JP2017145160A - SiC単結晶の製造装置及びSiC単結晶の製造方法 - Google Patents

SiC単結晶の製造装置及びSiC単結晶の製造方法 Download PDF

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豊 岸田
和明 関
Kazuaki Seki
和明 関
楠 一彦
Kazuhiko Kusunoki
一彦 楠
寛典 大黒
Hironori Oguro
寛典 大黒
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Mikihisa Kawatari
幹尚 加渡
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Masaki Doi
雅喜 土井
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Abstract

【課題】シードシャフトの下端にSiC種結晶を取り付けるために、台座を用いる場合であっても、結晶成長界面を凹形状にすることができる、SiC単結晶の製造装置及びSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の実施の形態によるSiC単結晶の製造装置(10)は、溶液成長法に用いられる。SiC単結晶の製造装置は、シードシャフト(26)と、台座(28)とを備える。シードシャフトは、上下方向に延びる。台座は、シードシャフトの下端(263)に取り付けられ、SiC種結晶(32)を支持するために用いられる。台座は、中央部(285)と、周縁部(286)とを有する。中央部は、台座の高さ方向から見て、台座の中心(C1)を含む。周縁部は、台座の高さ方向から見て、中央部を囲む。周縁部は、中央部よりも、台座の下面から上面に熱を伝達しやすい。【選択図】図2

Description

本発明は、SiC単結晶の製造装置、及び、SiC単結晶の製造方法に関し、詳しくは、溶液成長法に用いられるSiC単結晶の製造装置、及び、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、熱的及び化学的に安定な化合物半導体である。SiCは、シリコン(Si)と比較して、優れたバンドギャップ、絶縁破壊電圧、電子飽和速度及び熱伝導率を有する。そのため、SiCは、次世代の半導体材料として期待されている。
SiC単結晶の製造方法として、気相成長法に属する昇華再結晶法と、溶液成長法とが、従来から知られている。
昇華再結晶法では、原料のSiC粉末を、2200〜2500℃の高温で昇華させる。低温部に配置した、SiC単結晶からなる種結晶基板上に、SiCを析出させて、バルク状の単結晶を得る。昇華再結晶法は、口径が大きい単結晶の製造に適している。しかしながら、昇華再結晶法で製造されたSiC単結晶は、マイクロパイプ欠陥や積層欠陥などの格子欠陥を多く含む。加えて、結晶多形(ポリタイプ)や不純物キャリア濃度の制御が容易ではない。
溶液成長法では、黒鉛坩堝内で、Si又はSi含有合金を融解し、その溶液中に黒鉛坩堝から炭素を溶解させる。低温部に設置した種結晶基板上に、SiC単結晶層を液相析出によって成長させて、バルク状の単結晶を得る。溶液成長法は、熱的平衡状態下での結晶成長である。そのため、格子欠陥が非常に少なく、結晶性の良好な良質のSiC単結晶が得られる。
なお、SiC単結晶の製造方法として、上記製造方法のほかに、CVD法がある。CVD法は、原料としてシランガスと炭化水素系ガスとを用い、加熱した基板(例えば、Si基板)上に、気相化学反応により、SiC単結晶をエピタキシャル成長させる。CVD法は、バルク状のSiC単結晶よりも薄膜状のSiC単結晶を製造するのに適している。
溶液成長法では、Si又はSi及び添加元素を含有する融液に炭素(C)が溶解した溶液(以降、SiC溶液と称する)の液面に対して、SiC種結晶を接触させて、SiC単結晶を育成する。溶液成長法には、TSSG(Top Seeded Solution Growth)法がある。TSSG法によれば、欠陥の少ない高品質のSiC単結晶が得られる(例えば、非特許文献1及び2参照)。
TSSG法に用いる装置では、原料を入れた黒鉛製の坩堝を取り囲むように、ソレノイド型の誘導加熱コイルが配置されている。誘導加熱コイルには、電源から供給される高周波の交番電流が流れる。このとき、高周波磁場が発生する。この高周波磁場により、電気伝導性を有する坩堝が、電磁誘導によって加熱される。これにより、原料が溶けて、坩堝内にSiC溶液が生成される。
坩堝内に生成されたSiC溶液に対して、シードシャフトの下端に取り付けられたSiC種結晶を接触させる。これにより、SiC単結晶をSiC種結晶上に成長させることができる。
上記装置では、坩堝の周囲は断熱材で覆われているが、シードシャフトの周囲は断熱材で覆われていない。そのため、シードシャフトの下端に取り付けられたSiC種結晶からの熱は、シードシャフトを伝わって逃げる。その結果、SiC溶液の種結晶近傍部分の温度が他の部分の温度よりも低くなっている。このとき、SiC溶液の種結晶近傍部分は、過飽和状態となる。その結果、SiC単結晶が成長する。
ここで、坩堝の材料として黒鉛を用いるのは、溶質である炭素を溶液に供給するためである。また、シリコンを溶媒とする原料溶液は、電気伝導性を有する。そのため、原料溶液は、誘導加熱されるときに、ローレンツ力によって誘導撹拌される。この誘導攪拌により、溶質である炭素を、坩堝から結晶成長界面に供給する能力を大きくできる。
溶液成長法によって欠陥の密度が低く高品質な結晶が得られる理由のひとつとして、結晶のステップ成長との関係が指摘されている。溶液成長法では、結晶成長界面において、高さが約10nmで、幅100nm程度の均等な間隔を持った縞状のマクロステップ構造が発達している。このステップ構造の横方向への進行(ステップフロー)によって、古い成長面が新しい成長面で更新され、結晶成長が進む。このとき、結晶中に生成された貫通螺旋転位(ТSD)や貫通刃状転位(TED)が、マクロステップの壁面から排出される効果が明らかにされている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、成長界面近傍のSiC溶液の流れがステップフローと同方向である場合には、ステップ成長が安定していない。そのため、ステップの蛇行や間隔の変動が発生する。その結果、ステップ構造が乱れて、新たな結晶欠陥が発生することや、転位の排除効率が低下することが報告されている(例えば、特許文献2及び3、非特許文献2参照)。従って、溶液成長法によって、より欠陥の少ない結晶を得るには、結晶成長界面でステップフローとSiC溶液の流れとを逆方向にすることが求められる。
ここで、結晶成長界面でのステップフローの方向は、結晶成長界面の形状で決まる。例えば、結晶成長界面が溶液に向かって(下側に)凸形状を有する場合、ステップフローは、結晶成長界面の中心から外周に向かう。これに対して、結晶成長界面が凹形状を有する場合には、ステップフローは、結晶成長界面の外周から中心に向かう。
TSSG法では、熱は、誘導加熱される黒鉛坩堝の側壁からSiC種結晶を経て、SiC種結晶を支持するシード軸に向かって流れる。そのため、結晶成長界面は、熱の流れに直交して、溶液側(下側)に凸となる傾向がある。このときのステップフローは、結晶成長界面の中心から外周に向かう。
しかしながら、ソレノイド型の誘導加熱コイルの内側に設置された坩堝内の導電性流体には、坩堝の中心軸線に沿って上昇し、液面上を坩堝の側壁に向う流れが発生する。これは、鉄鋼や金属の精錬業において広く知られている。この原因は電磁気学の原理から明らかである。例えば、非特許文献4では、この現象を、誘導撹拌炉の軸対称鉛直断面図を示して、液面に沿って坩堝の中心から側壁に向かって流れる渦と、坩堝の底面に沿って坩堝の中心から側壁に向かって流れる渦とからなる流動構造によるものであると解説している。このことは、誘導加熱を用いるTSSG法においては、結晶成長界面において、結晶の中心から外周に向かうステップフローと溶液の流れとが同じ方向になり、結晶中の転位密度を削減するのに不利な状況にあることを意味している。
そこで、結晶成長界面の形状を凹形状にすれば、ステップフローと溶液の流れを逆方向にできる。特許文献5及び6では、結晶成長界面を凹形状にするために、シードシャフトを中空形状とし、シードシャフトの底壁の上面に断熱材を配置するとともに、当該底壁の下面にSiC種結晶を配置することが提案されている。
特開2004−224666号公報 特開2014−43366号公報 特開2014−43369号公報 特開2014―47096号公報 特開2014―19614号公報 国際公開第2014/013698号
松波他、半導体SiC技術と応用(第2版)p.51. A. Chernov, Journal of Crystal Growth, 132, 405 (1993) C. Zhu, et al., Crystal Growth & Design, 13 (2013) 3691. R. Moreau、"Magnetohydrodynamics"(1990), Kluwer Academic Publishers
上記のように、特許文献5及び特許文献6では、シードシャフトの底壁の上面に断熱材を配置するとともに、当該底壁の下面にSiC種結晶を配置している。断熱材をSiC種結晶に近づければ、断熱材による効果を高めることができる。断熱材をSiC種結晶に近づけるために、例えば、シードシャフトの底壁の厚みを小さくすることが考えられる。しかしながら、底壁の厚みを小さくすると、底壁の強度が低下する。
SiC種結晶をシードシャフトの下端に直接取り付けると、SiC単結晶を成長させるときに、SiC溶液や蒸気の付着等により、SiC種結晶がシードシャフトに固着することがある。この場合、SiC種結晶を結晶成長温度から室温に冷却する過程で、SiC種結晶とシードシャフトとの熱膨張率の差に起因する熱応力により、シードシャフト及びSiC種結晶が破損するおそれがある。なお、上記の冷却過程での破損を免れたとしても、SiC種結晶とシードシャフトとが固着しているために、SiC種結晶をシードシャフトから取り外すことは困難である。そのため、SiC種結晶をシードシャフトから取り外すときに、シードシャフト及びSiC種結晶が破損するおそれがある。特に、断熱材をSiC種結晶に近づけるために、底壁を薄くしている場合には、シードシャフトが破損するおそれがさらに高まる。そこで、シードシャフトからSiC種結晶を取り外しやすくするために、着脱可能な台座を介して、シードシャフトの下端にSiC種結晶を取り付けることが考えられる。
しかしながら、台座を介して、シードシャフトの下端にSiC種結晶を取り付けると、シードシャフトの下端に対してSiC種結晶を直接取り付ける場合と比べて、断熱材からSiC種結晶までの距離が遠くなる。そのため、特許文献5及び特許文献6に記載の構成では、断熱材を配置したことによる効果が得られ難くなるおそれがある。
本発明の目的は、シードシャフトの下端にSiC種結晶を取り付けるために、台座を用いる場合であっても、結晶成長界面を凹形状にすることができる、SiC単結晶の製造装置及びSiC単結晶の製造方法を提供することである。
本発明の実施の形態によるSiC単結晶の製造装置は、溶液成長法に用いられる。SiC単結晶の製造装置は、シードシャフトと、台座とを備える。シードシャフトは、上下方向に延びる。台座は、シードシャフトの下端に取り付けられ、SiC種結晶を支持するために用いられる。台座は、中央部と、周縁部とを有する。中央部は、台座の高さ方向から見て、台座の中心を含む。周縁部は、台座の高さ方向から見て、中央部を囲む。周縁部は、中央部よりも、台座の下面から上面に熱を伝達しやすい。
上記製造装置においては、台座の中央部よりも周縁部において、台座の下面から上面に熱が伝達しやすい。そのため、台座でSiC種結晶を支持するときに、SiC種結晶の縁部を台座の周縁部に重ねれば、SiC種結晶の中央部よりも縁部において、抜熱量が大きくなる。その結果、SiC種結晶上に成長するSiC単結晶において、中央部よりも縁部の成長速度が大きくなる。つまり、SiC単結晶の結晶成長界面が凹形状になる。
本発明の実施の形態による製造装置の概略構成を示す模式図である。 シードシャフトの下端に取り付けられた台座を示す断面図である。 SiC単結晶の製造工程を説明するための図面であって、台座の下面にSiC種結晶が取り付けられた状態を示す断面図である。 SiC単結晶の製造工程を説明するための図面であって、SiC種結晶が台座を介してシードシャフトの下端に取り付けられた状態を示す断面図である。 SiC単結晶の製造工程を説明するための図面であって、SiC種結晶がSiC溶液に接している状態を示す断面図である。 台座の応用例1を示す断面図である。 台座の応用例2を示す断面図である。 台座の応用例3を示す断面図である。 台座の応用例4を示す断面図である。 シミュレーションの条件を説明するための説明図である。 比較例1としての台座を示す断面図である。 図2に示す台座を用いた場合の等温線のシミュレーション結果である。 図2に示す台座を用いた場合の熱流線のシミュレーション結果である。 図4に示す台座を用いた場合の等温線のシミュレーション結果である。 図4に示す台座を用いた場合の熱流線のシミュレーション結果である。 図5に示す台座を用いた場合の等温線のシミュレーション結果である。 図5に示す台座を用いた場合の熱流線のシミュレーション結果である。 図9に示す台座を用いた場合の等温線のシミュレーション結果である。 図9に示す台座を用いた場合の熱流線のシミュレーション結果である。 台座(本発明例1−3、比較例1)の径方向での位置と、その位置での熱流線の傾斜角度との関係を示すグラフである。 SiC単結晶の径方向での位置と、その位置での成長厚みの平均値との関係を示すグラフである。 比較例2としての台座を示す断面図である。 図6に示す台座を用いた場合の等温線のシミュレーション結果である。 図6に示す台座を用いた場合の熱流線のシミュレーション結果である。 図7に示す台座を用いた場合の等温線のシミュレーション結果である。 図7に示す台座を用いた場合の熱流線のシミュレーション結果である。 図16に示す台座を用いた場合の等温線のシミュレーション結果である。 図16に示す台座を用いた場合の熱流線のシミュレーション結果である。 台座(本発明例4−5、比較例2)の径方向での位置と、その位置での熱流線の傾斜角度との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図中同一又は相当部分には、同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
[製造装置]
図1は、本発明の実施の形態によるSiC単結晶の製造方法に用いられる製造装置10の模式図である。図1に示す製造装置10は、溶液成長法(具体的には、TSSG法)に用いられる製造装置の一例である。溶液成長法に用いられる製造装置は、図1に示す製造装置10に限定されない。
製造装置10は、チャンバ12と、坩堝14と、断熱カバー16と、誘導加熱コイル18と、電源20と、支持軸22と、駆動源24と、シードシャフト26と、台座28と、駆動源30とを備える。
チャンバ12は、坩堝14を収容する。SiC単結晶を製造するとき、チャンバ12は冷却される。
坩堝14は、SiC溶液15を収容する。ここで、SiC溶液15とは、Si又はSi合金の融液にカーボン(C)が溶解した溶液をいう。坩堝14は、側壁141と底壁142とを有する。好ましくは、坩堝14は、炭素を含有する。この場合、坩堝14は、SiC溶液15への炭素供給源になる。
断熱カバー16は、断熱材からなる。断熱カバー16は、坩堝14を取り囲む。これにより、坩堝14の温度が低下し難くなる。
誘導加熱コイル18は、ソレノイド型のコイルである。誘導加熱コイル18は、側壁141の周囲に巻かれている。誘導加熱コイル18には、電源20が接続されている。電源20は、誘導加熱コイル18に交番電流を供給する。これにより、坩堝14が誘導加熱される。その結果、SiC溶液15が生成される。また、誘導加熱コイル18に供給される交番電流を制御することにより、SiC溶液15が結晶成長温度に維持される。結晶成長温度は、SiC単結晶を成長させるときのSiC溶液15の温度である。結晶成長温度は、例えば、1650〜1850℃である。
支持軸22は、チャンバ12の高さ方向(図1の上下方向)に延びる。支持軸22の上端は、断熱カバー16内に位置する。支持軸22の上端には、坩堝14が配置される。支持軸22の下端は、チャンバ12の外側に位置する。
駆動源24は、チャンバ12の下方に配置される。駆動源24は、支持軸22に連結される。駆動源24は、支持軸22の中心軸線周りに、支持軸22を回転させる。
シードシャフト26は、黒鉛からなる。シードシャフト26は、チャンバ12の高さ方向に延びる。シードシャフト26は、中空形状を有する。つまり、シードシャフト26は、側壁261と、底壁262とを有する(図2参照)。シードシャフト26の上端は、チャンバ12の外側に位置する。シードシャフト26の下端263(つまり、底壁262の下面)には、台座28が取り付けられる。
台座28は、SiC種結晶32をシードシャフト26の下端263に取り付けるために用いられる。台座28は、中央部と周縁部とを有する。台座28の中央部は、例えば、SiC種結晶32が円板形状を有する場合、台座28の中心軸線(台座28の高さ方向から見たときの台座28の中心)からの距離が、SiC種結晶32の半径の2/3未満の部分である。台座28の周縁部は、台座28のうち、台座28の中央部を除いた部分である。台座28の周縁部は、台座28の高さ方向から見たときに、台座28の中央部を囲んでいる。台座28の周縁部は、台座28の中央部よりも、下面から上面に熱を伝達しやすい。台座28の中央部よりも周縁部で下面から上面への熱伝達を容易にするには、例えば、中央部に断熱材を配置することや、周縁部の上端の面積を下端の面積よりも大きくすること等が考えられる。台座28の詳細については、後述する。
SiC種結晶32は、円板形状を有する。SiC種結晶32は、平面視で、台座28と同じ大きさを有する。SiC種結晶32は、SiC単結晶からなる。SiC種結晶32の結晶構造は、例えば、4H多形である。SiC種結晶32の結晶成長界面は、C面であってもよいし、Si面であってもよい。結晶成長界面のオフ角は、例えば、1°〜4°である。ここで、結晶成長界面のオフ角は、結晶成長界面に垂直な方向に延びる直線と、c軸方向に延びる直線とが為す角度である。
駆動源30は、チャンバ12の上方に配置される。駆動源30は、シードシャフト26に連結される。駆動源30は、シードシャフト26を昇降する。駆動源30は、さらに、シードシャフト26の中心軸線周りに、シードシャフト26を回転させる。
[台座]
続いて、図2を参照しながら、台座28の詳細について説明する。台座28は、本体28Xと、断熱材28Yとを備える。
本体28Xは、例えば、黒鉛からなる。本体28Xは、円板形状を有する。図2に示す例では、本体28Xの直径は、シードシャフト26の直径よりも小さい。本体28Xは、上面281と、下面282と、側面283とを有する。
上面281は、円形である。上面281は、シードシャフト26の下端263に取り付けられる。
上面281の中央には、凹部284が形成されている。凹部284は、底面2841と、側面2842とを有する。
底面2841は、円形である。台座28の高さ方向(図2の上下方向)から見て、底面2841の中心は、上面281の中心と一致している。つまり、底面2841は、上面281と同軸上に位置している。
側面2842は、筒状面である。つまり、側面2842は、略一定の直径で台座28の高さ方向にストレートに延びている。側面2842の下端は、底面2841の縁に接続されている。
側面2842の高さ、つまり、凹部284の深さは、例えば、台座28の高さの1/2以下である。凹部284の深さは、好ましくは、台座28の高さの1/3以下である。
下面282は、上面281の下方に位置している。下面282は、円形である。下面282は、上面281と同じ大きさを有する。台座28の高さ方向から見て、下面282の中心は、上面281の中心と重なる。つまり、下面282は、上面281と同軸上に位置している。下面282には、SiC種結晶32が取り付けられる。
側面283は、筒状面である。つまり、側面283は、略一定の直径で台座28の高さ方向にストレートに延びている。側面283の上端は、上面281の縁に接続されている。側面283の下端は、下面282の縁に接続されている。
断熱材28Yは、円板形状を有する。断熱材28Yは、本体28Xよりも低い熱伝導率を有する。断熱材28Yは、凹部284に収容されている。このとき、断熱材28Yは、本体28Xと同軸上に位置している。断熱材28Yの下面は、凹部284の底面2841に接着されてもよい。断熱材28Yが凹部284に収容された状態で、断熱材28Yの上面は、台座28の高さ方向で、本体28Xの上面281と同じ位置にあってもよいし、上面281よりも低い位置にあってもよい。
台座28は、中央部285と、周縁部286とを有する。以下、これらについて説明する。
中央部285は、台座28のうち、台座28の高さ方向から見たときに、断熱材28Yを含む部分である。中央部285は、台座28の高さ方向から見ると、円形状を有している。中央部285は、台座28の高さ方向から見て、台座28の中心軸線L1(つまり、台座28の中心C1)を含む位置に形成されている。
周縁部286は、台座28のうち、台座28の高さ方向から見たときに、中央部285を除いた部分である。周縁部286は、台座28の高さ方向から見ると、円環形状を有している。つまり、周縁部286は、台座28の高さ方向から見て、台座28の中心軸線L1周りの周方向に全周に亘って形成されている。要するに、周縁部286は、台座28のうち、台座28の高さ方向から見たときに、中央部285を囲む部分である。周縁部286は、台座28の側面283を含む。
上記のように、中央部285は、断熱材28Yを含む。断熱材28Yは、本体28Xよりも低い熱伝導率を有する。つまり、中央部285は、周縁部286よりも、台座28の高さ方向に熱を伝え難い。言い換えると、周縁部286は、中央部285よりも、台座28の高さ方向に熱を伝え易い。
図2に示す例では、断熱材28Yの下面の全体が凹部284の底面2841の全体に接しているが、例えば、凹部284の底面2841は、断熱材28Yの下面よりも大きくてもよい。つまり、台座28の高さ方向から見たときに、凹部284の底面2841は、中央部285よりも大きくてもよい。
凹部284の深さは一定でなくてもよい。例えば、凹部284は、中心に近いほど深くなっていてもよい。この場合、断熱材28Yの厚みは、中心に近いほど大きくしてもよい。
[製造方法]
続いて、製造装置10を用いたSiC単結晶の製造方法について説明する。
先ず、図3Aに示すように、SiC種結晶32を台座28に取り付ける。具体的には、SiC種結晶32の上面を、接着剤により、台座28の下面282に貼り付ける。
このとき、台座28の高さ方向から見て、SiC種結晶32の下面(SiC単結晶が成長する面)の中心は、台座28の中心軸線L1上に位置している。つまり、SiC種結晶32は、台座28と同軸上に位置している。
ここで、SiC種結晶32は、平面視で、台座28と同じ大きさを有する。そのため、SiC種結晶32の上面の全体が、台座28の下面282の全体に重なっている。
なお、SiC種結晶32が台座28に取り付けられた状態で、SiC種結晶32の縁は、台座28の下面282の縁よりも、台座28の中心軸線L1に垂直な方向(径方向)で少しだけ外側に位置していてもよい。
台座28の高さ方向から見て、SiC種結晶32の縁部321は、中央部285に重ならない。つまり、SiC種結晶32の縁部321の全体が、台座28の高さ方向から見たときに、周縁部286に重なる。ここで、SiC種結晶32の縁部321は、SiC種結晶32の側面を含む。SiC種結晶32の縁部321は、例えば、SiC種結晶32が円板形状を有する場合、SiC種結晶32の半径を3等分したときに、径方向で最も外側に位置する環状の部分である。SiC種結晶32の縁部321は、SiC単結晶の成長界面を凹形状にするために、SiC単結晶の成長厚みを中心よりも大きくすべき部分であって、成長厚みが最大となる部分を含む。
続いて、図3Bに示すように、SiC種結晶32が取り付けられた台座28を、シードシャフト26の下端263に取り付ける。具体的には、台座28の上面281を、接着剤により、シードシャフト26の下端263に貼り付ける。このとき、台座28の中心C1は、シードシャフト26の中心軸線L2上に位置している。つまり、台座28は、シードシャフト26と同軸上に配置されている。なお、断熱材28Yの上面が、台座28の高さ方向で、台座28の上面281と同じ位置にある場合には、断熱材28Yの上面も、接着剤により、シードシャフト26の下端263に貼り付けてもよい。
続いて、チャンバ12内の支持軸22上に、坩堝14を配置する。このとき、坩堝14は、SiC溶液15の原料を収容している。原料は、例えば、Siのみであってもよいし、Siと他の金属元素との混合物であってもよい。金属元素は、例えば、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、バナジウム(V)、鉄(Fe)等である。原料の形態としては、例えば、複数の塊や粉末等がある。
続いて、SiC溶液15を生成する。先ず、チャンバ12内に不活性ガスを充填する。そして、誘導加熱コイル18により、坩堝14を誘導加熱する。坩堝14を誘導加熱することにより、坩堝14が収容するSiC溶液15の原料を融点以上に加熱する。坩堝14が炭素を含む場合(例えば、坩堝14が黒鉛からなる場合)、坩堝14を加熱すると、坩堝14から炭素が融液に溶け込む。これにより、SiC溶液15が生成される。炭素の融液への溶け込みが続くと、SiC溶液15の炭素濃度が飽和濃度に近づく。
続いて、駆動源30により、シードシャフト26を降下し、図3Cに示すように、SiC種結晶32の下面をSiC溶液15に接触させる。このとき、SiC種結晶32をSiC溶液15に浸漬してもよい。
SiC種結晶32の下面をSiC溶液15に接触させた後、誘導加熱コイル18による坩堝14の誘導加熱を継続して、SiC溶液15を結晶成長温度に保持する。結晶成長温度は、1650〜1850℃であり、好ましくは、1700〜1800℃である。
また、SiC溶液15におけるSiC種結晶32の近傍を過冷却して、SiCを過飽和状態にする。このとき、SiC溶液15のうち、SiC種結晶32の直下の温度勾配は、0℃/cmよりも大きければよい。温度勾配の下限は、好ましくは、5℃/cmであり、より好ましくは、7℃/cmである。なお、温度勾配が大きすぎると、結晶成長速度が過度に大きくなり、結晶成長界面の形状を良好に維持するのが難しくなる。温度勾配の上限は、20℃/cmである。温度勾配の上限は、好ましくは、15℃/cmであり、より好ましくは、11℃/cmである。
SiC溶液15におけるSiC種結晶32の近傍を過冷却する方法は、特に限定されない。例えば、誘導加熱コイル18への通電を制御して、SiC溶液15におけるSiC種結晶32の近傍領域の温度を、他の領域の温度よりも低くしてもよい。
SiC溶液15におけるSiC種結晶32の近傍領域のSiCを過飽和状態にしたまま、SiC種結晶32とSiC溶液15(坩堝14)とを回転する。シードシャフト26を回転することにより、SiC種結晶32が回転する。支持軸22を回転することにより、坩堝14が回転する。SiC種結晶32の回転方向は、坩堝14の回転方向と逆方向でも良いし、同じ方向でも良い。回転速度は、一定であっても良いし、変動しても良い。シードシャフト26は、回転しながら、徐々に上昇する。このとき、SiC溶液15に接触しているSiC種結晶32の下面に、SiC単結晶が成長する。なお、シードシャフト26は、上昇せずに回転しても良いし、上昇も回転もしなくても良い。
製造装置10では、シードシャフト26が中空構造である。そのため、底壁262の上方への輻射抜熱を利用することができる。底壁262の輻射抜熱により、台座28が抜熱される。台座28が抜熱されることにより、SiC種結晶32が抜熱される。SiC種結晶32が抜熱されることにより、SiC溶液15のうち、SiC種結晶32の近傍が冷却される。
ここで、台座28は、中央部285と、周縁部286とを有する。周縁部286は、中央部285よりも、台座28の高さ方向に熱を伝え易い。そのため、SiC種結晶32のうち、周縁部286と重なる部分(SiC種結晶32の縁部321)は、中央部285と重なる部分よりも、抜熱されやすい。つまり、SiC種結晶32のうち、周縁部286と重なる部分(SiC種結晶32の縁部321)では、中央部285と重なる部分よりも、SiC単結晶の成長速度が向上する。その結果、SiC単結晶の結晶成長界面は、凹形状になる。
溶液成長法によって、より欠陥の少ないSiC単結晶を得るには、結晶成長界面でステップフローとSiC溶液15の流れを逆方向にすればよい。結晶成長界面が凹形状の場合、ステップフローは、結晶成長界面の外周から中心に向かう。
製造装置10では、ソレノイド型の誘導加熱コイル18が用いられている。そのため、ソレノイド型の誘導加熱コイル18の内側に設置された坩堝14内の導電性流体(SiC溶液15)には、坩堝14の中心軸線に沿って上昇し、液面に沿って坩堝14の側壁141に向う流れが発生する。つまり、製造装置10では、結晶成長界面でステップフローとSiC溶液15の流れを逆向きにすることができる。その結果、製造装置10では、製造されるSiC単結晶において、欠陥を少なくすることができる。
なお、製造装置10では、シードシャフト26の底壁262の上面に対して、底壁262よりも熱伝導率が低い断熱材を配置してもよい。これにより、底壁262の抜熱量がシードシャフト26の中心軸線L2に垂直な方向(径方向)でばらつくのを抑制することができる。
また、製造装置10では、SiC種結晶32を支持するための台座28を巧く利用して、断熱材28YをSiC溶液15の近くに配置している。そのため、シードシャフト26の底壁262の上面に断熱材を配置する場合と比べて、SiC単結晶の成長が進んでも、断熱材による効果(抜熱量を制限する効果)が得られやすい。
また、製造装置10では、断熱材28Yの下面を凹部284の底面2841に接着し、且つ、断熱材28Yの上面をシードシャフト26の下端263に接着すれば、台座28のシードシャフト26への接着面積を確保することができる。そのため、凹部284を形成したことによる接着面積の低下を回避して、台座28のシードシャフト26への取付状態を安定させることができる。
[台座の応用例1]
例えば、台座28の代わりに、図4に示す台座28Aを用いてもよい。台座28Aは、台座28と比べて、本体28Xの代わりに、本体28X1を備える点で異なる。本体28X1は、本体28Xと比べて、側面283の代わりに、側面2831を備える点で異なる。側面2831は、台座28Aの中心軸線L1に対して、傾斜している。つまり、側面2831は、テーパ面である。側面2831の下端は、側面2831の上端よりも、中心軸線L1に直交する方向(径方向)で内側に位置している。言い換えると、側面2831の上端は、側面2831の下端よりも径方向で外側に位置している。
側面2831の中心軸線L1に対する傾斜角度θは、例えば、20°以上である。傾斜角度θは、好ましくは、30°以上であり、より好ましくは、40°以上であり、さらに好ましくは、50°以上である。傾斜角度θが大きくなり過ぎると、SiC種結晶32をSiC溶液15に接触させるときに、台座28AがSiC溶液15に接触するおそれがある。傾斜角度θの上限は、例えば、75°である。
台座28Aでは、側面2831の上端が、側面2831の下端よりも、台座28Aの径方向で外側に位置している。そのため、周縁部286Aの上端の幅(台座28Aの径方向での長さ)が、周縁部286Aの下端の幅(台座28Aの径方向での長さ)よりも大きくなっている。その結果、周縁部286Aでは、下端から上端に向かって、熱が逃げ易くなっている。したがって、台座28Aでは、台座28よりも、SiC種結晶32の縁部321を抜熱しやすい。そのため、結晶成長界面の凹形状化が容易になる。
[台座の応用例2]
例えば、テーパ状の側面2831を有するのであれば、台座28Bは、図5に示すように、断熱材28Yを備えていなくてもよい。この場合、側面2831の上端が、側面2831の下端よりも、台座28Aの径方向で外側に位置しているので、周縁部286Bでは、下端から上端に向かって、熱が逃げ易くなる。台座28Bにおいても、SiC種結晶32の縁部321を抜熱しやすくなるので、結晶成長界面を凹形状にすることができる。なお、周縁部286Bは、台座28Bの高さ方向から見て、SiC種結晶32の縁部321と重なる部分である。中央部285Bは、周縁部286Bの内側に位置する部分である。
なお、台座28Bを用いる場合には、シードシャフト26の底壁262の上面に対して、底壁262よりも低い熱伝導率を有する断熱材34が配置される。底壁262の抜熱量がシードシャフト26の中心軸線L2に垂直な方向(径方向)でばらつくのを抑制することができるので、台座28Bを用いることによる効果(SiC種結晶32の縁部321を抜熱しやすくする)が得やすくなる。
[台座の応用例3]
例えば、図6に示すように、台座28Cが有する凹部284の底面2841に対して、シードシャフト26Aの下端が取り付けられていてもよい。ここで、シードシャフト26Aは、本体26A1と、取付部26A2とを有する。本体26A1は、中実のロッド形状を有する。取付部26A2は、本体26A1よりも大径の円板形状を有する。本体26A1の下端に対して、取付部26A2が一体的に形成されている。
台座28Cは、断熱材28Yを備えていない。つまり、台座28Cは、本体28X2からなる。図6に示す例では、凹部284の底面2841は、台座28Cの下面282よりも僅かに小さい。図6に示す例では、SiC種結晶321は、台座28Cの下面282の全体に取り付けられている。
台座28Cは、側面2832を有する。側面2832は、側面283Aと、側面283Bとを有する。側面283Aは、略一定の直径で上下方向にストレートに延びる筒状面である。側面283Bは、台座28Cの中心軸線L1に対して傾斜するテーパ面である。側面283Bの下端は、側面283Bの上端よりも、中心軸線L1に直交する方向(径方向)で内側に位置している。言い換えると、側面283Bの上端は、側面283Bの下端よりも径方向で外側に位置している。側面283Bの上端は、側面283Aの下端に接続されている。つまり、側面283Aの上端は、側面283Bの下端よりも、径方向で外側に位置している。側面283Aの高さは、例えば、側面283Bの中心軸線L1に対する傾斜角度θ及び台座28Cの高さに応じて、適当に設定される。
台座28Cでは、側面283Aの上端が、側面283Bの下端よりも、台座28Cの径方向で外側に位置しているので、周縁部286Cでは、下端から上端に向かって、熱が逃げ易くなる。台座28Cにおいても、SiC種結晶32の縁部321を抜熱しやすくなるので、結晶成長界面を凹形状にすることができる。なお、周縁部286Cは、台座28Cの高さ方向から見て、SiC種結晶32の縁部321と重なる部分である。中央部285Cは、周縁部286Cの内側に位置する部分である。
[台座の応用例4]
例えば、図7に示すように、台座28Dが有する凹部284に収容された断熱材28Yの上面に対して、シードシャフト26Aの下端が取り付けられていてもよい。台座28Dでは、側面283Aの上端が、側面283Bの下端よりも、台座28Dの径方向で外側に位置している。そのため、周縁部286Dでは、下端から上端に向かって、熱が逃げ易くなる。台座28Dにおいても、SiC種結晶32の縁部321を抜熱しやすくなるので、結晶成長界面を凹形状にすることができる。なお、周縁部286Dは、台座28Dの高さ方向から見て、中央部285Dを囲む部分である。中央部285Dは、台座28Dの高さ方向から見て、断熱材28Yを含む部分である。図7に示す例では、台座28Dの高さ方向からみて、SiC種結晶32の縁部321の外周縁部が周縁部286Dに重なる。
[実施例1]
SiC種結晶の周辺部分の等温線と熱流線とをシミュレーションで調査した。図8を参照しつつ、製造装置10のシミュレーションの条件について説明する。
坩堝14は、黒鉛製とした。坩堝14の外半径R1は、60mmとした。坩堝14の内半径R2は、50mmとした。坩堝14の高さH1は、110mmとした。坩堝14の深さD1は、90mmとした。坩堝14の底部には、半径30mmのR加工が施されているものとした。坩堝14の肉厚T1は、10mmとした。坩堝14が収容するSiC溶液15の深さD2は、50mmとした。
坩堝14の側壁14Aと断熱カバー16との隙間S1は、20mmとした。坩堝14の上端と断熱カバー16との隙間S2は、50mmとした。坩堝14の下端と断熱カバー16との隙間S3は、50mmとした。断熱カバー16の厚みT2は、40mmとした。
シードシャフト26の外半径R3は、45mmとした。シードシャフト26の厚みは、3mmとした。シードシャフト26の長さH2は、200mmとした。シードシャフト26の底壁262の上面には、厚さ10mmのカーボンファイバー製の断熱材を配置した。
支持軸22の外半径R4は、40mmとした。支持軸22の長さH3は、200mmとした。
誘導加熱コイル18は、銅製のパイプを螺旋状に巻いたソレノイドコイルとした。巻き数は、12周回とした。誘導加熱コイル18の内半径R5は、150mmとした。誘導加熱コイル18の高さH4は、300mmとした。誘導加熱コイル18は、坩堝14と同軸上に配置した。坩堝14が収容するSiC溶液15の液面と、誘導加熱コイル18の高さ方向の中心とが一致しているものとした。誘導加熱コイル18に流れる交番電流の周波数は、5kHzとした。
シミュレーションには、有限要素法のソルバーを用いた。部材間の熱伝導、輻射及び溶液流動による熱伝達を考慮した2次元軸対称の定常モデルを用いた。
境界条件は、以下のとおりとした。
(1)断熱カバー16の外周面での熱流を室温(300K)に対する輻射とした。
(2)支持軸22の下端面及びシードシャフト26の上端面を、室温(300K)に固定した。
(3)プロセスタイミングとして、SiC種結晶32からSiC単結晶が成長する直前を想定した。SiC種結晶32の側面(外周端面)温度を、2230Kとした。
シミュレーションは、図2に示す台座28を用いた場合(本発明例1)と、図4に示す台座28Aを用いた場合(本発明例2)と、図5に示す台座28Bを用いた場合(本発明例3)とについて行った。また、比較のために、図9に示す台座28Eを用いた場合(比較例1)についても、シミュレーションをした。台座28Eは、台座28と比べて、断熱材28Yを備えていない点で異なる。各台座について、シミュレーションの条件は、以下のとおりとした。
台座28の上面281及び下面282の直径は、48mmとした。台座28の高さは、10mmとした。台座28の本体28Xは、黒鉛製とした。ここで、本体28Xの材料である黒鉛とは、等方向性黒鉛と称されるものであって、炭素の粉末に静水圧プレスを加えて凝集成形したものを高温度で焼結させたものである。
断熱材28Yの直径は、30mmとした。断熱材28Yの厚さは、1.5mmとした。断熱材28Yは、黒鉛フォイル製とした。ここで、断熱材28Yの材料である黒鉛フォイルとは、膨張カーボンと称されるものであって、内部に多数の空隙を有する。黒鉛フォイルは、本体28Xの材料である黒鉛と比べて、密度及び伝導率が小さくなっている。
台座28A及び台座28Bでは、上面281の直径は、68mmとした。それ以外の条件は、台座28と同じとした。ただし、台座28Bについては、断熱材28Yを備えていないものとした。
SiC種結晶32のシミュレーションの条件は、以下のとおりとした。
SiC種結晶32は、SiC単結晶とした。SiC種結晶32の直径は、48mmとした。SiC種結晶32の厚さは、1mmとした。
上記の条件でシミュレーションをした。図10Aは、本発明例1の等温線のシミュレーション結果である。図10Bは、本発明例1の熱流線のシミュレーション結果である。図11Aは、本発明例2の等温線のシミュレーション結果である。図11Bは、本発明例2の熱流線のシミュレーション結果である。図12Aは、本発明例3の等温線のシミュレーション結果である。図12Bは、本発明例3の熱流線のシミュレーション結果である。図13Aは、比較例1の等温線のシミュレーション結果である。図13Bは、比較例1の熱流線のシミュレーション結果である。
また、これらのシミュレーションの結果を用いて、図14に示すグラフを作成した。図14に示すグラフは、台座の径方向での位置と、その位置での熱流線の傾斜角度(中心軸線L1に対する傾斜角度)との関係を示す。
本発明例2及び本発明例3では、台座の径方向での位置が中心から遠ざかるほど、熱流線の傾斜角度が大きくなった。本発明例2は、本発明例3よりも、台座の径方向での位置が中心から遠ざかるほど、熱流線の傾斜角度が大きくなった。テーパ状の側面を有することにより、台座の周縁部で熱が逃げ易くなっているのを確認できた。
[実施例2]
上記実施例1のシミュレーション条件で示したものと同じ部材を有する製造装置を用いて、SiC単結晶を製造した。SiC種結晶は、直径が2インチで、厚さが1mmの円板であった。このSiC種結晶を1960℃に保持したSiC溶液に接触させて、厚さ10mm程度のSiC単結晶を成長させた。成長させたSiC単結晶を、中心軸線を含む鉛直面で2つに切断し、その断面を写真撮影した。この画像に基づいて、SiC単結晶の結晶成長界面と、SiC種結晶の下面との距離(成長厚み)を測定した。この測定は、SiC種結晶の中心から縁まで、2.5mm間隔で行った。この測定は、SiC種結晶の中心軸線の左右両側で行った。左右の成長厚みの平均値と、径方向での位置(中心軸線からの距離)との関係を、図15に示す。
本発明例1、本発明例2及び本発明例3は、何れも、結晶成長界面が凹形状になった。これに対して、比較例1は、結晶成長界面が凸形状になった。本発明例2は、本発明例1と比べて、SiC種結晶の中心での成長厚みと縁での成長厚みとの差分(高低差)が大きかった。本発明例2は、本発明例3と比べて、SiC種結晶の中心での成長厚みと縁での成長厚みとの差分(高低差)が大きかった。
[実施例3]
図6に示す台座28Cを用いた場合(本発明例4)と、図7に示す台座28Dを用いた場合(本発明例5)とについても、実施例1と同様に、シミュレーションをした。また、比較のために、図16に示す台座28Fを用いた場合についても、シミュレーションをした。台座28Fは、断熱材28Yを備えていない。台座28Fでは、本体28Xに凹部284が形成されていない。本体28Xの上面281の全体に対して、シードシャフト26Aの取付部26A2の下面の全体が取り付けられている。シミュレーションの条件は、以下のとおりとした。
シードシャフト26Aの本体26A1の外径は、15mmとした。製造装置に関するその他の条件は、実施例1と同じにした。
実施例1と同じソルバーを用いた。境界条件は、実施例1と同じにした。
台座28C及び台座28Dについて、上面の直径は68mmとした。側面283Aの高さは、3mmとした。その他の条件は、台座28と同じにした。
台座28Fについて、上面及び下面の直径は、48mmとした。その他の条件は、台座28と同じにした。
SiC種結晶32については、実施例1と同じにした。
上記の条件でシミュレーションをした。図17Aは、本発明例4の等温線のシミュレーション結果である。図17Bは、本発明例4の熱流線のシミュレーション結果である。図18Aは、本発明例5の等温線のシミュレーション結果である。図18Bは、本発明例5の熱流線のシミュレーション結果である。図19Aは、比較例2の等温線のシミュレーション結果である。図19Bは、比較例2の熱流線のシミュレーション結果である。
また、これらのシミュレーションの結果を用いて、図20に示すグラフを作成した。図20に示すグラフは、台座の径方向での位置と、その位置での熱流線の傾斜角度(中心軸線L1に対する傾斜角度)との関係を示す。
本発明例4及び本発明例5では、台座の径方向での位置が中心から遠ざかるほど、熱流線の傾斜角度が大きくなった。本発明例5は、本発明例4よりも、台座の径方向での位置が中心から遠ざかるほど、熱流線の傾斜角度が大きくなった。テーパ状の側面を有することにより、台座の周縁部で熱が逃げ易くなっているのを確認できた。
以上、本発明の実施の形態について、詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態によって、何等、限定されない。
10:製造装置、14:坩堝、26:シードシャフト、263:下端、28:台座、28X:本体、28Y:断熱材、285:中央部、286:周縁部

Claims (4)

  1. 溶液成長法によるSiC単結晶の製造装置であって、
    上下方向に延びるシードシャフトと、
    前記シードシャフトの下端に取り付けられ、SiC種結晶を支持するための台座とを備え、
    前記台座は、
    前記台座の高さ方向から見て、前記台座の中心を含む中央部と、
    前記台座の高さ方向から見て、前記中央部を囲む周縁部とを有し、
    前記周縁部は、前記中央部よりも、前記台座の下面から上面に熱を伝達しやすい、SiC単結晶の製造装置。
  2. 請求項1に記載のSiC単結晶の製造装置であって、
    前記台座は、
    前記上面の中央に開口する凹部が形成された本体と、
    前記凹部内に配置され、前記本体よりも熱伝導率が低い断熱材とを含む、SiC単結晶の製造装置。
  3. 請求項1又は2に記載のSiC単結晶の製造装置であって、
    前記台座の側面の下端は、前記側面の上端よりも、前記台座の高さ方向に垂直な方向で内側に位置している、SiC単結晶の製造装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の製造装置を用いた溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、
    周縁部が中央部よりも下面から上面に熱を伝達しやすい台座に対して、SiC種結晶を取り付けて、前記SiC種結晶の縁部を前記周縁部に重ねる工程と、
    前記台座をシードシャフトの下端に取り付ける工程と、
    坩堝が収容するSiC溶液に対して、前記SiC種結晶を接触させる工程とを備える、SiC単結晶の製造方法。
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