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リチウム二次電池の初充電方法
本発明はリチウム二次電池の初充電方法に関し、特に5Ah以上の大型リチウム二次電池の生産性及び品質向上を図ったものに関する。
リチウム二次電池は、高エネルギー密度というメリットを活かし、昨今ではデジタルカメラやノートパソコン、携帯電話などのポータブル機器の電源として使用されている。また、近年では環境問題に対応すべく、電気自動車用途や電力貯蔵を目的とする大型のリチウム二次電池の研究開発が活発に行われている。
一般にリチウム二次電池は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質をアルミニウム箔等の正極集電体に塗布した正極板と、炭素材料を含む負極活物質を銅箔等の負極集電体に塗布した負極板とが、絶縁材で構成される多孔質状のセパレータを介して積層または捲回された極板群を電池容器に収容し、非水電解液を注液することで作製される。積層型と比べて捲回型の方が、生産工程が容易であり生産性が高いという利点がある。
ポータブル機器などで用いられている、一般的な捲回型リチウム二次電池の寸法は、直径が18mm、高さが65mmであり、18650型電池と呼ばれている。18650型電池の電池容量は、おおむね1.0〜3.5Ahである。一方、電気自動車や電力貯蔵用途に用いられるリチウム二次電池には、高容量だけでなく、高出力、長寿命、さらには低コスト化が求められる。高容量、高出力とするためには、捲回電極群を大きくしたり、捲回電極群の巻き数を多くしたりすることが一般的である。
しかしながら、捲回電極群が大型化すると、電解液が捲回電極群内部に浸透するまでに時間を要するようになる。電解液の浸透が不十分のまま充放電を行うと、定格の電池容量が発現しないのみならず、捲回電極群内部の充放電反応が不均一となるため、実質の充電電流密度が局所的に高くなってしまい、負極上に金属リチウムが析出し、場合によってはセパレータを貫通して内部短絡に至る可能性がある。
そこで、特許文献1では、正極板及び負極板が40回以上捲回されてなる、大型の捲回型リチウム二次電池において、非水電解液を注液後は24時間以上経てから第1回目の充電を行うことを提案している。
特開2003−308878号公報
しかしながら、負極活物質が炭素材料を含み、かつ集電体が銅であると、電解液が注液された時点から銅の溶解が始まる。これは、充電を行っていない段階の負極の電位が3.4V程度あり、銅が電解液中に溶解する電位(3V程度)以上であるためである。銅が電解液中に溶解すると、セパレータに目詰まりを起こさせたり、負極集電体の集電性能が低下し、電池抵抗の増加を引き起こすのみならず、電解液中に溶解した銅が負極上に析出し、場合によっては内部短絡に至る懸念がある。なお、電池容器は一般的に金属材料によって構成されるが、電池容器が正極も負極も兼ねない電気的に中立の場合は、注液後に電解液中に溶解する懸念がある元素は銅のみである。
本発明の目的は、負極集電体である銅の電解液への溶解を抑えつつ、捲回型の電極群に電解液を十分に浸透させるようにした、リチウム二次電池の初充電方法を提案することである。
本発明は、負極活物質を保持する負極集電体に銅を含む負極と正極集電体に正極活物質が保持された正極とがセパレータを介して捲回されてなる捲回型の電極群が、電気的に中立の電池容器内に収納され、電池容器内に電解液が注液された、設計容量が5Ah以上のリチウム二次電池の初充電方法を、第1回目の充電ステップと、放置ステップと、第2回目の充電ステップとから実現する。第1回目の充電ステップでは、電池容器内に電解液の注液を開始してから始まる第1の期間内において、負極の負極活物質及び正極の正極活物質の表面が電解液と全面的に触れた状態で、銅が電解液中に溶解する電位を下回るまで負極の電位が下がるように第1回目の充電を行う。なお第1回目の充電開始は電解液の注液開始と同時行ってもよく、注液を開始して暫く経過した後に充電を開始してもよい。放置ステップでは、第1回目の充電ステップ後に、電解液が負極活物質及び正極活物質の内部に浸透する第2の期間が経過するまで充電を停止して放置する。そして第2回目の充電ステップでは、第2の期間が経過した後満充電になるまで第2回目の充電を行う。
本発明の基本的な考え方は、第1回目の充電ステップ(仮充電)をできるだけ早く、少しの電気量だけ入れて銅の溶出を防ぎ、十分な含浸期間を経てから通常の初充電を行うことで品質の向上を狙うことである。そこで本発明では、第1回目の充電ステップにおいて、第1の期間内において銅が電解液中に溶解する電位を下回るまで負極の電位が下がるように第1回目の充電を行うことにより、電極群内部での充放電不均一反応を最小限に抑えつつ、捲回型の電極群への電解液の浸透を促進させるとともに、浸透時間を十分に確保することができる。その結果、負極集電体に含まれる銅の溶解がほとんどない高品質な非水リチウム二次電池が製造可能であるとともに、電解液の浸透期間を短縮することができ、生産性の向上につながる。
本発明でリチウム二次電池の設計容量が5Ah以上に限定するのは、18650型電池のような小型リチウム二次電池は、捲回電極群の大きさに相対して、電解液の浸透速度が速いため、電解液を注液後ただちに第1回目の充電を行っても、電極群内部での充放電不均一反応は起こらず、上記のような課題は発生しないからである。
設計容量5Ah以上のリチウム二次電池の正極活物質及び負極活物質の内部への電解液の浸透に最低限必要な電解液の浸透時間は、リチウム二次電池の大きさ、すなわち設計容量に比例し、必要な電解液浸透時間(時間)∝0.5×X(Ah)の関係になる。そのため電解液注液後にリチウム二次電池の設計容量の0.5%以上を充電することで、負極の電位は銅が電解液中に溶解する電位を下回り、かつ電池の自己放電を考慮し、負極の電位が再び銅が溶解する電位に戻ることを防ぐことができる。さらに、上記の充電を行うことで、電極を構成している活物質が収縮運動をするため、電解液の浸透を早める効果がある。具体的には、第1の期間を電解液注液後10時間以内とし、第1回目の充電ステップでの充電容量は、設計容量の0.5%以上とする。そして放置ステップでは、リチウム二次電池の設計容量をXAhとして表したときに、電解液注液後から0.5X時間以上放置状態になるように第2の期間を定める。
第1回目の充電ステップの充電容量は、設計容量の0.5〜40%であることが好ましい。そして第1の期間は、電池容量の大きさに係らず、上限が10時間である。電解液の注液後は、銅の溶解を防ぐために極力短い時間で上記の充電を行うことが好ましいが、10時間以内程度であれば銅の溶解反応はほとんど進行しないため、問題にならない。そして発明者の研究よると、第1の期間が10時間を超えると負極に使われている銅の溶出が進むので、問題となることが判っている。第1の期間に下限はなく、短くて済めば、短いほどよい。
第1回目の充電ステップの充電電流は、0.02〜1.20ItAの範囲内であることが好ましい。第1回目の充電ステップの充電電流が、0.02より小さくなると第1の期間が長くなり過ぎる。またこの充電電流が1.20ItAより大きくなると、電極群内部での充放電不均一反応が促進されてしまうため、1.20ItA以下であることが好ましい。
ここで、第1回目充電の充電容量が設計容量の0.5%であったと仮定すると、自己放電を考慮した電解液浸透時間の上限は240時間である。見方を変えると、第2の期間を含む、電解液注液後から第2回目充電開始までの期間は、250時間以内である。これ以上、第2回目充電を行わずにリチウム二次電池を放置していると、自己放電によって負極の電位が銅を溶解させる電位に戻る懸念がある。
本発明によれば、第1回目の充電を行う(具体的には、電解液注液後にリチウム二次電池の設計容量の0.5%以上の少容量の充電を行う)ことで、電極群内部での充放電不均一反応を最小限に抑えつつ、捲回電極群への電解液の浸透を促進させるとともに、浸透時間を十分に確保することができるため、集電体である銅の溶解がほとんどない高品質な非水リチウム二次電池が製造可能であるとともに、電解液の浸透期間を短縮することができるため、生産性の向上につながる。
電解液の注液後は、銅の溶解を防ぐために極力短い時間で上記の充電を行うことが好ましいが、10時間以内程度であれば銅の溶解反応はほとんど進行しないため、問題にならない。
本発明において、第1回目充電の充電容量は、電極群内部での充放電不均一反応を最小限に抑える目的で、リチウム二次電池の設計容量の30%未満であることが好ましく、より好ましくは25%以内であり、20%以内であることが最も好ましい。また、前記第1回目充電の充電電流値が高いと、電極群内部での充放電不均一反応が促進されてしまうため、1.0ItA以下であることが好ましい。一方で、第1回目充電の電流値が低すぎると、充電が完了するまでの時間が長くなり、生産性を損なうため、第1回目充電の電流値の好ましい範囲は0.01〜1.0ItAであり、より好ましくは0.03〜0.75ItAであり、さらに好ましくは0.05〜0.5ItAである。なお、本発明における前記第1回目充電の充電方法は、本発明明細書の技術的思想の範囲内であれば特に制限はなく、任意の充電方法を実施可能である。例えば、定電流充電、定電圧充電、定電力充電、パルス充電方法などがあげられる。
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照して説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。
リチウム二次電池20は、帯状の正極集電体に正極活物質が塗工された正極板と帯状の負極集電体に負極活物質が塗工された負極が、帯状セパレータW5を介して積層されて構成された帯状の積層体が長手方向に捲回されて構成された電極群6を用いている。電極群6は電池容器5に収容され、併せて電解液が電池容器5に収容されている。正極端子に正極集電タブが接続され、負極端子には負極集電タブがされ、電池容器5を密閉する電池蓋4には安全弁10が装着されている。
電池容器5は、電解液による腐食やリチウムイオンとの合金化による材料の変質が起こらないように材料の選定を行う。アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の材料から選択される。電池容器5は、電気的に中立の状態に置かれる。
軸芯11は、電極群6を支持できるものであれば、公知の任意のものを用いることができる。軸芯11がなくとも、電極群の形状保持が可能であれば、軸芯11用いなくてもよい。
電極群6は、図1に示した円筒形状の他に扁平形状等、捲回した形状であれば適用することができる。電池容器5の形状は、電極群6の形状に合わせ、円筒形、偏平長円形状、扁平楕円形状等の形状を選択してもよい。
<正極>
正極は、正極活物質、導電剤、バインダおよび集電箔から構成される。正極活物質を例示すると、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Fe(MoO4)3、FeF3、LiFePO4、およびLiMnPO4等である。ただし、本発明では、これらの活物質に限定されず他の正極活物質も用いることができる。
正極活物質の粒径は、正極活物質、導電剤およびバインダにより正極集電箔上に形成される合剤層の厚さ以下になるように通常は規定される。正極活物質の粉末中に前記合剤層厚さ以上のサイズを有する粗粒がある場合、予めふるい分級や風流分級等により粗粒を除去し、合剤層厚さ以下の粒子に選別することが好ましい。
また、正極活物質は、一般に酸化物系であるために電気抵抗が高い。そこで、電気伝導性を補うために、正極活物質には炭素粉末からなる導電剤を添加する。正極活物質および導電剤はともに通常は粉末であるので、粉末にバインダを混合して、粉末同士を結合させると同時にこれを塗工した正極集電体へ接着させることができる。
正極集電体には、厚さ10〜100μmのアルミニウム箔、厚さ10〜100μmで孔径0.1〜10mmのアルミニウム穿孔箔、エキスパンドメタル、又は発泡金属板等が用いられる。アルミニウムの他に、ステンレスやチタン等の材質も適用可能である。本発明では、材質、形状、製造方法等に制限されることなく、任意の集電箔を使用することができる。
<負極>
負極は、負極活物質、バインダおよび集電箔から構成される。必要に応じて、導電補助材が用いられる。負極活物質には炭素系材料が一般に用いられるが、酸化系材料であるチタン酸リチウム、SiやGeを含む材料等も用いることが出来る。
バインダとしては、特に限定はないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、主骨格がポリアクリロニトリルであるバインダを用いるとよい。後述する熱処理における熱処理温度を低くすることができ、得られる電極の柔軟性が優れることから好ましい選択である。
負極集電体には銅が含有されており、それ以外は材質および形状について特に限定されず、箔、穿孔箔、帯状のメッシュ等の形態で用いればよい。また、多孔性材料、例えば、ポーラスメタル(発泡メタル)やカーボンペーパーなども使用可能である。
<電解液>
電解液は、電解質、非水溶媒および添加剤から構成される。電解質の代表例としては、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(SO2F)2、LiN(C25SO22があり、特に、LiPF6、LiBF4またはLiN(CF3SO22、LiN(SO2F)2、が好ましい。これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
非水溶媒としては、鎖状および環状カーボネート、鎖状および環状カルボン酸エステル、鎖状および環状エーテル、含リン有機溶媒、含硫黄有機溶媒、含ホウ素有機溶媒等が挙げられる。本発明のリチウムイオン電池で用いる非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。
上記添加剤は、従来公知のものを任意に用いることができる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。添加剤としては、過充電防止剤や、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤、電解液に難燃性を付与する難燃剤等が挙げられる。
これらの中でも、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤として、不飽和結合およびハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートを加えることが好ましい。
<セパレータ>
セパレータは、膜厚が1〜300μm、気孔率が20〜90%、100℃の環境下に1時間曝されたときの熱収縮率が20%以下であり、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどよりなるオレフィン系樹脂の多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレンなどからなるフッ素系樹脂の多孔質膜、セルロース製多孔質膜、アラミド製多孔質膜であり、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよく、或いはこれらの多孔質膜の表面にセラミック、バインダの混合物やアクリル系粘着剤などを塗布しても良い。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試験に用いた実施例1のリチウムイオン電池を下記のように製造した。
負極活物質は、平均粒子径10μmの易黒鉛化炭素、ポリフッ化ビニリデンバインダを固体質量比で93:7になるように配合し、70L混練機にて混合し、粘度調整のためNMPを適宜添加してスラリを調製した。なお、平均粒子径は、例えば界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製SALD−3000J)で測定することができ、平均粒子径はメジアン径(d50)として算出される。このスラリを塗工機にて厚さ10μmの圧延銅箔(リチウム電池グレード)の両面に実質的に均等かつ均質になるよう塗工した。塗工量は80g/m2とした。この際、圧延銅箔には50mmの活物質未塗布部を残し、該未塗布部を20mm間隔で幅10mmに切り欠きを入れ、負極板のリード片とした。その後、乾燥処理を実施し、電極密度が1.0g/cm3になるようにプレスして負極板を作製し、捲回される負極板の寸法を幅195mm、長さ8450mmとした。
正極活物質として平均粒子径25μmのLiMn24と、平均粒子径7μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3、デンカブラック(電気化学工業製HS−100)、黒鉛粉末(日本黒鉛製J−SP−H)、ポリフッ化ビニリデンバインダを固体質量比で65:25:4:1:5になるように配合し、70L混練機にて混合し、粘度調整のためNMPを適宜添加してスラリを調製した。このスラリを塗工機にて厚さ20μmのアルミニウム箔(リチウム電池グレード)の両面に実質的に均等かつ均質になるよう塗布した。この際、アルミニウム箔には50mmの活物質未塗布部を残し、該未塗布部を20mm間隔で幅10mmに切り欠きを入れ、正極のリード片とした。その後、乾燥処理を実施し、電極密度を2.5g/cm3になるようにプレスして正極を作製し、捲回される正極の寸法を幅190mm、長さ9570mmとした。
図1にリチウムイ二次電池の断面図を示す。上記正極と上記負極とを、これらが直接接触しないように厚さ30μmのポリエチレン製のセパレータW5を挟んで捲回した。このとき、正極のリード片と負極のリード片とが、それぞれ捲回群の互いに反対側の両端に位置するようにした。また、正極、負極、セパレータの長さを調整し、捲回群径は65±0.1mmとした。
次いで、図1に示すように、正極から導出されているリード片を変形させ、その全てを正極側の鍔部7の底部付近に集めて接触させた。正極側の鍔部7は、捲回群6の軸芯のほぼ延長線上にある極柱(正極外部端子1)の周囲から張り出すよう一体成形されており、底部と側部とを有する。その後、超音波溶接によりリード片を鍔部7の底部に接続し固定した。負極から導出されているリード片と負極側の鍔部7の底部も同様に接続し固定した。この負極側の鍔部7は、捲回群6の軸芯のほぼ延長線上にある極柱(負極外部端子1’)周囲から張り出すように一体成形されており、底部と側部とを有する。捲回群6の最大径部がステンレス製の電池容器5内径よりも僅かに小さくなるように絶縁被覆の厚さ(粘着テープの巻き数)を調整し、捲回群6を電池容器5内に挿入した。なお、電池容器5の外径は67mm、内径は66mmのものを用いた。
次いで、図1に示すように、セラミックワッシャ3’を、先端が正極外部端子1を構成する極柱および先端が負極外部端子1’を構成する極柱にそれぞれ嵌め込む。セラミックワッシャ3’は、アルミナ製であり、電池蓋4の裏面と当接する部分の厚さが2mm、内径16mm、外径25mmである。次いで、セラミックワッシャ3を電池蓋4に載置した状態で、正極外部端子1をセラミックワッシャ3に通し、また、他のセラミックワッシャ3を他の電池蓋4に載置した状態で、負極外部端子1’を他のセラミックワッシャ3に通す。セラミックワッシャ3は、アルミナ製であり、厚さ2mm、内径16mm、外径28mmの平板状である。
その後、電池蓋4の周囲の端面を電池容器5の開口部に嵌合し、双方の接触部の全域をレーザー溶接する。このとき、正極外部端子1および負極外部端子1’は、それぞれ電池蓋4の中心にある穴(孔)を貫通して電池蓋4の外部に突出している。電池蓋4には、電池の内圧上昇に応じて開裂する開裂弁10が設けられている。なお、開裂弁10の開裂圧は、1.3〜1.8MPaとした。
次いで、金属製のナット2を正極外部端子1および負極外部端子1’にそれぞれ螺着し、セラミックワッシャ3、セラミックワッシャ3’を介して電池蓋4を鍔部7とナット2間で締め付けることにより固定する。このときの締め付けトルク値は7N・mとした。この状態では、電池蓋4の裏面と鍔部7との間に介在させたゴム(EPDM)製のOリングの圧縮により電池容器5の内部の発電要素は外気から遮断されている。
その後、電池蓋4に設けられた注液口15から電池容器5の内部を減圧し、電解液を350g電池容器5内に注入し、その後、注液口15を封止することにより円筒形リチウムイオン電池20を完成させた。
電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを、それぞれの体積比2:3:2で混合した混合溶液中へ、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.2mol/L溶解したものを用いた。なお、本実施例で作製した円筒形リチウム二次電池20には、電池容器5の内圧の上昇に応じて電流を遮断するように作動する電流遮断機構は設けられていない。
全ての工程をドライルーム内(露点温度:−60℃以下)で行い、正極と負極の充電容量比率を負極/正極=1.1、電池の放電容量を40Ahとなるように設計した。
(実施例1)
電解液を注液した円筒型リチウム二次電池20を、注液から10時間後に0.1ItAの充電電流で、リチウム二次電池の設計容量に対して0.5%の容量まで充電し(第1回目充電)、注液から20時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)後に1.0ItAの充電電流で4.2Vまで3時間の定電流定電圧充電を行い、リチウム二次電池を満充電とした(第2回目充電)。第2回目充電が終了したリチウム二次電池を1.0ItAの放電電流にて、リチウム二次電池の電圧が2.7Vとなるまで定電流放電し、電流値を積算することで放電容量を測定した。例えば、定電流放電の場合、放電容量(Ah)は以下の式によって得られる。
放電容量(Ah)=放電電流(A)×放電時間(時間)
(実施例2)
注液から第2回目充電までの時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)を250時間とした以外は実施例1と同様とした。
(実施例3〜4)
第1回目充電の充電電流を変更した以外は実施例1と同様とした。実施例3では0.02ItA、実施例4では1.2ItAとした。
(実施例5)
第1回目充電の充電容量を設計容量に対して40%とし、注液から第2回目充電までの時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)を160時間とした以外は、実施例1と同様とした。
(実施例6)
注液から第2回目充電までの時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)を250時間とし、第1回目充電の充電電流を1.2ItAとした以外は実施例1と同様とした。
(実施例7)
注液から第2回目充電までの時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)を250時間とし、第1回目充電の充電電流を1.2ItAとし、第1回目充電の充電容量を設計容量に対して40%とした以外は、実施例1と同様とした。
(実施例8)
設計容量を80Ahとし、注液から第2回目充電までの時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)を40時間とした以外は実施例1と同様である。
(比較例1)
第1回目充電を実施しない以外は実施例1と同様とした。
(比較例2)
第1回目充電の充電容量を設計容量に対して0.4%とした以外は実施例1と同様とした。
(比較例3)
注液から第2回目充電までの時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)を15時間とした以外は実施例1と同様とした。
(比較例4)
注液から第1回目充電までの時間(第1の期間)を15時間とした以外は実施例1と同様とした。
(比較例5)
第1回回目充電の充電電流を1.5ItAとした以外は実施例1と同様とした。
(比較例6)
注液から第2回目充電までの時間(放置ステップにおける第2の期間を含む期間)を300時間とした以外は、実施例1と同様とした。
(銅の溶解量判定)
実施例1〜8、比較例1〜6の電池に対し、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック製iCAP6300)によって、第1回目充電の直前と第2回目充電の直前の電解液を採取し、電解液中に含まれる銅濃度を測定した。第1回目充電直前の電解液と第2回目充電直前の電解液が共に銅濃度0.5ppm未満であった場合を「○」、いずれかの電解液が銅濃度0.5ppm以上1.0ppm未満であった場合を「△」、いずれかの電解液が銅濃度1.0ppm以上であった場合を「×」と判定した。
(放電容量の判定)
実施例1〜8、比較例1〜6の電池の放電容量において、設計容量の100%以上の容量が得られた場合を「○」、95%以上100%未満の容量が得られた場合を「△」、95%未満の容量が得られた場合を「×」と判定した。
Figure 2017139107
表1に示すように、各実施例においては、銅の溶解量判定及び放電容量の判定ともに「×」がなかった。比較例1は第1回目充電を行っていないので銅の溶解を防ぐことができていない。比較例2は、第1回目充電の充電量が不足しており、リチウム二次電池の自己放電で、負極の電位が第1回目充電をかける前の電位に戻ってしまい、結果的に銅の溶解を防げていない。比較例3は、注液から第2回目充電までの時間が短すぎるため、リチウム二次電池に電解液が浸潤する時間が不十分であり、放電容量が不足した。比較例4は、注液から第1回目充電までの時間が長すぎて、銅の溶解を防ぐことができない。
各実施例において、銅の溶解量判定あるいは放電容量の判定が「△」となっている実施例があるが、リチウム二次電池の実用上は問題ない。なお、実施例2、6、7では、注液から第2回目充電までの時間が比較的長かったため、自己放電によって負極電位が元の電位付近に戻り、第2回目充電前には銅の溶解が若干見られ始めていた。実施例4、6、7では第1回目充電の充電電流が比較的大きく、また、実施例5、7では、第1回目充電の充電容量が比較的大きかったため、電極群内部で充放電不均一反応が起き、金属リチウムの析出反応などにより、本来充放電で用いられるリチウムイオンが不足したため、放電容量が若干不足した。
本発明によれば、負極集電体に含まれる銅の溶解がほとんどない高品質なリチウム二次電池が製造可能であるとともに、電解液の浸透期間を短縮することができ、生産性の向上につながる。
1 正極外部端子
1’ 負極外部端子
2 金属ナット
3 セラミックワッシャ
3’ セラミックワッシャ
4 電池蓋(電池容器の一部)
5 電池容器
6 捲回群
7 外部端子鍔部
10 開裂弁
11 軸芯
15 注液口
20 円筒型リチウム二次電池
W1 正極集電体(正極の一部)
W2 正極活物質層(正極の一部)
W3 負極集電体(負極の一部)
W4 負極活物質層(負極の一部)
W5 セパレータ
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