JP2017141421A - 芳香族ポリスルホン組成物及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れた成形品を得ることができる、耐熱性に優れた新規の芳香族ポリスルホン組成物を提供する。
【解決手段】芳香族ポリスルホンと、沸点が100℃以上400℃以下である有機化合物と、を有し、芳香族ポリスルホンの質量に対して有機化合物を0.1ppm以上10質量%以下含み、芳香族ポリスルホンが、式(1)で表される繰返し単位を有する芳香族ポリスルホン組成物。
−Ph−SO−Ph−O− (1)
[式(1)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、フェニレン基に結合する1個以上の水素原子が、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。]
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリスルホン組成物及び成形品に関するものである。
芳香族ポリスルホンは、耐熱性や耐薬品性に優れることから、成形体用の材料として各種用途に用いられている。芳香族ポリスルホンは、通常、塩基及び反応溶媒の共存下で、芳香族ジハロゲノスルホン化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物とを重縮合反応させることで製造される(例えば、特許文献1、2参照)。
上記の重縮合反応により得られる反応混合物は、芳香族ポリスルホン、未反応の塩基、副生成物(塩基としてアルカリ金属塩を用いた場合には、ハロゲン化アルカリ)および反応溶媒を含んでいる。通常、この反応混合物から、芳香族ポリスルホンを単離し、未反応の塩基、副生成物および反応溶媒の残存量が少ない状態とする手法がとられる。
特許文献3では、アルコールや水などの非溶媒を用いて重合体混合物から副生成物および溶媒を除去した後、脂肪族アルコールおよびケトン類の混合溶媒中で芳香族ポリエーテル重合体の嵩密度を上げる方法が開示されている。
特許文献4では、非溶媒中で重合体混合物を粉砕した後、重合体混合物のガラス転移温度または融点未満の温度で、かつ反応溶媒の蒸気圧の温度以上で減圧加熱する方法が開示されている。
特許文献5では、副生塩を除去後の反応粗液に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの特定の溶媒および芳香族ポリエーテル系重合体の非溶媒の混合溶媒を加え、芳香族ポリエーテル系重合体を非溶媒中で沈殿させた後、洗浄する方法が開示されている。
特表2012−509375号公報 特表2013−502476号公報 特開昭64−043524号公報 特開平1−263121号公報 特開昭63−095231号公報
上記特許文献1〜5に記載されたような従来の芳香族ポリスルホンは、必ずしも耐熱性が十分ではなかった。また、この芳香族ポリスルホンを成形した成形品は、必ずしも機械的強度が十分ではなかった。そこで、さらなる芳香族ポリスルホンの耐熱性の向上及び、芳香族ポリスルホンを成形してなる成形品の機械的強度の向上が望まれていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れた成形品を提供することを目的の一つとする。また、弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れた成形品を得ることができる、耐熱性に優れた新規の芳香族ポリスルホン組成物を提供することを目的の一つとする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、芳香族ポリスルホンと、沸点が100℃以上400℃以下である有機化合物と、を有し、芳香族ポリスルホンの質量に対して有機化合物を0.1ppm以上10質量%以下含み、芳香族ポリスルホンが、式(1)で表される繰返し単位を有する芳香族ポリスルホン組成物を提供する。
−Ph−SO−Ph−O− (1)
[式(1)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、フェニレン基に結合する1個以上の水素原子が、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。]
本発明の一態様においては、有機化合物は、ハンセン溶解度パラメータにおける分散項δD(単位:MPa0.5)が16.0以上22.0以下、極性項δP(単位:MPa0.5)が12.0以上16.4以下、水素結合項δH(単位:MPa0.5)が3.0以上12.0以下であることが好ましい。
本発明の一態様においては、有機化合物は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましい。
本発明の一態様においては、有機化合物は、N−メチル−2−ピロリドンであることが好ましい。
本発明の一態様は、芳香族ポリスルホンと、沸点が100℃以上400℃以下である有機化合物と、を有し、芳香族ポリスルホンの質量に対して有機化合物を0.1ppm以上3質量%以下含み、芳香族ポリスルホンが、式(1)で表される繰返し単位を有する成形品を提供する。
−Ph−SO−Ph−O− (1)
[式(1)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、フェニレン基に結合する1個以上の水素原子が、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。]
本発明の一態様によれば、弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れた成形品が提供される。また、弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れた成形品を得ることができる、耐熱性に優れた新規の芳香族ポリスルホン組成物が提供される。
<芳香族ポリスルホン組成物>
本実施形態に係る芳香族ポリスルホン組成物は、芳香族ポリスルホンと、沸点が100℃以上400℃以下である有機化合物(以下、「化合物A」と言うことがある。)と、を有し、芳香族ポリスルホンの質量に対して化合物Aが0.1ppm以上10質量%以下含まれる。
[芳香族ポリスルホン]
本実施形態において、芳香族ポリスルホンは、典型的には、2価の芳香族基(芳香族化合物から、その芳香環に結合した水素原子を2個除いてなる残基)と、スルホニル基(−SO−)と、酸素原子とを含む繰返し単位を有する樹脂である。
芳香族ポリスルホンは、耐熱性や耐薬品性の点から、式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」と言うことがある。)を有する。また、繰返し単位(1)を有する芳香族ポリスルホンを芳香族ポリエーテルスルホンと言う。さらに、式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」と言うことがある。)や、式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」と言うことがある。)等の他の繰返し単位を1種以上有していてもよい。
−Ph−SO−Ph−O− (1)
[式(1)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。]
−Ph−R−Ph−O− (2)
[式(2)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜5のアルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子である。]
−(Ph−O− (3)
[式(3)中、Phは、フェニレン基を表し、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。nは、1〜3の整数であり、nが2以上である場合、複数存在するPhは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
Ph〜Phのいずれかで表されるフェニレン基は、互いに独立に、p−フェニレン基であってもよいし、m−フェニレン基であってもよいし、o−フェニレン基であってもよいが、p−フェニレン基であることが好ましい。
前記フェニレン基の水素原子を置換していてもよい炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられる。
前記フェニレン基の水素原子を置換していてもよい炭素数6〜20のアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられる。
前記フェニレン基の水素原子を置換していてもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記フェニレン基の水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、前記フェニレン基毎に、互いに独立に、好ましくは2個以下、より好ましくは1個である。
Rで表される炭素数1〜5のアルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基及び1−ブチリデン基が挙げられる。
芳香族ポリスルホンは、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、繰返し単位(1)を50モル%以上有することが好ましく、80モル%以上有することがより好ましく、繰返し単位として、実質的に繰返し単位(1)のみを有することがさらに好ましい。なお、芳香族ポリスルホンは、繰返し単位(1)〜(3)を、互いに独立に、2種以上有していてもよい。
本実施形態の芳香族ポリスルホンの還元粘度(単位:dL/g)は、好ましくは0.18以上であり、より好ましくは0.22以上0.80以下である。芳香族ポリスルホンは、還元粘度が高いほど、耐熱性や成形品としたときの強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、流動性が低くなり易い。
[化合物A]
本実施形態に係る化合物Aの沸点は、100℃以上400℃以下であり、100℃以上350℃以下であることが好ましい。芳香族ポリスルホン組成物中に含まれる化合物Aの量を低減する際、必要となるエネルギーがより少なくて済むことから、化合物Aの沸点は100℃以上250℃以下であることがさらに好ましい。
また、化合物Aのハンセン溶解度パラメータにおける分散項δD(単位:MPa0.5)は16.0以上22.0以下であることが好ましく、16.0以上20.0以下であることがより好ましく、16.0以上19.0以下であることがさらに好ましい。
化合物Aのハンセン溶解度パラメータにおける極性項δP(単位:MPa0.5)は、12.0以上16.4以下であることが好ましく、12.0以上15.0以下であることがより好ましく、12.0以上14.5以下であることがさらに好ましい。
化合物Aのハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項δH(単位:MPa0.5)は、3.0以上12.0以下であることが好ましく、3.0以上8.0以下であることがより好ましく、7.0以上8.0以下であることがさらに好ましい。
さらに、ハンセン溶解度パラメータにおける分散項δD(単位:MPa0.5)が16.0以上22.0以下、極性項δP(単位:MPa0.5)が12.0以上16.4以下、水素結合項δH(単位:MPa0.5)が3.0以上12.0以下であることがより好ましい。これらの中で、ハンセン溶解度パラメータにおける分散項δD(単位:MPa0.5)が16.0以上19.0以下、極性項δP(単位:MPa0.5)が12.0以上16.4以下、水素結合項δH(単位:MPa0.5)が7.0以上12.0以下であることがさらに好ましい。
化合物Aは、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、その例としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等のアミド;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等のスルホン;1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン等の、窒素原子に結合している水素原子が置換されていてもよい尿素骨格を有する化合物が挙げられる。
化合物Aは、ハンセン溶解度パラメータが上述の条件を満たす非プロトン性極性溶媒であることがより好ましく、その例としては、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、及びジフェニルスルホンが挙げられる。より好ましい例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、及びジフェニルスルホンが挙げられる。さらに好ましい例としては、N−メチル−2−ピロリドン及びN−エチル−2−ピロリドンが挙げられる。表1に、化合物Aとして用いられる代表的な非プロトン性極性溶媒のハンセン溶解度パラメータの各項の値(分散項δD、極性項δPおよび水素結合項δH)を示す。
Figure 2017141421
本実施形態において、化合物Aは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリスルホンの質量に対する、化合物Aの含有量が0.1ppm以上であることにより、芳香族ポリスルホン組成物を成形した成形品の機械的強度が向上する。また、化合物Aの含有量が10質量%より大きいと、耐熱性が低下することにより、芳香族ポリスルホンのガラス転移温度(Tg)よりも低い温度(例えば、(Tg−50)℃未満の温度)で芳香族ポリスルホン組成物が融解する。したがって、化合物Aの含有量は、0.1ppm以上10質量%以下である。また、化合物Aの含有量は、芳香族ポリスルホン組成物の着色を抑制できる点で、好ましくは0.1ppm以上4質量%以下であり、より好ましくは0.1ppm以上2質量%以下でありさらに好ましくは1ppm以上2質量%以下であり、さらにより好ましくは5ppm以上2質量%以下である。また、加工時に揮発する化合物Aの量を減少させる観点から、化合物Aの含有量は、好ましくは5ppm以上2000ppm以下であり、より好ましくは5ppm以上200ppm%以下でありさらに好ましくは5ppm以上50ppm%以下である。
本実施形態の芳香族ポリスルホン組成物は、芳香族ポリスルホンの質量に対する、化合物Aの含有量が上記の条件を満たしていることで、優れた耐熱性を示す。
例えば、芳香族ポリスルホン組成物を、芳香族ポリスルホンのTgよりも低い温度で乾燥させたとき、化合物Aの含有量が10質量%より大きいと芳香族ポリスルホン組成物の一部又は全部が融解し、周囲の芳香族ポリスルホン組成物と融着する。また、化合物Aの含有量が4質量%より大きいと芳香族ポリスルホン組成物の一部又は全部が着色する。芳香族ポリスルホンのTgよりも低い温度において、芳香族ポリスルホン組成物は融解しないことが好ましい。また、融解と着色の両方が抑えられることがより好ましい。
通常は、芳香族ポリスルホン組成物が融解せず、着色が少ないほど、耐熱性に優れていると言える。
<芳香族ポリスルホン組成物の製造方法>
本実施形態に係る芳香族ポリスルホン組成物の製造方法は、芳香族ジハロゲノスルホン化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物、塩基及び溶媒を配合し、芳香族ジハロゲノスルホン化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物を重縮合反応させることにより、芳香族ポリスルホン組成物を製造する方法である。
[モノマー種]
芳香族ジハロゲノスルホン化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物は、芳香族ポリスルホンを構成する繰返し単位に対応するものである。そして、芳香族ジハロゲノスルホン化合物は、一分子中に芳香環と、スルホニル基(−SO−)と、2個のハロゲノ基とを有する化合物であればよい。また、芳香族ジヒドロキシ化合物は、一分子中に芳香環と、2個のヒドロキシ基とを有する化合物であればよい。
例えば、繰返し単位(1)を有する芳香族ポリスルホンは、芳香族ジハロゲノスルホン化合物として、式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」と言うことがある。)を用い、芳香族ジヒドロキシ化合物として、式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と言うことがある。)を用いることにより、製造することができる。
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)とを有する芳香族ポリスルホンは、芳香族ジハロゲノスルホン化合物として、化合物(4)を用い、芳香族ジヒドロキシ化合物として、式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」と言うことがある。)を用いることにより、製造することができる。
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(3)とを有する芳香族ポリスルホンは、芳香族ジハロゲノスルホン化合物として、化合物(4)を用い、芳香族ジヒドロキシ化合物として、式(7)で表される化合物(以下、「化合物(7)」と言うことがある。)を用いることにより、製造することができる。
−Ph−SO−Ph−X (4)
[式(4)中、X及びXは、互いに独立に、ハロゲン原子を表す。Ph及びPhは、前記と同義である。]
HO−Ph−SO−Ph−OH (5)
[式(5)中、Ph及びPhは、前記と同義である。]
HO−Ph−R−Ph−OH (6)
[式(6)中、Ph、Ph及びRは、前記と同義である。]
HO−(Ph−OH (7)
[式(7)中、Ph及びnは、前記と同義である。]
化合物(4)において、X及びXは、互いに独立に、ハロゲン原子を表し、前記フェニレン基の水素原子を置換していてもよいハロゲン原子と同じものが挙げられる。
化合物(4)の例としては、ビス(4−クロロフェニル)スルホン及び4−クロロフェニル−3’,4’−ジクロロフェニルスルホンが挙げられる。
化合物(5)の例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン及びビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)スルホンが挙げられる。
化合物(6)の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド及びビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルが挙げられる。
化合物(7)の例としては、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、フェニルヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル及び4,4’−ジヒドロキシ−p−クオターフェニルが挙げられる。なかでも、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、フェニルヒドロキノン、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル及び4,4’−ジヒドロキシ−p−クオターフェニルが好ましい。
化合物(4)以外の芳香族ジハロゲノスルホン化合物の例としては、4,4’−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ビフェニルが挙げられる。
本発明においては、芳香族ジハロゲノスルホン化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物の全部又は一部に代えて、4−ヒドロキシ−4’−(4−クロロフェニルスルホニル)ビフェニル等の、分子中にハロゲノ基及びヒドロキシ基を有する化合物を用いることもできる。
本発明においては、目的とする芳香族ポリスルホンの種類に応じて、芳香族ジハロゲノスルホン化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物は、いずれも、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[塩基]
芳香族ジハロゲノスルホン化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物との重縮合は、塩基として炭酸のアルカリ金属塩を用いて行われることが好ましい。また、重縮合溶媒として有機溶媒中で行われることが好ましく、塩基として炭酸のアルカリ金属塩を用い、且つ有機溶媒中で行われることがより好ましい。
炭酸のアルカリ金属塩は、正塩である炭酸アルカリ(アルカリ金属の炭酸塩)であってもよいし、酸性塩である重炭酸アルカリ(炭酸水素アルカリ、アルカリ金属の炭酸水素塩)であってもよいし、これら(炭酸アルカリ及び重炭酸アルカリ)の混合物であってもよい。好ましい炭酸アルカリの例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。好ましい重炭酸アルカリの例としては、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、重炭酸カリウム(炭酸水素カリウム)等が挙げられる。
[有機溶媒]
芳香族ジハロゲノスルホン化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物との重縮合は、有機溶媒として化合物Aを用いて行われることが好ましい。
[重合]
芳香族ポリスルホン組成物の製造方法では、第1段階として、芳香族ジハロゲノスルホン化合物と、芳香族ジヒドロキシ化合物とを、化合物Aに溶解させる。第2段階として、第1段階で得られた溶液に、炭酸のアルカリ金属塩を加えて、芳香族ジハロゲノスルホン化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物とを重縮合反応させる。第3段階として、第2段階で得られた反応混合物から、未反応の塩基、副生成物(塩基としてアルカリ金属塩を用いた場合には、ハロゲン化アルカリ)、及び化合物Aを除去して、芳香族ポリスルホン組成物を得る。
第1段階の溶解温度は、好ましくは40℃以上180℃以下である。また、第2段階の重縮合の反応温度は、好ましくは180℃以上400℃以下である。仮に副反応が生じなければ、重縮合温度が高いほど、目的とする重縮合が速やかに進行するので、得られる芳香族ポリスルホンの重合度が高くなり、その結果、芳香族ポリスルホンは還元粘度が高くなる傾向にある。しかし、実際は、重縮合温度が高いほど、上記と同様の副反応が生じ易くなり、この副反応により、得られる芳香族ポリスルホンの重合度が低下するので、この副反応の度合いも考慮して、所定の還元粘度を有する芳香族ポリスルホンが得られるように、重縮合温度を調整する必要がある。
芳香族ジヒドロキシ化合物に対する、芳香族ジハロゲノスルホン化合物の配合比率は、80モル%以上120モル%以下であることが好ましく、90モル%以上110モル%以下であることがより好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物に対する、炭酸のアルカリ金属塩の使用比率は、アルカリ金属として、90モル%以上130モル%以下であることが好ましく、95モル%以上120モル%以下であることがより好ましい。
仮に副反応が生じなければ、炭酸のアルカリ金属塩の使用比率が多いほど、目的とする重縮合が速やかに進行するので、得られる芳香族ポリスルホンの重合度が高くなり、その結果、芳香族ポリスルホンは還元粘度が高くなる傾向にある。
しかし、実際は、炭酸のアルカリ金属塩の使用比率が多いほど、上記と同様の副反応が生じ易くなり、この副反応により、得られる芳香族ポリスルホンの重合度が低下する。この副反応の度合いも考慮して、所定の還元粘度を有する芳香族ポリスルホンが得られるように、炭酸のアルカリ金属塩の使用比率を調整する必要がある。
第2段階の重縮合は、通常、副生する水を除去しながら徐々に昇温し、化合物Aの還流温度に達した後、さらに、好ましくは1時間以上50時間以下、より好ましくは2時間以上30時間以下保温することにより行うとよい。仮に副反応が生じなければ、重縮合時間が長いほど、目的とする重縮合が進むので、得られる芳香族ポリスルホンの重合度が高くなり、その結果、芳香族ポリスルホンは還元粘度が高くなる傾向にある。しかし、実際は、重縮合時間が長いほど、上記と同様の副反応が進行し、この副反応により、得られる芳香族ポリスルホンの重合度が低下するので、この副反応の度合いも考慮して、所定の還元粘度を有する芳香族ポリスルホンが得られるように、重縮合時間を調整する必要がある。
第3段階では、まず、第2段階で得られた反応混合物から、未反応の炭酸のアルカリ金属塩、及び副生したハロゲン化アルカリを、濾過、抽出、遠心分離等で除去することにより、芳香族ポリスルホンが化合物Aに溶解してなる溶液が得られる。次いで、この溶液から、化合物Aを所定量残存させながら、余剰分を除去することにより、芳香族ポリスルホン組成物が得られる。
本製造方法において、例えば、芳香族ポリスルホン溶液から直接、減圧もしくは加圧下で化合物Aを低減してもよい。好ましくは、上述の溶液を芳香族ポリスルホンの貧溶媒と混合して、芳香族ポリスルホンを析出させ、ろ過や遠心分離等で化合物Aを除去するとよい。さらに、上述の析出物を、貧溶媒で繰返し洗浄することにより、芳香族ポリスルホン組成物を得るとよい。
以下、化合物Aの含有量を調整する方法の一例について詳述する。
貧溶媒中で析出した芳香族ポリスルホンは、貧溶媒において、芳香族ポリスルホンと化合物Aとを含む混合析出物として存在する。そのため、芳香族ポリスルホンが析出した溶液(芳香族ポリスルホン溶液+貧溶媒)にろ過や遠心分離を行うと、上記混合析出物と溶媒(化合物A+貧溶媒)とが分離され、混合析出物が得られる。
得られた混合析出物を貧溶媒中に分散させると、混合析出物の周囲の貧溶媒に向けて、混合析出物内から化合物Aが溶出する。同時に、混合析出物の周囲の貧溶媒が、混合析出物内に浸入する。このような貧溶媒及び化合物Aの移動は、混合析出物を貧溶媒に分散させた分散系において、化合物Aの濃度が、混合析出物内と混合析出物の周囲の分散媒とで等しくなるまで、すなわち混合析出物内と混合析出物の周囲の分散媒とで平衡に達するまで続く。
このとき、混合析出物に含まれる化合物Aの量と、洗浄に用いる貧溶媒の量が既知であると、これらの量に基づいて、分散系中の溶媒(化合物A+貧溶媒)の移動が平衡に達したときに、混合析出物内に残存する化合物Aの量を概算することができる。
そのため、洗浄に用いる貧溶媒の量を制御することで、混合析出物内に残存する化合物Aの量を制御することができる。また、洗浄に用いる貧溶媒に化合物Aを予め溶解させておくことにより、貧溶媒のみを用いて洗浄を行う場合と比べ、分散系中の溶媒の移動が平衡に達したときに、混合析出物から周囲の貧溶媒に向けた化合物Aの溶出量を抑制し、混合析出物内に化合物Aを多く残存させることができる。
本製造方法においては、化合物Aを所定量含有する芳香族ポリスルホン組成物が得られるように、貧溶媒の使用量、洗浄時間、洗浄温度、洗浄回数、撹拌速度を調整することができる。例えば、貧溶媒の使用量を増やす、上述の平衡に達するまでの洗浄時間を長くする、洗浄温度を高くする、洗浄回数を増やす、又は撹拌速度を上げることにより、化合物Aの含有量を低減することができる。また、上記の操作を2種類以上組み合わせてもよい。
芳香族ポリスルホンの貧溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン及び水が挙げられ、安価であることから好ましくは水及びメタノールが挙げられる。
本実施形態において、芳香族ポリスルホンの貧溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<成形品>
本実施形態に係る成形品は、芳香族ポリスルホンと、沸点が100℃以上400℃以下である有機化合物(以下、「化合物A」と言うことがある。)と、を有し、芳香族ポリスルホンの質量に対して化合物Aが0.1ppm以上3質量%以下含まれる。また、成形品中に含まれる化合物Aの割合は、芳香族ポリスルホンの質量に対して、0.1ppm以上2質量%以下であることが好ましく、1ppm以上1000ppm%以下であることがより好ましく、1ppm以上150ppm%以下であることがさらに好ましく、1ppm以上100ppm%以下であることがとりわけ好ましく、1ppm以上30ppm%以下であることが特に好ましい。
本実施形態における芳香族ポリスルホンは、式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」と言うことがある。)を有する。
−Ph−SO−Ph−O− (1)
[式(1)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。]
[芳香族ポリスルホン]
本実施形態において、繰返し単位(1)を有する芳香族ポリスルホンは、上述の芳香族ポリスルホン組成物で用いられるものと同じものを使用することができる。
[化合物A]
本実施形態に係る成形品に含まれる化合物Aは、上述の芳香族ポリスルホン組成物で用いられるものと同じものを使用することができる。すなわち、本実施形態における化合物Aは、沸点が100℃以上400℃以下であり、沸点が100℃以上350℃以下であることが好ましい。成形品中に含まれる化合物Aの量を低減する際、必要となるエネルギーがより少なくて済むことから、化合物Aの沸点は100℃以上250℃以下であることがさらに好ましい。
また、化合物Aのハンセン溶解度パラメータにおける分散項δD(単位:MPa0.5)は16.0以上22.0以下であることが好ましく、16.0以上20.0以下であることがより好ましく、16.0以上19.0以下であることがさらに好ましい。
化合物Aのハンセン溶解度パラメータにおける極性項δP(単位:MPa0.5)は、12.0以上16.4以下であることが好ましく、12.0以上15.0以下であることがより好ましく、12.0以上14.5以下であることがさらに好ましい。
化合物Aのハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項δH(単位:MPa0.5)は、3.0以上12.0以下であることが好ましく、3.0以上8.0以下であることがより好ましく、7.0以上8.0以下であることがさらに好ましい。
さらに、ハンセン溶解度パラメータにおける分散項δD(単位:MPa0.5)が16.0以上22.0以下、極性項δP(単位:MPa0.5)が12.0以上16.4以下、水素結合項δH(単位:MPa0.5)が3.0以上12.0以下であることがより好ましい。
<成形品の製造方法>
本実施形態に係る成形品の製造方法は、例えば本実施形態に係る芳香族ポリスルホン組成物を原材料に用いて、芳香族ポリスルホンの質量に対する化合物Aの割合が上述の範囲になるように成形し、成形品とすることができる。
本発明によれば、弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れた成形品が提供される。また、弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れた成形品を得ることができる、耐熱性に優れた新規の芳香族ポリスルホン組成物が提供される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、芳香族ポリスルホンの還元粘度の測定、芳香族ポリスルホン組成物中の化合物Aの定量分析、成形品の作成、成形品中の化合物Aの定量分析、及び機械的物性評価は、それぞれ以下の方法で行った。
[芳香族ポリスルホンの還元粘度の測定]
芳香族ポリスルホン約1gをN,N−ジメチルホルムアミド(試薬特級)に溶解させて、その容量を1dLとし、この溶液の流出時間(秒)を、オストワルド型粘度管を用いて、25℃で測定した。また、溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドの流出時間(秒)を、オストワルド型粘度管を用いて、25℃で測定した。芳香族ポリスルホン溶液の流出時間(t)とN,N−ジメチルホルムアミドの流出時間(t)から、((t−t)/t)を求め、この値を、芳香族ポリスルホン溶液の濃度(約1g/dL)で割ることにより、芳香族ポリスルホンの還元粘度(dL/g)を求めた。
通常は、還元粘度の値が大きいほど高分子量であるといえる。
[芳香族ポリスルホン組成物中の化合物Aの定量分析]
既知量の芳香族ポリスルホン組成物と、既知量のメタノールを室温で2時間以上混合した。メタノール中における化合物Aの濃度をガスクロマトグラフィーの面積比から算出した。次いで、芳香族ポリスルホン組成物及びメタノールの量から、芳香族ポリスルホン組成物中の化合物Aの含有量を算出した。
[成形品の作成]
芳香族ポリスルホン組成物を一対のアルミニウム製平板で挟んだ。さらに、全体を一対の鋼製平板を挟んで、熱プレス機にて、300℃で5分間予熱した後、芳香族ポリスルホン組成物の粒子が融着するのに十分な圧力で、2分間加熱圧縮した。次いで、25℃に設定した冷却プレス機にて冷却する際に、アルミニウム製スペーサーを用いることにより、厚さ約0.1mmのプレスシートとして成形品を作成した。
[成形品中の化合物Aの定量分析]
成形品を短辺が0.5mm以下となるように粉砕し、既知量の粉砕した成形品と、既知量のアセトンとメタノールを体積比1:1で混合した混合液を室温で4時間以上混合した。混合液中における化合物Aの濃度をガスクロマトグラフィーの面積比から算出した。次いで、この成形品及び混合液の量から、成形品中の化合物Aの含有量を算出した。
[耐熱性の評価]
芳香族ポリスルホン組成物を、150℃で乾燥させたとき、芳香族ポリスルホン組成物の一部又は全部が融解し、周囲の芳香族ポリスルホン組成物と融着した場合は、「×」とした。また、芳香族ポリスルホン組成物の一部又は全部が着色するが、融解しない場合は、「○」とした。また、芳香族ポリスルホン組成物が融解も着色もしない場合は、「◎」とした。
[機械的物性の評価]
上述の成形品からJIS K6251ダンベル状3号型試験片を作製した。作製した試験片をオートグラフにて、つかみ間隔50mm、引張速度5mm/分で引張り、23℃、湿度50%の雰囲気下における、弾性率(単位:GPa)及び応力(MPa)を測定した。
<芳香族ポリスルホン組成物の製造>
[製造例1]
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽に、ビス(4−クロロフェニル)スルホン87.44g(0.3045mol)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン75.08g(0.3000mol)、炭酸カリウム43.54g(0.3150mol)及び化合物AとしてN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と言うことがある。)160mLを混合し、190℃で6時間反応させた。次いで、得られた反応混合溶液を、NMPで希釈し、室温まで冷却して、未反応の炭酸カリウム及び副生した塩化カリウムを析出させた。上述の無機塩をろ過で除去することにより、芳香族ポリスルホン溶液を得た。さらに、上述の溶液を水中に滴下し、芳香族ポリスルホンを析出させ、ろ過で不要なNMPを除去することにより、混合析出物(芳香族ポリスルホン+NMP)を得た。得られた芳香族ポリスルホンの還元粘度は0.511dL/gであった。
[実施例1〜6]
製造例1で得られた混合析出物を、水で繰返し洗浄し、150℃で加熱乾燥させることにより、芳香族ポリスルホン組成物を得た。洗浄回数を変更して得られた芳香族ポリスルホン組成物のNMP含有量は、それぞれ10質量%(実施例1)、3.6質量%(実施例2)、1.8質量%(実施例3)、1200ppm(実施例4)及び160ppm(実施例5)であった。芳香族ポリスルホン組成物の耐熱性の評価結果と、成形品中のNMP含有量及び機械的物性の評価結果を表2に示す。
[比較例1]
製造例1で得られた混合析出物の一部をサンプリングし、上述の定量方法において、混合析出物中のNMPが観測されなくなるまで、水で繰返し洗浄した後、150℃で加熱乾燥させることにより、NMPを含まない芳香族ポリスルホン組成物を得た。芳香族ポリスルホン組成物の耐熱性及び成形品の機械的物性の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
製造例1で得られた混合析出物を、水で繰返し洗浄し、150℃で加熱乾燥させることにより、芳香族ポリスルホン組成物を得た。得られた芳香族ポリスルホン組成物のNMP含有量は、18質量%であった。芳香族ポリスルホン組成物の耐熱性の評価結果と、成形品中のNMP含有量及び機械的物性の評価結果を表2に示す。
[実施例6]
製造例1で得られた混合析出物を、比較例1と同様に水で繰返し洗浄した後、1ppmNMP水溶液でさらに洗浄した。150℃で加熱乾燥させることにより、芳香族ポリスルホン組成物を得た。得られた芳香族ポリスルホン組成物のNMP含有量は、12ppmであった。芳香族ポリスルホン組成物の耐熱性及び成形品の機械的物性の評価結果を表2に示す。
なお、実施例1は3回の測定値の平均値を、実施例3及び比較例1は測定値を、実施例2、4〜6及び比較例2は2回の測定値の平均値を示す。
Figure 2017141421
表2の結果から、実施例1〜6の芳香族ポリスルホン組成物は、芳香族ポリスルホンの質量に対してNMPが0.1ppm以上10質量%以下であるので、耐熱性に優れていた。また、これらの芳香族ポリスルホン組成物を成形した成形品は弾性率及び応力等が大きく、機械的強度に優れていた。
上述に対して、比較例1の芳香族ポリスルホン組成物は、NMPが含まれないため、この芳香族ポリスルホン組成物を成形した成形品は機械的強度に劣っていた。
上述に対して、比較例2の芳香族ポリスルホン組成物は、芳香族ポリスルホンの質量に対してNMPが15質量%であるので、耐熱性に劣っていた。
以上の結果より、本発明が有用であることが確かめられた。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリスルホンと、
    沸点が100℃以上400℃以下である有機化合物と、を有し、
    前記芳香族ポリスルホンの質量に対して前記有機化合物を0.1ppm以上10質量%以下含み、
    前記芳香族ポリスルホンが、式(1)で表される繰返し単位を有する芳香族ポリスルホン組成物。
    −Ph−SO−Ph−O− (1)
    [式(1)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、前記フェニレン基に結合する1個以上の水素原子が、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。]
  2. 前記有機化合物は、ハンセン溶解度パラメータにおける分散項δD(単位:MPa0.5)が16.0以上22.0以下、極性項δP(単位:MPa0.5)が12.0以上16.4以下、水素結合項δH(単位:MPa0.5)が3.0以上12.0以下である請求項1に記載の芳香族ポリスルホン組成物。
  3. 前記有機化合物は、非プロトン性極性溶媒である請求項1又は2に記載の芳香族ポリスルホン組成物。
  4. 前記有機化合物は、N−メチル−2−ピロリドンである請求項3に記載の芳香族ポリスルホン組成物。
  5. 芳香族ポリスルホンと、
    沸点が100℃以上400℃以下である有機化合物と、を有し、
    前記芳香族ポリスルホンの質量に対して前記有機化合物を0.1ppm以上3質量%以下含み、
    前記芳香族ポリスルホンが、式(1)で表される繰返し単位を有する成形品。
    −Ph−SO−Ph−O− (1)
    [式(1)中、Ph及びPhは、フェニレン基を表し、前記フェニレン基に結合する1個以上の水素原子が、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。]
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