JP2017142409A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】長期にわたって優れた帯電性を維持できる静電潜像現像用トナーを提供する。
【解決手段】静電潜像現像用トナーが、炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂を少なくとも含む複数種の樹脂から実質的に構成される海状ドメインと、海状ドメインに対して島状に分布する複数の島状ドメインとを有するトナー粒子を、複数含む。島状ドメインは、ニグロシン染料を含有する樹脂から実質的に構成される。島状ドメインの分散径は0.1μm以上1.0μm以下である。海状ドメインは、炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂を、構成樹脂(複数種の樹脂)の総量に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含有する。島状ドメインを構成する樹脂のSP値に対する、海状ドメインを構成する樹脂のSP値の比率は、0.98以下又は1.20以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
特許文献1には、結着樹脂とニグロシン染料とを含むトナー材料を、2軸押出機を用いて溶融混練し、冷却工程、粉砕工程、及び分級工程を経て、トナーを製造することが開示されている。また、特許文献1には、スチレンの存在下でフマル酸及び/又はマレイン酸を原料モノマーとして用いて上記結着樹脂を合成することで、得られたトナーを用いて、画像濃度が高く、かぶりのない画像を形成できることが開示されている。
特開2007−322705号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、必ずしも長期にわたって十分なトナーの帯電性を維持できるとは限らない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長期にわたって優れた帯電性を維持できる静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。また、本発明は、十分なトナーの耐熱保存性及び低温定着性を確保しながらトナーの帯電安定性を改善することを他の目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂を少なくとも含む複数種の樹脂から実質的に構成される海状ドメインと、前記海状ドメインに対して島状に分布する複数の島状ドメインとを有するトナー粒子を、複数含む。前記島状ドメインは、ニグロシン染料を含有する樹脂から実質的に構成される。前記島状ドメインの分散径は0.1μm以上1.0μm以下である。前記海状ドメインは、前記炭素数2以上6以下のアルコール成分を含む前記ポリエステル樹脂を、前記複数種の樹脂の総量に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含有する。前記島状ドメインを構成する樹脂のSP値に対する、前記海状ドメインを構成する樹脂のSP値の比率は、0.98以下又は1.20以上である。
本発明によれば、長期にわたって優れた帯電性を維持できる静電潜像現像用トナーを提供することが可能になる。また、本発明によれば、この効果に加えて又はこの効果に代えて、十分なトナーの耐熱保存性及び低温定着性を確保しながらトナーの帯電安定性を改善することが可能になるという効果が奏される場合がある。
本発明の実施形態に係る静電潜像現像用トナーに含まれるトナー粒子(特に、トナー母粒子)を示す図である。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー母粒子、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−750」)を用いて測定した値である。また、軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル(CH2=CHCN)及びメタクリロニトリル(CH2=C(CH3)CN)を包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。また、結晶性ポリエステル樹脂は「結晶性ポリエステル樹脂」と記載し、非結晶性ポリエステル樹脂は、単に「ポリエステル樹脂」と記載する。
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含む粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。高画質の画像を形成するためには、キャリアとしてフェライトキャリアを使用することが好ましい。また、長期にわたって高画質の画像を形成するためには、キャリアコアと、キャリアコアを被覆する樹脂層とを備える磁性キャリア粒子を使用することが好ましい。キャリア粒子に磁性を付与するためには、磁性材料(例えば、フェライト)でキャリアコアを形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリアコアを形成してもよい。また、キャリアコアを被覆する樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。高画質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。なお、2成分現像剤に含まれる正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ(例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部)上のトナー(例えば、キャリア又はブレードとの摩擦により帯電したトナー)を静電潜像に付着させて、感光体上にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、感光体上のトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、外添剤を備えていてもよい。トナー粒子が外添剤を備える場合には、トナー粒子はトナー母粒子と外添剤とを備える。外添剤はトナー母粒子の表面に付着する。トナー母粒子は、結着樹脂を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、結着樹脂以外に、内添剤(例えば、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有していてもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、シェル層を備えないトナー粒子(以下、非カプセルトナー粒子と記載する)であってもよいし、シェル層を備えるトナー粒子(以下、カプセルトナー粒子と記載する)であってもよい。カプセルトナー粒子では、トナー母粒子が、コアと、コアの表面を覆うシェル層とを備える。シェル層は、実質的に樹脂から構成される。例えば、低温で溶融するコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。シェル層は、コアの表面全体を覆っていてもよいし、コアの表面を部分的に覆っていてもよい。カプセルトナー粒子では、後述する非カプセルトナー粒子におけるトナー母粒子をトナーコアとして使用できる。シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂から構成されてもよいし、実質的に熱可塑性樹脂から構成されてもよいし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との両方を含有していてもよい。熱可塑性樹脂としては、後述の好適な熱可塑性樹脂を使用できる。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、アニリン系樹脂、ポリイミド樹脂(より具体的には、マレイミド重合体又はビスマレイミド重合体等)、又はキシレン系樹脂を好適に使用できる。
本実施形態に係るトナーは、次に示す基本構成を有する静電潜像現像用トナーである。
(トナーの基本構成)
静電潜像現像用トナーが、海状ドメインと、海状ドメインに対して島状に分布する複数の島状ドメインとを有するトナー粒子を、複数含む。海状ドメインは、炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂(以下、特定ポリエステル樹脂と記載する)を少なくとも含む複数種の樹脂から実質的に構成される。島状ドメインは、ニグロシン染料を含有する樹脂から実質的に構成される。島状ドメインの分散径は0.1μm以上1.0μm以下である。海状ドメインは、特定ポリエステル樹脂(炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂)を、構成樹脂(海状ドメインを構成する全ての樹脂)の総量に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含有する。島状ドメインを構成する樹脂のSP値に対する、海状ドメインを構成する樹脂のSP値の比率(以下、海/島SP比率と記載する)は、0.98以下又は1.20以上である。なお、SP値(溶解度パラメーター)は、Fedors法に従って算出した値(単位:(cal/cm31/2)である。ドメインが複数種の樹脂を含有する場合には、各樹脂の割合(含有率)に応じて、そのドメインを構成する樹脂のSP値が算出される。
SP値(溶解度パラメーター)は、Hildebrand−Scatchardの溶液理論により定義される値であり、式「SP値=(E/V)1/2」(E:分子凝集エネルギー[cal/mol]、V:溶媒のモル分子容[cm3/mol])で表される。Fedors法の詳細は、下記文献Aに記載されている。
文献A:R.F.Fedors,「Polymer Engineering and Science」,1974年,第14巻,第2号,p147−154
以下、図1を参照して、本実施形態に係るトナーの構成の一例について説明する。なお、図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子(特に、トナー母粒子)の構成の一例を示す図である。
図1に示されるトナー母粒子10は、海状に分布した海状ドメインR1と、海状ドメインR1に対して島状に分布した島状ドメインR2との海島構造を有する。小径の島状ドメインR2はトナー母粒子10中に分散している。島状ドメインR2の一部は、トナー母粒子10の表面に露出している。海状ドメインR1は、少なくともポリエステル樹脂を含む複数種の樹脂から実質的に構成される。島状ドメインR2は、ニグロシン染料を含有する樹脂から実質的に構成される。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、海状ドメインが、構成樹脂の総量に対して5質量%以上50質量%以下の割合で特定ポリエステル樹脂(炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂)を含有することが好ましい。特定ポリエステル樹脂は、炭素数2以上6以下のアルコール成分(以下、低級アルコール成分と記載する場合がある)を含むため、比較的熱容量が小さい。このため、トナー粒子の海状ドメインが5質量%以上(より好ましくは、10質量%以上)の割合で特定ポリエステル樹脂を含有することで、少ないエネルギーでトナーを溶かすことが可能になる。ただし、海状ドメインにおける特定ポリエステル樹脂の含有率が多過ぎると、トナーの耐熱保存性が悪くなる傾向がある。なお、トナーの低温定着性を向上させるためには、海状ドメインに含有される特定ポリエステル樹脂のアルコール成分のうち、50質量%以上のアルコール成分が低級アルコール成分であることが好ましく、90質量%以上のアルコール成分が低級アルコール成分であることが好ましく、100質量%のアルコール成分が低級アルコール成分であることがさらに好ましい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、海状ドメインを構成する複数種の樹脂が、互いに異なる組成を有する複数種のポリエステル樹脂であることが好ましい。海状ドメインが、特定ポリエステル樹脂に加えて、特定ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂(より具体的には、アルコール成分として主にビスフェノール類を含むポリエステル樹脂等)を含有することで、十分なトナーの耐熱保存性を確保し易くなる。また、海状ドメインがポリエステル樹脂以外の樹脂を含有しないことで、海状ドメイン中での相分離に起因したトナーの劣化を抑制することができる。
発明者は、電荷制御剤としてニグロシン染料を結着樹脂中に含有するトナーに関して、ニグロシン染料が結着樹脂中に微分散すると、ニグロシン染料が、電荷制御剤として機能しにくくなることを見出した。詳しくは、ニグロシン染料は、樹脂(特に、ポリエステル樹脂)に対して高い相溶性を有する傾向がある。例えば、結着樹脂とニグロシン染料とを2軸押出機を用いて溶融混練した場合、結着樹脂中に均一にニグロシン染料が分散すると考えられる。ニグロシン染料が結着樹脂中に均一に分散する場合、ニグロシン染料は広範囲(トナー母粒子の略全体)に分散することになるため、ニグロシン染料は結着樹脂中に微分散し易いと考えられる。ニグロシン染料が結着樹脂中に微分散すると、結着樹脂中のニグロシン染料がトナー粒子に正帯電性を付与しにくくなることを、発明者が見出した。
上記基本構成を有するトナーでは、島状ドメインが、ニグロシン染料を含有する樹脂から実質的に構成される。しかも、島状ドメインの分散径は0.1μm以上1.0μm以下である。このため、ニグロシン染料を、選択的に島状ドメインの樹脂中に高い濃度で存在させることができる。このため、上記基本構成を有するトナーでは、ニグロシン染料が微分散しにくくなり、長期にわたってトナーの優れた帯電性を維持できる。
上記基本構成を有するトナーでは、海/島SP比率が0.98以下又は1.20以上である(換言すれば、0.98超1.20未満の範囲にない)。島状ドメインを構成する樹脂のSP値(以下、SP2と記載する)と、海状ドメインを構成する樹脂のSP値とを、十分に相違させることで、海状ドメインと島状ドメインとの相溶を抑制できる。このため、上記基本構成を有するトナーでは、ニグロシン染料が微分散しにくくなり、長期にわたってトナーの優れた帯電性を維持できる。
なお、樹脂の合成において、カルボキシル基を有するモノマー(より具体的には、アクリル酸系モノマー等)を用いることで、樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、樹脂の合成において、ヒドロキシル基を有するモノマー(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等)を用いることで、樹脂にヒドロキシル基を導入できる。樹脂の合成において、カルボキシル基を有するモノマーの使用量と、ヒドロキシル基を有するモノマーの使用量とをそれぞれ調整することで、得られる樹脂のSP値を調整できる。
上記基本構成を有するトナーが長期にわたって優れた帯電性を有するためには、トナーをエタノール中に分散させた後、温度25℃で1時間静置した上澄み液について、分光光度計を用いて測定される波長567nmでの吸光度が、0.60以上1.20以下であることが好ましい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子の体積中位径(D50)が5μm以上10μm未満であることが好ましい。
以下、非カプセルトナー粒子の構成の好適な例について説明する。トナー母粒子及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、内添剤又は外添剤)を割愛してもよい。
[トナー母粒子]
トナー母粒子は、結着樹脂を含有する。また、トナー母粒子は、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含有してもよい。
(結着樹脂:海状ドメイン)
トナー母粒子では、一般に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。結着樹脂がエステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナー母粒子はアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナー母粒子はカチオン性になる傾向が強くなる。
本実施形態に係るトナーは、前述の基本構成を有する。海状ドメインは、少なくともポリエステル樹脂を含む複数種の樹脂から実質的に構成される。海状ドメインは、特定ポリエステル樹脂(炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂)を、構成樹脂(海状ドメインを構成する全ての樹脂)の総量に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含有する。トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、海状ドメインを構成する全ての樹脂の総合的なTm(軟化点)が80℃以上120℃以下であることが好ましい。
特定ポリエステル樹脂としては、アルコール成分として1種以上の炭素数2以上6以下の2価アルコール(より具体的には、エチレングリコール、ブタンジオール、又はヘキサンジオール等)を含み、酸成分として1種以上の2価カルボン酸(より具体的には、テレフタル酸、フタル酸、アルケニルコハク酸、トリメリット酸、又はセバシン酸等)を含むポリエステル樹脂が特に好ましい。
海状ドメインに含有される特定ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、アルコール成分として1種以上のビスフェノール類を含み、酸成分として1種以上の2価カルボン酸(より具体的には、テレフタル酸、フタル酸、アルケニルコハク酸、トリメリット酸、又はセバシン等)を含むポリエステル樹脂が特に好ましい。また、トナー母粒子は、特定ポリエステル樹脂以外の樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂はアルコール成分と酸成分とを含む。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)に変形して用いてもよい。低級アルキルエステルの「低級アルキル」は、炭素数1以上6以下のアルキル基を意味する。
(ニグロシン含有樹脂:島状ドメイン)
本実施形態に係るトナーは、前述の基本構成を有する。島状ドメインは、ニグロシン染料を含有する樹脂(以下、ニグロシン含有樹脂と記載する)から実質的に構成される。ニグロシン含有樹脂において、ニグロシン染料は、樹脂中において、均一に分散していてもよいし、偏って存在していてもよい。十分なトナーの耐熱保存性及び低温定着性を確保しながらトナーの帯電安定性を改善するためには、ニグロシン含有樹脂が、ニグロシン染料と、スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を有する樹脂(より具体的には、1種以上のスチレン系モノマーの重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体)との混合物であることが好ましい。スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を有する樹脂としては、ビニル基(CH2=CH−)を有するモノマー又はその誘導体(より具体的には、ビニルナフタレン、アルケン、ハロゲン化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルメチルエーテル、メチルビニルケトン、N−ビニルピロール、又はN−ビニルインドール等)と1種以上のスチレン系モノマーとの共重合体が好ましく、1種以上のアクリル酸系モノマーと1種以上のスチレン系モノマーとの共重合体が特に好ましい。
ニグロシン染料は、アニリン化合物(より具体的には、アニリン又はアニリン塩酸塩等)と芳香族ニトロ化合物(より具体的には、ニトロベンゼン、ニトロフェノール、又はニトロクレゾール等)とを、触媒(より具体的には、鉄、塩化鉄、又は銅等)の存在下で酸化還元縮合反応させることによって得られる。こうして得られるニグロシン染料は、1種以上のアジン化合物を含む混合物であることが多い。アジン化合物は、環内に窒素原子を1個以上有する6員環を含む化合物である。ニグロシン染料の好適な例としては、フェナジン骨格を有するアジン化合物が挙げられる。
ニグロシン染料(C.I.ソルベントブラック5、C.I.ソルベントブラック7、及び他のニグロシン染料)の具体例として、オリヱント化学工業株式会社製の市販品を、以下に示す。なお、1種類の市販品を単独で使用してもよいし、2種以上の市販品を混ぜて使用してもよい。また、市販品に代えて又は加えて、市販品以外のニグロシン(特注品又は自作品)を使用してもよい。
(C.I.ソルベントブラック5)
・SPIRIT BLACK:「ABL」
・NUBIAN(登録商標)BLACK:「NH−805」/「NH−815」
(C.I.ソルベントブラック7)
・NIGROSINE BASE:「EX」/「EX−BP」/「SAPL」
・SPECIAL BLACK:「EB」
・NUBIAN BLACK:「TN−870」/「TN−877」/「TH−807」
(他のニグロシン染料)
・BONTRON(登録商標):「N−71」/「N−75」/「N−79」
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有してもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー母粒子は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有してもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、海状ドメインに電荷制御剤(より具体的には、4級アンモニウム塩等)を含有してもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子に負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のアニオン性を強めることができる。また、トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナー母粒子に電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナー母粒子は、磁性粉を含有してもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれらの合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された材料を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤(詳しくは、複数の外添剤粒子を含む粉体)を付着させてもよい。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、物理的な力でトナー母粒子の表面に外添剤が付着(物理的結合)する。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の量が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤粒子は、無機粒子であってもよいし、樹脂粒子であってもよい。無機粒子としては、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。1種類の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
[トナーの製造方法]
本実施形態に係るトナーを容易かつ好適に製造するためには、次に示す構成を有するトナーの製造方法が特に好ましい。
好適なトナーの製造方法は、準備工程と、溶融混練工程と、粉砕工程とを含む。準備工程では、2種以上のポリエステル樹脂と、ニグロシン含有樹脂とを含むトナー材料を準備する。溶融混練工程では、準備されたトナー材料を溶融混練して、溶融混練物を得る。粉砕工程では、溶融混練物を粉砕する。以下、より具体的な例に基づいて、好適なトナーの製造方法についてさらに説明する。
(準備工程)
以下、準備工程の一例について説明する。準備工程では、トナーの製造に用いる材料を準備する。詳しくは、2種以上のポリエステル樹脂、及びニグロシン含有樹脂を準備する。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮合反応させることで、得られる。例えば、1種以上の炭素数2以上6以下の2価アルコール(より具体的には、エチレングリコール、ブタンジオール、又はヘキサンジオール等)と、1種以上の2価カルボン酸(より具体的には、テレフタル酸、フタル酸、アルケニルコハク酸、トリメリット酸、又はセバシン酸等)とを縮合反応させて、第1ポリエステル樹脂を得る。また、1種以上のビスフェノール類と、1種以上の2価カルボン酸(より具体的には、テレフタル酸、フタル酸、アルケニルコハク酸、トリメリット酸、又はセバシン等)とを縮合反応させて、第2ポリエステル樹脂を得る。
ニグロシン含有樹脂は、ニグロシン染料と樹脂(例えば、1種以上のスチレン系モノマーの重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体)とを溶融混練することで、得られる。得られたニグロシン含有樹脂において、ニグロシン染料は、樹脂中に均一に分散していると考えられる。溶融混練には、1軸押出機又は2軸押出機を好適に使用できる。なお、ニグロシン含有樹脂の調製方法は溶融混練に限られない。例えば、ニグロシン染料と樹脂とを有機溶媒に溶かした後に有機溶媒を除去することによって、ニグロシン含有樹脂を得てもよい。
(溶融混練工程)
以下、溶融混練工程の一例について説明する。溶融混練工程では、トナー材料(例えば、2種以上のポリエステル樹脂、ニグロシン含有樹脂、着色剤、及び離型剤)を混合して、混合物を得る。続けて、得られた混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る。トナー材料の混合には、混合装置(例えば、FMミキサー)を好適に使用できる。混合物の溶融混練には、2軸押出機、三本ロール混練機、又は二本ロール混練機を好適に使用できる。なお、トナー材料としては、結着樹脂及び着色剤を含むマスターバッチを用いてもよい。
(粉砕工程)
以下、粉砕工程の一例について説明する。まず、ドラムフレーカーのような冷却固化装置を用いて溶融混練物を冷却することにより固化する。続けて、第1の粉砕装置を用いて、得られた固化物を粗粉砕する。その後、得られた粗粉砕物を、第2の粉砕装置を用いてさらに粉砕し、所望の粒子径を有する粉砕物を得る。
(洗浄工程)
粉砕工程の後、例えば水を用いてトナー母粒子を洗浄してもよい。トナー母粒子の洗浄方法としては、例えば、トナー母粒子を含む分散液を固液分離して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を回収し、回収されたウェットケーキ状のトナー母粒子を水で洗浄する方法が好ましい。また、トナー母粒子の洗浄方法としては、トナー母粒子を含む分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が好ましい。
(乾燥工程)
洗浄工程の後、トナー母粒子を乾燥してもよい。例えば、乾燥機(より具体的には、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機等)を用いてトナー母粒子を乾燥することができる。乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するためには、スプレードライヤーを用いてトナー母粒子を乾燥することが好ましい。スプレードライヤーを用いる場合には、例えば、外添剤(より具体的には、シリカ粒子等)を含む分散液をトナー母粒子に噴霧することで、乾燥工程と後述の外添工程とを同時に行うことが可能になる。
(外添工程)
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。混合機を用いて、トナー母粒子に外添剤が埋め込まれないような条件でトナー母粒子と外添剤とを混合することで、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
上記工程により、トナー粒子を多数含むトナーを製造することができる。なお、必要のない工程は割愛してもよい。例えば、市販品をそのまま材料として用いることができる場合には、市販品を用いることで、その材料を調製する工程を割愛できる。また、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。同時に製造されたトナー粒子は、互いに略同一の構成を有すると考えられる。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーT−1〜T−13(それぞれ静電潜像現像用トナー)を示す。また、表2には、トナーT−1〜T−13のいずれかの製造に用いられるポリエステル樹脂PES−1〜PES−5を示す。
Figure 2017142409
Figure 2017142409
以下、トナーT−1〜T−13の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。また、SP値(溶解度パラメーター)は、Fedors法に従って算出した値(単位:(cal/cm31/2)である。
[トナーの製造方法]
(ポリエステル樹脂PES−1〜PES−5の調製)
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容器(反応槽)に、表2に示すモノマー(アルコール成分及び酸成分)と、2−エチルヘキサン酸錫(II)とを入れた。アルコール成分及び酸成分の各々の添加量(モル比率)は、表2に示すとおりであった。例えば、ポリエステル樹脂PES−1の調製では、ビスフェノールA−PO(プロピレンオキサイド)付加物100モル部と、テレフタル酸50モル部と、n−ドデセニルコハク酸30モル部と、トリメリット酸20モル部とを、容器内に投入した。2−エチルヘキサン酸錫(II)の添加量は、モノマー(アルコール成分及び酸成分)の総量100質量部に対して1質量部であった。
続けて、窒素雰囲気(常圧)かつ温度140℃の条件で、水を留去しながら、容器内容物を6時間反応させた。続けて、容器内容物を10℃/時の速度で200℃まで昇温させて、容器内容物の温度が200℃に到達してからさらに2時間、容器内容物を反応させた。続けて、容器内を5kPaに減圧して、減圧雰囲気(圧力5kPa)かつ温度200℃の条件で、容器内容物を3時間反応させた。その結果、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂PES−1〜PES−5)が得られた。
(ニグロシン含有樹脂NPS−1の調製)
温度計(熱電対)、還流冷却器、及び攪拌装置を備えた反応容器に、イオン交換水160質量部と、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(固形分濃度3.3質量%)0.04質量部と、硫酸ナトリウム0.4質量部とを入れた。続けて、スチレン80質量部と、アクリル酸ブチル20質量部と、トリアクリル酸トリメチロールプロパン0.3質量部と、過酸化物重合開始剤2.5質量部(ベンゾイルパーオキサイド2質量部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.5質量部)とを、容器内に入れた。容器内容物の温度は40℃であった。
続けて、容器内容物を攪拌しながら65分間かけて40℃から130℃まで昇温させて、容器内容物の温度が130℃に到達してからさらに2.5時間(150分間)、容器内容物を反応させた。その後、容器内を冷却して、容器内容物として重合体粒子(詳しくは、スチレン−アクリル酸系樹脂の粒子)の懸濁液を得た。
続けて、ニグロシン溶液(ニグロシン染料(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON N−71」)1質量部をメチルエチルケトン100質量部に溶かした溶液)を、容器内に加えた。容器内容物の温度は40℃であった。続けて、容器内容物を攪拌しながら昇温させた。昇温中、容器内の溶媒が還流し始めたら溶媒を排出し、溶媒の排出を行いながら、容器内容物を130℃まで昇温させた。容器内容物の温度が130℃に到達したら、容器内を減圧して、溶媒を除去した。これにより、溶融した樹脂(ニグロシン含有樹脂)が得られた。その後、洗浄工程、冷却工程、及び乾燥工程を経て、SP値8.5のニグロシン含有樹脂NPS−1を得た。
(ニグロシン含有樹脂NPS−2の調製)
ニグロシン含有樹脂NPS−2の調製方法は、トリアクリル酸トリメチロールプロパン0.3質量部の代わりにアクリル酸2−ヒドロキシエチル3質量部を使用した以外は、ニグロシン含有樹脂NPS−1の調製方法と同じであった。ニグロシン含有樹脂NPS−2のSP値は10.0であった。
(ニグロシン含有樹脂NPS−3の調製)
ニグロシン含有樹脂NPS−3の調製方法は、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの量を3質量部から5質量部に変更した以外は、ニグロシン含有樹脂NPS−2の調製方法と同じであった。ニグロシン含有樹脂NPS−3のSP値は10.5であった。
(トナー母粒子の作製)
表1に示すポリエステル樹脂(表1に示す樹脂D11及びD12)と、表1に示すニグロシン含有樹脂(表1に示す樹脂D20)と、着色剤(カーボンブラック:三菱化学株式会社製「MA−100」)と、離型剤(カルナバワックス:株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて回転速度2400rpmで180秒間混合した。各材料の添加量は、表1に示すとおりであった。例えば、トナーT−1の製造では、ポリエステル樹脂PES−1(樹脂D11)を77質量部、ポリエステル樹脂PES−2(樹脂D12)を3質量部、ニグロシン含有樹脂NPS−1(樹脂D20)を10質量部、着色剤(カーボンブラック)を5質量部、離型剤(カルナバワックス)を5質量部、それぞれFMミキサーに投入した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度150rpm、シリンダー温度150℃の条件で溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)8μmのトナー母粒子が得られた。
(外添工程)
上記のようにして得たトナー母粒子100質量部と、乾式シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」)0.5質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤が付着した。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーT−1〜T−13)が得られた。
上記のようにして得られたトナーT−1〜T−13に関して、海/島SP比率及び低級アルコール樹脂割合(海状ドメインにおける特定ポリエステル樹脂の含有率)の各々の算出結果と、島状ドメイン径(島状ドメインの分散径)及び吸光度の各々の測定結果とは、表3に示すとおりであった。例えば、トナーT−1に関しては、海/島SP比率が1.19であり、島状ドメイン径が0.28μmであり、吸光度(波長567nmのAbs値)が0.92であった。また、低級アルコール樹脂割合(単位:質量%)は、式「低級アルコール樹脂割合=100×特定ポリエステル樹脂の質量/海状ドメインを構成する全ての樹脂の質量」に従って算出した。例えば、トナーT−1では、低級アルコール樹脂割合が3.8質量%(≒100×3/(77+3))であった。
Figure 2017142409
島状ドメイン径及び吸光度の各々の測定方法は、次に示すとおりであった。
<島状ドメイン径の測定方法>
測定対象(トナー)を常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散し、40℃の雰囲気で2日間硬化させて硬化物を得た。続けて、得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した後、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて切り出し、厚さ150nmの薄片試料を得た。続けて、得られた薄片試料の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて倍率3000倍で撮影した。そして、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてTEM撮影像を解析することで、トナー粒子中の島状ドメイン(ニグロシン含有樹脂)の分散径(直径)を計測した。なお、島状ドメインの断面が真円でない場合には、長径(最も長い径)を分散径の測定値とした。
トナー粒子の断面における島状ドメインの個数平均分散径を測定した。詳しくは、相当数の島状ドメインの分散径の測定値に基づき、1個のトナー粒子について、島状ドメインの個数平均分散径(島状ドメイン径)を算出した。そして、測定対象(トナー)に含まれる相当数のトナー粒子についてそれぞれ、島状ドメイン径を求めた。そして、得られた相当数のデータ(各トナー粒子の島状ドメイン径)の個数平均値を、測定対象(トナー)の測定値(島状ドメイン径)とした。
<吸光度の測定方法>
容量20mLの容器(サンプル瓶)に、測定対象(トナー)35mgとエタノール4gとを入れて、超音波液体混合装置(アズワン株式会社販売「スーパーソニックVS−F100」、高周波出力:最大100W、発振周波数:50kHz)を用いて超音波処理を1分間行った。続けて、容器内容物を温度25℃で1時間静置した後、容器内容物の上澄み液について、分光光度計(株式会社島津製作所製「UV−1800」)を用いて波長567nmでの吸光度(Abs値)を測定した。トナーT−1〜T−13のいずれでも、吸光ピークが波長567nmに現れた。
[評価方法]
各試料(トナーT−1〜T−13)の評価方法は、以下のとおりである。
(耐熱保存性)
試料(トナー)3gを容量20mLのポリエチレン製容器に入れて、その容器を、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した。その後、恒温器から取り出したトナーを室温(約25℃)まで冷却して、評価用トナーを得た。
続けて、得られた評価用トナーを、質量既知の200メッシュ(目開き75μm)の篩に載せた。そして、トナーを含む篩の質量を測定し、篩別前のトナーの質量W1を求めた。続けて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)に篩をセットし、パウダーテスターのマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5の条件で30秒間、篩を振動させて、評価用トナーを篩別した。篩別後、篩を通過しなかったトナー(篩上に残留したトナー)の質量(篩別後のトナーの質量W2)を測定した。そして、篩別前のトナーの質量W1と、篩別後のトナーの質量W2とに基づいて、次の式に従ってトナー通過率W0(単位:質量%)を求めた。
0=100×(W1−W2)/W1
トナー通過率が80質量%以上であれば○(良い)と評価し、トナー通過率が80質量%未満であれば×(良くない)と評価した。
(2成分現像剤の調製)
試料(トナー)10質量部と、現像剤用キャリア90質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。現像剤用キャリアとしては、樹脂被覆キャリア(製造元:パウダーテック株式会社、キャリアコア:Cu−Znフェライトコア、被覆樹脂:フッ素樹脂、被覆樹脂/キャリアコアの質量比:1/5、粒子径:35μm、体積固有抵抗値:107Ω・cm、飽和磁化:70emu/g)を使用した。
(低温定着性)
前述のように調製した2成分現像剤を用いて画像を形成して、最低定着温度を評価した。評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着装置(ニップ幅8mm)を有するカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。前述のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像装置に投入し、試料(補給用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
上記評価機を用いて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、線速200mm/秒で坪量90g/m2の紙(A4サイズの普通紙)を搬送し、搬送しながら紙に、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、ソリッド画像を形成した。続けて、画像が形成された紙を評価機の定着装置に通した。ニップ通過時間は40m秒であった。また、定着温度の設定範囲は100℃以上200℃以下であった。詳しくは、定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつ上昇させて、トナー(ソリッド画像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。定着できたか否かは、折擦り試験(折り目のトナー剥がれ長の測定)で確認した。詳しくは、定着装置に通した評価用紙を、画像を形成した面が内側となるように折り曲げ、布帛で被覆した1kgの分銅を用いて、折り目上の画像を10往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以下となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。最低定着温度が150℃以下であれば○(良い)と評価し、最低定着温度が150℃を超えれば×(良くない)と評価した。
(画像濃度及びかぶり濃度)
前述のように調製した2成分現像剤を用いて画像を形成して、画像濃度(ID)及びかぶり濃度(FD)を評価した。評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa500ci」)を用いた。前述のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像装置に投入し、評価機のトナーコンテナに試料(補給用トナー)を投入した。また、評価機の現像装置について、マグネットロールに印加する交流電圧(Vpp)を2.0kVに設定し、現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧を約250Vに調整した。
温度23℃かつ湿度50%RHの環境下において、上記評価機を用いて、印字率4%で5000枚の紙(A4サイズの普通紙)に連続印刷をさらに行った。連続印刷中の1000枚印刷ごとの各タイミングで、ソリッド部と空白部とを含むサンプル画像を記録媒体(評価用紙)に印刷した。そして、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、印刷された記録媒体におけるサンプル画像のソリッド部の反射濃度(ID:画像濃度)を測定した。また、上記反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye」)を用いて、印刷された記録媒体におけるサンプル画像の空白部と、印刷していないベースペーパー(未印刷紙)との各々について、反射濃度を測定した。そして、次の式に基づいて、かぶり濃度(FD)を算出した。
FD=(空白部の反射濃度)−(未印刷紙の反射濃度)
印刷枚数4000枚のタイミング(耐刷4000枚)での評価値(ID及びFD)と、印刷枚数5000枚のタイミング(耐刷5000枚)での評価値(ID及びFD)とは、それぞれ後述する表4に示されている。
耐刷4000枚では、画像濃度(ID)が、1.20以上であれば○(良い)と評価し、1.20未満であれば×(良くない)と評価した。耐刷4000枚では、かぶり濃度(FD)が、0.010以下であれば○(良い)と評価し、0.010超であれば×(良くない)と評価した。
耐刷5000枚では、画像濃度(ID)が、1.15以上であれば○(良い)と評価し、1.15未満であれば×(良くない)と評価した。耐刷5000枚では、かぶり濃度(FD)が、0.012以下であれば○(良い)と評価し、0.012超であれば×(良くない)と評価した。
[評価結果]
各試料(トナーT−1〜T−13)についての評価結果(耐熱保存性:トナー通過率、低温定着性:最低定着温度、画像濃度(ID)及びかぶり濃度(FD):耐刷4000枚及び耐刷5000枚の各々での評価値)を、表4に示す。トナーT−8及びT−9の各々については、島状ドメイン径が小さ過ぎて測定できなかった。
Figure 2017142409
トナーT−2、T−3、T−5、T−6、T−10、及びT−11(実施例1〜6に係るトナー)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、実施例1〜6に係るトナーではそれぞれ、トナー粒子が、海状ドメインと、海状ドメインに対して島状に分布する複数の島状ドメインとを有していた。海状ドメインは、特定ポリエステル樹脂(炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂)を少なくとも含む複数種の樹脂(詳しくは、複数種のポリエステル樹脂)から実質的に構成されていた。島状ドメインは、ニグロシン染料を含有する樹脂から実質的に構成されていた。島状ドメイン径(島状ドメインの分散径)は0.1μm以上1.0μm以下であった(表3参照)。海状ドメインは、特定ポリエステル樹脂(炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂)を、構成樹脂(海状ドメインを構成する全ての樹脂)の総量に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含有していた(表3参照)。海/島SP比率(島状ドメインを構成する樹脂のSP値に対する、海状ドメインを構成する樹脂のSP値の比率)は、0.98以下又は1.20以上であった(表3参照)。
トナーT−2、T−3、T−5、T−6、T−10、及びT−11(実施例1〜6に係るトナー)ではそれぞれ、耐熱保存性、低温定着性、並びに耐刷試験後における画像濃度(ID)及びかぶり濃度(FD)の各々の評価で、良い結果が得られた。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
10 トナー母粒子
R1 海状ドメイン
R2 島状ドメイン

Claims (6)

  1. 炭素数2以上6以下のアルコール成分を含むポリエステル樹脂を少なくとも含む複数種の樹脂から実質的に構成される海状ドメインと、前記海状ドメインに対して島状に分布する複数の島状ドメインとを有するトナー粒子を、複数含むトナーであって、
    前記島状ドメインは、ニグロシン染料を含有する樹脂から実質的に構成され、
    前記島状ドメインの分散径は0.1μm以上1.0μm以下であり、
    前記海状ドメインは、前記炭素数2以上6以下のアルコール成分を含む前記ポリエステル樹脂を、前記複数種の樹脂の総量に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含有し、
    前記島状ドメインを構成する樹脂のSP値に対する、前記海状ドメインを構成する樹脂のSP値の比率は、0.98以下又は1.20以上である、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記静電潜像現像用トナーをエタノール中に分散させた後、温度25℃で1時間静置した上澄み液について、分光光度計を用いて測定される波長567nmでの吸光度は、0.60以上1.20以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記ニグロシン染料を含有する前記樹脂は、前記ニグロシン染料と、スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を有する前記樹脂との混合物である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を有する前記樹脂は、1種以上の前記スチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である、請求項3に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記海状ドメインは、アルコール成分として1種以上のビスフェノール類を含み、酸成分として1種以上の2価カルボン酸を含むポリエステル樹脂をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記海状ドメインを構成する前記複数種の樹脂は、互いに異なる組成を有する複数種のポリエステル樹脂である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
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