JP2017144517A - 研削装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワーク9aの内径側に砥石12aを配置した状態で、ワーク9aの内周面と砥石12aの外周面との間に存在する空間のうち、加工点21に対して、砥石12aの径方向反対側となる位置に流体噴射装置16を構成する流体噴射用ノズル38を配置する。そして、流体噴射用ノズル38に形成された複数個の噴射口41を、砥石12aの外周面のうち、加工点21に対して径方向反対側となる部分に対向させた状態で、各噴射口41から当該部分に研削液を噴射する。
【選択図】図1
Description
該研削装置8は、特許文献1に記載されたものであり、リング状のワーク9を装置本体(図示省略)に固定する為のマグネットシュータイプの固定部10と、該ワーク9の外周面を支持する為の1対のシュー11a、11bと、該ワーク9の内径側に配置された砥石12と、駆動源(図示省略)の駆動力に基づいて該砥石12を回転駆動する為の砥石スピンドル13と、研削油供給装置14とを備えている。
ところで、上述の様な研削加工の際には、加工中に砥石表面に付着した研磨屑を、効率良く除去できないと、加工効率や砥石の寿命が低下してしまう可能性がある。
又、特許文献2にも、砥石の外周面のうち、加工点と反対となる位置に切削油を供給し、この切削油を加工点に確実に供給する事を目的とした発明が記載されている。但し、この様な発明は、前記切削油を前記砥石の外周面に噴射する構成ではない為、加工中に砥石表面に付着した研磨屑を、効率良く除去する事ができない可能性がある。
このうちの砥石は、前記ワークの内径側に配置され、回転駆動された状態で、外周面を該ワークの内周面に押し付けられるものである。
前記流体噴射装置は、前記砥石の外周面に対して流体を噴射する為のものであり、前記ワークの軸方向に関して離隔した状態で複数個の噴射口が形成されたノズルを有している。そして、該各噴射口が、前記砥石の外周面のうち、該砥石と前記ワークとの当接部である加工点に対して、該砥石の径方向反対側となる位置に前記流体を噴射可能な状態で、該砥石の外周面に対向している。好ましくは、前記各噴射口のうちの前記砥石の軸方向に関して一端側の噴射口の軸方向一端縁を、前記砥石の軸方向一端縁よりも軸方向一方側に配置すると共に、前記各噴射口のうちの前記砥石の軸方向に関して他端側の噴射口の軸方向他端縁を、前記砥石の軸方向他端縁よりも軸方向他方側に配置する。
即ち、本発明の場合、流体噴射装置を構成するノズルを、砥石とワークとの当接部である加工点の位置に対して、該砥石の径方向反対側となる位置に配置している。又、前記ノズルの各噴射口を、該砥石(ワーク)の軸方向(幅方向)に関して離隔した状態で設けると共に、該砥石の外周面に対向させている。そして、前記流体噴射装置により、前記ノズルの各噴射口から噴射された流体を、前記砥石に吹き付ける様に構成している。この為、例えば、研削加工中に生じた研磨屑のうち、前記砥石表面に付着した研磨屑を、該砥石から効率良く除去する事ができる。
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜5により説明する。尚、本例の研削装置は、例えば、リング状部材であるワーク9aの内周面を所定の内径寸法を有する円筒面に加工する際の研削加工に使用されるものである。この様な本例の研削装置は、装置本体(図示省略)と、ドライブプレート10aと、シュー(図示省略)と、砥石12aと、砥石スピンドル13aと、研削油供給装置14aと、流体噴射装置16とを備えている。
前記シューは、前述した従来構造と同様に、例えば、前記ワーク9の外径側の2箇所位置に配置されている。この様なシューは、案内面を、該ワーク9の外周面に当接させる事により、加工中の前記ワーク9の径方向に関する位置決めを図る為のものである。
このうちの砥石本体30は、短円筒状に作られたものである。
前記砥石芯金48は、金属製の短円筒状部材である。この様な砥石芯金48の外周面には、接着により前記砥石本体30が外嵌固定されている。
以上の様な構成を有する砥石12aは、前記砥石スピンドル13aを構成するスピンドル軸部28の軸方向一端部(図4の左端部)に、前記砥石芯金48を外嵌した状態で、ボルト49(図3参照、図4、5には省略)により結合固定されている。この様な砥石12aは、前記砥石スピンドル13aにより、図5に矢印Yで示す方向(図5の時計方向)に回転駆動される。
このうちのスピンドル軸部28は、例えば、転がり軸受(図示省略)等により前記スピンドルハウジング29に、該スピンドルハウジング29に対する相対回転を可能な状態に支持されている。この様なスピンドル軸部28は、例えば電動モータ等の駆動源により、図5に矢印Yで示す方向(図5の時計方向)に回転駆動される。
又、前記スピンドルハウジング29は、前記装置本体に支持されており回転しない。
このうちの第1フィルタ22は、流入口から流入した研削油をろ過して、流出口から送り出す為のものであり、前記油溜まり20内に配置されている。この様な第1フィルタ22の流出口には、前記第1上流側通油路23の上流端(前記油溜まり20に近い側の端部)が接続されている。
このうちの第1フィルタ22、第1上流側通油路23、及び共有ポンプ24に関しては、前記研削油供給装置14aと共有している為、詳しい説明は省略する。
このうちの内部通油路39は、前記流体噴射用ノズル38の内側に形成されている。
前記流入口40は、前記内部通油路39と、前記流体噴射用ノズル38の外部に存在する空間(外部空間)とを連通する状態で形成されている。この様な流入口40には、前記第5下流側通油路37の下流端が接続されている。
又、前記各噴射口41、41の内径をdとした場合に、隣り合う前記各噴射口41、41の中心軸同士の、前記砥石12aの軸方向に関する距離(ピッチ)Lは、L=βdの関係を満たす状態で形成されている。尚、βは1.0〜2.0の係数である。
先ず、前記砥石12a及び前記砥石スピンドル13aを退避させた状態で、前記ドライブプレート10aの先端部に、前記ワーク9aの軸方向一側面を吸着固定する。
次いで、前記砥石スピンドル13aのスピンドル軸部28に外嵌固定された前記砥石12aを、前記ワーク9aの内径側に挿入する。この状態では、前記ワーク9aの中心軸に対して、前記砥石スピンドル13a及び前記砥石12aの中心軸がオフセットしている。これと共に、前記流体噴射用ノズル38を、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間のうち、前記加工点21に対して、該砥石12aの径方向反対側となる位置に配置する。この状態で、前記流体噴射用ノズル38の各噴射口41、41を、該各噴射口41、41の中心軸が、前記砥石12aの径方向と一致した状態で、該砥石12aの外周面(該外周面のうち、前記加工点21に対して、該砥石12aの径方向反対側に位置する部分)に対向させる。
そして、前記砥石スピンドル13aを前記ワーク9aの径方向外方に変位させる事により、前記砥石12aの外周面を、前記ワーク9aの内周面に当接させる。この様にして、前記ワーク9aの内周面を円筒面状に研削加工する。
即ち、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38を、前記加工点21に対して、前記砥石12aの径方向反対側となる位置に配置すると共に、前記流体噴射用ノズル38の各噴射口41、41を前記砥石12aの外周面の軸方向全長に亙り対向させている。そして、前記流体噴射用ノズル38の各噴射口41、41から噴射された高圧の研削油を、前記砥石12aの外周面のうちの該各噴射口41、41と対向する部分の軸方向全長に、ほぼ均一な状態で吹き付ける様に構成している。即ち、本例の場合、前記砥石12aの外周面のうちの前記各噴射口41、41と対向する部分のそれぞれに、前記切削油を、当該各部分に直交する方向から噴射する様にしている。この為、例えば、研削加工中に生じた研磨屑のうち、前記砥石12aの外周面に付着した研磨屑を、該砥石12aから効率良く除去する事ができる。
又、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38を、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間に配置している。この為、省スペース化並びに研削装置の小型化を図り易い。特に、この省スペース化に関しては、前記ワーク9aの内径と、前記砥石12aの外径との比が所定値以上となる構造の場合により大きな効果を得られる。以下、この理由に就いて説明する。研削加工に於いては、できるだけ外径が大きい砥石を使用するのが、砥石交換の間隔が延び、生産効率を向上できる為に好ましい。例えば、転がり軸受を構成する軌道輪(外輪又は内輪)の内径加工では、ワークの内径の80%程度の外径寸法を有する砥石を使用する事がある。この様に、ワークの内径に対する砥石の外径の比が大きい構造の場合、ノズルを配置する為のスペースが小さくなってしまう。この場合でも、本例の構造は、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間に前記流体噴射用ノズル38を配置する為、少ないスペースを有効に活用して省スペース化を図る事ができる。特に、本例の構造は、砥石の外径が、ワークの内径の50%以上となる構造に採用すると有効的である。
又、前記流体噴射用ノズル38を、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間(軸方向から見た形状が三日月状の空間)のうち最も広い部分に配置している。この為、前記流体噴射用ノズル38の、厚さ寸法(前記砥石12aの円周方向に関する寸法)及び幅寸法(前記砥石12aの軸方向に関する寸法)を確保する事ができる。この結果、高圧の研削液を噴射する前記流体噴射用ノズル38の高剛性化を図る事ができる。
又、前記研削油を、前記砥石12aの外周面に対して、該外周面に直交する方向から噴射する(当てる)様に構成している為、前記研削油から前記砥石12aに付与される力が、前記砥石12aの回転(回転の加減速)に影響する事がない(又は、与える影響を小さくできる)。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図6を参照しつつ説明する。本例の研削装置の場合、流体噴射装置を構成する流体噴射用ノズル38aの構造が、前述した実施の形態の第1例の構造と異なっている。
具体的には、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38aの一側面(図6の表側面)に、それぞれが砥石12aの軸方向(図6の左右方向)に等間隔に離隔した状態で形成された複数個(本例の場合、4個)の噴射口41a、41aから成る、1対の噴射口列43a、43bが、前記砥石12aの円周方向(図6の上下方向)に間隔をあけて設けられている。この様な1対の噴射口列43a、43b同士で、軸方向(図6の左右方向)に関する前記各噴射口41a、41aの配置の位相は、互いに反ピッチずれている。即ち、前記1対の噴射口列43a、43bを構成する各噴射口41a、41aは、軸方向に関して千鳥配置されている。
又、本例の場合、前記各噴射口列43a、43b毎に、内部通油路39a、39aと流入口40aを設けている。従って、本例の場合、第5下流側通油路37(図4参照)の下流端が2経路に分かれており、該各径路の下流端が、それぞれ前記流入口40aに接続されている。
但し、本例の内部通油路39aよりも断面積が大きい1本の内部通油路を形成し、該内部通油路に、1乃至複数列の噴射口列を設ける構成を採用する事もできる。噴射口列を複数列設けた場合には、該各噴射口列を構成する噴射口の配置は、本例の様な千鳥配置だけでなく、各噴射口列を構成する噴射口同士の軸方向位置が整合した配置とする事もできる。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図7を参照しつつ説明する。本例の研削装置は、リング状部材であるワークの内周面に、ラジアル玉軸受1(図11参照)を構成する内輪3の内輪軌道6を形成する際の研削加工に使用されるものである。この為に、本例の場合、研削装置を構成する砥石12b、及び、流体噴射装置16aの流体噴射用ノズル38bの構造を、前述した実施の形態の第1例の構造と異ならせている。以下、前記砥石12b、及び、前記流体噴射用ノズル38bの構造に就いて説明する。
この様な砥石12bは、スピンドル軸部28の軸方向一端部(図7の下端部)の外周面に外嵌固定されている。この他の前記砥石12bの構造は、前述した実施の形態の第1例の砥石12a(図1、3参照)と同様である。
特に本例の場合、前記流体噴射用ノズル38bの一側面(図7の左側面)のうち、前記砥石12bの軸方向に関する1箇所位置には、幅方向(図7の表裏方向)の全長に亙り、断面形状が、前記砥石12bの外周面の母線形状に沿う(該砥石12bの母線形状よりも曲率半径が大きい)凹円弧状の凹部44が形成されている。そして、該凹部44の幅方向中央部に、前記砥石12bの軸方向に等間隔に離隔した状態で、前記各噴射口41b、41bが形成されている。即ち、前記各噴射口41b、41bは、前記凹部44の幅方向中央部に、前記砥石12bの軸方向に1列に形成されている。尚、本例の場合、前記砥石12bの軸方向に関して、前記各噴射口41b、41bのうちの一端側(図7の下端側)の噴射口41bを、該砥石12bの軸方向一端縁と整合させている。一方、前記砥石12bの軸方向に関して、前記各噴射口41b、41bのうちの他端側(図7の上端側)の噴射口41bを、該砥石12bの軸方向他端縁と整合させている。
又、本例の場合、前記各噴射口41b、41bから噴射される研削油の方向を、前記砥石12bの径方向に一致させている。別の言い方をすれば、前記噴射口41b、41bの中心軸の方向を、前記砥石12bの径方向に一致させている。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第4例に就いて、図8を参照しつつ説明する。
本例の場合には、流体噴射装置16bの流体噴射用ノズル38cの凹部44に開口する状態で設けられた、各噴射口41c、41cの形成方向を、前記実施の形態の第3例の場合と異ならせている。
この様な本例の研削装置によれば、前記砥石12bの様に、外周面の母線形状が曲面状の砥石の場合でも、前記各噴射口41c、41cから噴射された研削油が、前記砥石12bの外周面に衝突する状態を、総ての噴射口41c、41cに関して均一(又は、ほぼ均一)にできる。この結果、前記砥石12bの外周面に付着(溶着)した研磨屑を、よりむらなく除去する事ができる。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第5例に就いて、図9を参照しつつ説明する。本例の研削装置は、リング状のワークの内周面に、ラジアル円錐ころ軸受(図示省略)を構成する内輪45の内輪軌道46を形成する際の研削加工に使用されるものである。即ち、本例の研削装置は、前記ワークの内周面を円錐面状に加工する為のものである。
又、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38の一部を前記砥石スピンドル13aに固定している。この為、該流体噴射用ノズル38は、前記砥石12aと共に該砥石12aの中心軸の方向に往復運動(オシレーション)する。そして、前記流体噴射用ノズル38の吹き付け範囲(前記各噴射口41、41のうちの一端に形成された噴射口41と他端に形成された噴射口41との距離L41)を、前記砥石12aの軸方向寸法L12aよりも小さくしている。更に、本例の場合、前記距離L41を、前記長さ寸法L46と前記往復運動の揺動ストロークとの合計よりも大きくする事で、前記砥石12aが、前記往復運動のストロークの一端(前進端)にある状態から他端(後進端)にある状態の範囲で、前記砥石12aの外周面の軸方向全長に、前記各噴射口41、41から噴射された研削油を吹き付けられる様にしている。この様にして、前記砥石12aの往復運動に拘わらず、前記砥石12aの外周面に付着した研磨屑を、該砥石12aから除去できる様にしている。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
前述した実施の形態の第2例では、2列の噴射口列を形成しているが、3列以上とする事もできる。
又、本発明の研削装置は、転がり軸受を構成する軌道輪だけでなく、リング状部材の内周面に研削加工を施して造られる各種部材を対象とする事ができる。
2 外輪
3 内輪
4 玉
5 外輪軌道
6 内輪軌道
7 保持器
8 研削装置
9、9a ワーク
10 固定部
10a ドライブプレート
11a、11b シュー
12、12a、12b 砥石
13、13a 砥石スピンドル
14、14a 研削油供給装置
15 加工点
16、16a、16b、16c 流体噴射装置
20 油溜まり
21 加工点
22 第1フィルタ
23 第1上流側通油路
24 共有ポンプ
25 第1下流側通油路
26 研削油供給ノズル
28、28a スピンドル軸部
29 スピンドルハウジング
30 砥石本体
31 第2下流側通油路
32 第2フィルタ
33 第3下流側通油路
34 高圧ポンプ
35 第4下流側通油路
36 第3フィルタ
37 第5下流側通油路
38、38a、38b、38c 流体噴射用ノズル
39、39a 内部通油路
40、40a 流入口
41、41a、41b、41c 噴射口
42 空間
43a、43b 噴射口列
44 凹部
45 内輪
46 内輪軌道
48 砥石芯金
49 ボルト
50 スプレーノズル
該研削装置8は、特許文献1に記載されたものであり、リング状のワーク9を装置本体(図示省略)に固定する為のマグネットシュータイプの固定部10と、該ワーク9の外周面を支持する為の1対のシュー11a、11bと、該ワーク9の内径側に配置された砥石12と、駆動源(図示省略)の駆動力に基づいて該砥石12を回転駆動する為の砥石スピンドル13と、研削油供給装置14とを備えている。
ところで、上述の様な研削加工の際には、加工中に砥石表面に付着した研磨屑を、効率良く除去できないと、加工効率や砥石の寿命が低下してしまう可能性がある。
又、特許文献2にも、砥石の外周面のうち、加工点と反対となる位置に切削油を供給し、この切削油を加工点に確実に供給する事を目的とした発明が記載されている。但し、この様な発明は、前記切削油を前記砥石の外周面に噴射する構成ではない為、加工中に砥石表面に付着した研磨屑を、効率良く除去する事ができない可能性がある。
このうちの砥石は、前記ワークの内径側に配置され、回転駆動された状態で、外周面を該ワークの内周面に押し付けられるものである。
前記流体噴射装置は、前記砥石の外周面に対して流体を噴射する為のものであり、前記ワークの軸方向に関して離隔した状態で複数個の噴射口が形成された流体噴射用ノズルを有している。そして、該各噴射口が、前記砥石の外周面のうち、該砥石と前記ワークとの当接部である加工点に対して、該砥石の径方向反対側となる位置に前記流体を噴射可能な状態で、該砥石の外周面に対向している。好ましくは、前記各噴射口のうちの前記砥石の軸方向に関して一端側の噴射口の軸方向一端縁を、前記砥石の軸方向一端縁よりも軸方向一方側に配置すると共に、前記各噴射口のうちの前記砥石の軸方向に関して他端側の噴射口の軸方向他端縁を、前記砥石の軸方向他端縁よりも軸方向他方側に配置する。
この様な構成を有する本発明の研削装置を実施する場合には、追加的に、加工点に研削油を供給する為のものであり、前記流体噴射用ノズルとは別体の研削油供給ノズルを有する研削油供給装置を備えた構成を採用できる。
即ち、本発明の場合、流体噴射装置を構成する流体噴射用ノズルを、砥石とワークとの当接部である加工点の位置に対して、該砥石の径方向反対側となる位置に配置している。又、前記流体噴射用ノズルの各噴射口を、該砥石(ワーク)の軸方向(幅方向)に関して離隔した状態で設けると共に、該砥石の外周面に対向させている。そして、前記流体噴射装置により、前記流体噴射用ノズルの各噴射口から噴射された流体を、前記砥石に吹き付ける様に構成している。この為、例えば、研削加工中に生じた研磨屑のうち、前記砥石表面に付着した研磨屑を、該砥石から効率良く除去する事ができる。
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜5により説明する。尚、本例の研削装置は、例えば、リング状部材であるワーク9aの内周面を所定の内径寸法を有する円筒面に加工する際の研削加工に使用されるものである。この様な本例の研削装置は、装置本体(図示省略)と、ドライブプレート10aと、シュー(図示省略)と、砥石12aと、砥石スピンドル13aと、研削油供給装置14aと、流体噴射装置16とを備えている。
前記シューは、前述した従来構造と同様に、例えば、前記ワーク9の外径側の2箇所位置に配置されている。この様なシューは、案内面を、該ワーク9の外周面に当接させる事により、加工中の前記ワーク9の径方向に関する位置決めを図る為のものである。
このうちの砥石本体30は、短円筒状に作られたものである。
前記砥石芯金48は、金属製の短円筒状部材である。この様な砥石芯金48の外周面には、接着により前記砥石本体30が外嵌固定されている。
以上の様な構成を有する砥石12aは、前記砥石スピンドル13aを構成するスピンドル軸部28の軸方向一端部(図4の左端部)に、前記砥石芯金48を外嵌した状態で、ボルト49(図3参照、図4、5には省略)により結合固定されている。この様な砥石12aは、前記砥石スピンドル13aにより、図5に矢印Yで示す方向(図5の時計方向)に回転駆動される。
このうちのスピンドル軸部28は、例えば、転がり軸受(図示省略)等により前記スピンドルハウジング29に、該スピンドルハウジング29に対する相対回転を可能な状態に支持されている。この様なスピンドル軸部28は、例えば電動モータ等の駆動源により、図5に矢印Yで示す方向(図5の時計方向)に回転駆動される。
又、前記スピンドルハウジング29は、前記装置本体に支持されており回転しない。
このうちの第1フィルタ22は、流入口から流入した研削油をろ過して、流出口から送り出す為のものであり、前記油溜まり20内に配置されている。この様な第1フィルタ22の流出口には、前記第1上流側通油路23の上流端(前記油溜まり20に近い側の端部)が接続されている。
このうちの第1フィルタ22、第1上流側通油路23、及び共有ポンプ24に関しては、前記研削油供給装置14aと共有している為、詳しい説明は省略する。
このうちの内部通油路39は、前記流体噴射用ノズル38の内側に形成されている。
前記流入口40は、前記内部通油路39と、前記流体噴射用ノズル38の外部に存在する空間(外部空間)とを連通する状態で形成されている。この様な流入口40には、前記第5下流側通油路37の下流端が接続されている。
又、前記各噴射口41、41の内径をdとした場合に、隣り合う前記各噴射口41、41の中心軸同士の、前記砥石12aの軸方向に関する距離(ピッチ)Lは、L=βdの関係を満たす状態で形成されている。尚、βは1.0〜2.0の係数である。
先ず、前記砥石12a及び前記砥石スピンドル13aを退避させた状態で、前記ドライブプレート10aの先端部に、前記ワーク9aの軸方向一側面を吸着固定する。
次いで、前記砥石スピンドル13aのスピンドル軸部28に外嵌固定された前記砥石12aを、前記ワーク9aの内径側に挿入する。この状態では、前記ワーク9aの中心軸に対して、前記砥石スピンドル13a及び前記砥石12aの中心軸がオフセットしている。これと共に、前記流体噴射用ノズル38を、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間のうち、前記加工点21に対して、該砥石12aの径方向反対側となる位置に配置する。この状態で、前記流体噴射用ノズル38の各噴射口41、41を、該各噴射口41、41の中心軸が、前記砥石12aの径方向と一致した状態で、該砥石12aの外周面(該外周面のうち、前記加工点21に対して、該砥石12aの径方向反対側に位置する部分)に対向させる。
そして、前記砥石スピンドル13aを前記ワーク9aの径方向外方に変位させる事により、前記砥石12aの外周面を、前記ワーク9aの内周面に当接させる。この様にして、前記ワーク9aの内周面を円筒面状に研削加工する。
即ち、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38を、前記加工点21に対して、前記砥石12aの径方向反対側となる位置に配置すると共に、前記流体噴射用ノズル38の各噴射口41、41を前記砥石12aの外周面の軸方向全長に亙り対向させている。そして、前記流体噴射用ノズル38の各噴射口41、41から噴射された高圧の研削油を、前記砥石12aの外周面のうちの該各噴射口41、41と対向する部分の軸方向全長に、ほぼ均一な状態で吹き付ける様に構成している。即ち、本例の場合、前記砥石12aの外周面のうちの前記各噴射口41、41と対向する部分のそれぞれに、前記切削油を、当該各部分に直交する方向から噴射する様にしている。この為、例えば、研削加工中に生じた研磨屑のうち、前記砥石12aの外周面に付着した研磨屑を、該砥石12aから効率良く除去する事ができる。
又、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38を、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間に配置している。この為、省スペース化並びに研削装置の小型化を図り易い。特に、この省スペース化に関しては、前記ワーク9aの内径と、前記砥石12aの外径との比が所定値以上となる構造の場合により大きな効果を得られる。以下、この理由に就いて説明する。研削加工に於いては、できるだけ外径が大きい砥石を使用するのが、砥石交換の間隔が延び、生産効率を向上できる為に好ましい。例えば、転がり軸受を構成する軌道輪(外輪又は内輪)の内径加工では、ワークの内径の80%程度の外径寸法を有する砥石を使用する事がある。この様に、ワークの内径に対する砥石の外径の比が大きい構造の場合、ノズルを配置する為のスペースが小さくなってしまう。この場合でも、本例の構造は、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間に前記流体噴射用ノズル38を配置する為、少ないスペースを有効に活用して省スペース化を図る事ができる。特に、本例の構造は、砥石の外径が、ワークの内径の50%以上となる構造に採用すると有効的である。
又、前記流体噴射用ノズル38を、前記ワーク9aの内周面と前記砥石12aの外周面との間に存在する空間(軸方向から見た形状が三日月状の空間)のうち最も広い部分に配置している。この為、前記流体噴射用ノズル38の、厚さ寸法(前記砥石12aの円周方向に関する寸法)及び幅寸法(前記砥石12aの軸方向に関する寸法)を確保する事ができる。この結果、高圧の研削油を噴射する前記流体噴射用ノズル38の高剛性化を図る事ができる。
又、前記研削油を、前記砥石12aの外周面に対して、該外周面に直交する方向から噴射する(当てる)様に構成している為、前記研削油から前記砥石12aに付与される力が、前記砥石12aの回転(回転の加減速)に影響する事がない(又は、与える影響を小さくできる)。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図6を参照しつつ説明する。本例の研削装置の場合、流体噴射装置を構成する流体噴射用ノズル38aの構造が、前述した実施の形態の第1例の構造と異なっている。
具体的には、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38aの一側面(図6の表側面)に、それぞれが砥石12aの軸方向(図6の左右方向)に等間隔に離隔した状態で形成された複数個(本例の場合、4個)の噴射口41a、41aから成る、1対の噴射口列43a、43bが、前記砥石12aの円周方向(図6の上下方向)に間隔をあけて設けられている。この様な1対の噴射口列43a、43b同士で、軸方向(図6の左右方向)に関する前記各噴射口41a、41aの配置の位相は、互いに反ピッチずれている。即ち、前記1対の噴射口列43a、43bを構成する各噴射口41a、41aは、軸方向に関して千鳥配置されている。
又、本例の場合、前記各噴射口列43a、43b毎に、内部通油路39a、39aと流入口40aを設けている。従って、本例の場合、第5下流側通油路37(図4参照)の下流端が2経路に分かれており、該各径路の下流端が、それぞれ前記流入口40aに接続されている。
但し、本例の内部通油路39aよりも断面積が大きい1本の内部通油路を形成し、該内部通油路に、1乃至複数列の噴射口列を設ける構成を採用する事もできる。噴射口列を複数列設けた場合には、該各噴射口列を構成する噴射口の配置は、本例の様な千鳥配置だけでなく、各噴射口列を構成する噴射口同士の軸方向位置が整合した配置とする事もできる。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図7を参照しつつ説明する。本例の研削装置は、リング状部材であるワークの内周面に、ラジアル玉軸受1(図11参照)を構成する内輪3の内輪軌道6を形成する際の研削加工に使用されるものである。この為に、本例の場合、研削装置を構成する砥石12b、及び、流体噴射装置16aの流体噴射用ノズル38bの構造を、前述した実施の形態の第1例の構造と異ならせている。以下、前記砥石12b、及び、前記流体噴射用ノズル38bの構造に就いて説明する。
この様な砥石12bは、スピンドル軸部28の軸方向一端部(図7の下端部)の外周面に外嵌固定されている。この他の前記砥石12bの構造は、前述した実施の形態の第1例の砥石12a(図1、3参照)と同様である。
特に本例の場合、前記流体噴射用ノズル38bの一側面(図7の左側面)のうち、前記砥石12bの軸方向に関する1箇所位置には、幅方向(図7の表裏方向)の全長に亙り、断面形状が、前記砥石12bの外周面の母線形状に沿う(該砥石12bの母線形状よりも曲率半径が大きい)凹円弧状の凹部44が形成されている。そして、該凹部44の幅方向中央部に、前記砥石12bの軸方向に等間隔に離隔した状態で、前記各噴射口41b、41bが形成されている。即ち、前記各噴射口41b、41bは、前記凹部44の幅方向中央部に、前記砥石12bの軸方向に1列に形成されている。尚、本例の場合、前記砥石12bの軸方向に関して、前記各噴射口41b、41bのうちの一端側(図7の下端側)の噴射口41bを、該砥石12bの軸方向一端縁と整合させている。一方、前記砥石12bの軸方向に関して、前記各噴射口41b、41bのうちの他端側(図7の上端側)の噴射口41bを、該砥石12bの軸方向他端縁と整合させている。
又、本例の場合、前記各噴射口41b、41bから噴射される研削油の方向を、前記砥石12bの径方向に一致させている。別の言い方をすれば、前記噴射口41b、41bの中心軸の方向を、前記砥石12bの径方向に一致させている。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第4例に就いて、図8を参照しつつ説明する。
本例の場合には、流体噴射装置16bの流体噴射用ノズル38cの凹部44に開口する状態で設けられた、各噴射口41c、41cの形成方向を、前記実施の形態の第3例の場合と異ならせている。
この様な本例の研削装置によれば、前記砥石12bの様に、外周面の母線形状が曲面状の砥石の場合でも、前記各噴射口41c、41cから噴射された研削油が、前記砥石12bの外周面に衝突する状態を、総ての噴射口41c、41cに関して均一(又は、ほぼ均一)にできる。この結果、前記砥石12bの外周面に付着(溶着)した研磨屑を、よりむらなく除去する事ができる。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第5例に就いて、図9を参照しつつ説明する。本例の研削装置は、リング状のワークの内周面に、ラジアル円錐ころ軸受(図示省略)を構成する内輪45の内輪軌道46を形成する際の研削加工に使用されるものである。即ち、本例の研削装置は、前記ワークの内周面を円錐面状に加工する為のものである。
又、本例の場合、前記流体噴射用ノズル38の一部を前記砥石スピンドル13aに固定している。この為、該流体噴射用ノズル38は、前記砥石12aと共に該砥石12aの中心軸の方向に往復運動(オシレーション)する。そして、前記流体噴射用ノズル38の吹き付け範囲(前記各噴射口41、41のうちの一端に形成された噴射口41と他端に形成された噴射口41との距離L41)を、前記砥石12aの軸方向寸法L12aよりも小さくしている。更に、本例の場合、前記距離L41を、前記長さ寸法L46と前記往復運動の揺動ストロークとの合計よりも大きくする事で、前記砥石12aが、前記往復運動のストロークの一端(前進端)にある状態から他端(後進端)にある状態の範囲で、前記砥石12aの外周面の軸方向全長に、前記各噴射口41、41から噴射された研削油を吹き付けられる様にしている。この様にして、前記砥石12aの往復運動に拘わらず、前記砥石12aの外周面に付着した研磨屑を、該砥石12aから除去できる様にしている。
その他の部分の研削装置の構造及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
前述した実施の形態の第2例では、2列の噴射口列を形成しているが、3列以上とする事もできる。
又、本発明の研削装置は、転がり軸受を構成する軌道輪だけでなく、リング状部材の内周面に研削加工を施して造られる各種部材を対象とする事ができる。
2 外輪
3 内輪
4 玉
5 外輪軌道
6 内輪軌道
7 保持器
8 研削装置
9、9a ワーク
10 固定部
10a ドライブプレート
11a、11b シュー
12、12a、12b 砥石
13、13a 砥石スピンドル
14、14a 研削油供給装置
15 加工点
16、16a、16b、16c 流体噴射装置
20 油溜まり
21 加工点
22 第1フィルタ
23 第1上流側通油路
24 共有ポンプ
25 第1下流側通油路
26 研削油供給ノズル
28、28a スピンドル軸部
29 スピンドルハウジング
30 砥石本体
31 第2下流側通油路
32 第2フィルタ
33 第3下流側通油路
34 高圧ポンプ
35 第4下流側通油路
36 第3フィルタ
37 第5下流側通油路
38、38a、38b、38c 流体噴射用ノズル
39、39a 内部通油路
40、40a 流入口
41、41a、41b、41c 噴射口
42 空間
43a、43b 噴射口列
44 凹部
45 内輪
46 内輪軌道
48 砥石芯金
49 ボルト
50 スプレーノズル
Claims (7)
- リング状部材であるワークの内周面に研削加工を施す為の研削装置であって、
該ワークの内径側に配置され、回転駆動された状態で、外周面を該ワークの内周面に押し付けられる砥石と、
該砥石の外周面に対して流体を噴射する為のものであり、前記ワークの軸方向に関して離隔した状態で複数個の噴射口が形成されたノズルを有し、該各噴射口が、前記砥石の外周面のうち、該砥石と前記ワークとの当接部である加工点に対して該砥石の径方向反対側となる位置に前記流体を噴射可能な状態で、該砥石の外周面に対向している流体噴射装置とを備えている、
研削装置。 - 前記ノズルが、前記砥石の外周面と前記ワークの内周面との間に配置されている、請求項1に記載した研削装置。
- 前記流体が、前記各噴射口のそれぞれから均一の圧力で噴射される、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した研削装置。
- 前記ノズルのうち、前記各噴射口が形成された側の面の、前記砥石の中心軸を含む仮想平面に関する断面形状が、前記砥石の母線形状に沿う形状である、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した研削装置。
- 前記各噴射口が、前記砥石の外周面のうち、該各噴射口の中心軸がぶつかる点に於ける接平面と該各噴射口の中心軸とが直交する状態で形成されている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した研削装置。
- 前記流体が研削油であり、
前記加工点に研削油を供給する研削油供給装置を備えており、
該研削油供給装置と前記流体噴射装置とが、共有ポンプを共有している、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した研削装置。 - 前記流体噴射装置が、前記共有ポンプよりも下流側に、前記共有ポンプから送り込まれた研削油を加圧する高圧ポンプを備えている、請求項6に記載した研削装置。
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