浸漬(1時間、120℃)し、スチレン鎖にスルホン酸基を導入した。浸漬後、膜全体をイソプロピルアルコールで30分づつ2回洗浄するとともに、さらに60℃の温水浴で30分洗浄し、続いて、60℃に保持した乾燥機で乾燥させて、HFP変性PVdFからなる基体に、架橋構造を有するスチレンスルホン酸鎖がグラフト重合された構造を有するグラフト電解質膜を得た。
(実施例2)
アルケマ製、Kyner Flex2500-20の代わりに、別のHFP変性PVdF(ソルベイ製、110-10、融点160℃)からなる厚さ50μmのフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、HFP変性PVdFからなる基体に、架橋構造を有するスチレンスルホン酸鎖がグラフト重合された構造を有するグラフト電解質膜を得た。
(実施例3)
アルケマ製、Kyner Flex 2850-00の代わりに、別のHFP変性PVdF(アルケマ製、Kyner Flex 2500-20、融点119℃)からなる厚さ50μmのフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、HFP変性PVdFからなる基体に、架橋構造を有するスチレンスルホン酸鎖がグラフト重合された構造を有するグラフト電解質膜を得た。
(比較例1)
アルケマ製、Kyner Flex2500-20の代わりに、PVdF(クレハ製、KFポリマー#1100、融点175℃)からなる厚さ50μmのフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、PVdFからなる基体に、架橋構造を有するスチレンスルホン酸鎖がグラフト重合された構造を有するグラフト電解質膜を得た。
(比較例2)
テトラフルオロエチレン−HFP共重合体(デュポン製、200A FEP100 FILM、融点270℃)からなる厚さ50μmのフィルムを10cm角に裁断した後、当該フィルムをガラス製セパラブル容器(内径3cm、高さ20cm)に収容した。次に、容器内を脱気した後、圧力1気圧のアルゴンガスで満たした。この状態のまま室温下において、線量率10kGy/hr、線量60kGyの条件で60Co−γ線をFEPフィルムに照射した。
次に、予め脱気しておいたスチレン(和光純薬製、特級)/トルエン混合液(体積比50/50)100gをアルゴン雰囲気下で容器内に投入し、γ線照射後のFEPフィルムを当該混合液で完全に浸漬させた。次に、全体を60℃で12時間加熱して、当該フィルムを基体とするグラフト重合を進行させた。重合完了後、フラスコからフィルムを取りだし、トルエンで十分に洗浄し、さらに乾燥させて、FEPからなる基体にスチレン鎖がグラフト重合された構造を有するグラフト膜を得た。
次に、得られたグラフト膜を濃度0.3Mのクロロスルホン酸/1,2−ジクロロエタン溶液に浸漬(8時間、60℃)し、スチレン鎖にスルホン酸基を導入した。浸漬後、膜全体を水洗し、乾燥させて、FEPからなる基体にスチレンスルホン酸鎖がグラフト重合された構造を有するグラフト電解質膜を得た。
実施例1〜3および比較例1、2で作製した電解質膜の評価結果を以下の表1に示す。なお、各実施例、比較例における電解質膜の基体を構成する重合体の融点は、それぞれの重合体に対して熱機械分析装置(TMA)を用いたtanθ測定を行い、その最大値を示す温度から求めた。
Figure 2012059657
比較例2における接合性の評価結果は「−」であるが、これは比較例2において、スルホン酸基が分解を始める温度である180℃のプレス温度においても、水中での攪拌によって電極と電解質膜とが剥離したことに対応する。表1に示すように、実施例1〜3では、比較例1、2に比べて、MEAを形成する際のプレス温度がより低い状態で、電解質膜と電極との良好な接合を実現できた。
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜は、高分子電解質型燃料電池(PEFC)をはじめとする様々な用途に使用できる。また、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる従来の高分子電解質膜に比べて低コストで製造でき、本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜を使用することで、PEFCの低コスト化が可能となる。
1 膜電極接合体(MEA)
2 電解質膜
3 アノード電極
4 カソード電極
5 アノードセパレータ
6 カソードセパレータ
11 高分子電解質型燃料電池(PEFC)

Claims (3)

  1. フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる基体に、プロトン伝導基を有する側鎖がグラフト重合された構造を有するプロトン伝導性高分子電解質膜。
  2. 高分子電解質膜と、
    前記電解質膜を挟持するように配置された一対の電極と、
    前記一対の電極を挟持するように配置された一対のセパレータと、を備え、
    前記電解質膜が、請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である膜電極接合体。
  3. 高分子電解質膜と、
    前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極と、
    前記一対の電極を狭持するように配置された一対のセパレータと、を備え、
    前記電解質膜が、請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である高分子電解質型燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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