以下、図面を参照して、本発明に係る車両用ボードのハンドル装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態の車両用ボードのハンドル装置10(以下、「ハンドル装置10」という)は、車両の内部に開閉可能に取付けられるボード1を操作するためのハンドル80を有するものであって、ボード1に開設された取付孔1a(ここでは略四角孔状)にボード1の表側から取付けられるベース20と、ボード1の裏側から取付孔1aの孔縁を挟んだ状態でベース20に組付けられるカバー60とを有している。
更にこの実施形態のハンドル装置10は、ベース20に回動可能に取付けられるハンドル80と、該ハンドル80をベース20に近接する方向に回動付勢する第1バネ5と、ハンドル80の回動動作に減衰力を付与するダンパー9とを有しているが、ボード1を閉じ状態に保持するロック片90(図8及び図9参照)は設けられていない構造をなしている(ロック片90が設けられるハンドル装置については後述する)。
また、前記第1バネ5は、バネ線材が巻回してなる筒状のコイル部5aと、該コイル部5aの一端から伸びる一端部5bと、コイル部5aの他端から伸びる他端部5cとを有するトーションバネとなっている。
なお、この実施形態におけるボード1は、図6に示すように、車両の荷室の収容部3の開口部を開閉する、いわゆるデッキボードであるが、デッキボード以外にも、車両内に設置されるボードであれば、特に限定はされない。なお、収容部3の開口部周縁には、段部3aが設けられており、該段部3aにボード1が載置されるようになっている。
まず、ベース20について説明する。
このベース20は、後述するロック片90を有する実施形態(図8〜14参照)のものと共用されるものであって、図2〜4に示すように、互いに平行に配置された一対の側壁部22,23と、側壁部22,23に対して直交配置され、両側壁部22,23の長手方向一端部どうしを互いに連結する前壁24と、側壁部22,23に対して直交配置され、両側壁部22,23の長手方向他端部どうしを互いに連結する後壁25とからなる、略四角枠状をなしている。
また、ベース20の、ハンドル80が出没する上方開口部外周からは、四角環状をなしたフランジ部28が広がっており、該フランジ部28がボード1に設けた取付孔1aの表側周縁に当接するようになっている(図6及び図7参照)。
更に図2及び図3に示すように、一対の側壁部22,23の長手方向所定位置には、両側壁部22,23に対して直交配置された隔壁26が連結されており、ベース20の内部空間が区画されている。なお、図2に示すように、前記隔壁26は、その長手方向両側部を除き、ベース20のフランジ部28に至る高さで立設されている。
また、ベース20には、前記隔壁26を介して、その一端側にハンドル80の回動支持部30,30が設けられ、他端側にハンドル80の把持部84を収容する凹部33が設けられ、ベース20の一端側の底部に開口部27が設けられた構造をなしている。
ここでは、一対の側壁部22,23の、ベース20の一端側(後壁25寄りの位置)に、丸孔状の回動支持部30,30が形成されている。これらの回動支持部30,30に、ハンドル80に設けられた、後述する一対の突起状の回動受け部85,85が嵌合して(図7参照)、ハンドル80がベース20に対して回動可能に取付けられる。なお、ベース側の回動支持部は、孔状でなくとも、凹部状であったり、突起状であったりしてもよく(この場合、ハンドル側の回動受け部が孔状や凹状となる)、ハンドルを回動可能であればよい。
また、ベース20の他端側、すなわち、前壁24と、隔壁26と、一対の側壁部22,23とで囲まれた部分であって、ハンドル80が出没する上方開口部とは反対側の端部は、底壁31により閉塞されており、これによってベース20内にハンドル80の把持部84を収容可能な前記凹部33が形成されている。
一方、図3に示すように、ベース20の一端側、すなわち、後壁25と、隔壁26と、一対の第1側壁部22,23とで囲まれた部分であって、ハンドル80が出没する上方開口部とは反対側の端部には、ボード1の取付孔1aに裏側に開口する前記開口部27が形成されている。この開口部27は、カバー60によって覆われるようになっている(図5参照)。
更に図3及び図4に示すように、前記隔壁26の両側部から、前記一対の側壁部22,23に対して平行に、一対の内側壁37,38が延設されている。一対の内側壁37,38は、ベース20のフランジ部28に至る高さで立設されている。これらの一対の内側壁37,38の立設方向先端部と、隔壁26の立設方向先端部との間に、長板状の天井壁39が連結され、ベース底部から細長ブロック状に隆起した部分が構成されている(図2参照)。
一方、図2に示すように、前記開口部27の、後壁25に隣接した位置には、ベース開口部に連通して同後壁25に沿って細長くスロット状に伸びるスロット状開口部35が形成されており、該スロット状開口部35に、ハンドル80の後述する回動部83(図1参照)が配置されるようになっている。
また、図3及び図4に示すように、一対の内側壁37,38の、後壁25側の端部からは、互いに近づく方向に向けて一対の壁部41,41が設けられており、これらの一対の壁部41,41の間には、所定間隔を空けて一対のスライド保持爪43,43が立設されている。更に、前記後壁25の、一対のスライド保持爪43,43に対向した位置には、一対のスライド保持爪44,44が立設されており、これらの4つのスライド保持爪によって、ロック片90をスライド可能に保持可能となっている。
そして、このベース20は、ボード1を閉じ状態に保持するロック片90(図8及び図9参照)を収容するためのロック片収容部を有している。この実施形態では、図4に示すようにベース20を平面方向から見たときに、前記一対のスライド保持爪44,44と、前記一対のスライド保持爪43,43と、前記隔壁26とで囲まれて、ロック片90のスライド軌跡に沿って設けられた空間が、ロック片収容部45をなしている。
更に、このベース20には、ロック片90のスライド軌跡に重ならないように、一方の側壁部22よりもベース内方であって、前記ロック片収容部45の外側に、前記第1バネ5を取付けるための第1バネ取付部46が設けられている。
図4に示すように、この実施形態における第1バネ取付部46は、一方の側壁部22側に配置された壁部41の、基端部側から直交して突設された突片46aと、該突片46aの一側面から、他方の側壁部23側に向けて後壁25に対して平行に伸びる軸部46bとからなる。また、この第1バネ取付部46は、ベース20のスロット状開口部35内において、一方の側壁部22寄りに位置して、ロック片収容部45の外側になるように配置されていると共に(図4参照)、前記開口部27(ここではスロット状開口部35)を通してベース外部に露出している(図3参照)。
また、この第1バネ取付部46は、その軸部46bの外周に第1バネ5のコイル部5aを支持すると共に、同第1バネ5の一端部5bをベース20の裏面側に係合させ、他端部5cをハンドル80の裏面側に係合させるように、ロック片収容部45の外側に配置されている(図4参照)。
なお、第1バネ取付部としては、ロック片スライド時に干渉しないように、ロック片収容部の外側に配置されていれば、その位置は特に限定されず、また、第1バネを取付け可能であれば、その形状も特に限定されない。
一方、図4に示すように、ロック片収容部45に対して前記第1バネ取付部46とは反対側に、ダンパー9を回り止めするダンパー回転規制部48が設けられている。このダンパー回転規制部48は、ベース20のスロット状開口部35内において、他方の側壁部23寄りに位置して、ロック片収容部45の外側になるように配置されていると共に(図4参照)、前記開口部27(ここではスロット状開口部35)を通してベース外部に露出している(図3参照)。
なお、この実施形態におけるダンパー9は、いわゆる回転ダンパーであり、その周方向一側部から突出した突部9a(図1参照)がハンドル80に係合すると共に、ダンパー基端側の一対の突起9c,9cが前記ダンパー回転規制部48に当接して回り止めされ、更に、シャフト9bを介して、後述するハンドル80のダンパー取付部87に取付けられるようになっている(図7参照)。また、ダンパーの構造は特に限定されず、ダンパーを取付けなくともよい。
また、ベース20のロック片収容部45の内側には、ロック片90を突出方向に付勢すると共に、ロック片90を介してハンドル80をベース20に近接する方向に付勢する第2バネ7(図10参照)を取付けるための第2バネ取付部50が設けられている(図4参照)。
図3及び図4に示すように、この実施形態における第2バネ取付部50は、前記隔壁26の長手方向中央から、ロック片収容部45の内部空間に向けて、ロック片90のスライド方向に沿って突設した突起状をなしている。すなわち、この実施形態における第2バネ取付部50は、ロック片収容部45内の、ロック片スライド軌跡の奥側に配置されていると共に、前記開口部27を通してベース外部に露出している。この第2バネ取付部50の外周に、コイルバネ状をなした第2バネ7の一端部が支持されて取付られるようになっている。
なお、第2バネ取付部としては、ロック片収容部の内側に配置されていれば、その位置は特に限定されず、また、第2バネを取付け可能であれば、その形状も特に限定されず、例えば、凹状等であってもよい。
更に図3に示すように、前記隔壁26の両側には、後述するカバー60の一対の係止爪71,71(図2参照)が係止する、一対の係止孔51,51が形成されている。また、図3及び図4に示すように、前記後壁25の外面側(ベース内部と反対側)であって、前記一対のスライド保持爪44,44の間からは、薄板状のガイド片52が突設されている。このガイド片52は、本実施形態のようにロック片無しの場合に、後述するカバー60の凹部67内に入り込み(図6参照)、一方、後述する実施形態のようにロック片有りの場合に、ロック片90の上面に配置され(図12及び図13参照)、ロック片90のスライドガイドをなすものである。
また、図3に示すように、前記後壁25の外面側であって、前記ガイド片52の両側部には、一対の係止突部53,53が突設されている。図5に示すように、これらの一対の係止突部53,53は、後述するカバー60の一対の係止孔68,68に係止して、ハンドル操作時の引き上げ力によって、カバー60からベース20が浮き上がるのを抑制する。
更に図3に示すように、前記後壁25の外面側には、前記一対の係止突部53,53の外側で、かつ、同一対の係止突部53,53よりもややフランジ部28寄りの位置に、先端側に下向きの突部を設けた一対の抜け止め爪54,54が延設されている。これらの一対の抜け止め爪54,54は、図5に示すように、後述するカバー60の一対の切欠き部69,69に係止して、ベース20からカバー60が抜け外れるのを防止する。
また、図3及び図4に示すように、一方の側壁部22と一方の内側壁37との間であって隔壁26に隣接した位置、及び、他方の側壁部23と他方の内側壁38との間であって隔壁26に隣接した位置には、スリットを介して撓み可能とされた帯状の当接片55,55がそれぞれ形成されている。各当接片55の表面側(フランジ部28側)には、図示しない突部が突設されている。これらの当接片55,55は、ハンドル80を回動させて、凹部33に収容したときに、当接片55,55の図示しない突部が、ハンドル80の両側部81,82に当接してそれ以上の回動を規制するストッパーをなしている。
また、図3及び図4に示すように、前記後壁25の外面側からは、ボード1の取付孔1aの裏側周縁に係合する、一対の係合爪57,57が突設されている(図6参照)。
更に図2及び図3に示すように、前記一対の側壁部22,23の外面側であって、後壁25側の先端面からは、ガイド溝状をなした係合溝58,58が、隔壁26の手前に至る長さで形成されている。これらの係合溝58,58には、後述するカバー60の、突条をなした係合部75,75がスライド可能に係合して、ベース20をスライドさせて組み付け可能とすると共に、ベース20に対してカバー60を固定させるものである(図7参照)。
次にカバー60について説明する。
図2及び図3に示すように、この実施形態のカバー60は、ボード1の取付孔1aに取付けられたベース20を、該取付孔1aから抜け外れないように抜け止めした状態でベース20に組付けられると共に、同ベース20の、取付孔1aの裏側に開口する開口部27を覆うものとなっている。
具体的には、このカバー60は、ベース20の後壁25と、隔壁26と、一対の側壁部22,23とで囲まれた開口部27を覆うように、一方向に長く伸びる細長板状をなした底壁61と、該底壁61の長手方向の両側部周縁から互いに平行に立設して、前記ベース20の一対の側壁部22,23の外側に配置される側壁部63,63と、該一対の側壁部63,63の長手方向一端部及び底壁61の幅方向一側部を互いに連結させる連結壁64と有し、上方及び側方が開口した蓋状をなしている。また、カバー60の上方開口部の外周からは、略コ字状をなしたフランジ部66が広がっており、該フランジ部66がボード1に設けた取付孔1aの裏側周縁に当接するようになっている(図7参照)。
更に図2に示すように、連結壁64側におけるフランジ部66の長手方向中央部には、前記ベース20のガイド片52が入り込む凹部67が形成されている。また、連結壁64の、前記凹部67の両側に相当する位置には、前記ベース20の一対の係止突部53,53が挿入係止する一対の係止孔68,68が形成されている(図2参照)。更に図2及び図3に示すように、連結壁64側におけるフランジ部66の、前記一対の係止孔68,68の外側に相当する位置には、前記ベース20の一対の抜け止め爪54,54が係止する、一対の切欠き部69,69が形成されている。
また、図2に示すように、底壁61の内面側(ベース20の開口部27側の面)には、ベース20に対してカバー60を組付けたときに、前記ベース20の一対のスライド保持爪43,43及び一対のスライド保持爪44,44の外側に配置される、一対の突条70,70が底壁61の長手方向に直交して延設されている。この一対の突条70,70によって、ベース20へのカバー60組付け時に、一対のスライド保持爪43,43及び一対のスライド保持爪44,44の外方への撓みを規制して、ロック片90を確実にスライド可能に保持できる(図7参照)。更に一対の突条70,70の延出方向先端には、前記ベース20の隔壁26に設けた一対の係止孔51,51に係止する、係止爪71,71がそれぞれ設けられている。
また、底壁61の内面側であって、一対の側壁部63,63の内側には、ハンドル80の回動時に、その側部81,82の先端側が干渉しないように逃がすための、細長凹状をなした逃がし部72,72が形成されている(図2及び図7参照)。
更に、底壁61の内面側であって、一対の逃がし部72,72の、突条70,70側の一側縁部には、突条をなした規制壁73,73が設けられている。一方の規制壁73は、ベース20に設けた第1バネ取付部46に対向し、かつ、ハンドル80の一方の側部81の内側に隣接して配置される(図7参照)。また、他方の規制壁73は、ベース20に設けたダンパー回転規制部48に対向し、かつ、ハンドル80の他方の側部82の内側に隣接して配置される(図7参照)。
また、図2に示すように、一対の側壁部63,63の内面側には、突条をなした係合部75,75が、カバー60の側方開口部に向けて延設されている。これらの係合部75,75は、ベース20に対してカバー60を組付けるときに、ベース20のガイド溝状の係合溝58,58上を摺動して、カバー60をスライドさせると共に、同係合溝58,58に互いに係合して、ベース20にカバー60を固定させるものである。
また、カバー60は、その底壁61の端縁61a(カバー60の、ベース20に対するスライド方向の先端)が、ベース20の開口部27を覆うように、ベース20の隔壁26に対向して配置されて、ベース20に組付けられるようになっている。この実施形態では、係合溝58や係合部75を介して、ベース20にカバー60を押し込んでスライドさせつつ組付けて、カバー60が最大限押し込まれた状態で、底壁61の端縁61aは、ベース20の隔壁26に当接して、ベース20の開口部27を閉塞するように嵌合し、その状態では、ベース20の底壁31に対して、段差のない面一な状態となるように構成されている(図5及び図6参照)。なお、カバーの端縁は、ベースの隔壁に当接せずとも、同隔壁に対して所定隙間を介して対向して配置されていてもよい。
次にハンドル80について説明する。
このハンドル80は、後述するロック片90を有する実施形態(図8〜14参照)のものと共用されるものであって、図1及び図3に示すように、互いに平行に配置された一対の側部81,82と、該一対の側部81,82に直交配置されて、両側部81,82の長手方向一端部どうしを互いに連結する回動部83と、一対の側部81,82に直交配置されて、両側部81,82の長手方向他端部どうしを互いに連結し、ハンドル80の把持部をなす把持部84とからなる、略四角環状をなしている。
また、一対の側部81,82は、前記ベース20の一対の側壁部22,23の内側に配置されるようになっており、更に、一対の側部81,82の回動部83側の外側面には、突起状をなした回動受け部85,85が突設されており、これらの回動受け部85,85をベース20の一対の回動支持部30,30に挿入して嵌合させることで、ハンドル80がベース20に回動可能に取付けられるようになっている(図7参照)。回動受け部85,85は、円柱状に突出して、その先端部にテーパ面が形成されており、該テーパ面側から上記回動支持部30,30に嵌入されるようになっている。
更に図3に示すように、ハンドル80の回動部83の長手方向中央の裏面側(カバーとの対向面側)からは、第2バネ7により突出方向に付勢されるロック片90に当接して、ロック片90を介して第2バネ7の付勢力を受けると共に、第2バネ7の付勢力に抗してロック片90を突出方向から引き込むための、操作片86が突設されている。また、ハンドル80の操作片86の、他方の側部82側には、ダンパー9の取付け用の、シャフト9bを支持するための支持孔が形成された、ダンパー取付部87が設けられている。図7に示すように、このダンパー取付部87は、ベース20のロック片収容部45に対して、前記第1バネ取付部46とは反対側に、配設されている。そして、ダンパー9の一対の突起9c,9cを、ベース20側のダンパー回転規制部48に当接させて回転規制させると共に、ダンパー中央に挿通されたシャフト9bがダンパー取付部87の支持孔に挿通支持されることで、ダンパー取付部87にダンパー9が取付けられるようになっている(図7参照)。なお、このハンドル80がベース20に装着された状態で、前記操作片86と一方の側部81との間に、ベース20に設けた第1バネ取付部46や第1バネ5が配置され、前記操作片86と他方の側部82との間に、ダンパー9が配置されるようになっている。また、この実施形態においては、ハンドル側にダンパー取付部を設けたが、ベース側にダンパー取付部を設けてもよく、特に限定はされない。
更に図4に示すように、ハンドル80がベース20に回動可能に装着された状態で、ハンドル80の一方の側部81は、ベース20の一方の側壁部22と第1バネ取付部46との間に挟み込まれるように配置される。
図8〜14には、本発明に係る車両用ボードのハンドル装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態の車両用ボードのハンドル装置10A(以下、「ハンドル装置10A」という)は、ロック片90が設けられた構造をなしており、それに伴ってカバー60Aの構造が前記カバー60と異なっている。ただし、ベース20とハンドル80とは、前記ハンドル装置10のものと同一で共通化されている。また、このハンドル装置10Aにおいては、第1バネ取付部46には第1バネ5は取付けられない構造となっているが、その代わりに第2バネ7を有している。この第2バネ7は、ロック片90を車両への係合方向に付勢すると共に、ロック片90を介してハンドル80をベース20に近接する方向に回動付勢するものである。
なお、この実施形態においては、図12及び図13に示すように、収容部3の開口部周縁に設けた段部3aに近接した位置に、ロック穴3bが設けられている。
図8に示すように、カバー60Aには、前記連結壁64の長手方向中央部に、ロック片90の幅に適合する大きさで切り欠かれた切欠き部76が形成されている。そして、この切欠き部76の表側周縁からカバー外方に向けて、カバー60Aの底壁61の長手方向に直交するように、一対の延出壁部77,77が延出しており、その先端側は開口している。これらの一対の延出壁部77,77が、ロック片収容部45に収容されたロック片90の外側にそれぞれ配置されて、同ロック片90をスライド保持するようになっている。
一方、ロック片90は、前記ベース20のロック片収容部45(図10参照)内にスライド可能に収容されるものであって、一方向に長く伸びた形状をなしている。図8及び図9に示すように、ロック片90の長手方向に沿った両側部には、突条からなるガイド部93,93が形成されており、これらに前記ベース20の一対のスライド保持爪43,43の先端部及び一対のスライド保持爪44,44の先端部がスライド可能に係合して、ロック片90が抜け止め保持される。
また、図8に示すように、ロック片90の基端部(ロック片90の、車両への係合方向である先端部とは反対側の端部)は、二股状に分かれた形状をなしており、その間に突起状のバネ支持部95が設けられている。このバネ支持部95により、前記第2バネ取付部50に一端部が支持された第2バネ7の、他端部が支持されるようになっている。そして、図10に示すように、第2バネ7は、ロック片収容部45の内側において、隔壁26とロック片90との間に圧縮状態で保持されて、ロック片収容部45に収容されたロック片90の先端部を、カバー60Aの一対の延出壁部77,77の先端開口から突出する方向に常時付勢するようになっている。
更に図8に示すように、ロック片90の表面側(ハンドル80との対向面側)には、凹部97が形成されている。図12に示すように、ベース20にカバー60Aを組付けられ、ロック片90がスライド保持された状態で、前記凹部97の基端面97aに、前記ハンドル80の操作片86が係止する。
そして、第2バネ7により突出方向に付勢されたロック片90の凹部97の基端面97aにより、操作片86が押圧されることで、ハンドル80が図12の矢印F方向に回動付勢されると共に、同操作片86がロック片90の凹部97の基端面97aに係止することで、ロック片90の先端部がカバー60Aの一対の延出壁部77,77の先端開口から所定長さ突出した状態で抜け止め保持される。すなわち、この実施形態では、第1バネ取付部46に第1バネ5を取付けなくとも、第2バネ7により付勢されたロック片90を介して、ハンドル80がベース20に近接する方向に回動付勢されるようになっている。この状態においては、図12に示すように、ロック片90の先端部が、収容部3のロック穴3bに係合して、収容部3の開口部がボード1により閉塞された状態に保持される。
一方、上記のボード1のロック状態から、図13に示すように、ベース20の凹部33からハンドル80を引き起こすことによって、ハンドル80の操作片86が、ロック片90の凹部97の基端面97aを押圧して、第2バネ7の付勢力に抗してロック片90をロック片収容部45の奥方に引き込まれるようにスライドして、ロック片90の先端部を収容部3のロック穴3bから抜き出され、ロック片90とロック穴3bとの係合状態が解除されるので、収容部3の開口部からボード1を持ち上げることが可能となっている。
次に、上記構成からなるハンドル装置10,10Aの作用効果について説明する。
まず、各ハンドル装置10,10Aについて、ベース20に対して、各バネ5,7やハンドル80の組付け手順について説明する。
すなわち、ロック片90を有しないハンドル装置10においては、ベース20の第1バネ取付部46の突片46aの外周に、第1バネ5のコイル部5aを支持させると共に、同第1バネ5の一端部5bをベース20の裏面側に係合させ、他端部5cをハンドル80の裏面側に係合させることで、ロック片収容部45の外側(図4参照)において、第1バネ5を第1バネ取付部46に取付ける。その後、ハンドル80の一対の回動受け部85,85を、ベース20の一対の回動支持部30,30に挿入して嵌合させることで、第1バネ5によりハンドル80を回動付勢した状態で、ベース20にハンドル80を回動可能に取付けることができる(図6及び図7参照)。
一方、ロック片90を有するハンドル装置10Aにおいては、ベース20の第2バネ取付部50に、第2バネ7の一端部を支持させると共に、ロック片収容部45にスライド保持されたロック片90のバネ支持部95に、第2バネ7の他端部を支持させることで、ロック片収容部45の内側(図10参照)において、第2バネ7を第2バネ取付部50に取付ける。その後、ハンドル80の一対の回動受け部85,85を、ベース20の一対の回動支持部30,30に挿入して嵌合させることで、第2バネ5により突出方向に付勢されたロック片90を介して、ハンドル80を回動付勢した状態で、ベース20にハンドル80を回動可能に取付けることができる(図12及び図13参照)。
このように、上記ハンドル装置10,10Aにおいては、車両タイプによって、ロック片無しの場合には第1バネ取付部46を利用し、ロック片有りの場合には第2バネ取付部50を利用することで、共通のベース20に共通のハンドル80を回動付勢状態で装着することができるので、ロック片90の有無に関わらずベース20とハンドル80とを共通化することができる。
また、ロック片無しの場合には、ロック片収容部45の外側に設けた第1バネ取付部46に第1バネ5を取付けた後、ハンドル80をベース20に装着することによって、一方、ロック片有りの場合には、ロック片収容部45の内側に設けた第2バネ取付部50に第2バネ7を取付け、ロック片収容部45にロック片90を収容した後、ハンドル80をベース20に装着することによって、ベース20にハンドル80を回動付勢状態で装着することができ、ベース20とハンドル80を共通化しながらも、ベース20に対して、第1バネ5や第2バネ7及びハンドル80を簡単に組付けることができる。
そして、ハンドル装置10,10Aをボード1の取付孔1aに固定する際には、バネ5,7やハンドル80を組付けたベース20を、図1や図8に示すように、ボード1の取付孔1aの表側から挿入して、ベース20の一対の側壁部22,23や、前壁24,後壁25を取付孔1aの内周に嵌合させると共に、ベース20のフランジ部28を取付孔1aの表側周縁に係合させ、更にベース20一対の係合爪57,57を取付孔1aの裏側周縁に係合させる。
その状態で、取付孔裏側から突出したベース20の一対の係合溝58,58に、ロック片無しの場合はカバー60の、ロック片有りの場合はカバー60Aの、一対の係合部75,75を整合させて、ベース20に対してカバー60又はカバー60Aを押し込んで、一対の係合溝58,58と一対の係合部75,75とを互いに係合させる(図7及び図14参照)。それと共に、ベース側の一対の係止突部53,53をカバー側の一対の係止孔68,68に係止させ、ベース側の一対の抜け止め爪54,54をカバー側の一対の切欠き部69,69に係止させ、カバー側の一対の係止爪71,71をベース側の一対の係止孔51,51させることによって、図5又は図11に示すように、ベース20にカバー60又はカバー60Aを組付けることができる。この状態では、カバー60又はカバー60Aのフランジ部66が、ボード1の取付孔1aの裏側周縁に係合するので、このカバー側のフランジ部66と、取付孔1aの表側周縁に係合したベース20のフランジ部28とによって、ボード1が挟み込まれた状態で、取付孔1aにハンドル装置10又はハンドル装置10Aを取付けることができる(図6及び図12,13参照)。
また、この実施形態においては、ベース20には、隔壁26を介して、その一端側にハンドル80の回動支持部30,30が設けられ、他端側にハンドル80の把持部84を収容する凹部33が設けられ、ベース20の一端側の底部に開口部27が設けられており、第2バネ取付部50及びロック片収容部45は、開口部27を通して露出しており、カバー60は、その端縁61aが隔壁26に対向して配置され、開口部27を覆うように、ベース20に組付けられるようになっている。そのため、第2バネ7を、開口部27を介して第2バネ取付部50に容易に取付けることができるので、第2バネ7の取付け作業性を容易にしつつ、ロック片90の有無によって作り変えなければならないカバー60,60Aのサイズを最小限にすることができる。
更に、ロック片無しのハンドル装置10の実施形態においては、第1バネ5はトーションバネであって、第1バネ取付部46は、第1バネ5のコイル部5aを支持すると共に、その一端部5bをベース20の裏面側に係合させ、他端部5cをハンドル80の裏面側に係合させるように、ロック片収容部45の外側に配置されている(図4参照)。そのため、第1バネ5のコイル部5aを第1バネ取付部46(ここでは軸部46b)に支持させ、一端部5bをベース20の裏面側に係合させ、他端部5cをハンドル80の裏面側に係合させるだけの簡単な作業で、第1バネ取付部46に第1バネ5を取付けることができ、ベース20に対する第1バネ5やハンドル80の組付け作業性をより向上させることができる。
また、ロック片無しのハンドル装置10の実施形態、及び、ロック片有りのハンドル装置10Aの実施形態においては、図4や図10に示すように、ハンドル80がベース20に回動可能に装着された状態で、ハンドル80の一方の側部81は、ベース20の一方の側壁部22と第1バネ取付部46との間に挟み込まれるように配置されると共に、図7や図14に示すように、カバー60やカバー60Aの、ベース20側の第1バネ取付部46に対向する内面には、ハンドル80の一方の側部81の内側に隣接して配置される規制壁73が設けられた構造をなしている。
そのため、ボード1を操作すべく、第1バネ5や第2バネ7の回動付勢力に抗して、ハンドル80をベース20から離れる方向に回動させてハンドル80を把持したときに、ボード1の重さ等によってハンドル80が撓んだり変形したりして、その回動受け部85とベース20側の回動支持部30とが外れそうになっても、ハンドル80がベース20に回動可能に装着された状態で、ハンドル80の側部81は、ベース20の側壁部22と第1バネ取付部46との間に挟み込まれるように配置されるので、ハンドル80の回動受け部85とベース20の回動支持部30とが外れることを抑制することができる。また、ハンドル80の側部81が、ベース20の側壁部22と、第1バネ取付部46及び上記規制壁73との間に挟み込まれて配置されるので、例えば、ハンドル80の側部81に、図7や図14の矢印G方向に示されるような、ねじれ力が作用した場合に、ハンドル80の回動受け部85とベース20の回動支持部30とが外れることをより確実に抑制することができる。
更に、ロック片無しのハンドル装置10の実施形態、及び、ロック片有りのハンドル装置10Aの実施形態においては、ハンドル80には、ベース20のロック片収容部45に対して、第1バネ取付部46とは反対側に、ハンドル80の回動時に減衰力を付与するダンパー9を取付けるための、ダンパー取付部87が設けられているので、ダンパー9を有する場合には、このダンパー取付部87を利用してダンパー9を取付けることができ、ダンパー9を有しない場合には、ダンパー9を取付けないようにすることができ、ダンパー9の有無に関わらず、ベース20を共通化することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。