JP2017142898A - Nb3Sn超電導線材製造用前駆体、およびNb3Sn超電導線材の製造方法 - Google Patents

Nb3Sn超電導線材製造用前駆体、およびNb3Sn超電導線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な超電導特性を発揮すると共に、曲げ応力に対する強度を効果的に向上させたNb3Sn超電導線材を得るための、Nb3Sn超電導線材製造用前駆体を提供する。
【解決手段】外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層と、該筒状拡散バリア層内に複合線材群を有する複合部材とからなるNb3Sn超電導線材の前駆体であって、前記複合線材群は、下記(a)および(b)の2種類のエレメント線材を有し、下記Nbエレメント線材中のNb若しくはNb基合金芯と、補強用金属芯との合計断面積に占める前記補強用金属芯の断面積の割合が15〜40面積%である。(a)複数のNb若しくはNb基合金芯と、単数または複数の補強用金属芯が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のNbエレメント線材、(b)単数のSn若しくはSn基合金芯がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のSnエレメント線材。
【選択図】図4

Description

本発明は、Nb3Sn超電導線材を製造するための超電導線材製造用前駆体、およびこうした前駆体を用いたNb3Sn超電導線材の製造方法に関する。
超電導線材が実用化されている分野として、高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置、磁気共鳴画像(MRI)検査装置、核融合装置、加速器等に用いられる超電導マグネットがある。超電導マグネットに使用される超電導線材としては、Nb3Sn超電導線材が実用化されており、このNb3Sn超電導線材の製造には主にブロンズ法が採用されている。
上記ブロンズ法は、Cu−Sn基合金からなるブロンズマトリクス中に、複数のNbまたはNb基合金からなる芯材を埋設して複合線材が構成される。この複合線材を、押出し若しくは伸線等の縮径加工を施すことによって、上記芯材を細径化してNb基フィラメントとし、このNb基フィラメントとCu−Sn基合金からなる複合線材を複数束ねて線材群となし、その外周に安定化の為の銅、即ち安定化銅を配置した後、更に縮径加工する。引き続き、縮径加工後の上記線材群を600℃以上、800℃以下程度で熱処理することにより、Nb基フィラメントとブロンズマトリクスの界面にNb3Sn超電導相を生成する方法である。
しかしながら上記ブロンズ法では、Cu−Sn基合金中、即ちブロンズ中に固溶できるSn濃度が15.8質量%以下程度と限界があり、生成されるNbSn超電導相の厚さが薄く、また結晶性が劣化してしまう。その結果、高い臨界電流密度Jcが得られないという欠点がある。超電導マグネット(以下、「NMRマグネット」で代表することがある)は、線材の臨界電流密度Jcが高いほど、NMRマグネットをコンパクトにすることができ、マグネットのコストダウンや納期短縮が可能である。また、導体中の超電導部分の面積を小さくできることから、線材自体のコストダウンも可能となる。
上記Nb3Sn超電導線材を製造する方法として、上記ブロンズ法の他に、内部Sn法も知られている。この内部Sn法では、ブロンズ法のような固溶限によるSn濃度に限界がないのでSn濃度をできるだけ高く設定でき、良質なNb3Sn超電導相を生成できるため、高い臨界電流密度Jcが得られる。また上記ブロンズ法による超電導線材では、Cu−Sn合金が冷間加工中に加工硬化を起こすため多数回の焼鈍が必要となるが、内部Sn法では焼鈍がほとんど必要なく、納期短縮も可能であるため、内部Sn法によって製造される超電導線材のNMRマグネット用途への適用が期待されている。
図1は、内部Sn法に適用される超電導線材製造用前駆体の基本構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、Cu若しくはCu基合金(以下、「Cuマトリクス」と呼ぶことがある)4の中央部に、Sn若しくはSn基合金からなる芯材(以下、「Sn芯材」と呼ぶことがある)3を埋設すると共に、Sn芯材3の周囲のCuマトリクス4中に、複数のNbまたはNb基合金からなる芯材(以下、「Nb芯材」と呼ぶことがある)2を相互に接触しないように配置する。
前記Nb芯材2とSn芯材3が配置された部分と、その外部の安定化銅層4aの間に、拡散バリア層6を配置した構成が一般的に採用される。この拡散バリア層6は、全体形状が筒状であり、例えばNb層若しくはNb基合金層、またはTa層若しくはTa基合金層、或いは、Nb層若しくはNb基合金層と、Ta層若しくはTa基合金層との2層からなり、熱処理の際にSn芯材3中のSnが外部に拡散してしまうことを防止し、超電導線材内でのSnの濃度を高める作用を発揮する。
上記のようにして構成される超電導線材製造用前駆体1を、伸線加工した後、拡散のための熱処理によって、Sn芯材3中のSnを拡散させ、Nb芯材2と反応させることによって線材中にNb3Sn化合物からなるNb3Sn超電導相を生成させる。
内部Sn法によってNb3Sn超電導線材を製造する上で、良好な超電導特性、特に高い臨界電流密度Jcを発揮する前駆体の構成について様々提案されている。こうした技術としては、例えば特許文献1には、Cuマトリクス中に複数のNb若しくはNb基合金からなる芯材、即ちNb芯材を埋設したNbエレメント線材と、Sn若しくはSn基合金からなる芯材、即ちSn芯材を埋設したSnエレメント線材を組み合わせて配置することによって、Snを分散させる構成が提案されている。
図2は、上記特許文献1の技術で提案された超電導線材製造用前駆体の構成例を模式的に示した断面図であり、前記図1と対応する部分には同一の参照符号が付してある。この構成では、Cuマトリクス4中にNb若しくはNb基合金からなる複数(この図2では19本)のNb芯材2を埋設したNbエレメント線材7と、Cuマトリクス4中にSn若しくはSn基合金からなるSn芯材3を埋設したSnエレメント線材8を、組み合わせて複合線材群を構成する。
前記図2に示した構成では、Snエレメント線材8の周囲を、Nbエレメント線材7が取り囲むように分散して配置し、超電導線材製造用前駆体1が構成される。尚、Nbエレメント線材7とSnエレメント線材8の断面形状は、円形であっても良いが、図2に示したように、断面形状を六角形とするのが一般的である。
また、前記図2に示した超電導線材製造用前駆体1では、Sn芯材3をCuマトリクス4中に埋設した構成とすることによって、加工発熱の際にNbエレメント線材7の界面へのSnの拡散が防止されると共に、良好な加工性が発揮される。
超電導線材製造用前駆体として、前記図1、2に示したような構成の複合材料が形成された後、押出しや伸線等の縮径加工を施すことによって線材化され、その後、最終的に600〜800℃付近の温度で100〜300時間程度の熱処理、即ち拡散によってNb3Sn超電導相を生成するための熱処理が施される。以下、この熱処理を単に「拡散熱処理」と呼ぶことがある。これにより、Nb芯材2とCuマトリクス4の界面にNb3Sn超電導相が生成して超電導線材が得られる。
ところで超電導線材のNb3Sn超電導相は、機械的な歪に対して非常に敏感である。上記歪量が僅か1%程度であっても、急激に超電導特性、特に臨界電流密度Jcが低下する場合がある。一方、例えば大電流を流す必要のある国際熱核融合実験炉(ITER)や加速器用導体では、前駆体段階でのNb3Sn超電導素線を複数本撚り合せて使用するため、超電導線材にかかる応力は複雑化している。よって近年は、軸方向に加えて半径方向への歪み、即ち曲げ応力への対応策が求められている。
上記曲げ応力への対応策としては、超電導線材自体の強度を高めることが有効であるが、これまで提案されている超電導線材では、曲げ応力に対する十分な強度が得られているとは言い難い。よって、良好な臨界電流密度Jc等の超電導特性を確保しつつ、上記曲げ応力に対する十分な強度を示すことが強く求められている。
特開2006−4684号公報
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、良好な超電導特性を発揮すると共に、曲げ応力に対する強度を効果的に向上させたNb3Sn超電導線材を得るための前駆体、および該前駆体を用いた前記Nb3Sn超電導線材の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の超電導線材製造用前駆体とは、
外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層を有し、該筒状拡散バリア層内に複合線材群を有する複合部材からなるNb3Sn超電導線材の前駆体であって、
前記複合線材群は、下記(a)および(b)の2種類のエレメント線材を有しており、下記(a)のNbエレメント線材中のNb若しくはNb基合金芯と補強用金属芯との合計断面積に占める前記補強用金属芯の断面積の割合が15〜40面積%であることを特徴とする。
(a)複数のNb若しくはNb基合金芯と、単数または複数の補強用金属芯が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のNbエレメント線材、
(b)単数のSn若しくはSn基合金芯がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のSnエレメント線材。
本発明の超電導線材製造用前駆体においては、前記補強用金属芯は、前記Nbエレメント線材1本に対して1本である構成を採用しても良いし、前記Nbエレメント線材1本に対して複数本である構成を採用しても良い。
本発明の超電導線材製造用前駆体における好ましい実施形態として、(1)前記補強用金属芯が、Ti,Ta,W,MoおよびHfよりなる群から選択される少なくとも1種を含む純金属または合金からなるものであることや、(2)前記補強用金属芯が、Cuとの反応性の高い材料であるときには、補強用金属芯の周囲に、Cuとの反応性の低い金属材が巻き付けられた構成とすること、(3)前記Nbエレメント線材およびSnエレメント線材は、断面形状が六角形であることが挙げられる。
本発明には、上記超電導線材製造用前駆体を、熱処理することによってNb3Sn超電導相を形成することを特徴とする、良好な超電導特性を維持しつつ、十分な機械的性質を有するNb3Sn超電導線材の製造方法も含まれる。
本発明の超電導線材製造用前駆体は、前記構成、特には、前駆体の構成要素としての複合線材群のうち、Nbエレメント線材を、Nb若しくはNb基合金芯と、補強用金属芯がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された構造とし、かつ上記Nb若しくはNb基合金芯と補強用金属芯との合計断面積に占める前記補強用金属芯の断面積の割合を適切な範囲としたため、良好な超電導特性を発揮すると共に、高い強度を有するNb3Sn超電導線材を実現できる。更に本発明では、上記補強用金属芯が、Nb若しくはNb基合金芯と一体となっているため、製造性を高めることができ、かつより均一な補強用金属芯の配置が可能である。更には、拡散熱処理後に脆くなるNb3Sn芯に隣接して補強用金属芯が存在する構造となるため、大きな補強効果が得られる。
内部Sn法に適用される超電導線材製造用前駆体の基本構成例を模式的に示した断面図である。 従来技術における超電導線材製造用前駆体の構成例を模式的に示した断面図である。 本発明の超電導線材製造用前駆体の構成例を模式的に示した断面図である。 本発明の超電導線材製造用前駆体の他の構成例を模式的に示した断面図である。 補強用金属芯割合と、臨界電流密度Jcおよび0.2%耐力との関係を示した図である。
本発明の超電導線材製造用前駆体(以下、単に「前駆体」と呼ぶことがある)の構成について、図面に基づいて説明する。図3は、本発明の前駆体の構成例を模式的に示した断面図である。本発明の前駆体11は、Nb若しくはNb基合金からなる芯材2、即ちNb芯材2が複数本と、1本の補強用金属芯14とがCuマトリクス4内に埋設され、例えば断面形状が六角形に形成された複数のNbエレメント線材7aと、単数のSn若しくはSn基合金芯からなる芯材3、即ちSn芯材3が、Cu若しくはCu基合金マトリクス4内に埋設され、例えば断面形状が六角形に形成された複数のSnエレメント線材8によって、複合線材群が構成される。
上記複合線材群では、Nbエレメント線材7aがSnエレメント線材8をできるだけ取り囲むようにして配置される。また複合線材群の外部には、上記したような拡散バリア層6、および安定化銅層4aが配置されるのは、前記図1、2に示した前駆体1の構成と同様である。
本発明の前駆体11では、Nbエレメント線材7a内に、Nb芯材2と共に、補強用金属芯14がCuマトリクス4に埋設して配置されたことを特徴の一つとし、これによって高い強度が得られ、曲げ応力に対する耐性を効果的に向上させることができる。またこうした構成では、Nbエレメント線材7aとSnエレメント線材8との拡散熱処理反応によってNb3Sn超電導相が形成されて、良好な超電導特性を発揮する。
上記の効果を有効に発揮させるためには、Nbエレメント線材7a中のNb芯材2と、補強用金属芯14の合計断面積に占める補強用金属芯14の断面積の割合(この割合を、以下では単に「補強用金属芯割合」と呼ぶことがある)を15面積%以上とする必要がある。補強用金属芯割合が15面積%よりも少なくなると、所望とする強度が発揮できない。しかしながら、補強用金属芯割合が40面積%を超えると、最小限必要とされる超電導特性、特に良好な臨界電流密度Jcが発揮されない。補強用金属芯割合の好ましい下限は、20面積%以上であり、より好ましくは25面積%以上である。また前記補強用金属芯割合の好ましい上限は、35面積%以下であり、より好ましくは30面積%以下である。
本発明の前駆体11では、上記したような拡散バリア層6および安定化銅層4aの前駆体全体の断面積に対する割合は、20〜30面積%程度であり、またNbエレメント線材7a中のNb芯材2の前駆体の断面積に対する割合は、40〜60面積%程度である。本発明の前駆体11の構成は、Nbエレメント線材7a内のNb芯材2の一部を補強用金属芯14に置き換えた構成に相当する。これらの点を考慮すれば、補強用金属芯割合が15〜40面積%であることは、前駆体全体の断面積に対する割合に換算すれば、5〜20面積%程度となる。また、上記の各面積率は、前駆体の段階でのものを示しているが、これらの面積率は前駆体の伸線等の加工の前後ではそれほど変化しないが、熱処理後の超電導線材では、当然変化する。
本発明の前駆体11においては、前記補強用金属芯14は、図3に示したようにNbエレメント線材7aの1本に対して1本である構成を採用しても良い。このような前駆体11での補強用金属芯14は、補強用金属芯割合の15面積%以上を確保するためには、Nb芯材2よりもできるだけ太径にして配置することになる。またNbエレメント線材7aの製造時における加工性、具体的には縮径加工時における均一加工性を考慮すれば、補強用金属芯14は、図3に示したようにNbエレメント線材7aの中央付近に配置することが好ましい。
図4は、本発明の前駆体の他の構成例を模式的に示した断面図である。この前駆体11では、複数本のNb芯材2と、複数本の補強用金属芯14がCuマトリクス4内に埋設され、断面形状が六角形に形成された複数のNbエレメント線材7aと、複数のSnエレメント線材8によって、複合線材群が構成される。こうした構成の前駆体11によっても、本発明の目的が達成される。
上記図3や図4に示したような構成を採用すれば、Nbエレメント線材7aを、Nb芯材2と補強用金属芯14の材料を用いて得ることができる。その結果、補強用エレメントを別途作製する必要がないため、Nb3Sn超電導線材製造用前駆体やNb3Sn超電導線材を容易に製造することができる。
本発明の前駆体11において、補強用金属芯14の素材となる金属材は、Ti,Ta,W,MoおよびHfよりなる群から選択される少なくとも1種を含む純金属または合金からなるものが挙げられる。具体的にTi,Ta,W,MoおよびHfよりなる群から選択される少なくとも1種の純金属またはこれらの元素を基とする合金が挙げられる。上記合金として、例えばNb−W、Ta−W等が挙げられる。いずれの材料を用いる場合であっても、補強用金属芯割合は上記の範囲となるように調整すれば良い。尚、上記の金属材は、拡散熱処理後においても所定の強度を発揮できると共に、前駆体の構成材料として一部に含ませても、超電導特性に悪影響を与えないという観点から選ばれたものである。
補強用金属芯として上記各種金属材を用いるときには、各金属材におけるCuとの反応性について考慮する必要がある。前駆体は最終的に600〜800℃の温度範囲で加熱され、各元素が拡散することによってNb3Sn超電導相が形成されるが、補強用金属芯として例えばTiを用いた場合、上記温度範囲でTiとCuが反応してCu−Ti系化合物が生成し、このような化合物が原因となって加工性の劣化を招く。
このような場合が想定される場合、Cuとの反応性の高い金属材からなる補強用金属芯14の周囲に、Cuとの反応性の低い金属材、例えばTaを巻き付ける構成を採用することが好ましい。
一方、補強用金属芯14として例えばTaを用いた場合には、上記温度範囲でCuと反応せず、しかも高温においても軟化度合いが低い高融点材料であるので、上記Cuとの反応性の低い金属材を更に用いなくともよい。また補強用金属芯14の素材となる上記金属材W、Mo、Hfについても、上記Taと同様に、上記温度範囲でCuと反応しないため、上記Cuとの反応性の低い金属材を更に用いなくともよい。
本発明の前駆体の構成要素となるNbエレメント線材7aおよびSnエレメント線材8は、断面形状が円形であってもよいが、前記図3、4に示したように、六角断面形状であることが好ましい。このような六角断面形状に形成することによって、Nbエレメント線材7aとSnエレメント線材8を束ねて複合線材群とするときに、隙間なくこれらのエレメント線材を配置することができる。
尚、六角断面形状のエレメント線材は、押出し加工や伸線加工等の縮径加工時にその断面形状が六角形となるように加工される。本発明では、各エレメント線材7a、8の外層に存在するCuマトリクス4が、伸線用ダイス等の縮径加工工具との優れた潤滑性を発揮するため、加工時に焼付き等が防止され、六角断面形状へ良好に加工することができる。
上記各エレメント線材において、Cuマトリクス4の素材として用いるCu基合金としては、Cuに、Ni等の元素を夫々5質量%程度まで含有させたものを用いることができる。またNbエレメント線材7aとして用いるNb基合金としては、Nbに、Ta,Ti,Zr,Hf等の添加元素を夫々10質量%程度まで含有させたものを用いることができる。更に、Sn芯材3として用いるSn基合金としては、Ti,Ta,Zr,Hf等の添加元素を、加工性を阻害しない程度、例えば夫々5質量%以下でSnに含有させたものを使用することができる。
本発明の前駆体においては、Nbエレメント線材7aおよびSnエレメント線材8によって複合線材群が構成されるのであるが、これらNbエレメント線材7aおよびSnエレメント線材8の作製は、次にようにして行なえばよい。まずNbエレメント線材7aでは、Nb芯材2および補強用金属芯14をCuマトリクス管に挿入し、押出しや伸線等の縮径加工を施して、例えば六角断面形状に形成されたNbエレメント線材7aとし、これを適当な長さに裁断する。一方、Snエレメント線材8ではSn若しくはSn基合金からなるSn芯材3をCuマトリクス管に挿入し、押出しや伸線等の縮径加工を施して、例えば六角断面形状に形成されたSnエレメント線材8とし、これを適当な長さに裁断する。
本発明の前駆体11は、上記のような2種類のエレメント線材を束ねて複合線材群とし、これを外周に安定化銅層4aを設けた筒状拡散バリア層6内に挿入された複合部材とすることによって構成される。これを縮径加工して線材化された後、拡散熱処理してNb3Sn超電導相を形成することによって超電導線材とされる。
Nb3Sn超電導相を形成するための拡散熱処理条件は、Nbエレメント線材7a中のNb芯材2が、Snエレメント線材8中のSn若しくはSn合金芯3と完全に反応することを基準として決定される。例えば、最終的に600〜800℃程度の温度範囲で100〜300時間程度のNb3Snを生成させる拡散熱処理を施すことによって、良好な超電導特性および強度を発揮するNb3Sn超電導線材を得ることができる。
上記のようなNb3Sn超電導相を形成するための拡散熱処理前の具体的な熱処理条件としては、180〜600℃の温度範囲でブロンズ化する熱処理を行なう。このブロンズ化熱処理としては、(i)180〜200℃で50時間程度、340℃前後で50時間程度、550℃前後で50〜100時間、或は(ii)300〜350℃で50時間程度、500〜550℃で30〜100時間、等の多段階の熱処理の組み合せとすることもできる。
本発明の前駆体に上記のような熱処理を施して得られるNb3Sn超電導線材は、ブロンズ法によって製造される超電導線材に比べて高い臨界電流密度Jcを示し、且つ高い強度を示すため、NMRマグネットへ適用する超電導線材として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
下記の手順に従って、前記図4に準じた断面形状の前駆体を作製した。まず外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのNb芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Nb複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
一方、外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのTa芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Ta複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記Cu/Ta複合単芯線19本を束ねて、その周囲に、上記Cu/Nb複合単芯線102本を配置して、これらを外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に挿入し、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のNbエレメント線材7aを作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。尚、前記図4では、説明の便宜上、上記Cu/Ta複合単芯線7本の周囲に、Cu/Nb複合単芯線12本を配置したNbエレメント線材7aの構成を示している。以下、実施例2〜4および比較例1〜3についても同じである。
次に、外径:24.0mm、内径:21.0mmのCu製パイプ内に、外径:20.6mmのSn−2質量%Ti棒を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Sn複合単芯線、即ちSnエレメント線材8を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記のようにして作製したNbエレメント線材7aの162本と、Snエレメント線材8の91本を、図4に示したように配置して束ね、複合線材群とした。
外径:45.0mm、内径:38.0mmのCu製パイプの内周面に、厚み:0.2mmのNbシートを3周巻いたものを貼り付け、その中に上記複合線材群を挿入した後に伸線し、外径:1.0mmの前駆体とした。この段階で、Nbエレメント線材7a中の補強用金属芯割合は15.7面積%であった。
得られた前駆体に対し、210℃×50時間+350℃×100時間+670℃×100時間の熱処理を施して、Nb3Sn超電導線材とした。得られたNb3Sn超電導線材について、下記に示す方法によって臨界電流密度Jcを測定すると共に、4.2Kでの引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。
[臨界電流密度Jcの測定]
温度4.2Kの液体ヘリウム中で、12T(テスラ)の外部磁場の下、試料としての超電導線材に通電し、4端子法によって発生電圧を測定し、この値が0.1μV/cmの電界が発生した臨界電流Icを測定し、この電流値を、線材の非Cu部当りの断面積で除して臨界電流密度Jcを求めた。
(実施例2)
下記の手順に従って、前記図4に準じた断面形状の前駆体を作製した。まず外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのNb芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Nb複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
一方、外径:32.80mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのTa芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Ta複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記Cu/Ta複合単芯線37本を束ねて、その周囲に、上記Cu/Nb複合単芯線84本を配置して、これらを外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に挿入し、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のNbエレメント線材7aを作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
次に、外径:24.0mm、内径:21.0mmのCu製パイプ内に、外径:20.6mmのSn−2質量%Ti棒を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Sn複合単芯線、即ちSnエレメント線材8を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記のようにして作製したNbエレメント線材7aの162本と、Snエレメント線材8の91本を、図4に示したように配置して束ね、複合線材群とした。
外径:45.0mm、内径:38.0mmのCu製パイプの内周面に、厚み:0.2mmのNbシートを3周巻いたものを貼り付け、その中に上記複合線材群を挿入した後に伸線し、外径:1.0mmの前駆体とした。この段階で、Nbエレメント線材7a中の補強用金属芯割合は30.5面積%であった。
得られた前駆体に対し、210℃×50時間+350℃×100時間+670℃×100時間の熱処理を施して、Nb3Sn超電導線材とした。得られたNb3Sn超電導線材について、実施例1と同様の方法で臨界電流密度Jcを測定すると共に、4.2Kでの引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。
(実施例3)
下記の手順に従って、前記図3に準じた断面形状の前駆体を作製した。まず外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのNb芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Nb複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
一方、外径:32.80mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのTa芯を挿入した後、縮径加工して円形断面形状(直径13mm)のCu/Ta複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記Cu/Ta複合単芯線1本の周囲に、上記Cu/Nb複合単芯線84本を配置して、これらを外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に挿入し、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のNbエレメント線材7aを作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
次に、外径:24.0mm、内径:21.0mmのCu製パイプ内に、外径:20.6mmのSn−2質量%Ti棒を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Sn複合単芯線、即ちSnエレメント線材8を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記のようにして作製したNbエレメント線材7aの162本と、Snエレメント線材8の91本を、図3に示したように配置して束ね、複合線材群とした。
外径:45.0mm、内径:38.0mmのCu製パイプの内周面に、厚み:0.2mmのNbシートを3周巻いたものを貼り付け、その中に上記複合線材群を挿入した後に伸線し、外径:1.0mmの前駆体とした。この段階で、Nbエレメント線材7a中の補強用金属芯割合は34.3面積%であった。
得られた前駆体を、210℃×50時間+350℃×100時間+670℃×100時間の熱処理を施して、Nb3Sn超電導線材とした。得られたNb3Sn超電導線材について、実施例1と同様の方法で臨界電流密度Jcを測定すると共に、4.2Kでの引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。
(実施例4)
下記の手順に従って、前記図4に準じた断面形状の前駆体を作製した。まず外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのNb芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Nb複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
一方、外径:32.80mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:27.4mmのTi芯に、厚み:0.2mmのTaシートを巻いたものを挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Ti複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記Cu/Ti複合単芯線37本を束ねて、その周囲に、上記Cu/Nb複合単芯線84本を配置して、これらを外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に挿入し、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のNbエレメント線材7aを作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
次に、外径:24.0mm、内径:21.0mmのCu製パイプ内に、外径:20.6mmのSn−2質量%Ti棒を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Sn複合単芯線、即ちSnエレメント線材8を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記のようにして作製したNbエレメント線材7aの162本と、Snエレメント線材8の91本を、図4に示したように配置して束ね、複合線材群とした。
外径:45.0mm、内径:38.0mmのCu製パイプの内周面に、厚み:0.2mmのNbシートを3周巻いたものを貼り付け、その中に上記複合線材群を挿入した後に伸線し、外径:1.0mmの前駆体とした。この段階で、Nbエレメント線材7a中の補強用金属芯割合は30.5面積%であった。
得られた前駆体を、210℃×50時間+350℃×100時間+670℃×100時間の熱処理を施して、Nb3Sn超電導線材とした。得られたNb3Sn超電導線材について、実施例1と同様の方法で臨界電流密度Jcを測定すると共に、4.2Kでの引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。
(比較例1)
下記の手順に従って、前記図2に準じた断面形状の前駆体を作製した。まず外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのNb芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Nb複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。これを121本(前記図2では19本)束ね、外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に挿入して伸線し、六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Nb複合多芯線、即ちNbエレメント線材7を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
また外径:24.0mm、内径:21.0mmのCu製パイプ内に、外径:20.6mmのSn−2質量%Ti棒を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Sn複合単芯線、即ちSnエレメント線材8を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記のようにして作製したNbエレメント線材7:162本と、Snエレメント線材8:91本とを、Nbエレメント線材7がSnエレメント線材8の周りを取り囲むようにして組み合わせて複合線材群とした。
そして外径:45mm、内径:38mmのCu製パイプの内周面に、厚み:0.2mmのNbシートを3周巻いたものを貼り付け、その中に上記複合線材群を挿入した後に伸線し、外径:1.0mmの前駆体とした。この前駆体は、Nbエレメント線材7中に補強用金属芯14を埋設していない例である。
得られた前駆体に対し、210℃×50時間+350℃×100時間+670℃×100時間の拡散熱処理を施して、Nb3Sn超電導線材とした。得られたNb3Sn超電導線材について、実施例1と同様にして臨界電流密度Jcおよび0.2%耐力を求めた。
(比較例2)
下記の手順に従って、前駆体を作製した。まず外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのNb芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Nb複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
一方、外径:32.80mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28mmのTa芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Ta複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記Cu/Ta複合単芯線55本を束ねて、その周囲に、上記Cu/Nb複合単芯線66本を配置して、これらを外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に挿入し、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のNbエレメント線材7aを作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
次に、外径:24.0mm、内径:21.0mmのCu製パイプ内に、外径:20.6mmのSn−2質量%Ti棒を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Sn複合単芯線、即ちSnエレメント線材8を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記のようにして作製したNbエレメント線材7aの162本と、Snエレメント線材8の91本を、図4に示したように配置して束ね、複合線材群とした。
外径:45.0mm、内径:38.0mmのCu製パイプの内周面に、厚み:0.2mmのNbシートを3周巻いたものを貼り付け、その中に上記複合線材群を挿入した後に伸線し、外径:1.0mmの前駆体とした。この段階で、Nbエレメント線材7a中の補強用金属芯割合は45.4面積%であった。
得られた前駆体を、210℃×50時間+350℃×100時間+670℃×100時間の拡散熱処理を施して、Nb3Sn超電導線材とした。得られたNb3Sn超電導線材について、実施例1と同様にして臨界電流密度Jcおよび0.2%耐力を求めた。
(比較例3)
下記の手順に従って、前駆体を作製した。まず外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのNb芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Nb複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
一方、外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に、外径:28.0mmのTi芯を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.3mm)のCu/Ti複合単芯線を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記Cu/Ti複合単芯線37本を束ねて、その周囲に、上記Cu/Nb複合単芯線84本を配置し、これらを外径:32.8mm、内径:29.0mmのCu製パイプ内に挿入した。これを縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のNbエレメント線材7aを作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
次に、外径:24.0mm、内径:21.0mmのCu製パイプ内に、外径:20.6mmのSn−2質量%Ti棒を挿入した後、縮径加工して六角断面形状(六角対辺:2.0mm)のCu/Sn複合単芯線、即ちSnエレメント線材8を作製して矯正後、1.0mの長さに裁断した。
上記のようにして作製したNbエレメント線材7aの162本と、Snエレメント線材8の91本を、図4に示したように配置して束ね、複合線材群とした。
外径:45.0mm、内径:38.0mmのCu製パイプの内周面に、厚み:0.2mmのNbシートを3周巻いたものを貼り付け、その中に上記複合線材群を挿入した。この段階で、Nbエレメント線材7a中の補強用金属芯割合は30.5面積%であった。その後に伸線を実施したが、途中で断線が生じて外径:1.0mmまで加工できなかった。従って、Nb3Sn超電導線材としての臨界電流密度Jcおよび0.2%耐力は測定していない。
実施例1〜4、および比較例1〜3の測定結果を、補強用金属芯の種類、金属芯保護層の有無、補強用金属芯の合計本数、補強用金属芯割合等と共に、表1に一括して示す。尚、表1において「金属芯保護層」とは、補強用金属芯の周囲に必要によって巻き付けた、「Cuとの反応性の低い金属材」を意味する。臨界電流密度Jcは少なくとも1000A/mm2以上は必要であり、好ましくは1200A/mm2以上である。また0.2%耐力は190MPa以上であることが必要であり、好ましくは200MPa以上である。
この結果から明らかなように、本発明で規定する要件を満足する実施例1〜4では、良好な臨界電流密度Jcが得られた。更にこの実施例1〜4では、補強用金属芯が、Nb芯材と一体であって、かつ補強用金属芯割合が規定範囲内となるよう配置された構造であるため、十分な強度が得られた。特に上記構造では、拡散熱処理後に脆くなるNb3Sn芯に隣接して補強用金属芯が存在するため、大きな補強効果が得られたと考えられる。また、上述の通り補強用金属芯とNb芯材とを一体で成形するため、製造性よくNb3Sn超電導線材を得ることができた。
これに対し、補強用金属芯14を埋設しなかった比較例1では、高い臨界電流密度Jcが得られているもの、強度の点で不十分となっている。また比較例2では、補強用金属芯14を埋設したが、補強用金属芯割合が過剰になっており、強度は高いが、臨界電流密度Jcが低くなった。
比較例3は、伸線の途中で断線が生じて外径:1.0mmまで加工できなかったものである。断線原因について分析した結果、補強材として使用したTiとCuとの界面で、Cu−Ti化合物が生成しており、その化合物を起点として断線が生じていることが判明した。
図5は、上記表1の例を用いて、補強用金属芯割合と、臨界電流密度Jcおよび0.2%耐力との関係を示した図である。この図5より、補強用金属芯割合を規定の範囲内とすることによって、高い臨界電流密度Jcと強度を併せて達成することができる。
1,11 超電導線材製造用前駆体
2 NbまたはNb基合金芯(Nb芯材)
3 SnまたはSn基合金芯(Sn芯材)
4 Cuマトリクス
4a 安定化銅層
6 拡散バリア層
7,7a Nbエレメント線材
8 Snエレメント線材
14 補強用金属芯

Claims (7)

  1. 外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層を有し、該筒状拡散バリア層内に複合線材群を有する複合部材からなるNb3Sn超電導線材の前駆体であって、
    前記複合線材群は、下記(a)および(b)の2種類のエレメント線材を有しており、下記(a)のNbエレメント線材中のNb若しくはNb基合金芯と、補強用金属芯との合計断面積に占める前記補強用金属芯の断面積の割合が15〜40面積%であることを特徴とするNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
    (a)複数のNb若しくはNb基合金芯と、単数または複数の補強用金属芯が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のNbエレメント線材、
    (b)単数のSn若しくはSn基合金芯がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のSnエレメント線材。
  2. 前記補強用金属芯は、前記Nbエレメント線材1本に対して1本である請求項1に記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
  3. 前記補強用金属芯は、前記Nbエレメント線材1本に対して複数本である請求項1に記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
  4. 前記補強用金属芯は、Ti,Ta,W,MoおよびHfよりなる群から選択される少なくとも1種を含む純金属または合金からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
  5. 前記補強用金属芯が、Cuとの反応性の高い材料であるときには、補強用金属芯の周囲に、Cuとの反応性の低い金属材が巻き付けられた構成とする請求項4に記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
  6. 前記Nbエレメント線材およびSnエレメント線材は、断面形状が六角形である請求項1〜5のいずれかに記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の超電導線材製造用前駆体を、熱処理することによってNb3Sn超電導相を形成することを特徴とするNb3Sn超電導線材の製造方法。
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